ウエストリバーアンプの掲示板

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*私のレコード遍歴と題してラジオ技術誌に連載した原稿下部にあります。
何かの参考になれば幸いです。

    2057川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Mon Mar 13 17:00:00 JST 2023
    新着のご感想文を2つご紹介します。
    
              −−− やはりWRアンプは革命的なオーディオアンプになった証拠!?
    
     最初にご紹介する方はWRP-α50/BALをお使いの方でWRプリや三種の神器はお使いでないように
    思いますが、それでも今回の高ft化アップグレードがそれなりに相当の威力を発揮したようです。
    
    
    ●今更なのですがちょっとびっくりしています。
    
    ●アンプを改良頂き到着した日は時間がなく動作確認程度でした。
    ●その時かけた音楽はよく聴くショパンの夜想曲でした。
    ●面と向かって聴いたわけではなく変な音が出ないか?程度の試聴です。
    ●「うん?少し低域がしまっている?」と思いましたが時間がなく
    ●5分程度流しただけで電源を落としました。
    
    ●それから時間がなく昨日やっと数時間じっくり聴くことが出来ました。
    ●良く聴くのはクラッシックなのですが
    ●私のリファレンスは山口百恵全集のCD2と
    ●グレングールドのゴールドベルグ変奏曲です。
    
    ●変な組み合わせですね。なぜこれがリファレンスかというと
    ●偶然ですが・・・2枚のCDは今までどんなアンプを使っても
    ●変な「音」引っかかる「音」いやな「音」をまき散らすCDでした。
    ●特に山口百恵のCD2は録音状態も良くはないので
    ●気持ち良く聴けた事はありませんでした。
    
    ●目標は「いつかこのCDが引っ掛かりなく再生出来たら・・・」
    ●じっくり聴きました。そしてアンプは「全く別物になった!」そう思いました。
    
    ●・グレングールドのゴールドベルク変奏曲で耳障りな部分がなくなった。
    ●・山口百恵のCD2が初めて聴けた うるさくない。
    ●・静かになった(漆黒から音楽が立ち上がる)
    ●・低域が難しいAmati homageが別物、低音に切れが出た 深みがある。
    ●・アンプが再生全体をコントロールしている印象。
    ●(これはダイナミックレンジという観点からはマイナス? 突き抜ける感覚は逆になし)
    
    ●改良をお願いした時にWestriverを既に約5年間使用し続けているとわかり
    ●自分ながらびっくりしました。実はアンプは結構浮気する方なので・・・
    ●今回の改良も「どうしようかな?やめてアンプを変えようかな?」と
    ●色々悩みましたが、お願いして本当に良かったです!
    ●ありがとうございました。
    
     と言う内容ですが、これまで嫌な音に散々悩まされ続けたCDが聴けるようになったのですから
    これは「嫌な音」を目の敵にしている私に取っても嬉しいご報告です。パワーアンプのみでこの
    効果ですから、本当に大事なのはパワーアンプだと言う事になりますが、しかしだからと言って
    プリアンプを軽視する事はできないと思います。一点だけコメントさせて頂くとしたら「嫌な音」
    が減ると相対的にはD レンジ狭くなるように感じると言う行ですが、「嫌な音」がほぼ無くなり
    ますと録音自体が有するD レンジに左右される事になりますから、録音次第でD レンジが狭くも
    広くも聴こえるようになると言う事だと思います。
    
     次にご紹介する方は、SEコン化済みの完全アップグレードされたΕC-1Hに、WRP-α120 を接続
    して種々の音楽をお聴きになっています。勿論、三種の神器もお使いでDAC 用にWR製安定化電源
    もお誂え頂いています。実はWRP-α120 を2台保有されていて先に1台目の方のアップグレード
    が済み、第2段としてΕC-1Hと2台目のWRP-α120 をこちらに送って頂いたタイミングで、急遽
    ご感想文をメールして下さったとのです。この方はご自身で楽器の演奏もされますので音楽的な
    表現が随所に見受けられ、それだけ信憑性も高い気がします。
    
     今回は、誂えたWR製安定化電源によって供給された高級DAC にWRP-α120 を直結してお聴きに
    なった時のご感想です。
    
    ★えぇ?何じゃこりゃ?!です。
    ★掲示板の感想はこういうことを言っているのか!と私もわかったと思います。
     
    ★ジャズのコルトレーンの音楽を聴いていて、聴いたことある曲なのに、
    ★新しい音楽に聞こえます。
    ★ウッドベースの低音の微かな旋律の動きが聞こえてきます。
    ★和声感、リズム感がより正確精緻になり音楽がぐっと深くなっています。
    
    ★木星の4楽章は、強奏では音が張り出して気持ち悪かったのが静かにおさまっています。
    
    ★ドイツグラモフォン、ミケランジェリのベト5 の冒頭が
    ★何だか非音楽的で気持ち悪かったのですが、
    ★これこれ!この和声感だよね!とピッタリはまってます。
    ★実際に生で演奏したときに聞こえる和声感と同じだと感じることができます。
    
    ★グラモフォンのアマデウス四重奏団のベートーベン。
    ★今までずっとどこをとっても変な音しかしないと思っていまして、
    ★この感覚は正しかったんだと確信できました。
    ★あちらとこちらの間に、音は聞こえるけれど音楽が聞こえてこないという壁がありました。
    ★それが一気に楽器の音がきちんと聞こえてきます。
    ★個々の楽器の音がきちんと聞こえてきてくれれば、あとはおのずと音楽になります。
    ★こちらが努力せずとも、あるべき音楽が耳に届く。そんな感じに聞こえています。
     
    ★ビートルズも大変な事になってます。特段ビートルズが好きというわけでもなく、
    ★有名ということで一応オーディオチェックで流すことがあります。
    ★特にAbbey Roadの『I want you』冒頭のギターが耳障りで
    ★ノイズフィルターの有無などでガラッと感じが変わるんですが、
    ★ここが引っかかりを感じることがなく自然と聞き流してしまえたのには驚きました。
    
    ★どの曲をきいても複数の楽器の音がきちんと整って分離しており、
    ★どこかが張り出したり引っ込んで凸凹したような感じがありません。
    ★音楽のノリ、ビート感が本当に気持ち良く、
    ★ビートルズを聴いてこんな感覚になるのは初めてです。
    
    ★暫定的なシステムでもこれだけ違うので、さらに楽しみです。
    
     と言う風にご感想文を結ばれています。
    
     この方が第2行で
    
     「掲示板の感想はこういうことを言っているのか!と私もわかったと思います」
    
    と仰っていますように、先にご紹介したお二方のお気持ちが、手に取るように理解出来たと
    しています。オーディオ装置で音楽を楽しみたいと思う人に共通する理想像が、時と場所を
    越えて実現していると言うこの事実は、これまでのオーディオでは有り得なかったでしょう。
    皆さん挙ってある種の驚きをもって音と音楽に対峙しているように思います。此処には未だ
    声は上がって来ていませんが、既にアップグレードが済みこれと同じ気分で音楽に陶酔して
    いる方が徐々に増えているはずです。これかも機会ある毎にご感想文をご紹介し続けて行き
    たいと思っています。
    
     ところで上記中の後者の方からDAC 直結ではなくプリアンプΕC-1Hを使った場合のご感想
    が届きましたので、追記と言う形で早速ご紹介させて頂きます。
    
    ★音については、先日も申しましたがやはり本当に凄いですね。
    ★DAC 直結でも今回のアップグレードの新しさは感じましたが、
    ★戻ってきたプリを挟むとモノクロが4Kになったように
    ★音楽が一気に花咲き見違えました。
    ★どうしたってプリは必須です。
    
    ★嫌な「音」がしないのは確かにそうですが、
    ★私には「時間」がより一層生に近づいたという感覚です。
    ★新しいアンプ一式で聞くと、
    ★やはり今まではどんな音楽もリズム感がぼやけていたんだなあとわかります。
    ★リズム感が生々しくなったということは、
    ★アンプがよりきちんと音を出している、
    ★理論的、技術的により良いものになっている
    ★と言うことなんだと思います。
    
    ★数度のアップグレードの中でも、
    ★これほどに時間感覚に訴える改善は初めてではないでしょうか。
    
    ★家族に付き合ってフィギュアスケートをテレビでよく見ておりまして、
    ★素人目にも素晴らしい演技の素晴らしはわかるわけですが、
    ★今回のアップグレードで、
    ★ジャンルを問わず音楽の作り手たちの
    ★神業のような技術がクッキリハッキリ、
    ★このスケーターの演技を見ているごとく見え聞こえます。
    ★ぞくぞくします。
    
    ★音の生々しさがトリガーになって記憶にある視覚情報が
    ★呼び出され頭の中に鮮明なイメージを作り出すのかも知れません。
    ★アンプとしての表現力が桁違いに広くなっております。
    ★凄い音楽・録音はより凄く、
    ★しかしイマイチなものはより残念に聞こえるようになっております。
    
    ★間違いなく、音楽を聞いて楽しめる上限が今回のアップグレードで一気に跳ね上がってます。
    
     と言う内容ですが、アンプが見違える程に良くなったと仰ってる事は正しくその通りだと思い
    ますが、その核心は「時間感覚に訴える改善」だと思いますが、最初、音楽素人の私にはピンと
    来なかったのです。私はオーディオ屋ですからオーディオ的に考えるしかありません。時間的に
    関係する事で思い当たる事は「音の立ち上がり」です。余計な付帯音(ひずみ感)が無くなった
    分、音が引っ掛かりなくストレートに出て来るようになったのは確かな事ですが、それは音楽を
    聴く上で非常に重要な事です。勿論、生の音は正にそのように聴こえますが、それと同じレベル
    に再生音も近づいたと言う事ではないでしょうか。
    
     余計なひずみ感を伴えば当然ながらリズム感はぼやけてしまう気がします。又そう言う僅かな
    ひずみ感が個々の音に付帯していれば、細かな音符の動きは追うに追えなくなるように思います。
    追えなければ神業的演奏も想像は出来ても本当には分からない事になると思います。これは私の
    こじ付けかも知れませんが、私なりにこの「時間感覚に訴える改善」の具体例について考察して
    見ました。この話しはこれまで私が音楽評論家の評論に対して「生の音を聴いた訳でもないのに
    既成オーディオアンプの音でそんな事まで分かるはずはなく、多分に音を自分で補って聴いてる
    のではないか?」と疑問を呈していた事に通じる気がします。いよいよ、正真正銘の音楽評論が
    出来るアンプが登場したと言っても過言ではないのかも知れません。 
    
     何れにしましても、WRアンプが今回のパワー段TRの高ft化で完成したと言う証言がまた増えた
    事になります。私はピアノの再生がほぼ完璧になった事で確信したのですが、人それぞれ感じ方
    は違うと思います。しかし、高ft化して頂いたユーザーの方から本質的には同意見の証言がこれ
    からも徐々に集まって「WRアンプの完成」が多くのユーザーの方に依って補強される事を願って
    います。

    2056川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Mon Mar 6 20:00:00 JST 2023
    岡山のT.N.さん、埼玉のkさん、高ft化に対する的を得たご投稿を賜り
    
                                 誠にありがとうございます。
    
                     −−−−− 第三者による最新WRアンプの音が明らかに!
    
     岡山のT.N.さんはロックを主に、また埼玉のkさんはクラシックを主にお聴きになるようです
    が、お二方に共通するのはこれまで聴いた事のないような音空間に身を置かれた感慨ではないか
    と思います。
    
     T.N.さんは「声を含む全ての楽器の生々しさと自然さがすごいです」と綴られておりますし、
    
     kさんは「楽音がそのまま増幅再現されているような印象です」と仰っています。
    
     それでは、個々に対する私なりのコメントを述べさせて頂く事に致します。まず、T.N.さんは
    「何が違うかというと、音の迫力がものすごいのにうるさいと感じることがほとんど無くなった
    のです」と断言されています。煩いと感じる原因は私がこれまで何回となく口にしてますように
    様々な原因に依って引き起こされて来る過渡ひずみ感です。これを完全に駆除する事は至難の業
    なのですが、今回の高ft化を以って、WRアンプからは完全に追放された事になります。kさんも
    「ブログに、WRアンプは完成の域に達したと記載がありましたが、同感です。素人の山勘耳でも、
    そう感じます」と仰って、元を正せば「WRアンプの歪の少なさの賜物」だと述べています。
    
     端的に言えば、これがオーディオアンプで一番大切な事なのですが、実は実現が一番難しい事
    なのです。自動制御論に頼る既成オーディオアンプには望むべくもありませんし、アマチュアの
    手に負えるものでもありません。半世紀の長きに渡って一貫した独自のポリシーで研究を重ねて
    来たWRアンプにして初めて実現したと言って過言ではないと思います。T.N.さんからも「経験的
    にこのレベルのサウンドを得られることが、どれくらい稀なことなのか分かっているつもりです」
    と、このサウンドが如何に稀有な存在であるかをお認め頂いています。
    
     オーディオアンプからこの過渡的ひずみ感が排出されなくなった結果、T.N.さんは「一つ一つ
    の音の意味が明確になり、表現者の表現したいことがはっきり分かってくることにより音楽全体
    が説得力のあるものになります」と述べられています。一方kさんは「グランドピアノの深くて
    広がりのある音色が素晴らしいと思います。ピアニストの違い、ピアノそのものの楽器の違いも
    聴きとれるので、演奏を聴くのが楽しくなります」「バイオリンやオケも同じで、更にホールの
    響きの相違もSPから出てくるので、家にいて欧州のオケをそのホールに座って鑑賞しているかの
    ような錯覚というかバーチャルリアリティ感に浸れます」と仰っています。如何に過渡ひずみ感
    がライブ音楽の高忠実度再生に邪魔だったかが、お分かり頂けると思います。
    
     これは、WRアンプの音を評価する時に「良い音」ではなくて「嫌な音」「煩い音」に注目して
    来たからこそ実現した結果なのです。自動制御論に頼り「良い音」に着目する限りは永久に到達
    できない領域です。WRアンプはライブ音楽の家庭での忠実なる再現を目指して研究を積み重ねて
    来ました。巷の「良い音」を目指すオーディオより、遥かに正しいオーディオ道を歩んで来たと
    私は自負しています。黎明期のオーディオは挙って「高忠実度再生」をモットーにして出発した
    はずでしたが、徐々に雲行きが怪しくなるに連れて、この言葉は死語になってしまったようです。
    しかし今やWRアンプは高忠実度再生を確実に可能にするアンプの開発に成功したのです。黎明期
    に掲げた理想がやっと実現したのです。kさんも「海外のハイエンド製品は設計者の強い個性に
    彩られているという巷の評価とは正反対」と仰って、WRアンプにはそうした色付けが無く忠実に
    楽音が出て来ると述べられています。
    
    
     何故成功出来たのかは項番2054に易しく詳述してありますので是非お読み頂きご理解頂ければ
    幸甚です。何人かのユーザーの方がお二方に触発されパワー段の高ft化アップグレードに名乗り
    を上げて頂いています。最初に購入した40ペアーを越すパワーTRが底を突き、慌てて追加購入の
    手続きをしましたが、何とかご希望の方にはアップグレードをして差し上げたいと思っています。
    そして、更なる「高忠実度再生」の証言が届く事を期待しています。最後に、岡山のT.N.さんと
    埼玉のkさんのそれぞれのお言葉、
    
    「うるさいどころか非常に濃密な情報量にさらされて、麻薬的とも言えるような快楽を感じられ
    ます」
    
    「固有の音色というか、色付けは本当に感じないですね。といって、退屈な音ではないんですね。
    演奏者の息吹というか、気迫、熱気も伝わってくる素晴らしいアンプだと思います」
    
    を引用させて頂き、高ft化アップグレードの作業に戻らせて頂きます。念の為に申し添えますが
    お二方とも今回アップグレードされたパワーアンプの他に完全アップグレードされたプリアンプ
    と三種の神器をほぼ忠実に備えて、WRアンプシステムを運用されて居られます。 

    2055埼玉のkさん(無 職) Sat Feb 25 13:22:21 JST 2023
    高ft化アップグレード後、1月経過した感想です。
    
    ブログに、WRアンプは完成の域に達したと記載がありましたが、同感です。
    素人の山勘耳でも、そう感じます。
    
    ピアノが一番分かり易くて、
    グランドピアノの深くて広がりのある音色が素晴らしいと思います。
    ピアニストの違い、ピアノそのものの楽器の違いも聴きとれるので、
    演奏を聴くのが楽しくなります。
    
    バイオリンやオケも同じで、更にホールの響きの相違もSPから出てくるので、
    家にいて欧州のオケをそのホールに座って鑑賞しているかのような錯覚というか
    バーチャルリアリティ感に浸れます。
    
    周辺機器のアクセサリーにも敏感に反応するので、
    いわゆるオーディオのチューニング的なこともはかどります。
    
    結局WRアンプの歪の少なさの賜物なのでしょうが、
    海外のハイエンド製品は設計者の強い個性に彩られているという巷の評価とは正反対で、
    楽音がそのまま増幅再現されているような印象です。
    
    固有の音色というか、色付けは本当に感じないですね。
    といって、退屈な音ではないんですね。
    演奏者の息吹というか、気迫、熱気も伝わってくる素晴らしいアンプだと思います。
    
    これを基準点にして、アンプ以外の部屋の音響調整等に励んでいきたいと思っています。  

    2054川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Tue Feb 21 11:00:00 JST 2023
    WRアンプは何故、未曽有の進化を遂げる事が出来たのか、改めて説明させて頂きます。
    
                            −−−既成オーディオとの根本的な相違
    
     クラッシックは何だかんだ言って一番再生の難しいピアノがほぼ完璧になりました。又ピアノ
    の低音域の締まりが凄く良くなった、とご感想を寄せて下さった WRP-Δ120/BALをお持ちの方は
    ジャズを主にお聴きになりますし、前項でお分かり頂けたかと思いますが、ロックも完璧に近い
    音で再生出来ているようですから、WRアンプシステムの完成度の高さは疑いようのないレベルに
    達していると言えると思います。即ち、10人居れば10人共に満足してお好きなジャンルのライブ
    音楽を満喫できる事になります。その理由は音源ソースに入っている音信号以外の余計なひずみ
    信号を殆ど排出しなくなったからだと思います。所謂高忠実度再生です。既成オーディオアンプ
    では、到底考えられないような、全く本質的に異なる技術レベルに達っしたと言っても過言では
    ないと思います。
    
     では何故WRアンプは此処まで進化出来たのか、科学的見地に立って既成オーディオとの違いを
    明確にしながら説明して行きたいと思います。既にご承知のようにWRアンプの根幹は「負性抵抗」
    理論に基づいています。帰還アンプで有りながら、既成オーディオが頼る自動制御論は一切使用
    しておりません。此処が大きく異なるポイントです。「負性抵抗」理論は私のオリジナルであり、
    簡単に言えば多量の帰還を掛けた帰還アンプが本質的に内包する不安定要素「負性抵抗」を如何
    に抑え込むかと言う技術です。「負性抵抗」を保有する帰還アンプは須らく必然的に耳に不快に
    響く過渡的なひずみを排出します。
    
     WRアンプはこれを回避する為に、「負性抵抗」を抑制する為の補償回路に関する2件の特許を
    取得しており、所謂「負性抵抗レス」のアンプが作れる技術を保有しています。もう少し技術的
    に言えば、帰還アンプの入出力インピーダンスの実部に「負性抵抗」が現れないように補償する
    2つの補償回路を考案したのです。皆さんのお手元にあるWRアンプには必ずこの2つの補償回路
    が搭載されています。これに依って得られる安定度がどのくらいあるのかを分かり易くする為に、
    既成オーディオが使う自動制御論の安定判別法によって試算して見ると、位相余裕にして110 度
    程度になる事が分かります。
    
     逆に言えば、従来の自動制御論に於いて位相余裕を110 度程度確保しない限り、WRアンプ並み
    の安定性は得られない事になります。実際にこれまで販売されて来た既成オーディオアンプの類
    は遥かに110 度を下回りますから、安定性に問題を抱えた状態になり多かれ少なかれ過渡ひずみ
    を排出します。そもそも自動機械の為に存在した自動制御論を何の保証もないまま帰還アンプに
    適用した事に問題があります。この自動制御論の使用法を改める必要がありますが、その為には
    従来のものとは本質的に異なる新規性のある補償回路を新たに考案する必要があります。これは
    至難の技であり実現は悲観的に思われますが、仮にそれが可能になり110 度の位相余裕が取れた
    としても、それだけでライブ音楽の自宅での鑑賞を可能にするようなオーディオアンプにはなら
    ないのです。オーディオアンプは奥が非常に深いのです。
    
     これだけで事が足りるのであればWRアンプは数年前に完成してたはずですが、そう簡単に問屋
    は卸してくれなかったのです。オーディオアンプは聴いてナンボの世界ですから、聴感を度外視
    する事は絶対に出来ません。要するにオーディオアンプの完成度を測るには、訓練された聴感に
    依って音の良し悪しを判定する必要があります。これは言うに易しですが、実際には、誰にでも
    出来る芸当ではありません。何回もこれまでに書いていますが、私は在京オケの定期会員になり
    12年間に亘って同じ最上席で同じオケの音を定点観測をする事で、やっとこの聴感を手に入れた
    のです。
    
     この聴感をもってアンプの音を客観的に聴いて、音の良し悪しを判定して行く事になりますが、
    あくまで耳に不愉快に響く嫌な音に注目する必要があります。既成オーディオではもっぱら良い
    音に注目するようですが、良い音には明確な定義がなく結果的に判定者の好みが入り込み客観的
    な判定とは程遠いものになり勝ちで、良い音に注目する限り客観的に通用するアンプにはなり得
    ない所以です。嫌な音は大まかに言えば「煩い音」とか「不愉快な音」の事であり、ライブ音楽
    を聴く習慣のある人にはこの概念はほぼ共通するものになっていますから、他の人にも通用する
    客観的な判定が可能になります。
    
     ところで「煩い音」とか「不愉快な音」の原因は何でしょうか? 上述した帰還アンプが発生
    する過渡的なひじみ感の他に、「部品」即ち、フィルムコンと配線に用いる4Nのビニール線材に
    起因するひずみ感があり、訓練された聴感でこれらを正確に選別しない限り「嫌な音」のしない
    アンプを作り上げる事は到底出来ません。音に癖の出ない、フィルムコンやひずみ感を伴わない
    4N線材を正しく選び出す必要があります。フィルムコンで言えば私が昔から使って来たERO コン
    は唯一無二の存在でしたが、残念ながら現在は殆ど入手困難になっています。これに近いものや
    代替できるものを新たに発掘する必要がありますが、その為にはそのひずみ感を検知できる良質
    なアンプと訓練された聴感が必要になります。従って聴感が正しく訓練されていない技術者には、
    無理難題と言う事になります。
    
     線材に関して言えば6Nや7Nは論外としても、4N銅線にもひずみ感を発生するものとそうでない
    ものが有る事に私が気付いたのは比較的最近の事でした。まさか4N銅線にも大きな問題が潜んで
    いるとは驚きでした。何故最近まで気付かなかったのかと言えば、帰還アンプの不安定性に起因
    する「嫌な音」の方が勝っていたからだと思います。最近になって高ftTRの採用等に依って帰還
    アンプの「嫌な音」が無視できる程度に減り、初めて線材に依るひずみ感に気付けたのだと思い
    ます。その程度から言えば線材の責任は不安定な帰還アンプやひずみ感を出すフィルムコンより
    軽いのですが、しかしそれを無視したままでは「ライブ音楽」が楽しめるレベルの帰還アンプを
    作り上げる事は出来ないのです。
    
     斯くして「帰還」と「部品」の2つの問題が解決出来ればかなり増しな状態のアンプになるの
    ですが、あと一歩と言うところで足踏み状態になってた気がします。最後の決め手になったのが、
    最近話題の終段のパワーTRの高ft化です。これまで行ったΕ-5H やΕ-10Hのような準コン基板を
    使うパワーアンプや各種安定化電源のドライバー段の高ft化がそれなりの効果を生みましたので、
    未実施のドライバーと終段パワーTRの高ft化もやるべきだと気付いたのです。裸特性の良い方が
    一般には帰還は安定に掛りますから、帰還の安定性をより向上させる事ができるはずです。今回
    のアップグレードでそれが行き着くところまで行って、結果的にライブ音楽の良さを知っている
    複数のユーザーの方に支持される帰還アンプに成ったのだ、と私は思っています。
    
     だから「高ftTRはとっくに使ってる」とか「高周波特性の良いMOS-FET を使ってる」とか言う
    反論は殆ど意味を無しません。詰まり「負性抵抗」を内包し、安定性に問題のある帰還アンプで
    ある以上は、必要な帰還の安定性が十分確保できませんからその時点で「ライブ音楽」を忠実に
    再生できるような帰還アンプにはなり得ないからです。仮に、一昔前のWRアンプに高ftパワーTR
    を使ったとしても、大した効果は発揮できなかったと思います。当時のWRアンプは他に未だやる
    べき問題を抱えていたからです。メーカー主導のオーディオ史上の末期には、既に高ftパワーTR
    は開発されていたにも拘らず、それを起死回生の革命的なアンプに仕立て直す事ができず、迫り
    来るオーディオの斜陽化を救えなかった事からも、それは言えるのではないかと思います。
    
     以上の考察からWRアンプは街でよく見掛ける既成オーディオ技術で作られたオーディオアンプ
    とは、全く違う概念で作られてる事がお分かり頂けたかと思います。私が何故それを可能にする
    事が出来たのかは、私が偶々無線にも興味があって無線機の類を自作していたからだと思います。
    当時電気に興味を持つ若者は「オーディオ」か「無線」か、のどちらかに分かれていたのですが、
    私は両方共にやっていたのです。だから、高周波的なセンスが自然に身についていたのでしょう。
    これが幸いしたのです。ある日自分が作ったアンプに使っていたカソードホロワ回路で、それが
    発揮されたのです。
    
     ご承知のように、普通カソードホロワのプレートにはリップルを取った電源が直接結ばれます。
    そして、電源からプレートまでの結線には適当な長さのビニール線が使われます。この長さには
    直流さえ掛けられれば何の制約もないと言うのが当時の常識でした。私の場合は20cm位は有った
    と思います。こう言う場合、今ならプレートにパスコンを入れるのが常識ですが、そんなものを
    入れると言う概念は無かったのです。何かの拍子で偶々ですがビニール線の長さを変えたのだと
    思います。そうしたらそのアンプの音がはっきり分かる程に変わったのです。最初は「何で?」
    と思いましたが直ぐにピンと来たのです。「これはビニール線のインダクタンスの影響だ!」と。
    高周波的なセンスが無ければ見逃していたでしょう。オーディオアンプにも高周波的考察が必要
    なんだと言う事が、この時に私の頭に定着したのでした。未だ高校生の頃だったと思います。
    
     それから大学に進学しましたが、世の中は真空管の時代からトランジスタの時代に移行しつつ
    あったのです。「電子回路学」の最後の方でトランジスタ回路を学んだのです。カソードホロワ
    はエミッタホロワになっていました。院修了後に「振動工学」講座の助手になって研究の日々を
    送っていました。ある日図書館で見た「電子回路」の参考書にエミッタホロワの高周波等価回路
    計算が載っていて、出力インピーダンスの実部に「負性抵抗」が生じる可能性についての記述を
    見つけたのでした。「負性抵抗」に関する物理学的意味を「電子管工学第一」で昔に学んでいま
    したので、此処でもまたピンと来たのです。担当教授は学者肌の先生で技術的知識でなく学問的
    な見地に立って講義してくれたお陰だと思います。カソードホロワでの経験が此処で又生きたの
    です。
    
     当時私はやっと講師になっていましたが「エミッタホロワの安定性に関する理論的な研究」に
    着手したのです。こうしてWRアンプへの第一歩を踏み出したのです。自動制御論には全く関心は
    なくて、高周波と「負性抵抗」の観点からオーディオアンプの研究を始めたのでした。それから
    彼是半世紀が過ぎようとしています。長い闘いでしたが遣り尽くせて本当に良かったと思います。
    「負性抵抗」理論も回路論である範囲は学会論文として受け付けて貰えましたが、避けては通れ
    ない聴感の話しに及ぶと拒否反応に会いました。また負性抵抗理論をAES 誌に投稿した事も有り
    ましたが、学会の査読論文はリジェクションする場合は、普通何らかの正当な理由を添えるもの
    ですが、散々待たされた揚げ句に全くのノーコメントで送り返された事もありました。それ以来
    学会を見限って、WRアンプユーザーの方を証人として研究を続けて来たのです。正に、孤軍奮闘
    でした。
    
     今やディスクリート部品は入手困難になりつつありますから、何時まで思い通りのWRアンプが
    作れるか予断は許されませんが、出来る限りWRアンプを継続して作れるように頑張りたいと思い
    ます。私が言うのも変ですが、全く問題なく製作できる内に、未曽有の進化を遂げたWRアンプを
    手に入れて置く価値はあるかも知れないと思います。ΕC-1HとWRP-α120 を既に所有されている
    にも拘らず、WRP-α9 とWRP-α120 をさらに購入為さったユーザーの方は、先見の明が有ったと
    言うべきかも知れません。最後に一言言わせて頂きますが、このアンプシステムの真価は、既成
    オーディオでの未体験ゾーンにありますから、実際に聴いた人にしかこの音の良さは分からない
    と言う事を申し上げて置きたいと思います。
    
     最後にもう一点付け加えるならば、WRアンプはご自分の聴感の進捗に合わせてアップグレード
    をして行く事が可能な事です。高度成長期に急進展した既成オーディオアンプは、極端に申せば
    使い捨てアンプです。気に入らなければ新型モデルをお買い下さいと言うスタンスです。しかし、
    ご時世はSDGsの時代になっており、持続可能なものこそが特に歓迎されますから、そう言う意味
    でもWRアンプは正にタイムリーなオーディオアンプであると言う事が出来ると思います。この後、
    何時まで高ftのパワーTRが購入できるのかは不透明ですが、証人としてのユーザー方々の貴重な
    ご感想が続いてくれる事を期待しています。  

    2053岡山のT.N.さん(元オーディオFSK使用者) Fri Feb 10 20:57:18 JST 2023
    今回の高ft化アップグレードのロックに対する効果
    
    音の感想を報告させていただきます。
    クラシックはまだ様々な曲を聴き込んでいないこともあり、
    ロックの感想を寄せさせていただきますが、
    ロックに関して言えば、このアップグレードの効果は絶大です。
    
    何が違うかというと、音の迫力がものすごいのに、
    うるさいと感じることがほとんど無くなったのです。
    ロックはクラシックと比べると、
    どちらかというとうるさい音楽だと思います。
    
    それがウエストリバーのアンプだと、
    音の滲みや不愉快なひずみが無くなることにより、
    一つ一つの音の意味が明確になり、
    表現者の表現したいことがはっきり分かってくることにより、
    音楽全体が説得力のあるものになります。
    
    それがうるさいと感じないことの秘密なのだと思います。
    今回元々持っていたこの長所がさらに伸びているということだと思います。
    
    うるさいどころか、非常に濃密な情報量にさらされて、
    麻薬的とも言えるような快楽を感じられます。
    音が縦横にはじけ飛び、サウンドが非常に立体的です。
    声を含む全ての楽器の生々しさと自然さがすごいです。
    
    アップグレード前と比べて、何を聴いても楽しいと感じられるようになりました。
    
    経験的にこのレベルのサウンドを得られることが、
    どれくらい稀なことなのか分かっているつもりです。
    川西先生には、いくら感謝をしてもし足りないと思います。
    ありがとうございます。
    
    (私の過去の投稿は項番2005にあります。参考までに。)  

    2052川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Feb 2 11:00:00 JST 2023
    終段のパワーTRの高ft化でWRアンプの最終モデルが完遂しました!
    
