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1097川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Wed Apr 7 18:00:00 JST 2010
日フィル4月定期を聴く-上岡敏之の世界

 表題のように、今人気の高い上岡敏之の日フィルへの始めての登場である。何でも2003年には
既に読響に登場しているので、日フィルへのお目見えは随分遅れた事になる。今回の出しものは
メンデルスゾーンの「宗教改革」とワーグナーの楽劇パルジファルより「第1幕への前奏曲」と
同じく楽劇トリスタンとイゾルデより「前奏曲と愛の死」であった。

 トータル時間1時間と言う、これまででも短い部類に入るプログラムであった。しかし、聴き
終わって見て「呆気なかった」とは感じなかったのである。それは演奏の密度が極度に濃かった
からであろう。特筆すべきはピアニシモに於ける弱音の音圧レベルである。これ以上小さな音に
したら暗騒音に埋もれてしまうような微細な音であった。何か鳴ってるのかな、と思って舞台を
よく見るとコントラバスの弦の上に弓が乗っている、ああコントラバスが鳴っていたんだと言う
風に、視覚で追認して初めて確認できるような微小な音であった。

 こんな小さな音をサントリーホールで聴いたことがない。楽員たちも相当神経を集中して演奏
した事であろう。ちょっと弓の当て方をし損なったら、モロにそのノイズはお客さんに聴こえて
しまう。そんな静寂の中での演奏であった。我々聴衆も思わず肩に力が入ってしまった程である。
棒捌きはカルロス・クライバーを想わせるようで、滑らかで流麗であった。

 「宗教改革」はメンデルスゾーンの第5番の交響曲であるが、実際は3番の「スコットランド」
より先に書かれたと言われている。曲の厚み、充実感がやや不足するが十分に楽しめる曲である。
注目は第1楽章に出てくる、宗教的雰囲気を弥が上にも高める独特のメロディーである。基本形
は僅かに7つの音符で表される「ドレスデン・アーメン」と呼ばれる一種の賛美歌である。

 この旋律が「パルジファル」にも使われていて、今回は明らかにこれを意識したプログラムで
あったに違いない。金管のコラールがあったあとに、弦の弱音で奏されるこのメロディーは心が
洗われる想いがするし、メンデルスゾーンもワーグナーも、似たような手法でこのメロディーを
効果的に用いている。

 さて、上岡の指揮であるが確かに丁寧で入魂の演奏だと言えるし、事実「綺麗だ!」と感嘆も
するのだが、極度のピアニシモが余りに繰り返されると「又か!」と言う気になるから、人間は
勝手な生き物ではある。極度の緊張が続くと音楽の流れに自然に身を任せて楽しむ事が出来ない
恨みがあるのだ。

 「宗教改革」もいろいろ聴かせどころがあったし、その限りにおいて素晴らしい演奏に違いは
ないのだが、聴き終わってメンデルスゾーンの明るく開放された音楽を存分に楽しめたかと言う
と、必ずしもそうとは言えないところに、上岡敏之の成長の可能性を感じるのである。

 多分、それは極度のピアニシモから爆発するようなフォルテまでのダイナミズムがあり過ぎて
フォルテで完全燃焼し切れないもどかしさや、作為的な技法を感じてしまうからだろう。それが
日フィルの力不足から来るのかどうかは分からないが、例えば、ベルリンフィルならこれを見事
にやってのけていたのかも知れない。

 特に「トリスタン」は段々高揚して行って頂点に達したところで、ワーグナーに完全に打ちの
めされるものだが、此処も今ひとつであった気がしてならない。もっとも、此処はワグネリアン
のソプラノ、例えばニルソン辺りが一緒に歌ってこそなのかも知れないから、オケだけでは限界
もあるだろう。それにしても、非凡な指揮者である事に違いはなく、超一流のオケを振ったのを
是非聴いて見たいものである。

 今秋には主兵ブッパータール交響楽団と凱旋公演を行う予定になっているが、日フィルと同じ
レベルなのか、「流石!」と言わせるようなものなのか、ちょっと気になる演奏会である。  

1096川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Mon Apr 5 18:15:00 JST 2010
ふなさん、第2弾のご報告及び試聴のお申し込みありがとうございます。

 新しく作ったアンプはエージングが進むと少し音が練れてくるようです。それは主に化学的
変化のある電解コンデンサーに因る影響が一番大きいのではないかと考えられます。電源オン
時から暫く音が不安定なのも、電解コンデンサーに起因するところが少なからずあると思われ
ます。

 幸いどちらの場合も大体は音が良くなる方に変わるので救われますが、出来ればこのような
音の変化が無いアンプを作れれば理想的だと思います。部品と言う相手がある事なので、完全
解決は難しいですが、経験的にはアンプの安定性を高めればかなり減らさせるのではないかと
思います。

 WRアンプでは積極的にバランス型を採用し、高周波ノイズの影響を少なくして、このような
音の荒れを減らしています。最近発表したヘッドフォンアンプは基板自体の安定性が向上した
せいと、ミニパワーの有利さが効いて、アンバランスなのにこのような現象を殆ど感じません。
定位が自然です。

 同じ安定度なら、出来る限り高周波ノイズを減らす努力をすべきですし、アンプの安定度が
十分に稼げるのであれば、多少の高周波ノイズは許されるのではないかと思います。

 さて、ミニアンプでN響アワーをお聴きになり、指揮者による音の響かせ方の違い等が聴き
分けられたとの事、このような音の微妙なニュアンスの違いに注目して聴いて頂き、音楽的な
表現に富むと高い評価頂いた事は、アンプ開発者に取っても大変嬉しい事であります。

 お察しすると、これはセカンドシステムのようで、この音の延長線上でもう少しグレードの
高い音質を目指して、現在休眠中のメインシステムを再構築なさるお気持になられたのあれば
大変光栄な事だと思います。改めてWRアンプは音楽を楽しむ人の為にあると感じた次第です。

 その為であれば、どうぞご自分のCDプレーヤー等をご持参の上、拙宅でγアンプの音をα系
アンプと比較しながら、ゆっくりお聴きになって頂きたいと思います。どちらも音楽を聴く為
に開発したアンプですが、音の傾向が若干違います。その差を余り感じない方はそれはそれで
結構ですし、差を大きく感じる方はお好きな方をお選び頂きたいと思います。

 どうも、ふなさんと私は音の好みの傾向が近いのではないかと思います。γアンプは実音の
再生に忠実なアンプだと思っています。そのため、聴きやすい魅力的な音と言うより、演奏会
の雰囲気を身近に感じさせてくれる音を、目指したアンプだと言えると思います。

 ミニアンプとγアンプは基本的に同じ基板ですが、γアンプは安定化電源を採用しています
から、直流領域から十分に低い電源インピーダンスを有し、広い周波数範囲に亘ってアンプの
出力インピーダンスを低く保って、スピーカーを十分にコントロールする能力に長けています。
従いまして、ミニアンプよりさらに音楽的表現は深くなり、実音再生には有利になります。

 実音は原則的にドライで剛性感に富んでいますが、それとは矛盾するような凄い柔らかい音
も聴こえて来ます。私がそれを感じるのはバイオリンやビオラの低弦です。この音だけは未だ
十分出ているとは言い難いとは思いますが、甘く見て半分くらいはγアンプでも聴こえている
と思っています。

 この音を完璧に再生するには、アンプもさることながらスピーカーの過渡特性もかなりモノ
を言うのではないかと思います。この辺りのレベルまで来ると、アンプだけではどうしようも
ない壁がありますが、アンプが完璧に動作すれば、ある程度スピーカーの欠点をカバー出来る
と私は信じています。

 ふなさん、ご一緒にいろいろと聴く比べをするのを楽しみにしております。  

1095ふなさんさん(サラリーマン) Wed Mar 31 19:46:33 JST 2010
更に一週間を経過して WRP-α6/HCMOSmini は、一層音がこなれてきたようです。

週末にはメインで使っている(この数年殆ど聴けていない)CDPを持ち出し接続
したところ、その差もよく出してくれました。
日曜の地デジ 2CH の N響アワーは、2週続けて年間のコンサートベストテンで興
味深く聴きましたが、ホールと指揮者によるオケの響きの変化を見事に出してく
れました。改めて音楽が良く分かるアンプだと関心しました。

当面は予算の関係でパワーアンプだけになりそうですが、メインで使うアンプの
購入を検討したいと思います。
3/7の視聴会で聴かせて頂いたアンプの中では、ではミニアンプと WRP-γ
100/BAL の音が好みでした。
これらのアンプの秋晴れのような傾向の音で、現用パワーアンプ 80w x 2 を
置換できるものを考えたいと思います。

一度、EMe アンプ、HCMOS アンプの比較視聴をお願いできませんでしょうか?
可能ならば、土曜15時以降、あるいは日曜に、CDプレーヤー持参でお願いできれ
ばと思います。 

1094川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Tue Mar 30 18:20:00 JST 2010
心地良い音とリアルサウンドの狭間

 試聴会の余韻も消えて、またオーディオ道に舞い戻っていろいろ考えたりやったりしています。
今回の試聴会で少し見えてきた事があります。それは普通のオーディオファンの方は暗黙の内に
心地良い音を求めていて、それが実音に近いかどうかより「いい音だ」と感じる音を探っている
のだと思います。

 それは極当たり前の事で私だってそうだと言えると思います。唯、私の場合はその音が演奏会
場で聴く実音と整合が取れているかどうかを、何時も無意識の内に確認してるようです。だから
例え凄くいい音だと感じても、現場で聴く音と掛け離れていると心から楽しめない「それはウソ
だ!」と思ってしまうのです。

 私は一ヶ月に一度位は実音を聴いて耳をリセットしているので、少し極端なのかも知れません。
私を最右翼だとすれば、全く実音とは無関係に心地よい音だけを求める人は極左翼だと言えるで
しょう。この右と左の間に、偶にはライブや生演奏会に行って実音を聴く人がその程度に応じて
分布していると私は考えています。

 この幅広いオーディオファンの方全てに適合するアンプが作れれば理想ですがそれは無理では
ないでしょうか。少なくてもWRアンプは真ん中より右に位置する人の為にあると思っております。
特にSEコン、BGコン等を多用したα系パワーアンプは、右端から少し真ん中よりの方に広く受け
入れられて来ました。

 正直に申せば、私がWRアンプを開発し始めた頃は今のように定期的に演奏会には行ってません
でした。だから、当然生演奏会の音を規範にはしていたつもりでしたが、徹底されていなかった
と思います。それが最近は一月に一度は耳が補正されるので、誤魔化しが効かなくなったのです。
演奏が始まって最初の5分が勝負です。

 何の違和感も無くスッと演奏会に溶け込めるか「家の音と違うな」と暫く葛藤が続くかの何れ
かです。そして何時の間にか普段家で出てないはずの生の音を、家でも聴こえていたと錯覚する
ようになってから、落ち着いて音楽が楽しめるようになるのです。日フィルの定期に通い始めた
頃は、何時もそんな状態が続いていました。

 それがです、γアンプを開発して以来、何時しかこの「葛藤」が無くなっていたのです。最近
は、私の耳に最も敏感に響く弦楽合奏を生で聴いても違和感を余り感じません。家でスピーカー
から聴く音と本質的に大きな違いがなくなったからではないでしょうか。

 この要因として次の3つを挙げる事が出来ると思います。γアンプは

1.超HC-MOS素子を使っている。

2.SEPP回路の採用で不安定になり勝ちなソースホロワを半分に減らしている。
     (安定化電源も意識的にエミッタホロワを半分に減らしている)

3.経済効果も考えてウエットな音のするSEコンを適材適所に使っている。

 勿論一番大きいのは超HC-MOS素子がもつ高速性とダイナミック性でしょう。どちらも実音再生
には必須条件です。これらの特長に、日立のMOS-FET で代表されるようなスッキリした味わいが
プラスされて、より自然な再生が出来ているのだと思います。

 SEPP回路はコンプリ回路に比べてひずみ等の点で不利だと言われていますが、実際にひずみ率
を計って見れば、決してコンプリ回路に劣らない事が分かります。寧ろ、不安定要因を減らした
メリットは無視できないと思います。アメリカの評論家仲間達にも高い評価を得ているWRプリは、
安定化電源以外の増幅基板にはエミッタホロワを一切使っていません。

 ウェットで聴き易い音の再生に向いているSEコンを程よく使い、生の音が有する剛性感を出す
為に有利なイタリアコン(セラミック)を適当に配して音造りをしているのが、γアンプです。

 これらの3つ条件が相乗効果を生み、実音の再生に一歩近づいたパワーアンプの完成が可能に
なったのだと思います。

 先日の試聴会では、その事を少し前面に押し出し過ぎた傾向があったと思います。だから心地
良い音を何時も通りに求めた人には、ちょっと刺激的過ぎたのではないでしょうか。それは東山
さんのご投稿からも推し量る事が出来ます。

 最近、先日お聴かせしたWRP-γZERO/BALとWRP-γ100/BAL はそのまま置いておいて、もう一台
超HC-MOS素子を使ったパワーアンプを別途作って、いろいろ音を聴いて試しています。パワーは
75W/8Ω で、ブリッジにすれば220W/8Ω出せるようなアンプを想定しています。

 音のチューニングは、前二者のノウハウを使ったので簡単に済ます事ができましたが、ほんの
少しだけ聴き易さを狙っています。即ち、試聴会ほど強烈な生音の再生ではなくて、守旧派の方
にも有る程度受け入れられるアンプにしたつもりです。超HC-MOS素子の特徴として、音を大きく
すると益々剛性感が増すようなので、音を絞れば心地良い癒しの音になり音を大きくすれば実音
の再生に近づく、と言うアンプに成長できたらと思っています。

 それでも真ん中より左の方達には受け入れられないかも知れませんが、高級α系パワーアンプ
の守備範囲位を何とかカバーできれば、汎用性のあるHiFiアンプを完成させる事が出来るのでは
ないかと胸を膨らませています。  

1093川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Tue Mar 23 16:00:00 JST 2010
お急ぎ下さい!「さよならセール」終了まであと1週間に迫りました!

 先にお知らせしましたように、1999年から10年以上に亘って皆様にご愛顧頂いて来ました、
ウエストリバー初のパワーアンプWRP-α1MK2及び、その能力をフルに発揮させるプリアンプ
WRC-α1MK2が3月一杯で販売終了になります。皆様に感謝の意を表す為に「さよならセール」
期間中は、各3台限定で2割引とさせて頂いていますが、その期間が間もなく終了します。

 今回のディスコンは取り敢えずアンバランス型が対象になりますが、将来はバランス型も
順次デザイン変更をして行く予定です。この事を詳細にお知らせ致しましたWR掲示板上では、
バランス型も特別に2割引の対象にさせて頂くとコメント致しましたが、トップページ上の
お知らせには最近までその事が漏れておりました。その為この事が今ひとつ徹底されていな
かったようです。

 最近その事を知ってWRP-α1MK2/BALをお買いになられた方がございます。未だ各1台ずつ
製作する余裕があります。合わせて3桁の販売実績を誇るこの信頼のWRパワーアンプとプリ
アンプを、是非この機会にお求めなって見ては如何でしょうか。バランス型だったら買って
見たいと思われる方はお早めにお申し込み下さい。


* * ふなさん、ミニアンプのお買い上げとレポートありがとうございます。* *

 日比さんやふなさんがお買いになったミニアンプWRP-α6/HC-MOSminiはWRの定番商品では
なく、平野紘一氏が運営するマスターズ/イシノラボで単発的に販売したものです。先日の
試聴会で、超HC-MOSアンプを聴き終えた直後に、関連アンプとしてちょっとだけこのアンプ
の音を聴いて頂いたのですが、値段の安さ(39,800)も手伝ってご好評を博しました。

 それで追加製作を行い、この度ふなさんに納入する事が出来ましたが、こちらの方もあと
1台限定でお売りする事が出来ます。どうぞご興味のある方はお早めにお申し込み下さい。

 さて、ふなさんのお話ですと日立の有名なMOS-FETである2SK134/2SJ49 のような音がする
と言う事で、我々も大変嬉しく思いました。開放的な音がすると言うのが一つの特長のよう
ですが、確かにEMe を使ったコンプリ型パワーアンプの音と比較するとスッキリした印象が
ありますね。この辺りが好き嫌いの分かれるところかも知れませんが、私は超HC-MOSの音は
決して嫌いではありません。

 分解能、空間表現、音色、等の点でお使いのアンプより優れていたと言うご指摘は、勿論
このミニアンプの持ち味ですが、駆動基板はWRのSEPPアンプに共通した基板を使用していま
すので、これらの特長はWRアンプの最大公約数的な音でもあると言えると思います。

 ベルリンフィルが「ベルリンフィルらしく」聴こえた、と言うご指摘も私にはよく分かる
表現です。ベルリンフィルは、若い頃に東京文化会館でカラヤン指揮で一度しか生で聴いた
事がありませんが、大まかに言えば独グラモフォン録音のような線の太い力強い音を仰って
いるのではないでしょうか。

 それでいて、全てのオーケストラが皆ベルリンフィルのような音に聴こえる訳ではありま
せん。ウィーンフィルはウィーンフィルらしく聴こえる、そこが、WRアンプの特徴なのです。
即ち、ふなさんが指摘しておられるように固有の表現に引き込むことがないのです。どんな
ソースもその本来の音色を保ったまま聴こえて来ます。決してある種の音色に染めることは
ありません。しかし、デジタルアンプのような素っ気無いツマラナイ音ではありません。

 このミニアンプにはIRの超HC-MOSである540 が使われていますが、これと似たような仕様
の素子がBUZ31 です。540 がディスコンなので新たに私が見つけた素子ですが、作りやすさ
とナチュラルな音質は540 に相通じるものがあります。先日の試聴会で大変評判の良かった
パワーアンプWRP-γ100/BAL にはパラレルで使用されています。

 EMe の在庫が減ってきた以上、今後は徐々に超HC-MOS素子を使ったパワーアンプにシフト
して行かざるを得ません。早ければ今年の秋頃にはデザインを一新して、超HC-MOSの新しい
シリーズを発売して行く予定です。その前にリアルサウンドの再生に優れた超HC-MOSアンプ
の音をお聴きになりたい方は、どうぞお申しで下さい。  

1092ふなさんさん(サラリーマン) Sun Mar 21 23:42:32 JST 2010
 昨朝 ミニアンプ WRP-α6/HCMOSmini が届きました。
視聴会でのFET らしい開放的な音の出方が気に入り、購入申し込みしました。
先約者がおられましたにも関わらず、追加で対応いただきありがとうございました。
この2日間、手元のアンプ2台と比較して聴いた感想を書かせていただきます。

 拙宅の環境ですが、この数年帰宅が遅く自室で音楽を聴くことが殆ど無くなり、
以下のリビングのセット(以前はリモコン付安価プリメインで駆動)が少しずつ充実して
きています。
休日にTVの映画と音楽番組をメインに、時々音楽 DVD, CDを楽しむ形になっていました。 
      DVDレコーダー(CDトランスポート兼用)
     ↓ HDMI接続 
   LCD TV
     ↓ TOSリンク
   DAC  CEC DA-53 (シャープロールオフ,ディザーON, 32fs)
     ↓ RCAケーブル
      プリ LINN Kairn :  リモコン付
     ↓ RCAケーブル
   パワー (1) Flying Mole DAD-M100pro HT x 2台
         線材をオーグラインとS/Aラボ製に交換し、ボリュームをスキップ。
             (2) 金田式全FET No.130 (2SK49/2SJ134 single PP) + SW電源[+/-30V]
          ↓
   スピーカー 長岡式 Super SWAN (FE108ES2)
 
 デジタルアンプのフライングモールは、低域がガッチリして力の表現に長け、映画鑑賞
用には十分に満足していたのですが、音楽相手になると音が非常に即物的でツマラナイ感
じでした。ネットの記事を参考にした線材交換で、細かな音が良く聞こえるようになり、
楽器の音色の差をかなりわかり易く聴かせてくれるようになりましたが、音楽の香りみた
いなものが消える感じに不満がありました。

 年末年始の休みに押入れの肥やしになっていた金田式用に電源部を作り置き換えたとこ
ろ、開放的な鳴り方、解像感、音色の表現ともとてもよいのですが、ゴールデンタイムは
周囲環境(ノイズ源?)により鳴り方が団子になることが多く、安心して聴けるアンプが
ほしいと思っていました。

 たまたま3月7日の視聴会の案内を Web で見つけ、ほぼ5年ぶりにオーディオイベントに
参加し、2SJ49/S2SK134 風な鳴り方のミニアンプに出会いました。

 パワーアンプを WRP-α6 に交換したとたんに、分解能のよさ(合唱の一人ひとりが見
える)、空間表現の良さ(前後、上下の音場が広い)、音色の描き分け能力(楽器の音色
の違いがよくわかる)を感じました。一方でちょっと金臭い音色も感じましたが、丸1日
鳴らしっぱなしにしていたら、金臭い感じはほぼ取れました。

 今日は先週 NHK-BS で放送された「神々のたそがれ」を見ていたのですが、管楽器が立
ち上がるところが如何にもベルリンフィルっぽい印象を感じました。... リビングのシス
テムでこんな感想は初めてです。

ポピュラー系(マドンナ、サラ・ブライトマン、アルフィー、井上陽水など)のデジタル
録画での再生も、切れ良く楽しめました。
何を聞いても、固有の表現に引き込むという印象が少なく、かつ分解能は十分と感じました。

 大満足の一品です。本当にありがとうございました。 

1091川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sat Mar 20 00:00:00 JST 2010
日フィル3月定期を聴く

 いよいよ春の音楽シーズン開幕である。今月の指揮は首席指揮者のラザレフである。客員では
ない、云わば正妻である。客員と違って楽員に対する注文も非常に厳しいらしい。休憩タイムも
ご自分は休まないそうである。その甲斐あってかラザレフの時の日フィルは確かにワンランク上
の演奏をする。

 今回の出しものはモーツァルトの「ミサ曲ハ短調K.427」 所謂「大ミサ」と、プロコフィエフ
の交響曲第4番である。「大ミサ」は私の好きな曲であるが、プロコの4番は初めて聴く、私に
取っての新曲である。

 モーツァルトの「大ミサ」は、ザルツブルグに居た時のような教会から委嘱されて書いた短く
宗教色の濃いミサ曲ではなく、モーツァルトの個人的事情から自分の意志で書いた力作であるが、
残念ながらレクイエムと同じように未完の作となっている。個人的事情とはコンスタンツェとの
結婚を正当化するために、ザルツブルグに戻った時に持参した父親へのお土産だったようである。
ザルツブルグでは大司教の目の届かない聖ペーター寺院で、コンスタンツェがソプラノを歌って
披露され、翌日には直ぐウィーンへ逃げ帰ったと言われている。今日ではランドン校訂版で演奏
されるのが通例である。

 何故か私は学生の頃宗教曲に凝ったことがあり、レクイエムやミサ曲ばかりを漁っていた事が
あった。漁るとは、LPの新譜は高くて買えないので通学途中の新宿の中古LP店で目ぼしいものを
探しまくったのである。店が明るくレコードも綺麗な「オザワ」と暗くて如何にも中古レコード
店という「トガワ」が有った。

 その「オザワ」で偶々見つけたのがこの「大ミサ」であった。輸入盤のモノLPでその頃モノ盤
も特に抵抗無く聴いていた。独唱が誰だか、演奏が何処であったかの記憶が全く残っていないが、
二人のソプラノが美しくメロディーも魅力的だったのですぐさま愛聴盤になった。少しだけハイ
上がりに聴こえる録音であった。

 自分のシステムが本格的にステレオ化してから徐々に聴くチャンスが減り、曲も少々食傷気味
になって、何時しか「大ミサ」は忘れられた存在になっていた。それでもステレオLPで買い直し、
ゲネンバイン/南西ドイツ室内管(S36205)とマリナー/アカデミー(412932-1)の2枚のLPを今も
所持しているのだが、あまり真剣に聴いた事がない。それだけ最初に聴いたモノLPの印象が強烈
だったのであろう。

 だから、今回の演奏会はちょっと楽しみであった。第一ソプラノは天羽明恵、第二ソプラノは
加納悦子、テノールは鈴木准、バスは成田眞で、合唄は東京音楽大学の合唱団であった。オケの
配置を見るとトロンボーンが左右の端に一人ずつ分かれて座っており、この曲ではトロンボーン
が重要な働きをする事を暗示していた。勿論トランペットも使われているが、何処に座っている
のか分からないように、音楽上でもトランペットの陰は薄い。木管は比較的重要視されている。

 途中で気か付いたのであるが、サントリーホールのオルガンにスポットライトが当たっており
オルガン奏者はテレビ画面に映る指揮者を見て演奏をしていた。余り表に出る事はなく重厚さを
演出する程度に使われていた。

 出だしの弦楽、特にバイオリンパートは何時ものモーツァルトではなく、低く落ち着いた様子
で好感がもてた。それにトロンボーンの中低音が左右代わる代わる加わり曲の雰囲気を重々しい
ものにしていた。それをバックに二人のソプラノが対照的に明るく歌い出す。私は天羽より加納
の声質が好きである。加納の方が倍音に富み浸透的に響くが天羽はちょっとだけ篭って聴こえる。
それにしても唯一の四重唱である最後のベネディクトゥスは見事だった。

 合唱は強烈である。学生だから仕方ないが声が青い。しかし、決して飽和するような威圧感は
なく、程よいテンションを掛けていたし、ハーモニーも美しかった。特にグロリアの後半部分で
ソプラノ、ソプラノ、テノールと言う三重唱があるのだが、その直前の合唱特にソプラノパート
の美しさには心洗われる想いがした。γアンプで聴く雰囲気に近いと思った。

 演奏終了後、指揮者と独唱陣、団員の順で退出するが、一度止んでいた凄まじい拍手が合奏団
が退出する時に再び巻き起こったのである。もう休憩時間であるのに、日フィルの聴衆は本当に
優しいと思った。私も自然にそれに参加した。多分殆どの人が幸せな時間を共有できたからなの
だろう。

 20分の休憩を挟んで連続演奏中のプロコフィエフの交響曲として第4番が演奏された。4番は
ボストン響の創立50周年を記念して、当時の音楽監督であったクーセビツキーがプロコフィエフ
に依頼したものである。当初はオペラ等の劇音楽からの転用が多く用いられた為プロコに対する
評判は余り良くなく、クーセビツキーによる初演もパリでのモントゥーによる初演も不評だった
ようである。

 この曲が再評価されたのは、戦後、5番、6番を書き終えた1947年の事である。20数分だった
この曲を大幅に書き直し40数分程の大曲に改作したのである。曲の長さが倍になればもう別物と
言っても良いだろう。プロコ自身「これは私の第7交響曲です」と言ったくらいである。

 初めて聴く曲なので当然手探りで聴いたのであるが、プロコにしては聴きやすく特に違和感を
感じない。強いて言えばバレエ曲「ロミジュリ」に曲想が似ている。演奏は相当訓練された跡が
あり、殆ど綻びや音の乱れがない。統率された中にも音楽が脈打っている。

 しかし、そうは言っても50分に垂んとする曲である。正直、途中で睡魔が襲ってきたのである。
気が付いた時には最終楽章に入るところだった。多少スッキリした頭で又聴き始めたのであるが
この曲の最後は本当に凄まじい終わり方である。トランペットを執拗に吹かせるのであるが客員
首席奏者のイタリア人トランペッターの音が浸透的で、鼓舞するラザレフの指揮に見事に応えて
いた。此処だけでも聴く価値は十分にある。

 物凄い拍手が鳴り止まない。定期演奏会ではアンコール等誰も期待して拍手なんかしてないが、
心が通じたのか例外的にアンコールが始まった。それは何と「ロミジュリ」からの1曲だったの
である。この新4番が演奏されるのは日本でも珍しくLP、CDも殆ど旧作だろう。だから殆どの人
は初めて聴いたに違いない。その事を察してラザレフが「ご褒美」をくれたのだと思った。

 何か暖かいものを抱きながら帰路についた。これが生演奏会の醍醐味である。  

1090川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Wed Mar 17 21:00:00 JST 2010
練馬のオーディオ好きさん、ヘッドフォンアンプのお買い上げとご感想ありがとうございます。

 気に入って頂ける自信はありましたが、やはりこうして実際に、ご本人様から具体的なお褒めの
言葉を頂くと、設計者としては大変有り難く嬉しい限りで御座います。

 再生のスムーズさ、自然な音場感、ほのかなふくらみ、音が痩せない、もう少し演奏を聴きたい
と言う表現は、正しく私自身が感じていた事であり、的確にこのヘッドフォンアンプの音質を言い
当てていると思います。流石に、練馬のオーディオ好きさんの聴覚力は年季が入ったものであると
敬服しております。

 普段、ヘッドフォンで音楽をお聴きになっている方は勿論の事、ヘッドフォンに見切りを付けて
しまったいる方にも、もう一度このような音を聴いて頂き、新たなオーディオの楽しみを発見して
頂けたら、どんなに素晴らしい事かと私は思っています。

 そう言う私もヘッドフォンで音楽を聴く事に見切りを付けていた一人でした。今回、平野紘一氏
の方から、このヘッドフォンアンプの設計を促されなければ、この素晴らしい体験は出来なかった
でしょうし、ヘッドフォンにある種の偏見を持ち続けていたでしょう。

 今後ミニパワーアンプとして、プリアンプとしてもご使用頂いてそのご感想を頂ければ、これに
過ぎる喜びはありません。時間を掛けてゆっくりで結構ですから第2弾、第3弾をお待ち申し上げ
ております。どうぞ、よろしくお願い致します。


--- 日比さん、HC-MOSミニアンプお買い上げ及びご投稿ありがとうございます。

 日比さんが試聴会会場でHC-MOSミニアンプをお聴きになった時は、WRプリ(WRC-α1/FBAL)が接続
されておりましたので、ご自宅でCDプレーヤーダイレクトでお聴きになりますと、ちょっと音場感
が違うと思います。このミニアンプがアンバランスであると言う事もあり、やはりパワーアンプの
指向特性を意識してしまうことに成り勝ちです。だからスピーカーの存在が分かってしまうのだと
思います。

 これを改善するにはやはりプリを接続して頂くのが一番良い訳で、これまでずっと言われて来た
通りです。勿論、高級プリである事に越した事はありませんが、ミニアンプの価格を考えると本末
転倒になり兼ねません。ここは気安くお買い頂けるヘッドフォンアンプをプリとしてお使いになる
のが一番合理的かと思います。その効果は私と平野氏が別項でお伝えした通りです。

 このヘッドフォンアンプをご使用頂ければヘッドフォンによるモニターも可能になります。お店
でお聴きになった音と、家に帰ってから聴く音が違う事はよく経験するところです。我々もWR録音
の時にヘッドフォンでモニターすると、後でこんなはずでは無かったのにと言う事がよくあります。

 これはヘッドフォンがステレオではなく両耳効果を伴うバイノーラルである事と、ヘッドフォン
の振動板の実効質量がスピーカーのコーン紙のそれに比べて遥かに軽い事が原因です。実効質量は
軽いほど過渡特性が良くなります。従って、一般にはヘッドフォンの方が有利に聴こえるのです。