                       −−−ピアノ音楽がストレスフリーで聴けるアンプ
    
     前項の件に取り敢えずご応募頂いた方は数人ですが、例外なく「只事ならぬご感想」を頂いた
    と思っております。我が110W機を含め全て100W、120W機で占められています。これらのユーザー
    の方々はそれだけ最高の音を求めているからだと思います。これまでに行われたアップグレード
    全てに応えて来て下さった上に、WRアンプの音の最終的な姿を複数の方と分かち合えた事は何に
    も代えがたい貴重な財産となりました。少し大げさに聞こえるかも知れませんが、今回得られた
    音は、これまで体感した音を遥かに超えたレベルに達したからです。
    
     例えば、最近よく試聴に使うショパンP協1番のCDですが、これまでは約40分の全曲を通して
    聴けた事がありませんでした。ピアノの音に耳を威圧する異常音が含まれていて、その都度興が
    醒めてしまい、又演奏も下手くそに聴こえて中断する羽目に陥っていたのです。オーディオ再生
    は不思議なもので、音が完璧に再生されると演奏がワンランクもツーランクも上がって聴こえる
    ものなのです。今回改めてこの感を強く持ちました。今やこのCDの演奏評も「優」が上げられる
    程になっています。これで他のピアノコンチェルトも思う存分聴ける事になります。
    
     ピアノの音の改善は右手でよく起きる耳を威圧するような音だけではありません。左手の低音
    が変に膨らまず締まった事です。ピアノの低音が凄みをもって聴こえるようになりました。この
    ように感じたのは私だけではありません。Δ120 と言う一昔前の120W機をお持ちの方は、何時も
    お電話でレポートを下さいますが、電話口に出るや否や「ピアノの低音が引き締まりましたね」
    と言う声が飛び込んで来ました。この方はマルチアンプの低音部に、このΔ120 をお使いなので
    ご感想は何時も低音部に限られますが、マルチシステムの根幹を受け持つ低音用アンプは重要な
    役割を担ってるはずです。余り長くなっても失礼かと「アップグレードがお役に立って良かった
    です。どうもありがとうございました」と申し上げると、電話をお切りにはならずに又ピアノの
    低音が良くなった事を何回か繰り返されたのでした。お世辞であるなら1回言うのが関の山です
    が、これは本気で仰ってるなと言う気持ちが伝わって来ました。
    
     今回のアップグレードは理論的に言えば帰還ループの裸特性が向上した事に依り、帰還がより
    安定に掛ったと言う事だと思います。だから音質の改善は、音域に依らずにどの帯域でも等しく
    起きると考えられます。音質が改善したと感じるポイントは人それぞれだと思います。ある人は
    ピアノ、ある人はバイオリン、ある人は声、またある人はエレキギターと言うように千差万別の
    はずです。要するに自分が先ず注目する楽器で気付く事になります。しかし音楽の聴き方は様々
    であり、人に依っては特定の楽器の音と言うより、音域毎に注目して聴く方もいらっしゃいます。
    しかし、今回のアップグレードで広い意味でのひずみ感が殆ど無くなったと言う意味では皆さん
    共通してるように思います。それでは一番乗りでアップグレードして下さった方のご感想を此処
    で紹介させて頂きます。
    
    ★無事アンプほ到着しております。
    ★さっそく、接続して聞いております。
    ★本日は帰宅が遅くなりましたのでSTAXのヘッドホンのみでの音出しです。
    
    ★ウエストリバーアンプに驚かされるのは慣れてしまっていますが、
    ★今回のアップグレードにもびっくりしました。
    
    ★簡単に言うと、今までソースに含まれていたものと思い込んでいた響きは
    ★音のにじみだったのかもしれないと気付かされたのです。
    ★特に高域付近は今まで余韻のような響きがついており、
    ★反対にそれはそれで雰囲気と聞いておりました。
    
    ★低音に関しても低音の芯から広がる響きを良しとしていましたが、
    ★このアップグレード後の音を聞いてしまうと、
    ★それは間違った認識だったのかもしれないと思いなおされました。
    
    ★いやはや、少しまだ耳が付いていけていないような気がします。
    ★またご連絡させていただきたいと思います。
    ★いつも素晴らしい音をご提供いただきありがとうございます。
    
    と言う内容のご感想です。
    
     この方は夜半大きな音が出せないので、STAXの高級ヘッドホンとその高級専用アンプ、および
    他社の既成オーディオ技術で作られた専用アンプ等を2、3購入したものの、WRアンプに慣れた
    耳にはひずみ感が多くて長い間聴いていられなかったようです。最後に私にSOS が来ましたので、
    門外漢ながらWR流に考え抜いてSTAXアダプターをお作りしたのです。これを使ってSTAXの静電型
    ヘッドホンを鳴らした時のご感想です。駆動アンプは最終アップグレード成ったWRP-α120 です。
    ご感想文の要点は次の行だと思います。
    
    「今までソースに含まれていたものと思い込んでいた響きは音のにじみだったのかもしれないと
    気付かされたのです。」
    
     音の滲みとは即ち、本来の楽器の音ではなくアンプが発生した過渡ひずみであると言う事なの
    です。これがどの楽器で起きたのかは定かではありませんが、本質的には私が指摘したピアノの
    異常音も、電話の主が指摘されたピアノの低音の膨らみも皆同様のメカニズムで発生している事
    になると思います。この方は聴感に優れており、私は何も申してないのに唯良くなったと言う事
    ではなく、正しく「にじみ」がある事にお気付きになった事です。もう一点気になるところは
    
    「低音の芯から広がる響きを良しとしていました」と言う表現です。芯から広がる低音とは最初
    はピンと来ませんでしたが、これは多分ですが膨らんだような低音と言う意味になるのではない
    かと思います。この音は低音がよく出ていると錯覚し易い音なので、そう解釈すれば辻褄が合い
    ます。「世間で低音が出る」と言う表現は殆どこの種のものでしょう。本来の低音は膨らまずに
    締まって聴こえるものですが、私自身このアップグレードで実感として初めてこれが本当なんだ
    と納得できたのです。
    
     STAXで試聴されてから2、3日後に今度はスピーカーでお聴きになった時のご感想が届きました。
    
    ★続報です。
    ★昨日、今日とスピーカーからも音出しいたしました。
    ★大筋でヘッドホンからの音出し時の感想と変わりません。
    ★高域、低域の無駄な響きがなくなったせいか曖昧さがなくなり、
    ★すべての音が手にとるように把握できるような印象を持ちました。
    
    ★やはり以前までは若干雰囲気で聞かせる部分があったように思います。
    ★今回のアップグレード後も、
    ★ソースに含まれているホールの響きなどの響きは出るものの、
    ★それ以外の無駄な響きは付加しないようです。
    
    ★それらが実は歪みだったのでしょう。
    ★すべての音がクッキリしているのに実に堂々として耳に自然なので、
    ★反対に不思議に感じてしまいます。
    ★ありがとうございます。
    
     この中での注目ポイントは先ず次の行だと思いますが、STAXでの聴取時に有った若干の戸惑い
    は消え、自信をもって「曖昧さ」や「無駄な響き」が有った事をお認めになってると感じました。
    それ程今回のアップグレードは本質的な音質向上が有ったと言えるのではないでしょうか。さて、
    話を元に戻して次の行です。、
    
    「高域、低域の無駄な響きがなくなったせいか曖昧さがなくなり、すべての音が手にとるように
    把握できるような印象を持ちました。」
    
     そうなんです。曖昧な音が殆ど無くなる事は私を含めて皆さん異論はないと思います。だから
    音が明快になり一点の曇りもなくなって聴こえるようになるのです。確かに以前より音がクリア
    になったと私も感じながら試聴しておりました。クリアな音は時として無味乾燥な音に聴こえて
    しまう事がありますが、その点も実に的確に
    
    「すべての音がクッキリしているのに実に堂々として耳に自然なので、反対に不思議に感じてし
    まいます。」 
    
    と指摘されており、クリアさが堂々とした自然な音に通じていると仰っています。
    
     今回はこの辺りにしたいと思いますが、そう言えばこの方のご感想文には何時も特定の楽器は
    出て来ないようです。特定の楽器に注目しなくても、注目する音域を決めれば、それが正しいか
    そうでないかが分かってしまう程の聴感をお持ちなのでしょう。
    
     この他にも、何時も詳細なレポートをして下さる方からは
    
    ●全体に、文字通りアップグレードした音という第一印象です。
    ●これから、いろんなジャンルを聴きこんでいくのが楽しみです。
    
    と言う第1報を頂きました。私もご感想文が楽しみです。又アップグレードは必ず為さいますが、
    普段は殆どコメントの無い方からも
    
    ■感想は、私にでも変化が分かり、言語化できるようなら報告させていただきます。
    
    と前向きの第1報を頂いています。余程、音質に変化をお感じになられたのでしょう。この方は
    WRP-α120 を2台も保有されています。世の中にこれ以上のパワーアンプは無いので、何かの時
    の予備に備えて置きたいと申されて居りました。私が高齢者になった事と無関係ではないのかも
    知れません。そう言えば思い出した事があります。この2台のパワーTRは、1台がキャンタイプ
    (TO-3)でもう1台がモールドタイプ(TO-3P )なのですが、このアップグレード前までは異な
    ったタイプから来る音の違いを感じていました。しかし今回は2台の音の違いが無くなってる事
    に気付いたのです。このように部品の違いから来る音への影響も今回のアップグレードが上手く
    吸収してくれているようです。そう言えば短期間に連続して数台のアップグレードをしたのです
    が、普通は感じる個体差が殆どなかった気がします。
    
     尚、今回のパワーTR交換の殆どがTO-3だった為、在庫がかなり少なくなりました。未だ TO-3P
    の方は十分残っています。原則的に付いていたパワーTRと同型のものに交換しますが、止む無く
    異なった型に変更する場合もあります。それでも音質に有意な差はありませんのでご心配は全く
    無用ですが、その気のある方はなるべくお早めにお申し出頂いた方が宜しいかと思います。  

    2051川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Tue Jan 17 13:30:00 JST 2023
    TO-3又はTO-3P 型パワーTRを使ったWRパワーアンプの高ft化アップグレードについて
    
                               −−−それなりの効果有り!!!
    
     昨年の暮れにはパワーTRの手配を終えてはいたものの、新規アンプの製作等で我が110W機への
    交換作業が進まず、その評価が遅れてしまっていました。この度、やっと目鼻が付き予想通りに
    ピアノの異常音が殆ど気にならなくなる事が確認出来ましたので、皆様にも甘受して頂きたいと
    考え、そのアップグレードを提案させて頂きたいと思います。これはWRアンプ史上でも画期的な
    事ですから、30W 以上の旧型を含むWRパワーアンプをお持ちのユーザーの方に是非お勧めしたい
    と思います。
    
     以前にも書きましたように、ピアノのある音階で耳の鼓膜が瞬間的に圧迫されるような異常音
    が高帰還アンプから生じる事がありますが、これまでずっと解決出来ずにおりました。一足先に
    弦の引き攣れ感は解消したのですが、このピアノの異常音だけは軽微になったものの厳然として
    今の今まで残っておりました。我が110W機にはftが20MHz のパワーTRを使ってるのですが、それ
    でも解決しなかったのです。こればっかりはSEコン化は殆ど効果が無かったようです。20MHz の
    パワーTRを積むようになったのはつい最近の事ですから、10MHz のパワーTRを積んだものはもう
    ワンランク不利になっています。
    
     ところが今回のパワーTRの高ft化によって、長年の懸案事項がほぼ解決出来た事になり感無量
    の気持ちでいっぱいです。ピアノは平均律で調律される事と大いに関係するのかも知れませんが、
    耳に来易い音階はある程度決ってるように思います。勿論、右手に多く存在します。50年以上も
    悩まされ続けて来たのですから本能的にその音階の音は身体に浸み込んでいます。そう言う音階
    が多用されてる曲のピアノ再生は至難の業になります。
    
     最近、ピアノ再生のチェックにはWR Recordingに依るショパンのP協1番の第2楽章から聴き
    始めます。耳に来る音の音量は必ずしもffばかりではありません。緩徐楽章のようなp やppでも
    来る時は来ます。この第2楽章の前半部分はその音階が多く使われてる気がします。この辺の音
    がもう少し安定し心穏やかに聴く事が出来れば良いのに、とずっと思っていました。
    
     ですから、今回TO-3型のパワーTR計6個を苦労して交換した時には、ウォーミングアップの為
    に10〜20分程度の慣らし運転をする為に他の決まったCDを聴きますが、その後に聴いたのがこの
    楽章でした。こう言う時には本当にハラハラドキドキするものですが、予想通りに異常音がほぼ
    気にならなくなった事が確認出来たのですから、感無量の気持ちになったのも至極当然の事だと
    思います。20MHz が60MHz と3倍になった事がやはり帰還の安定に大きく効いたようです。実は
    WRのピアノ録音にはこの他にリスト編曲のベートーベンの「田園」があり、このCDもショパンを
    聴いて気分の良い時には必ず聴くようにしていますが、収録したホールが芸大の新奏楽堂の為か
    響きが豊かに録れていて、グランドピアノのスケールの大きな絢爛たる音を何の心配もなく満喫
    する事ができるようになっていて感激しました。
    
     これは決してまぐれではありません。WRアンプは再現性と普遍性を兼ね備えた科学的思考の基
    で進んで来たのですから、最後の砦でとして残っていた最終段のパワーTRの高ft化は必然だった
    のです。行き着くべくして辿り着けたのです。だからと言って、どんなアンプでも高ft化すれば
    必ずいい音になると言う程単純な話しではありません。既成オーディオ技術で作られたアンプに
    適用しても大した効果はないと思います。これは、帰還に依って不可避的に生じて来る不安定性
    の問題や、部品や線材の不完全性によるひずみ感の増大などの諸問題を、全て確実に埋めて来た
    WRアンプにして、初めて可能になった事なのです。
    
     まだ未確認ですが、オーディオ再生で最も難しいピアノの音が、ほぼ完璧に再生出来るように
    なったと言う事は、以前より正しく再生できてる事にになりますから、同等に再生の難しい他の
    楽器や多くの楽器が複雑に絡み合った場合等にも効果を発揮するであろう事は十二分に想像でき
    ます。そう言う事例を私自身も今後気を付けて見つけて行きたいと思っていますし、後に続いて
    下さるユーザーの方々にもそれを期待したいと思います。私が余りまたは殆ど聴かないジャズや
    ロック等の分野でそのようなご報告を頂ければ幸いです。
    
     最終段のパワーTRを高ft化した場合のこの効果は、非SEコン化アンプでもそれなりに確認出来
    ますが、SEコン化されたアンプとの違いはやはり厳然として存在するように思います。それが何
    かを最近考えていたのですが、結局は「自然感」の違いであると思うようになりました。ライブ
    の音は自然な音が基本ですから、そう言う音を期待する方には、それが現時点で可能かどうかは
    別にして、SEコン化の遂行をお勧めします。
    
     前置きが長くなりましたが、下記のようにTO-3またはTO-3P の高ft化アップグレードの詳細を
    定める事に致します。
    
     1.ドライバー段未実施の場合 −−−> 計10個交換 −−−>3万円
    
     2.ドライバー段実施済の場合 −−−> 計6個交換 −−−>2万円
    
     但しこれには新αシリーズのパワーアンプの他に旧型WRパワーアンプ等も含まれますが、この
    アップグレードをするのに妥当かどうかがお分かりにならない場合は、メールや電話等でご相談
    頂きますようにお願い致します。2.は項番2047の3)に応募された方が対象になります。
    
     最後に蛇足になりますが、オーディオアンプの再生品質はソース源の出来不出来に大いに影響
    されますので、音の判定に使用するソース源は十分注意を払って選択して頂きますようにお願い
    致します。LPレコードの溝に刻まれたアナログ信号やCDに空けられたデジタル信号がどのような
    音なのかは、それこそ神のみぞ知るところですから、何を信頼して選ぶかは非常に難しいところ
    です。統計的には聴くに値するソース源は非常に少ないのが現実です。買って満足するソース源
    は昔から少ないのです。
    
     だからピアノの音のチェックには、内実の分かってるWR録音に依るCDを使ったのですが、これ
    とて現時点の技術レベルからすれば問題なしとは言えないのです。ショパンP協1番の録音年月
    は確か2011年ですから、既に11年以上も昔のWR技術で録音された事になります。WR録音には私が
    設計したマイクプリアンプが使われていますが、当然この中には安定化電源あり、2段差動あり
    ですから、現時点の技術からすれば劣ると言わざるを得ないのです。そこで正月休みを利用して
    保有する4台のマイクプリの内、電源がセパレート式になっている本命の2台のアップグレード
    を3日程掛けて実施致しました。3月にはピアノを含む楽曲の録音があるそうなので、ショパン
    のP協1番のCDより優れた録音を遣って退けたいと思っています。
    
     高ftのパワーTRには数に限りがありますから、やる気のある方は早めにご連絡頂きたいと思い
    ます。最終段階に差し掛かったWRアンプのTO-3又はTO-3P 型パワーTRの高ft化アップグレードに
    対して、私自身大いにやる価値があると思いますので、一人でも多くのユーザーの方に応募して
    頂きたいと願っております。  

    2050川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sun Jan 1 00:00:00 JST 2023
    謹賀新年 2023.1.1
    
     昨年は、ユーザー各位には大変お世話になり厚く御礼申し上げます。いよいよWRアンプは最終
    段階を迎えようとしています。これは現存の部品を使う限りではこれ以上の音質向上は望めない
    と言う事を意味します。この事は私だけではなく、高ft化をされたユーザー方々のご感想からも
    言えるのではないかと思います。
    
     確かに、アナログの世界は理想状態に漸近するだけですから切りが無い訳ですが、現実的には
    「この程度の音が出てくれれば満足だ」と思える領域に達していると感じられるからです。この
    ような心境になったのは、最近実施した高ft化アップグレードが最後の仕上げに相応しい効果を
    上げたからだと思います。人によって音楽の趣味が異なりますので一概に言えるかどうかは分り
    ませんが、私はピアノの再生が本質的に良くなったと思っています。
    
     ピアノの再生はオーディオを本気で始めた頃からの宿題になっていて超難問ですから、今まで
    解決が遅れていたと言っても良いかも知れません。勿論、徐々に良くなっているはずなのですが、
    ピアノに関しては決定打が無かったと言う感じです。要するに、目の前にピアノが有るようには
    聴こえて来なかったのです。耳に何らかの違和感を感じる音がまだまだ有ったと言っても良いと
    思います。何故他の楽器はそこそこ満足できるのに、ピアノだけはダメだったのか私なりにその
    理由を考えて見ました。
    
     私の考えは以下の如しです。ピアノ以外の楽器は、大まかに言えば点音源と言ってもそう遠く
    ないと思いますが、ピアノは誰がどう見ても点音源とは絶対に言えないディメンジョンを有して
    います。通常のオケで用いられる他の楽器に比べて馬鹿でかいのです。88鍵分のピアノの弦が
    順に並んでいる訳ですが、その並び方は決して一様とは言えない構造です。従って、反響板から
    の音を含めれば、ピアノの音は点音源どころか「面音源」を越えて、「体音源」と言っても過言
    ではない程の複雑怪奇な発音体だと言えます。その結果ピアノの音は音階に依って位相や指向性
    がマチマチになってしまうのです。
    
     だから、生で聴けば大した問題にはならないのですが、この音を録音し再生すると言う過程を
    経ると、其処で使われるアンプの不完全性、特に再生アンプの除去し切れない不安定性によって
    ピアノと言う複雑な楽器の音は音階に依って一様性を失い耳に不快な音に聴こえる音階が生じて
    来るのではないかと考えられるのです。この普通は除去し切れない不安定性は、WRアンプの場合
    「負性抵抗」を可能な限り抑え込んだ結果、極小となり、ピアノ以外の楽器では耳に不快な音に
    までならずに済んでいるのだと思います。しかし残念ながら、「体音源」であるピアノの音では
    馬脚を現してしまうのだ、と考えれば納得が行くと思います。
    
     その「普通は除去し切れない不安定性」が今回の高ft化でかなり取り除かれたと考えれば辻褄
    が合うように思います。Ε-10H以下のパワーアンプでは、終段にTO-220型の中型パワーTRが使え
    ますので、ピアノの音はかなりそれらしく聴こえるようになったはずです。しかし30W 型以上の
    アンプでは、終段にTO-3ないしはTO-3P を使いますので、安定化電源を含めて現時点では 10MHz
    か20MHz のものを使う事になります。以前にも書きましたが、この10MHz と20MHz とではピアノ
    の音に無視できない違いが生じて来ます。詰まり、此処を高ft化すればさらにピアノの音は良く
    なる事を暗示しています。
    
     そこでftが50〜60MHz のTO-3とTO-3P をそこそこの数ですが買い集めました。先ず我が110W機
    で実験して、私の予想が的中すれば皆様にもお勧めしようと考えています。暮れは忙しくて落ち
    着いて実験出来ませんでしたが、年が改まりましたのでそろそろ実験に着手したいと考えており
    ます。これが成功すれば新型αシリーズのパワーアンプは名実ともに他に比肩できるものが無い
    レベルの音質を獲得する事になると思っています。
    
     これを持ちまして、新年を迎えての巻頭言とさせて頂きたいと思います。今年も完成度の高い
    WRアンプを、どうぞよろしくお願い申し上げます。  

    2049川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Dec 15 17:00:00 JST 2022
    前項に引き続き、高ft化アップグレードに対するユーザーの方のご感想です。
    
     今回は紙面の都合でお二方に絞ってご紹介します。先ず最初は古くからのユーザーの方ですが、
    順を追ってアップグレードを積み重ねて、つい最近ΕC-2HとΕ-10HのSEコン化を成し遂げられて
    いらっしゃいます。引き続いて、それらの高ft化を実施されてのご感想を最近頂戴しましたので
    皆さまにもお読み頂きたいと思います。
    
    ■高ft化アップグレードの音ですがよく聞いている、
    ■サラオレインの声の生々しさには驚きました。
    ■音像の良さや自然そのものの滑らかさで
    ■ボーカルや演奏は、その場で聞いているようです。
     このような書き出しですが、此処で大切なのは「ボーカルや演奏は、その場で聞いているよう
    です。」と言う部分です。要するに音の基準を何処に置いてるのか分からないようなオーディオ
    的な興味に終始する感想文とは一線を画すものであり、其処に私は素晴らしさを感じます。何回
    もアップグレードを重ねて来られ、着実に一歩一歩山を登られたのだと思います。そしてやっと
    頂上が見えたのではないでしょうか。今回のアップグレードで、高ft化が完全実施された訳です
    からこの先はもう何も無いのです。WRアンプには既成オーディオにない「完遂する」と言う事が
    現実化するのです。
    
     そして恐縮ながら、私からのアップグレードのご提案を次のように肯定的に捉えて頂いており
    ます。
    
    ■SEコン化からあまり間を置かずに高ft化を実施していただき、
    ■アップグレードの都度、高音質化を実感していましたが、
    ■毎度これ以上あるのかという音質が更に向上するので、
    ■川西様のアップグレード技術と音質チェック、聴感には感嘆します。
    ■また安心してアップグレードをお願いできます。
     普通はオーディオ的興味から既成オーディオに惑わされ勝ちになり、脱線される方も居られる
    のですが、この方は決してブレずにWRアンプの世界をトコトン突き詰められたのです。誠に有り
    難い事だと思いますが、結果的に「ボーカルや演奏は、その場で聞いているようです。」と言う
    音の世界を手に入れられた事になります。
    
     さらにWRアンプの費用対効果は非常に大きいのではないかと次のように綴られていらっしゃい
    ます。
    
    ■SEコン化との相乗効果もあるのでしょうが
    ■高ft化アップグレード化の高音質化からみる費用は
    ■オーディオ業界の相場からは考えられない位、財布に優しく本当にありがたいです。
    と仰っていますが、これと同じ意見がWR掲示板2048に於いても以下のように記されていますから、
    これは正直なお気持ちなのかも知れません。
    
    ◎これだけの自然さはオーディオでは初めて聞いたと思います。
    ◎これだけの音質向上があれだけの安価に出来るというのは驚きです。
    
     最後に、この方が登って来られたアップグレードと言う階段を振り返って、その都度満足した
    はずなのに、比較すると上には上があったと吐露されています。これは上質の再生音なら聴感は
    鍛えられると言う事を示しています。生の音を基準にしたWRアンプの最終的な姿がやっと見えた
    はずですが、もし万が一さらなるアップグレードが仮に有った場合でも付いて来て下さると言う
    決意表明までされて居られます。誠に頭が下がる思いです。
    
    ■WR標準→SEコン化→高ft化と聞いてきて
    ■WR標準を単体で聞くならもう満足のレベルですが
    ■比較すると更なる良さが分かってしまいます。
    ■これからも川西様の指標(生音) である
    ■WRアンプを信頼して付いていきたいと思います。
    ■今後も宜しくお願い致します。
    
     この方のように私を信じて付いて来て下されば、必ずこの方のような境地に達する事ができる
    のです。但し「ボーカルや演奏は、その場で聞いているようです」と言う世界に価値観を見出せ
    ない方はこの限りではありません。しかし昭和30年代なら兎も角、高周波ノイズが波乱する現在
    に於いては、素人は元より既成オーディオ技術でも音遊びに終始するであろう事が想像されます。
    WRアンプの世界は偶然に辿り着いたものでは決してなく、半世紀におよぶ「負性抵抗」と高周波
    ノイズに関する一貫した研究と、徹底的に訓練した聴感を駆使して勝ち取ったものなのです。
    
    
     次にご紹介するのは前項で、プリアンプの高ft化が済んだ時点でご感想文を掲載させて頂いた
    方です。試聴機から始まって一挙に完全アップグレードされたWRP-α9 とWRP-α100 をご購入に
    なり、立て続けにSEコン化、高ft化とアップグレードされたのです。WRP-α9 の高ft化に加えて
    WRP-α100 のドライバー段の高ft化が終わったところで、以下のようなご感想文を頂戴しました。
    
    ★到着以来、毎日聴いてますが、日々良くなっているような気がしています。
    ★元々のWRアンプのエージング効果なのか、
    ★2回のアップグレードの時間差エージング効果の
    ★更に相乗効果なのかは分かりませんが、
    ★聴きなれた音源が実はこうだったのかということを改めて体験しています。
    と開口一番仰っています。「聴きなれた音源が実はこうだったのかということを改めて体験して
    います。」と言う行はWRアンプに変更して初めてソースの本当の姿が分かったと言う事ですから
    如何にWRアンプシステムで聴く音は、ソースの中味に忠実かが分かろうと言うものです。具体的
    には以下のようなコメントが添えられています。
    
    ★細かく言うと色々ですが、一言で言うと、色彩感と実体感ですか。
    ★ピアノ、バイオリンの単音も複雑な倍音の集積で、
    ★英語圏では、トーンという単語で表現するみたいですが、
    ★正にこういう音色を色彩感があると表現するのでしょう。
    ★楽器の違い、奏者の違いもハッキリ表現されます。
    と述べられています。確かに、楽器の音は正弦波発振器とは違って、基音+高調波成分から成る
    複雑な波形であるはずです。正弦波の音はどのようなアンプで聴いても何の違いも感じないはず
    ですが、高調波成分を多く含む音(トーン)は微妙に違って聴こえると思います。だからアンプ
    を色々と選ぶ必要があるのでしょう。人の顔が百人百通りであるようにアンプの音も又様々なの
    です。しかしその中には、非常に少数派ですが、楽器の音に非常に近い音と認識できるアンプが
    あります。その少数派になる為には「楽器の違い奏者の違いもハッキリ表現」されなければなら
    ないのですが、その典型例がWRアンプだと仰っているように思います。
    
     そして、WRアンプシステムで聴いた音(トーン)の感触が次のように記されています。
    
    ★また、音そのものが実体化してこちらに届くような音の出方で、
    ★何とも心地よい空間表現です。
    ★情報量も増えて、ライブの楽譜捲りの音、
    ★金管のミスなんぞもよくわかります。
    ★N 響は金管が弱いというのも納得しました。
    
     この中に実体化と言う言葉が出て来ますが、スピーカーから放出されたトーンが人間に到達し
    恰もライブで聴く実物の音のように、それが認識できる事を指しているように思います。トーン
    から実物の楽器、その演奏の仕方までが思い浮かぶと言うことです。これは当然の事では決して
    なく、本当に稀にこのようなアンプに出くわす事が有ると言う程度だと思います。言うには及び
    ませんが、それがWRアンプなのです。
    
     最後に、この方のソース源はTVやFM放送の録音が中心だったはずですが、SACDやCD等のソース
    も非常に良い音で聴けるようになったと吐露されていらっしゃいます。巷では音が堅いとか言わ
    れるCDですが、WRアンプシステムに於いては最早堅いと言うイメージは完全に払拭されています。
    CDの音が堅いと言う方は、使っているアンプが落第だと言う事を自ら吹聴してる事になりますが
    そう言う方がアナログ製品を購入されるのでしょう。しかし、単に堅さが無いと言う程度の音で
    あればそう難しくないのかも知れませんが、アナログでWRアンプ並みの音質レベルを達成する事
    は非常に大変だと思います。そもそも、アウト付き真空管アンプではスピーカーを正しく定電圧
    駆動する事は出来ないのですから、イージーなアナログ回帰に私は疑問を持っています。それは
    さて置き「普通のCDも素晴らしい音・演奏で聞こえるようになってきました。」と仰って頂いて
    います。この方は早めに真空管アンプに見切りを付けられたので、このような事が可能になった
    のです。アナログに拘り過ぎるのは如何なものかと思う所以です。
    
    ★ハイフェッツのSACDだけでなく、
    ★普通のCDも素晴らしい音・演奏で聞こえるようになってきました。
    ★ルームチューンにも良く反応するので、
    ★オーディオいじりも楽しくできています。
    
     そして、部屋の残響、反射等々の問題にも踏み込んで、さらにリアルで聴き易い音にチューン
    されて居られるようです。普通オーディオいじりと言えば、アクセサリーの交換等を思い浮かべ
    ますが、その必要のないWRアンプシステムなので、部屋の音響的な問題にまで考えが及ぶように
    なられたようです。目出度しと言うところです。
    
     結論的に、以下のような有り難いお言葉を頂戴しています。
    
    ★音質向上と音楽性の向上が両立しているのは、
    ★毎度ながらWRアンプの素晴らしい所だと思います。
    
     音質の向上と音楽性の向上が両立してる事が、ライブの音の我が家での再現には必須ですから
    そのお墨付きを頂いたと言っても過言ではないと思います。私が普段に行う試聴時には、音楽性
    までも考慮する余裕はありませんから、唯只管にひずみ感が減ったかどうかにだけ注目しており
    ます。しかし、結果的に音楽性を伴う高音質化が出来ていた事が、この方のご感想文によっても
    証明されたように思います。私は12年間に亘って日フィルの定期に参加して、サントリーホール
    の1階中央の最上席で定点観測をし続けましたから、どの楽器はどのように聴こえるかが、体に
    浸み込んでいるのでしょう。だからひずみ感だけを頼りにアンプの善し悪しを判断できたのです。
    
     尚、原則的にですが30W 以上のパワーアンプの終段のパワーTRの高ft化が未実施です。必要な
    パワーTRの手配は終わりましたが、暮れは何かと忙しなく落ち着いて交換実験ができませんので
    来年に持ち越しになります。しかし、来年の1月中には目鼻を付けたいと思っています。その折
    には改めて告知させて頂きますが、果たしてどのような注目すべき効果があるか私も楽しみです。
    
     今年もWRアンプをご愛顧頂き感謝申し上げます。皆さま、良いお年をお迎え下さい。  

    2048川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Dec 1 12:00:00 JST 2022
    前項の高ft化アップグレードに応募された方々のお声をご紹介します。−−−総じて好評です!
    
     一番最初にお電話でご感想を聞かせて頂いた方のお話しですが、この方はWRP-α9/AN、Ε-10H
    2台、WRC-ΔZEEO/FBSE、WRP-Δ120の合計5台の高ft化を申し込まれた方です。メインシステム
    は3WaysでWRP-Δ120 が低音、Ε-10H2台が中音と高音を担ってるはずです。セカンドシステム
    はWRP-α9/ANをお使いのようです。最初に小型アンプ3台を一度にアップグレードした為、3台
    共にセカンドシステムで音調を確かめられたと仰っていました。勿論、結果に満足されてる様子
    がお電話から察しられました。
    
     一日程置いてから、メインシステムのアンプ2台のアップグレードに着手しました。この2台
    は所謂、旧型WRアンプに属するものでバランス接続されていて、最初からSEコン仕様で作られて
    います。旧型アンプの高ft化は初めての経験でしたので、私も興味をもって試聴に臨みましたが、
    カーボン抵抗を多用した我がアンプシステムとは多少音調に違いがあるものの、質的にはかなり
    肉薄するのではないかと思いました。ご本人様もやはり音の見通しが良くなったと仰ってました。
    旧型アンプの抵抗は原則的に金属板抵抗を使ってましたので今から考えると明解ではあるけれど、
    少し音に堅さが有ったように思います。
    
     次はつい最近、完全アップグレードのWRP-α9 とWRP-α120 の組み合わせをセットでご購入に
    なった方です。その後直ぐにどちらもSEコン化を済ませていらっしゃいます。勿論「三種の神器」
    を厳守されて居られます。プリアンプのアップグレードを先に行ったところでのご感想ですが、
    
    ★ピアノを中心に色々と聴いてます。
    ★ピアノは空間に音が響いて余韻が行き渡っていくようで、タッチの柔らかさも感じ取れます。
    ★これまではアップライトだったのが、グランドピアノになったかのようです。
    ★聞かないとわからない。上には上が有るもんです。
    
    と言うものですが、その場の音の雰囲気が手に取るように分かるような気がします。確かに私が
    最近ピアノの試聴をする時に用いる「ショパンのP協1番」のピアノのffで、昔は多少飽和感を
    感じていた部分が、今は全く様変わりして、仰るようにグランドピアノ独特の煌めくような高音
    と分厚い低音が、何のひずみ感も無く聴こえるようになっております。ffで飽和感を感じるのは
    アンプのパワー不足ではなく、結局はアンプの安定度の問題だった事になります。
    
     次の方は去年にWRP-α9/ANをご購入になった方ですが、早々に高ft化アップグレードにご応募
    されています。
    
    〇WRP-α9/AN、無事に届きました。音出しも問題ありません。
    〇ピアノの音のことが掲示板にあったので、よく聴くMaco「 La mer de piano」と
    〇ウォン・ウィンツァン「月の音階」を聴いてみました。
    〇第一印象は音が澄んでいるというものでしたが、
    〇期待から来る先入観かもしれないので、これからじっくり聴いてみます。
    
    との事でした。
    
     次の方は相当前からWRアンプを継続的ご愛用になっていて、SEコン化されたWRP-α9 にやはり
    SEコン化されたΕ-10Hをお持ちなのですが、引っ越した先が余り大きな音では鳴らせない環境の
    ようで、ヘッドホンの聴取が急に増えた方です。ヘッドホンと言えばやはりSTAXに行き着く事に
    なるようですが、色々試した結果、WRアンプの音に慣れたこの方の耳を満足させる駆動アンプ等
    を見つけられなかったようです。それで何とかならないだろうかと言うご相談を頂いたのでした。
    その顛末が項番2042に認められていますが、私が選んだのは増幅回路無しのWR製STAXアダプター
    で、それを駆動するアンプにお持ちのWRアンプシステムをお使い頂くものでした。
    
     結果的に、最高級に属するSTAXヘッドホンがWRアンプの延長線上の音で楽しめるようになった
    そうです。目出度しめでたしですが、その方のご感想は以下の通りです。
    
    ◎本日無事に到着しております。
    ◎さっそく接続して聞いています。
    ◎今回は運送後の固さも接続すぐでも感じませんでした。
    
    ◎さて、音です。
    ◎STAXアダプターで聞く前に、
    ◎まずプリアンプ付属のヘッドホン端子で通常のヘッドホンで聞いてみました。
    ◎もうこの時点で素晴らしいと感じました。
    ◎なんと言いますか、やはりWRP-α1でのときと同じように、
    ◎音が非常に安定して感じます。
    ◎定位に関しても音の位置が手に取る様にわかる気がします。
    ◎今までももちろん素晴らしいと思って聞いていたのですが、
    ◎これを聞いてしまうと、
    ◎今まではなんと定位や安定度が曖昧な音だったのかと感じてしまいます。
    
    とベタ褒めです。此処で出て来たWRP-α1 とはお友達がSEコン仕様の上物を中古で購入したよう
    ですが、この整備をこの方が私に依頼され、結果的にいい感じの音で鳴るようになったのでした。
    しかし友達の都合もあって現在預かっていらっしゃるようで、当初STAXアダプターの駆動アンプ
    にはΕ-10Hをお使いだったのですが、10W では十分にドライブし切れない事もあり、30W は出る
    WRP-α1 に変更したところ、安定に駆動できるようになったと伺っています。
    
     さらに、本命のSTAXヘッドホンでお聴きになって、
    
    ◎次にSTAXアダプターを通して聞いてみました。
    ◎こちらも感想としては同様ですが、さらに歪みが減ったのか、
    ◎音が出る際にさらに引っ掛かりがなくなった印象も感じました。
    ◎今までも特に引っ掛かりを感じていた訳ではないのですが、
    ◎これだけの自然さはオーディオでは初めて聞いたと思います。
    ◎これだけの音質向上があれだけの安価に出来るというのは驚きです。
    ◎本当にいつもありがとうございます。
    
    と仰って、今回の高ft化アップグレードがもの凄くハイC/P であると説かれています。こんな風
    に言って頂けて、WRアンプの高音質化を研究してる身に取っては心強い限りです。
    
     次はWRアンプが初めての方でΕ-50Hをお買いになったようですが、中古で買った物でも面倒を
    見てくれますかと言う問い合わせを頂いておりました。勿論中古でも修理等はして差し上げます
    とお伝えしてあったのですが、お忙しいのか暫くの間はコンタクトがありませんでした。しかし
    今回の高ft化が気になられたのか、Ε-50Hに残された可能なアップグレードと高ft化の見積りの
    依頼があったのです。そして今回は一気に話が進み、以下のようなご感想を頂戴するに至ったの
    です。高ft化の内容に付いては若干補足説明をさせて頂きます。アンプ基板の終段のパワーTRが
    TO-3で偶々PNP 側だけft20MHz でしたので、NPN 型の方のみをftが20MHz のものに交換して統一
    を図り、安定化電源基板の制御パワーTRはTO-3P でしたのでTO-220のft60MHz 、Pcが60W の中型
    パワーTRに変更しています。アンプ基板の方は10MHz の2倍になっただけですが、音には微妙な
    違いがある事を、まだ台数は3台目ですが感じていますし、安定化電源基板の方は6倍ですから
    かなり効果があるはずです。これらは現時点でTO-3 及びTO-3Pの高ft(50MHz 〜)パワーTRを未だ
    購入出来てない為の措置になります。
    
    ●早くE-50Hの音が聴きたく、仕事を倍速で片付けて音出し確認しました。
    ●まずもって音出し自体問題ございませんでした。
    
    ●一聴して音楽の表現力が増した感じがしました。
    ●そして音がスムーズというか変に力みのない音なのですが
    ●それでいて音楽の腰がしっかり出てくので不思議です。
    
    と初めて聴くWRアンプの音に、既成オーディオとは違った良さをお感じになられて「不思議」と
    言う言葉を発せられています。これまで経験して来た既成オーディオアンプでは有り得ない音の
    展開に少々戸惑いをお感じになられたようです。今回は、未だWRパワーアンプオンリーですから
    WRアンプの全貌ではなくほんの片鱗だったはずですが、それでも既成オーディオアンプとの音の
    違いを明確に感じ取って頂けたようです。勿論、今回の高ft化の好影響も少なからずあると思い
    ます。唯、このような受け取り方は何方でも出来るものではないと思います。音遊びに終始して
    いる方であれば、このΕ-50Hの本当の良さは分からなかったばかりでなく、評価も低かったはず
    です。この事は「音楽の表現力」と言うタームを文中に使っていらっしゃる事から分かると思い
    ます。
    
    ●これが掲示板2037で言われていた
    ●(1)「負性抵抗」を完全に回避する回路技術の確立(位相余裕に換算して110 度)
    ●(2)ひずみ感の出ない部品・線材を正しく選別できる訓練された聴感の取得
    ●(3)部品・線材に起因するひずみ感を回避し正しく再生出来るアンプシステムを構築
    ●の結果なのだと思います。
    
    と納得のご様子ですが、
    
    ●オーディオ的に言えば音の立ち上がり、立ち下りが改善されたようで
    ●特に低音がより明瞭に、あるいは録音に忠実になったように感じます。
    
    と、改めて音質評価をオーディオと言う観点から述べて居られるところも感心させられるところ
    です。そうなんです。音楽鑑賞の問題とオーディオ的興味は全く別の事象であって、この辺りを
    混同せずに冷静に識別して居られるところも立派だと思いました。
    
    ●ピンケーブル、スピーカーケーブルをWR推奨のものに
    ●変更していけばより改善できると思いますので
    ●もうしばらくしたらピンケーブルをお願いしたいと思っております。
    ●よろしくお願いいたします。
    
    と、前向きに最後を締めくくられております。
    
     今回最後にご紹介する方は、SEコン化とVRのL-Pad 化がまだ残されたWRP-α9 と高級部品化が
    未実施のΕ-5H を保有されて居られます。今回の高ft化を切っ掛けにΕ-5H の高級部品化をして、
    ワンランク上の音を目指そうと思われたようです。そして、そのアップグレードの結果に対する
    ご感想が次のように寄せられました。  
    
    ◆昨晩に2 時間程度動作確認を行い不具合がないことを確認しました。
    ◆まだ落ち着いていないかと思いますが効果はとても高く
    ◆今までよりもクリアな感じとなり、音の広がりが自然に感じるようになりました。
    ◆今回もとても良い結果となりました。
    ◆しばらくはいろいろな音源を聴いてみたいと思います。
    
    と言うものですが、かなりの出費が有ったにも拘らずご満足頂けたようで本当に良かったと思い
    ます。
    
     以上で今回のご報告を終わりにしたいと思いますが、上述したように未だ高ftの大型パワーTR
    を入手出来ていない為に、TO-3及びTO-3P を積んだWRパワーアンプの高ft化は出来ない状態です。
    これだけは是非やりたいと思いますので、今現在TO-3とTO-3P の大型パワーTRを物色中ですから、
    近い内に入手できると思います。先ず我が110W機で試して見て明らかな効果が認められれば 30W 
    以上のWRパワーアンプをお持ちの方々が対象になりますので、改めて告知させて頂きます。もう
    暫くの間、お待ち頂きたくお願い申し上げます。10MHz-->20MHz でも多少の効果を感じますので
    それなりに手応えのあるものに成ると踏んでおります。 

    2047川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sun Nov 13 19:00:00 JST 2022
    WRアンプの音はもうワンランク飛躍します。−−− 高ftパワーTRの使用範囲を広げます!
    
     11月に入って仕事の方が一段落しましたので、これを充電の機会と捉えてWRアンプのさらなる
    飛躍が無いものか考えて見ました。ユーザー方々のご感想からも完成度はかなり高くなってると
    思っていましたが、理想の1の状態には飽く迄も漸近ですから、必ず伸び代があるはずなのです。
    具体的に言えば、現在の音に未だ残っている嫌な音に、どんな音があるのかを冷静に拾い出して
    的確に退治出来れば良い事になります。
    
     実はずっと昔から懸案事項になっている音があります。メジャーな楽器で決して無視できない
    ピアノの右手で時に起きる異音です。ピアノはクラシックは勿論の事ジャズでも結構活躍します
    から決して無視は出来ないのですが、これを理想的に鳴らせるアンプは世界広しと言えども私は
    皆無だと思います。この異音に気付いたのは先輩のI氏でした。バックハウスの「熱情」だった
    かのLPを楽譜を見ながら聴いて、異音の起きる音符に印を付けて私に教えてくれたのです。そう
    言われてピアノの音を改めて聴くと、確かに突如耳をぶん殴られるような鼓膜を強烈に圧迫する
    音が飛んで来る事に気付いたのです。
    
     ピアノの異音と同じようなメカニズムで起きると思われるものにホルンがありました。今でも
    憶えていますが、「イタリア」の第3楽章で出て来るホルンの重奏のところで部屋のガラス戸が
    ビリビリ振動したのです。今はさすがにそれは無くなりましたが、ピアノの異音だけは未だ亡霊
    のように現れるように思います。この異音に近い音は実演でもしますが、程度は軽微であり不快
    な音までには至りません。本当のところは分かりませんが、演奏者のちょっとしたタッチミスが
    録音・再生と言う電気的処理で大幅に増強されるような気がします。この問題は、若い頃に帰還
    アンプの音が急におかしくなったと感じた頃からの永遠の宿題になっています。
    
     さてこのピアノの異音ですが、原因は帰還アンプのちょっとした「不安定性」に依って起きて
    来るのではないかと思います。少し前にベーシーのピアノの音の抜けがSEコン化で良くなったと
    申し上げたと思いますが、これはSEコンがセラミックコンに比較してコンデンサーとして正しく
    機能した為に、アンプの安定性がさらに向上したからではないかと考えています。従ってアンプ
    の安定性を向上させる「残された手立て」を考えれば良い事になります。
    
     帰還アンプの安定性を向上させる為の残された手段には裸の周波数特性を出来るだけ良くする
    事があると思います。浮遊容量の問題を除外するとすれば、バイポーラTRの場合はそのftが物を
    言う事になります。勿論、その事は承知していたので、これまでにも安定化電源のドライバー段
    や、Ε-5H 、Ε-10H、プリの送り出しアンプのドライバー段のTRを高ft化して、それなりの効果
    を上げて来たのです。しかし終段のパワーTRまでは安定化電源を除いて実践していませんでした。
    ものには順序がありますから、ある意味仕方がなかったと思いますが、今回は終段のTRにも目を
    向けて見る事にしたのです。
    
     先ず考えたのがプリの送り出しアンプの終段でした。此処には普通使われるftが10MHz 程度の
    TO-220型を使っています。此処を一気に200MHzオーダーのものに変えれば音にも好影響が出ると
    考えましたが、TRが枯渇しつつある現在でも入手できるのかどうか、規格表とお店の在庫リスト
    を睨めっこして探しまくりました。幸運にも200MHzオーダーのTO-220型のコンプリが見つかった
    のです。早速、10個ずつ試し買いをして我がプリに適用させて見ました。実は安定化電源の終段
    に使って来たPNP 型の方は100MHz程度の石に甘んじていました。PNP 型には200MHzオーダーの物
    が殆ど無いと思い込んでいたのです。しかし今回見つかった以上、此処も同時に交換して見る事
    にしました。
    
     結果的に、安定化電源と送り出しアンプとを合わせて計 6個のTO-220型の中型パワーTRを交換
    した事になります。早速試聴です。何時も聴くCDを聴く限り悪くありません。期待できそうな音
    に思えました。最近、10年以上前にWRレコーディングしたショパンのP協1番の録音を再生能力
    の向上と共に見直しており、このCDをピアノのチェック用に聴く事が増えたのですが、この右手
    の音の異音が目に見えて軽微になったと感じたのです。ピアノの異音に関してはSEコン化の比で
    はないのです。こうなると欲が出て我が110W機のドライバー段もこれらのTRに交換して見ました。
    本来ならばパワーアンプの終段も高ft化すれば良いはずですが、何事も一気には行きませんので、
    今回は20MHz のパワーTRで我慢する事にして、一部のTO-3型パワーTRを20MHz のものに交換して
    あります。この状態で聴くショパンのP協1番は明らかにこれまでで最高のプレゼンスになった
    と思います。まだ完全とは言えないにしても、ピアノを恐れる事も或いは身構える事もなく普通
    に聴く事が出来るようになりました。改めて、ピアノを普通の音で鳴らす事は容易な事ではない
    と思いました。此処まで来るのに約半世紀の時間を要したのですから。
    
     これで終わりではありません。偶然にもΕ-5H やΕ-10Hのパワー段の高ft化が出来るかも知れ
    ないTO-220型の高ftパワーTRが、昔秋葉原のジャンク屋で購入したのでしょう−我が家の格納箱
    から100 個見つかったのです。この石の存在は知っていたのですが、規格表を見て余りの数値の
    大きさに腰が引けていたのです。TO-220型でありながら Ic=10Aです。これはTO-3型でも大型に
    属する方で100Wアンプが作れる規格です。ftは 60MHzありますからやっとこの石が有効に使える
    資格が私に出来たところで表に出て来てくれたと解釈しました。しかし、見つかったのはPNP 型
    だけですから、NPN 型の相棒を探さなくては活用できません。ダメを覚悟して探して見ると何と
    見事にも、そこそこの値段で100 個購入できたのです。為せば成るです。
    
     直ぐ様、WRP-α9/A プロトタイプとΕ-10Hプロトタイプの改変に着手しました。それぞれプリ
    と同様に 6個ずつ計12個のTO-220型を交換しました。聴いて吃驚!改造した我が110W機の音にも
    匹敵するくらい、ピアノの音が安定したのです。勿論、ピアノの音が向上すれば他の楽器の音も
    良くなってるはずですが、今回はピアノの音に着目していますから、他の楽器がどう良くなった
    かは余り分かりません。しかしストリングの伸びは明らかにスムーズになったと思います。直前
    に全て高ft化したプリを使っているとは言え、これだけの音がSEコン化もしてない弁当箱程度の
    大きさのパワーアンプから得られたと言う事は我ながら脅威ですし、如何に高ft化する事が大切
    かが分かろうと言うものです。然しながら、高ftTRがどんなアンプでも効果を発揮するかどうか
    は分からないと思います。恐らく、負性抵抗を包含してる既成オーディオアンプでは殆ど効果は
    上がらないと思います。メーカー主導のオーディオ史の最後に来て、多くの開発が為された高ft
    パワーTRが、もし凄い効果を発揮していれば、オーディオの斜陽化は防げた可能性がありますし、
    高ftパワーTRはもうとっくに在庫切れになってるはずですが、今でも意外に売れ残ってるように
    思います。現在、殆ど利用されてないのではないでしょうか。
    
     結果を直ぐにユーザーの方に還元するのがWRアンプの流儀です。そしてユーザー方々のご感想
    に依って、私の研究が正しい事をオーソライズして頂いています。これ以降、アップグレードの
    ご案内となります。1)項はTO-220型中型パワーTR (ft=数10MHz) 6個の交換になります。
    
     1)高級部品化以上のWRP-α9/AN、Ε-5H 、Ε-10H 、Ε-15H → \15,000
    
    次にプリアンプと新αシリーズのパワーアンプですが、プリは安定化電源基板及びアンプ基板の
    TO-220型TRを高ftTR(ft≒200MHz)に 6個交換し、パワーアンプはドライバー段のTO-220型のTR
    だけを 4個交換します。
    
     2)完全にアップグレードされたプリアンプWRP-α9 、ΕC-1H → \15,000
    
     3)WRP-α30、WRP-α50、WRP-α100 、WRP-α120  → \10,000
    
     上記に含まれない旧型WRアンプを含むその他のアンプについてはお問い合わせ下さい。ケース
    バイケースで判断してお答えします。
    
     以上のアップグレードは、高ftTRの在庫限りで終了になりますから、その気のある方は早めに
    お申し出下さい。新規アンプのご注文の場合も同様に対応させて頂きます。  

    2046川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Mon Oct 31 12:00:00 JST 2022
    WR掲示板項番2044でご紹介させて頂いた方の貴重なご感想文です。
    
                          −−− 既成オーディオの実体が明らかに!
    