 因みにヘッドフォンアンプをミニパワーアンプとして使用した場合ですが、アンバランスである
にも拘わらず指向特性は良好です。これは音量が小さいことが有利に働いていると考えられますが、
新規に高域補償をやり直した基板の安定性が、これまで以上に確保された可能性も考えられます。
電源電圧がこれまでのパワーアンプに対してかなり低いのが有利なのかも知れません。

 最後にちょっと話はそれますが、日比さんの疑問点である 50Wのアンプが120Wのアンプと比べて
パワー以上に力の差をお感じになると言う問題です。それは駆動力の差だと思います。駆動力とは
結局はアンプの出力インピーダンスの問題だと考えられます。広い周波数帯域に亘って出来るだけ
低くコントロールされてるい事が大切です。

 WRの120Wアンプは高圧動作(一般的には帰還が深くなる)でその上パラレル接続ですから、出力
インピーダンスはより下がると推定され、スピーカーを制御する能力が高まると考えられるのです。
 

--- 東山さん、ご投稿ありがとうございます。---

 今回の試聴会の目的は、勿論、WR初のヘッドフォンアンプのご紹介も含んでおりましたが、以前
からの懸案事項でありましたポストEMe としての超HC-MOSパワーアンプの再デビューの場でもあり
ました。

 本当に良いアンプは「ローマは1日にしてならず」でありまして、皆さんのご意見をお聞きしな
がら紆余曲折を経て完成するものだと思っております。私が最初にWRP-γZERO/BALを1年以上前に
試聴会で皆様にお聴かせ致しました時は、このアンプの特長である高速性、ダイナミック性が未だ
未熟で、一部に中高域の音に違和感を持たれた方が居られました。

 昨年の4月に、軽井沢でWRP-γZERO/BALのブリッジ接続を聴いて頂きました時は、霞仙人さんが
企画された120Wのモノブロックパワーアンプの凄さに隠れて余り表に出ませんでしたが、それでも
それなりの評価を受け、多少の進化を遂げていました。つまり少しずつ手を入れていたのです。

 しかし私自身、これまでのEMe 型パワーアンプと同じようなアプローチをしていて、超HC-MOSの
特長を掴み切っていなかったのです。特にこの半年は超HC-MOS素子の特長を生かした独自のアンプ
を構築するにはどうしたら良いか考え続けて来ました。それと同時に超HC-MOS使用の100Wステレオ
パワーアンプWRP-γ100/BAL の設計にも着手しました。

 折りしも日フィルの生演奏会を月1回聴く度に、最初の5~10分程耳に違和感があり、聴き行く
ほどに耳が慣れて来るのを憶えたのです。モヤモヤしたものが段々明確になってきて、超HC-MOSを
使ったアンプは、EMe アンプとは違った角度から音造りをすべきだと思うようになったのです。

 その高速性を生かす為には整流回路のスナバ回路等に使用するコンデンサーを思い切ってSEコン
にすべきであると思ったのです。それはWRアンプの中で唯一その方式を採用してる αZERO/STUDIO
がヒントになりました。これだけでは切れ味は出ても音が鋭過ぎます。

 これまで基板等に入れるパスコンは1uF が標準でしたが、これを半分位に減らして中高域の音を
少し落ち着かせる方法を採りました。特に整流直後に入れるパスコンが音質に重要な影響を与えて
いる事が分かりました。勿論、ブロックケミコンに抱かせるパスコンも音に大きく影響します。

 WRP-γZERO/BALのブリッジ接続と、WRP-γ100/BAL の音を比較試聴しながら試行錯誤を繰り返し、
大体の線が決まってきました。丁度その頃WRP-γ100/BAL をマスターズの工房で試聴したいと言う
方が居られて、平野氏の方にこのアンプを送りました。平野氏から最初に聴いた超HC-MOSアンプの
音よりずっと聴き易くなったし、ここぞと言う時には凄みも出ると言うレポートを貰いました。

 「よしもう一歩だ」と思って特に最近行ったWR録音をソースにしてチューニングし、聴き慣れた
CDを使って検証すると言う方法で最後の詰めを行いました。WR録音は何も加工していない為、生音
の良い面と厳しい面を併せ持っていますので、アンプの音の良し悪しを判断する時に結構役に立ち
ます。市販のCDで確認するのは、チューニングが暴走しない為の予防線です。

 こうして試聴会当日を迎えました。私はもう耳が十分慣れていましたので、これが普通の音だと
思い込んでいましたが、この音を初めて聴く方に取っては、これまでにはない新しい音だったよう
です。これまでのどのアンプとも違う音、生音を再現する為の一つの典型的な音だったのだと思い
ます。

 前回も書きましたがオーディオは個人的な趣味であり、個人の聴覚能力や好き嫌いでその判断は
大きく左右されます。オーディオ愛好家のマジョリティは「耳に心地よく響く音」を求めていると
思います。私はそれをオーディオ的な音と呼んでいます。勿論それが悪いなどとは思っていません。
ケースバイケースです。

 一般に、ドライな音とウェットな音では、ウェットな音を支持するのがマジョリティではないか
と思います。高級α系アンプに採用して来たSEコンは、どちらかと言えばウェットな音を提供して
くれます。イタリアコンはどちらかと言えば、ドライな音がします。この辺になると全く理論的な
考察が出来ないのが悩みの種であり、オーディオをより複雑にしています。

 多分、今回の試聴会では、ウェットな音を無意識の内に求めて居られた方と、日頃から演奏会等
に行って生音に抵抗がない方がいらっしゃったのではないでしょいうか。前者の方はちょっと戸惑
われ、慣れるまでに相当の時間を要したと思われますし、後者の方は、普段自分の装置でそう言う
音を聴いていなくても、比較的短時間でその音に溶け込まれたのではないでしょうか。

 私はどちらが正しいとか、そんな事は微塵も思っていません。これはその方の聴覚力と好き嫌い、
そして経験から決まって来る事で、それこそ個人の勝手です。私も昔はウェット派でした。だから、
最初にWRP-α1 を開発したのですし、それはWRP-αZERO/BALに引き継がれています。今でも、勿論
ウェットな音を聴きたくなる事があります。

 しかし、EMe が無くなって来た事、不景気でオールSEコンは現実的でない事、日フィルや Koike
Strings さんのような生音を聴く機会が増えた事、そう言う境界条件が私を超HC-MOSパワーアンプ
に行き着かせたのだと思います。

 東山さんは現場で違和感を持たれたにも拘わらず平野氏、日比さん、練馬のオーディオ好きさん
等がγアンプを褒められたのが不思議に思えた事でしょう。だからこそ、1週間程それが引っ掛か
って居られたのではないかと思いますし、自問自答を繰り返されたのではないでしょうか。

 そして今度は反対に、何時もは慣れているはずのマイアンプの音に何か違和感を覚えられたのだ
と思います。今回のご寄稿は東山さんが正直な方だからこそのものであり、私に取って大変嬉しい
ものですが、東山さんのオーディオライフを乱すのが私の本意ではありませんので、どうかその辺
は適当にお考えになって下さい。勇気をもって、わざわざγアンプの可能性について言及して頂き
誠にありがとうございました。

 それにしましても、今度のγアンプの音と従来からのα系の音との違いは目くじらを立てる程の
ものではなく、普通の音量で聴けばそんなに大きな差ではありません。今回の一文が2つのアンプ
の音の違いを際立たせた感は否めませんが、それは分かり易く解説したからであり、実際は致命的
な大きなな違いはありません。今後も引き続いて、違和感なくα系アンプの代替機になれるように
研究を続けるつもりです。

 最後に、WR初のヘッドフォンアンプの事ですが、これにはEMe が使われています。これは取って
置きの松下製TO-220型で、暫くは在庫がありますのでどうぞご安心下さい。EMe を使っている事も
あり、ヘッドフォンアンプはどちらかと言えばウェットで心地よく響く音を特長としています。  

1089日比さん(給与所得者) Wed Mar 17 17:58:15 JST 2010
やっぱりヘッドフォンアンプ良さそうですね

 どうやら、ヘッドフォンアンプをプリとして使用した場合でも、かなり価値がありそ
うですね。
 
 現在、6畳のサブシステムを毎日聴いていてスピーカーセッティングの追い込み等あ
れこれやっている最中ですが、スピーカーからの音離れという点が一番の課題のようで
す。

 メインのシステムでは、ちょっと大げさに言えば、スピーカーが鳴っている感じがし
ないといいますか、音像がかなり明確で、ソースによっては空間に演奏者がいるような
感じが味わえます。と言いながらこっちも部屋の音響条件は今ひとつで、聴く場所によ
っては音の感じがかなり違ったりという憾みはあります。14畳ほどのLDKです。プ
リのあるためなのか、あるいはフルバランスにしたお陰なのかも知れませんが。

 サブシステムの方はスピーカー周りの方が中央部に比べ、音の密度が濃い状態で、こ
れを何とかしたいというのが当面の課題です。もっとも、純粋なリスニングルームとい
うわけではなく、仕事場兼用という性格上、ある程度の制約があるのは、まあやむを得
ないですが。

 それからもうひとつ、ヘッドフォンの優位性について常々感じているところがありま
す。

 新品はあまり買わない僕でも、時々タワーレコードや銀座の山野楽器などへ行って、
売り場のヘッドフォンで試聴したCDを買ってくることがあります。とくにウッドベー
スがブリンとした音を聴かせるようなところが気に入って買ってきて、メインのシステ
ムで期待して聴いてみると、試聴した時のようにうまく鳴ってくれないことがあります。
何となくもやもやした気持ちでいるわけですけれど、それがCDウォークマン付属のイ
ヤフォンで聴いてみるとちゃんとそういう風に鳴ったりするわけです。あれー、こんな
もので、ということで驚くわけですが、ごく最近の体験です。

 立ち上がりの性能が並のスピーカーだとヘッドフォンやイヤフォンに追いつかないん
でしょうか。あるいはルームアコースティックの問題等、要因はいくつもあるとは思い
ますが、普段スピーカーでしか音楽を聴かない性分でしたから、新しい発見、といいま
すか、ちょっとがっくりなのです、本音を言えば。ということもあり、ヘッドフォンア
ンプを次のターゲットとして考えようと思います。

 ヘッドフォンもちょいと良いものでも買って、まあたとえばそれをリファレンスと考
えて、なんて行ったらきりがないですかね。  

1088練馬のオーディオ好きさん(サラリーマン) Wed Mar 17 00:49:25 JST 2010
ヘッドフォンアンプが到着しまして、早速、手持ちのポータブルCDプレーヤーにつない
で聴きだしました。SONY DFJ787(LINE出力)

試聴会にも持っていったCDオスカーピーターソンのJAZZやパイヤールのブランデン
ブルグ協奏曲、日本のフォークソングはしだのりひこなどを続けて聴いています。

とにかく、再生のスムーズさが、印象に残ります。
それに加えて、自然な音場感が、いいですね。 
聴きやすく、しかも、ほのかなふくらみを感じさせて、音が痩せないですね。
ポータブルプレーヤーに付属のヘッドファン端子から聴く音がいかに痩せていて荒っぽい
音であるかが実感できます。

次から次へと聴こうと思っていましたが、もう少しこの演奏を聴きたいと思わせるところ
が、ウェストリバーの音なのかもしれませんね。 

1087平野紘一さん(マスターズ/イシノラボ 代表) Tue Mar 16 08:16:47 JST 2010
ご好評のWR HCMOSミニアンプについて

 最近の皆様のご投稿には感謝致します。いろいろ、感想を書いて
同好の方々に読んで貰う事は、オーディオ趣味では、とても楽しい、
重要な情報源と思います。
 
 さて、3/7の視聴会で短時間、鳴らしたミニアンプは、日比さ
ん、練馬のオーディオ好きさん、それからFさんに気に入って貰い
ました。
 このアンプについて、当日、参加できず、興味のある方はイシノ
ラボのお問い合わせフォームよりどうぞ!仕様、回路内容、画像等
などを用意しております。 

1086平野 紘一さん(マスターズ/イシノラボ代表) Mon Mar 15 15:14:49 JST 2010
WRP-α9/Aは、3通り(3WAY)の使い方が出来ます。

 練馬のオーディオ好きさんからご注文をいただいた上記の第1号機アンプが出来上がりましたので発送させて
頂きました。これまで、延べ12時間以上、いろいろなかたちでテストしましたのでご報告します。

1.ヘッドフォンアンプとして

 ヘッドフォンはBOSE、それからインナータイプで聴きました。BOSEは娘が使ってますが、
BOSEのアンプで聴いたときよりも歯切れがよく、素晴らしいと言ってくれました。
わたしもそう思いました。そうかと言って、疲労感はありません。インナータイプは普段、私が深夜放送用に
使っているもので、これまで、安いものからいろいろ使ってみました。これは何とKENWOODの携帯CDに
付属していたものですが、疲れず、分解能もGOODのものです。これでも、おなじような結果で、気楽に、
寝室でお使いいただいても、よろしいと思います。

2.ミニパワーアンプとして	

 次に、ミニパワーアンプとして、使ってみると、ゲインが少ないので、CD再生において、
CDダイレクトでも、問題なく使えます。(音量の微妙な調整が出来る)視聴会でお聴きなったように、
静かで、端正で、迫力もあり、通常の音量でも充分、良質なサウンドが味わえます。
 マスターズでは、真空管アンプも作っていますが、これらとは一味違う、切れ味良いサウンドが聴けます。
場所を食わないので、デスクに置いたり、寝室においても良いでしょう。¥39,800でも、WRサウンドが
楽しめます。

3.プリアンプとして

 次に、プリアンプとして、使ってみました。ゲインがプリアンプとしてもちょうど良いのです。
パワーアンプはWRP-α1MKⅡです。音が出た瞬間、割と重心が下がったスケール豊かなサウンドに
驚きました。本来、このアンプはWRプリアンプと組み合わせて、非常に、綺麗な、澄んだサウンドで定評が
あります。それよりも、良い意味で、線の太いサウンドが聴けました。
 さらに、マスターズのバランス増幅・真空管パワーアンプに接続してみました。この真空管アンプは
バランス信号を真空管回路で変換する回路を内蔵しています。EL34pp(3結)の18W+18Wです。
これが、また、真空管プリで鳴らしたよりも、綺麗で、かつ、朗々としたサウンドになり、勿論、サウンドの
重心は下がります。
 ¥39,800で、このようなプリアンプの出現は、ビジネス的には、売上が上がらず驚異で、
困ったものですが、ユーザーさんにとっては、朗報と言えるでしょう。尚、川西さんが心配していた
ハムノイズに関しては、トランス、基板の新配置により無事解決されております。

 実際、視聴なさりたい方は、イシノラボのHPのお問い合わせフォームから、どうぞ、ご予約下さい。
秋葉原から45分で来れます。気楽にどうぞ!  

1085東山義徳さん(一般庶民) Mon Mar 15 13:53:22 JST 2010
[γの可能性]

試聴会から一週間たちまして、頭の中が整理されてきたようなでちょっと書きます。

以前の試聴会で聞いたαの音、所有のベストバイの音の記憶から、なんとなくこんな音になる
のではないだろうかとの、自分の希望も含んだ妄想を抱いて参加しました。
その妄想は大きく覆され、少々ショッキングでありました。確かにαの音が好みではあるので
すが、私にはαとγの繋がりを見い出しきれませんでした。

音の記憶と言うものは面白いもので、あとから繋がりを見つけてくれるみたいで、自宅でこの
一週間、色々聞いているうちに、ある欲望とでも言うのか、欲求のようなものが芽生えてきて
います。
個人的に、音の立ち上がりは、電気的増幅のアンプの立ち上がりの優劣が、物理的な力に変え
るSPで、はたして反映されるほどの違いが出るものなのだろうかと思っていました。

そんな折、いつものように自宅でいつものCDを聞いていて、
音の立ち上がり等に、「こんな音だったっけ」と、頭の中に?マークが浮かびました。

かといって、音が気に入らないというわけではなく、これはこれで一つの完成形だと思うので
すが、どうも出てくる音に対する自分の反応に変化が表れてきています。

楽器に限らず普段聞こえている音の強弱は凄いもので、またそのあるデシベル付近での音の強
弱の変化スピードはとても激しいものだと思います。

自然音のCDやバイオリンのCDを聞いて、なんとなく甘さを感じたんです。もっとシャキッとし
たほうが本物っぽいぞと感じたんです。
これには自分自身驚きました。いつも聞いているCDなのに、
もうこれは、明らかにγの音を聞いてしまったからのようです。

先週は、率直なところ、聞きやすいとは言いがたい印象でしたが、この一週間で耳と脳の連携
とでも言うのか、新たな感覚回路が出来たのかもしれません。
今γの音を聞いたらかなり違う感想になると思います。

そうすると、γはCDのダイナミックレンジを生かした鳴らし方をしているだけで、それに私が
慣れていなかっただけのような気がします。

私には、γの音は、今後のオーディオに一石を投じる音のように思います。
一週間経って、γの魅力をやっと理解してきた感じです。
  

1084川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sat Mar 13 17:15:00 JST 2010
緊急レポート---WRヘッドフォンアンプをプリとして使ったら---

 皆さん、試聴会のご感想を頂きありがとうございます。久々にWR掲示板が賑わい嬉しい
限りです。不景気が続いてオーディオも沈滞ムードでしたが、WRアンプ試聴会を機に皆様
のオーディオへの血が騒ぎだしたのであれば、これに過ぎる喜びはありません。

 試聴会のご感想を見ると、超HC-MOSアンプの特長が浮き彫りになったと思います。実音
再生を目指す私に取って、その一端が大方の方にご理解頂けて少しだけ自信になりました。
もう少し瑞々しさが欲しいと言うご意見もありますが、これは価格との相談だと思います。
γアンプは安価に作ると言う命題も背負っているからです。ですからSEコンも必要最小限
しか使っていません。もし、現在のγアンプでSEコンを極限にまで増やせば、多分、その
瑞々しさも出て来る事でしょう。

 さて今回は試聴会の事はこの辺りで切り上げて、WRのヘッドフォンアンプをプリとして
使用した場合の効果について改めて試聴して見ましたのでご報告致します。日比さんへの
回答になれば幸いです。

 パワーアンプには、先日の試聴会でデモに使いましたWRP-γZERO/BALのアンバラ入力を
使いました。CDプレーヤーダイレクトで聴きますと、やはり中高域の音が細く多少神経質
な音がします。クラシックで言えば、バイオリンパートが多少引き攣れ気味に聴こえます。
しかしこのヘッドフォンアンプを噛ましますと、その辺りの音が滑らかになり、中低音に
も厚みが出てきます。

 因みにWRC-α1/FBALより中低域の厚みはより強く感じます。そのせいもあって、オール
SEコン使用のWRプリの音に比べて、音質の違いが無いと言えば嘘になりますが、そんなに
致命的な大きな差はないように感じます。

 では、何故中低域が力強く聴こえるのでしょうか。それはやはり回路構成にあると思い
ます。本来のWRプリの回路は、エミッタホロワを省略した3石構成の、非常にシンプルな
回路です。それに対してヘッドフォンアンプは仮にもパワーアンプです。カスコード回路
やカレントミラー回路で構成された重厚な2段差動を使って、終段のSEPP回路を駆動して
います。

 高域補償も上手く行っており安定に動作していますので、多分、不安定性の原因になる
負性抵抗は発生していないと思われ、出力インピーダンスもWRプリよりは下がっていると
推定されます。だから駆動力が有りその分音に力が出て来るのではないかと思います。

 偶々WR録音の試聴の為に我が家に来ていた息子にも聴いて貰いました。その前に聴いて
いたシステムは、先日試聴会場でご披露したブリッジ接続100Wモノアンプで、勿論WRプリ
が使われています。その片側のアンプだけを用い、WRプリをヘッドフォンアンプに替えて
聴いて見ました。

 勿論、パワーダウンされた普通のステレオアンプになったのですから、それだけでも音
の違いはあるのですが、ちょっと慣れると、これはこれで十分楽しめる音であり思った程、
音が貧弱になっていません。ヘッドフォンアンプの有する強力なドライブ能力が、それを
補っているようです。SEコンを全く使用していない割にはスムーズな音です。息子もほぼ
同感だと言っていました。このスムーズさが練馬のオーディオ好きさんが仰っている端正
な音に通じているのだと思います。

 そんな訳で皆さんがお認めになっている、WRプリの効果はこのヘッドフォンアンプにも
当て嵌まる事が分かりました。繰り返しになりますが、これまでのWRプリの音の傾向とは
少しだけ違い、中低域の力強さが特徴的です。

 日比さん、小音量で楽しむニアフィールドの世界が、結局、例のミニアンプで一転迫力
を求める本来のオーディオ志向になられたとか、そのお気持、分かるような気が致します。
その意味では、このヘッドフォンアンプはさらに豊かでゴージャスな音を提供してくれる
と思います。

 それと、是非、ヘッドフォンの魅力も楽しんで頂けたらと思います。WRのヘッドフォン
アンプで聴くソニーのMDR-Z600は安価でありながら、静電型並の切れ味があり且つ凄みが
感じられます。大きな音が出せなくなった深夜に、この目の覚めるような音を聴いてスト
レスを発散させて下さい。

 先日の試聴会でもし悔いが残るとすれば、それは来て頂いた方に一度はこの音を聴いて
頂きたかった事です。この音を聴けば、そしてオーディオ好きであれば、必ず、これまで
とはまた違ったオーディオの魅力にお気付きになられると思います。ヘッドフォンの概念
が、もしかしたら変わるのではないかと思います。

 最後にお断りして置きますが、このプリは本来パワーアンプとして設計したものなので
整流回路にパイ型フィルターを使う事が出来ません。その為プリとして使った場合ですが、
WRアンプのように利得の高いパワーアンプと組み合わせた時、スピーカーに耳を付ければ
分かる程度ですが、若干ハムノイズが聴こえます。少し離れれば全く分からない範囲です
が、そう言う事に過敏症の方には無理にお勧め致しません。

注) この原稿投稿後に平野氏から連絡があり、製品板はトランスと基板の取り付け位置を
工夫する事によって、殆どハムノイズ成分を無くせたそうです。どうぞご安心下さい。

 尚、ご好評のミニパワーアンプですが、平野氏と相談してもう一台のみご提供出来る事
になりました。日比さんは試聴会で感じたと同じようにパンと音が出て来るとおしゃって
いますが、基板も同等に作ってありますし、パワーのみが小さくなっただけでγアンプの
性質を当然有していると思います。ご興味ある方はお問い合わせ下さい。


---霞仙人さんへ---

 WR録音でも感じた事ですが、USBメモリーからの再生はHDDからの再生と比べて良いよう
です。やはり機械的な部分が無い事が大きな要因のようですね。ただし、USB メモリーも
低速のものでは効果が少なく、出来るだけ高速のものを使うべきだと思います。もし可能
なら、その音源を一部高速のUSB に移して聴いて見られたら面白いと思います。


---千葉さんへ---

 千葉さん久し振りのご投稿ありがとうございます。また、WRアンプをご愛顧頂きまして
本当に感謝に耐えません。コンサート、オペラ等の生演奏会に行かれてはWRアンプで検証
され、それでも装置にご不満が無ければ、それはそれで大変良い事だと思います。

 人の耳の特性や音への好みを勘案すると、必ずしも私の音造りをお奨めするのが良いと
は限らないと思いますので、ご不満が無い限り現状のシステムで十分だと思います。ただ、
私の考えを申し述べて置きますと、これまでのSEコンを多用したα系パワーアンプの音は
ある意味オーディオ的な音なのではないかと思うのです。

 一方生演奏会で聴く音はもう少しドライで剛性感のある音だと感じるのです。これまで
生の音を聴く度に、最初だけですがちょっと違和感を覚えていました。家で聴く音は少し
だけウェットに聴こえます。その差を埋めたいと思いました。

 今は、γアンプで慣れた耳で生演奏会に言っても最初から全く違和感がなくなりました。
だから、多分、γアンプの方が生の音に近いのではないかと、私は思うのですが上述した
ように、人間の聴覚は一律ではありませんし好き嫌いがあります。

 γアンプを一度は聴いて頂きたいと思いますが、多分、千葉さんはウェットな音が耳に
合っているのではないかと思われます。  

1083千葉さん(単身赴任族) Sat Mar 13 16:36:47 JST 2010
金沢の千葉です。久しぶりに投稿します。近況報告です。

試聴会に行けなくて残念でした。
仕事も忙しいのですが、登山にも勤しんでいたので週末はそちらに費やしています。
去年は37回登山しました。52週中37回ですから、出張が重なったときや悪天候
のとき以外は毎週末山に行ってたような感じです。
冬山も一人で行ってます。かなりワイルドな気分になりますね。
従って東京の本宅にはあまり帰ってなくて、家族にはヒンシュクをかってますが…
まあ、大いに単身生活を謳歌しています。

一方、この一年間コンサート三昧でもありました。オーケストラ・アンサンブル金沢の
フィル・ハーモニー・シリーズの会員となって、年10回の定期コンサートと他のシリ
ーズの招待券が4枚、それにラ・フォル・ジュルネ金沢のいくつかの講演のほか、
名古屋と東京と富山でオペラを、さらに大阪と名古屋と東京でミュージカルを、今年
の初めには金沢でレニングラード(サンクトペテルブルク)バレー団の白鳥の湖を
観て来ました。

何が言いたいかというと、我が家のWRアンプを使ったオーディオシステムは生の
音と比べても全く遜色なく、ストレスなく聴けるということです。
プリもパワーもα1MK2のバランス型です。30Wの出力ですが充分だと思って
います。
ケーブル類はラインにWRのバランスケーブル、SPにはオーナンバのキャブタイヤ
VCTFソフト2mmを使っています。エアコンのACコードにはフェライトコアを4個も
着けています。
いつも、コンサートの後は宿舎に帰って同じ曲を聴いてしまいます(笑)
そして、我ながら良い音だな~って悦に入ってます。最初はそうして音質を
気にしているんだけど、そのうちにいつの間にか聴き入ってしまいます。

そんな幸せなオーディオライフなんですが、やっぱり100Wアンプは気に
なって仕方ありません。いったいどう違うのだろうか?いま以上のHi-Fiって
あるのだろうか?と。
試聴会の皆さんのリポートを読ませていただきましたが、どうもイメージ湧か
ないんですよね。
こうしてときどき悶々としています。
今日は雨の金沢です。山には行けませんでした。 

1082霞仙人さん(雲の上) Fri Mar 12 20:32:13 JST 2010
試聴会参加できずに残念でした。

日比さんの感想から、好評の様子で何よりです。

プリ有りと無しでどう違うか・・・ですが、WRを最初に視聴したのは
サウンドハイツさんでしたが、プリを先に買った方がよいとのアドバ
イスでした。
私は、WRP-120Mとプリα1を軽井沢で、仕事場でWRP-100カスタム(プ
リなし)を使っていますが、プリがあると、音楽のつやというか幅が
出ますね。

ところで、年末に、パナソニックのブルーレイ・レコーダを購入。ま
た、昨日、ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ) [Limited Ed
ition] を購入しました。
双方とも、CDより確実に音がよさそうです。特に、USBメモリでの再生
は、これまでのオーディオに必須であった回転体がなく、回転に伴う
振動の影響がないことが魅力でもあります。
今後は、こういう方向に行くのだろうと思います。 

1081日比さん(給与所得者) Fri Mar 12 17:26:33 JST 2010
たびたび失礼します。

 先日、試聴会のごく簡単な感想を載せましたが、私はこれでもう、片手では足りない
くらいの回数WRアンプの試聴会に参加しています。それ以前にまだ茂原にあった頃の
サウンドハイツでWRP-α1Ⅱを聴き、これを購入しました。試聴会に参加するたび
に進歩している姿を実感し、そのせいで、結構散財させられた?わけですが、WRアン
プは本当に優秀だと思います。

 練馬のオーディオ好きさんが触れられている、試聴会の最後にデモのあったUHC-
MOSのミニアンプ、実は私が衝動買いしてしまいました。我が家のセカンドシステム
にちょうどいいという目論見があったからなのですが、最初は今回の目玉のヘッドフォ
ンアンプにスピーカーを繋いで鳴らそうかとも考えていました。

 ヘッドフォンアンプの音も悪くはなかったと思いますが、いかんせんあの広い会場で
4wのパワーです。たぶん6畳くらいだったらそれでも結構鳴るだろうと考えてはいま
した。ところが最後にミニアンプの音を聴かされたら、あー、これだ!ってなもので戴
くことにしたわけです。

 まあ、しかし実際に自分の部屋で聴いてみるまでは本当のところは分からない。で、
鳴らしてみました。素晴らしいです。かなり剛性感のある鳴り方で、パワーも充分。W
Rに共通の透明感、こないだ我ながらうまいことを言ったなと思いましたが、何もない
ところからパン!と音がはじけて出てくるような感じ、あるいは電気を使っているとは
思えないといった印象はそのままです。スピーカーより少し奥まったところに音場が広
がり、定位も明確、聴き始めから30分くらい経ったあたりまで少しずつ調子が上がる
感じはあります。

 しかし、欲というのは恐ろしいもので、だいぶ以前この掲示板で話題になった、プリ
有りと無しでどう違うかというところに思い当たりました。僕自身の体験としては、ま
あこれは近々ディスコンになるというα1の頃の話ですが、圧倒的にプリ有りの方が彫
りの深い音になるということなわけです。これはたしか、渋谷のマスタリングスタジオ
の試聴会で聴いた時のことだったと思います。

 それでプリを導入し、その後の高速化、αZEROへの改造、フルバランス化、と突
き進んだわけでした。さらにバッテリー駆動のヘッドアンプも導入と、これが散財の中
身ですけれど、それで今度はヘッドフォンアンプをプリとして使い、ミニアンプで駆動
したらどうだろうなんて考えが頭をもたげてきたという事なのです。聴き始めてまだ二
日、いい音だと悦に入っているところなのにですよ。まあ、しょうがないものですよね。

 あの時の川西先生の解説だと、プリがバッファの役割をしてより高周波ノイズに対し
強くなるということだったと記憶しています。

 今回の僕のシステムは件のミニアンプにSPはプロアックのタブレット50、CDP
はCDウォークマンD-EJ985です。どうでしょう、ヘッドフォンアンプをプリと
して使った場合、やはり同様の効果がありそうですか。

 ニアフィールド・小音量で楽しもう、という当初の目論見とは方向が違い、かなりパ
ワーを入れて6畳なりではありますが、それなりのスケール感を出そうという方向にな
ってしまいました。

 ともかくも、良いものをありがとうございました。 

1080練馬のオーディオ好きさん(サラリーマン) Thu Mar 11 01:50:57 JST 2010
久しぶりにWRアンプ試聴会に参加しました。

まず、超HC型の100Wアンプですが、以前きいたWRアンプの音と比べると大変に鳴りっぷりが
良くなっていたように思います。
豊かに音があふれるように鳴ると、とてもゴージャスな気分になります。
そして、圧倒的なダイナミックレンジ感にも驚かされました。
チゴイネルワイゼンの独奏が、本物以上の迫力で迫ってきました。
あの、一見おとなしい鳴り方をする、B&W805がゴリゴリの音で迫ってきて、WRアンプに
完全に支配されドライブされているといった印象です。
そして、無音の状態から突然物凄いダイナミックにバイオリンの音が出てくるのは、すごいと思いました。
楽器の存在感を感じました。