     前回は完全アップグレードされたプリアンプWRP-α9 を納入させて頂いた折のご感想でしたが
    今回はパワーアンプとWR電源フィルターを納入させて頂き、ご注文頂いたアンプ等が初めて一堂
    に介した時のご感想です。色々とお褒め頂いていますが、WRアンプ単独のご感想も然る事ながら
    既成オーディオアンプとの比較でお話し頂いてるところに価値があると思います。
    
     先ずは、プリに引き続いてパワーアンプWRP-α100 を納入させて頂いた時に頂戴した、極短い
    感想文からご紹介します。
    
    ★2 時間程、聴いています。
    ★問題なく正常動作しています。
    ★貸出品の上位バージョンという第一印象で、
    ★聴いているうちにどんどん良くなるのが分かります。
    ★貸出アンプ一式は明日返送できると思います。
    
     この中に貸出品の上位バージョンと言う言葉がありますが、レベル差はあるものの同一線上に
    それらの音質が揃っていると言うお見立てだと思います。そうなんです。WRアンプはどのような
    ランクのものでも、その本質に於いては何ら変わらないのです。売り出すアンプの音が本質的に
    てんでんばらばらになってしまうのが既成オーディオアンプの宿命です。理由は不安定な帰還に
    依って起きる過渡ひずみはコントロール出来ないからです。WRアンプはWRP-α9/AVやΕ-5H でも
    耳に着く嫌な過渡ひずみは最小限度に抑えられています。
    
     パワーアンプはWRP-α100 はエージングが進んだようで、さらに
    
    ★長期間のお貸出し、有難うございました。
    ★昨日から鳴らしているプリとパワーは好調で、一晩たって更によくなってます。
    ★音場が随分広がって、楽器の質感が素晴らしい。
    
    と述べていらっしゃいます。これは偶にユーザーの方に指摘されるのですが、アンプが届いた日
    は音が少し硬く聴こえたりするそうで、それが一晩経ってエージングが進み収まって来たと言う
    風に解釈できる気がします。振動で何かが変化するとしたら、電解コンデンサーの電解液くらい
    しか頭に浮かびませんが、まだまだオーディオには?が付く現象が多いようです。
    
     此処で話がスピーカーに脱線しますが、私が購入したB&W805MATRIXが幸運にも偶々黒だった事
    が良かったようで、後にスペアの為に買った茶色の805MATRIX にどうしても馴染めなかった事を
    お話して、お買いになるのであれば黒を探された方が良いと進言した事に端を発しています。
    
    ★ところで、10日ほど前に、matrix805Vの黒をヤフオクで入手しました。
    ★ユニットの凹みもなく、エッジも問題なく、中々いい個体でした。
    ★30年前の発売ですが、確かに素晴らしいSPです。思ったより見た目小さいですが、
    ★出てくる音とギャップが凄い。
    ★当分、この組み合わせで、色々と聴いてこうと思っています。
    
    と仰って、大層お気に召されたようです。当時、鳴らし難いスピーカーだとオーディオ店の店主
    が言ってましたし、最低でも50W のアンプが必要だと何処かに書いてあった気もします。しかし、
    現在WRアンプであれば5Wx2のΕ-5H でも何んの問題もなく鳴らせています。こう言うところにも
    既成オーディオアンプの問題点が浮き彫りになっています。
    
     次のご感想文は、一番最後に納入したWR製電源フィルターを通された時に頂いたもので、所謂
    全てが揃った時にお感じになった正真正銘のご感想文です。これにて全てのWRアンプ関連製品の
    納入が終わり、WRアンプシステムが完結した事になります。
    
    ★ 1. パワーアンプで凄いと思ったのが、
    ★電源フィルターで更に凄いことになって驚きました。
    ★うちは、200v → 100vのステップダウントランスに
    ★更にノイズカットトランスというものを使い給電しているので、
    ★電源フィルターではあまり変わらないと思ってましたが、
    ★これほど良くなるとは、ビックリです。
    
    と電源フィルターの効用を先ずお認めて頂きました。高周波ノイズを低減する目的でトランスを
    使う方は一定数居られると思いますが、実はトランスは数MHz 〜20Mzと言う高い周波数のノイズ
    には余り効かないと言われています。しかし帰還アンプの泣き所は丁度この周波数帯にあります
    ので、高帰還アンプには電源フィルターの方が効果的なのです。何故この周波数帯に弱点を持つ
    かと言いますと、補償不足の帰還アンプには、丁度この辺りに「負性抵抗」が発生して来るから
    です。
    
     ではWRアンプシステムを導入されて、どのようなメリットが有ったのかを以下のご感想文から
    汲み取って頂けたらと思います。
    
    ★ 2. WRアンプ一式のおかげで、今はトータルで、
    ★コンサートホールの席で聴いているような音にプラスして、
    ★楽器の近くでしか聞こえない情報量、ニュアンスが加わり、
    ★録音のメリットとはこういうものかと納得しきりであります。
    ★先生の仰るリアルオーディオなのでしょう。
    
    ★客席ではここまで聴こえるはずもなく、
    ★録音だからこその再生芸術かと感じられます。
    ★指揮者のハミングだったり、気合いのうなり声が分かるのもご愛敬で、
    ★オーディオ的にも笑って満足するところです。
    
    と先ず述べてらっしゃいますが、WRアンプでクラシック音楽を聴いていますとコンサートホール
    で聴いてる以上に細かな音が聴こえて来ます。仰るように実際よりリアル感がありますが、元々
    完全な再現は無理な訳ですから、この程度の脚色は、オーディオには寧ろ必要なのではないかと
    思っています。多分、録音側もこのくらいの計算はしているのではないでしょうか。
    
     次はC/P に関してのご意見です。世の中には何で?と思わせる程の高価なアンプがありますが、
    WRアンプは普通のサラリーマンの方でも貯金をするなどして、少し手を伸ばせば届く範囲に設定
    させて頂いています。
    
    ★ 3. これほどのアンプ15 + 30とRCA・電源ケーブル一式 2と電源フィルター 8で、
    ★計55万円というのが、素晴らしい。
    ★ここが、固定されるので、あとはSP、入力機器、
    ★ルームアコースティックをいじくるだけというのが、とっても楽でいいです。
    ★電源ケーブルやSPケーブルで音作りとかチューニングとか、
    ★面妖な泥沼にもう入らずにすみます。
    
     WRアンプは勿論C/P が良いだけではなく、「ここが、固定される」と言うところに大きな存在
    価値があります。詰まり一度購入したらもうあーだこーだする必要がないのです。アクセサリー
    で音をチューニングすると言う概念はWRアンプには存在しません。正に「面妖な泥沼」に陥る事
    はないのです。此処が既成オーディオとは根本的に異なるところです。
    
    ★ 4. これまで使っていた真空管アンプは定価100万で
    ★中古で3 割引で買ったものですが、これよりも遙かに素晴らしい。
    ★要は色付けがないという訳ですが、
    ★どう違うんだというのは、また別にメールします。
    
    と言う事で、お使いになっていた真空管プリメインアンプの価格をお書き頂いています。それに
    比べて遥かにWRアンプが素晴らしい理由は、端的に言えば「色付けがない」事だと仰っています。
    この辺りについての詳しい両者の相違点は、次に頂きましたご感想文にあります。
    
    ★これまで使ってきた真空管プリメインとの比較です。
    ★後半は、自分の反省文です。
    ★WRアンプと比べてしまうと、
    
    と述べてから、高音から低音まで3つに分けてお話し頂いています。
    
    ★ 1. 高音は真空管のガラスの響きが付帯的残響音としてのってくる。
    ★上手くチューンすれば艶とか生命感、躍動感につながる。
    
    ★ 2. 中音はやや分解能が甘い、作り物的な気がする。
    ★ただし、これもライブ感、実体感につながるので然程悪くはない。
    
    ★ 3. 低音は一般に言われる通り、トランジスタと比べるとゆるくて曖昧。
    ★ただし、これもホールの客席では実際こんな感じともいえる。
    
     要するに、
    
     1.高音には真空管特有の残響音がのってくる。
    
     2.中音は分解能が甘く作り物的な音になる。
    
     3.低音はゆるくて曖昧な音がする。
    
    と言う事ですが、逆にこれらに惑わされて一時的には魅力にさえ聴こえて「真空管の音だ!」と
    惚れ込む事にもなるようです。従って、聴感が実際の楽器の音で殆ど訓練されてない人は、この
    まま惚れ込み続けるのだと思いますが、この方は聴感が優れていますので、以下にお書き頂いた
    ように何時しか不満が募るようになったと思われます。
    
    ★自分が使っていたのは、真空管にしては、
    ★甘くなくハイスピード系(販売店いわく)でしたが、
    ★WRアンプと比べると、こんな風に聞こえてしまう訳です。
    
    ★最初は感激しても、やがて不満がでてくる。
    ★自分にとっては、
    ★ソロバイオリンの高音部とソプラノが自然に聞こえることが最優先で、
    ★その次が音場と音像の両立つまり立体感とかエアーとか3D感とかいうものですが、
    ★録音によって、耳に刺さるVnやPAを使ったような電気的なソプラノに
    ★辟易することがしばしばでした。
    
    と正直に吐露されて居られます。この「耳に刺さるVnやPAを使ったような電気的なソプラノ」と
    言う表現は、比較的再生の難しい音ですから既成オーディオアンプの泣き所になっていると思い
    ます。「負性抵抗」を包含する帰還アンプには如何ともし難い難問のはずです。
    
     これは私の推測ですが、何とか聴き易いアンプを求めて購入、売却を繰り返されたのではない
    でしょうか。そしてこの真空管プリメインアンプに辿り着かれたのだと思いますが、暫くの間は
    良かったものの耳が慣れて来ますと、結局は同じ道に戻っている事に気付かれたのだと思います。
    次の行にそれが綴られているように思います。
    
    ★この真空管アンプにしてから、以上のことは大分解消しましたが、
    ★耳が慣れてくると、結構やかましく聴こえることはある。
    ★そうなると、ケーブルとか諸々のアクセサリーのとっかえひっかえという
    ★音弄りというか、音遊びの趣味の世界にはまり、
    ★この辺がオーディオマニアが世間から変態に見られる一因なんでしょう。
    
     そして最後に、WRアンプに行き着くまでに色々と迷われた既成オーディオに対して「おかしい
    のではないのか」と言う気持ちをぶつけられていらっしゃいます。
    
    ★WRアンプは、ひたすら自然、極々当たり前の音がするということです。
    ★ちなみに、真空管アンプの前に使っていたトランジスタアンプは何ともやかましくて、
    ★当時、真空管プリを入れたら大分改善したことを思い出しました。
    ★欠点を欠点で補うパズルのような事をしていた訳で、
    ★今もこういう組み合わせの妙がオーディオであると言うのが主流のようで、
    ★何ともおかしなことになっとるなーと思う次第であります。
    ★そういうことではなく、
    ★部屋の音響整備やSPそのものの特性向上に目を向けてほしいものです。
    
    と書かれていますが全く同感です。このようなオーディオが当然のように存在し誰も文句を言え
    ずに、買い替えだけが儚い希望を与えてくれるのです。しかし、其処には多額のロスが生じます
    から、何時までも続けられる訳がないのです。オーディオを諦めて行く人が後を絶たないのでは
    ないでしょうか。あれだけ盛んだったオーディオ産業が何故斜陽化したのかをもう一度反省して
    欲しいと思います。
    
     色々と苦労されたこのお方が次のように証言されています。
    
     「WRアンプは、ひたすら自然、極々当たり前の音がするということです。」
    
    今やこの当たり前の音がするアンプを作る事が非常に難しくなっています。もしかしたら世界で
    WRアンプだけかも知れません。この掲示板を覗かれた方は、ちょっと立ち止まって考えて下さい。
    貴方が探してるアンプは、実は「当たり前の音がするアンプ」なのではありませんか?  

    2045川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sun Oct 16 12:00:00 JST 2022
    今なら未だSEコン化が出来るかも知れません。−−− 諦めきれない方お問い合わせを!
    
     前回の投稿日の1週間ほど前に、ある方からお電話でWRP-α9/ANのSEコン化についてご相談を
    受けましたが、偶然にもその直後に次のようなお問い合わせをメールでも頂いたのです。しかし、
    当時WRP-α100 等の製作中で心にゆとりが無く、その調査を先延ばしにしておりました。SEコン
    騒動から相当年月が過ぎ、気にはなっておりましたが、具体的なリクエストもその後プッツリと
    途絶えた事もあり、調べる機会を失しておりました。
    
    ★最近は自宅にいる時間が長いので
    ★毎日、E-10H 、EC-1H ・ EC-2Hを
    ★使用しておりますが、好調で良い音を楽しんでいます。
    
    ★アップグレードについてですが
    ★2021年 6月頃に 1度、E-10H 、EC-1H のSEコン化可否についてご相談
    ★その後、掲示板2020での応募についても拝読しておりましたが
    ★諸事情によりタイミング合わず、今まで見合わせる形になっていました。
    
    ★現在、SEコン化アップグレードについてはどのようになっていますでしょうか?
    ★時期を逃したとは思いますが、部品枯渇で
    ★無理ならば、諦めもつくので
    ★可否について教えていただけますでしょうか。
    
     このようなリクエストを頂いた以上は調べない訳にも行きません。前回の投稿日から数日後に
    WRP-α100 を完全アップグレードのWRP-α9 共々納入出来ましたので、少しだけ気分的に余裕が
    出来た事もあり、意を決して馴染みのお店に恐る恐る問い合わせしたのでした。結論的に言えば
    WRアンプによく使う容量値の中で1000PFを除けば、何とか集める事が出来る事が分かったのです。
    「占めた!」と思いました。
    
     早速、WRP-α9/ANとΕ-10Hのパワーアンプ用の34個x2、及びΕC-1H用の44個、合わせて 112個
    のSEコンの注文を行いました。1000PFだけは、私も何個かを自分の装置に使っています英国製の
    マイカコンデンサーで代用する事にしてこちらも3台分 6個を発注したのです。どちらも無事に
    注文が出来、今私の手元にそれらが揃っています。既にこれら3台のWRアンプを送って頂くよう
    にお願いしてありますから、交換作業が終わるのも目に見えています。
    
     現時点でこんなに簡単に集められるとは良い意味で予想が外れました。そもそも、前項で私は
    
    残念な事にSEコンはディスコンになってしまいましたので、今後のSEコン化には暗雲が立ち込め
    始めて来ました。これまでのように無条件で出来ますとは言えないところにもどかしさを感じる
    今日この頃です。
    
    と書いたように、かなり悲観的な気持ちだったのです。唯、糠喜びに終わるかも知れませんので
    安心はして居られません。理由は在庫が未だあると言っても数10個単位ですから、WRアンプでの
    使用量と比べて段違いに多いとは言えないからです。実際に、あと何台分なら購入できるのかは
    神のみぞ知る、ではないかと思います。
    
     では「SEコン化された音はどのように評価すべきなのか」についてもう一度言及して見たいと
    思います。大雑把に言えば、或いは聴感が研ぎ澄まされてない方には殆ど変化がないように感じ
    られると思います。従いましてどうしてもやって頂きたいと思うアップグレードではありません。
    だからと言ってやってもやらなくても同じだと言う事では決してなく生楽器の音がどう聴こえる
    かに価値観を見出されている方には、逆に是非実施して頂きたいとさえ思います。
    
     例えば、私が直ぐに気付いたのはベーシーのピアノタッチでした。もの凄く切れ味の良い刃物
    で切ってもそう痛く感じないと言われますが、それは切り口が綺麗に切断される為、細胞の損傷
    が少ないからかも知れません。斯様に、ピアノのハンマーとピアノ線の間には何も挟まってない
    ように音が濁らずに聴こえるように感じます。通常の音は、何か異物がその間に入り込んでいて
    少し音が丸くなり、カチッとした音に聴こえないように思うのです。これがバイオリンの絃の音
    にも当然ながら現れて、名人が弾いた録音をSEコン化したシステムで聴きますと、弦の周りには
    粉が舞ってるように聴こえるのですが、非SEコンを使ったアンプの音はそうした付帯音が減って
    しまいます。
    
     このようなバイオリン独特の美音は合奏でまた違った側面を見せてくれます。下手なオケでは
    殆ど期待できませんが、コンセルトヘボウ管とか世界でも指折りのオケを優れた指揮者が振った
    時等に、天井から粉が舞い降りて来るような錯覚に陥る事がありますが、そのような音を上手く
    録音したものをSEコン化したシステムで聴きますとその片鱗を聴く事が出来るような気がします。
    これらはほんの一例でありそんな音は求めないから不要だとお考えにならないで下さい。一事が
    万事です。全帯域で少しずつですが、劣化の少ない音が積み重なって全体の音が決まりますから、
    最終的に得られる音には有意な音質の差がついて来ます。SEコン化すれば確実にワンランク上の
    レベルの音が楽しめるようになるのです。
    
     実はこの原稿を書いている途中でSEコン化が予定されているWRP-α9/ANが到着しました。急遽
    原稿をアップしてから交換作業に移りました。午後から数時間で作業が無事に終了しましたので、
    早速試聴を行ったのですが、何時も決まって聴くテストCDの音の音量が一瞬下がって聴こえたの
    です。それだけ嫌な音が減ったと言う事でしょう。ストリングスは若干有ったキツイ音が消えて、
    正に正しく再生されていると実感出来たのです。WRP-α9/ANのオリジナルの音を、二日前に送り
    出した新規アンプで聴いてますので、そのギャップが明確に認識出来た気がします。WRP-α9/AN
    が一気に高級アンプに化けたように感じました。SEコンには全く色付けする要素の無い事も確認
    出来た事になります。斯様にWRアンプの場合は、静かに普通に鳴るアンプにアップグレードして
    くれるのです。
    
     ではプリとパワーアンプのどちらか一方をSEコン化した場合はどうでしょうか。効果が薄れる
    事は否定できませんが半分の効果はあると思っています。SEコン化された我がプリΕC-1Hで完成
    したばかりのパワーアンプの試聴を行う時に、何時もこの半分の効果の音を聴いています。何時
    も聴く音に比べると多少ランクが落ちた音になるのは否定できませんが、なるべく理想的なプリ
    で試聴すべきだと思っています。理由は私のオーディオ論は加算ではなく減算だからです。少し
    本題からずれてしまいますが、大事な事なので敢えてこの事について説明させて頂きます。要は
    オーディオの音は一番良くて1だと考えます。昔あった「アンプはストレート・ワイヤーである
    べし!」と言う考えに近いかも知れません。入力から出力までの間の各部で、音が少しずつ劣化
    するので、当然ながら1を割って来ます。途中での劣化の度合いを如何に減らせるかが勝負です。
    既成オーディオはそうではなく、良い音を加算して行くと言う風に思えますが、そもそも良い音
    とは何でしょうか? 明確な定義がありません。それを無理やり定義しても矛盾を孕むだけだと
    思います。結局、良い音とは劣化の少ない音と言う他には言いようが無いのではないでしょうか。
    減算思考ならば良い音とは「1に限りなく近づいたアンプの音」だと定義出来るでしょう。
    
     システムの音は入口から出口まで如何に音を損なう原因を取り除けるかで決まる、と私は考え
    ます。回路は勿論の事、良質な部品や線材を選ぶのはアンプの音質劣化を可能な限り減らそうと
    しているからです。アクセサリーを使うと音が良くなると宣伝してる既成オーディオと本質的に
    違うところです。SEコンは安価なセラミックコンに比べてコンデンサーとしての質が一歩も二歩
    も上です。だから回路に組み込んだ時に回路が理想に近い状態で動作してくれる事になり、音質
    劣化の程度が少なくなるのです。劣化の程度が減ればピアノのタッチも明確に聴こえて来る事に
    なります。回路が「負性抵抗」を包含する場合はこの限りではありません。SEコンは、一部では
    音をキラキラと輝かせる効果(プラスの効果?)があるとしていますが、SEコンがそんな性質を
    固有に有しているはずは無いのです。SEコン化されたWRアンプの音は、決してキラキラとは輝き
    ませんから。加算思考のオーディオは根本的に矛盾を孕んだまま一人歩きしてるので、何時まで
    経っても理想のオーディオに辿り着けないのです。オーディオが斜陽化してしまった根本原因の
    一つです。
    
     以上の事から、SEコン化は出来たらやるに越した事はないと思います。今からでもSEコン化を
    遂行出来る可能性が出て来ました。然しながら、何時までこの状況が続くか予断は許されません。
    決断は早いに越した事はないと思います。この機会を失すれば永久にSEコン化は出来ないと判断
    された方が無難です。交換手数料はプリアンプが10万円でパワーアンプが 8万円となっています
    が、ディスコン以前のように注文すれが機械的に全てが揃った時とは状況が変わって来ています
    ので、それぞれ 5千円アップさせて頂いています。悪しからずご了承頂きますようにお願い致し
    ます。  

    2044川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sat Oct 1 19:00:00 JST 2022
    お貸出しアンプからWRの最高峰アンプシステムへ−−− やはり既成オーディオアンプはダメ?
    
     下記のようなメールを頂いたのはまだまだ暑い9月の初旬でした。今は猛暑も収まり秋の気配
    を感じる季節になりました。いよいよ音楽を聴くに相応しい秋が到来したようです。どうせ音楽
    をお聴きになるのであれば、耳に優しいけれどリアル感のある音で楽しんで見ては如何でしょう。
    以下のシステム入れ替えのお話しが、何かの参考になればと思います。
    
    ★はじめまして。初めてメールいたします。
    ★アンプシステム一式の貸し出しを希望いたします。
    ★最近、オーディオラボからこちらのブログにたどり着いて、
    ★過去の分からザックリ拝見しました。
    
    ★品川電線の電源ケーブルと三ツ星のスピーカーケーブルも、
    ★オヤイデや九州電気から購入して、現有システムに入れ替えたところ、
    ★電気臭さがなく、いわゆる生っぽいナチュラルな音になって驚いています。
    ★昔ながらの4n銅線の方がいいとは。
     WRのHPに辿り着かれてWR掲示板をお読みになり、記事中のケーブルに興味を持って頂いたのが
    そもそものWRアンプへの取っ掛かりになったようです。これは誰にでも真似の出来る事ではない
    と思います。やはりケーブルを交換した前後の音質の違いに気付かれた聴感の賜物だと思います。
    どのような音が本物かを見抜く聴感を有するか有しないかが、その人の今後の運命を左右すると
    言っても過言ではないと思います。
    
    ★という訳で、今の真空管プリメインの代わりに、
    ★WRアンプを導入してみようと思った次第です。
    ★特段急ぎませんので、ご都合の良いときに、下記まで、よろしくお願いいたします。
    ★なお、貸し出しに関して、他に留意点等ありましたら、御教示ください。
     この方は真空管に依るプリメインでお聴きになっていらっしゃったようです。多分、いろいろ
    経験され、最終的にこのシステムに落ち着かれたのだと思います。メールの節々からかなり年配
    の方のようですから、いろいろなシステムをご経験になった揚げ句の果てに真空管アンプの方が
    増しだと判断されたのではないかと思います。大体石のアンプはきつい音がして耳が疲れるので、
    消去法で真空管アンプを選択する方は多いと思います。しかし毎度申し上げておりますが真空管
    アンプでは真に音楽を楽しむ事は出来ないと思います。早めに幻想はお捨てになった方が宜しい
    と私は思います。その証拠となるのが、お貸出しアンプをお聴きになった後のご感想です。
    
    ★午前に到着しました。
    ★午後から接続して聴き始めています。
    ★凄―く、いいですね。
    ★また、落ち着いたら、メール致します。
     この「凄ーく、いいですね。」と言う一文がその全てを物語っていると思います。これは音の
    次元が違うと言う事だと思います。比較して迷うようなレベルの話ではないのです。貸出アンプ
    が高級品だから?とお疑いの方もあるかと思いますので、此処で最近のお貸出しアンプの内容に
    ついて少しだけ言及させて頂きます。原則的にWRアンプシステムはプリメインでなくセパレート
    方式を推進していますので、取り敢えずプリとパワーアンプとそれに加えて、電源フィルターを
    除く三種の神器をお付けしてお貸出ししています。
    
     プリは高級品ではなくWRP-α9/A のプロトタイプ、パワーアンプはΕ-10Hのプロトタイプです。
    見るからに「これで大丈夫?」と思われてしまいそうなアンプです。ケーブルも然りで見てくれ
    は最悪のものです。最低ラインにした理由は「高級品だから当たり前!」と思われたくないから
    です。それでも、音質は音楽を楽しむ為の最低ラインは確保出来てると思っています。
    
     では、この方から頂いたご感想文に移りましょう。
    
    ★凄くいい という第一印象は、変わらずです。
    ★当方は、BDレコーダーに録画したクラシックNHK の再生がほとんどで、
    ★CDはあまり聞きません。
    
    ★なぜか、テレビの方が48K のせいか、
    ★客を入れてのライブ録音の放送で音を弄ってないせいか、
    ★概ね音がいいように感じます。
    ★以下、細かく書きますと、
    
    ★ 1. ホールの客席で聞いてるような音で、しかも実に細かい音やホールトーンが出ている。
    ★ 2. 中高域の耳障りな音が、嫌いなのですが、それがない。フラットで普通にいい音。
    ★ 3. なぜか、アナログを連想させるような実体感というか厚みのようなものがある。
    ★ 4. 交響曲のクライマックスへ盛り上がっていくところが、本当にリニアというか、
      むしろ指数関数的というか、躍動感・生命力の爆発だー みたいな、いやはや凄い。
    ★ 5. クラシックは、SPの前に音がシャシャリ出てこないのがいい。
    ★ 6. ポップスのボーカルは前に出てくるのがいい。
    ★ 7. なお、小さくて軽いところがいい。真空管のように熱くないのがいい。
    ★ 8. そうそう、ハイフェッツのSACDを聴いたら、Vnの音が甲高くなくて普通にいい。
      これまではやたら甲高い音で、何だこりゃと長年不思議でした。
    ★ 9. 最後に、所謂アクセサリーは基本、WRアンプとはミスマッチですね、
      余計なことをしなくて済むので、オーディオの迷いが減ります。
    ★という訳で、WRアンプを、プリ、パワー、周辺機器とセットで注文したいのですが、
    ★それは別メールでご相談します。
     以上のご感想をお読み頂ければ、これまでの真空管式プリメインが、如何に音楽を聴くのには
    相応しくなかったかがお分かり頂けると思います。この結果は必然ですから私は全く驚きません
    が、「真空管アンプならいい音で音楽が聴ける」とミスリードして来た既成オーディオの実体に
    早く気付いて欲しいと思います。ご感想を裏から解釈すれば、これだけの具体的な問題点が指摘
    される程の音でしか、真空管プリメインアンプは音楽を再生出来てない事になります。
    
     これだけの体験を一気にされて、全く迷いもなくWRアンプシステムへの移行をご決断になった
    のです。これはご自身から半分冗談でお聞きした事ですが、色々アップグレードしている時間が
    勿体ないから一気に最高峰のシステムにしたい、旨のお話を頂いたのです。完全アップグレード
    のWRP-α9 に、WRP-α100 を組み合わせたシステム構成になりました。残りの三種の神器として
    WR製RCA 接続ケーブル2本とWR電源フィルターも同時にご注文頂いております。
    
     先ずプリから手を付ける事にして早速WRP-α9 に取り掛かり、10日程前に完成して納入させて
    頂きました。多分、WRP-α9/A と交換されてお聴きになったはずです。その時に頂いたご感想文
    をご紹介させて頂きます。
    
    ★午前に到着しました。
    ★入力、出力、ボリューム、ヘッドフォン出力を切り替えてチェック、全て正常動作しています。
    ★いやー、こんなに変わるもんなんですね。
    ★これから、色々と聴きこんでいくのが、楽しみです。
    ★ケーブルも、ちょうどいい長さです。
    
    ★引き続き、色々と聴いてます。
    ★ユーミンの苗場ライブをTV録画したのを、良く聴くのですが、
    ★久しぶりにヘッドフォンで聴いてみました。
    
    ★実に細かい音が出て、会場の歓声、ざわめき、
    ★エフェクターを駆使したエレキギターの高級な質感、
    ★いやはや、素晴らしいですねー。
    
    ★映像付きのライブは本当にいいものです。
    ★ヘッドフォンで聴くことも多くなりそうです。
     これらご感想文の中に「いやー、こんなに変わるもんなんですね。」と言う一文がありますが、
    お貸出しアンプの時にお感じになったレベルからさらにグレードアップした事がお分かり頂ける
    と思います。又、ヘッドホンでもお聴きになったようで、多分ですがヘッドホンを見直されたの
    ではないかと思います。これまで既成オーディオアンプで体験された常識を遥かに上回る音質で
    ヘッドホンが鳴った事にびっくりされたようです。オーディオには限界が無い程上には上がある
    と言う事だと思います。それでもWRアンプのSEコン化の音がほぼ最高峰だと私には思われますが、
    残念な事にSEコンはディスコンになってしまいましたので、今後のSEコン化には暗雲が立ち込め
    始めて来ました。これまでのように無条件で出来ますとは言えないところにもどかしさを感じる
    今日この頃です。
    
     そろそろWRP-α100 も完成します。全てが揃った音は一体どうなるのか、私も新WRシステムに
    完全移行した後のご感想に興味津々です。又の機会があればご紹介させて頂くかも知れませんが、
    今回だけでも十分だと思います。ライブに行ったりしてある程度聴感が訓練されたが故に、既成
    オーディオアンプでは上手く音楽が再生出来ないと悲観されている方、早めにWRアンプシステム
    に移行なさる事をお勧め致します。お疑いになられる方は、どうぞお貸出しアンプをお申込みに
    なって下さい。論より証拠ですから、貴方の聴感が如何なるものか試して見ませんか?  

    2043川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Fri Sep 16 16:00:00 JST 2022
    ACパックの代替品としてのWR安定化電源は他の方にも大好評です! 
    