ただ、私の好みをいえば、もう少し、高域に瑞々しさを伴う空気感というか音場感が漂う感じがあると、
いいかなとも思いました。
高能率のアルテックのスピーカではどんななり方をするだろうかとも思います。

今回の試聴会でヘッドフォンアンプが出るとのことでしたので、愛用のベイヤーダイナミックのDT931を
持って実際に聞かせていただきました。
端正な音色という印象です。確かに聴きやすそうで気に入りました。

試聴会の最後にチラッと鳴らした超HC一MOSのミニアンプが、小粋で結構いい音で鳴っていたですね。
数が作れなくて残念です。

ヘッドフォンアンプを購入して、じっくりと聞いてみようと思います。
よろしくお願いします。  

1079日比さん(給与所得者) Wed Mar 10 20:12:28 JST 2010
試聴会の感想

 試聴会の感想ですが、迫力という点では、既に去年の軽井沢
ですごいところを聴いていますから、今回改めて、という感じ
はないのですが、興味は、100Wステレオアンプと、ブリッ
ジの100Wとでどうかというところでした。会場でどなたか
がおっしゃっていましたが、最初の100Wステレオアンプの
方が良かったというのは僕も同感です。ほんのわずかの印象の
違いという程度ですが、音の切れ味が優っていた気がします。
しかし、これとて、その後の川西先生の発言に影響されている
という、心理的なものがないとは言えないという程度でしょう
か。

 いずれも、若干ドライな印象のある音だ、とは感じました。
何もないところから、パン、と音が出てくる感じといいましょ
うか、電気を使っている感じがしないといいますか、あまり美
化してもいけませんが、そのような印象を僕は持っています。
実音に近い、という説明も十分頷けます。
 100Wのモノアンプ2台というのがあればそんなのも聴い
てみたいと思いますが。

 ただ、自分の部屋で、ということになれば、プリのボリュー
ムで言えば11時程度が限界ですので、どれだけ違いが出るか
を考えると、今の50Wで十分じゃないだろうかと考えていま
す。一気に霞仙人さんのと同じフラッグシップを、というのは、
去年チラと頭をよぎりましたが、諸条件を考え合わせると現実
的なものではありません。

 霞仙人さんのところのC4では50Wアンプで鳴らしきれな
かったということでしたが、絶対的な音量を除くと、あとはど
んな要素になるのでしょうか。おおよそ見当は付きますが、ち
ょっと引っかかっていまして。  

1078平野 紘一さん(マスターズ/イシノラボ代表) Tue Mar 9 17:36:29 JST 2010
2年ぶりに東京都でのWRアンプ試聴会開催される

 3/7(日)、一日中、雨降りのなか、おいで下さりありがとうございます。
今回は、奥様同伴、ボーヤも一緒というようなファミリーライクな雰囲気でスタート出来
ました。

 かねてからの懸案事項である、EMeトランジスタの後継デバイスとしてのHC-MOS
搭載アンプが東京で再ビューとなりました。昨年、4月には軽井沢でディナ・オーディオの
大型SPでのデモをおこないましたが、正直言って、それよりも、120Wモノブロック、
特殊防振構造の凄いWRパワーアンプの影に隠れて、むしろ、引き立て役になってしまった
感がありました。それから1年弱、HC-MOSのγアンプサウンドは格段に成長・改善
されたと思います。

 それは、課題曲の中で、ダイアン・クラールのフィメールボーカルの息使いのリアルさ、
カウント・ベイシーのビッグバンドの切れ味の見事さに“ウーン、凄いな!”と感じ入り
ました。川西さんは、生演奏との比較が重要だと言います。

 私も、クラシック音楽については、演奏会でのサウンド体験は重要だな、と思います。
クラシック以外の音源になると、生音はまずないのです。皆さんがカラオケでマイクなしで
歌っても、それは、大した感激になりません。

 音楽を楽しむ非日常的な心地よい、ショッキングなサウンドに度胆を抜かれる、そう言う
サウンドに感激する、それには皆様の育った環境、DNA、青春時代の刷り込み、生理的快感
など、沢山のファクターがあり、その中で、サウンドを聴かされて、皆様にとって美味しく、
何度も味わいたい、身近に味わいたい、というようなところに、多くのオーディオ趣味はある
ように思います。

 ジャズバンドにしても、ジャズトリオにしても、クラシックのように音自体ではバランスは
とれていないです。ライブにしても、必ずSR(PA)を通してのサウンドです。ジャズ・
ボーカルをマイクなし、エコーなしで唄っても、とても感動は得られないでしょう。

 そうなると、ある程度のサウンドの味わい基準は、わたしは、自分の経験から、スタジオで
出来上がったサウンドを一応の基準と考えています。これまでのメーカー在籍時に、会社が
スタジオへの深夜入りびたりとか、海外レコード会社、FM局、レコーディングスタジオに
自由に行かせてくれた経験のおかげです。

 オーディオ全盛時のアメリカ西海岸スタジオサウンドは今でも耳にこびりついています。
その基準サウンドは、いわゆる、プレーバック・サウンドとか、マスタリング後のサウンド、
“これで、リリースしても良いですね!”の承認を得るようなサウンドとも言い換えられる
でしょう。(ソフトサイドの腕が良いということを前提に!)

 昨日のフィメールボーカルやジャズサウンドはまさに、スタジオサウンドを彷彿させるような
サウンドで、久し振りにサウンド的快感に浸ることが出来ました。サウンドが爆発して消え去る、
この切れ味がたまりません。WRアンプはとかくクラシック向きといわれているような定評を
くつがえすような衝撃でした。
 
 さて、そのような、快感に浸っても、現実社会は厳しく、すぐにγアンプを購入してみたい
という方は多くはないと思います。WRアンプはこの1月にラスベガスでのCESデビューして、
そのサウンド評価はエクセレントでした。それを喜んでも、オーディオ・ビジネスとなると、
アメリカ経済は疲弊し、ドル安で、どうにもならない状況です。

 わたしの考えは、このような凄いサウンドを何とか、皆様の手が届く範囲の価格帯で買える
ようににしたいと、今熟慮中です。メーカー時代での体験を活かし、重要ポイントには絶対手を
触れずにコストダウンを実現し、しかも、ルックスもけっこういける物、と、川西さんと先ほど
話し合ったところです。そう遠くない時期にご紹介いたしますので、ご期待下さい。

 なお、千葉市内の幕張メッセ近くのイシノラボ/マスターズ工房では、狭く、定員原則1名
ですが、好きなソフトでもご持参で、γアンプ始め、いろいろなサウンドが聴けます。真空管
アンプもあり、比較ヒアリング出来る環境です。ご予約いただけば、お好みのアンプをご用意
致します。原則、無休ですので、ご遠慮なく。(イシノラボHPから、ご予約出来ます。)

 なお、WRアンプ試聴会を千葉市内で開催という考えもありますが、皆様、来てくれますか?
千葉生まれ、千葉育ちの私には、千葉という土地柄はスポーツ優位で、インドア趣味はどうかな?
という気後れがあります。皆様のお考えをメールして下さい。masters@agate.dti.ne.jp  です。

 2トラ/38サウンドは、本来のグレードには及びませんでした。TEACには申し訳ない
ですが、STUDERなどのプロ機器には走行系の性能に格段の差異があります。
 3年前までオタリの78/38/19/4.75というプロ用デッキがありましたが、
場所を食い、売ってしまい、昨年、また、欲しくなっての今回、中古のデッキです。せめて、
ダブルキャプスタン方式だったのが救いです。この方式ですと、バックテンション・サーボ風
になります。
 こちらには76テープ音源があり、先日、サウンドハイツで再生したときは、涙が出ました。
これは、STUDERの中でも小型なので、何とかなりますが、あとは資金です。

 それでは、皆様の毎日のハッピーを願っております!!!  

1077川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Mon Mar 8 18:00:00 JST 2010
第16回WRアンプ試聴会が無事に終わりました。

 来て頂いた方のご芳名を記録する「Guest Book」を見ると第1回は1999年10月になって
います。その間、臨時に行われたものはこれに載せていませんので、実質的には20回近い
試聴会が過去に行われた事になります。何でも10年我慢すれば先が見えて来ると言います
が、此処まで来られたのもWRアンプの試聴会の為に、わざわざ遠方から駆けつけてくれる
方が居られたからだと、本当に参加された方に感謝したい気持で一杯です。

 さて昨日も、小田原、前橋、我孫子、市原など、八王子からはかなり距離のある所から、
不景気で天候が悪かったにも拘わらず、総勢13名の方にお集まり頂き本当に有り難いこと
だと思っております。何時もご出席頂く常連の方に加えて適当に新規の方にも来て頂いた
ので、何とか試聴会の体裁を保つ事ができました。

 オーディオ全盛時代ならお客さん集めはそんなに苦ではなかったと思いますが、衰退期
に入ってるオーディオ界は私に限らず皆さん大変だと思います。私には唯一この能力しか
ありませんので、これからも命ある限り一層頑張りますのでどうかWRアンプを見捨てずに
よろしくお願い申し上げます。

 さて、試聴会は概略次のようなスケジュールで進行させて頂きました。

1)i-Podをソースにしたヘッドフォンアンプ(WRP-α9/A)のスピーカーによる試聴

2)CDプレーヤーをソースとしたヘッドフォンアンプのスピーカーによる試聴

3)超HC-MOS素子使用の100Wステレオアンプ(WRP-γ100/BAL) のデモ

  a)ベルディ:「マクベス前奏曲」(UCCP-7085)

  b)ダイアナ・クラール「Boulevard of Broken Dreams」(MVCI-4)

  c)リーラ・ジョセフォウィッツ「ツィゴイネルワイゼン」(UCCP-7026)

  d)カウント・ベーシー「HOW SWEET IT IS」(VICJ-23539)

  e)2トラ38ソースからジャズ1曲

4)15分の休憩

5)超HC-MOS素子使用の35Wステレオアンプのデモ

  デモ内容は上記に準じました。

6)上記35Wステレオアンプのブリッジ接続による100Wモノアンプ2台によるデモ

  デモ内容は上記に準じましたが、2トラ38ソースをより多くご紹介し、その後に
  LPによる再生も行いました。

7)リクエストタイム

  お持ちのCDやLPのリクエストにお応え致しました。また、ご希望の方にはご持参の
  ヘッドフォンでお聴き頂きました。

 1)はカワニシヒロブミが担当致しました。i-Pod での圧縮率は下から2番目だった
そうですが、それが逆に聴き易くしていた感もありました。オーケストラの大きな音は
余り向いていないようですが、楽器が少なく平均レベルの高い曲は効果的に聴こえたと
思います。

 もっともミニパワーアンプ(ミュージックパワーで4W)にしては会場は広過ぎますし
試聴する人数も多く、特にスピーカーから遠い方には無理があったと思います。その点
はどうぞ差っ引いてお考え頂ければ幸いです。

 2)は私が担当しました。昔(1998年)私と息子の持っているCDの中から作ったデモ用
CD-Rを使って、なるべく多くの曲を短い時間聴いて頂いて、このアンプの傾向を知って
頂くように努めました。それにしても12年前に作ったCD-Rが無事再生出来た事に私自身
が感心してしました。基本的にはi-Pod による再生と変わりませんでしたが、少しだけ
やはり情報量が豊富でした。

 3)引き続き私が担当して、管弦楽-ジャズボーカル-バイオリンソロ-フルバンド
ジャズと言う風に進行させて頂きました。管弦楽はホールに於けるオーケストラの渾然
一体となった迫力を聴いて貰いました。サントリーホール中央上席で聴く音に近いです。
ボーカルは、ジャズではお馴染みの色気のある女性ボーカルとし、同時に再生の難しい
ジャズピアノも聴いて頂けたかと思います。

 バイオリンソロは少し長いですが、皆さん大体ご存知の「ツィゴイネル・ワイゼン」
を選びました。女流バイオリニストですが非常にテクニックがあり、多少オンマイクで
録られたバイオリンの音がリアルだったと思います。と言ってもバイオリンを目の前で
聴くチャンスは滅多にないでしょうから、余りに剥き出しの音に戸惑った方も居られた
のではないかと思います。

 フルバンドジャズ(ビックバンドジャズ)はオーディオ的には究極のジャズだと私は
思います。私が学生の頃ダンスパーティーが流行っていましたが、必ず生バンドが2組
入っていました。ハワイヤンとジャズコンボとか、ハワイヤンとビックバンドとか色々
な組み合わせがありましたが、30分でワルツを演奏しながら途切れ無く交代すると言う
ルールがありました。

 大体パーティー券は250~350円位でしたが、今考えて見れば昼飯代程度で生の音楽が
聴けたのですから、寧ろ安かった気がします。遊びながら生の音が自然に耳に馴染んで
一石二鳥だったと思います。特にビックバンドでは「小野満とスウィングビバーズ」が
印象に残っています。会場にも依りますが、ダンスフロアーと同一の場でビックバンド
が演奏してると、わざわざ指揮してる小野満の目の前まで行ってジルバを踊って同時に
その音の洪水をも楽しんでいました。非常に強烈で凄まじい音です。

 その時の快感が今だに忘れられず、昨日聴いて頂いたようなカウント・ベーシーの音
を我が家で再生したくなるのです。やはり私はずっと昔から生音楽に基準を置いて考え
て来たようです。欧米はそれが当たり前ですが、日本の場合は多分それは例外的である
と思います。生活環境が違うので仕方ありませんが、日本でも積極的にライブに行けば
段々耳もそのようにチューニングされて来るに違いありません。皆さんも是非生音楽を
聴きに行って下さい。私はオケは日フィルで、室内楽はKoike Strings さんの録音の時
に、比較的至近距離の音を聴いています。
 
 休憩時間中に前の方で聴いていた方から、以前のα系とは違った迫力を特にジャズで
聴かせて頂いた、昔のマッキントッシュのような音でぐいぐいと来る迫力に圧倒された、
これなら米国でも人気が出るのでは、と言うようなお褒めの言葉を頂いて私の生の音を
基準にしたアンプ開発は間違っていなかったと、内心嬉しくなりました。

 CDによる4曲が終わったところで早めにお帰りになる方の為に、折角の2トラ38の
音を聴かずにお帰りになるのは勿体無いと思いまして、急遽平野紘一氏に登場して貰い
ました。1曲でも究極のアナログ音を聴いて頂きたかったのです。やはりまだノイズの
少なかった頃のアナログ録音は素直に録れています。そう言う良さが多分会場に居た人
全員にお分かり頂けたと思います。

 しかし、あれは本当の姿ではないでしょう。アナログテープは経年変化がありますし
録音したヘッドと再生したヘッドのアジマス調整が上手く行っていない可能性もあると
思います。多分本来ならもっと高域はすっと伸びていたに違いありません。それを差し
引いても未だお釣りが来るくらい、アナログ録音の素晴らしさは有ったと思います。

 休憩を挟んで、5)も引き続き私が担当しました。35W ステレオアンプを同じような
ソースで聴いて頂きました。休憩前にマスターボリュームツマミを弄ったので私が再生
レベルを一つ間違えて設定してしまい、最初少し音量が小さかった事を深くお詫び致し
ます。音量が変わると音の印象がまるで変わってしまう事がありますので、正確な比較
は出来ません。最後のカウント・ベーシーの時から同一レベルに戻しました。35W 単体
アンプは端正でスッキリした音がするのですが、こう言う時はやはり厚みや迫力の点で
一歩及ばないようです。

 6)も私がメインに行いました。最初の100Wステレオアンプとパワー的には同じなの
ですが、微妙に音は違います。ブリッジ接続は使っているアンプのパワーが足りない時
に約3倍パワーを増強でき、その上アンプをモノ化できるメリットがありますが、反面
パワー素子に対する負荷は倍厳しくなります。又、バランス信号の合成が、WRアンプの
場合ですが、パワーアンプの前で行うかスピーカーの所で行うかの違いがあります。

 100Wステレオアンプの方が若干スッキリしていたように思います。それは規格が低い
素子を使っていても100Wステレオアンプの最終段はパラレル接続されていますし、負荷
が単純に8Ωだった事が有利に働いたのだと思います。一方のブリッジ接続は大電流が
流せる素子を例え使っていても、シングル接続であった事と実効的に4Ω負荷になった
事が多少不利に働いたのではないかと思います。ブリッジにする場合はやはりパラレル
接続にすべきなのかも知れません。しかしブリッジ接続はある種の安定感があるように
思います。

 後半は平野氏に任せて2トラ38のソースを少しでも多く聴いて頂きました。合間に
リクエストタイムとしてお持ちになったCDやLPの再生を行いました。カートリッジには
デノン103 と高価なオルトフォンを使いました。最新の優秀録音もあれば昔の好録音も
あり、それこそ千差万別でした。テストレコードですから必ずしも音の良いソースとは
限りません。何処か再生の難しいポイントに注目されていると思われるソースが幾つか
ありました。此処でわざわざレコードプレーヤーをお貸し頂いた中村賢治氏に厚く御礼
申し上げます。

 試聴会は大体時間が押してしまい十分なリクエストタイムが取れずに、ヘッドフォン
でゆっくり聴いて頂く時間が殆ど有りませんでした。ヘッドフォンの素晴らしさを認識
して頂こうと思っていたのですが、ちょっと残念でした。又の機会に聴いて頂けたらと
思っています。  

1076川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Fri Mar 5 18:37:00 JST 2010
試聴会(3月7日)が目前に迫りました。

 今回の試聴会の目玉の一つヘッドフォンアンプについては、既に色々とご報告して来ました。
もう一つの目玉はポストEMe としての超HC-MOS素子を使用したパワーアンプです。HC-MOSとは
High Current MOS-FETの略で、超はUltra です。デノンの高級プリメインでは日立製 UHC-MOS
使用と謳われています。多分、超HC-MOSを成功裏にオーディオアンプに応用したのはデノンが
最初だと思います。

 オーディオに使える気の利いたコンプリバイポーラトランジスタが殆ど製造中止になる中で
それは当然の帰結だと思います。遅まきながらウエストリバーでも独自にオーディオに使える
超HC-MOS素子を探求し、実用的に使えるパワーアンプを発表しました。それがWRP-γZERO/BAL
です。35W-35W (8Ω)のステレオパワーアンプですが、ブリッジ接続にすれば100W出すことが
可能です。

 折りしも世の中が不景気になり始めた時期と重なり、叉EMe にも余裕があったので、正直の
ところ余り表に出て来ませんでした。価格的には安定化電源付きパワーアンプとしては22万円
台と、思い切って安く設定もしました。安定化電源が付きますと1.5 倍のコストアップになり
ます。SEコンが限定的にしか使われていないことを除けば、BGコンやその相当品、ERO コンや
その相当品、ニッコーム等の部品もしっかり使われていますので、寧ろ割安に設定されている
と思います。

 しかし、今一つ人気が出ないのは、やはりデジタルアンプに使われる素子と言うイメージが
強いからではないでしょうか。オーディオアンプは計測器ではありませんので、スペックより
心理的な問題が成否に大きく影響するのでしょう。しかしどんなに優れているものでも最初は
皆ゼロからスタートするものです。誰かが何処かでそれを開花させる努力をしているはずです。

 どうもデノンのプリメインでの成功は、オーディオユーザーに決定的な正のイメージを未だ
植え付けていないようです。改めて自ら積極的にそれを切り開く努力をすべきだと思いました。
そこで開発した儘になっていたWRP-γZERO/BALをこの機会に徹底的にチューニングして、自他
共に納得できる音に仕上げる事にしました。

 前回も書きましたが超HC-MOSはその高速性と大電流特性から、バイポーラより有利な特質を
有していますので、使い方を誤らなければ必ずいい音で鳴るはずです。先ず大前提はSEPP段の
ソースホロワを安定に動作させる事です。基本的に超HC-MOSはGmが高いので、バイポーラより
細かな神経を使う必要があります。具体的に言えば、パワー素子周りの配線を十分高周波的に
配慮しなければなりません。パスコンは至近距離でアースに落とす必要があります。

 今回、パワー素子を留めているビスナットやアース端子のビスナットを締め付け直しました。
ご承知のようにドレインは放熱を兼ねたフィンと足の両方に出ていますので、それらを極太線
でなるべく短絡するようにし、パスコンのリード線も極力短くしました。これで超HC-MOS素子
は本領発揮できるようになります。

 あとはどんなアンプにも施すお化粧の問題です。それは整流回路やアンプ基板に入れている
パスコンです。BGコン、ERO コン(又は相当品)等で行うのですがお化粧と言う意味では後者の
フィルムコンの方に大きく影響されます。今回、気が付いた事はEMe アンプと同じ容量値では
少し中高域が目立ち過ぎると言う事でした。

 ともすると超HC-MOS素子はちょっとドライな感じに仕上がる事が多いのですが、どうもこの
点を見落としていたように思います。EMe と同じようにやるとどうもお化粧が行き過ぎるよう
です。試聴会を機に行った今回のチューニングで初めてこの事に気が付きました。具体的には
容量値を少し小さくする必要があります。WRアンプの場合は整流直後の2箇所のフィルムコン
が重要なポイントになるようです。

 それが適当がどうかの判断は幾つかのCDソースの問題点がどのように聴こえるようになるか、
又同時に超HC-MOS素子を使った100WステレオアンプWRP-γ100/BALを並行的にチュ-ニングして
2台を聴く比べながら、総合的にその良し悪しを判断して行く方法で行いました。私はドライ
な音が必ずしも悪い音とは思っていません。それは実演の生音は基本的にドライな感じだから
です。オーケストラの厚みはその剛体感から得られます。要はその質と程度の問題でしょう。

 斯くして、2種の超HC-MOS素子を使用したWRパワーアンプは、殆ど同様の音のするアンプに
仕上がりました。音に違いがあるとすれば100Wをステレオアンプで達成するか、ブリッジ接続
で達成するかの問題だと思います。今度はどちらとも全くと言って良い程中高域に異質な感じ
はありません。落ち着いた中にも、出るべき時はバシッと出ると言った感じの音です。確かに
SEコンをふんだんに使ったα系の音とは違いますが、私は生の音の再現には寧ろこちらの方が
向いているのではないかとさえ思います。それは音の立ち上がりがスムーズな事と音の強弱の
振る舞いが自然な事です。超HC-MOSの特質が生きています。

 α系の音と同じだと言うつもりはありません。しかし世の中から確実に無くなるEMe ばかり
に固執していても仕方ありません。やはり前を向いて、その時代に見合ったアンプを開発して
行くのがアンプ屋の使命だと思っています。このアンプは比較的安く不景気の時代にも向いて
いるでしょう。

 私は真剣勝負です。審判は皆さんにお任せします。是非試聴会にお越しになって公正な審判
に加わって下さい。当日、会場でWRP-γ100/BAL の暫定的な価格や、WRP-γZERO/BALの値引き
情報もお伝えするつもりです。  

1075川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Tue Mar 2 15:02:00 JST 2010
試聴会を目前にB&W805MATRIXがヘタってしまいました。

 先日、WR録音のショパンのピアノ協奏曲を息子と試聴していた時のことですが、息子が右側の
スピーカーがビリついていると言ったのです。私は左側に座っていたので、殆ど分からなかった
のですが右側に座っていた息子にはよく分かったそうです。

 そう言われた時、思い当たる節がありました。実は数年前に一度片側だけが完全にビリついて
スピーカーが壊れたと思う程のことがありました。手でコーン紙を押すとボイスコイルが磁極に
擦ってるような音がしましたので、一時はもう駄目かと思ったのです。

 しかし、何回か指で押したりしていたら、ゴソゴソと言う音が不思議にもしなくなったのです。
当然ながら出てくる音も、一見問題のない音に戻ったのです。強烈な低音などが入って一時的に
ボイスコイルの筒が変形したのかも知れません。それが元の形に復元した可能性があります。

 その時、このスピーカーは貴重な存在なので、上物がある間に中古品を買って置きたいと急遽
秋葉原の中古オーディオ店に買いに行ったのです。しかし酷いビリつきはしなくなってしまった
し、新しい方はエージングが進んでいないので、音が何となく堅く、結局元のスピーカーで聴き
続けて来ました。今回ビリついたのは、その前科のある方でした。

 そんな事があったので、いよいよ駄目になったかと思ったのですが、その前に自分のアンプを
疑うべきだと思ったのです。ピアノのビリつきの原因にはいろいろあります。昔はLPでしたから
カートリッジのトラッカビリティの問題が先ずはあったのですが、今回はCDですからそれは有り
得ません。次に疑うべきは、実はアンプなのです。

 ピアノのトレモロのように、近隣の鍵盤を素早く弾くと2音または3音のビートのような音が
生じて来ます。この一種のビート音がアンプの不安定性を励起し、アンプからはピアノの音とは
全く無縁な異常音が生成されて耳を不快に刺激することがあるのです。これが耳にはビリつきの
ように聴こえるのですが、当然ながら、この音はピアノの本来の音とは無関係であり、音楽の場
から食み出して、多くの場合耳の鼓膜の辺りにまで入り込んで来ます。

 従って冷静に聴き分ければ分かるはずです。アンプのせいかどうかを確認するために、先ずは
左側の音を聴いて貰いましたが、全く無い訳ではないがかなり程度は軽いとの事でした。そこで
スピーカーを新しい方に交換して、もう一度右側の音を聴いて貰いました。かなり良くなったが、
左側よりは目立つとの事でした。

 やはり原因はスピーカーとアンプの両方に有ったようです。右側の音はそれが二重に重なって
酷いビリつきに聴こえたようです。異常音の素は録音にも入っているようで、それに耐えられる
アンプとアンプの不安定性が励起されて、それを増強してしまうアンプがあるようです。もっと
言えば現場の実音にもその芽はあると言えます。

 そこで他のアンプは大丈夫かといろいろ交換して聴いて貰いましたが、明らかにアンプが原因
だと思われるものは、最初に聴いていたアンプの右チャンネルだけだと言う事になりました。

 ちょっとホッとしました。回路や構造の基本的な問題ではなく、アンプ個体の問題だったから
です。基板は同じように作っているので、考えられるのは放熱器に取り付けられているパワーTR
部分の問題だと思われました。特に、超HC-MOS素子はGmが高くソースホロワが不安定になり易い
傾向にあります。

 怪しいと思われた右チャンネルのパワーTR部分を調べたところ、どうもドレインの穴にビスで
友締めしたラグ端子が緩んでいたようです。その為、ラグ端子からアースに落としたパスコンの
効きが悪くなり、ソースホロワが不安定になっていたのでしょう。

 ビスを硬く締め念の為にパワーTRの3本の足の真ん中、即ちドレインからラグ端子に太い銅線
で短絡して置きました。こうして置けば仮にドレインのフィンとラグ端子の接触が悪くなっても
大丈夫です。このように、オーディオアンプにも高周波的な気遣いが必要になります。

 斯くして、最近少し冴えないと思っていたアンプが蘇り、又スピーカーも新しい方に交換しま
したので、俄然切れの良いスカッとした音になりました。最初はスピーカーのエージングの問題
が気になっていたのですが、30分も聴いている内に耳も慣れて来ました。他人様の車を運転する
と最初は何んか勝手が違いますが、直に慣れて来るのと似ています。感覚と言うのはそんなもの
なのでしょう。

 それにしても私の耳は確実に鈍感になって来ています。息子の耳が無ければ今回の事に気付か
ずに居たでしょう。耳に刺激の強いある種の音に対しては非常に敏感になっている反面、細かい
キズなどには鈍感になって、聴き分けられなくなって来ています。息子のお陰で、試聴会で恥を
かかずに済みました。

 試聴会の前半は、WR初のヘッドフォンアンプの、ミニパワーアンプとしてのデモを息子が担当
して、i-Pod のソースを聴いて頂く予定です。i-Phone ではなくi-Pod と書いたのは、電話機能
のない方がどうも音が良いからです。余計なデジタル回路が無いからなのかも知れません。その
微妙な音の違いまでも、今度のヘッドフォンアンプは炙り出してしまいます。

 ここで休憩を挟んで、後半の超HC-MOSアンプのデモに移る予定です。私が超HC-MOSに拘るのは
ポストEMe はこれ以外にないと思うからです。皆さんの側から見ればデジタルアンプに使う素子
なんかいい音がする訳がないとお思いかも知れませんが、私はそんな単純な話ではないと思って
います。それは少し偏見ではないでしょうか。

 ユーザー側から見ると真空管であれば2A3、300Bや6CA7 を使っているアンプなら買っても良い
と思われるでしょう。トランジスタであれば日立のオーディオMOS-FET やEMe を使っているなら
と思われるかも知れません。そのお気持は分かりますが、それ以外の素子でもそれらに勝るとも
劣らない素子は探せばあるのです。

 確かに部品や素子には固有の音があるような気がしますが、超HC-MOS素子の素の性質は決して
悪くないと思います。デジタル臭のするような堅い音では決してなく、化粧をする前の音は寧ろ
物足りない程の優しい音です。Gmの余り高くない素子を安定的に使いこなせば、全く問題がない
ばかりか、立ち上がりの良さとダイナミックレンジに富んだ音が楽しめます。

 立ち上がりが良いのは、持って生まれた性質である高速性にありますし、ダイナミックレンジ
に富んでいるのはその大電流特性にあると思います。即ち、超HC-MOS素子の優位性は、真空管の
直線性の良さと同じように、客観的なデータにあります。これがリアルサウンドの再生に非常に
有利に働くと私は思っています。

 だからと言って俄かに信じて貰えないのがオーディオの世界ですが、そのためにも実際の音を
是非聴きに来て頂きたいのです。当日は優秀録音のCDによるデモを私が担当します。クラシック
とジャズを2種類ずつ用意したいと思っています。この後平野紘一氏が2トラ38とWRユーザー
提供のマイクロ精機のレコードプレーヤーを用いて、貴重なアナログソースをご披露する手筈に
なっています。ご期待下さい。

 最後は何時ものようにリクエストタイムになりますが、今回は特にヘッドフォンアンプを本来
の用途であるヘッドフォンで聴いて頂く時間を取りたいと思います。ご自慢のマイヘッドフォン
をお持ちになって下さい。不景気で沈滞しているこの暗いムードを、いい音を聴いて吹っ飛ばし
ませんか? 少しの投資で再びドキドキするオーディオの興奮を味わって見ませんか? 静電型
と比べても決して見劣りしないと思いますし、いろいろとバリエーションが楽しめるメリットが
あります。

 WRのヘッドフォンアンプの音は、真空管ユーザーの方にも受け入れられる音だと思いますので、
真空管派の方も是非お越しになって見て下さい。WRアンプは決して敷居が高いと言うことはあり
ませんので、お誘いの上気楽にご来場下さい。多数の方のご参加を、スタッフ一同心よりお待ち
申し上げております。


注)ヘッドフォンアンプWRP-α9/Aの仕様はホームページに掲載してあります。   

1074川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Wed Feb 24 17:05:00 JST 2010
WRアンプのコンセプトについて

 WRアンプ試聴会が間もなく開催されますが、これを機に今一度WRアンプのコンセプトについて
触れて置きたいと思います。アンプ自体は電子回路学の問題ですが、それをどのように使いどの
ように評価するかは、オーディオと言う趣味の価値観に依存します。

 私は40年も長きに亘って大学に席を置いて来た人間ですから、アンプを電子回路学的に出来る
だけ正しく作りたいと願っています。それはオーディオと言う趣味で評価される以前の問題だと
認識しています。

 しかしアンプを完全に理想的に作り上げる事は不可能です。必ず何処かで妥協しなければなり
ません。例えば高調波ひずみはゼロが良いに決まっていますが、完全に無くす事は出来ませんし、
出力は無限大が良いに決まっていますが、これも不可能です。

 このように理想的に行かない問題を、適当なところで折り合いを付けて行く必要があるのです。
そのアプローチの仕方は、オーディオと言う趣味に対する考え方によって大きく変わって来ます。
私は「オーディオは演奏会の家庭での再現、それも普通のやり方で」を最も意識しています。

 「普通のやり方」とは家から作り直し巨大ホーンを導入する等の特殊な方法を取らないと言う
意味です。又、経済的にも普通のサラリーマンが何とか買える範囲を想定しています。

 演奏会は、私の場合はオーケストラを意味します。サントリーホールのような優秀なホールの
上席で聴いた時の音の感覚を、自分の部屋で再現したいと思う訳です。勿論、ジャズでも良くて
ビッグバンドを真ん前で聴いた時の音の坩堝を自分の部屋で体現したいと思うのです。

 これは言って見ればリアルサウンドを目指すオーディオと言っても良いと思います。この考え
方はオーディオの原点だと思いますが、今では住環境問題、経済的問題、音楽的背景等の諸事情
から少数派になっています。しかし私は初志貫徹し、それらの諸問題を乗り越えられるアンプを
提供したいと長い間研究を続けて来ました。

 そのキーポイントが、これまで帰還アンプで全く考慮されて来なかった入出力インピーダンス
の実部に現れる負性抵抗を無くす事だったのです。負性抵抗は不安定要素です。これを積極的に
利用したものが発振器です。負性抵抗は強制外力なしに永久に振動するメカニズムを構成できる
のです。

 これがアンプ内にありますとアンプの系が不安定になり、具体的には、動作点がピタッと固定
されずに、音楽信号等に誘発されてフラフラと動いてしまうのです。正弦波のような規則正しい
信号なら良いのですが、過渡的に上下非対称を繰り返す音楽信号では、残念ながら動作点は必ず
不安定に動きます。

 その結果、高帰還アンプに有り勝ちな、音が硬い、引き攣れる、濁る、詰まる、延いては音が
スピーカーに貼り付く等のオーディオでは嫌われる現象を引き起こすのです。もっと言えば余計
な振動が付加され自然界にはない異常な音が作り出されます。ピアノのトレモロ部分やホルンの
充満するような音の時に、耳の鼓膜辺りがこそばゆく感じることがありますが、これらの主たる
原因は負性抵抗にあると私は確信しています。

 そこで負性抵抗を除去する回路を考案し、2件の特許を取得したのです。その回路を搭載した
WRアンプ第1号機は1998年秋に誕生しました。しかしオーディオの問題は複雑です。負性抵抗を
除去しただけでは、私の理想とする音は得られませんでした。

 次に大切なのが使用する部品です。一般には部品は音の色付け等、音調を整える為に使われる
ようですが私の場合は少し違います。ポイントは私が理想とする音に反するかどうかで採用する
かどうかを決めます。つまり部品を減点法で考えます。残念ながら殆どの部品はネガティブです。
音を崩さない部品は少ないと思います。

 そんな厳しい見極めの中で採用されたのがSEコン、ERO コン、BGコン、進抵抗、EMe 型パワー
TRだったのです。これらの部品が有ってこその負性抵抗の排除なのです。そしてこれらの部品で
構成されたα1やαZEROのパワーアンプがこれまで多くの方に支持されて来ました。勿論それを
支えているのは、負性抵抗が発生し易いエミッタホロワを極限までに減らしたWRプリであるとも
言えるでしょう。

 しかし、WRアンプが開発されてから10年が経過し、世の中の部品事情も様変わりしSEコン以外
は全てディスコンになってしまったのです。この中で進抵抗、BGコン、ERO コンの代替品は殆ど
問題ありませんが、EMe 型パワーTRは減る一方で代替品を探さねばなりません。

 折りしも世の中はデジタルアンプの時代です。もう潤沢に入手できるパワーTRは超HC-MOSしか
ありません。これからもWRアンプを安定供給する為には、この超HC-MOSを使う以外にないのです。
その切っ掛けは、平野紘一氏がIRの540 を使って試験的に作ったWRP-α6の超HC-MOS版でした。

 平野氏は山水時代からMOS-FET アンプの製作には慣れていますので、WRアンプのMOS 化に力を
貸して貰いました。しかし、この540 は既にディスコンです。私は石選びからスタートしました。
ご承知のように超HC-MOSはハイGmで大電流が流せますが、余り欲張りますとソースホロワとして
安定に動作しません。折角の負性抵抗除去回路も水泡に帰してしまいます。

 最大電流、Gm、耐圧、ドレイン損失等を勘案して、オーディオアンプに使えそうな素子を選び
出しました。成功するための第一の鍵はこの素子の選択にあると言っても過言ではないでしょう。
結局、私はIRではなくドイツ系の超HC-MOS素子、BUZ31 とBUZ30Aを選び出しました。先ず後者を
シングル接続で使ってWRP-γZEROを、次に前者をパラレル接続で使用してWRP-γ100 を作り上げ
たのです。

 経済不況もあって、これら2機種には一部しかSEコンを使っていませんから、真っ向からα系
の音と比べる訳には行きませんが、その分お安く供給できると思っています。その成果を今回の
試聴会で是非聴いて頂きたいと思っております。超HC-MOS素子の大電流特性と高速性を生かした
パワーアンプに仕上がっており、α系とはまた違った魅力あるWRアンプになっていると思います。

 超HC-MOSは元々パルス、即ち方形波を増幅する為に作られています。高速なスイッチング特性
が要求されるのです。とてもこれまでのキャリア蓄積効果のあるバイポーラ型パワーTRでは追い
つきません。この特性がオーディオアンプとして使った場合、音楽波形の立ち上がり部分で有利
に働くのではないかと考えられる所以です。

 最後にアンプの電源について触れて置きますが、電子回路は電源電圧が一定である事を前提に
計算されています。しかしA級ではないパワーアンプの消費電流は大幅に変化します。整流回路
に入っているブロックケミコンの蓄積エネルギーだけでは、必ず電圧降下を起こします。それは
音が大きくなろうとすると抑制する方に働くので一見聴き易い音を演出しますが、ダイナミック
レンジの広いリアル音再生には問題を残します。

 そこでWRアンプでは基本的に安定化電源をパワー段から採用しています。これは世界でも稀有
な例で、類似のアンプを見つけるのが難しい程です。嫌われる理由はモノアンプ1台分の部品代
とスペースを食い、その結果パワーの割りに値段が高くなってしまうからです。又安定化電源は
一種の高帰還アンプですから、負性抵抗に起因する不安定性を招き、却って不規則な電圧変動を
引き起こして音質を余計悪くする可能性があります。だから、効果的に安定化電源を搭載できる
のは、負性抵抗を抜本的に排除出来るWRアンプだけなのです。

 今回の試聴会で新規に発表しますヘッドフォンアンプは、価格、大きさの制限などの理由から
安定化電源は採用していません。しかしヘッドフォンの場合はパワーの変動は少ないので、余り
気にする必要はありませんし、ミニパワーアンプとして使う場合は、迫力より癒しを主眼にして
いますので、寧ろ非安定化電源の方が向いているかも知れません。

 搭載した新規SEPPアンプ基板は負性抵抗を避けながらも十分に出力インピーダンスは下がって
おり、高調波ひずみも極小になっていて、基本的には透明で切れ味の良い音を聴かせてくれます。
トランジスタアンプのメリットと真空管アンプの聴きやすさを兼ね備えたミニパワーアンプだと
言えるでしょう。

  WRアンプの基本コンセプトはリアルサウンドの再生ですが、そのために限りない努力と適切な
部品を使っています。従って、多少求めるものが違う方にも十分適合出来ると思います。どうか
ご興味のある方は今度の試聴会にご出席を賜り、是非一度WRアンプの音を聴いて見て頂きたいと
思います。

 尚、最近はアナログ志向が強いので2トラ38のデモだけでなくアナログプレーヤーもご用意
してLP再生を行う予定です。主旨にご賛同頂ける方のご出席を、スタッフ一同心よりお待ち申し
上げております。  

1073平野紘一さん(マスターズ/イシノラボ  代表) Wed Feb 17 13:05:12 JST 2010
     3月7日(日)のWR視聴会が近づきました!

 時間感覚は、1を年齢で割る分だけ早く過ぎ去ると言う方が
おられます。例えば、1歳のの赤ちゃんなら、それは1となります。
20歳になれば、1/20になってしまいます。60歳になれば、
1/60と20歳の頃に比べて、1/3も小さくなってしまいます。
ある年齢を過ぎれば、あっという間の1年という感覚に納得出来ま
す。
人生は時間です。この時間を生きる者、有意義に過ごしたいもので
す。

 昨年は首都圏で開催しなかったWRアンプ視聴会が開催されます
。今回は特に、予約等は必要ありませんので、どうぞ、すてきな時
間を過ごせていただければ、ありがたいです。

 今回の視聴会の音源には、2トラ38のテープ音源の時間を取り
ました。
 ステレオレコードが普及して、ある頂点に達したとき、オーディ
ファイルの関心はテープサウンドに向いて来ました。1970年代
頃です。FM放送はNHKとFM東京の2局しかなかったときです
から、エアーチェック用にも、オープンデッキはとても良く売れま
した。その欲求は10インチリールを使いたいというところまで来
ました。そこで、4トラック、19cmで、10インチリールまで
使えるオープンデッキが普通となりました。

 ところが、レコード会社のマスターテープは2トラック、38c
mが標準であることが知れ渡ると、同じような器で、音源が欲しい
ということになりました。
 デッキ会社はさっそく、2トラック、38cm、10インチリー
ル装着可能というオープンデッキを発売しました。
 
 当時、一番売れたのはTEAC、それに、アカイ、DENONが
続き、売れ行きを横目で眺めていたオーディオ各社はどっと、この
ような仕様のオープンデッキを発売しました。
 SONY、テクニクス、ビクター、パイオニア、オーレックッス
などです。
 けれども、購入したもののエアーチェック以外、なかなかフレッ
シュな音源が見つからない。そこで、TEACなどは音源確保の
ために費用を掛けて、生録音会と称するイベントを開いて、そのよ
うな欲求に対応してきました。

また、録音済みの2トラ38のテープソースも、どうしても、材料
費、手間が食い、定価が当時@¥20,000でも思うような利益
が得られなかったようです。そのような、時代が割りと短く、70
年代の末にはPCM録音ユニットが安く発売され、近い将来、DA
Tもみえてきて、急激にオープンデッキは、アナログ・オーディオ
の遺物と化してしまいました。

 それから、25年以上過ぎて、再び、オープンデッキを整備して
聴こうとする方が現れました。
オーディオ誌で、その様子を眺めたわたしも、また、動かしてみた
くなりましたが、マシンは思うように動かず、処分して、整備済み
の中古マシンを入手して、かってのテープ音源を聴くにいたりまし
た。
 アナログ・レコードに比べ、セパレーションに優れ(これは当然)、
かつ、Dレンジも広いです。けれども、30分で、10インチテープ
を使い切ってしまうのには、現代にはとても普及はしません。
 今回はSLを記念日に走らすようなものですが、是非、聴きにおい
で下さい。
 音源にはジャズ、歌謡曲、クラシック、といろいろ取り揃えて、用
意致します。
 大きな10インチリールがハイスピードで回るのを眺めるのもオー
ディオの楽しみと言えましょう。 

1072川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Tue Feb 16 16:05:00 JST 2010
ヘッドフォンアンプの最終的な詰めを行っています。

 2台目のヘッドフォンアンプを平野紘一氏の方に送り、最初のヘッドフォンアンプが里帰り
したのを機に、最終的に詰めて置きたいところを色々改良しました。それらを列挙して若干の
説明を加えさせて頂きます。

1)当初のゲイン3.8倍を4.1倍に修正

2)大太鼓のような低音楽器でプロテクションが働くので、プロテクションの感度を修正

3)初段のデュアル型ローノイズトランジスタとその代替品との交換

 1)については前回既に言及しましたので、簡単に触れて置きます。平野氏から少しゲイン
を上げるように言われたのが切っ掛けですがほんの気持だけ上げて4.1 倍にしました。それは
「1V入力でフルパワー」と言うことが頭を掠めたのと、少しでもゲインを上げた方が帰還の
安定性は楽になる、と言う事がありました。

 以前、エミッタホロワ付き3段帰還増幅器の負性抵抗を、大型計算機を使って数値的に色々
検討していた時に4倍を切ると結構苦しくなった事を憶えていたからです。その事を踏まえて
WRパワーアンプの安定化電源のゲインは4.9 倍程度に設定しています。安定化電源の出力電圧
は基準電圧のゲイン倍になります。

 2)については、息子が来た時にi-phone から普段私が聴かないような曲を選んで聴かせて
貰っていた時に、大太鼓が頻繁に叩かれるところがあり其処でプロテクションが働いてしまい
曲が中断されてしまった事が切っ掛けになりました。音楽波形を観測していると分かりますが、
音楽波形は必ずしも上下対称ではありません。即ち平均電圧が正または負になる事は幾らでも
あるのです。特に低音楽器のように低い周波数の場合は周期が長いので、プロテクション回路
が動作する可能性が高くなります。プロテクション回路が動作した時は一度電源を切り、数秒
程経ってから再び電源を投入して下さい。

 WRパワーアンプには何らかのプロテクション機能が付加されていますが、このヘッドフォン
アンプには、ヘッドフォン端子(スピーカー端子)に直流電圧が現れると、大切なヘッドフォン
を防御するように、ヘッドフォンとアンプ間に入っているリレーを遮断して、ヘッドフォンを
切り離すようになっています。

 WRパワーアンプに採用されているプロテクション回路から、直流検出回路だけを抜き出して
わざわざこのヘッドフォンアンプの為に基板を作り直しました。高出力のパワーアンプと同じ
定数では感度が鈍いと考えて、かなり敏感に調整してありました。その為に大太鼓で動作して
しまったのでしょう。WRパワーアンプほどではありませんが、少しだけ感度が鈍くなるように
直流を検出する回路のタイムコンスタントを大きくしました。

3)については初めて言及します。WRではプリアンプだけではなくパワーアンプにもなるべく
初段にはローノイズトランジスタを使うようにしています。WRアンプは元来直流域まで帰還を
均等に掛けていますので、出力端のオフセット電圧とそのドリフトには気を使うところです。

 然るに、WRアンプの回路は例外なく初段は差動入力です。必然的に初段には温度変化に強い
デュアル型のトランジスタが必要になります。しかし、実用的に使えるデュアルトランジスタ
を作ったのは三菱電機だけです。NPN 型には2SC1583 、PNP 型には2SA979、2SA798があります
が全て廃品種です。デュアルトランジスタは同一ペレット上に2つのトランジスタを構成して
1つのパッケージとしていますので、差動増幅として使えば外部環境の変化に対して安定性が
一段と向上します。

 2SC1583と2SA798 は耐圧が50V ありコンプリ的な存在です。2SA979は耐圧が100Vありますが、
このコンプリである2SC2259 は何故か市場で見た事がありません。他メーカーの代替品が殆ど
無い上に全て廃品種ですので、当然入手が難しいのです。おまけに、本ヘッドフォンアンプは
ノイズを減らす為に、初段のトランジスタを2パラにしています。2パラでも3dB 程ノイズが
改善されますが、その為に貴重なデュアルトランジスタを左右で4個も使う事になります。

 幸い、このヘッドフォンアンプは直流域ではゲインが1倍になるように帰還を掛けています
ので、ドリフトについては特に心配要りません。つまりデュアルトランジスタを使わなければ
ならない必然はありませんので、単体のトランジスタ2つを接着剤と銅線で複合化して使って
も実用的には何ら問題は起こりません。当初は製作を容易にする為に2SA979をパラにして使い
ましたので、今回、張り合わせ(複合化)が楽なトランジスタ2SA1049 を使って実験して見る事
にしました。

 2SA1049 は東芝の超小型トランジスタです。元のトランジスタは東芝の代表的なローノイズ
トランジスタである2SA970です。2SA970はTO-92 型で背が丸い形をしているので、2つを同じ
向きに張り合わせるのは結構難しいのです。2SA1049 はコレクタ損失が半分程にはなりますが、
背中が平坦です。勿論、型番の印刷面も平坦ですから瞬間接着剤が効果的に使えます。

 しかしデュアルに組む為にはhfe が揃ってる事が必須条件になります。其処で先ずは数百個
の2SA1049 の仕分けを行いました。ピッタリと揃ってるものを探すのは現実的ではありません
のでhfe にして10程度の差で選別して行きました。WRアンプの基本回路は2段帰還回路ですが
初段と2段目には、hfe の高いものを使う事を想定しています。最低ラインの目安は300~350
位です。

 各社のhfe のランクについて少し言及して置きますと、東芝の場合はBLランクが最善ですが
選別すればGRでも使えます。三菱で言えばG ランクが最善ですがF でも使えます。日立の場合
はE ランクが良いですが、その上にF ランクがある場合があります。NEC の場合ははE ランク
の方が高くそれより低いF でも問題ありません。この目安に従えば、hfeは最低でも300は確保
されるでしょう。今回の2SA1049 はランクがGRなので選別が必要でした。

 1つずつhfe 測定器に入れては数値を見て取り替えます。さすがに数百個やると疲れますが
何とかランク分けが10刻みに出来ました。hfe の誤差が10以内に収まる事が保証されたことに
なります。しかし300 を割るものが半分近くありました。300 以上の中から今回は最低ランク
の300 (300~309)の中から8つ取り出し、4組のデュアル型トランジスタを作り上げて、早速
2SA979と交換して見ました。

 ドリフトについては心配ないので問題はS/N 比です。測定前のノイズと同程度の13uV前後に
なってくれれば言う事はありません。今回はアンプのゲインを少し上げていますから、1.08倍
悪化しても仕方ありません。即ち、15uV以内に収まってくれれば良いのです。

 ノイズメーターの値(DIN AUDIO) は左15.5uV、右13.5uVでした。やはり左が電源トランスの
影響を受けて少しだけ悪いですが、どうしても小型化しているのでこのような事が起こります。
しかし、問題にするレベルではありません。ノイズの観点から言えば、2SA1049 による即席の
デュアル型トランジスタも2SA979と遜色ないと言えるでしょう。これで、現在品薄のデュアル
トランジスタの代替に目鼻がついた事になります。これで問題点は殆どクリアされた事になり
ます。出力トランジスタはTO-220型のEMe ですが在庫はタップリ有ります。

 初段のトランジスタが音質に影響するとは思えませんが、早速スピーカーにB&W805MATRIXを
接続して聴いて見ました。相変わらず音が爽やかで耳障りな音が全くありません。それでいて
出るべきところはそれなりに聴こえます。セカンドシステムと言う気楽さもあるのでしょうが
普段ちょっと躊躇するようなディスクも積極的に聴く気になりますし、事実耳には非常に聴き
やすく響きます。夜中では音が大き過ぎるくらいのパワーがあります。

 ソニーのヘッドフォンMDR-Z600を使って静電形のような切れ味を楽しむの良いですが、ミニ
アンプとしてリラックスした音を楽しむのも格別です。本体の消費電力は5W以下でしょうから
電気代を全く気にする事なく、一日中付けっ放しにしても世の中の趨勢に反することもないで
しょう。そう言う意味でも全くタイムリーな「ホビーアンプ」です。

 今、平野氏と話してるのはシャーシの問題ですが、実質的な秋葉原シャーシと本格的塗装と
シルク印刷が施された上級シャーシの2通りで供給させて頂こうかと考えております。高くて
も見てくれを取るか機能が良ければ安価なシャーシでも良いとお考えになるか、何れにしても
5万円以内にするように現在つめているところです。

 自分で惚れ込むくらい折角良いものが出来たので、我々も工賃だけで我慢する事にして少し
でも多くの方にご購入願いたいと、コスト削減に努力しています。先ずはどんなものなのかを
知って頂きたいと思いますのでご自慢のヘッドフォン、携帯音楽プレーヤー、小型スピーカー
などをご持参の上、3月7日(日)のWRアンプ試聴会に是非ご出席下さい。

 当日は、その他に平野氏のご好意で2トラ38のデッキとプロが録音したソースが準備され
る予定です。最新のチューニングが施された、将来のWRアンプ群を代表するであろう超HC-MOS
素子使用のWRパワーアンプ2機種による鳴き比べを兼ねて、テープの試聴を行います。どうぞ
ご期待下さい。  

1071川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Tue Feb 9 16:40:00 JST 2010
2台目ヘッドフォンアンプを実動テストして見ました。

 2台目と言っても電源トランスが違うだけで基本的には同じ仕様ですので、そう大きな
問題がある訳ではありませんが、これまでやっていなかったテストを行って見ました。

 それはこのヘッドアンプのゲインは4.1倍(1台目は3.8倍だった)なので、それで十分か
どうかを見極めたかったのです。元々ゲインを低く設定したのはヘッドフォンにはそんな
大きな電圧を加える必要性がないからですし、S/N 比を良くする意味もあります。

 ヘッドフォンのインピーダンスはまちまちですが、大体数Ωから600 Ωの間に分布して
います。インピーダンスの大きい物ほど高い駆動電圧が必要です。しかし、600 Ωと言う
現行製品は殆ど見当たりません。普通はゼンハイザーの300 Ωが最大だと考えても大丈夫
のようです。

 偶々300 Ωのゼンハイザーは息子が持っていますのでテスト出来ましたが、音量調節の
ツマミに十分余裕が残っています。このテストはWRプリとヘッドフォンアンプを接続して
ヘッドフォンアンプの音量調節ツマミを最大にした時の、プリのツマミの余裕度を指して
います。

 これをパワー的に考えて見ますと、このヘッドフォンアンプは8Ω負荷の時2W出ます
ので、300 Ωでは53mW供給できる事になり、十分な音量で鳴るはずであると推定されます。
なにせヘッドフォンの感度表示は1mWで100 dB程度の音圧が得られると言うものですから
53mWならお釣りが来ると言う訳です。勿論、600 Ωのヘッドフォンにも27mW供給できます
から理論的には問題ないと言えます。

 一方、このヘッドフォンアンプを超ミニアンプとして使った場合の音量感の問題ですが、
これはヘッドフォンの場合より問題が複雑です。使用するスピーカーの能率、聴く部屋の
大きさ、個人的な音量に対する満足感等などパラメーターが多過ぎて一律に計算で適否を
決める事は出来ません。

 そこで、これは一例を示して各ユーザーの方に類推して頂くより仕方ありません。先ず
例によってB&W805MATRIXを接続し8畳間で2m程離れて聴いた場合の音量感ですが、隣の
人と話すのがちょっと疲れる感じがする程の音量があります。この音量でも住環境事情に
よっては苦情が来るかも知れません。プリのツマミの位置は大体3時です。

 平野氏から「もうちょっとゲインを上げた方が余裕が出て良いのでは?」と言う意見を
貰いましたが、高S/N 比を保持したいのと、回し切って歪んだ音で聴いて貰ったところで
余り意味がないし、そもそもこのミニアンプは大音量で聴く目的ではないので、現行通り
にするつもりでいます。音量調節ツマミに余裕がないと何か寂しく感じる向きがあるよう
ですが、そこは、普通のアンプとは違うと言う事でどうかご理解頂きたいと思います。

 さて上記音量はこのミニアンプの限界です。これ以上音を大きくすれば明らかに歪んだ
音が検知されます。言い換えれば、上記音量でも一部では2Wを超えている可能性があり
ます。即ち、2Wは正弦波と言う連続波による計測値です。音楽のような過渡的な信号で
あれば、一瞬2Wを超えても音はクリップしません。

 それはこのミニアンプの電源トランスに理由があります。小型の為に電流容量が小さく
連続正弦波の場合、2Wを超えると電源電圧が急激に降下して2Wでクリップしてしまい
ます。もし降下しなければ4W出る電圧が供給されていますから、一瞬であればブロック
電解コンデンサーに蓄えられているエネルギーで2W以上を出すことが出来るのです。

 そこで、スピーカー端子にオシロを接続し大きな音がする音楽を再生した場合の波高値
を観測して見ました。2V/divレンジを使いました。上下に4divありますので画面一杯に
振れれば8Vになり、実効値に直すと5.6Vで8Ω負荷では約4Wになります。即ち音楽の
波形が画面一杯に振れれば瞬間的に4W出てる事になります。

 画面の3divまで振れた場合は6Vですから、実効値に直して4.2Vです。これは2.2W相当
ですから大体このアンプの最大出力近辺です。言い換えれば、3div以内なら全く問題ない
ことになります。この3divを超える場合があるかどうかを調べて見ました。スピーカーの
インピーダンスは8Ω一定ではないですから、これはあくまで大体の目安と考えて下さい。

 往々にして低音楽器に衝撃音が重なると波高値は大きくなります。分かりやすいように
3divまでを直方体の物体で隠して観測を続けました。隣の人と話し続けるのが疲れる程度
の音量では、ほんの一瞬ですが3divを越えて来る波形がありました。連続正弦波の場合は
3divを越す事はあり得ませんが、過渡的な音楽信号では明らかに3divを越える場合があり
ます。電源電圧は瞬時には下がらないと言う証拠です。

 やはり予測通りに音楽信号ならば2W以上の実力を有している事が分かります。波高値
が2Wラインを越える頻度にもよりますが、潜在的には4W程の実力がある事になります。
これをミュージックパワーと呼ぶ事があるようです。今回のミニアンプは連続波パワーと
ミュージックパワーとの比が大き過ぎますが、安定化電源で供給されない一般的なパワー
アンプは多かれ少なかれこのような傾向を持つものと思われます。尚、本アンプのゲイン
は4.1 倍ですからおよそ1Vの入力でフルパワーになります。その意味で小出力アンプの
ゲインが低い事は理に適っていると言えるでしょう。

 本来、電源電圧が音楽信号によって変化してしまうことは、決して好ましくありません。
それは音が大きくなろうとすると電圧が降下してそれを抑える方向に働くので、音に力が
無くなる傾向が一般的にありますし、音楽信号と実際の電圧降下に時間的遅れがあります
と音にある種のゆらぎが発生します。これは必ずしも不快なものではありませんが、正確
に増幅されないことに変わりありません。従って、原則的にWRパワーアンプには普及型を
除いて安定化電源を採用しています。

 しかし、今回のミニアンプの場合はガチッとした力のある音で聴くのが目的ではなくて、
寧ろ癒しサウンドの再生が目的ですから、今回の非安定化電源採用は正に目的にぴったり
なのです。聴き易い音の再生には向いていると言えます。

 しかし、アンプの回路自体はWRパワーアンプそのものですし、帰還回路も新しく設計し
直しています。相当に帰還が深いのでアンプ基板の出力インピーダンスはかなり下がって
いるはずですし、負性抵抗も抑制されているはずです。ですから、透明感と芯のある音は
健在で情報量も豊富です。所謂、基本的にはWRの音なのですが、使用した電源トランスの
お陰で、ちょっとだけ聴き易い音になっていると思ってください。

 昨日、ある方のお宅を訪問した際に、型番までは確かめませんでしたが、FAL の平面型
スピーカーが、小型のエンクロージャーに納まっているのを見つけましたので、持参した
ミニアンプを早速テストさせて頂きました。プレーヤーは其処に偶々あったソニー製のCD
も再生可能なDVD ビデオプレーヤーをダイレクトに接続しました。

 音量調節ツマミは3時くらいの所でしたが、12畳以上もあると思われるフローリングの
リビングに、小音量で聴く場合には丁度良い音の大きさで、合唱曲やピアノ音楽が豊かに
響き亘ったのです。音がスピーカーに貼り付く事もなく、遠近感を持って聴こえて来ます。
合唱曲もピアノ曲もオーディオ再生が難しいですが、小さな箱(本アンプ)がそれを難なく
こなすので、居合わせた人も感心しきりでした。音が小さくてもその質が高ければ、結構
満足出来るものです。他社のもっと安価で格好の良いヘッドフォンアンプは幾らでもあり
ますが、このあたりが本質的に違うところだと思います。勿論、携帯音楽プレーヤーでも
十分に楽しめます。

 皆さんも、一つや二つ捨てられずに仕舞ってあるスピーカーをお持ちでしょう。それら
を活用して見ませんか。能率は高いに越した事はありませんが、使う状況によっては能率
が低くても使える可能性は十分にあります。アンプの持ち運びが非常に楽なので、場所を
選ばず、気楽に音楽を楽しむことが出来ると思います。

 私が持っている小澤/ボストンのプロコのロミジュリ(423 268-2)は基本的には録音は
良いのですが、ちょっと音がキツイところがあってWRアンプで大きな音で聴くと少々疲れ
ます。しかしこのミニアンプで聴くと丁度良い感じで、全幕を通して聴いても疲れません
し、音質も非常に心地よく響きます。このように普段ちょっと躊躇するようなCDが気楽に
楽しめるのです。

 この不況時に、大きな出費無しにこれだけのパフォーマンスが得られるのなら安いもの
だと私は思います。それに消費電力から言って省エネオーディオの典型で、時代にマッチ
しています。どうぞ3月7日(日)の試聴会にご出席を賜わり是非ともお聴きになって見て
下さい。きっとオーディオの魅力、楽しみ方を再発見なさる事でしょう。  

1070川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Feb 4 18:04:00 JST 2010
2台目のヘッドフォンアンプ完成!