                 −−− 既成オーディオの技術がWRの技術と致命的に異なる理由
    
     実はSTAXアダプターをご注文頂いた方とメールのやり取りをしてる間に、この方から「掲示板
    を読みました」と言うメール文を頂戴したのです。安定化電源のご要望です。電圧は24V ですが
    前回の方と同じように 60W規模の機器であると言う事ですので、少し電圧の高いトランスに変更
    すれば問題なく作ることが可能と考えて、快く承諾させて頂きました。前項に於いて少しその事
    について触れてありますが、今回はSTAXアダプターの直後に納入させて頂いた24V 用安定化電源
    に関するご感想文の内容から、書き始めて見ようと思います。
    
     そのWR安定化電源が先方に着いた日の夜だったと思いますが、次のようなご感想文をメールで
    頂いたのです。
    
    ★さっそく接続して聞いております。
    ★やはりすばらしいです。
    ★いや、想像以上と言えるでしょう。
    ★と言いますのは、24v 電源を接続したのは、
    ★SONOMA MODEL ONEというオールインワンタイプの静電型ヘッドホンなのです。
    
    ★音自体はすばらしいのですが、なぜか長く聞いていられないと感じていました。
    ★この機種はモニターヘッドホンと言われるタイプなので、そのせいかとも思っていたのですが、
    ★川西先生製作の電源に替えて理由がハッキリとわかりました。
    
    ★まず、繋ぎかえると音楽がゆっくりと聞こえるようになるのです。
    ★これはSTAXアダプターを使用し始めたときにも感じました。
    ★もちろん音楽のテンポが変わったりはしないです。
    ★どうも、ノイズがなくなり音と音の間にキチンと空間が空く
    ★とぼくの耳にはそう感じるようです。
    
    ★じっくりと聞くと、音と音の分離がよくなっただけでなく、
    ★前後の奥行きや左右など、音それぞれの位置関係までわかる気がします。
    
    ★正直オールインワンで、手を入れられる箇所がほとんどないので諦めていましたが、
    ★お願いして本当に良かったと思います。
    ★ありがとうございました。
    
     「音楽がゆっくり聞こえる」と言うご感想は非常にユニークで、私も長い間色々な方々からの
    ご感想を読ませて頂いていますが、初めて聞く表現です。でも言わんとするところは直ぐに理解
    できたのです。詰まりWRアンプシステムを使い、同程度の音質レベルで音楽を聴いている仲間の
    言葉は直ぐにピンと来るのです。形容詞を多用して結局何を言いたいかよく分からない人の感想
    とは大違いです。多分ですが、ひずみ感が減って耳に優しく響くようになった為に、耳の緊張感
    が解れたのだと思います。リラックスして音楽に浸れるようになったと言っても良いと思います。
    その結果、その音楽が演奏された場の光景が、多少なりとも見えて来たのではないかと思います。
    だからWRアンプシステムを使えば、ライブ音楽の再生が可能になるのだと思います。話は音楽の
    事ではないのですが、つい最近に免許の更新をする為に高齢者講習会に行ったのですが、其処で
    見せられたビデオの音を聞いている内に、何とも言えない疲れを感じて来て、ビデオの事が頭に
    入らなくなってしまったのです。この時、この話を思い出したのでした。
    
     このご感想をお読みして、わが意を得たりと私も嬉しくなり、直ぐさま次のようお返事を差し
    上げたのです。
    
    > ですから、如何に電源が大切かと言う事だと思いますが、何十万と
    > 言う高額な機器の電源が、殆どACパックと言うこの現実は、私には
    > 理解できないのです。何故、自社でちゃんとした電源を開発して付け
    > ないのか、無責任でもありますし、自分の評価を下げてる事が分からない
    > のでしょうか。 
                                              
     前々から思っていた疑問点がまた頭を過り、この方にも私の気持ちをぶつけてしまったのです。
    それに直ぐ反応して下さり、以下のような返信を頂けたのです。
    
    ★いや、実際そこに尽きると思います。
    ★ネットでACアダプターを擁護している意見を何度も見たことがありますが、
    ★効率がよいことを盾にして、
    ★ノイズは可聴帯域外だから問題ないとの主張がまかり通っているようです。
    ★機器の電源はいろんな電圧ものがあるため特注に近いものが多く、ハードルが高いので
    ★聞いていないのに理由付けしている方が多い気がします。
    
    ★一度でも聞けばACアダプターでかなり音質を損なうことが理解できるのですが。
    ★なんにせよ、ぼくは川西先生とお知り合いになれて本当に幸せです。
    ★いつもありがとうございます。
    
     どうも世の中では、ACパックが肯定されているようです。全く住む世界が違うなと思いました。
    根本的に聴いている音の質が違うのだと思います。私が目指してるオーディオとは全く別のもの
    が存在するのです。では、何故このような大きな相違が起きてしまったのでしょうか? 今回は
    この点に関して少し考察して見たいと思います。                                          
    
     既成オーディオアンプは、極言すれば以下のどちらかです。
    
     1.帰還の浅いアンプ → ひずみ感が必ず残るので高級オーディオには使用できない。
    
     2.帰還が深いアンプ → 「負性抵抗」が必ず生じて、過渡ひずみが1.以上に増えるので
                  場合によっては1.以上に耳に障る音がする。
    
     即ち、これまでのオーディオの技術では音楽を本当に楽しめるアンプを作る事は不可能な事に
    なります。音楽を正しく鑑賞できるアンプを作るには、
    
     3.帰還を深く掛けても「負性抵抗」が内包しないような帰還技術が必須になる。
    
     WRアンプはこの3.を半世紀の長きに亘った科学的研究で可能にした、唯一無二のオーディオ
    アンプです。では何故2.ではダメなのでしょうか。それは自動制御論を何の検証もせずに帰還
    の安定判別に使った事です。もう少し言えば自動制御論で安定と判別しても、その回路を不安定
    にしてしまう「負性抵抗」が、可聴周波数より遥かに高い周波数帯域に残存してしまうからです。
    この「負性抵抗」は不安定要素ですからアンプの系を不安定化してしまいます。高周波ノイズが
    バックに有ると余計に起き易くなりますが、一度何かの刺激が加わりますと、ある固有周波数の
    振動になり長い時間収まらずに尾を引いてしまう現象です。これは元の音楽信号とは相容れない
    過渡ひずみとなって可聴周波帯に下りて来るので、ひずみ感を伴う音になるのです。アナログ式
    安定化電源についても同様の事が言えて、従来の帰還技術では安定に動作する安定化電源を作る
    事は叶わないのです。従って、ACパックをそれに交換したとしても決して音が良くなる事はない
    のです。既成オーディオのパワーアンプに安定化電源が搭載されないのは余計な部品とスペース
    が必要になるからだとも言えますが、最大の理由は搭載しても音質向上が望めないからだと思い
    ます。WRはこの問題を本質的に解決していますから、全てのアンプに理想的な安定化電源を搭載
    する事が出来ますし、ACパックの代替品として利用しても、その機器の音質を良くする事が可能
    になります。
    
     では、何故既成オーディオは理想的な帰還技術ではない2.になってしまったのでしょうか?
    その答えを紐解くには少し歴史的な事を考えて見る必要があります。アンプ自体は戦前から有り
    ましたが、その頃は例外なくイントラ結合で無帰還だったと思います。そして、戦後になります
    が、先ず始まったのがラジオだと思います。勿論、並四とか高一からスタートしてると思います
    が、それらは混信し易い事から新しい技術である分離の良い5球スーパーと言うものに変遷して
    行きました。それと共にその低周波部分を利用して、クリスタルピックアップをラジオの出力と
    切り替えて接続しSPとLPとを同時に再生できる電蓄が流行り出しました。この時には未だアウト
    プットの二次側から掛ける帰還は無かったと思いますが、後段のプレートから前段のプレートに
    高抵抗を接続し局部帰還を掛けたものは有ったはずです。帰還が実際に使われ始めたと言うこと
    になります。
    
     時代は徐々に進み世の中は高度成長を遂げて行きます。電蓄は何時しかセパレート式のアンプ
    システムに成長して行きます。ウィリアムソンとかアルテックとか外国のアンプがお手本になり
    日本の本格的なオーディオが産声を上げます。この時には既にアウトプットの二次側から帰還は
    掛けられていたと思います。唯、何れにしてもアウトを通した帰還ですから帰還量は14dB程度が
    せいぜいだったと思います。それでも当時は高周波ノイズが今ほど有りませんでしたので、余り
    ひずみ感などを感じずにそこそこ良い音で鳴ったのだと思います。それまではラジオ程度の音質
    でしか音楽を聴いた事が無かったのですから画期的な音だと歓迎されたはずです。それは昭和で
    言えば30年代だったと思います。その後半の昭和39年に東京オリンピックが有った訳です。
    
     何と言っても我が国に新幹線が走り始めたのが象徴的ですが、オリンピックを境に一気に技術
    革新が進んだのです。当然ながらデジタル技術が浸透し始めたのです。未だパソコンは殆ど無く
    コンピュータと言えば大学や大企業に設備された大型電子計算機が主流でした。私がFORTRAN を
    使い熟して数値計算を始めたのがこの頃です。東大の大型電子計算機ゼンターによく通ったもの
    です。私が「負性抵抗」の実体を把握出来たのも大型計算機有っての事でした。3段帰還回路の
    等価回路の入力インピーダンスと出力インピーダンスを計算するには、6だか7元の連立方程式
    を解く必要がありました。と言う事は昭和40年代には私は既に帰還技術を疑い始めていたのです。
    入出力インピーダンスを計算し、その実部の周波数特性を計算すれば、その回路に「負性抵抗」
    がどの帯域に内包されるかが直ぐに分かります。当時は日本にもオーディオブームが巻き起こり、
    大メーカーを含む色々なメーカーから、あの手この手のアンプ類が発売されていました。そして、
    アンプの形態は大きく様変わりしていたのです。真空管はトランジスタに置換されアウトプット
    は使用されなくなり、回路もOTL に変更されて、帰還量が20〜30dB以上の高帰還アンプになって
    いました。
    
     しかし、メーカーが帰還技術のバイブルとして使ったのは基本的には自動制御論でした。自動
    機械の為に用意されたと言っても過言でないこの理論を、オーディオアンプにそのまま適用する
    事が果たして妥当なのかどうかを誰も吟味しなかった事が問題だったのです。これには学問的な
    考察が必要であり、一企業で出来るような問題ではなく学会主導でやるべきだったと思いますが、
    日本の関連学会の主だった会員の中に、オーディオに理解のある人が皆無に近かった事が致命的
    だったと思います。結局、鵜呑みにした状態で帰還アンプは開発され続けて行ったのです。後に
    「負性抵抗」に関する解析をほぼ終えて、例えば、3段帰還のアンプの入出力インピーダンスに
    一切「負性抵抗」が生じない条件で、高域補償を含む各種回路定数を決めたとします。その時に
    その回路を従来の自動制御論を使ってどの程度の位相余裕になるかを計算して見たところ、普通
    45〜60度有れば良いと言われてる値が、なんと110 度にもなったのです。
    
     この位相余裕を既成オーディオアンプで実現する事は不可能です。それを可能にする補償法が
    無いからです。では何故WRアンプはそれが可能になったのでしょうか? それは「負性抵抗」が
    生じない条件をクリアする全く新しい補償法を発明したからです。それは2つの特許として認め
    られています。要するに既成オーディオはまだ不安定要素が残ってるのにも拘らず、安定と判別
    して帰還アンプを作り続けている事になります。これまで私が幾ら警告を発しても耳を貸さない
    のは、電気系の専門学科を卒業した人でさえも「負性抵抗」と言うものの概念を身に付けてる人
    が殆ど居ないからです。その怖さが全く分かっていないと言っても良いかも知れません。電気系
    技術者は往々にして回路そのもに執着する余り、その物理的側面には無頓着だからだと思います。
    しかし、そのような帰還アンプが必ず内包する「負性抵抗」は高周波領域に存在する為、それが
    不安定要素となり、高周波ノイズが多く存在する環境下で音楽信号が入力されると、それが外的
    な刺激になり結果的に、私が日本音響学会誌に投稿して掲載された「高周波変調メカニズム」の
    理論に依って、過渡ひずみが発生してしまう事になります。
    
     以上が、既成オーディオアンプにひずみ感が残ってしまうメカニズムです。このWR掲示板でも
    多くのユーザーがひずみ感(これを世の中ではノイズと呼ぶ)に悩まされて、音楽が純粋に聴け
    ないと証言されています。多少違う面がありますがACパックに依って音質レベルが大幅に下がる
    のも似たようなメカニズムだと思います。以上述べた事から既成オーディオアンプの音にひずみ
    感が残るのは必然であると言えます。逆にWRアンプには音楽を聴く際に耳に嫌な音が一切ないと
    言う事もお分かり頂けたと思います。これは感情論ではなくて科学に基づく事実です。もう議論
    の余地はありません。否定される方は科学を知らない方です。それでも音遊びに既成オーディオ
    の方が面白いと仰る方は自由に選択為されば宜しいと思いますが、一番問題なのは決して音遊び
    でなくオーディオを音楽を聴く為の道具だと捉えていらっしゃる方です。多分ですがこれまでに
    多額の出費を繰り返したに違いありません。それでも報われないのです。そう言う意味では既成
    オーディオアンプは罪作りだと思います。WRのHPに辿り着いた方は是非その旨を告げて頂きたい
    と思います。その時貴方は救われるはずです。WRアンプは科学の勝利だと言っても過言ではない
    と思います。既成オーディオは科学に取り残された、換言すれば学会から見放されたオーディオ
    だと言っても良いのではないでしょうか。学会に裏打ちされない産業は必ず滅びます。WRの技術
    は頼りにならない学会を諦めて、半世紀の長きに亘って音の分かるユーザーの方を証人とさせて
    頂きながら、孤軍奮闘で獲得した科学です。
    
     WRアンプのアンプ理論を使えば、過渡ひずみの無いアンプが作れる事はお分かり頂けたと思い
    ますが、だからと言って直ぐにひずみ感の無いアンプを作り上げる事は出来ません。部品と線材
    の選択がまだ残っています。これは理屈では未だ説明出来ませんので、訓練された聴感でそれを
    聴き分けて選び出すしかありません。WRでは先ずコンデンサーに注目し、凡そのガイドラインを
    設けましたが、それだけで問屋が卸してくれる程オーディオアンプは甘くありません。線材の中
    で電源ケーブル、スピーカーケーブル、RCA ケーブルはかなり昔に解決していましたが、最後の
    砦になったのが配線材でした。まさかと思ってましたが、配線材料を変えてもひずみ感が大きく
    変わる事に気が付いたのです。何故気付けたのかと言いますと聴感の訓練もそうですが、アンプ
    に過渡ひずみが殆ど無くなり相対的に気付き易くなったのです。それ以降WRアンプは急速に完成、
    完遂に向けて、大きく動き出す事が出来たのです。高が4N銅線ですが、決して疎かに出来ません。
    線材メーカーは数多くありますが使えるのはほんの数社に過ぎません。選び出す力は訓練された
    聴感であり、それには生の演奏会に通って、じっくり生の音を聴く事から始める必要があります。
    私の場合、ハッキリ音が見え出したのは、クラシックの定期会員になって10年が過ぎた頃でした。
    この能力はアンプ設計者には必須のはずです。しかし、既成オーディオアンプの殆どは例外なく
    ひずみ感を伴っているようです。原因は自分の設計したアンプから発生してるひずみ感に気付け
    ないからでしょう。だからひずみ感の残ったアンプを販売し続けるのだと思います。
    
     これまでオーディオは理論が脆弱で混沌としていました。それを良い事に本質的に同じなのに
    恰も新しいアンプかのように見せる種々のアンプが販売されています。もうはっきりした訳です
    から、「別のアンプを買えば良いかも知れない」と言う儚い希みを抱かないようにする事が必要
    だと思います。またアクセサリーで音が本質的に良くなる事も無いと思います。既成オーディオ
    アンプはひずみ感を伴い易いと言う意味では、本質的には皆同じです。偶然に、WRアンプ並みの
    必須条件が揃ったアンプが出来上がる事は絶対に有り得ません。救われる道は、既成オーディオ
    アンプを諦め、本質的に全く違うWRアンプシステムを選ぶ事だと思います。
    
     最後に、最近WR電源フィルターをご購入頂いた方からも効果絶大だと言うご感想を頂きました
    のでご紹介させて頂きますが、この方は中古の旧型WRパワーアンプを購入されたのが切っ掛けに
    なっています。そのアップグレード効果をお認め頂いたのか、最近になってさらに旧型のプリを
    お買いになってアップグレードされたのです。その時に、プリとパワーアンプが揃っても三種の
    神器を揃えないと、それらのアンプは本領発揮はしない旨をお伝えしたのです。聞き流されても
    仕方がないと思いながらの進言でしたが、この方には先見の明があったのでしょう。なんと RCA
    接続ケーブル、WRバランスケーブルそしてWR電源フィルターのご注文を頂けたのです。ケーブル
    類は先に製作して納入済みでしたが、最後にWR電源フィルターを2週間程前に納入したのでした。
    
     そのご感想は
    
    ●電源フィルターを取り付けてから
    
    ●視聴をしてきました
    
    ●「素晴らしいです」低域〜広域までバランスが良くて
    
    ●夢中になってしまいボリュームが上がってしまいます
    
    ●良いものを手に入れました
    
    ●ありがとうございました
    
    と感謝されました。この方は決してお若い方ではないと思いますが、その方を夢中にさせる程の
    音が出たと言う事でしょう。WRの最新技術は旧型アンプにも適用させて頂いてますから、最新の
    音で鳴ったはずです。それは偶然ではなく必然です。WRアンプに当たり外れは絶対にありません
    から、お買いになれば必ずいい音で鳴ってくれます。要するに、WRアンプシステムは科学的にも
    正しく構築されていますので、再現性、普遍性があるのです。「ボリュームを上げてしまいます」
    と仰っていまが、それは、如何に過渡ひずみ感が減り、耳に優しく響くようになったかを如実に
    示しています。普通はボリュームを上げると煩く感じてしまうのではないでしょうか。WRアンプ
    が本領を発揮した証拠だと思います。
    
     「WR標準」の音のするプリアンプ、パワーアンプそして三種の神器を全て揃えるには、パワー
    が10W 程度でも35万程掛りますが、それは一気でなくても徐々に揃える事が可能ですし、失敗は
    絶対にありませんから安心してご注文頂けます。何よりなのは、もうアンプで悩む事が無くなる
    事です。欲を出さなければ、あとはソフトの購入等に注力する事が出来ます。貴方も自然に音量
    が上げたくばるアンプシステムを、手に入れて見ては如何でしょうか。音楽が思う存分楽しめる
    ようになりますから。  

    2042川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Fri Sep 2 13:00:00 JST 2022
    まさか私が静電型ヘッドホンに関わるとは夢想だにしてませんでした −−− 結果は大好評!
    
     以前からのWRアンプユーザーの方が、コロナ禍を境にして引っ越しをされ、住環境の変化から
    だと思いますが、スピーカーでの聴取が思うに任せない状況になった、とお聞きしておりました。
    思う存分に音量を上げられなくなったのだと思います。そんな折に、現在WRP-α9 のヘッドホン
    端子で聴いているのですがもっと音質を向上させる手立てはないものか、と言うご相談を頂いた
    のですが、本質的にはこれ以上の方法は無いはずですとお答えしたのでした。
    
     それから暫くの間、音信は途絶えていましたが、つい最近になって以下のようなメールを頂戴
    したのです。
    
    ★前回ヘッドホンアンプの件でお問い合わせさせていただきました。
    ★結局は現状のWRアンプのヘッドホン端子よりも良いものは作ることができない
    ★とおっしゃっていただき、安心してヘッドホンで素晴らしい音楽を堪能しています。
    ★その節はアドバイスありがとうございます。
    
    ★実はその後、STAXのヘッドホンを購入しました。
    ★アンプはSTAX用としてA社に真空管タイプをお願いしたのですが、
    ★どうもうまくなっていないようで、
    ★歪みが多いのか高域が固く、低域が若干割れ気味のように感じています。
    
    ★川西先生のところでSTAX用のアンプを製作いただくことは難しいでしょうか。
    ★WRアンプのような音で鳴らすことができれば、
    ★STAXのヘッドホンも素晴らしい音で鳴るように思うのです。
     私が研究して来たアンプは「負性抵抗」を抑えながら、可能な限り出力インピーダンスを低く
    する技術ですから、静電型のヘッドホンのようなハイインピーダンス駆動が必要なものには残念
    ながら使えないのです。その事を先ずお伝えしたのですが、頼られた以上は何とか解決する方法
    は無いものかと考えを巡らせておりました。この方はSEコン化されたWRP-α9、Ε-5H、Ε-10Hを
    お持ちですから、それを利用しない手はないと思いましたのでこれを生かす為には古典的ですが、
    良質な出力トランスを逆に使ってハイインピーダンス化すれば良いと直感しました。帰還を余り
    掛けられない回路を幾ら考えても音質は知れていると思ったのです。受動素子であるトランスの
    方が相対的に罪は軽いと判断しました。早速、この方に進言したところ次善の策なので半信半疑
    だったと思いますが「じゃー、それでお願いします」と言う事になりました。
    
     そのついでに、STAX製のアンプはお聴きになったのか質問したところ、
    
    ★STAXのアンプは真空管式を店頭で試聴、柔らかいのですが、
    ★フワフワした芯のない音で半導体式を購入、しばらく使っておりました。
    ★半導体式は、反対に高域のエッジがキツく固い音で、
    ★そこからA社にお願いしました。
    ★うまく鳴ればよかったのですが。
    
    と言う経緯をお話してくれたのです。この方がお買いになったヘッドホンは、STAXでも上の部に
    入るSR-009S と言うものですから、それに相応しいアンプをお選びになったはずですが、STAXの
    真空管式もTR式も又A社の真空管式も、WRの音で基準化されたこの方の聴感は誤魔化せなかった
    と言う事だと思います。要するに既成オーディオの技術では、どんな分野でもWRアンプ並みの音
    で鳴るものは無いと言う事のように思います。
    
     そう言う訳で重要な任務を引き受ける事になり程良い緊張感をもって、生まれて初めて作る事
    になるこのSTAXアダプターに関して、これまでの知識を総動員してこれ以上のものは存在しない
    と言うところまで追い込んで製作したのでした。カギは出力トランスに何を使うか、Bias電源を
    如何にして作るか、の2点だと思いますが、此処での種明かしは暫く遠慮して置こうと思います。
    
     ご相談から納入まで丸3週間掛りましたが何とか完成しました。しかし私は静電型ヘッドホン
    なんて生まれてこの方聴いた事もなければ勿論買った事もないのです。音を聴いて試行錯誤する
    事も叶わなかったのですが、これでダメなら仕方がないと半分腹を括ってSTAXアダプターを発送
    したのでした。まともに音が出る事さえも確認出来ずにお渡しする事は初めての経験でしたので
    ご報告を頂くまでは落ち着きませんでした。私の気持ちを察して下さったのか、届いたその日の
    夕方に以下のような短いメールを頂戴したのです。
    
    ★本日、無事STAXアダプターが到着いたしました。
    ★ありがとうございます。
    ★ご心配と思いますので、とりあえず結線、音出しのみ行いました。
    ★問題なく音が出ております。
    
    ★はじめて聞くはずなのになにか聞き慣れた音のように感じます。
    ★やっとSTAXをウエストリバーアンプで鳴らす夢が叶いました。
    ★本当にありがとうございます。
    ★くわしい音質はもうすこし聞き込んでから連絡いたします。
    ★取り急ぎご連絡まで。
    
    と言う事で、「あー、良かった!!」とようやく安堵したのでした。次の日だったと思いますが、
    第2報を頂きました。
    
    ★STAXアダプター、その後です。
    ★繋いで聞き始めたときは、
    ★スピーカーで聞き慣れた音に近いものではあるものの、
    ★若干固いような印象がありました。
    ★パワーアンプのE-10H ともども、
    ★1時間ほど電源を入れっぱなしにしてから再度聞き始めると、
    ★完全に固さがなくなり素晴らしい音になりました。
     と書かれてあり、やはり何にでもエージングは必要なものかなと思いました。又これまでにも
    遠路を輸送した時にユーザーの方に偶に言われたのですが、着いたばかりの時は「音が硬い」と
    言うご感想です。このSTAXアダプターでもそう言う事があるのかと思った次第です。
    
     そして、改めてSTAXアダプターで聴くバイオリンの音に関するご感想が下記のように綴られて
    いました。
    
    ★具体的に書くと、例えばバイオリンの音色です。
    ★静電型のヘッドホンは、
    ★特にバイオリンの音色が良いと一般的に言われるようです。
    ★たしかに他のアンプで鳴らすと、
    ★バイオリンの音色自体は問題ないように聞こえます。
    
    ★同じバイオリンの音源を
    ★製作いただいたSTAXアダプターを通して聞くと、
    ★バイオリンの弦の音色が細く締まり、
    ★その周りに胴鳴りのような
    ★バイオリン独特の響きが付いているのに気付かされます。
     この弦の周りに「胴鳴りのようなバイオリン独特の響きが付いている」と言う表現にドキッと
    しました。実はクラシック演奏会場で上手いオケが稀に見せる音に、これと同じ事を指してると
    思われる音が有り、先輩のI氏から「サワサワサワサワ」って言う音がするんだと何回か聞いた
    事があり、私も外来オケで2回堪能しています。一つはシャイー/アムステルダム・コンセルト
    ヘボウ管の「ダフニスとクロエ」、もう一つはデュトワ/モントリオール管の序曲「海賊」の時
    に聴いた音は、この世のものとは思えないようなバイオリンの音が元になっていたのではないか
    と思っています。そこまで行かなくても、日本のオケでもバイオリン群の調子が良い時に空間に
    細かな粉が舞うような音を体験する事があります。そう言った生でしか聴けないような音がこの
    STAXアダプターを通して聴けた事に吃驚しています。やはり電磁型と違ってプッシュプルで駆動
    する静電型ヘッドホンの強みなのかも知れません。
    
    ★これは他のアンプで聞いているときには全くわからなかったことです。
    ★弦の音が太く滲んでしまい、響きと同化してしまっていたのだと思います。
     同じヘッドホンで聴いても、駆動アンプがお粗末だと聴こえるはずの音も聴こえて来ないのだ
    と思います。やはりオーディオの中で一番大切なものはアンプなのです。そして、それを完璧に
    近い形で成就させているアンプは、WRアンプを除いて殆ど存在しないのが現実です。今回の一件
    からでも、それが明らかになったように思います。
    
     この方も次のように仰っており、
    
    ★STAXのような静電型のヘッドホンは
    ★繊細で情報量が多いと言われているようです。
    ★それを引き出すにはアンプの選択が
    ★非常に大事だと改めて気付かされました。
    ★ありがとうございます。
     「アンプの選択が非常に大事だと改めて気付かされました。」と述べて居られます。
    
     その後、次の仕事を一つ熟してから又この方に依頼されていた24V 用安定化電源の製作に取り
    掛かりました。静電型ヘッドホンアンプとDAC の機能をもつ機器に付属してるACパックの代替品
    です。それが完成した旨のメールを差し上げたところ、2週間程聴き込まれたSTAXアダプターに
    関するご感想でお返事は溢れておりました。
    
    ★その後、E-10H といただいたケーブルで聞いていたのですが、
    ★もともとスピーカーでは、E-10H とE-5H をそれぞれモノーラルアンプとして
    ★左右別アンプで聞いていたこともあり、好奇心からヘッドホンでもやってみました。
    ★たかだかヘッドホンなのであまり期待はしていなかったのですが、
    ★やってみると効果はかなり大きく、音の定位や移動感が素晴らしく良くなりました。
     と仰っていますが、変則的ながらモノアンプ駆動にした方が音質レベルが上がると言う事だと
    思います。それはある意味当然の事で安定化電源への負荷が約半分になるのですから、電源電圧
    がより安定した状態になるからだと考えられます。
    
     次に、このアダプターとWRパワーアンプとを接続するケーブルでも音が良くなったりする事が
    あるようで、下記のように述べて居られます。
    
    ★またケーブルもスピーカーに使用している、
    ★以前作っていただいた抵抗入りのウエストリバー式のスピーカーケーブルに
    ★替えてみたりもして聞き比べています。
    ★こちらもウエストリバー式を使うと、さらに付帯音が減り、
    ★ヘッドホンで聞いているという意識がなくなります。
    ★まるで目の前で演奏しているように聞こえます。
    ★音に輪郭がなくなり自然です。
     これは、もう少し検証して見ないと分かりませんが、付属品としてお渡しした接続用ケーブル
    には終端抵抗を付けてありませんが、アダプターのSP端子内部には 120Ωを付けてありますので、
    もしさらに抵抗を付けたケーブルの方が音が良いのであれば、終端抵抗が60Ωと言うことになり、
    インピーダンスマッチングの問題だと言う事になります。このマッチングの問題にはケーブルと
    出力トランスの両面がありますので、一概に結論を出す事は出来ないと思います。又ケーブルも
    当時MITSUBOSHIでないものでお作りした可能性がありますので、そうなれば話は複雑です。結果
    オーライで良いのかも知れません。
    
     ご感想文の山場は次の行だと思います。本当に良い音とは如何なるものかと言う事なのですが、
    私が偶に使う「普通に鳴る」と言う表現に通じる気がします。
    
    ★ことさら音を強調しないので意識しませんが、
    ★低音など、意識を向けると自然で速く、締まった音が出ています。
    ★本当に良い音は、なにか強調した音を感じないので、
    ★良いとあまり感じないのかもしれません。
    ★まさに音楽に浸れる音だと感じています。
     この方の仰る通りです。ある音が強調されていますとその音に他の音がマスクされる為に真の
    音が聴こえて来ないのです。これまでのオーディオは何か注目すべき音が出てないかと言う観点
    で聴いていたのではないでしょうか。注目してしまう音が出てると言う事は、その音の影で聴取
    出来なくなった音があると言う事でもある訳ですから、本当の音楽が聴こえて来ないと言う事に
    なってしまいます。やはり、強調感のない音こそが音楽を聴く為に必要なのではないでしょうか。
    そうすれば裏旋律を演奏する地味な存在の楽器の音も、その気で聴けば楽しむ事が出来るのです。
    
     これを私は「普通に鳴る」と表現しています。WRアンプシステムは、普通の音で鳴ってくれる
    唯一無二の存在です。オーディオを音遊びではなく、音楽を聴く為の道具として捉えられている
    方は、旧態依然として相変わらずひずみ感のあるアンプを作り続けている既成オーディオに頼る
    のはもう止めて、是非WRアンプに大きく舵を切って頂きたいと思います。古いオーディオからの
    脱却こそが貴方を救う残された道なのです。
    
     最後に、低音過多にミックスされたエレキ楽器の音でビビリが発生する、と言う事が付け加え
    られています。
    
    ★すばらしいアンプですが、現状問題点がないわけではありません。
    ★ぼくのプリアンプはWBC 化していただいたせいかもしれませんが、
    ★エレクトリック楽器の低音が過大に入るとヘッドホンにビビりが発生するようです。
    ★これは若干音量を下げることで対処しております。
    ★STAXのヘッドホンは振動膜が薄く、振幅が大きく取れないようなので、それが原因のようです。
    ★ただし、アコースティック楽器では全く問題ないので、
    ★ソース自体にも問題が有るのだ思います。
     エレキ楽器の低音は、多目にして迫力を出すと言うミックスが有っても不思議ではありません
    ので、WBC 付のWRプリでは起こるべくして起きてるようなところがあります。こう言う場合には
    WBC をオフにするSWを設ける事が出来ますので、どうしても必要であればお申し出を頂くように
    お伝えはしてありますが、今のところご希望はありません。アコースティック楽器では全く問題
    がないからかも知れません。
    
     そして、次のように書き足されてありました。
    
    ★今回のSTAXアダプターが非常にすばらしいので、
    ★前述した左右別アンプをできれば最高のWRパワーアンプでしたいと考えています。
     一度いい音を知ってしまうともう少し上があるのではないかと期待してしまうのが人間の常だ
    と思います。確かに、現在は変則モノ駆動ですからこれはやはり解消された方が良いと思います
    ので、合理的な拡張であればせいぜい協力させて頂きたいと思います。
    
     手探りで製作した生まれて初めてのSTAXアダプターは意外にもご好評を頂けましたので、もし
    WRアンプユーザーの方でSTAXヘッドホンをお持ちであり、そして音にご不満があって余り使って
    ない方がいらっしゃいましたら、高級ヘッドホンアンプよりは全然お安くこのSTAXアダプターを
    お作り出来ますのでお申し出になって下さい。あのようなバイオリンの美音が聴けるのであれば
    作る価値は十分にあると私も思っています。  

    2041川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Wed Aug 17 16:00:00 JST 2022
    暫く注文の無かったΕ-10Hが立て続けに2台も!−−−ご好評を頂きました。
    
     実は色々調べて分かったのですが、Ε-10Hはコロナ直前に1台売れたものの、その後バッタリ
    途絶えていました。その間、もっぱらWRP-α9/ANが売れていたからその影に隠れてしまっていた
    ようです。これは推測に過ぎませんが、項番2039にて引用させて頂いた方の文章中に、相当昔に
    お買い上げ頂いたΕ-10Hが、プッシュプルの大出力真空管パワーアンプのピンチヒッターに駆り
    出され、見事その大役を熟したと言う事が載っていたから、今回の受注に繋がったのではないか
    と思います。其処には真空管アンプに比較して
    
    ★しっかりした低域も聞かせてくれ
    
    と書いてあった事も重要なポイントだと思います。低帰還の非安定化電源の真空管アンプの低域
    は良くも悪くも甘いものです。それはスピーカーを正しく定電圧駆動出来ていないからだと思い
    ますが、こう言う事をきちんと解説出来る評論家が少ないのは残念な事です。ライブで聴くよう
    な締まった切れの良い低音なぞ望むべくもないのです。
    
     それは兎も角も、高々10W のパワーアンプが超大型スピーカーを駆動できるはずがないと言う
    先入観が有った為に生じた驚きが、今回は物を言った気がします。これまでのオーディオの常識
    では到底考えられないので仕方がないところですが、WRアンプでは極当たり前の事になっている
    のです。
    
     さて、2台はほぼ同時に製作されたのですが、ほんの僅かに先にご注文頂いた方に納入させて
    頂いたところ、珍しくもお電話でご感想を頂戴したのでした。大変気に入って頂けたからこその
    お電話だと受け止めております。唯、それから半月程も経過した事でもあり、また私の記憶力も
    鈍って来ていますから、その時の具体的なコメントを正確には憶えておりませんので、その内容
    について触れる事は遠慮させて頂きます。唯その直後に頂いた短いメールに記されていた事だけ
    を付け加えさせて頂く事にします。
    
    ▲先ほどはお電話にてありがとうございました。
    ▲お話が聞けて、とてもうれしく思いました。
    ▲E-10H のおかげで新たなオーディオのステージを体験することが出来ました。
    
    と書かれてありました。
    
     「新たなオーディオのステージを体験する」と言う事は、単に音が良かったと言う事を越えた
    これまで経験した事のない斬新な音をお聴き頂けたと言う事だと思います。既成オーディオでは
    聴けない音が聴けたと言う事です。しかも10万しないパワーアンプ1台を購入しただけで、その
    音を味わえたのですから、何方でもその気にさえなれば直ぐにでもこの事を体験できる代物なの
    です。
    
     僅かの差で2台目をお買い上げ頂いた方には、メールに依る書面でご感想を賜っていますから
    次にご紹介させて頂く事にします。
    
    ◆本日、午前中に無事にアンプを受け取りました。
    ◆ケーブルなどのセッティングを調整し、いつも聴いているCDで聴いておりました。
    ◆一言で言うと、とても気に入りました。素晴らしいアンプだと思います。
    ◆繋いだのはサブ機の6.5 フルレンジでしたが、ボーカルが大変魅力的でした。
    ◆これが一番の希望だったので、大満足です。
    ◆この度は良い品をありがとうございました。
    ◆またの機会がありましたら、よろしくお願い致します。
    
    と仰っています。気に入って頂いた事に違いはありませんが、特段の事ではない範囲のお言葉だ
    と思いました。其処で、文中に「サブ機」と有りましたので、サブがあるならメインもあるはず
    だと考えまして、メインシステムでもお役に立てるかも知れません、と言う趣旨の返信をさせて
    頂いたのです。それから、4〜5日間は音沙汰は頂けませんでしたが特に気にも留めていなかった
    のです。
    
     しかし、次のようなお便り
    
    ◆メインシステム云々のコメントを拝見し、メインのMagico A3 に繋いでみました。
    ◆すると上から下まで、きちんと制御された音が出てきました。
    ◆SNの高さと中域の解像度が特に印象的でした。
    ◆ただ低域は、膨らんではいないものの、量的にもう少し出てほしいと思いました。
    ◆これは御社の大出力アンプにすれば変わるものでしょうか。
    
    を頂いたのです。この中には注目に値する事が多々ある気がします。まず、Magico A3 なるもの
    が何んなのか、市販製品に疎い私は分からなかったのですが、調べてびっくり何とほぼ100万 も
    する超高級スピーカーではありませんか。この種の物はやはりWRならWRP-α120 クラスで鳴らす
    のが定石です。スピーカーの1/10にも満たない価格のΕ-10Hで鳴らす事自体が、常識的に稀有な
    事だと思います。これまでの既成オーディオアンプでは到底考えられない事です。
    
     しかし「きちんと制御された音が出てきました」と書かれてあります。「制御された音」とは
    私がよく口にする定電圧駆動が出来ていると言う事です。正しく定電圧駆動出来るパワーアンプ
    を使えば、仮に10W でクリップを起こすローパワーアンプでも、このようなスピーカーの駆動も
    可能である事を示しています。このようなユーザーのお声は私の励みになり、孤軍奮闘して来た
    身としては大変有り難く、大いに勇気を頂ける気がします。
    
     次は「SNの高さと中域の解像度が特に印象的でした」と言う行です。ハムノイズではなく音質
    に関して世間で使われる語句にSNと言うのがありますが、私はこれは中高域の耳障りなひずみ感
    が減った為に信号が聴き取り易くなる時に使われるように思います。普通の方は、ひずみ感とは
    言わずにノイズと言ってるのでしよう。その直後の「中域の解像度が特に印象的でした」と言う
    所は、ひずみ感で掻き消されていた中域の音がクリアに聴こえるようになったと言う事だと思い
    ます。「印象的」と言う表現は、これまでお使いの既成オーディオアンプでは聴けなかった音だ
    と暗に仰っている気がします。
    
     最後に「ただ低域は、膨らんではいないものの、量的にもう少し出てほしいと思いました」と
    述べて居られます。「膨らんではいない」と前出の「しっかりした低域」とほぼ同義語だと思い
    ます。その為、低音の音量感が減って聴こえてしまうのです。非安定化電源且つ帰還の不安定な
    パワーアンプで鳴らしますと、締まった低域ではないものの低音の量感はタップリしてるように
    感じてしまいます。特に日本人は低音音痴と揶揄されるように、この種の低音を好む習性があり
    ます。それは身近にライブ音楽を楽しめる環境が余りに少ないからでしょう。自分から積極的に
    動かない限りライブ音楽には有りつけないのが現実です。又日本家屋は低音が吸収され易いので、
    余計そう感じるのだと思います。私は正しく定電圧駆動されたパワーアンプで鳴す限り、多かれ
    少なかれ低音不足に陥る事は、寧ろ当然の結果だと考えています。何故なら、スピーカーの低域
    のf特性を見れば明らかです。大型スピーカーでさえ、ダラダラ下がりである事からしても低音
    不足になる事は必至なのです。
    
     其処でWRでは、プリアンプ内にこれを控え目に補償するWBCなる補償回路を組み込むように
    改良しました。プリアンプを完全アップグレードしてお申込み頂いたユーザーの殆どの方からは
    ご好評頂いております。中には最初だけ戸惑われる方もいらっしゃいましたが正しくスピーカー
    を配置し直すなどして、最終的には例外は皆無に近い程WRアンプユーザーには浸透しております。
    この事実はこのΕ-10Hユーザーの方にもお伝えしてあります。この話を知ったユーザーの方から
    ご指摘を受けて知り得たのですが、私が愛用するB&W805MATRIXの設計者も同様の補償装置を開発
    していたそうです。それを聞いて全うな設計者は事態を正しく把握しているのだと感心した次第
    です。
    
     そしてメールの最後に
    、
    ◆失礼な表現でしたら申し訳ありませんが、
    ◆このような小出力アンプでA3が破綻なく鳴らせたのは、私には驚きでした。
    ◆すぐにとは行きませんが、メインシステムの変更も考えようかと思っています。
    
    と仰って頂いて、近い将来にメインシステムの方の改変にも着手頂けそうです。一応三種の神器
    についても説明させて頂きましたので、身近なケーブルからご自分で取り換えながら検証されて
    いらっしゃる事と思います。
    
     尚Ε-10HのシャーシにはずっとBS-250と言うケースを使っていますが、コロナが影響したのか
    その会社が秋葉原のお店を畳んでしまっていて、何とかその工場の方に電話をしたところ、社長
    さんが自らBS-250の在庫を調べて下さり、偶然にも2台だけなら有りますと言うお返事を頂けた
    のでした。今後はどうなるのか不安でしたのでお聞きしたところ、BS-250の製造は続けると言う
    お約束を頂けたのです。当HPの写真にあるケースはボンネットの四角い穴が5mm 程ですが、次回
    からは1cm になると言う事でした。8月中には新しいケースが出来上がっているのではないかと
    期待しています。上記のユーザーのお声は本当です。もしそう言う確かなパワーアンプをお探し
    でしたら、新しい理論に依る裏付けがない既成オーディオアンプを幾らお探しになっても、この
    ようなアンプはまず見つけられないと思いますので、WRの中ではお手頃価格のΕ-10Hを、まずは
    お勧めしたいと思います。  

    2040川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Aug 4 19:00:00 JST 2022
    PCオーディオに於ける制御用PCの電源も実は非常に重要のようです!!
    
     外部電源で供給するタイプのDAC をお使いの方はいらっしゃいませんか? 実は項番2038にて
    DAC の電源を付属のACパックではなく、WR製の安定化電源で供給する方法がある事をご提案して
    いますが、その最後尾に早速体験された方のご感想を掲載させて頂いてあります。今回はそれを
    制御用PCにも広げたらどうなるかと言うお話になりますが、その前にその方のご感想をもう一度
    復唱させて頂きます。
    
    ★★昨日受け取り動作確認しております。
    ★★とにかく凄いです。ありがとうございました。
    
    ★★今も耳閉感が出ておりますが、
    ★★それでも先生の電源では全く音が違うことは分かります。
    ★★まーとにかく次元が違います。
    
    ★★この電源が700 万なら諦めますが
    ★★70万と提示されるなら考えてしまいます。
    
    と言うご感想です。短い文章ではありまが、如何にACパックを使った時の音質が悪いかを如実に
    示していると思います。多分ですが、ACパックの中にはSW電源が入ってる訳ですから、アナログ
    の音を取り出す機器の電源には向いてない事は誰の目にも明らかです。項番2038でも申し述べて
    いますが、そう言う電源が、何十万とするDAC の付属電源である事自体理解に苦しむところです。
    普通の人は高額なものを購入したのですから、これで万全と思いたいものですが実際は耳に障る
    音がする訳ですから、ご自分の感性や耳を疑って、疑心暗鬼に陥るお気持ちも分かるような気が
    します。
    
     さてその方は、大きく音に進展はあったものの、もう一つ満足できない何某かの不自然な音を
    何とかしたいとお考えになったのでしょう。元々この方はΕC-1H+WRP-α120 に電源フィルター
    を含む三種の神器を揃えられていますから、もう手を付けるとしたら音源ソースの問題しかない
    のです。だから先ずDAC の電源に目が行ったのだと思いますが、それが解決してもまだ100%には
    届かない現実を見れば、制御用PCの電源にも疑いの目が行くのも宜なるかなと思います。
    
     そこでDAC 用と殆ど似たような規模の電源をお作りする事になりました。DAC 用には定常状態
    で18V/1.2Aに耐えるWR安定化電源を、250WX90HX210D のサイズのシャーシにお作りしたのですが、
    PC用は電圧を19V に上げるだけで済みそうなので、同じ電源トランスと放熱器等を使用する事に
    したのです。2台目を作るようなものなので特にトラブルもなく仕上がりました。完成した電源
    を、我がノートPCも19V なので、ACパックのプラグを抜いて代わりに使って見ました。当たり前
    ですが、シャーシ上面が程よい温度に上昇するだけで特に問題なく使う事ができました。その時、
    ワットメーターでWR安定化電源の消費電力を監視してましたが、急に増加に転じるものの又元に
    戻ると言う事を繰り返しておりました。
    
     まもなく完成したWR安定化電源をこの方に送付したところ、3、4日後だったかに、以下に示す
    ようなご感想文を頂戴したのです。
    
    ★音質は間違いなく改善しております。
    ★より現実的、生々しい方向です。
    
    ★こうだったら良いのに、とまさにそう思っていた方向へ変化しております。
    ★川西先生が掲示板で仰ることが現実に目の前に現れてきているように思います。
    ★ようやく当たり前に鳴ってきた感じです。
    
    ★D.A.コンバーターの電源だけでも大変化でしたが、
    ★それでもピアノのバランスなどはやはりこんなものなのかなあー?
    ★と思えたところがありました。
    ★それがやっと今回のパソコン電源でピアノが眼前にしっかりと広がる感覚が出てきました。
    ★先生の表現をお借りすると今までが相当引き攣れた感じの音でした。
    
    ★どの楽器も音が一粒一粒くっきり安定して聞こえてきて
    ★ハーモニーとリズム感がしっかり出て来ます。
    ★スピーカーからまさに音楽然として聞こえております。
    
    ★これまで、やはり何かうそ臭いなあーと思っていた自分の感覚は
    ★正しかったんだとわかってほっとしましたし、
    ★オーディオに対して同じ価値観の人が世の中にいるということで嬉しく思います。
    
    ★逆にいえば、私が自分の感覚に疑心暗鬼になるくらいに、
    ★世の中のオーディオが総じて偏っているらしい、ということなんですよね。
    
    と言う正に当を得たご感想です。オーディオ評論に出て来る美辞麗句には、理解できない言葉が
    羅列されているように思いますが、この方の仰る事は、同じ言語で意思疎通が出来ていると言う
    気がしてなりません。この方も似たような事をこの文中で述べています。
    
    「オーディオに対して同じ価値観の人が世の中にいるということで嬉しく思います。」
    
    と言う行です。そして、この方は
    
    「逆にいえば、私が自分の感覚に疑心暗鬼になるくらいに、
    世の中のオーディオが総じて偏っているらしい、ということなんですよね。」
    
    とまで述べていらっしゃいます。
    
     そうなんです。高級DAC の使用記のようなものには、これ以上の音が無いような表現が頻繁に
    出て来ますが、ACパックを使ってそんないい音が出るはずもないし、又WR安定化電源と同レベル
    のアナログ式安定化電源は、高帰還に依る不可避的な「負性抵抗」を抜本解決する技術が他には
    皆無な以上作れない訳ですから、事実上高級DAC の能力を100%引き出して使っている人は、まず
    居ないと考えるべきなのです。だから、その使用記は眉唾ものだと言えるのではないでしょうか。
    
     この方が仰っています「世の中のオーディオが総じて偏っている」と言うコメントは強ち否定
    出来ないと思います。音楽を愛する皆さん、共通語で喋れるオーディオを目指して見ませんか?
    WRアンプをお使い頂くと音楽が素直に耳に入って来るのが分かります。こう言う音を繰り返して
    お聴きになっていますと、聴感が正しく訓練されて共通語が何時の間にか会得出来るようになり
    ます。そして、音楽が何のストレスもなく楽しめるようになります。オーディオ評論には皆さん
    も薄々可笑しいと気付いていらっしゃるのではないでしょうか。そうお感じになっている方には
    WRアンプシステムが用意されています。是非、オーディオ本来の目的に立ち返って下さい。勿論、
    ある程度の投資は必要ですが、決して底なし沼ではありません。一定の出費で必ずや音楽が普通
    に聴ける、耳障りのしない音で音楽が楽しめるオーディオシステムが手に入ります。今や、十年
    一日ではない新しいステージに向かって、オーディオは羽搏こうとしているのです。  

    2039川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Mon Jul 18 17:00:00 JST 2022
    8年以上前に製作されたΕ-10Hの修理を依頼されました−−−WRアンプの優秀さを示す結果に!
    
     最近マスターズの平野氏からメールが転送されて来て、8年前にお売りしたΕ-10Hを久し振り
    に使ったところ、途中で音が出なくなると言う不具合が生じるので、修理をお願いしたいと言う
    事でした。多分、当時は基板自体は私が作り、平野氏が全体をアセンブルして一つのWRアンプに
    仕立てる役目を担っていたと思います。以下にその一文を引用させて頂きます。
    
    ★2014年 1月にWR E10を購入させていただき、
    ★ゴトーユニットのドライバーを鳴らしておりました。
    ★その後、システムを入換えE10 の出番がなくなってしまったのですが、
    ★小出力でS/N が良く品位の高い音を聴かせてくれるE10 を手放すことが出来ず、
    ★暫く休眠させていました。
    
    ★この夏の暑さ対策と節電の為、
    ★メインシステムのUESUGIのパラプッシュプルに入換え使ってみました。
    ★意外といっては失礼とは思いますが、しっかりした低域も聞かせてくれて
    ★ピンチヒッター大成功と喜んでいました。
    
    ★ところが。
    ★30分程使っていると、突然、何の前触れもなく左右同時に音が出なくなってしまいます。
    ★電源OFF にし30分ほど放置すると、また音が出るようになります。
    ★今度は10分ほどで音が出なくなります。
    
    ★ちなみに、プリはマッキントッシュのC46 
    ★スピーカーはパラゴンの間に単独で入れています。
    ★大変気に入っているアンプなので、何とか復活させてあげたいとおもっています。
    
    と言う内容で、非常に前向きな修理依頼です。この中には少し本質的な問題が潜んでいるように
    思いますので、此処で取り上げさせて頂きました。
    
     先ず最初の行から分かる事ですが、当初はマルチの高音アンプとしてお使いになったようです。
    多分ですがマルチの音が思うようにならないので、LCネットワークを使った3ウェイに移行する
    決断をされたように思います。その結果が、超高級スピーカーシステムであるJBL のパラゴンを
    ご購入になられたのでしょう。当然、大型のアンプ1台有れば賄える分けですからΕ-10Hは宙に
    浮く事になります。普通の方なら、この時点で売りに出すところだと思いますが、多分この方は
    聴感に優れていて、Ε-10Hの長所を他の既成アンプとの比較で見抜いて居られたのだと思います。
    
     もう1点聴感が良いのではと私が感じたのはマルチを潔く諦めてLCネットワークのスピーカー
    システムに移行された事です。マルチシステムはLCネットーワークのスピーカーシステムに比べ
    成功率がかなり低いのです。構築の面白さを重視する方なら、それはそれで良いかも知れません
    が音楽を楽しむ事を優先するのであれば、マルチの深みに嵌らない内に手を引いた方が賢明だと
    私は思います。マルチの難しさはやはりチャンデバにあります。要するにチャンデバの調整には
    正解はなくベターな点を手探りで見つける作業になると思いますが、これが中々上手く行かない
    事が多いのです。
    
     さて、この方はパラゴンを鳴らす為にUESUGIのパラプッシュプルと言う真空管アンプを選んだ
    のでしょう。パラゴンは大型スピーカーの割には能率が90dB以下と意外に低いので、常識的には
    最低50W のパワーアンプが必要になると思われます。その意味ではUESUGIを選択したのは間違い
    ではないと思いますが、真空管アンプは発熱が結構あり暑い夏には不向きですし消費電力も高い
    ですから、電力が逼迫し電気代が高騰しているこのご時世には向かないかも知れません。その点
    Ε-10Hは消費電力が27W と、UESUGIパラプッシュプルに比べて段違いに低いので、発熱も少なく
    もしちゃんとパラゴンを鳴らせたのであれば、夏場には打って付けのパワーアンプになると思い
    ます。しかし出来るなら、WRP-α120 で駆動して頂ければ、余裕をもってほぼ理想的にパラゴン
    を駆動できたのに、と思ってしまいました。WRアンプユーザーの方でライブ音楽の再現に主眼を
    置かれる方は、皆さんWRP-α120 を選択されています。
    
     私が常用するB&W805MATRIXの能率とJBL パラゴンの能率は仕様上はほぼ同じなので、Ε-10Hで
    も取り敢えず鳴らせるとは思いますが、大音量で鳴らすには少し苦しい気がします。
    
     しかし、
    
    ★意外といっては失礼とは思いますが、しっかりした低域も聞かせてくれて
    ★ピンチヒッター大成功と喜んでいました。
    
    と書かれていますように、しっかりした低域が出ているようですから何とかパラゴンを鳴らせて
    いると判断しても良いように思います。何故、出力10W のアンプで鳴らせるのでしょうか。多分
    10W の真空管アンプでは無理だと思います。いや、もしかするとUESUGIでも低音の質と言う観点
    から厳しく言えば、低域は正しく鳴らせていない可能性があります。それには列記とした理由が
    あるのです。これまでに何回か同様の事を解説して来ましたが、正しく鳴らせない理由を以下に
    箇条書きで示します。
    
     1)スピーカーを理想的に鳴らすには定電圧駆動が可能なパワーアンプを使う事が必須。
    
     2)定電圧駆動する為にはパワーアンプの出力インピーダンスを直流域を含む
       全体域に亘って極力低くする事が必須。
    
     3)WRアンプは多少の程度の差はあるものの、出力5WのΕ-5H でも定電圧駆動が可能。
    
       (WRパワーアンプは帰還を安定に掛ける技術があるので高帰還が可能)
    
     4)OTL ではない真空管アンプの帰還量は20dB以下と少なく、WRアンプとの帰還量の差は
       少なく見積もっても30dB程度ある事。
    
     5)仮に出力インピーダンスが30倍 も高ければ、スピーカーの制動が甘くなり、
       締まった低音を求める事は不可能。
    
     最後の項を示すお言葉が、上述されている「しっかりした低域が出ている」と言う部分ですが
    これはUESUGIとの比較で仰っていると思います。この方の聴感の良さは低音が出なくなったとは
    捉えずに「しっかりした低域」に価値観を示されている事です。締まりのない甘い低音を求める
    人には理解出来ない事かも知れませんが、それはライブの本当の音を知らないからだと思います。
    演奏現場で聴く低音は、ホールの問題が無ければ締まって聴こえるはずだからです。趣味の世界
    ですから甘い低音を求める事は自由ですが、もしそれがライブの締まった低音を聴いた事がない
    為の結果であるとしたら、本当の低音を知らずにオーディオを続けるのは惜しい気がしてしまい
    ます。ですからオーディオで音楽を楽しむのであれば、やはりライブに足を運んでライブの音は
    どのように聴こえるのか、幾度となく繰り返し体感して身に付けて欲しいと思います。
    
     最後に、何故音が途中で切れてしまうかですが、可能性があるのはWRパワーアンプには直流の
    検出回路が用意されている事です。聴く音楽に極低音が含まれていますと、その検出回路が動作
    してしまう事があるのです。それを避けるには、直流検出回路の時定数を大きくすれば解決する
    問題ですが、余り大きくし過ぎますと肝心な時に、検出に時間が掛り過ぎてスピーカーに直流を
    掛けてしまう危険性があるので、作る側は時定数を小さ目に設定したくなるのです。未だアンプ
    を拝見していませんので何とも断言は出来ませんが、一番あり得る事だと思っています。ゴトー
    ユニットを鳴らしていた時には低音は入ってきませんので、それが動作する事は無かったと思い
    ますが、パラゴンだと大分事情が変わって来ます。使わない内に故障したと言う事はWRアンプに
    限っては殆ど考える必要はないと思います。音が切れる時間がマチマチなのは極低音が出現する
    頻度に依存するからだと思います。これはリレー基板の定数設定の問題であり、アンプ自体とは
    無関係だと私は思っています。
    
     それにしても、今回のパワーアンプ騒動で、出力、価格の点で絶対的に不利なはずのΕ-10Hが
    まあ勝利出来た事は画期的な事であり、アンプの研究者冥利に尽きます。正しく動作する高帰還
    アンプこそが今オーディオに求められている救世主なのです。皆さん、今までのアンプに関する
    常識に捉われる事無く、正しく動作するWR高帰還アンプを選択して下さい。オーディオは音遊び
    ではなくて、音楽を聴く道具だとお考えであれば、その判断が貴方のオーディオライフを本当に
    楽しいものに変えてくれるはずです。これまでに多くの甘い言葉に裏切られて来たとは思います
    が、WRアンプは絶対に裏切りませんから、もう一度だけ信じて見て下さい。石の高帰還アンプに
    アレルギー反応を起こす方が多いかも知れません。だから、次善の策として真空管アンプに人気
    があるのだと思います。石の音が硬く聴こえたのは使った理論に不足が有ったからであり、帰還
    そのものに責任がある訳では決してありません。逆にオーディオを成功させる為には帰還は必須
    であり、帰還量に依らず安定な帰還回路を開発した者が勝ちになります。WRアンプは自動制御の
    帰還理論ではなく、「負性抵抗」と言う概念に着目して原著論文を書き、2件の特許を取得して
    高帰還アンプの製作に初めて成功したのです。だからライブ音楽がそれらしく家庭で再現できる
    ようになったのです。クラシック、ジャズ、ロック等ジャンルを問わず如何なるライブ音楽でも
    WRアンプは理想的に鳴らす事が可能になっています。  

    2038川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sun Jul 3 17:00:00 JST 2022
    外部電源でも動作するDAC が増えているようですが、未だACパックをお使いですか?
    