 普通のアンプなら1台成功すれば、わざわざ2台目を作る必要はないのですが、今回の
ヘッドフォンアンプは事情が少々違います。それはスペックとしてS/N 比が重要な要素に
なっているからです。ヘッドフォンにしても、ニアフィールドのSPにしてもハムノイズは
絶対に許されません。

 これまで私は耳には聞こえない所謂高周波ノイズに関しては非常に気を使って来ました。
それがWRアンプ開発の重要なポリシーだったからです。しかし今回の問題は耳に聞こえる
ノイズです。これまではソコソコのレベルをクリアすれば特に問題はありませんでした。

 ヘッドフォンアンプは半端なS/N 比では実用になりません。それはヘッドフォンの感度
表示が1mW で何dBと言うものですから、普通のパワーアンプとは桁が違うことがお分かり
頂けると思います。今回の目標は残留可聴ノイズが10uV~15uVです。

 可聴ノイズにはホワイトノイズとハムノイズがあります。ホワイトノイズは回路設計に
よってかなり少なく出来ます。ハムノイズは殆どの場合トランスの漏洩磁束で決まります。
勿論、アース配線の仕方も重要なファクターに入ります。従って、回路が上手く設計でき
ても、使用するトランスやその取り付け方法、アースの引き回し次第ではぶち壊しになり
ます。小型シャーシにトランスを入れて作るのはかなり難しいのです。

 前回、成功したと言う一報を平野紘一氏に連絡した時彼は俄かに信じられないと言って
いました。普通は基板に至近距離でトランスを置けば、上記の値をクリアするのは難しい
からです。従って、前回はまぐれで上手く出来た可能性も有り得るのです。

 確かに私の使ったトランスは、昔入手したもので偶々手持ちの中から選んだものでした。
同じものはもう買えません。量産するには、現在、確実に購入できるトランスで成功する
必要があります。そこで2台目を作って見る気になったのです。

 トランスにどんな物を買ったら良いか即座には判断できなかったので、取り敢えず手持
ちの似たようなトランスを使って作って見る事にしました。ところがです。ヘッドフォン
から明らかにハムが聞こえるではありませんか。もう一つ別のトランスに交換しても程度
の差は有ってもハムは消えません。平野氏の「ほら、そうでしょう」と言う声が聞こえて
きそうでした。

 トランスを外して結線を伸ばしシャーシの外に置けばハムは消えます。明らかに原因は
トランスなのです。つまり漏洩磁束が殆どないトランスを見つけて来れば上手く行くはず
です。そこで種々のカタログを調べて漏洩磁束の少ないと謳っているトロイダルトランス
を見つけて早速購入しました。

 これでハムが取れなければこのヘッドフォンアンプは幻に終わってしまう、そんな気持
でトランス交換を行いました。ハムが出るか消えるかドキドキです。やりました。ハムは
皆無になったのです。少なくても私の耳には分かりません。勇気百倍でノイズメーターで
残留可聴ノイズを測定(DIN AUDIO)して見ました。

 左チャンネル13.5uV、右チャンネル11.5uVで、左チャンネルが少し悪いですが先ず成功
と言っても良いでしょう。心底、ホッとしました。左チャンネルのノイズが少し多いのは、
左の基板の直ぐ後方に、AC関連の配線とトランスがあるからでしょう。しかし、この位の
差は実用上は何の問題もありません。これで量産の目鼻がつきました。

 早速、音質もチェックして見ましたが全く問題ありません。相変わらずいい音で鳴って
くれます。ノイズを含めて再現性は十分です。そこで最大出力を測定してみました。ミニ
アンプとして使う場合の目安になります。

 以前の記事で確か4Wと書いたと思いますが、実側は2Wでした。4Wは実験室段階で
安定化電源を使って測定した場合でした。今回実際に使ったトランスは、ノイズに重点を
置いて選んだ為に電流容量が小さく、最大パワー時には電圧が大きくドロップしてしまい
出力が思った程出ないのです。基本的にトランスは大型になれば成る程漏洩磁束は大きく
なりますから、仕方ない一面があります。

 しかし、この2Wと言うのは連続正弦波の場合です。オルガンの持続音などは別ですが
普通の音楽であれば、2.5W位の実力はありますから、2A3 シングル程度の音量は得られる
と思って頂いて良いと思います。2W以下しか出ない45シングルでも結構聴けるわけです
から、静かに美しく音楽を聴くには問題のない出力と言えましょう。

 それに、トランスが大きくなればそれだけコストアップになります。今回は出来るだけ
小さく、安くと言う命題がありますので、これで良しとしますが、どうしても4W欲しい
と言う方は一回り大きなトランスを使えば可能ですから、カスタム扱いでお受けする事に
しますので、その旨お申し出ください。

 基本機能はシンプルにして価格をなるべく下げ、それぞれのご要望はカスタムでお取り
扱いさせて頂く予定です。また、試聴会の頃にご注文を受け、4月中にお引渡しする予定
で計画は進行中です。価格は5万円以下にする事を死守致しますので、なるべく多くの方
にお買い求め頂きたいと考えております。

 昨日、平野氏から連絡があり、平野氏もi-Pod で平原綾香などを聴いて見たそうですが
「なかなか快適で、残留ノイズも全く問題ない」と言うレポートを貰いました。

 最後に、このように苦労してS/N 比の高いヘッドフォンアンプを作る理由を敢えて申し
上げて置きますと、あくまでヘッドフォンをアンプにダイレクトに接続して聴きたいから
です。ヘッドフォンに直列に抵抗を入れれば、見かけ上のS/N 比を良くするのは簡単です。
しかし、これでは駆動インピーダンスが上昇し、ヘッドフォン振動板の制御は難しくなり
ます。勢い本来の音ではない荒れた音でヘッドフォンは鳴る事になります。ヘッドフォン
アンプをお選びになる時は、こんな隠れた点にも是非ご注意頂きたいと思います。

 もし「ヘッドフォンなんてハイエンドとは無縁だ!」とお思いなら、騙されたと思って
WR初のヘッドフォンアンプの音を3月7日のWRアンプ試聴会でお聴きになって見て下さい。
必ずや「こう言う音楽の楽しみ方もある」と思って頂ける事でしょう。

 又、当日は平野氏がWRアンプ試聴会では初めて2トラ38のデッキとテープを持参して
くれるそうです。この機会に、究極のアナログの音を進境著しい超HC-MOSパワーアンプ郡
でお聴きになって見ませんか?  

1069川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Mon Feb 1 17:00:00 JST 2010
日フィル1月定期を聴く

 シーズン最後の定期は何時も1月の下旬である。これが終わると2月はお休みで新シーズンは
又3月から始まる。因みにオケの方達はお休みではなく、その間に九州公演がある。その報告を
兼ねた室内楽演奏会が会員対象に浜離宮の朝日ホールで3月2日に行われる予定になっている。

 今月の出し物は2人の日本人作曲家の作品と「ブラ4」であった。何とも渋い作品構成である。
指揮は飯守泰次郎で、失礼ながら正直に言って「ブラ4」が有ったから行ったようなものである。
偶々かも知れないが日フィルのブラームスの交響曲は珍しい。特に「ブラ4」が楽しめればオケ
も本物だと言えよう。打楽器の衝撃音や金管のバリバリで誤魔化せないからである。

 前2曲は小山茂清の「管弦楽のための<鄙歌>第2番」と湯浅譲二の「交響組曲<奥の細道>」
であった。前者は日本フィルの委嘱作品で再演企画第4弾として演奏されたものであり、後者は
福島中央テレビ開局25周年記念委嘱作品で、現役の作曲家による比較的新しい作品である。

 <鄙歌>はちょっと外山雄三の「アルトラプソディ」のような、日本の民謡を多用し打楽器を
華々しく打ち鳴らす、ある種聴きやすい曲である。所謂現代曲に有り勝ちな変拍子や不協和音が
重なる不快感は全くなく、オーディオ的にも楽しめる作品である。オケもお国ものの強みなのか
最初から違和感がなくスムーズであった。これが血(DNA)と言うものだろうか。

 <奥の細道>は神秘的で宇宙的な感じのする曲で、神社で耳にする雅楽に通じる響きが感じら
れた。<鄙歌>もそうであったが、打楽器が多く使用され編成も大きく仰々しい。打楽器奏者が
忙しく動き回る。だかこそ余り退屈しないで聴いていられるのであろうが、終わって見ると何か
物足りなさを感じてしまうのは筆者だけであろうか。やはり心に残る美しいメロディーと巧みな
変奏が欲しい気がした。

 15分の休憩を挟んで「ブラ4」である。もう亡くなってしまったが、科学でもオーディオでも
私の貴重な先輩I氏は、事の他この「ブラ4」を愛した人で、この曲を聴く度に否が応でも思い
出す。先輩は「ブラ4」の出だしでもう音が引き攣れると何時も嘆いていた。それ程出だしから
暫くは厳しい音が続く。案の定、これまで日本の作品ではスムーズな音を出していたバイオリン
パートが「別の団体になったのか?」と思わせるような嫌な音を連発する。アンプの調子のよく
ない時の音にそっくりであった。

 どうも日本の作品はウォーミングアップに役に立っていなかったらしい。暫く、我慢の時間が
続いたが、第1楽章の後半になってやっと何時もの日フィルらしさが出て来たのである。しかし
部分部分で安定しないところがあり、やはり日本人による「ブラ4」には「無理があるのかな?」
と多少諦めていた。そんな感じで第2楽章、第3楽章と演奏は進行して行った。

 いよいよ最終楽章である。先輩から第4楽章には「パッサカリア」が使われていると散々聞か
されて来た。一種の変奏曲であるがブラームスは古い伝統に回帰して、それをロマン派の時代に
生かしたかったのであろう。リスト、ワーグナーらの標題音楽に対抗して古典的手法を尊重する
シューマンの代弁をしたのかも知れない。

 具体的に分かり易く言えば、独奏フルートが「ターララララ、ターララララ、ターララララ」
と吹くところが実に印象的である。そう言えば、此処は勿論、トップが吹くのであるが、今回は
トップに何かアクシデントがあったのか、何時もはセカンドの奏者がトップの席に座って吹いて
いた。テクニックも問題なく十分美しかったと思う。

 このフルートの後まだ静かに変奏は続くのであるが、それが突如破られ管弦楽の全奏が始まる。
それまで余り出番のなかったトロンボーンが力強い和音で華を添える。レコードで聴いていると
余り感じないのであるが、この曲ではトランペットが貴重な役割を演じてる事がよく分かる。

 この辺りからオケも本調子になり指揮者と一体になって、力強い「ブラ4」を奏で始めたので
ある。この楽章の終わりはあっけない。「ブラ2」がホルン等の強奏で「これでもか」と言わん
ばかりに粘って終わるのに対して「ブラ4」はあっさり音が途切れるのである。これが如何にも
切ない。やはり、晩年の枯淡の境地なのであろうか。聴いている方は何とか力強く終わり切って
欲しいと常に思う。

 今回は音楽の自然な流れの中で終わり方にも満足できた気がする。この最終楽章はかなり良い
出来だったと思う。終わった瞬間の拍手の鳴り方でもそれは証明されていた。なんども指揮者が
呼び出される。指揮者が奏者を讃えてスタンダップさせる。フルート奏者も然りだ。限定的では
あるが、日本人による「ブラ4」も捨てたものではないと思った。惜しむらくは、第1楽章の頭
からこの調子で演奏して欲しかったと思う。

 まあ、それが出来るのがウィーンフィルでありベルリンフィルなのであろう。ブラームスの中
では演奏が一番難しいし、聴く方もどう演奏されたら最良なのかも分かり難い。「ブラ4」とは
そう言うものだと言う気がしてならない。だから、私も決定的に推薦できるLPやCDを知らないが、
強いて言えばケルテス/ウィーンフィル(KICC-8470) であろうか。皆さんもWRアンプで「ブラ4」
を改めて聴いて見ませんか?  

1068川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Mon Jan 25 17:00:00 JST 2010
3月の試聴会について

 昨年は、霞仙人さんとご一緒に軽井沢で試聴会を開催しましたが、今春は久し振りに北野で
試聴会を開く予定です。今回のテーマは最近ちょっと夢中になっているヘッドフォンアンプと
再び、改めて超HC-MOSパワーアンプを取り上げたいと思っています。

 今の時点で分かっている予定の概略を記して置きます。

日 時:3月7日(日) 午後1時30分~5時

場 所:八王子市北野市民センター8F音楽室(京王線北野駅下車徒歩5分)

テーマ:

 1)新規ヘッドフォンアンプのご紹介とi-phoneをソースにしたミニアンプとしての試聴

   a)QUAD LITE(能率86dB)

      b)B&W805MATRIX(能率87dB)

  小型SPの持込も歓迎します。

 2)超HC-MOSパワーアンプのデモンストレーション

   a)WRP-α6/BALの超HC-MOS版(仮称WRP-γ2/BAL)25W+25W

   b)WRP-γZERO/BAL 35W+35W(ブリッジ接続で100W+100W)

   c)WRP-γ100/BAL  100W+100W

 3)質疑応答とリクエストタイム

   今回は、ご持参頂いたヘッドフォンによる試聴を中心に考えています。こちらで用意
  出来るヘッドフォンは

   a)ソニー MDR-Z600

      b)ゼンハイザー HD600

  等です。勿論、他の携帯音楽プレーヤーの持ち込みも歓迎します。

 ヘッドフォンアンプについては、このところ特集的に連続して当掲示板で取り上げています
ので、今回は超HC-MOSパワーアンプを又取り上げる理由について少しご説明したいと思います。

 先ず、一番大きな理由は以前からも申している通り、EMe 型パワートランジスタが無くなり
つつあるからです。WRアンプの設計者としても、EMe 型素子の枯渇と共にWRアンプが消滅する
のはやはり偲び難いのです。

 デジタルアンプに使われる超HC-MOS素子は将来的にも安定的に供給されるはずです。しかし
「デジタルアンプに使われる為の素子である」と言うイメージはハイエンドにはマイナスです。
それはトランジスタが石に例えられ「石のように堅い音がするのでは?」と疑われた事と同じ
次元の話だと思います。

 確かに、素子固有の音はある程度あるように思います。だからこれまでEMe 型素子を使って
来たのですし、事実TMe 型素子を使うより、ずっと音が音楽的に仕上がる事は否定できません。

 それでは超HC-MOS素子の固有の音とはどんな音なのでしょうか。大変難しい問題で断定的に
は言えませんが、敢えて申し上げれば「スッキリした音」だと思います。勿論、超HC-MOSにも
色々ありますが、此処ではGmが余り大きくなくオーディオアンプに使えるものに限定して置き
ます。

 最初に平野紘一氏が試作した超HC-MOSアンプには、IRのIRF540が使われました。この素子は
Gmも左程大きくなくオーディオアンプには使い易いものでしたが、今では廃品種になっており
安定的に使う事が出来ません。540 の亜種である540N等を使って見ましたが似ていて非なる物
で、Gmが大きく発振に悩まされ実用化できませんでした。

 そこでGmと許容最大ドレイン電流に着目して、一覧表から540 に近い物を選んだ結果、元は
ドイツで開発された、BUZ30AとBUZ31 を見つけました。BUZ30Aの方が若干規格が上です。前者
をシングル接続で使ったものがWRP-γZERO/BALであり、後者をパラレル接続で使用したものが
WRP-γ100/BAL です。

 どちらの素子も音に大きな癖は出ませんが、パスコンなどで化粧をする前に素の音を聴いて
見ると、BUZ31 の方がより大人しく聴こえました。一般論ですがGmの低い素子の方が音が素直
に聴こえます。この状態では決してオーディオ的に面白い音だとは言えません。そこでEMe 型
の場合と同じように、音楽が映えるようにチューニングをすると概略ですがEMe と同等の音質
になったと思ったのです。

 この時点で一昨年の北野の試聴会と昨年の軽井沢の試聴会で聴いて頂いたのですが、正直の
ところEMe を凌ぐ評判を得るには至りませんでした。そこには先に述べましたように、皆さん
に一種の先入観が有った事も否定出来ないと思いますが、ここは謙虚にもう一歩、踏み込んだ
チューニングをするべきだと思ったのです。

 「もしこの超HC-MOS素子の音が嫌われるとすれば何だろうか」と考えた時に、中高域の音に
僅かにEMe と違う音があるように感じたのです。それは独特のちょっと冷たい音のように思い
ました。しかし、EMe 型とは違った切れ味、スッキリ感は捨て難い魅力です。それならそこを
もっと徹底的に生かしたらどうかと思ったのです。

 そこでコストアップ覚悟で整流パルスを抑えるコンデンサーにWRP-αZERO/STUDIO と同様に
SEコンを奮発して見ました。この処置により音の抜けが向上し、音の冷たさが目立たなくなり
ました。もう一息だと思い、ブロックケミコンに抱かせているポロプロピレンコンデンサーを
大人しさには定評のあるERO の1822型(ポリエステル)に交換しました。一般にポリエステル
の方が音が落ち着いて聴こえます。

 この結果、スッキリしているが変な冷たさがない、それでいて柔らか味も感じられる理想的
な音になったと思います。スッキリ感は低音についても感じます。αZEROで代表される従来の
WRアンプの音は少し粘っこいウェットな音ですが、この辺りは、正しく好き好きだと思います。
また聴く音楽にも適不適があるでしょう。素子が違えば、全く同じ音の傾向に仕上げることは
出来ないのだと言う事を悟りました。

 しかし、この違いは決定的ではありません。暫く聴いていると、少なくても私は直ぐ慣れて
しまって何時しか抵抗感なく聴いています。この音なら、WRアンプと言っても全く問題ないと
改めて感じています。今の段階で完全チューニングが済んだのはWRP-γZERO/BALですが、3月
までには、WRP-γ100/BAL を同様に仕上げて置きます。また新たにWRP-γ2/BAL の雛形を完成
させて置く予定です。WRP-γZERO/BALのブリッジ接続の音は絶品です。

 どうか、色々な遊び方が出来るヘッドフォンアンプと、新生γアンプ(超HC-MOS素子使用の
アンプ)群の音を是非聴きにいらして下さい。スタッフ一同、心よりお待ち申し上げています。  

1067川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Mon Jan 18 22:25:00 JST 2010
東山さん、激励のご投稿ありがとうございます。

 東山さんお久し振りです。東山さんと言えば、私がこれからはバランス伝送で行こうと決意した時、
その背中を押してくれた方として私は忘れる事はないと思います。それまで何となくバランスの方が
良いはずだ位に考えていた事が、過渡特性の向上から指向特性が改善されより自然な音場特性が得ら
れる事を明確に悟る事が出来たからです。

 最近、ヘッドフォンアンプを試作して見て、アンバランス伝送でも帰還アンプの安定度を極限まで
高め、且つRCA ピン接続ケーブルの2重シールドをきちんとアースに落とせば、かなりバランス伝送
に比肩すると感じていますが、それは寧ろ稀有な例でしょう。一般的にはノイズのキャンセル効果が
あるバランス伝送の方が有利である事に変わりはないと思います。

 そんな訳で今回新たに開発したWRヘッドフォンアンプは、音場特性が自然で聴きやすく仕上がって
います。これは癒し系サウンドには必須条件だと私は思います。此処で言う癒し系とは神経が休まる
と言う意味で、その為には出て来る音に無意識に感情移入が出来、心から音楽が楽しめる事が必要だ
と思います。強い刺激はないけれど出るべき音はきちんと聴こえる、特に中低音のある程度の厚みは
必須条件でしょう。

 これは特にスピーカーで聴いた場合の感じですが、ヘッドフォンでも基本的には決して耳の疲れる
ような音ではありません。ソニーの3つのヘッドフォンで聴くとソフト系の音に聴こえます。それは、
本当のところは分かりませんが、金属製と言うよりプラスチック製振動板の音のイメージです。高級
型のゼンハイザーで聴くと、これも本当のところは分かりませんが金属製振動板のような音がします。
つまりソニーに対して若干ハードでしっかりした音が楽しめます。どちらを選ぶかはそれこそ個人の
好みの問題かも知れません。

 さて、丁度東山さんのご投稿があった頃、また別のアイデアが浮かんで、その為のシャーシ加工を
していました。それはこのヘッドフォンアンプをプリとして使ったらどうかと言うものでした。その
為にスピーカー端子の傍にRCA ピンジャックを取り付け、出力から75Ωの抵抗を介して配線しました。
このヘッドフォンアンプは基本的にはパワーアンプですが、ローノイズ設計なのでプリとしても使用
可能だと思ったのです。

 ノイズは12uV (DIN AUDIO)です。WRのパワーアンプのゲインは20倍(26dB)なので240uV になるはず
です。実測したらピタリでした。この値は決して低くありませんが、余り厳しいことを言わなければ
実用的には使える範囲です。確かに、スピーカーに耳を着けると微かにハム音が聴こえますが、少し
離れれば殆ど検知不能です。このレベルはパワーアンプのアースの取り方が下手糞だと出る程度だと
思います。

 早速、WRP-Y100/BALやWRP-γZERO/BAL等のパワーアンプを鳴らして見ました。勿論基本的にはWRの
音ですが、何時ものプリとは明らかに違います。がっしりした力強い音です。パワーアンプとしては
癒し系ですが、プリとして使うとかなり力感に富んだ音に聴こえます。オマケに使える機能としては
結構なパフォーマンスを示します。

 アナログアンプの設計屋の勘からすれば、WRプリに対してかなり大げさな回路になっていますから
順当な結果のような気がします。出力段にTO-220型TRを使ったSEPPなんて大層なプリは、他には余り
例がないでしょう。前段回路も一種の2段差動で、プリドライブ段はカレントミラーになっています。

 こんな大げさなプリを最初から作る事は普通はしませんが、ヘッドフォンアンプは入力セレクタと
音量調節を基本的に有していますし、ノイズも相当低いのでプリとして使えるかも知れないと思った
のです。プリとして使えればそれだけ用途が増えていろいろな楽しみ方が出来ますし、より多くの方
に使って頂く事が可能になります。

 先日、このヘッドフォンアンプの用途を箇条書きに纏めましたが、今日は此処にもう一つ付け加え
させて頂きます。

用途:

1.ヘッドフォン用アンプ(8Ω~300Ωに対応、600Ωには少しゲインが低いので別途対応予定)

2.ニアフィールド用アンプ(ホーンシステムの高音用にも最適)

3.団地などで大きな音が出せない所で、小音量ながら実のある音を聴きたい方用アンプ

4.i-Pod等の携帯音楽プレーヤー用アンプ

5.4W程度の真空管アンプで十分な方の乗り換え用アンプ(真空管アンプとは違った魅力あり)

6.ゲイン約11dBのプリアンプとして使用する事も可能

 東山さんご希望のニアフィールド用アンプとして、机の上に置いてBGM を流したり休憩中に好きな
音楽を楽しんだり、また就寝時に枕元で眠気を誘う音楽を聴いたりと必ずご期待に添えるものにする
決意です。そうすれば、ご愛用のWRP-α6/BAL はメインシステムとして所定の場所でそのままお使い
頂けるでしょう。昔のユーザーの方からも電話で激励を兼ねて予約を頂いたりしていますので、この
ヘッドフォンアンプは是が非でも頑張って製品化を検討して参ります。又価格も5万円以下に設定し、
なるべく小型にする事もお約束致します。

 ご興味ある方は、3月初めに予定しているWRアンプ試聴会に是非ご出席を賜り、実際の音を聴いて
頂いて、このヘッドフォンアンプの魅力を肌で感じて頂きたいと思います。  

1066東山義徳さん(一般庶民) Wed Jan 13 16:35:07 JST 2010
[小型アンプ期待しています]

皆さんあけましておめでとうございます。

なにやら小型アンプを開発中との事で思わずキーを叩いています。

枕元用の、ラジカセ的なものを常々考えていまして、ポータブルオーディオ機器と
タイムドメインミニみたいな、アンプ付のスピーカー等でいくつか試してはいたのですが、
アンプ部が貧弱なものが多く、所詮WRアンプになれた耳では満足できないわけで、
WRP-α6/BALにスピーカー切り替え器を付けて枕元まで小さなスピーカーを引っ張ったりと、
あれやこれやとしております。

そんなわけでして、ヘッドホンアンプというよりも、自分としてはニアフィールドアンプと
して、とても期待しております。

会社のデスクにも、アンプ付スピーカーを置いていて、残業時には気晴らしに聞いてはいますが、
やはり音に満足できず、本気でWRアンプを持ってこようかと何度も思ったほどです。
でも自分の机の上には置けないしで、

我慢せずに良質な音がどこでも聞けるかと思うと、正直学生の時のようなワクワク感があります。

値段のことを言い出したらきりが無いのですが、個人的には、5万円までなら、即買いですね。
ただ小さいものほど、所有する喜びと言うのもあるので、ケースが価格も含めて要かななんて
思うしだいです。

とても興味津々ですので、是非いいものを期待しています。 

1065川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Tue Jan 12 18:40:00 JST 2010
ヘッドフォンアンプのその後について-その2

 ヘッドフォンで聴いてもスピーカーで聴いてもかなり音の纏まりが良くなったので、この辺りで
平野氏の方に送ろうかなと思っていた矢先、ちょっとした事が切っ掛けでまたまた手を入れる羽目
になってしまいました。

 それはRCA ピン接続ケーブルの問題でした。安く仕上げると言う事が頭に有ったせいか、今回は
RCA ピンジャックの傍にアース端子を設けていませんでした。最近はバランスばかりで聴いていた
こともあったのだと思いますが、ちょっと油断していたのかも知れません。アースを取らなくでも
大丈夫だろう、と大した根拠もなく考えてしまっていたのです。

 ところが、最初短めのWR製ピン接続ケーブルでずっと聴いていたのですが、スピーカーを鳴らす
為もあってアンプをスピーカーの傍に持って行ったのです。当然プリとの距離が大きく離れたので
自作の長いRCA ピン接続ケーブルを使ったのです。何と、音が全然違うのです。音が荒れて聴こえ
ます。「えっ」と思ったのですが、直ぐこれはケーブルの外部シールドの問題だと直感しました。

 慌てて短いクリップコードを取り出し、ケーブルの浮いていたアース端子をシャーシに接続して
見ました。案の定、音の荒れは劇的に収まりました。これまで散々その事に注意を払って来たのに、
バランス化してからケーブルの問題で悩まされる事が無くなっていたのでつい油断していたのです。

 急遽、シャーシに穴を開けてアース端子具を取り付け、今度はケーブルのアース端子をしっかり
接続して再び試聴して見ました。勿論大きな問題は無くなったのですが、今度は変な荒れが取れた
せいなのか音が物足りなくなってしまったのです。つまり音の荒れが考慮されて、パスコンの種類
とか値が決められていたのです。この辺りは非常に微妙な問題を含んでいます。短めのケーブルの
方が問題は少ないようですが、本質的にはやはり音質に影響してるようです。

 パスコンを入れる場所は少なくても2箇所あって一つは整流直後のブロックケミコンの所、もう
一つは基板上です。この2箇所のパスコンの入れ方で、音の荒れを取り音のバランスを形作ります。
パスコンには電解とフィルムコンデンサーがあり、フィルムコンデンサーにもポリエステルとポリ
プロピレンがあって、これらの組み合わせの妙味は一種の企業秘密です。唯、前回言及したERO の
1822型2.2UF/63Vを改めてパスコンにも使った事を申し述べて置きます。

 斯くして、音の荒れが減って1822型ERO による音の良さも出て本当に良い状態に仕上がりました。
翻って見れば前日までの音とは格段に良くなっていて、早まって平野氏の方に送らなくて良かった
と思いました。これまでは、それぞれのヘッドフォンの欠点が目立つように聴こえていたのですが、
改造後はヘッドフォンによる音のバラつきが減り、音の良さはそのままにそれぞれのヘッドフォン
の良さが出るようになった気がします。ソニーのMDR-Z600で聴くと、僅かに残っていたチリチリ感
も完全に消失したようです。長短2本の接続ケーブルによる音の違いも殆ど無くなりました。

 それではと、今度はスピーカーで聴いて見ました。今回はB&W805ではなくてQUAD Lite を使って
見ました。インピーダンス6Ωで能率は86dBですが、このエンクロージャからは想像出来ない低音
が聴こえます。深く沈み込んで行くコントラバスのピッチカートや、地を這うような大太鼓の響き
は特筆もので信じられないパフォーマンスです。このスピーカーは決して鳴らすのが容易ではない
のですが、非常に良いバランスで鳴ってくれます。それは厚みのある中低音に支えられているから
ではないかと思いました。

 音の安定度もこれまでのWRアンプに勝るとも劣りません。発振安定度に気を遣って高域補償等を
やり直しただけの事はあります。霞仙人さんがよく仰っていたジョンルイスの「平均率クラビーア
曲集第一巻」のトラック2も十分に安定して聴こえます。昔、コントラバスの低音やギターの音が
モコモコとしてるところに、不安定なピアノがビンビン響きながら重なって、耳を異様に刺激した
のがウソのようにスッキリと聴こえます。

 偶々息子が来たので又i-phone で何曲か再生して貰いました。CD再生とはまた違った魅力が一杯
に広がります。ソースはCDから一番軽い圧縮で取り込んだものですが、それが良いのか独特の癒し
サウンドです。だからと言って、普段聴く感じからそう遠くはありません。それなりにリアル感は
あります。しかし、決してトゲトゲした音はせず耳に優しく響きます。こう言う世界が有ったのか
と言う感じです。プリを使わずにこれだけの音が聴けるのなら全く世話要らずです。ヘッドフォン
アンプにもハイエンドの世界が広がっているそうですが、何か分かる気がします。

 携帯音楽プレーヤーを持っている方なら、そして適当なスピーカーがある方なら、移動しながら
聴く感じとはまた一味も二味も違った世界が楽しめます。聴き易さとリアリティが程よくバランス
した独特のプレゼンスです。勿論、イヤーフォンで直接聴くよりこのヘッドフォンアンプを通して
聴いた方が音が良くなります。理由は駆動(出力)インピーダンス特性が全然違うからです。音の
世界はどんな形容詞を使っても言い尽くせません。これは試聴会でも開いて実際に聴いて頂くしか
ないでしょう。今年の春は、一年ぶりに試聴会を開いて見ようかと目下計画中です。 

 結局「高帰還アンプはその出力インピーダンスの実部が如何なる周波数に於いても負にならない
と言う条件下で、その絶対値を如何に低く設計できるか」に尽きると思います。そうすればヘッド
フォンもスピーカーも完璧に駆動できますので、設計通りの音質が再現できるはずなのです。夢は
SEコン、ERO コン、BGコン級の部品を使い、しかも電源を安定化電源にしたヘッドフォンアンプを
作ったら一体どんな音がするのだろうか、等と大きく膨らんでいます。

 WRアンプユーザーの方も密かにWRアンプを狙っている方も、いろいろな用途が考えられるWR初の
ヘッドフォンアンプにどうぞご期待下さい。  

1064川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Jan 7 18:07:00 JST 2010
ヘッドフォンアンプのその後について

 暮れから正月に掛けて、音楽はずっとヘッドフォンアンプで聴いてきました。自己陶酔ならば
そろそろ飽きるところですが、このアンプにはやはりある種の「正解」が隠されているようです。
私はi-Pod の類を持っていないのでもっぱらCDソースをWRプリを通して聴いていますが、次から
次と「このCDはどんな風に聴こえるのかな?」と言う好奇心が芽生えて来ます。

 先日このヘッドフォンアンプの画像をアップしましたが、あの段階では所謂アンプの機能のみ
のシンプルな構成でした。しかし他人様に買って頂くには最低限故障時の危険を防止する回路を
搭載する必要があります。ショック音から耳やヘッドフォンを保護しなければなりません。勿論、
既発売のパワーアンプには何らかの危険防止回路が付属しています。

 この回路は半導体式オーディオアンプには必須なのでそれ専用のICが有ったのですが、これも
ご時世なのか既にディスコンになっていて、もう入手は難しいようです。そこでα1MK2やαZERO
に搭載している回路から、ヘッドフォン端子(SP端子)に直流が現れた時にヘッドフォンを切り
離す回路を抜粋し、新たにディスクリートで組み上げて基板化しました。それをアンプ基板の上
に2階建てで取り付けテストを繰り返しました。

 α1MK2やαZEROのように大パワーは扱わないので、より低い直流レベルで動作するように若干
の数値変更などを行い、専用のシャットオフ回路は完成しました。これで一安心です。何らかの
障害でヘッドフォン端子に直流(今回は最大で±12V )が現れても、瞬時にヘッドフォンを切り
離す事が出来ますので、大きな問題にはならないと思います。

 これでヘッドフォンアンプとしての体裁が整いましたので、もう一度総合的に音のチェックを
しました。先日の音質レポートでご紹介した3つのヘッドフォンに続いて、もう1つ、ソニーの
ヘッドフォンMDR-Z600が見つかりましたので今回はその試聴を兼ねて行いました。これも中級機
ですが、ハイエンドショウに参加した時にデモ向きかなと思って購入した経緯があります。

 それだけに先日試聴した3種のヘッドフォンに比べると少し音が派手に聴こえます。その意味
は高域が少し持ち上がっているような感じに聴こえると言う事です。よく言えば静電型のような
切れ味がありますが、アンプが悪いと高域の不安定さがモロに露呈してしまう感じです。判定は
スレスレ合格かなと言うものでしたが、出来ればスレスレでなくもう少し安定した音にしたいと
思いました。

 シャットオフ回路を組み上げている時から、アンプの何処を弄れば良いのか何時も気になって
いました。今回は安価に仕上げるために、SEコン、ERO コン、BGコン、進抵抗などは使えません。
先日も申し上げましたが、大体WRC-α2/FBALやWRP-α6/BAL に使う部品のグレードです。今回の
問題は、長年の勘で回路と言うよりは部品のグレードにあると思っていました。

 1ヶ所だけ大いに気になっている部品がありました。それは入力のカップリングコンデンサー
です。此処はERO を使えば問題ないのですが、他のコンデンサーを使うと多かれ少なかれ中高域
の音に癖が出てきます。今回は国産の積層フィルムコンデンサーを使っていましたが、過去にも
音の癖を大いに感じた部品です。出来ればERO に取り替えたい、しかし、ERO は価格と供給の点
で問題があります。

 散々迷った挙句に、例外的に未だ未だ在庫のあるERO の存在を思い出しました。それは1826型
より大型の1822の2.2UF/63V でした。これだけは何故か秋葉原に大量の在庫があります。基板の
装着寸法から食み出るので何処にでも使える訳ではないのですが、今回は幸いに入力部分で基板
の端です。端の余白を使えば十分に装着可能です。早速0.8mm のドリルで端子の穴を1つ余分に
開けたところ、上手い具合にスマートに納まったのです。

 早速試聴して見ました。案の定、中高域にあった不安定な音は見事に収まりました。不思議な
事ですが、オーディオではよくある事です。理論的には上手く説明のつかないことの一つですが
部品によって音が変わると言う事実は、やはり避けて通れません。たった一つの部品で音のグレ
ードはぐっと上がりました。今度こそ正真正銘のWRアンプの音です。何処に出しても恥ずかしく
ない音です。

 この中高域の癖は、スピーカーで聴いた時も少し気になっていました。小さい音なのに中高域
の音に、何処か神経に障る音が実はあったのです。今度はどうでしょうか、スピーカーから出る
音にもその癖は全くなく、今度こそ本当のWRアンプの音になったように思いました。音が小さい
だけで、100Wアンプ等で鳴らした場合に感じる音の力が感じられます。

 ミニパワーアンプによくあり勝ちな力のない、痩せた音ではありません。ティンパニーの強打
も、弦のテュッティも、深く沈みこむコントラバスのピッチカートも、皆、音が小さいだけです。
昔のアンプは、音を絞ると詰まらない音になるので、ラウドネスコントロールが必要だと言われ
ましたが、全くその必要はありません。真夜中の静寂の中で聴けば、オケの中で鳴っている全て
の音が手に取るように聴き取れます。

 気を良くして久しぶりにカラヤンの「アイーダ」(デッか盤)を聴いてみました。カルショウ
の真骨頂、古い録音ながら実に良く録れています。特に音楽としても第3幕は最高です。幕切れ
の盛り上がりは何と素晴らしい事でしょう。ベルディにもカラヤンにもカルショウにも脱帽です。
第四幕の地下の法廷と牢獄の場面に於ける、地を這うような大太鼓の響きも実に良く再現されて
います。勿論、複数の歌手が競い合っても綺麗に分離して聴き取れます。

 特に以前から少し気になっていたテバルディの端正で汚れのない美しい声質が、そのまま問題
なく聴き取れた事に感激しました。中高域に問題のあるアンプで聴くと、テバルディの声はとも
するとギスギスとした嫌な響きを伴う事が多いのです。今まで「本当にテバルディの声は美しい
のだろうか?」とちょっと懐疑的に思ったことがありましたが、今回、このアンプで聴いて見て
「やはり比較すべき適当な人が他に居ない程の美しさがある」と感心してしまいました。

 このアンプは新たにアンプ定数を決め直しただけあって、深い帰還が安定に掛かっている為に、
出力インピーダンスがかなり低く、適正にコントロールされているようです。適正と言う意味は
「インピーダンスの実部が如何なる周波数帯でも負になる事はない」と言う意味です。実部が負
になると過渡現象項である指数関数の肩が正になるので、一度起きた振動は収束せずに発散して
しまう事になります。これが過渡ひずみの原因となるのです。しかし特許回路を使わない通常の
高域補償法では負になることは、先ず避けられないでしょう。私の計算ではかなりの確立で負に
なってしまうはずです。この点が、伝統的帰還回路を採用した他社のアンプと本質的に相違する
ところで、過渡ひずみで汚れない遠近感のある音楽が楽しめるのです。
 
 これで後は平野紘一氏の方に送って具体的な製品化の検討をして貰います。なるべく安く仕上
げて貰って、出来るだけ多くの方に、幅広い用途で使って頂ける事を願っています。これまでの
WRアンプユーザーの方々には別世界の面白さを、未だWRアンプをお持ちでない方にはWRアンプの
本質をお楽しみ頂けるものと期待しています。


用途:

1.ヘッドフォン用アンプ(8Ω~300Ωに対応、600Ωには少しゲインが低いので別途対応予定)

2.ニアフィールド用アンプ(ホーンシステムの高音用にも最適)

3.団地などで大きな音が出せない所で、小音量ながら実のある音を聴きたい方用アンプ

4.i-Pod等の携帯音楽プレーヤー用アンプ

5.4W程度の真空管アンプで十分な方の乗り換え用アンプ(真空管アンプとは違った魅力あり)  

1063川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Dec 31 20:45:00 JST 2009
ウエストリバー初のヘッドフォンアンプの開発-その2

 今回はウエストリバー初のヘッドフォンアンプの音質を中心にお話します。このアンプの
開発時の至上命令であるローノイズは何故必要だったなのでしょうか。勿論、耳に至近距離
でヘッドフォンが接する訳ですから、スピーカーに比べてノイズが聴こえ易いので注意する
事は当たり前の話ですが、実は本質的な問題は他にあります。

 ノイズを下げるだけなら、ヘッドフォン回路に数100Ω 位の直列抵抗を入れれば、大抵は
解決できますし、安易なヘッドフォン回路は皆そうなっています。しかし、これは余り感心
した方法ではありません。何故悪いのでしょうか? そうですアンプの出力インピーダンス
が極端に上がってしまうからです。

 アンプの出力インピーダンスが上がると、ヘッドフォン振動板の制御が不能になり、垂れ
流し状態となってダンピングの聴いた音質は絶対期待できません。可動コイルから不可避的
に発生する逆起電力も野放しになります。それらが交錯して音質は濁ってしまうでしょう。

 スピーカーも同じ事ですが、ヘッドフォン単体では音質は確定しません。駆動するアンプ
の出力インピーダンスや安定性によって大きく影響を受けます。出力インピーダンスを下げ
るには、先ず直列抵抗を入れない事が大切です。だからアンプ自身がローノイズでなければ
ならないのです。その上でアンプには多量の帰還を掛ける必要がありますが、安定性を確保
する事も又重要な事です。WR製ヘッドフォンアンプは2つの特許回路で安定性は万全です。

 ではそのようなヘッドフォンアンプの音質はどうだったのでしょうか。最初に普段使って
いるWRC-α1/FBALの出力を用いて、日常よく聴いているソースをいろいろと聴いて見ました。
使用したヘッドフォンはソニーのMDR-F1です。耳に対する締め付けが少なく、長時間聴いて
いても圧迫感がありません。価格的には中級機と言ったところでしょうか。

 このヘッドフォンは音質的にも大人しく設計されており、その意味でも長時間聴き続けて
も耳の疲労は少ないのですが、今回のヘッドフォンアンプの音に無駄な刺激がないので一層
抵抗なく聴く事ができ、美しい音場が頭の中に広がります。B&W805MATRIXで聴く音より刺激
が少ないと言えます。その意味で少しもどかしいところがありますが、弦楽器の弱音による
微妙な倍音は非常に美しく聴こえます。

 そこでこれまで音が派手だと思い込んでいたソニーのモニター用ヘッドフォン MDR-CD900
に差し替えて見ました。期待は見事に外れ似たような音質で鳴ったのにはびっくりしました。
このヘッドフォンが派手に聴こえたのは、そのヘッドフォン回路に原因があったようです。

 初期のWR録音はこのヘッドフォンでモニターしていたのですが、正しくモニターできなか
った為か、再生した時の音が思っていたような音ではない事がよくありました。その原因は
このヘッドフォンと言うより、それを鳴らした、録音機材などに付属しているヘッドフォン
回路にあったと思うべきでしょう。このヘッドフォンアンプを録音現場に持ち込めば正しく
モニターが出来るに違いありません。

 次にヘッドフォンとしては高級機に属するゼンハイザーのHD-600で聴いて見ました。流石
は高級機です。音の輪郭がはっきりしていて、音の大きいところで音が崩れません。やはり
強力な磁気回路や高級な振動板は伊達ではないのでしょう。その意味でB&W805MATRIXで聴く
印象に近い気がします。

 息子は、ソニーのMDR-CD900 に代えてモニター用にこのゼンハイザーを購入したのですが、
ソニーではケバケバと聴こえていた音もナチュラルに聴こえて、モニターもやり易くなって
いたのですが、今回の試聴では寧ろゼンハイザーの方が中高音がスカッと聴こえるのです。

 つまり、これまで録音機材などに組み込まれたヘッドフォン回路で聴いて得た印象は全く
当てにならない、と言う事が分かりました。即ち出力インピーダンスの高い回路で駆動した
音は、それこそ出たとこ勝負であり、ヘッドフォン固有の音質などは隠されてしまうのです。
尚、ソニーの内部インピーダンスは32Ω、ゼンハイザーのそれは300Ω でした。同じ音量に
するには、かなりボリュームツマミの位置を変える必要がありましたが、どちらにも十分に
対応可能です。

 このヘッドフォンアンプはニアフィールドでスピーカーを聴く為にも使えるので、ヘッド
フォンを抜きスピーカー端子にB&W805MATRIXをつないで聴いて見ました。普段聴く音に比較
すると、聴きやすくちょっと癒し系の音に聴こえます。アンバランスなのに指向性が非常に
良くスピーカーの存在が気になりません。このアンプの過渡特性がかなり良い証拠だと思い
ます。マンションで大きな音が出せない方には打ってつけの音です。レストラン等のバック
グラウンドミュージックにも良いと思いました。

 ソースには、勿論WRプリからの信号も使いましたが、息子が持っているi-phone の信号を
主に使って見ました。i-phone のヘッドフォンジャックとヘッドフォンアンプのRCA 端子を
市販の接続ケーブルでつなぎました。息子がCDから入れた音源には適当な圧縮が掛けられて
いましたが、それが癒しサウンドにはピッタリで、これまで楽しんだことのないような音に
新鮮な魅力を感じました。

 ここで、またヘッドフォンに戻り、直接i-phone にヘッドフォンをつないだ時と、WR製の
ヘッドフォンアンプを通して聴いた場合の比較を行って見ました。これは何時も聴いている
息子に判定を任せました。一般的には、直接聴いた方が何らかのアンプを通すより音が良い
はずであると考えるでしょう。

 しかし、ちゃんと設計されたヘッドフォンアンプならばヘッドフォンアンプを通した方が
結果は良いのです。それは上述したように出力インピーダンスが十分低いアンプで駆動すれ
ば、ヘッドフォンはその本来の性能を発揮するからです。

 案の定、息子の感想はそれを裏付けるものでした。例えば、ティンパニーの強打は、直接
聴くと本来の音から掛け離れて、空中分解を起こしてしまうような、軽い音になってしまう
のですが、WR製ヘッドフォンアンプを通すと実演さながらの音に聴こえるそうです。ピアノ
の音も直接聴くと芯がなくアタック感などが不足して聴こえ勝ちですが、WR製ヘッドフォン
アンプを通すとピアノの音にリアリティが出て来るそうです。こんな小さなアンプなのです
が、音質のベースは列記としたWRアンプの音なのです。

 i-phone 等の携帯音楽プレーヤーの音は電車の中だから割り切って聴いていられるものの、
家で真剣に聴くほどの音には至ってなっていないと言う事ではないでしょうか。それがWR製
ヘッドフォンアンプを通せば、もっとしっかりした音で、音楽的にも楽しみながら聴き続け
られるのです。尚、i-phone の電話機能を殺すと、さらに音が良くなるそうです。その理由
はi-phone 内の余計なノイズが減るからでしょう。

 今回は安価で楽しめる事を目標の一つにしていますから、WRP-α6/BAL 並みの部品で製作
しました。i-phoneやi-podをお持ちの方は、プリを使わずに気楽に何時もとは違った魅力的
な音を楽しむことが出来ます。勿論、WRの既存のユーザーの方もプリからの信号を利用して
色々な楽しみ方が出来ます。WR製のヘッドフォンアンプに、どうぞご期待下さい。

 これまで私はヘッドフォンの音は確かに臨場感には優れているものの、音質そのものには
何か問題があると思ってきましたが、ちゃっと設計したWRヘッドフォンアンプを作って見て、
その偏見は見事に解消された気がしています。私自身もオーディオの別の楽しみ方が出来る
ようになり、次から次に「あのCDはどんな音がするだろうか?」と言う好奇心が湧いて来て
います。スピーカーでは余り楽しめなかったソースが意外に魅力的に聴こえたりします。

 春までには何とか発売したいと思います。安価だし、気楽に皆さんも一台如何でしょうか。
ユーザーの皆さん、WRアンプのご愛顧に感謝致します。良いお年をお迎え下さい。  

1062川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Fri Dec 25 15:50:00 JST 2009
ウエストリバー初のヘッドフォンアンプの開発-その1

 師走に入った頃、マスターズの平野紘一氏から「よければローノイズのヘッドフォンアンプを
作って見ませんか?」と言うメールを頂戴しました。其処には、ゲイン10dB前後でノイズレベル
を10~15μV に抑える事が条件だと書いてありました。

 これまで、パワーアンプαZEROにオマケのようにヘッドフォン端子を設けた事はありましたが
本格的に作った事はありませんでした。時間は幾らでもあるので、新種のアンプをひとつ作って
見ようかと言う気に久し振りになりました。

 彼の戦略の中には、景気の悪い時に高価なアンプはそう売れるものではない、低価格で出来る
ならWR製のヘッドフォンアンプも存在価値があるはずだと考えたのでしょう。私は技術的興味が
優先しましたが、それでビジネスが円滑になるのなら、それはそれで有り難い事だと思いました。

 ご承知のようにノイズレベルはアンプのゲインに比例します。WR製のパワーアンプはプリとの
兼ね合いからずっと26dBに統一して来ました。従って、ノイズレベルは決して低くなく、普通の
スピーカーで聴く範囲なら許される程度です。数字で言えば200μV前後です。ですからアンプの
ゲインを1/5~1/6 程度(-16dB)にすれば、単純に考えて33~40μV にする事は可能なのです。

 唯、これだけでは達成できないでしょうからある種の工夫が必要になりますし、ゲインを5倍
も殺すのは実は容易な事ではないのです。その理由はそれだけ帰還量が増える訳ですからアンプ
の安定性は悪化し、発振する危険性が十分に出てきます。アンプの安定性を十分に確保した上で
ノイズを抑えねばなりません。

 さて、アンプ基板から全く新規に開発するのは無駄が多過ぎますので、基板はSEPP用のものを
使う事にしました。その方がパワーTRにコンプリを用意する必要がなく、将来的に部品の調達が
楽になると言うメリットがあります。今回はTO-220型の松下製EMe パワーTRを使う事にしました。
但し、高域補償法は根本的に変える必要があります。

 ヘッドフォンアンプなのでパワーは殆ど必要ありません。ヘッドフォンは1mW で100dB 程度の
音圧感度がありますから本来なら1Wも必要ないのです。しかし、ヘッドフォンアンプだけに限定
してしまうのは勿体無いので、ニアフィールドで楽しめるように小音量でスピーカーを鳴らす事
も考えに入れました。そうすると3~4W 位は欲しくなります。

 以上の事から電源電圧を±12V にする事にしました。12V ならバッテリー駆動も行う事が可能
になり商品として幅が広がります。これまで30V以上で使ってきた回路を12Vにするには、要所を
適当な値に変更する必要が出て来ます。電圧が落ちても帰還量は増えるので補償も変える必要が
あります。

 先ずは発振したりしては元も子もないのでその事を最重要項目として検討を重ねました。何を
おいても安定度を確保する事が、結果としてノイズの目立たない質の高いアンプを生む事になり
ますので、最初はその事に集中してアンプの各回路定数を検討しました。今回はアンプのゲイン
が4倍程度になるので、昔大型計算機で計算した安定化電源の補償法が参考になりました。

 微小レベルからクリップまでどのレベルでも寄生振動が乗って来ないか、10KHz 方形波テスト
は大丈夫かなど、オシロで波形を見ながらアンプの安定性に問題が生じないように、各部の補償
コンデンサー等をやり直しました。

 一応、安定に動作するゲイン約11dB のアンプが完成しましたが、我が家には10μVオーダーを
測定できるノイズメーターがありません。これでは先に進むことが出来ません。そこで平野氏に
頼んで適当な中古測定器を探して貰ったところ、フルスケール10μV で各種ノイズフィルターが
備わった完動品を安く入手する事ができました。注目はDIN(AUDIO)規格です。これは可聴周波数
内に限定してノイズ測定ができるのです。

 早速測定して見ると思うように低くなっていません。40μV がいいところです。今度はノイズ
に集中して、回路定数を修正して行きました。ノイズに一番影響するのは初段です。鉄則はコレ
クタ電流を極力小さくする事です。唯、余り小さくすると音質がひ弱になりシャジ加減が難しい
ところです。其処で初段をパラレル接続にしてノイズを減らし、コレクタ抵抗を大きくして1石
当たりの電流を小さくする方法を取り、結果的に30μA 程度にしました。2個パラレルにすると
その平方根分だけノイズが減ると言われています。

 コレクタ電流以外でノイズが問題になるのは初段の入力インピーダンスです。この点に関して
はWRの特許回路が入るので、正直不利になっています。初段は差動入力です。信号が入る側には
4.3KΩが、帰還が戻る側には何と51KΩ が入っています。これを止めればノイズが低くなること
は分かっていますが、それではWR製ヘッドフォンアンプとは言えなくなります。

 そこで苦渋の決断でしたが、信号側の4.3KΩはそのままにし、51KΩは半分の24KΩにして見ま
した。この抵抗値を小さくし過ぎると、負性抵抗の除去が出来なくなりますし、低域の時定数が
小さくなって低音カットにつながります。出来たら、これでノイズが納まって欲しいところです。

 再度ノイズ測定を行いました。勿論、入力ピンはショートです。辛うじてDIN(AUDIO)で 11μV
になりました。ワイドレンジでは倍以上に増えますが、人間の聴こえる範囲内の値を重視する事
にして一応合格としました。この結果は外部の安定化電源を使った場合の値です。これを実際に
ケースに組み入れ、ヘッドフォンアンプとして完成させて見ないと本当のところは分かりません。

 急遽、適当なシャーシを購入し、突貫作業で穴あけをして一応プロトタイプを完成させました。
入力はRCA ジャック、出力はスピーカー用端子とフォンジャックです。音量を調節できるように
ボリュームツマミを設けました。トランスにはプリ用の小型カットコアを使い、整流直後に6800
μF を入れてそのまま電源供給しました。全体の大きさは突起物を含んで横220mm、奥行き200mm、
高さ100mm と言ったところです。

 さて、ノイズはどうなったでしょうか。ボリュームを絞り、恐る恐るスピーカー端子にノイズ
メーターの鰐口クリップを咥えました。大成功です。何と12μV と殆ど変わっていません。この
成果を平野氏に連絡しましたが、彼は俄かには信用してくれません。ノイズメーターのアナログ
出力をオシロで観測してハムが乗ってないか確認してくれ、と言うのです。勿論、ハムの成分は
殆ど検出されませんでした。

 彼が言うには「小型シャーシに普通の電源トランスを収めると、至近距離に基板が近付くので
多かれ少なかれハムを引く」と言うのです。常識では考え難いので敢えて質問していると言って
いました。使用したトランスには、一応銅のショートリングが嵌めてありますが、その程度では
普通は難しいとの事でした。

 この問題は、いずれ平野氏の方に測定を依頼すれば分かる事かも知れませんが、案外新装基板
に秘密があるのかも知れません。DIN(AUDIO)フィルターを通したとは言え、一応当初の15μV に
納まったプロトタイプが完成しました。基板の安定性は、WRの特許回路をフルに使っていますし
かなり自信があります。ローノイズで超安定と来れば、音質は十二分に期待できます。パワーは
4W/8Ωでした。これならニアフィールドでも楽しめそうです。ヒアリングの結果は次回にお話し
させて頂く予定です。どうぞ、ご期待下さい。

 尚、今回の「さよならセール」には既に何人かの方からお申し込みを頂きました。まだ、少々
余裕がございますので、お申し込みの意志のある方はお急ぎ下さい。一応期限は3月末日ですが
BGやERO の部品の関係から、台数に達した時点で締め切らせて頂く事があります。  

1061川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sat Dec 12 15:05:00 JST 2009
元祖WRのプリアンプとパワーアンプのディスコン予定と「さよならセール」のお知らせ

 長い間、WRアンプユーザーに支持されて来ました、WRC-α1MK2とWRP-α1MK2を近々ディスコン
にさせて頂く予定です。1998年の秋に電気通信大学で行われた「ベンチャー甲子園」での優勝を
機にラジオ技術の編集部を通してWRP-α1 を頒布させて頂いてから、かれこれ10年の月日が流れ
ました。1~2年後にはプリアンプWRC-α1 が発売になっています。

 それ以来、弱小ガレージメーカーとしては珍しくも2桁、プリとパワーを併せれば3桁の台数
がこの世の中に出荷されています。しかし、10年の節目を迎えて使用部品のディスコンと新しい
WRアンプの台頭でその存在価値が残念ながら薄れて来た事は否定できません。そこで取り敢えず
アンバランスのプリアンプWRC-α1MK2とパワーアンプWRP-α1MK2の2機種をディスコンにさせて
頂く事にしました。

 この2機種の組み合わせでWRアンプの礎を築いて来ましたので断腸の思いではありますが機種
を整理する意味もあり決心した次第です。これら2機種には、他社製には見られない高級部品が
使われて来ました。小容量コンデンサーには双信電機の超高価なSEコンを、中容量コンデンサー
にはドイツのERO コンを、そして電解コンデンサーには日本の誇るBGコンを、抵抗には進工業の
金属板抵抗を、パワー素子にはEMe 型パワートランジスタ2SD188/2SA627 等を使用して来ました。

 回路的には、高帰還アンプに不可避的に発生する負性抵抗を除去する為に、2つの特許回路を
組み込み、又パワーアンプのパワー段には、他に例を探すのが難しい安定化電源を採用しました。
この結果、これまでの帰還アンプとは一線を画す高音質が得られ多くの音楽ファンの心を捉えて
来ました。生楽器の音を忠実に再現すると言う意味でオーディオ的と言うよりは音楽的なアンプ
だと言えるでしょう。

 しかし、インフレが進み深刻な不景気が続くこの世の中では、スペック上遥かに有利で安価な
アンプが売り出されていますので、残念ながら、これらのWRアンプが真に理解される状況にあり
ません。またSEコン以外は全て廃品種になった部品ばかりです。一応、これらのアンプの使命は
終わったものと考えました。

 単なる思い付きで誕生した一過性のアンプではありません。それなりに実績のあるプリアンプ
でありパワーアンプですので、ディスコンにする前に「さよならセール」を行いたいと思います。
プリアンプWRC-α1MK2とパワーアンプWRP-α1MK2をオリジナル部品を可能な限り使い標準価格の
2割引きで、各限定3台お受けしたいと思います。ただし、下記に示すように入手不可になった
オリジナル部品を極力使用する為に、部分的にではありますが、実質的には問題はないセカンド
ユース部品が使われる可能性がある事をご了承下さい。

 お約束するパワーアンプWRP-α1MK2の使用部品

1.小容量コンデンサー:SEコン
2.中容量コンデンサー:EROコン
3.大容量コンデンサー:BGコン(ブロックケミコンはBHC)BHC:英国製
4.抵抗       :進→ニッコーム
5.パワートランジスタ:パワーアンプ→2SD180/2SA626(2SD188/2SA627の低耐圧品でEMe型)
           :安定化電源→2SD731/2SB695(松下EMe型)
6.電源トランス   :ホスピタルグレードの高級EI型トランス(橋本電気製)

 お約束するプリアンプWRC-α1MK2の使用部品

1.小容量コンデンサー:SEコン
2.中容量コンデンサー:EROコン
3.大容量コンデンサー:BGコン(一部RIFA、ブロックケミコンはBHC)BHC:英国製
4.抵抗       :進→ニッコーム
5.安定化電源パワートランジスタ:TO220又はTO66型EMe型パワートランジスタ
6.電源トランス   :静電・磁気シールド付きの高級EI型トランス(橋本電気製)

 お申し込みはウエストリバー・ショッピングサイトからお願いします。尚、価格が高くても
この際バランス型になさりたい方は、それぞれWRC-αMK2/FBAL、WRP-α1MK2/BAL を選択して
下さい。やはり2割引でご購入になれます。応募は3月末日までとし、お申し込み順から製作
を開始1ヶ月~1.5 ヶ月で納入(納入時にマスターズに払い込み)とさせて頂きます。部品の
在庫関係から、各3台で締め切らせて頂きます。

 上記の使用部品からお分かりのように、もう2度と入手できない部品を数多く使った価値の
あるアンプです。それが2割引でご購入になれます。この機会をお見逃しなくお願い申し上げ
ます。プリとパワーを同時にお申し込みの方には、特別にRCA ピン接続ケーブル(バランス型
をお申し込みの方にはバランスケーブル)と終端抵抗付スピーカーケーブルをサービスさせて
頂きます。保証は2年とし、我々2人が可能な限りのアフターサービスを行います。  

1060川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sun Dec 6 16:05:00 JST 2009
日フィル12月定期を聴く

 12月定期の日程は何時も早めに設定されている。それは定期を済ませて第9の演奏会に力を
注ぐ為だろう。今年の日フィルは18日から7回も予定されている。それはさて置き今月の出し
ものは「ブックナーの交響曲第5番」であった。指揮はブルックナーを得意にしているチェコ
の指揮者イルジー・ビュロフラーベックである。日フィルの首席客演指揮者でN響にも振りに
来ているはずである。

 プログラムは「ブル5」1曲だけである。長大な曲ではよくある事である。時間的にはやや
もの足りないが、さりとて他に何を組み合わせたら良いかと言う問題もあるし、私も1曲だけ
の方がスッキリしていると思う。楽団員もその曲だけに集中できるので演奏の密度も高くなる
ような気がする。

 ブルックナーの交響曲は日本の高度成長期と符合するようにファンを獲得していったように
思う。私はその高度成長期の始まりの頃に大学に入ったのだが、その頃にレコードカタログに
載っていたブルックナーの交響曲は私の記憶が確かなら、ワルター/コロムビア響の「4番」
クナッパーツブッシュ/ウィンフィルの「5番」それからカイルベルト/ハンブルグフィルの
「9番」くらいだったと思う。

 全て60年以前の録音である。勿論、海外ではもっと録音されていたはずであるが日本で発売
しても売れる目処が立たなかったのだと思われる。ブルックナーの交響曲の中で第5番は最初
の長大な曲でLP1枚には納まらないので、買う方は買い辛かったと思う。その頃私はもっぱら
新宿にあった中古レコード店で買っていたが、それでもクナッパーツブッシュのLPに手を出す
勇気がなかった事を憶えている。それには経済的な意味と音楽的興味の両面があったのだ思う。
だから、私が親しみ深くこの第5番を聴くようになったのはずっと後になってからであった。

 私のブルックナーの交響曲へのアプローチは、9番、8番、1番、3番、6番、4番、7番、
5番、2番の順だったような気がしている。だから正直に言って私に取ってこの第5番は少し
苦手意識があったのである。FMだか何かでちょっと聴いて違和感を持ったのだと思う。つまり
この第5番は、一般的なブルックナーのイメージから少しずれたところがあったのである。

 私が一番気になったのは、勿論、そのような事はブルックナーの交響曲には必ずあるのだが、
急に脈略のない音楽に飛んで行ってしまう、そんな印象が強く感じられた事だと思う。実際は
慣れてしまえば特に気にはならなくなるし、だからこその魅力もあるのだと割と最近になって
感じた次第である。ブルックナー好きには堪えられない交響曲だと言われる所以かも知れない。

 さて、生の演奏会の方はどうだったかと言うと、結論的に言えば大変素晴らしかったと言え
よう。コントラバスの下降音階から静かに始まるこの曲は深遠な壮大さ、厳格さを嫌が上にも
感じさせ、聴く者の心を捉えて離さない。直後に出る弦楽器の低音の擦れるような弱音はこの
上ない魅力である。オーディオ的に言えば、下降音階が正しく認識できるか、「んニョー」と
言うような弦独特の摩擦音がどの程度聴き取れるか、チェックポイントになるだろう。

 このモチーフは第4楽章で印象的に回帰する。フランクの循環形式に似ているが、大体この
曲は全体を通して似たようなメロディー、リズムが多用されている。総じて言える事は金管は
コラール風の厚みのある音を奏で、特にトランペットの輝きは眩いばかりである。それに対比
するように木管も妙なる響きを提供し上手くバランスを保っている。弦は強奏より弱奏に特徴
があって清楚な魅力と低音の何とも言えない柔らかさをふんだんに発散する。時たま行われる
ピッチカートも小気味良い。