     最近WRP-α120 等多くのWRアンプをお使い頂いてるユーザーの方から、PCやDAC 用の外部電源
    はつくれますか?と言うお便りを頂きました。即座にWR録音に使うPC用と外透けHDD 用の安定化
    電源をかなり前に製作し、顕著な音質向上を確認していますとお答えしました。最近、この方は
    ACパックで動作する超高級DAC の音にある種の違和感をお感じになっていて、このような質問を
    されたようです。多分、制御用PCも同時にACパックでお使いなのでしょう。これでは折角お買い
    になったDAC も本領発揮までに至ってないと思われます。
    
     私のような古い人間は、目で見えるLPやCDと言うような音源で、音楽は聴きたいと思いますが
    若い方はそれよりPCオーディオの方が合理的だとお考えになるのでしょう。勿論それはリスナー
    の勝手である訳ですが、そのACパックの問題だけを見ても音質がワンランク以上不利になる事は
    否めません。さらにPCオーディオは、CDプレーヤー等に比べてそのシステムにデジタルノイズを
    より多く増加させてしまう事も私は問題だと思います。
    
     話を元に戻してACパックの実体はスイッチング電源です。だから60W クラスの電源であっても
    小型で発熱も少なく便利ではありますが、電源インピーダンスは下手すると2桁アナログ式電源
    より高いのではないでしょうか。だから良く出来たアナログ式安定化電源には敵わないはずなの
    ですが、この「良く出来た」安定化電源が世の中には殆ど存在しないと言う現実があるようです。
    これはこのユーザーの方から伺った話ですが、音質を誇るアナログ式の市販品を一時的に借りて
    お使いになったのですが、結局、音楽が生きて聴こえて来なかったと言う事のようです。
    
     それは、殆どのWRアンプを安定化電源付きで賄って来た私から言わせて頂ければ当然の事だと
    思います。安定化電源の出力インピーダンスを下げるには高帰還は避けられません。しかし毎回
    のように申し上げていますが、高帰還には必ず「負性抵抗」が付きものです。この処理を適切に
    実施しなければ、絶対に安定に動作する安定化電源は作れないのです。それだけではありません。
    使用する部品や線材にひずみ感の出ないものを選択する必要がありますが、この微妙なひずみ感
    を認識できるアンプが世の中に殆ど存在しない事と仮にひずみ感を識別できるアンプが有ったと
    しても、それを見極める聴感は厳しい訓練無くして得られないと言う現実があります。ACパック
    より明らかに音質の点で勝るアナログ式の安定化電源が容易に作れない所以です。
    
     だから超高級DAC にも一般的にはスイッチング電源が用いられているのでしょう。アナログ式
    の優秀な電源が楽に入手できるのなら専用電源として用意するでしょうし、場合によっては DAC
    の内部に電源も内蔵させてしまうのではないでしょうか。そもそも素朴な疑問として、何十万も
    する超高級なDAC に何故きちんとした電源が搭載されてないのでしょうか。幾ら超高級なDAC と
    言えども電源を貴方任せにして、必要な音質は保証できないはずです。デジタル技術者は電源に
    何を使っても同じだと考えているのでしょうか。だから付属のACパックで十分だと考えているの
    かも知れません。このような事になってしまったのも、世の中に年季の入ったアナログ技術者が
    殆ど居なくなってしまったと言う事が一因のように思えますが、オーディオが最終的にアナログ
    信号を耳で聴くと言う事実が変わらない限りベテランのアナログ技術者は必須なのです。しかし
    厄介な事に、デジタルとは違ってアナログ技術者は泥臭い経験を嫌と積んで初めて成り立つもの
    なので、教える立場の技術者が殆どの製作現場に居ない以上、最早絶望的だと思います。
    
     そう言う問題があるからこそ私の出番になったのですから、此処は素直にユーザーの方に感謝
    するべきなのだと思います。さて、分かっている仕様は、入力電圧DC9V/6.7A-18V/3.35A と言う
    表記のみです。同じ電力でも作る側からすると、電圧が高くても電流が少ない方が楽に作れると
    思いますので、18V/3.35A に耐えられる安定化電源を作れば良い事になります。3.35A は最高値
    であってアイドリング時は1.2A程度のようですから、これに耐える電源トランスと放熱器が先ず
    必要になります。パワーアンプもそうですが、120Wのアイドリング時は両チャンで150〜200mA位
    ですから、小音量の時は涼しい顔をして居ますが、ガンガン鳴らすと途端に放熱器は高温になり
    ます。WRアンプの場合は家庭で適度な音量で聴く方が殆どなので、それを考慮して放熱器の容量
    とか大きさを決めてあります。
    
     DAC も似たように考えて、先ずはアイドリング時にそこそこの温度上昇で済むように放熱器の
    大きさとトランスの容量を決めるしかありません。手元にそのDAC を置いて予備実験が出来ない
    以上、これまでの経験で決めて行くしかないのです。こう言うところなどはベテランのアナログ
    技術者でないと解決できないと思います。トランスには少し余裕を見て5Aの物を選び放熱器には
    使用予定のシャーシ(250WX90HX210D)に納まる事と在庫があり近々に入手可能なものと言う条件
    で決める事にしましました。どちらも5〜6日程度で購入出来ましたが、部品が潤沢には買えなく
    なっており、ものづくりには厳しい状況が続いています。要は過熱しないかどうかですが、この
    シャーシはしっかりした鉄製でなので、放熱器を堅固に取付ければ放熱効果も多少期待できると
    思います。
    
     未だ、デザインシャーシが出来上がって来ませんので試作に入る事が出来ませんが、アンプと
    違って単電源なので整流回路は少し楽になります。しかし回路自体は本質的にはWRアンプ搭載の
    ものと同じに作る予定です。実はデジタル機器用の安定化電源はWR録音用のものの他に、比較的
    最近に規模はもう少し小さいですが、やはりDAC 用にお世話した事があります。その時も手探り
    で試験的に試作した憶えがありますが、意外にも好評を博しております。その時に頂いたご感想
    を以下に示しますが、この方には、L-Pad とWBC を除いた完全アップグレードに近いWRP-α9 や
    WR電源フィルター等も同時期に導入して頂いています。
    
    ★また、電源ですが相当効果があるように感じます。
    ★いままで聞こえなかった音が聞き取れるようになりました。
    ★電源フィルタの効果もあると思いますが硬質な嫌な響きが皆無になり、
    ★硬質な音でもうるさく感じなくなりました。
    
    ★また、中低音が寂しかったのがフラットなバランスになり音に安定感が出て、
    ★デリケートさも増したので抑揚がよく感じ取れるようになりました。
    ★音も広がるようになりあふれ出てくるようにも感じます。
    ★音楽に没頭できるようになりました。いい音で鳴っています。ありがとうございます。
    
    と言う内容です。そして、このアナログ式のWR安定化電源を
    
    ★WRアンプと電源は宝物になりました。手放せないですね。
    
    とまで仰って頂いています。
    
     このご感想の内容はACパックとの比較で仰って頂いた訳ですから、如何にACパックがDAC の音
    を悪くしてるかが分かります。やはり、ACパックは音とは無関係なデジタル機器に使うべきもの
    であり、音質重視のDAC 等に使うのは以ての外と言わざるを得ないと思います。それにも拘らず
    超高級品を含むDAC の殆どの電源がACパックに頼ってる現状をどう解釈すれば良いのでしょうか。
    他の方はいざ知らず、もしWRアンプユーザーの中にこの事で悩んでいる方が居られましたら遠慮
    なくご相談下さい。残念ながら外付け安定化電源を正式に販売するには◇PSE の取得が必要です
    から、自由に販売する事は出来ませんが、キット販売と言う事も可能ですからお気軽にメールを
    頂ければと思います。今回も先方の方には実情をお話し、このような形に落ち着くと思っており
    ます。何れにしてもACパックを使っているが故に、ワンランクもツーランクも落ちる音質で音楽
    を聴くのは本当に勿体ない事だと思います。私も可能ならばCDプレーヤーの電源をWR安定化電源
    に置き換えたいくらいです。そうなればCDはもっと良い音で再生できるはずです。
    
    
    追 伸)
    
     前稿でお知らせしたサステナブルなWRP-α30は無事に仕上がって、試聴を繰り返していますが
    楽しみながら自分の好きなように作った事もあって、中々良い音で鳴ってくれていると思います。
    WRP-α120 の時によく感じる中低域の充実感が、この30W のアンプでもある気がして嬉しくなり
    ました。やはり新αシリーズのパワーアンプは伊達に高い訳ではなく、それだけの事はあるのだ
    と自分でも納得した次第です。使用トランスの2次電圧が32V も有った事で、安定化電源の制御
    の石に20V 近く掛った事が有利に働いたと思います。応募して頂いた方に期待に添えるアンプを
    提供できそうで、これで肩の荷を下ろせそうです。  
    
    
    速 報)
    
     上記の電源装置をご購入頂いたユーザーの方から第一報が入りましたので、お知らせします。
    
    ★★昨日受け取り動作確認しております。
    ★★とにかく凄いです。ありがとうございました。
    
    ★★今も耳閉感が出ておりますが、
    ★★それでも先生の電源では全く音が違うことは分かります。
    ★★まーとにかく次元が違います。
    
    ★★この電源が700 万なら諦めますが
    ★★70万と提示されるなら考えてしまいます。
    
    との事です。体調が優れないタイミングだったようですが、それでも明確に音の違いがあった事
    をお認め頂いています。まだユーザーの方のお声は2例目ですが、もしACパックでDAC をお使い
    になってる方がいらっしゃいましたら、早めにWR製の電源装置をお使いになる事をお勧めします。
    70万より遥かにお安いですから、その点はご心配になる必要はないと思います。

    2037川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Fri Jun 17 19:00:00 JST 2022
    サステナブルで格安なパワーアンプWRP-α30を1台限定で臨時に発売します。→ 予約済
    
     前稿でWRアンプは持続可能なオーディオアンプであると宣言させて頂きましたが、今回部品も
    原則的に全て新品部品を使わずに再利用可能な優良中古部品、新品で有りながら長期間使わずに
    いた謂わば新古品を可能な限り登用して、実質的なグレードでは全く見劣りのしないWRP-α30を
    製作しています。現在主だった部品がほぼ揃ったところで、これからシャーシデザインや基板の
    製作に入るところです。αシリーズに共通して使用するシャーシはリードのMK-400で、既に入手
    済みです。このシャーシは特に真空管アンプに人気があるのか在庫切れになると長期間入手出来
    ない事があるので要注意です。
    
     では主だった再利用部品について説明したいと思います。先ず切っ掛けは、電磁シールド付き
    のα30に使えそうな電源トランスが見つかった事です。現在銅不足が影響してるのかトランスの
    在庫が減り価格が高騰しています。買いたくても何カ月待ちなんて事も珍しくありません。この
    トランスの規格は、丁度安定化電源付きの30W 型パワーアンプを作るのに恰好な電圧が出ていて、
    眠らせて置くのは勿体ないと思ったのです。早速、オープンでの2次出力電圧を測ると32Vx2 と
    7Vです。これに18Vx2くらいの豆トランスを補えばα30にはピッタリの電圧です。早速オープン
    で電圧を実測して見ましたがピッタリ出ています。またオープンでのトランスの損失も測定して
    見ましたが、約7Wでショートリングを巻いたトランスとしては寧ろ低いくらいですから、安全に
    使えると判断しました。
    
     次は使用するパワートTRですが、これも片側のパワーTRにハイブリッド化のアップグレードの
    時に外した2SD73 を3個使います。トランジスタは、酷使しなけれてば半永久的に使えますから
    全く問題はありません。この相棒には、昔ハイブリッド化のアップグレードを開始した時に買い
    揃えた2SA756を使います。どちらもPc:50W 、Ic=6A、ft=20MHz と三拍子揃っており、今回の
    α30にはピッタリです。これらのパワーTRはTO-3型と言う今では余り見なくなったキャンタイプ
    のトランジスタで、モールド型より好む人が結構います。αシリーズ用に購入してあったキャン
    タイプを取付けるのに絶好の28M190L120と言う放熱器に取り付けが完了しています。この放熱器
    も市場に在庫はなく注文生産なので、最低で1カ月待たないと入手出来ない希少品です。整流器
    は現行品ですが、αシリーズ用に小型放熱器とセットで買い溜めてあった、FCH20A15 /FRH20A15 
    を使いますが、勿論ファストリカバリーダイオードです。小信号用TRは再利用しても知れている
    ので、新品を使う予定です。
    
     トランス、半導体と来れば次に大事なのがコンデンサーでしょう。先ず整流用に使うブロック
    電解コンデンサーですが、これにも昔購入した日本ケミコンのねじ端子型のCE-EW と言う高級品
    を使います。耐圧が25V と低いのでこのままではα30には使えませんから、2個直列接続にして
    耐圧を50V にして使います。容量が余りに違いますと2個に配分される電圧が偏り過ぎて十分な
    耐圧が取れませんので予備実験をして見ました。2個直列にして、安定化電源から適当な電圧を
    掛けて2個のケミコンに掛る電圧を測定します。正負2組必要ですがどちらも電圧偏差は2V以下
    でしたので、問題なく使える事が分かりました。電解コンの割には容量値が正確だと言う事だと
    思います。コンデンサーを直列接続すれば、容量は半分になりますから6800/2=3400μF になり
    ますが、WRのパワーアンプは安定化電源で電源を供給しますから、全く問題なく使えます。既成
    オーディオアンプのように何万μF と言うバカでかい物を積む必要性は全くないのです。あとは
    旧型パワーアンプのアップグレード時に外した体の良いBGコンを安定化電源の入口と出口に使う
    予定です。
    
     次にフィルムコンですが再利用の可能性の高いものはASC とERO コンデンサーです。ASC コン
    は前進のTRW コンの頃から使ってますが、音に変な癖が出ませんしパスコンとしての能力も高く
    未だにTRW も何処かには使っていますが全く支障がなく、WRアンプには欠かせんません。しかし
    最近ポリエステルながらポリプロ級のパスコン能力のあるVishayコンが出現しASC コンの使用量
    は少し減っています。WRでVishay化と言うアップグレードを始めた事はご承知の事と思いますが、
    安価な割に効果のあるコンデンサーだと思います。今回、数は多くありませんが、Vishay化した
    際に取り除いたASC コンが少しですが有りますので、再利用したいと考えています。ERO コンは
    ディスコンになるまでWRアンプでかなりの数を使っていました。もっぱら使っていたものは小型
    で使い易い1626ですが、旧型アンプからアップグレード時に外したものがまだ結構ありますので、
    今回登用したいと思います。1626とほぼ同じサイズの1617と言うものがERO 時代にありましたが、
    現在その一部がVishayコンとして復活しています。しかし、私の印象では1626の方が多用しても
    音に全く癖が出ませんので、私は寧ろ1626の復活を望みたいところです。フィルムコンに下手な
    ものを使うとひずみ感が増えてぶち壊しになりますから要注意部品の一つです。後述する線材と
    同様に、使用できる良品の方が遥かに少ないと言っても過言ではありません。
    
     抵抗は原則新品を使います。旧型アンプの時は進(後にニッコーム)の板抵抗を常用しており
    ましたが、色々とアンプの試聴を繰り返す内に音が自然なのはカーボン抵抗だと思うようになり、
    現在は上質な小型カーボン抵抗を使う事にしています。これは安価である事と超小型品である事
    から再利用には向かないと考えています。今回はパワーアンプですが例外的にフォノアンプの時
    は板抵抗で統一しています。既に進もニッコームもディスコンになってますから、昔取り外した
    物を再利用する事が増えています。唯、私の印象では抵抗の音に与える影響度合いは比較的低い
    ので、余り神経質になる必要はないと最近は感じていますが、これにもひずみ感を出す物が偶に
    ありますので、多少の注意は必要に思います。これは付け足しになりますが電源ON時のクリック
    音を防いだり、故障時に緊急避難的にスピーカーを遮断するリレーは接点ものですから、原則的
    に再利用は好ましくないと考えています。αシリーズはΕシリーズには無い過電流検出も備えて
    いますから、より安全に使用する事が出来ると思います。
    
     以上使用部品について言及して来ましたが、デザインシャーシ、トランス、放熱器、ケミコン、
    基板等が準備出来れば、穴あけ、部品の取り付けなどを行って配線作業に入ります。配線作業で
    大切なのは使用する線材です。無酸素銅は別にしても4N銅線のビニール導線を使えば全て同じと
    思っていた時期がありましたが、これは大きな間違いでした。 「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」
    ではないですが、線材は中々当たらないと思います。要するに無作為に集めた線材の中で使える
    ものに当たる確率は10% にも行かないのではないでしょうか。それくらい良質な線材は少ないと
    思います。唯、私にも何故そうなるのか全く分かりません。同じ4N銅線の物理特性の違いなんて
    一体あるのでしょうか? オーディオの七不思議の一つだと思いますが、かと言って気付かずに
    居たら自然な音のする、ライブ感覚の家庭での再現を可能にするアンプなぞ、永久に望めないと
    思います。「負性抵抗」を回避する回路技術も然る事ながら、この問題をクリアするにはそれを
    選別できる聴感が不可欠であり、これらのハードルをクリアする事は正に絶望的な事と思います。
    世にひずみ感が少なく、音に癖の無い普通に鳴るアンプが殆ど存在しない所以です。
    
     では、オーディオアンプはどうあるべきか、改めて整理して置きたいと思います。勿論、製作
    するα30も以下の条件を具備しています。先ず大前提は、スピーカーは正しく定電圧駆動されな
    ければ本領が発揮されない、と言う電気音響学的な知見です。スピーカーを定電圧駆動する為に
    は出力インピーダンスを可能な限り低くする必要があり、その為に多量な帰還が必要になります。
    以下に高帰還アンプを、ひずみ感の少ない音に癖の無いアンプに仕上げる為のステップを箇条書
    にして見ます。
    
     1)スピーカーを定電圧駆動するには高帰還パワーアンプが必須になる事。それ以外のアンプ
       ではスピーカーの能力は100%発揮されない事を認識すべきである事。
    
     2)アンプを高帰還にすると回路内に不安定要素である「負性抵抗」が例外なく内包される事。
    
     3)「負性抵抗」を内包する高帰還アンプは必ず耳に不快なひずみ感のある音を放出する事。
    
     4)「負性抵抗」を回避できる回路を工夫しない限りひずみ感を出さない安定な高帰還アンプ
       を作る事は不可能な事。
    
     5)回路が仮に理想的に設計出来たとしても、ひずみ感の生じない部品・線材を使わない限り
       元の木阿弥になる事を覚悟すべき事。
    
     6)ひずみ感の出ない部品・線材を選別するには、長期間訓練された聴聴が必須である事。
    
     7)これらの条件が揃ったとしても、完成したアンプの音質を見極める音楽的な聴感が必要に
       なる事。
    
    となります。
    
     これらの理論は私が半世紀も掛けて辿り着いたものですから、直ぐに理解して頂けるとは思い
    ませんが、一時盛んになったオーディオ産業が斜陽化した原因は、これらの難問を根本的に解決
    する動きが微塵も無かったからだと思います。そして細々とですが、それは未だに続いています。
    残された人生で少しでも軌道修正できればと思っています。
     
     1)〜7)の中には以下のような3つの難問が存在します。これらは既成オーディオ技術の
    常識の範囲を越えています。到底克服できるものではありません。
    
     (1)「負性抵抗」を完全に回避する回路技術の確立(位相余裕に換算して110 度)
    
     (2)ひずみ感の出ない部品・線材を正しく選別できる訓練された聴感の取得
    
     (3)部品・線材に起因するひずみ感を正しく再生出来るアンプシステムの構築
    
     WRアンプはこの3つの難問をクリアできる環境下で製作されています。お遊びのアンプは別に
    しても、音が自然でライブ感覚の家庭での再現が可能になるアンプを作る事は殆ど不可能である
    事がお分かり頂けると思います。如何に普通の音で鳴るオーディオアンプが少ないか、貴方様も
    既にお気付きなのではないでしょうか? 逆に言えばWRアンプはライブ感覚を家庭で再現できる
    稀有な存在だと言えると思います。音楽をいい音で楽しく聴きたいと思う方には、絶対お勧めの
    アンプです。WRアンプを使えば買い替えの必要が全く無い持続可能なオーディオを遂行して行く
    事が可能になります。いい音で鳴らない事が原因で、途中で頓挫する事は絶対にないと思います。
    今回、特別に企画したWRP-α30も決して例外ではありません。音楽を楽しくお聴きになりの方の
    ご購入を切に希望しています。普通の音で自然に音楽が鳴る、耳に優しいパワーアンプWRP-α30
    にご期待下さい。作る前から完成時の音が予測できるのは、不確定要素の全くないWRアンプだけ
    ではないでしょうか。
    
     予価:\175,000(正規WRP-α30:\230,000)→ ご事情次第で応相談
    
     納期:約2週間
    
     備考:非推奨ながら入力VR付きも製作可能
    
     問い合わせ先:
    
     メール:kawanisi@west.wramp.jp または westriver_audio@yahoo.co.jp
    
     電話:042-683-0212
    
     尚、αシリーズはどちらかと言えば普及型に属するΕシリーズのワンランク上の高級型であり、
    家庭でのライブの音の再現を望まれてるユーザー方々に実績のあるWRP-α120 が、その代表格に
    なります。WRP-α30はその弟分に当たりますから、十二分にご期待頂けるものと思います。  

    2036川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Tue May 31 18:00:00 JST 2022
    SEコンが完全にディスコンになってから2台目のフォノアンプを製作し無事に納入しました。
    
                    −−− サステナブルなオーディオを目指して
    
     WRのフォノアンプは、相当昔から存在していたSEコン仕様のイコライザー基板と、これ又相当
    前から有ったSEコン仕様のヘッドアンプを合体させてものです。1980年以前はLPが主なソース源
    でしたので、プリアンプと言えばイコライザー基板を積むのが常識になっていました。まだまだ
    MMカートリッジで聴く人が多かったので、MCを使いたい人は別途昇圧トランスを購入すると言う
    スタイルが確立されていました。私もグレースのF-8 系を長く愛用した後に、電音のMC型を使う
    ようになっています。
    
     しかし、トランスとは無縁のオーディオーメーカーは何とか電子回路で昇圧するヘッドアンプ
    なるものを発売したのでした。私の記憶に残ってるものはソニー製のヘッドアンプです。ラ技の
    編集部から借りて試聴した覚えがあります。しかし、当然の事ですがハムを誘導し易いとか音が
    トランスに比べて暴れるとか、問題点が色々浮上したのです。結局決定版のような優れたものが
    供給出来なかったように思います。一時的には何社もヘッドアンプ市場に参入したものの、定着
    したヘッドアンプは余り無かったのではないでしょうか。その証拠にその後は高級昇圧トランス
    の開発競争になり、現在も一般には高級昇圧トランスを使う事が常態化してるように思います。
    
     私はソニー製のヘッドアンプを聴いて満足した訳ではありませんでしたが、可能性は十二分に
    感じたのでした。ご多分に漏れず私も、電音のPUC-7Dと言うステレオMCカートリッジをタムラの
    TKS-3で昇圧して聴いていました。その後、TKS-3は大型で場所を食うのでその小型版を使ったり
    して凌いでいましたが、当時ラ技に掲載されていた製作記事を参考にヘッドアンプを独自に作る
    気になったのです。ヘッドアンプで先ず大切な事は、抵抗やTRから出るホワイトノイズを如何に
    抑えるかです。音質の問題はその後です。
    
     常套手段は初段のTRを幾つか並列接続する事と入力回路に入る抵抗値を如何に低くするかです。
    結局作り易さも必要ですからパラレル数は4とし、帰還回路を構成する2つの抵抗のアース側を
    10Ωにする事にしました。4個並列接続にすると約6dB の改善が見込めます。また10Ωはアンプ
    のゲインを約30倍としますと帰還抵抗が330 Ωになり、それ以上終段のロードを重く出来ない事
    から決めた値です。電源電圧は2段の安定化電源で供給する事にしていた関係もあって、± 10V
    にしました。もう測定結果をはっきり憶えていませんが、S/N は-116dBくらいで150mV 程度まで
    目立ったひずみが出ない、2段差動のヘッドアンプに仕上がりました。
    
     音質対策は、エミッタホロワを終段に使わない分かなり楽になりますから「負性抵抗」を抑制
    する2つの特許回路の内、入力側に対策する回路のみで乗り切る事にしました。この回路は入力
    回路に4.3Kと言う高抵抗を入れるのが特徴ですから、このままではヘッドアンプには使えません。
    試行錯誤した結果4.3Kにトロイダルコイルを並列に抱かせる事にしました。そうすれば可聴周波
    ではコイルの直流分のみになりますし、「負性抵抗」を抑えたい高周波数領域に於いてはコイル
    は無いに等しくなりますから、目的を達成できる事になるはずです。これが本当に効果があるか
    どうかはヘッドアンプとして優れた音質を提供できるか否かで判定する事にしました。
    
     此処でヘッドアンプに期待される音質とは如何なる事かを説明したいと思います。それは音源
    を正しく再生すると言う事に尽きますが、もう少し具体的に申し上げれば音が自然に聴こえるか
    どうかです。演奏の場を彷彿とさせるような音像が手に取るように分かる音と言っても良いかも
    知れません。楽器が重なってもある程度は前後感が掴める必要もあります。録音にも依りますが、
    楽器の音が空中に舞うような感覚が感じられる事が必要だと思います。要するに生の演奏会場で
    感じるイメージがオーディオ装置からも連想できるかどうかです。ステレオでは原理的に有り得
    ない事ですが、演奏会場の3次元的な再現が少しでも感じられる必要があるのです。このような
    事は、音をスカラー的に捉えて音質を云々する既成オーディオでは、殆ど無視されているような
    ものだと思いますが、私はライブの音を家庭で再現する為には必須だとさえ考えています。
    
     スカラー的なオーディオには致命的な欠陥があります。それは音が良く聴こえるソースが選択
    されるからです。耳当たりの良い音はひずみ感を出し難いので、アンプに過渡ひずみが有っても
    一見綺麗に聴こえてしまうのです。しかし、そう言うアンプでブラームスのような高弦のキツイ
    ソースを聴くと、途端にひずみ感に襲われれてしまう事になります。その事に気付いたとしても
    ブラームスはキツク聴こえても仕方がない、として真剣に対処しようとしません。クラシックに
    限らずライブの音楽には再現性の難しい音が随所に出て来ますが、スカラー的なオーディオでは
    そう言う音源を避けていますから、問題の解決には結びつかないのです。だから、オーディオは
    衰退したと言っても良いかも知れません。要するに、オーディオは良い音を直接的に求める事は
    出来ないのです。「良い音」とは何か?と言う一般的な定義がないからです。WRアンプの歴史は
    ずっと嫌な音に注目して来ました。そして此処1〜2年でやっと耳に着く嫌な音から解放された
    のです。その結果、多くのユーザーの方にライブの音が再現されていると言う評価を受ける事が
    出来るようになっています。「良い音」とは嫌な音が出ないようにして初めて得られる結果なの
    であって、求めて求められるものでは決してありません。其処のところを既成オーディオは履き
    違えているのではないでしょうか。
    
     このように嫌な音のしない音を再現させるには、特にフォノアンプではSEコンは必須だとさえ
    感じます。このフォノアンプに使うSEコン数は安定化電源基板が12個で倍の24個、イコライザー
    基板がイコライザー素子を含めて12個、ヘッドアンプ基板が 6個で、計42個になります。今回は、
    自分のアンプの中に外しても構わない安定化電源が一台分ありましたのでそこから12個を補充し、
    さらに手持ちのSEコン活用して、ヘッドアンプとイコライザー基板用のSEコンの半分程度を捻出
    しました。結果的に、買わなければならないSEコンの数が減りましたので何とか必要なSEコンを
    確保する事が出来ましたし、英国製のマイカコンデンサーの購入数も 4個だけで済ます事ができ
    ました。今後はもう少し苦労する事になるかも知れませんし、英国製マイカコンデンサーの比率
    も上がるかも知れませんが、まだ諦める必要はないと考えています。要は上述したような、WR製
    フォノアンプの音質が確保されていれば良いのだと思います。
    
     以上、回路と高域補償コンデンサーについて重点的にお話しましたが、これだけでは満足する
    音質にはなりません。ひずみ感の発生が殆ど無い線材を使って配線する事と、ひずみ感の出ない
    パスコン等のフィルムコンを選択して使用する事が不可避です。部品の選択は誰にでも出来ると
    言うものでは決してなく、ライブに足繁く通って聴感を訓練する必要があります。従って嫌な音
    のしない音の良いアンプを作るには、色々な必然が無数に重なって初めて成立するものですから、
    偶然に出来る事は絶対にありません。並みの技術者には歯が立たない所以です。私が手探り状態
    からこの域まで達するのに、半世紀が必要だった事からもお察し頂けるのではないかと思います。
    さて、上記のよう部品等を使用すれば、電解コンデンサーに関しては余り神経質にならなくても
    良いとは思いますが、可能ならば既にディスコンで購入不可ですがBGコンクラスを使うと良いと
    思います。BGコンが無くなった時に、代替品として使える電解コンデンサーをLIFAやVishayから
    選んでありますので、フォノアンプには原則的にそれらを使う事にしています。
    
     こうして出来上がったWRのフォノアンプは客観的に言っても世界のトップクラスの音がすると
    言っても過言ではありません。事実これまでにもユーザーの方から、超高級昇圧トランスよりも
    全然良い音がすると言う評価や、外国製の高価なフォノアンプよりも断然音が良いと言うお褒め
    の言葉を頂戴しております。音はどう鳴れば本物なのかが分かる方には分かって貰えると言う事
    だと思います。要するに、音をスカラー的に捉えて音の良し悪しを決める既成路線と、ライブを
    規範とした音を物差しとし音の良し悪しを決める我が路線とでは、音に対する価値観が全く違う
    と言う事です。大いに気になるのは既成路線で行くと「無限アリジゴク」に陥る可能性が高い事
    です。その結果、役に立たなかった多くのアンプ等が結局は廃棄されたのではないかと思います。
    WRアンプをご購入になれば「無限アリジゴク」や「袋小路」に迷い込む事は絶対になく、ご希望
    ならば何時でも最新状態にアップグレードする事が可能です。我が路線は最近よく耳にする言葉
    を使えば、サステナブルなオーディオだと言っても差し支えなく、ウエストリバーは持続可能な
    オーディオが実現出来たと此処に宣言し、主唱したいと思います。
    
     このフォノアンプは、うっかりPHONO 端子があると思って完全アップグレード版の WRP-α9を
    ご購入になった方がフォノアンプが製作できる内にと注文して下さったものです。又ご感想でも
    頂けましたら追記させて頂くかも知れません。
    
    
    告知) −−−> 予約されました!
    
     これもSDGsと言えるかも知れませんが、中古のWRP-α9 をご購入になった方がシャーシを一新
    された為に、現在使ってない中古のWRP-α9 用のシャーシが余っています。このまま利用しない
    法はないと思い、デザインをやり替え部品も可能な限り新品を使って完全アップグレード版プリ
    を再構築する予定です。但し、余り高価になっても買い辛くなりますので、L-Pad は後に回して
    お買い得製品にしようと考えています。それでも十分に高音質プリアンプに仕上がると思います。
    色はブラックです。
    
     予価は\98,000 とさせて頂く予定です。お使いになって見てL-Pad に為さりたい時は \32,000
    にてお引き受け致します。ご希望の方は、早めにお問い合わせ下さいますようにお願い申し上げ
    ます。 
    
     問い合わせ先:
    
     メール:kawanisi@west.wramp.jp または westriver_audio@yahoo.co.jp
    
     電話:042-683-0212 

    2035川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu May 12 17:00:00 JST 2022
    最近頂いたWRアンプに関するご感想2例をご紹介します
    
                       −−−分かる方には分かって頂けるWRアンプ!!
    