 ブルックナーはマーラーと違って殆ど余計な打楽器を使わない。その代わりティンパニーが
ここぞと言う時に強打される。特にこの5番のティンパニーは魅力的である。この曲の編成は
トランペットが3本である他は標準的な2管編成であるが、もの凄く音が大きく聴こえる理由
は、金管の強奏にティンパニーの強打が重なるからであろう。それにしても、今回のホルンは
特に素晴らしかったと思う。不安定に外したと思われるところは皆無だったのである。やはり
トップの明らかな実力向上のお陰だろう。勿論、客演首席の外人トランペッターの音も浸透的
で安定していた事を付け加えて置きたい。木管も、弦も皆素晴らしかったのは、やはり1曲に
集中できた為ではないだろうか。

 勿論、それを統率したビュロフラーベックの指揮も高く評価されねばならないだろう。特に
変なアクセントを付ける事がなく、淡々としかし確実に曲をこなして行った手法は正解だった
と思う。この曲には、小細工は全く必要ないだろう。第4楽章が劇的に終了すると、指揮者と
楽団員を労う万雷の拍手が巻き起こったのである。


 翌日早速自分の「5番」を聴いてみた。私が現在聴いているのはヨッフムがバイエルン放送
響を指揮したもので、グラモフォンの全集の中の1枚である。私はヨッフムのブルックナーは
真摯で衒いのないところが好きである。これは多分ヨッフムの最初の全集で1番、4番、7番、
8番、9番をベルリンフィルが、2番、3番、5番、6番をバイエルン放送響が担当している。
曲想からオケをヨッフム自身が適宜選択したのだろう。ブルックナーはオーストリア人である
が私はドイツのオケが演奏するブルックナーが好きである。

 5番はこの中でも最も古く録音されていて、他の録音が60年代前半であるのに対して、この
録音は58年に行われている。この頃盛んにヨッフムはバイエルン放送響を指揮しており他にも
バッハの「ロ短調ミサ」等、この組み合わせによる名演が幾つか存在する。5番から録音した
と言う事は、ヨーロッパではこの曲の人気は既に高かったのだろう。

 さて、久し振りに5番を聴いて見たが、テープヒスが多少目立つものの、音自体は58年録音
とは思えない程新鮮さが感じられる。余程、最近のヘナチョコ録音よりましだ。多分、当時は
電磁環境がクリーンで電気的な問題が余り大きく影響しなかったのだろう。冒頭の下降音階も
正しく聴き取れるし、それに続く「んニョー」と言う弦独特の柔らかさもリアルに再現されて
いる。トランペットが潰れずに延び切って聴こえるし中々大したものである。古さが全くない
と言えば嘘になるが超HC-MOSの100WアンプWRP-γ100/BAL の立ち上がりの良さがそれを明らか
にカバーしている。

 元来、WRアンプは安定に動作する為に古い録音に強いが、特に超HC-MOSの100Wアンプはそれ
を上回る印象だ。詰まったり、引っ掛かったり、或いは潰れたりし難いので古い録音もサラッ
と聴ける。その点がEMe より多少有利なような気が最近している。マスターズを通してWRP-α
6/BAL の超HC-MOSバージョンがお買得価格で売り出されている。お試しに如何だろうか。  

1059川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Tue Dec 1 17:00:00 JST 2009
台東区立旧東京音楽学校奏楽堂の日曜特別コンサートに行って来ました。

 先日の日曜日に沢田千秋がプロデュースする台東区主催の日曜特別コンサートが、旧東京音楽
学校(現東京芸大)奏楽堂で行われましたので家族で行って来ました。ワンコインコンサートと
も言える気楽な演奏会なので、開演前には長い行列が出来る程の人気でした。

 これまで私自身は旧奏楽堂に縁がなく、今回が初めての体験でした。旧東京音楽学校は日本の
音楽教育の草分け的存在で、これまでに著名な音楽家を数多く排出し、それが東京芸大に脈々と
受け継がれて現在に至っています。奏楽堂は学内の音楽発表の場であったのだと思いますし、今
でも芸大生の公開での鍛錬の場になっています。

 中央に小ぶりなパイプオルガンが設置されていますが、舞台は小学校の体育館より狭い感じで
客席も400 弱といったところでした。勿論、質素で瀟洒な木造であり、暖房は懐かしいスチーム
式でした。重要文化財にも指定されていて、館内には旧東京音楽学校時代の貴重な音楽的資料が
数多く展示されています。

 今回の演奏曲目は

0)番外 沢田千秋のピアノによるグリーグの「ホルベアの時代から」前奏曲

1)ピアノ連弾による交響曲演奏

 a)チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」から第3楽章

 b)ブラームス交響曲第1番から第4楽章

2)ソプラノ独唱によるフランス歌曲

 a)ピアフ作詞 ばら色の人生

 b)フォーレ 夢のあとに

 c)サティ あなたが欲しい

3)メンデルスゾーンピアノ三重奏曲第1番

でした。

 最初にプロデューサーとして沢田千秋が名刺代りにピアノで演奏したグリーグの「ホルベア
の時代から」の前奏曲は、普段弦楽合奏で聴くこの曲の魅力とはまた違った新鮮さがありお客
さんには大変良い収穫になった事と思います。何でも楽譜の出版が間に合わず、グリーグ自身
がピアノ版を書いて演奏したようです。

 ピアノ連弾は、この夏に東京芸大内第6ホールで演奏されたものと同じ奏者で、私は生では
2回目であり、録音ではこれまで何回となく聴いてきました。流石芸大の学生さん達だと思う
程の演奏でした。楽譜はどちらも作曲者自らが書き下ろしたもので、その点普段オーケストラ
で聴いている音楽と違和感はありませんでした。

 ピアノの音は少々物足りない気がしました。このホールの特徴らしく舞台が非弱なせいなの
か、音が床下に抜けてしまいその分客席の方に来難いのです。強烈な打鍵の割りにもどかしい
感じが付きまといました。それは、第6ホールで録音した音をスピーカーで再生した時の方が
よりリアルに聴こえ、その音バランスで耳が慣れていた事にも依るのでしょう。それにしても
ピアノ連弾による交響曲鑑賞も捨てたものではありません。

 休憩を挟んで、芸大出身で二期会所属のソプラノ歌手上田由紀子によるフランス歌曲が披露
されましたが、その声量には吃驚しました。ピアノ連弾の音ではもどかしさを感じたのですが、
豊かな倍音を含む声質は独特で、遠く離れた客席にトランペットのように浸透してくるような
感じでした。これならマイク無しで十分大ホールで声を行き渡らせる事が可能だ、と感心して
しまいました。訓練すれば人間の声も凄いエネルギーを集中させる事が出来るのだと、改めて
悟りました。この事は生演奏で聴く事によって初めて理解できたのでした。息の合ったピアノ
伴奏は沢田千秋が受け持ちました。

 「ばら色の人生」は元々シャンソンですが、最近ではテレビのコマーシャルの中で使われて
いる、サッチモの歌とトランペットでお馴染みだと思います。哀愁に富んだ名曲だと思います。
次の「夢のあとに」はチェロのレパートリーとしてよく演奏されますが、フォーレ独特の癒し
が感じられます。最後のサティの「あなたが欲しい」はサティの中でも親しみ易いメロディで、
聴いて見れば誰でもが「あっこの曲か」と思う名曲です。終わって見れば、もっと聴いて見た
かったと言うのが本音でした。これならワグナーのブリュンヒルデも歌えるのではないか、と
思った程です。

 引き続き、メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番に移りました。この曲は9月に横浜の
みなとみらい小ホールでも演奏されましたが、今回は、チェロが寺井つねひろから間瀬利雄に
代わっていました。バイオリンは小池弘之、ピアノは沢田千秋で変更はありませんでした。

 私はこれまでピアノ三重奏曲と言うと、ベートーベンの「大公」ブラームスの第1番と2番、
シューベルトの第2番、チャイコフスキーの「偉大な芸術家の想い出の為に」ドボルザークの
「ドゥムキー」等をよく聴いてきました。どう言う訳かこのメンデルスゾーンは聴くチャンス
に恵まれ無かったのです。みなとみらいでの演奏会が行われる事になって初めてCDを買ったの
でした。

 それ以来何回と無く繰り返し聴いて見て、成る程この曲もいい曲だと思うようになりました。
今回の演奏会でも曲の展開が読めるので楽しく聴く事ができました。曲の深みには欠けるもの
の、メンデルスゾーンの明るさと小気味良さが感じられる佳曲です。演奏も最初は多少堅さが
見受けられましたが、曲の進行と共に演奏者間のコミュニケーションが取れて、アンサンブル
もこなれて来たと思います。特に、弦の微妙な弱音のハーモニーには、生ならではの新鮮さが
感じられたと思います。この曲に於けるピアノの音は丁度良いバランスだったと思います。

 これだけの音楽が楽しめて、ワンコインは安過ぎではないでしょうか。聞くところに依ると
演奏者は手弁当だそうです。それでも音楽を楽しくやっていたいと言う音楽家の方達の熱意が
伝わる演奏会でした。


 さて、最近、市販の優秀録音を聴いて思ったのですが、どうも優秀録音の中には「化粧」を
施したものが結構あるのではないかと思い始めたのです。今まではそれはある意味当たり前で、
取り立てて気にならなかったのですが、横浜での録音をずっと聴いていてふと市販の優秀録音
を聴くと生録とは異質な魅力を感じるのです。それは、低音と高音を適度に上げて、多少ドン
シャリ気味にしているとか、うっすらエコーを掛けてライブ感を出してるとかそんな感じです。

 先日の演奏会でも、一ヶ月に一度行ってるサントリーホールの中央最上席でも、そんな感じ
には絶対聴こえません。ある意味、もっと大人しく地味に聴こえます。勿論生の音は出るべき
時にはバシっと出ますが、のんべんだらりんと高音が出てるとか、低音が常時タップリしてる
とか、そんな風には聴こえないのです。当たり前の事ですが、低音楽器が鳴ってなければ低音
は一切聴こえません。良くも悪くも楽器が固有に有する音以外は絶対に聴こえて来ないのです。

 オーディオは生演奏会とは違って視覚的要素がないので、ある程度は派手に音を造らないと
音として楽しめないことは分かるのですが、余り度が過ぎると「いい音だな」と感じるよりは
その誇張が鼻に着いて、嫌らしく聴こえる事にもなり兼ねません。この事はアンプシステムに
ついても言えることです。

 即ち、アンプで音の色付けをしてはならないと私は思うのです。WRアンプは高忠実度再生を
目指しているので、余計な音が付加されないように、原信号を忠実に増幅するように留意して
います。だから音色を変えてしまうような部品は使う事が出来ず、結果として高価なアンプに
なってしまうのです。しかし、その甲斐あってかWR録音をWRアンプで聴いた時、現場で聴いた
音色と本質的な変化を感じません。先日の演奏会でその事がはっきり確認出来た気がします。

 それは、横浜で録音したメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲を、家で何回となく聴いて耳に
残った感触と、先日の演奏会の現場で聴いた時の感触との間に、殆ど違和感を感じなかったの
です。勿論、ホールの音響効果の違いから倍音の聴こえ方が多少違うとか、ピアノの音が少し
大人しいとか、そう言う違いは感じるのですが、全体から受けるトータルな印象には大きな差
はなく、耳が慣れると本質的な相違は何も感じないようになりました。

 この事からWR録音も正しく現場の音を捉えているし、WRアンプもそれを正しく再現している
と言えると思います。モニターSPに使っているB&W805MATRIXも色付けが無いと言えるでしょう。
オーディオを始めた時は、自分の再生装置から出る音が余りにも現場で聴く生の音と違うので、
その都度、衝撃、反省、後悔、諦め、を感じて来ましたが、苦節40年でやっとこの事から開放
されたような気がします。

 この、衝撃、反省、後悔、諦めとは生の音を聴いてショックを受け、自分の装置は駄目だと
反省し、あんな物を買わなければ良かったと後悔し、もうどうしようもない、と途方に暮れて
諦める、そんな事を意味しますが、地道な科学的アプローチによってオーディオの大きな問題
を、一つ解決できたのではないかと自負しております。オーディオに対する趣旨が同様の方は
どうか安心してWRアンプをご購入下さい。

 最近科学予算を近視眼的にカットする事が行われているようですが、このように科学の成果
が確認できるようになるには、何十年も先になる事が往々にしてあるのだと言う事を仕分け人
の方達にも理解して貰いたいと思います。曲がりなりにも科学の道を歩んで来た者として私も
一言もの申したいと思います。バーバリアンと言われても仕方がないと思いました。  

1058川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Nov 26 17:01:00 JST 2009
大内さん、ご投稿ありがとうございます。

 この度は、WRの安定化電源駆動の高級フォノイコラーザーWR-αPH/RDから、WRの最高級プリ
WRC-α1MK2/FBAL へアップグレードして頂き、結果として管球式プリをソリッドステート式に
置き換えられてのご感想を頂戴して、大変有り難く思っております。

 あれからもう1ヶ月が過ぎて本当に月日の経つのは速いものだなと感じております。その後
お便りが無かったので「便りの無いのは元気な証拠」と思っておりましたが、大変ご満足頂い
たご様子で、私も非常に嬉しく感じております。

 よく経験することですが、何か新しい機器を投入した時は一時的に音が良くなったと思うの
ですが、少し聴いていると耳が慣れて、結局「元の木阿弥」になる事が多いものです。それは
問題が本質的に解決していない場合に多く起こります。オーディオとはこの繰り返しなのでは
ないでしょうか。

 それでもその過程を楽しめば、それはそれとして良いのかも知れませんが、私は余り賛同で
きません。その理由は本質的な問題を含んでいる機器を使えば、何時になっても根本的な解決
が出来るはずがないからです。即ち、一時的には耳が誤魔化されても何時かは又その本質的な
問題が浮上してくるからです。

 そう言う過程を楽しむのがオーディオと言う趣味だと仰る方が居られるなら、それはそれで
良いと思いますが、本当は音楽を気持よく楽しみたい、と思っているのでしたら、それは大変
悲しい事だと言わざるを得ません。WRアンプの啓蒙運動をしているのも、実はこうした問題に
疑問を感じているからであり、一人でも多くの方に無駄な投資をしないで音楽を心から楽しん
で頂きたいと常々願っております。

 少し口幅ったい言い方ですが、大内さんがWRプリの導入により音楽を気持よくお楽しみ頂け
るようになられて本当に良かったと思っています。ちょっと水を差すようですがこれでパワー
アンプもWR製になれば、さらに問題点が減り、より音楽に没頭できるようになると拝察します。

 では、少し具体的に大内さんの仰った事をご説明させて頂きたいと思います。先ず大内さん
がお使いになった「駆動力」と言う言葉です。非常に的を得た良い表現です。即ちプリにしろ
パワーにしろ、アンプは後段に接続される機器等を完璧に駆動する必要があります。

 もっと言えば、後ろに接続されたアンプやスピーカーなどから絶対影響を受けてはならない
のです。その為にはアンプの出力インピーダンスは限りなくゼロに漸近させる必要があり同時
に、ゼロを通り越して高周波領域で負に陥らないように工夫する事が大切です。無帰還アンプ
は負になる事はありませんが、ゼロまでにかなり間があり、その意味で駆動力不足になります。

 一方伝統的な高帰還アンプは可聴領域では十分ゼロに漸近しますが、高周波領域で必ず負に
反転してしまい、アンプの系が不安定になり、これも結果的に駆動力不足になってしまいます。
この場合は駆動力不足だけでは納まらず、耳につく異常音を多く発生します。これが伝統的な
高帰還アンプが、例えば音が堅いなどと言われて嫌われた理由です。その結果、それを避けて
無帰還、又はそれに近い管球アンプに流れた、と言うのが実情ではないでしょうか。

 その点WRアンプは大型コンピュータを使って長年計算して来た結果、負性抵抗の回避に成功
した高帰還アンプであり、不安定になることは無く出力インピーダンスを全帯域でゼロに漸近
させる事に成功した、世界でも稀有なアンプなのです。だから、駆動力がありながら嫌な音が
殆ど出ないのです。その結果、音楽を心から楽しめるのです。その意味でWRアンプは単なる石
(ソリッドステート)のアンプではない事を、この際改めてご理解頂きたいのです。

 次に「音に包まれる、音が回り込んで来る」と言う表現ですが、これこそアンプの過渡特性
の良さを証明する現象に他なりません。負性抵抗を内包する等して過渡特性が悪いアンプでは
スピーカーが鳴っている事がモロに分かり、音がスピーカーに貼り付いてとても音に包まれる
と言うような感覚にはなり得ません。

 大内さんが「音色が少々きつい」と言われていますが、これはある意味正解なのだと思われ
ます。つまり、実在の楽器は至近距離で聴くと、フォルテでは皆きつい音を出します。ピアノ
然りバイオリン然りです。逆に言えばきつい音の出ないアンプは本物ではありません。ただし
その「きつい」音がアンプの過渡特性の悪さから出ているのであれば見逃す事はできませんが、
大内さんは「音楽を掛けるとそんな事は忘れてしまう」と仰っています。つまりこれは人工的
なきつさではなく、ごく普通の音楽に溶け込んだきつさなのだと思います。

 そのきつい音が本物かどうかの判定は、逆にそのアンプから、もの凄い柔らかい音が出るか
どうかです。現実のオーケストラの音はきつい音も勿論ありますが、真綿のようなエーテルが
漂うような、ふぁっと浮いた柔らかい音がよくします。その柔らかい音が、同時に再生出来て
いれば問題はないでしょう。

 大内さんは、エコー感(ホールトーン)と直接音の矛盾のような事をお感じになって居られ
るご様子ですが、これは視覚のないオーディオでは仕方ない事だと私は思っています。その上、
ホールと家庭のリスニングルームではディメンジョンが大きく異なります。ですからホールで
録音してきた音を家庭で聴いた場合、何処かに不自然さが出るのは止むを得ない事だと思うの
です。大切な事は、如何にホールで聴いているかのような錯覚を覚えられるかどうかだと思い
ます。

 さて、大内さんは当初管球式無帰還アンプでお聴きになられていたと思いますが、多分上述
したような、駆動力不足をお感じになられたのでしょう。ある意味、当然の帰結かと思います。
「癒し」に徹して無帰還又は低帰還の管球アンプをお使いになるのなら分かりますが、リアル
オーディオにはやはり無理があるでしょう。その事は初めから推察出来ていましたが、ご本人
がお気付きになる事が何より大切だと思い、敢えて言及致しませんでした。

 その結果、管球式アンバラプリで聴いていた時には評価されなかったメーカー製プリメイン
アンプのパワー部が、WRプリによって蘇生したとのご報告、確かに良質なバランスプリで駆動
すればある程度のパフォーマンスが得られるようになると思います。それはプリに「駆動力」
があるからであり、後ろに接続されたパワーアンプに影響され難く、パワーアンプ自身も本領
発揮できたからだと思います。

 また普段使われていたスピーカーを能率の良いスピーカーに変えられたとの事ですが、多分
「難しいSP」と仰っておられるように、これまでのプリでは上手く鳴らずにお倉入りになって
いたスピーカーだと思われます。「汚れた音が出ない」WRプリを使う事によって、鳴らすのに
難しいスピーカーをも蘇生できたようで、本当にご同慶の至りです。

 これだけの結果がついてくれば「凄い・こんな世界があったのか」と言う驚きも至極当然の
ような気がします。WRプリは高価ですがそれに見合うだけの価値ががあると言う事がお分かり
頂けたものと思います。このプリと回路も部品も同等な輸出バージョンのプリが、アメリカで
高い評価を受けている事実からも、音質的には、世界レベルのプリを所有したと思って頂いて
構わないと思います。

 最後にCDの音がLPに対して今ひとつのようですが、仰るように「機器のマッチング」と言う
事も広い意味ではあると思います。CDプレーヤーはデジタルノイズを出しますし、プレーヤー
内部のオーディオ回路の動作と電源の電磁環境の問題も絡んで来ます。その点LPはそのような
問題があまり有りませんし、高域限界が可聴域の外まで延びているので大変有利なのだと思い
ます。

 一挙に全ての問題が解決してしまうと「機械寄り」な大内さんの楽しみがなくなってしまい
ますので、パワーアンプの問題と併せて今後の課題として頂ければ幸いです。大内さんが仰る
ように「パワーを生かすも殺すもプリ次第」と言うのは案外正しいかも知れません。未だプリ
を揃えていない方、プリをバランス化されていない方はこの際、是非計画の遂行をお勧め致し
ます。

 どうですか、あなたは不景気でお金がないと言う理由を挙げて、まだ不完全なアンプを買い
続けるのでしょうか? 良い事が分かっているものを買うのはスリルがなくオーディオ的には
詰まらないのかも知れませんが、本当に音楽を気持よくお聴きになりたいのであれば、ここは
高価でもそれだけの価値のあるアンプを買う方が得策だと思うのですが如何なものでしょうか。  

1057大内さん(一般) Sat Nov 21 23:50:10 JST 2009
フォノイコをバランスプリに変更して1ヵ月程経ちました。

聴くたびに掲示板でどう表現したらうまく伝わるか、を考えてましたが良い表現が
まとまりませんでした。
私はどちらかというと音楽より機械寄り=オーディオファンですのでここの方達には
受け入れ難いかと思います。ご了承ください。

総じて、凄い・こんな世界があったのかってな感じです。
第一印象は駆動力、というのか低音の出方です。今までは「どすん」が床と繋がって
曖昧(本来演奏会では地響きのような低音は無いと思ってます)だったのが、
「ばん」という感じで低音の空気感?とともに中に浮いて軽く中高音と一緒に=低音が
遅れず出てきます。
最近なじんできたのか、音楽に包まれる感じが出てきました。LPでは音が頭の上の方と、
私の両サイドに回りこんできます。暗くして聴くと宇宙に浮いてる感じ(もちろん
行った事はありません)になります。私はこれを一番重視します。残念ながらCDでは
正面にのみ広がります。ここは賛否が有ると思います。
音色は川西様も言ってたと思いますが、少々きつく感じます。私の唯一の不満ですが、
音楽を掛けるとそんなこと忘れてしまいます。
エコー感(ホールトーン?)は私の拙い記憶では、ホールの後ろではあんなにはっきり
聞こえずかといって前では直接音が強くエコー感は無かったと思います。それに
楽器を分析的に聴くと席ではなく演奏をステージに立って=演奏者の間近 で聴いてる
感じです。

当初真空管パワーに繋いで聴きましたが、試しに市販の国産プリメインのバランスに
繋いだら本領発揮という感じです。今までアンバラで聴いてたのですが、能力の半分しか
出してなかったと思います。バランスアンプをアンバラで聴いてたのではもったいない、
それでアンプを評価されたらたまんないなーと思います。

少し能率の良いスピーカーを使ってみました。難しいSPですが、汚れた音が出ませんので
音楽が生き生きします。これはこれで良いものがあるので、漠然とですが高能率SPを
探してます。なんかいーの無いかなーぐらいです。

オタクな希望ですが、VRをアルプスの超高級品にしたら面白いかと思いました。
私はVRつまみが2個でもいいと思ってます。

やはりパワーを生かすのはプリアンプだと思います。それでずっとプリアンプを
検討してきました。ホントはラインアンプ追加でCDの音質アップを狙ってたのですが、
まったく逆でLPがさらに良くなりました。機器のマッチングと思います。

川西様 平野様お世話になりました。  

1056川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Nov 19 16:00:00 JST 2009
昔作成したデモ用CD-Rの音を久し振りに聴いて見ました。

 先日、WRアンプの最高スペックである輸出用ブランドによるアンプシステムと、ある国内
スピーカーとの相性テストが行われその判定に立ち会う機会を頂きました。そのスピーカー
は国内では余り知られていませんが、外国では既に確固たる実績があるものでかなり高価な
スピーカーです。そのリスニングルームにお邪魔させて頂きました。

 来春のラスベガスのCES でデモを行う為の予備実験でした。少しでも良い音で聴いて貰う
為には未然の準備が大切なのです。WRアンプは正統的な設計思想をもつスピーカーであれば
必ずマッチするはずですが、やはりオーディオは音を聴いて見ないと何とも言えません。

 接続ケーブルやスピーカーケーブルで音が歪められることもありますので、全てWR推奨の
ケーブルを使わせて頂きました。また、音源ソースも何時も聴いているものを持参しました。
ですからお借りしたものは音質的に全く問題のない高級CDプレーヤーと当該スピーカー及び
広いリスニングルームです。AC電源までは無理を言うわけには行きませんので、お任せ致し
ました。即ち、常識的に可能な限りの条件を整える事が出来たのです。

 こうなれば変な音が出るはずもなく、広大なリスニングルームは豊かで切れのある、輝か
しい音で埋め尽くされました。聴いている者を皆ハッピーにさせるそんな音でした。これが
オーディオの醍醐味、真の目的でしょう。ブランドホルダーの方スピーカーをご提供になる
方、そしてアンプ開発者の私の三者は勿論依存があるはずもなく、この組み合わせのデモが
来年早々アメリカで行われる事になりました。

 私は持参したソースを次から次に聴かせて頂いて、ソースの中には普段自分の装置からは
聴こえないような音が聴こえるなどして、大変良い経験をさせて頂きました。私が一番吃驚
したのは芸大で録音したピアノ連弾でした。中高域の切れは兎も角も左手のかなり低い音域
の音が、何とも自然に聴こえるではありませんか。中低域から低域に掛けての豊潤な響きは
正にグランドピアノそのものです。軽いコーン紙を強力な磁気回路で駆動するスピーカーで
しか達成できない自然な低音だと思いました。ついでに言わせて頂ければそのスピーカーを
完全に制御できるパワーアンプだったからこそ、聴こえた音なのではないかと思います。

 こうしてお見合いは成功裏に終わったのですが、私は宿題を申し付けられてしまいました。
それはデモ会場で使用するソースの作成でした。デモ会場はごった返します。CDをとっかえ
ひっかえするのは大変ですし、お客さんを必要以上に待たせてしまいスムーズな進行が出来
ない事があります。出来ればデモ効果の高いトラックだけを抜き出してCD-Rに纏めて置けば、
ここぞと言う時にタイムリーなソースを再生する事ができます。

 それで思い出したのですが、WRアンプのデモをやり始めた時に、同じ理由で何枚かのデモ
用CD-Rを作ったことがあるのです。しかし最近は全く使用してなかったので何処にしまった
のか、いろいろな所を探してやっと見つけ出しました。作成年月日を見ると1998年代のもの
が殆どでした。1998年と言えば、最初のWRアンプがラ技の編集部を通して頒布された1年前
の年です。ちょっと信じられないのですが、未だWRアンプの試聴会も行われていない時から
デモ用CD-Rは用意周到に作られていたのでした。

 早速10年ぶり、少なくても数年ぶりに聴いて見たのです。ソースは自分のCDが半分、息子
のCDが半分くらい使われいたと記憶しています。息子のソースにはカンゼル/シンシナティ
ポップスのようなテラーク録音が多く含まれているようです。私は普段殆ど聴かないけれど、
聴いて見ればオーディオ的には非常に魅力あるソースが含まれていました。

 昔作成した時にも、勿論それなりに良い音だとは思ったのですが、今改めて聴いて見ると、
当時と同じスピーカー且つ同じリスニングルームで聴いたにも拘らず断然印象が良いのです。
その時は多分頭の中で良い音だと思ったのでしょう。しかし、今は心の底からそう感じるの
です。この違いは一体何なのでしょうか。やはり、音全体が安定したからなのではないかと
思いました。生楽器の音は幾ら音が大きくなっても音は絶対的に安定しています。

 音が安定した理由は

1.バランス伝送になった事。

2.ハイパワー化(100W)した事。

3.音の立ち上がりが良い超HC-MOS素子を新たに使った事。

この3点が考えられます。やはり10年掛けてWRアンプは着実に進歩したと思いました。音が
変わる事は、特に昔からのユーザーの方に取っては必ずしも歓迎出来る事ではないかも知れ
ませんが、音質の方向性は全く同じです。そう言う意味では本質的な違いはありませんので、
どうかご安心下さい。

 今の音で取り敢えず満足しているが、もう少し安定感があって立ち上がりの良い音が手に
入ればとお思いの方は、是非一度進歩した超HC-MOS素子使用のWRパワーアンプを聴きに来て
下さい。新規の方もどうぞ遠慮なくお申しで下さい。お待ちしております。  

1055川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sat Nov 14 16:23:00 JST 2009
日フィル11月定期を聴く

 今月はオールベートーベンプログラムであった。コリオラン序曲、交響曲第4番、休憩後
に交響曲第5番である。指揮はオーストリア生まれで主にドイツ、オーストリアで活躍中の
中堅マルティン・ジークハルトである。

 近年ベートーベンの交響曲等は四管編成で演奏される事が多く、我々もそれに耳が慣れて
いる。例えば、典型的な指揮者はカラヤンやバーンスタインである。しかし今回は純然たる
二管編成であった。コントラバスも6人であったし、多分その他の弦のプルト数も減らされ
ていたと思う。言い換えればトラを頼まなくても自前で全て賄える編成である。

 また、指揮者の好みであろうがオケの配置がジャーマン方式であった。以前にも書いた事
があったと思うが私はこの配置を余り好きになれない。音響的に、あるいはオーディオ的に
音のバランスが良くないと思う。左から、コントラバスの極低音とチェロの低音が聴こえて
来て、其処に第1バイオリンの高音が唐突に乗ってくるのはどうも不自然に聴こえる。即ち、
内声部がすっぽり抜け落ちた低音と高音だけの音は、私の耳には決して心地よくは響かない。

 オケの音がシャきっと聴こえる為の基本はバイオリン群の纏まりと切れであろう。それが
左右に分断されているので、どうももどかしく聴こえる。確かに第2バイオリンが右に居る
事で普段気が付かない第2バイオリンの動きが分かり易くなる事は分かるのだが、第1第2
バイオリンの纏まりを欠いてまでやる価値はないと私には思えて仕方がない。やはり近年に
なって、殆どのオーケストラが第1と第2バイオリンを隣に配置しているのにはそれなりの
理由があるのだと思う。

 それに右側には運命の第4楽章を除いて、主に内声部を受け持つ第2バイオリンとビオラ
しか居ないので、左に音のエネルギーバランスが偏ってしまうのである。そんな事もあって
何時もの日フィルの音とは違って、慣れるまでかなりの時間が掛かってしまった。要するに
音がすっきり聴こえて来ないので、演奏までもがそんな風に聴こえてしまうのである。

 生の演奏会に限らず、オーディオでも音が悪ければ演奏まで下手糞に聴こえてしまうのは
私だけであろうか。SPとか歴史的名演とかを聴いて「素晴らしい演奏だ!」と褒める評論家
が居るが、音が混濁した状態で、アンサンブルの緻密さ楽器の倍音の出方や内声部の細かな
ニュアンス等分かるはずもなく、どうして名演と決め付けられるのか何時も不思議に思って
いる。多分自分の耳で、都合よく補う能力に長けているのだろう。音の質と演奏の良し悪し
は不可分だと私は信じている。だからこそ原音再生を目指しているのであるし、その前提と
して、演奏された音を忠実に録音する事が大切になって来るのである。

 話を元に戻して、ジャーマン方式の音は良くも悪くも地味に聴こえる。良く言えば燻し銀
の音、悪く言えばすっきりしない雑な音である。前者の代表格はドレスデン国立管だろうか。
そう言えば、コンビッチュニー/ゲバントハウス管もそうだったのかも知れない。そこまで
レベルが上がればジャーマン方式も良いのだろうが、慣れないオケが偶に試みても絶対成功
するはずはないと私は思う。

 そんな訳で、前半は殆ど興奮を覚えるような演奏には聴こえなかった。コリオランは迫力
不足、4番はカルロス・クライバーに代表されるようなスマートさに欠けていた。唯一5番
の第4楽章で、やっとオケも慣れ指揮者の意図が音に表れて我々聴衆にも音楽の持つ愉悦感
が伝わって来たのである。終わり良ければ全て良しと思う他はないが、ここまでのレベルに
練習で仕上げて置いて欲しかったと思ったのは私だけであろうか。これがラザレフの後遺症
でなければ良いとふと思ったのである。  

1054川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Tue Nov 10 17:00:00 JST 2009
WRのパワーアンプの電源などについて

 再三再四ではありますが、WRのパワーアンプについてもう少しコメントを加えて見たいと
思います。既にご承知のように、基本的にWRのパワーアンプは他に例を見つけるのが難しい、
全段安定化電源駆動方式です。これは以前にもお話しまたが、凡そアンプ3台分でステレオ
アンプを構成しますので部品、スペース、手間が普通のステレオアンプの1.5 倍以上掛かり
ます。

 安定化電源を採用する理由は、そもそもアンプの電源電圧は一定電圧に保たれている事が
前提で回路設計が行われるからです。例えば、普通のアンプは音量によってパワーアンプの
最大出力は時々刻々変化してしまいますが、安定化電源方式であれば音量に依らず最大出力
は一定に保たれます。

 原音再生を極限まで突き詰めるには、この事は絶対に外せない条件だと私は思っています。
音が「ガーン」と来た時に音が息つく事なくスムーズに出て、結果的に音の安定感や底力に
有意な違いが生じて来ます。だから非安定化電源方式アンプでは、その事を少しでもカバー
する目的で、大容量ケミコンを採用したりするのですが、ケミコンの容量は有限の為に結局
電圧降下を完全に防ぐ事はできないのです。

 さて、安定化電源も高帰還アンプの一種ですから、系の安定性が音質に大きな影響を与え
ます。ですから何でもかんでも安定化電源にすれば音が安定すると言う訳には行かず、下手
すると非安定化電源方式より音質を悪化させてしまう危険性があります。その点WRの安定化
電源は内部で負性抵抗が発生しないように、パワーアンプと同様な特許回路が2箇所に使わ
れていて、この問題を完全にクリアしています。

 ところで、パワーアンプの最大出力は電源電圧で決まります。真空管の場合は個々の特性
曲線に負荷直線を引くなりしないと最大出力は算出できませんが、トランジスターの場合は
その必要はなく、単純に電源電圧から計算できます。

 例えばWRアンプの場合、電源電圧が34V だとすると

1.バイポーラの場合:((34-5.5)*0.7)**2/8=49.8W

2.超HC-MOSの場合 :((34-10.5)*0.7)**2)/8=33.8W

のように簡単な四則演算で求められ、それぞれ約50W及び35Wのアンプになります。

 ここでバイポーラの式中の5.5Vと超HC-MOSの式中の10.5V は経験から割り出したロス電圧
です。又0.7 は実効値に直す係数、8は負荷抵抗です。大まかに言えば、電圧の自乗を負荷
抵抗で割ればパワーが出ます。

 ロス電圧はトランジスターのバイアス電圧に深く関係するので、飽和電圧の高い超HC-MOS
素子はそれだけ不利になります。バイポーラ型は0.6Vで一定ですが、超HC-MOS素子の場合は
トランジスターによって変動します。しかしWRアンプに採用する超HC-MOS素子の場合はほぼ
この値で問題ありません。

 このロス電圧は全段を同一電圧にした場合の値でプリドライブ段の供給電圧を3~4V 程度
高く出来れば、もう少しパワーを増やす事が可能ですが、その為にはもう一組の安定化電源
が必要になり、さすがにアンプ4台分でステレオアンプを構成するのは大変過ぎると考えて
WRアンプでは最大出力を少し犠牲にしています。

 では、バイポーラと超HC-MOS素子を使ったアンプで、100Wの出力を出すにはそれぞれ何V
掛ければ良いのでしょうか。

1.バイポーラの場合:((46-5.5)*0.7)**2/8=100.5W

2.超HC-MOSの場合 :((51-10.5)*0.7)**2)/8=100.5W

となり、バイポーラなら46V で済みますが超HC-MOSの場合は51V 掛けないと100Wは出てくれ
ません。この電圧は安定化電源の2次側の電圧ですが、1次側は約15V 高く設定しますので
それぞれ、整流直後の電圧は61V よ66V になり、それに見合った電源トランスが必要になり
ます。

 これは微妙な問題を含んでいます。それは安定化電源に使うケミコンの耐圧です。普通の
ケミコンの耐圧は50V、63V、100Vです。バイポーラの場合は2次側に50V と1次側に63V が
使えますが、超HC-MOSの場合はその限度を超えてしまうので、それぞれ、63V と100Vを使う
必要がありコストアップになってしまいます。

 次に負荷抵抗を4Ωにした場合を考えて見ましょう。計算上は単純に2倍のパワーが出る
事になりますが、そう簡単に問屋は卸してくれません。それは、一つは負荷曲線が立つ為に
損失が増え思ったように電流が流れてくれないからで、その為にも素子を並列にすることが
よく行われます。実測すると理想値の9割出れば良い方で、バイポーラでは7割程度に落ち
込む場合があります。超HC-MOSなら180Wくらい見込めますが、バイポーラの場合は140W程度
になる事があります。

 この他に4Ωにした場合には発熱の問題がクローズアップして来ます。大電流が流れロス
が増えれば、それだけ放熱器からの発熱は多くなります。それでもパワートランジスターが
熱破壊しないように温度上昇を防がなくてはなりません。その為にも素子の並列接続は避け
て通れないのです。

 素子を並列にすると音の純度が落ち、少し音に滲みのようなものが増えて来ます。それが
繊細感や解像度を鈍らせる原因になりますが、経験から2パラまではそんなに大きな遜色は
ないと思います。特に超HC-MOS素子の2パラは全くそんな事を感じさせません。平野紘一氏
もその実力を認めてくれたWRP-γ100/BAL を最近よく聴くのですが、ピュアな繊細感を持ち
合わせながら、中低域の厚み、存在感が全体の安定感を保証してくれます。平野氏も言って
いましたが、これはもう「ポスト EMe」と言う範囲を越えた、典型的なWRアンプとして認知
可能なアンプに成長しています。最近お見えになった生の楽器の音を熟知している音楽好き
の方も、装置の音を超越して心から音楽を楽しまれておられました。

 昨日、注文のあったパワーアンプのバランス-アンバランス変換基板の実動テストを行う
為に、それをWRP-α1/BAL に入れてテスト試聴したのですが、同じゲインのはずなのに何時
もより音量が僅かに小さく聴こえるのです。言い換えると少し物足りないのです。中高域の
音質はそんなに変わらないのですがどうも中低域の力感が違って聴こえます。それが全体の
音量が小さく聴こえた原因のようです。

 ハイパワーアンプは大音量の時は勿論の事、小音量時でもその音に力があり音楽を面白く
充実して聴かせてくれます。慣れるともう止められなくなります。これからパワーアンプを
探す方も、少々マンネリに陥って新しい音を求めている方も、今なら、お得な価格でお求め
頂ける、超HC-MOS素子採用のWRパワーアンプが有ります。絶対に後悔させないだけの自信が
あります。あなたもこの機会にハイパワーアンプに挑戦なさって見ては如何がでしょうか。

 WRP-γZERO/BALを取り敢えず買って将来はブリッジ接続にして100Wモノアンプとして聴く
のも良いでしょうし、最初から100Wを狙ってWRP-γ100/BAL を一気にお買いになるのも男の
決断だと思います。また、超HC-MOS素子の音がどんな感じなのかを先ず確かめたい方の為に、
WRP-α6/BAL の超HC-MOSバージョンも特別価格で用意してありますので、そこからスタート
されるのも一つの方法だと思います。

 バイポーラ型ともオーディオ用MOS-FET とも音の傾向が違う、WRの超HC-MOS素子を使った
パワーアンプを、プライベート試聴会を利用して是非一度お聴きになって見て下さい。  

1053川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Wed Nov 4 17:21:00 JST 2009
超HC-MOS素子を使用した100WパラレルSEPPパワーアンプWRP-γ100/BALの実力

 この連休にマスターズの工房でWRP-γ100/BAL をお聴きになりたいと言う方が居られました
ので、急遽こちらに有ったアンプをマスターズの方に送りました。翌日平野氏の方から連絡が
入りひずみ率特性が素晴らしいと言う報告を受けました。私から特に測定の依頼をした訳では
なかったのですが、平野氏の好意と本アンプに関する興味から測定してくれたのでした。

 最近こそ、私はアンプのひずみ率特性に一喜一憂しなくなり、また音質上の第一義的意義を
ひずみ率に求めなくなりましたが、アンプの設計・製作をやり始めた頃は、常にひずみ率計と
格闘していたと言っても過言ではありません。それは当時の趨勢であり、メーカー等も含めて
世の中はひずみ率競争に翻弄されていたのだと思います。

 しかし、ひずみ率を下げてもオーディオアンプの音質が本質的に向上する訳では無いことが
段々に分かってきて、何時しかひずみ率競争は下火になりました。しかしひずみ率がどうでも
良いと言う訳では決してなく、ある程度の数値に納まっていれば良いと言う暗黙の了解ができ
ていたように思います。パワーアンプで言えば100HZ、1KHz、10KHzのひずみ率がクリップ寸前
で0.1%を切っていればかなり優秀であり、ひずみが音質に与える影響は殆ど無いだろうと私は
考えて来ました。

 ところで最近、私はひずみ率を一々測定していません。それは設計の出来た、ある程度顔が
見える基板でアンプを作っているからですが、それでも新規アンプともなれば微妙にひずみ率
に変化が生じて来ても不思議ではないでしょう。だから、平野氏も気になって測定してくれた
のだと思います。

 平野氏からの報告によれば、左右両チャンネルのひじみ率特性は揃っていて、クリップ寸前
の10KHz のひずみ率は0.1%を切っているとの事でした。上記3つの周波数の中では10KHz の値
が一番不利になるので10KHz の値が分かればそれで十分なのです。特に4Ω負荷でも0.1%以下
に納まっていたと言う事ですので、超HC-MOS素子の優秀性が改めて確認できた訳です。これは
超HC-MOS素子の優れた大電流特性と決して無関係な話しではないでしょう。
 
 左右のひずみ率が揃っていたと言う事は当たり前ではありますが、この事からアンプの系が
安定に動作している事が分かり、何でもないようなことですが、これが意外に意義深いのです。
同じ部品を使って作ったのですから、同じ値になって当たり前なのですが、もしも系が不安定
ですと、微妙にひずみ率特性に影響が出て、そう言う場合は不思議にも両チャンエルが不揃い
になる事があるのです。

 さて、新規アンプをひずみ率計無しで作って、どうしてこのような特性に収める事ができた
のでしょうか。それはこれまで散々ひずみ率計と首っ引きでアンプを設計・製作してきた経験
がそうさせてくれたのであって、決して偶然ではありません。

 前回も書きましたが、高域のひずみ率に大きな悪影響を与えるのは容量負荷です。典型的な
例はフォノイコライザーでしょう。標準のイコライザー素子には1500PFと5100PFが直列に接続
された素子が使われ、それが容量負荷になります。この重い容量負荷の悪影響から逃れる為に
普通は、カソードホロワやエミッタホロワが終段に使われます。

 しかしマランツ型イコライザーで懲りた方も多く居られると思いますが、今度は容量負荷の
為にアンプ自体が不安定になってしまいます。私は、ひずみの悪化と不安定さを天秤に掛けて、
ひずみの悪化を選びました。そして、それを許容限界に収める努力をしたのです。

 その時悟った事は、容量負荷に対してひずみ率の悪化を防ぐには、先ずはプッシュプル回路
にして偶数次ひずみを構造的に減らす事と、第二は素子に出来る限りの電流を流すことでした。
今回のγ100 の駆動回路は基本的には2段差動であり、正真正銘のプッシュプル回路です。又
前稿でも書きましたが、出来る限りドライバーやプリドライブ段の石にコレクタ損失ギリギリ
まで電流を流しています。これで駄目なら仕方ないと言うところまで努力します。それが今回
の結果として結実したのです。

 さて音質ですが、平野氏からはジャズを聴いた取り敢えずの感想として

○分離良く、さわやかで見通しが良好。

○重々しくなく、出るべきところは出るという感じ。

と言うコメントが寄せられています。又、直接聞いた訳ではありませんが、マスターズに来ら
れた方からは、ジャズのLPを聴いた感想だと思いますが

○十分によく練られた音。

○どちらかと言うとクールで冷静な音。

と言う風に褒められたそうです。

 私がこれまで用意したテストソースを聴いて感じ取って来た感想と、そう遠くはないと思い
ました。やはり、これらの感想に共通する本質的なことは、超HC-MOS素子は上手く選定すれば
音に癖が出難く、ソース本来の音色が楽しめると言う事です。ほんの僅かな事ですがそう言う
意味ではEMe 型よりも音に癖がないのかも知れません。

 また、高速化と高域に於けるひずみ率の低減が、大きな効果を上げていると言う事も見逃せ
ないと思いました。私はアンプはストレートワイヤーに近い方が良いと思っているので、この
ような評価に満足しています。WRアンプに個性的な音色を求める事はナンセンスです。ソース
の音を有りの儘に聴きたいと言う方に適しています。

 他人の感想は当てにならないと仰る方は、是非プライベート試聴会にお越し下さい。平野氏
共々、お待ち申し上げております。  

1052川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Fri Oct 30 17:35:00 JST 2009
再びWRの超HC-MOS素子を使ったパワーアンプについて

 現在、WRアンプとして開発している超HC-MOSを使ったパワーアンプを論じる時、2つの事を
分けて考える必要があります。それは素子の問題と回路の問題です。

1.EMeのようなバイポーラ型トランジスタに対して超HC-MOS素子を使っている事。

2.コンプリメンタリーPP回路に対してSEPP回路を使っている事。

 2の問題は直接超HC-MOSアンプに必然である訳ではなく、偶々超HC-MOS素子にはコンプリが
少ない為です。

 先ず、肝心の1の問題について気が付いた事を述べて見たいと思います。MOS-FET はご承知
のようにバイポーラ型トランジスタとは動作が異なります。大きな問題は次の2点です。

1.バイポーラ型が電流によって制御されるのに対して、MOS-FETは電圧で制御される。

2.MOS-FET は多数キャリアで動作するのでバイポーラのような少数キャリア蓄積効果がない。

 1の問題は FETが開発された時に真空管と同じ動作をすると言われた所以です。このことは
MOS-FET の入力インピーダンスが高いと言う事が前提になっていますが、実際にはバイポーラ
の入力容量に比べて値が大きいです。従って、高域に於いては必ずしもインピーダンスは高く
なく、ドライブが楽になると言う事にはなりません。

 オーディオマニア達にある「MOS-FET アンプの音は中高域に独特の輝きがある」と言う風聞
は、多分、この高入力容量が可聴域に何らかの影響を及ぼした為と考えられます。単純に考え
れば高入力容量はローパスの役目をするはずですが、実際は負帰還の影響を受けてそのような
結果として現れるのだと思います。

 2の問題は、秀逸なスイッチング特性を保証してくれる特長であり、最近は好んでDクラス
アンプにMOS-FET が使われる理由です。即ち、一般にバイポーラ型より高域特性は断然有利に
なります。

 MOS-FET が開発された当初は、大電流が流せる大型素子は難しいとされていましたが、最近
ではその点もバイポーラを凌ぎ、大電流が流せてオン抵抗が低く、破壊が起こり難い MOS-FET
素子が開発されています。大電流が流せると言う事はリニアに使える範囲が広い事を意味しま
すが、必然的に入力容量は増え、Gmも大きくなります。そのような大電流に耐えるMOS-FET を
特にHC-MOS(私は超HC-MOS)と呼んでいます。

 Gmとは真空管時代に盛んに使われたパラメータです。増幅度はGmに比例するので、テレビの
映像増幅等に高Gm管が盛んに使われましたが、逆に発振を起こす原因にもなるので要注意です。

 特に超HC-MOSをソースホロワに用いれば、その出力インピーダンスはGmの逆数に比例します
から、高Gmは有利なのですが、単純にゼロに漸近する訳ではなく、高周波のある領域でゼロを
突き破って負になってしまう時があります。これが負性抵抗であり、系を不安定にし、場合に
よっては発振を引き起こす原因にもなります。

 SEPP回路はパワー素子の上側がソースホロワになるので、この問題を避けて通る事は出来ま
せんが、コンプリに比べて片側だけなので、私はより安定なパワーアンプを作るにはコンプリ
より寧ろ有利であると考えています。SEPPの弱点はひずみの問題ですが、バイアス回路を工夫
すれば特に大きなひずみは発生しませんし、事実実測してもこれまでのバイポーラ型コンプリ
アンプと比べて勝るとも劣りません。

 それは超HC-MOS素子の優れた高域特性と無縁ではなく、10KHz のひずみ特性はコンプリ型に
比べて優れている事が多いのです。上手くすれば20KHzのひずみを10KHzと同じオーダーにする
事もそんなに難しくはありません。バイポーラ型に取っては夢のような話です。

 以上の考察から、超HC-MOSアンプで注意すべき事は

● 電流が流せる割に、比較的、入力容量が小さく、Gmが低い素子を選ぶ。

に尽きると言えるでしょう。この条件に合致した超HC-MOS素子は意外に少なく数多く存在する
超HC-MOS素子から選び抜く目こそが成功の秘訣と言えると思います。

 先ず入力容量ですが目安は1000PFでしょう。バイポーラは300-500PF なので出来れば1000PF
以下のものを選びたいところです。又Gmは出来れば10S 大きくても15S 以下のものを探したい
ところです。何せ発振したら終わりです。高Gmのものを使うと大体は音量を上げた時に発振し、
素子が破壊してしまいます。勿論、超HC-MOSの放熱器への取り付けとパスコンの入れ方は十分
に高周波的センスで行う必要があります。センチ、ミリの長さに拘るべきです。

 超HC-MOSを駆動するドライバー回路も、たっぷり電流を流し高容量負荷に耐えられるように
する必要がありますし、その影響を受けるプリドライブ段にも適当な電流を流すべきだと思い
ます。このように、超HC-MOSアンプに於いては単純な電圧駆動と言う概念は捨てて、電流駆動
をするくらいの覚悟が必要に思います。その意味ではバイポーラ型よりも寧ろ神経を使います。

 斯くして、高域に変な癖の出ないMOS-FET アンプを作り上げることが出来るようになります。
結果として、高域のひずみも良好、高域の立ち上がりも良好なパワーアンプを設計することが
出来ます。この事は、優れた大電流特性と相まって抜けの良い中高域の音を保証してくれます。

 アンプが電子回路学的に完璧でも、最終的な音は素子のもつ固有の癖に左右されます。私が
EMe型素子を好んで使って来たのも、実にこの点にあるのです。当時堅牢さや生産性からTMe型
が台頭して来ていましたが、電子回路学的には完璧でも出てくる音に私は我慢が出来なかった
のです。

 では、超HC-MOS素子はどうでしょうか。初め私も少々心配していました。皆さんが思うよう
に、デジタルアンプに使う素子から、アナログの良い音なんて期待出来ないのでは、とこれは
全く非科学的ですが、そんな先入観をもっていて、明らかに食わず嫌いでした。

 しかし、EMe の後釜を探す必要があり、最初に平野氏がWRP-α6 を改造して超HC-MOS化した
時の音を聴いて、これは将来ポストEMe に必ずなると直感したのです。その音は「デジタル」
のデの字も感じる事のない静かな音だったのです。実はこの静かな音が貴重なのです。静かな
アンプならチューニングが簡単にできるからです。

 いい加減な部品を使っていい加減に作ったアンプは、必ずと言って良いほど音は荒れて煩い
アンプになります。英語的にで言えばアグレッシブな音がするのです。欧米人に一番嫌われる
音だと言っても良いでしょう。若い時には耳の許容度があり、寧ろアグレッシブな音を好んで
聴く人も居ますが、年齢と共に生理的に耐えられなくなります。勿論生の楽器の再現なぞ望む
べくもありません。

 WRアンプが、SEコンだ、BGコンだ、ERO コンだと言って来たのも、実はこの点にあるのです。
安い部品は例外なく音をアグレッシブにします。トランジスタでも同様なことが言えるのです。
その意味で、私が今現在信用できるパワー素子はEMe と超HC-MOSだけです。長い間、嫌な音と
格闘してきた私が言うのですから間違いありません。ポストEMe は選れた超HC-MOS素子で決ま
りだと思ってます。

 最近、プライベート試聴会の受け入れの為に、

1.WRP-Y100/BAL(バイポーラ パラレルSEPP回路 100W)
2.WRP-γ100/BAL(超HC-MOS パラレルSEPP回路 100W)
3.WRP-γZERO/BAL(超HC-MOS シングルSEPP回路 35W ブリッジ接続で100W)
4.WRP-αZERO/BAL(バイポーラ コンプリPP回路 50W)
5.WRP-αZERO/STUDIO(バイポーラ コンプリPP回路 50W)

を聴き比べ、整備しました。かなりハイレベルで音の格が揃っています。その判断には先ずは
先日横浜のみなとみらいの小ホールで録音して来た、ピアノ三重奏曲とピアノ協奏曲室内楽版
を聴いて、如何に生の楽器の感じに近いかに注目しました。その後で、最近ご紹介した既成の
CDの数々

1.バーンスタイン:ショスタコービッチ交響曲第5番(SRCR 2020)
2.シノーポリ:ベルディ 序曲、前奏曲集(UCCP-7085)
3.ショウ:プーランクオルガン、弦とティンパニーの為の協奏曲(CD-80104)

等を聴いて総合的なバランスをチェックしました。

 どのソースに対しても超HC-MOS素子が劣ると言う印象は全く無かったと思いました。今なら
同等なスペックのものが、EMe を使ったアンプに比べて格安で入手できます。私の言うことが
信じられない方は、是非聴きに来て頂いてご自分の耳でお確かめになって見て下さい。お待ち
申し上げております。  

1051川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sun Oct 25 17:00:00 JST 2009
日フィル10月定期を聴く

 今月は首席指揮者のラザレフである。この時期は日フィルの団員がかなりピリピリするらしい。
プロコフィエフの交響曲連続演奏会も兼ねており今回は交響曲第3番である。前半にはチャイコ
の幻想的序曲「ハムレット」とモーツァルトの「ピアノ協奏曲第27番」が置かれていた。

 「ハムレット」はこれまでに余り聴いた事がない。やはりこの手の曲は「ロミジュリ」だろう。
「フランチェスカ・ダ・リミニ」も良いがこの曲と「テンペスト」はちょっと曲の魅力が落ちる。
しかし演奏はのっけから全開で一糸乱れぬ棒捌きには脱帽した。1曲目からこのアンサンブルは
これまで日フィルでは余り経験した事がない。流石はラザレフだと感じ入った次第である。

 曲から受ける印象から「眠れる森の美女」を思い出したが、作品番号が1つしか違っていない
のだった。話が少し反れるが、「白鳥の湖」「くるみ割り人形」「眠れる森の美女」を比べると
どうも作品番号の若い頃の作品の方が、メロディー、リズムが豊富に聴こえて仕方がない。全く
隙や無駄が無いと言っても良いかも知れない。

 一般的に若い頃の作品は泉のように湧いてくる美しいメロディーに助けられるものだが、その
メロディーが枯渇してくる晩年になると、どうしても作曲技法でそれを補おうとするのではない
だろうか。少なくても「ハムレット」はそんな風に聴こえたのである。18分位の間で心に染みる
メロディーが1つも無かったと言えば少し大げさであろうか。

 しかし演奏は文句の付けようの無い名演だったので、終わった後の握手は相当なものであった。
特に先月又もオーボエ奏者が退団した関係もあってか、首席奏者は初めて見る小柄な女性だった
のだが、たっぷりした音量と美しい音色は意外な収穫であった。ラザレフもそれを認めたに違い
ない。珍しくも、終わるや否やそのオーボエ奏者のところに行き、手を携えて指揮台の上にまで
登らせたのである。この人が日フィルの首席奏者に就任してしてくれれば良いなと思った聴衆は
私だけではないだろう。

 2曲目はモーツァルトの白鳥の歌とも言われる最晩年のピアノ協奏曲である。独奏は田村 響
であった。ロン・ティボー国際コンクールで第1位に輝きヨーロッパで活躍中の新進気鋭である。
兎に角音が美しい。クリアでクリーンである。実演で此処まで綺麗なピアノタッチを聴いたのは
初めてである。大体、生で協奏曲を聴くとガッカリすることが多いものだが、今回は違っていた。
開演ギリギリまで調律士がピアノを微調していた意味が分かった気がする。

 ラザレフの抑制の効いた指揮振りも好感が持てた。モーツァルトの曲は高音部を強調する曲が
多いが、この曲はモーツァルトに取っては枯淡の境地なのか静かで美しい。私がLPで初めて聴い
たのはヘブラーのフィリップス盤だった。その時はまだまだ装置は未熟だったが、再生が比較的
楽だと思ったものである。

 第一楽章では雰囲気に慣れてなかったせいもあってかタッチが少し遠慮気味で、綺麗ではある
が唯それだけと言う気がしないでもなかったが、二楽章から三楽章に掛けて音に芯が出て徐々に
力強さも増してきた。正に理想的なモーツァルトのピアノ協奏曲になっていたように思う。終演
と共に猛烈な拍手が巻き起こった。地味な曲の割りには熱烈な拍手だったと思う。楽しみなピア
ニストである。

 15分の休憩の後はメインのプロコの交響曲第三番であった。正直に言って未だ聴いた事がない
曲だった。ショスタコの曲は例え聴いた事がなくても、割と理解し易いのだが、プロコはそうは
行かない。この三番はある意味傑作だと言われているが、今回聴いただけではそこまで理解する
事はできなかった。

 やはり兎に角先鋭で凄まじい曲である。唯オケも初めてに近いからなのか、プロコはチャイコ
に比べて難しいのか、1曲目に感じた完璧に近いアンサンブルに少し綻びが有ったように感じた
のである。アンサンブルが完璧な時の音と少し乱れがある音とは押し寄せてくる力が違う。何か
異物が混じったようなそんな感じだ。それでも、並みの指揮者くらいの統率感は十分にあったと
思う。

 案の定、最後の拍手は激しくも暖かいものであった。何回となく呼び出されるラザレフ、自ら
手を叩くのは楽員に対しての賛辞なのだろうか。あるいはホールに漂う演奏者と聴衆が醸し出す
一体感に対してなのであろうか。演奏終了後のラザレフはご機嫌に見えた。思った以上の演奏が
出来たと言う自負もあったのだろう。

 何回目かに、その拍手に応えて又指揮台に上り両手を振り上げたのである。一瞬会場は静まり
返った。ロシア風のワルツが流れ出した。プロコの三番で、多少食傷気味になった耳に心地よく
それは響いた。「シンデレラのワルツ」だった。ハチャトリアンの仮面舞踏会のワルツと雰囲気
が似ている。定期では原則的にはやらないアンコール、三番だけで返しては、と言うラザレフの
聴衆に対しての配慮だったのかも知れない。

  それにしても、自分の腕が上がったからなのか歳のせいなのか分からないが、生の音を聴いて
も余りびっくりしなくなった。オケの音が極普通に聴こえて来るのである。

1050川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Oct 22 14:38:00 JST 2009
WRアンプ、特に超HC-MOSアンプを試聴して見ませんか?

 例年ですと、春と秋頃に、年2回ほどWRアンプ試聴会を開いておりますが、今年は不況下でも
あり、積極的なアンプの開発を抑えていますので、今のところ試聴会の計画はありません。

 しかし超HC-MOSアンプの研究は着実に進行していまして、もうEMe 型パワーTRに拘らなくても
WRアンプは十分その本領を発揮できるところまで来ていると感じています。勿論、EMe 型も悪く
ありませんが、何と言ってもその在庫は減る一方です。

 やはりWRアンプの将来を考えれば、供給に不安のない超HC-MOS素子に段々シフトして行くのが
適切だと考えています。最初に開発した超HC-MOSアンプはWRP-γZERO/BALでしたが、その後には
100Wを誇るWRP-γ100/BAL が開発されています。どちらもWRアンプの水準に十分達しています。

 又、非公式ですが、WRP-α6/BAL に超HC-MOS素子を搭載したパワーアンプもマスターズを窓口
にして販売されており、徐々に超HC-MOSを使ったWRアンプが評価されて来ております。製作者で
ある平野紘一氏もこのアンプを心から推奨しており、この際、超HC-MOSアンプのキャンペーンを
行う事にしました。

 オーディオは他人様の評判や評価が凄く気になるものの、それだけで購入の決断はできません。
やはり最終的には、自分の耳で確かめないと大きく一歩を踏み出す事は出来ないでしょう。その
意味でこれまでの試聴会は一定の成果を上げてきたと思います。

 その試聴会をあなた自身の為にお好みの時間に開く事ができればと二人で相談した結果、拙宅
かマスターズの工房で、上記の超HC-MOSアンプを含む準備可能なWRアンプのプライベート試聴会
を開いて見てはどうかと言う事になりました。

 唯、試聴会に参加する立場からすると「気楽に行って帰ってきたい」と言うお気持ちがあるで
しょう。逆に言えば、押し付けられる不安感があると思います。そこで、我々からアンプ購入に
関する勧誘はしない事をお約束し、ひたすらデモソースについての懇談と技術的な説明に徹する
ように致します。

 もしもお聴きになった後でそのお気持ちがあれば、別途性能、機能、価格などに関するご相談
をさせて頂きたいと思いますが、原則的には試聴会当日はその事には余り触れない事に致します。

 上記のプライベート試聴会に参加ご希望の方は、先ず下記のメールアドレスまでお問い合わせ
になって下さい。お互いのスケジュールを勘案して日時を決めさせて頂きます。当日は、お車で
来られても結構ですし、電車の場合は最寄り駅まで送迎させて頂きます。

ウエストリバー:kawanisi@west.river.jp.org 八王子市 川西哲夫 常設プリ:WRC-α1/FBAL

マスターズ  :masters@agate.dti.ne.jp 千葉市 平野紘一 常設プリ:WRC-α3/FBAL

 このプライベート試聴会は、取り敢えず今年一杯を目処にしております。この期間に超HC-MOS
アンプをご成約の方には、同等のEMe 型パワーアンプに対して2割程度はお安くさせて頂く予定
です。どうぞ、この機会をお見逃しなきようにお願い申し上げます。