     先ずお一人目ですが、まだコロナが日本を席巻する前の2019年頃にΕ-5H を結局2台もご購入
    頂き、又つい最近、完全アップグレードされたWRP-α9 をお買い上げ頂いた方です。WRアンプを
    お知りになったのは大容量キャパシターを積んだ中古のWRP-α4/MOS を入手されたのが切っ掛け
    だと伺っています。詳細は存じ上げませんが、何でも3チャンネルマルチにしてお聴きになって
    いらっしゃるようです。中音用にはALTEC 511Bをお使いのようです。               
    
     当時、そのマルチにご購入になったΕ-5H を組み込まれた時のご感想文が見つかりましたので、
    それを先ずはご紹介させて頂こうと思います。
    
    ★昨日、マルチに組込みました。
    ★CD、レコードと音のチェック用に何点か見繕って鳴らしてみました。
    ★タンノイで聴いて、とても明瞭で表現力のあるアンプでしたので、
    ★問題なく相性の悪さは感じません。
    
    と冒頭で述べられています。多分、Ε-5H が届いた時にタンノイ一発でお聴きになったようです。
    色々類推しますと中高音用にはWRP-α4/MOS が使われていて、Ε-5H は高音用として当初お考え
    になったようです。
    
     そして、お話は続き
    
    ★ひと通り聴いた後で、5wだけれど中音部分に繋いでみようと思い、
    ★スピーカーケーブルを4mosと交換してみました。
    ★すると、音の輪郭が際立ち、打楽器の音が浮き上がり、
    ★それぞれの楽器が生き生きと聴こえ出して、臨場感のある素晴らしい音に変貌したのです。
    ★この変貌ぶりは予測を遥かに超えるものでした。
    ★ただし、ジャズピアノの高音の激しい音には、
    ★ちょっとキャンキャンとするように聴こえたので、もう一度戻してみました。
    
    と仰っています。詰り、高音用にWRP-α4/MOS を中音用にΕ-5H を繋いだら「楽器が生き生きと
    聴こえ出した」と言う事のようです。しかし、高音はキャンキャンとしてしまったとありますが
    これはMOSFETアンプが最新の状態にアップグレードされてない為に起きた問題だと思われます。
    
     そして、
    
    ★ALTEC 511B用としてパワーがどうなのか分かりませんが、
    ★結局5Wを中音用にすることにしました。
    ★中音用にすると、本当に生々しく臨場感のある表現に変わるのです。
    
    と言う事で、高音用に購入したはずのΕ-5H は中音用として活躍する事になったのです。音楽の
    大事な成分は何と言っても中音部に集中しますから、中音用のアンプは非常に重要になります。
    
     この方がΕ-5H に目を付けられたのは、
    
    ★4MOSを中古で購入していたので、今回購入を考えたのですが、
    ★高音用にリーズナブルな価格で、音も良さそうだからと思ったのです。
    ★このアンプ、私の持っているアンプの中で、一番軽量、そして一番廉価です。
    ★重いものは60KgあるマッキントッシュのMC2600というアンプも持ってます。
    
    と言う事で、WRアンプはこれまでご購入になったアンプに比べて、軽くて安価だと仰って頂いて
    います。そして、
    
    ★もっと早くに出会っていたら、
    ★私の音響システムの内容は大分変わっていたのではないかと思います。
    ★川西さんがお書きになっていらっしゃる内容が実感でき、理解出来ました。
    ★オーディオの世界は面白いものですし、音というのはなかなか分からないものですが、
    ★聴いていると、明日への元気、活力を与えてくれます。
    
    と述懐されていますが、私が繰り返し説いて来たオーディオアンプに関する独自の構想が、実感
    としてご理解頂け、半世紀の長きに亘って半ば人生を掛けて追及して来た努力が報われたようで、
    感無量です。そして、音楽を聴いていると明日への元気と活力が貰えると仰っています。これぞ
    いい音楽の力なのだと思います。
    
     最後に
    
    ★マルチのシステムの他に、タンノイのスピーカーのものがあるので、
    ★今そちらの方でE-5Hをセットして聴いています。
    ★今まで、かなりパワーのあるアンプを使用しておりますが、
    ★E-5Hで、タンノイのスピーカーがいい音出しています。
    ★良いものを、コストパホーマンスの高い値段で購入出来て、大変満足です。
    
    とご感想文を締め括られています。そして、後日、高音用にもΕ-5H をご購入になったのでした。
    
     その後コロナ禍が影響したのかも知れません。暫く音信不通でしたが、最近になってお使いの
    真空管プリアンプの代わりに上記したように、完全アップグレードされたWRP-α9 を導入された
    のです。この真空管プリには、CD、LPの他にカセットも接続されていらっしゃったようです。
    
     この真空管プリと比べてWRP-α9 は、
    
    ★★特にCDは、聴きやすい耳に大変優しい音が出ており、大変満足しております。
    
    と仰って頂いています。これは邪推ですが、カセットの音をまともに聴きますと思った程の音質
    にはならない事が伺われます。また、ちょっとした勘違いだったと思うのですが、真空管プリに
    フォノ端子が付いていた事もあって、プリを買えば普通にLPが聴けると思われていたようですが、
    LP試聴はお預けになりました。もっとも昔はLPが主なソース源であった為にプリには大抵 PHONO
    端子が付いていたものですが、最近はデジタルソース源が増えた事もあってPHONO 端子が付いて
    ない方が多いのではないかと思います。現在、LP聴取をどのようにするかを詰めている最中です。
    EQ基板を増設するか、別途フォノアンプを購入するかですが、基板の増設の場合はお手持ちのMC
    昇圧トランスを使う事になり、フォノアンプWR-αPH/HDを選べば少々値は張りますが、WR独自の
    基本的にSEコン仕様の高音質ヘッドアンプが使える事になります。多分このフォノアンプの音質
    に比肩できる市販品は、世界広しと言えども他に存在しないと自負しています。
    
     その理由は
    
     1.「負性抵抗」を回避した安定化電源が2段になっている事。
    
     2.増幅回路から「負性抵抗」が排除されている事。
    
     3.部品・線材にひずみ感の出ないものが厳選されて使用されている事。
    
     4.補償コンデンサーに世界的に見ても例を見ないSEコンが使われている事。
    
     5.EQ回路部もヘッドアンプ部も実績があり、多くのユーザーのお墨付きを貰っている事。
    
    となります。価格は\185,000ですがそれでも「コスパ」が良いとユーザーの方々に仰って頂いて
    います。
    
     ご感想の最終章は意外な方向に向かい
    
    ★★ウエストリバーのアンプで感じますのが、大変軽いということです。
    ★★私は今までかなり重いアンプを使って来ました。
    ★★マッキントッシュのアンプは60キロあります。
    
    ★★アンプの音に重量が関係すると思っていましたし、
    ★★長岡鉄男の本にもその様な記述があったと思います。
    ★★川西さんのアンプを使ってみて、そんなことはないのかと感じます。
    
    とアンプの重量の話にまで及んでいます。確かに、WRアンプは新型になり重さは軽減されました。
    この方もそうですが、若い時は兎も角も、歳と共に重いアンプは扱い辛くなります。しかし音質
    の為に仕方がない事と思い込まされて来た人が居る事も又事実のように思います。確かに重くて
    しっかり作られてるアンプならば、スピーカーからの音圧で振動する事も少ないと思いますから
    悪い事はないと思いますが、オーディオアンプは何と言っても回路と部品で音が決まると言って
    も過言ではありません。帰還に依って不可避的に生じる負性抵抗を正しく回避する回路と、耳に
    ストレスとなるひずみ感を出さない部品・線材を選択できる、訓練された聴感を作り手が有して
    いる事が必須条件になります。WRアンプはこれらの条件を完全にクリアしているからこそ、この
    方のご感想にあるΕ-5H のようなパフォーマンスが得られるのです。
    
     ご感想の締め括りは、アンプの価格にまで及んで
    
    ★★それと、投資する金額がウエストリバーは大変少なくて済むのも魅力です。
    ★★今まで必要以上に金をかけていたのかな? 
    
    と仰って、これまで重くて高価なアンプばかり購入されて来た事への多少の後悔の念を示されて
    いらっしゃいます。
    
    
     続いてお二人目です。この方も、メインアンプに真空管アンプをお使いの年配の方になります。
    真空管プリでも購入しようかとWeb 検索してる内にWRのHPに行き着いたそうで、石のアンプでも
    大丈夫なのかと、試聴機の貸与をお申し込みになられたのです。現在の試聴機は、非常に簡素で
    プアーな風袋で、殆どの方は見た目から「こんなのでまともな音が出るの?」と疑問に思われる
    ようですが、皆さん出て来る音に感心、納得されるようです。
    
     構成は、WRP-α9/A のプロトタイプとΕ-10Hのプロトタイプに、電源ケーブル2本、RCA 接続
    ケーブル2本、そしてスターソフトで作った終端抵抗付きのスピーカーケーブル1組から成って
    います。最初に必ず、ご自分のソース源とスピーカーのみを使って、これらのアンプとケーブル
    を組み合わせた簡易プリ+パワーアンプから成るシステムで聴いて頂く事にしています。そうで
    ないと、何時も使っている例えばOFC 系ケーブルでも使われたりしますと、WRアンプの音が100%
    発揮出来ないからです。
    
     それでは、この方から頂いたご感想文をご紹介します。
    
    ●そもそも当方のメイン機は地元ガレージメーカー(自称されている)製のアンプ、
    ●DAC、エレボイの4WAYスピーカーの構成でそこそこ満足行くものでした。
    ●このメイン機満足いくものでしたが比較的大音量で聴いていますので
    ●高音域が刺さるような時がありそんな曲はskipさせたりしていました。
    
    と言う事で、もう少し良くしたいと思われて真空管プリを探そうとされたのでしょう。
    
     ところが、偶々出っ会してしまったWR試聴機で聴くと
    
    ●試聴機ではそれがないのです。高音が伸びていきます。
    
    と仰って、耳に刺さるような音がしなかったのです。
    
     変だと思って、
    
    ●また、ある曲ではメイン機のアンプに戻して聴くとべたっとして
    ●平面的なコーラス、演奏されてる楽器も団子のようにまるまってしまってる気がしました。
    
    と言う事で、メイン機にあった新たな粗に気付かれています。正しい音と比較すると分かるもの
    ですが、刺さる音以外は良い音だと思っていたはずのメイン機の音は、実は平面的且つ団子状態
    だったのです。これは、かなりショックであっただろうと思います。
    
    ●いままでメイン機も十分高音質な再生ができており、
    ●これで良しと満足して聴いていたはずなのに、
    ●振り出しかと少しムカムカした気分でした。
    ●当方の頭の中では真空管アンプのプリ探しどころか
    ●メインをどうするかでいっぱいになっています。
    
     ご自分の構想が打ち砕かれれば、誰しも暗澹たる気持ちになる事でしょう。お察しはしますが
    ご本人に取って本当の意味では良かったのだと思います。既成オーディオの泥沼から足が洗えて
    正しい再生音で音楽が聴けるチャンスが到来したのです。このムカムカした気分とは
    
    ●メイン機で上がりと思っていたところに、
    ●WRアンプのショックを受けた気分を表現したものです。
    ●平穏な音楽人生を一変させるほどのアンプとの出会い、
    ●これまでのaudio人生を振り返って気が重くなった次第です。
    
    と吐露されています。
    
    ●急いで試聴機に戻したことは言うまでもありません。
    ●掲示板には多くの方々の興奮され、感動された様子がありましたが、
    ●今回の試聴機で受けたショックを私が拙い表現で語るより掲示板で語られている
    ●先達、諸先輩の感動、喜びに尽きます。
    
     そして今現在は
    
    ●試聴機の構成に三種の神器を揃えて気持ちの良い退職後の生活を描いております。
    ●WRアンプに出会う前は、PCオーディオ充実のため
    ●クロックジェネレーターやミュージックサーバーの導入を検討していたところでした。
    ●WRアンプを聴いているとそんな中途半端な小手先はどうでもいいかという気がして、
    ●再雇用終了のご褒美として、そしてaudio機材購入打ち止めとして
    ●WRアンプ購入に踏み切ります。
    
    と言うご心境になられているようで、私も「迷える子羊」をお救い出来たのではないかと嬉しく
    思います。
    
     この方のお気持ちも前向きになって頂いたようで
    
    ●もっといい音がする機材が欲しいという無限アリジゴクから脱し、
    ●本来の音楽を楽しむ生活が待ち遠しいです。
    
    と言うように、未来への希望に満ちた構想を新たに思い描いていらっしゃるようです。
    
     以上、年配のお二方のご感想をお読み頂いて、これまでの既成オーディオ技術が如何に期待に
    応えられて来なかったかがお分かり頂けたかと思います。これは趣味の世界だから許される事に
    はならないと思います。又、真空管アンプは柔らかい音がすると言う評価も失敗作のTRアンプに
    比べればの話であって、確固たる技術的な裏付けがある訳ではありません。それは半ば幻想だと
    思った方が宜しいと思います。真空管アンプで高帰還アンプを作るのは非常に難しいので、寧ろ、
    高忠実度再生に不向きであるとさえ言えると思います。事が余りにも難問であった為に、そして
    非力な私の孤軍奮闘では速やかな解決に至らず、既成オーディオ技術に歯止めを掛けられません
    でしたが、その被害に遭った方々の幾許かの方々がWRアンプに巡り会い、残された人生を「無限
    アリジゴク」から解放され、音楽を楽しく聴いてらっしゃいますし、今後もそう言う方は増える
    だろうと思います。遅きに失した感は否めませんが、私の努力も決して無駄にはならないと確信
    しています。今後は、音楽を真に愛する迷える子羊のようなオーディオファンを、一人でも多く
    救済出来たらと考えています。音楽を何処かに置き忘れたような、謂わば「音遊び」としか言い
    ようのないようなオーディオには、私は微塵の興味も感じません。
    
     ユーザーの皆様もWRアンプを独り占め為さらないで、同好の士がいらっしゃったらWRアンプの
    存在を是非教えて上げて下さい。それが人助けだと思います。私も残りの人生を掛けWRアンプの
    プロモートに全力を注いで行く所存です。WRアンプの普及に多大なるご尽力を賜れば幸いです。 

    2034川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Tue Apr 26 21:00:00 JST 2022
    Hibiさん、ΕC-1HとΕ-10Hのアップグレードとそのご感想を頂き誠にありがとうございます。
    
     Hibiさんにはお買い上げ頂いた旧型WRアンプを始め、今回のセカンドシステムの新型WRアンプ
    等々の多くのWRアンプのアップグレードをして頂いて参りました。粘り強くWRアンプを信用して
    着いて来て下さり、誠に感謝に耐えません。しかしこの2、3年の間音信が途絶えておりました。
    これまでのペースからして少し間が空き過ぎると思っていた矢先に、脳卒中で療養されていた旨
    のメールを頂いたのでした。
    
     オーディオを続けるには勿論軍資金も必要ですが、何より音楽を聴く為の健康が欠かせません。
    まだまだお若いHibiさんがご病気だったとは夢にも思っておりませんでした。やはり世の中何が
    起こるか分からないのです。平凡な日常を嘆く人も居ますが、逆に言えば災難なく過ごせている
    証拠であり、寧ろ感謝すべき事なのだと思います。平凡と思える日常を少しでも潤すにはやはり
    ストレスの無いいい音で、いい音楽を満喫する事だと思います。幸いアップグレードが功を奏し
    Hibiさんにもご満足頂けたようで、私もホッとしております。
    
     此処でアップグレードの概略を説明させて頂こうと思います。ΕC-1Hの方は「WR標準」までは
    アップグレードが済んでおりましたが、その後の、Vishay化や安定化電源のパワーTRの高ft化等
    が未実施でした。Ε-10Hの方はほぼ当初のままでアンプ基板のドライバーの高ft化、安定化電源
    基板のドライバーとパワーTRの高ft化を行い、さらにVishay化を含む高級部品化まで行いました。
    これに依ってSEコン化直前までの全てのアップグレードが済んだ事になります。この段階で相当
    音のレベルアップが図られたはずであり実用的には十分なはずですが、Hibiさんのご希望である
    SEコン化を最後に行いました。
    
     SEコン化を実施された方の多くは「やらないより増し」と言うご感想ですが、これは音質的に
    大した変化がないと言う意味では決してないと思います。実はSEコン化故の絶大なる効果がある
    のですが、それは楽器の音がより自然に聴こえるようになると言う事であり、誰でも簡単に認識
    できる音のレベルの話ではないのです。生の演奏会に足を運び基準になる音を十分に聴いて置く
    必要があるのだと思います。言い換えれば、楽器の音がどのように聴こえれば正しいのかを判定
    できる聴感を養って置く事が必要になります。音楽を真に楽しむにはその位の努力は惜しむべき
    でないと私は思います。そう言う事に無頓着なオーディオは、単なる「音遊び」に終始する事に
    なるか、音楽を浅くしか聴けない事になるからです。SEコン化に依る音の伸び代がどれ程あるか
    と言う評価は、その人がどの程度生演奏会で音楽を聴いているかに大きく関わっているはずです。
    偶に生演奏会に行って音楽を楽しむ習慣のある方々にこそ、SEコン化にチャレンジして欲しいと
    思います。
    
     それではHibiさんのご感想に少しコメントさせて頂きたいと思います。先ず、CD再生ですが、
    
    ★13センチウーファーの2ウェイとはとても思えない鳴りっぷり。
    ★先生の所からアンプが戻ってきて一聴した印象が全然違う。
    ★まるでスピーカーの能力が上がったか、というくらいの感じになって、正直驚きました。
    
    ★バスタムのドワーンと鳴るところなど、このスピーカーからこんな音が出るのか、と驚くほど。
    ★もちろん管楽器の鳴りっぷりも素晴らしい。
    ★ドラムスは、そもそもリミッターが掛かっているので、
    ★リアルとは違うということは承知の上ですが、すぐそこで叩いているかのようです。
    
    と、明確な音質向上があったと証言されています。昔、小型スピーカーと言えばダイヤトーンの
    「ロクハン」(16cm)が相場でしたが、それより3cm も口径の小さなスピーカーから想像を絶する
    音が出たようです。出力が10Wx2 のパワーアンプでも、安定化電源化された電源と安定に掛った
    高帰還アンプに依って、スピーカーが正しく定電圧駆動された証拠だと思います。しかも、低音
    もそれ相応に出たようです。これは、ΕC-1Hに装備されているWBC(低域補償回路)に依って
    齎されたと言っても過言ではないと思います。正しく定電圧駆動されるとスピーカーの低域特性
    がダラダラ下がる事もあって、往々にして低音不足に感じる事が多いのですが、これを補正する
    回路です。又、低音だけでなく管楽器の鳴りっぷりが素晴らしいと評価されています。多分金管
    の輝きがリアルに再現されたのでしょう。これもそう容易い事ではないと思います。
    
     次にLPで、ピアノと打楽器のデュオを再生されて
    
    ★これに気をよくして、アナログでも山下−富樫のデュオ“KIZASHI ”をかけたら、
    ★これも実に鮮烈!
    ★富樫雅彦のパーカッションが実に生き生きと動き回るさまが、目の前に浮かぶようでした。
    
    のように記されています。このΕC-1HにはEQ基板が搭載されていますのでLPが再生できるように
    なっています。デノンDL103RをAU-S1 で昇圧してお聴きになったようです。このLPも鮮烈に再生
    され、その演奏が目の前に浮かぶようなリアル感をもって楽しめたとあります。Hibiさんは機会
    ある毎に生の演奏会に参加される方ですから、ご自宅での再生音も常に生の音を基準にして聴取
    されていらっしゃると想像されます。それを示す部分が、
    
    ★PAを使わない生の演奏は、1週間ばかりの間に2度聴く機会がありました。
    ★まず、入間市にあるブルーノート・モッキンドーという、木金土のみ営業している
    ★ジャズバーでピアノとサックスのライブがあり、これを聴いてきました。
    
    ★至近では職場の高校の吹奏楽部の演奏会。耳を鍛える、というにはほど遠いですが、
    ★生の楽音をイメージする、という意味では幾分かの参考にはなっていると思います。
    
    のように表記されています。
    
     今回はジャズバーでのピアノとサックスのライブと、職場の高校生による吹奏楽の演奏会です。
    前者はプロの演奏であり音楽的内容も含めて楽しまれたようです。後者はアマチュアの演奏です
    が生の音には相違ないので、仰るように生の楽音に馴染むと言う意味では大いに意義がある事だ
    と思います。確かに、日本は欧米に比べて気軽に行けるライブが少なく、どうしても自分の殻に
    閉じ籠り気味になりますが、結局、要はご自分の心掛け次第で如何様にでもライブに参加できる
    のではないかと思います。WRアンプユーザーの方も真から音楽がお好きなのであれば、hibiさん
    のように是非積極的にライブに参加して見ては如何でしょうか? それを繰り返している内には
    自分の聴感に何らかの好影響が出て来るはずですし、そうなれば今までよりもっと感動を以って
    音楽を楽しむ事が出来るようになると思います。
     
     そして最後に超高額なオーディオ装置で聴く音と比べて、WRアンプの音を以下のように仰って
    感想文を締め括られています。
    
    ★それはともかくとしても、うちの装置や部屋とは条件が違いすぎますから、
    ★比較は難しいものの、あたかもそこで演奏しているかのような「リアル感」では、
    ★決して負けていないと言い切れます。
    
    ★電気で増幅しているという感じのまるでない、
    ★WRアンプの実力は、それほどのものということでしょう。
    
     再生装置から出る音には個人の好みとは別次元の「リアル感」が求められますが、WRアンプは
    「リアル感」では高額アンプに決して負けてないと断言されています。そして電気で増幅してる
    と言う感じが全くないとまで仰って頂いています。それ程音楽が自然に再生されていると言う事
    になります。これはSEコン化のご利益が顕著に表出された好例だと思います。この事はライブに
    よく足を運ばれるHibiさんのお言葉ですからそれだけ重みがあると言えるのではないでしょうか。
    そして、アップグレード後の私への最初のメールに、ご自分の装置の音を凌ぐものは最早この世
    に殆ど存在しないはずなので、あちこちの装置の音を聴きに行く楽しみが消え失せてしまったと
    吐露されておりました。  

    2033hibiさん(再雇用給与所得者) Sun Apr 10 13:12:13 JST 2022
    EC-1とE-10をアップグレード
    
     EC-1とE-10をSEコン化を含む最新の状態にまでアップグレードしていただきました。
    
     私の場合、これは6畳ほどの仕事場にある小さなシステムで、まあ、セカンドという位置
    づけです。リビングのシステムが旧型のWRC-α1/BAL とWRP-αZERO/BALはすでに最新の状態
    にしていただいていて、これに追いついたということになるわけですが、どちらかといえば、
    本気で聴く場合はセカンドシステムということが多いので、いつかはやっておきたかったの
    でした。
    
     部屋の状態は、リスニングルームとしての工夫はほとんどなく、ちょっと離れると定位が
    偏るなどの欠点がありますが、いわゆるニアフィールドの状態で聴く事が多いので、それは
    あまり気になりません。
    
     さて、自分の装置をあんまり自慢するのも何ですが、これ、結構すごいです。スピーカー
    はPROAc のタブレット50という、90年代の終わり頃出た小さなものですが、13センチ
    ウーファーの2ウェイとはとても思えない鳴りっぷり。以前の状態でもよく鳴るスピーカー
    でしたが、先生の所からアンプが戻ってきて一聴した印象が全然違う。まるでスピーカーの
    能力が上がったか、というくらいの感じになって、正直驚きました。
    
     名ドラマーロイ・ヘインズのCDに“ROY-ALTY”というのがありますが、これに収録された
    ドラムスがすごい。バスタムのドワーンと鳴るところなど、このスピーカーからこんな音が
    出るのか、と驚くほど。もちろん管楽器の鳴りっぷりも素晴らしい。ドラムスは、そもそも
    リミッターが掛かっているので、リアルとは違うということは承知の上ですが、すぐそこで
    叩いているかのようです。
    
     この人のCDで、ドラムスを聴くならこれだ、と一頃中古でかなり高い値のついた”TeVou!”
    というアルバムがありますが、演奏内容はともかくも、録音自体は“ROY-ALTY”の方が上だ
    と思います。
    
     これに気をよくして、アナログでも山下−富樫のデュオ“KIZASHI ”をかけたら、これも
    実に鮮烈! 富樫雅彦のパーカッションが実に生き生きと動き回るさまが、目の前に浮かぶ
    ようでした。
    
     メインのシステムではプレーヤーにGT2000、オルトフォンのMC20からWRのヘッドアンプを
    通す構成です。うちの場合どういう加減か電磁環境が悪いらしく、ハムノイズ退治に苦労し、
    ヘッドアンプもはじめは充電式だったのですが、充電池の不具合で、当時製作者の平野さん
    と何度かやりとりした挙げ句、コンセントから給電する方式に改造したものになっています。
    
     で、このヘッドアンプを、川西先生に見てもらったところ、当初想定した半分程度の駆動
    電圧で稼働しているというお話で、理想状態まで持って行ってほしい気持ちは山々でしたが、
    また、あのハムノイズに煩わされるのはいやだな、という気持ちが先に立って、そのままに
    なっています。もちろん実用上は問題ありません。
    
     このシステムは今回と関係ないのですが、何が言いたいのかというと、セカンドシステム
    の方でもヘッドアンプを導入したい気持ちが山々なのです。しかし一度先生からお借りした
    ヘッドアンプを試したところ、やっぱり、どうしてもハムノイズが消えずに断念した経緯が
    あり、現在は昇圧トランスを使っているということなのです。旧型のヘッドアンプは筐体が
    鉄製?なのか、それでハムに強いらしいです。というわけで、セカンドシステムのアナログ
    はテクニクスSL-01、デノンDL103R、AU-S1の構成です。
    
    
     PAを使わない生の演奏は、1週間ばかりの間に2度聴く機会がありました。まず、入間市
    にあるブルーノート・モッキンドーという、木金土のみ営業しているジャズバーでピアノと
    サックスのライブがあり、これを聴いてきました。“JABUTICABA "という女性二人のデュオ
    でしたが、特にサックスの加納奈美には感心しました。
    
     至近では職場の高校の吹奏楽部の演奏会。耳を鍛える、というにはほど遠いですが、生の
    楽音をイメージする、という意味では幾分かの参考にはなっていると思います。
    
     前者の店主はウエスタンラボという、ビンテージオーディオを専門に扱う会社のオーナー
    でもあり、数年前に海外からの顧客を念頭に置いたという、「音の迎賓館サウンド・オブ・
    アート」という施設を所沢市に建設しました。ここの装置はともかく巨大、詳しくないので
    よくは知りませんが、1930年代のウエスタン・エレクトリック製が中心ということで、まあ、
    大時代の装置ですが、しかし、これがうまく調整されると、かなりリアルに鳴ることは事実。
    古いものだけに弱点がないことはありませんが、再生音を聴く限り、現代の高級オーディオ
    に比して遜色はないと思います。最近ここでレコードコンサートが開催され、これにも実は
    スタッフとして関わりました。
    
     装置全体はオーナー曰く、「数千万円」という値段のようですが、他の会場で同じような
    企画をしたとき、この人に機材を提供していただいた装置が時価約3〜4千万円ということ
    でしたから、もしかすると「億」の値がつくのじゃないかと思われます。
    
     それはともかくとしても、うちの装置や部屋とは条件が違いすぎますから、比較は難しい
    ものの、あたかもそこで演奏しているかのような「リアル感」では、決して負けていないと
    言い切れます。電気で増幅しているという感じのまるでない、WRアンプの実力は、それほど
    のものということでしょう。
    
     この掲示板とはずいぶんご無沙汰しましたが、1年半程前に脳卒中で倒れ、入院したのが
    原因です。幸いに、リハビリに励んだ結果、現在は日常生活に大きな支障がないくらいには
    回復しましたが、これはいやな病です。
    
     私の場合、血圧が高いのを放置していたことが招いた災いでしたが、皆さんもそんなこと
    にならないよう、お体を大切にお過ごしください。  

    2032川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Mar 31 18:00:00 JST 2022
    千葉のK さん、ご投稿ありがとうございます。
    
     千葉のK さんにはコロナ禍の少し前にWRアンプをお買い上げ頂いて、そのご感想をWR掲示板に
    ご投稿(項番1888等)頂いておりました。長いオーディオ歴と音楽の現場で指揮者として聴感を
    鍛えられただけあって、その洞察力には非常に奥深いものがあり、お話を伺うのが非常に楽しみ
    でもありました。しかし、コロナが流行り始めてしまってそれは長続きしなかったのです。
    
     暫く音信不通になっていたのですが、唯一繋がっていたのは年賀状でした。その短いコメント
    だけからでは伺い知れなかったのですが、今回のご投稿文にもありますように大変な生活を強い
    られていらっしゃったようです。しかし、WRアンプで聴く音楽に多少は救われたようで、少しは
    お役に立てて本当に良かったと思います。音楽好きはどのような環境に置かれても、生きた音楽
    が聴けない生活には耐えられないのだと思います。それに見合うオーディオアンプを提供出来た
    事は、長い年月を掛けて完成したWRアンプの設計者として誇りに思います。 
    
     今年頂いた年賀状に、一度フォノアンプを点検して欲しいと言うオーディオに関する具体的な
    語句が書かれてあり「オーディオ再開かな?」と内心嬉しくなりました。オーディオと言う趣味
    は色々な意味で平和に暮らせていて初めて成り立つものです。一度生活に何らかの問題が生じる
    とパタッと音信が途絶えてしまうユーザーの方が如何に多いか私は知っています。音楽が好きだ
    と言う気持だけではオーディオを続ける事は出来ません。「継続は力なり」と言う慣用句があり
    ますが、オーディオも然りであり少なくてもSEコン化直前までは、出来れば是非続けて頂きたい
    と思っています。
    
     幸いにも千葉のK さんは三度目のアナログ熱が再燃するまでに成られたのです。そして新しい
    MCカートリッジも購入されたのですが、S/N も含めて今一つ満足できる音で鳴ってくれなかった
    ようです。ハムを引いていたと言うのは、多分、別電源部が本体に近い所にセットされていたか、
    他の機器の電源部が本体近くに有ったからだと思います。丁度良い機会だと思い、プリも送って
    頂いて、3年近く前までで止まっていた部分を最新状態にアップグレードして差し上げたのです。
    具体的には、
    
     1.プリとフォノアンプの合計三か所の安定化電源 → パワーTRの高ft化
    
     2.プリとフォノアンプのVishay化
    
    が大きなポイントでした。プリもフォノアンプもSEコン化直前の状態までにアップグレードした
    のです。そして、お返しする時にフォノアンプ本体の近くに、別電源部は勿論、電源トランスを
    積んだ機器を近づけないようにお願いしました。
    
     その結果が千葉のK さんが仰っていますように、先ずCD再生でも
    
    ★その鮮烈な音にびっくり。それこそ良く表現される「目の前でヘレンが歌ってる!!」です。
    
    と言うような音質に改善されています。
    
     LP再生でも
    
    ★調整されたフォノイコは、プレイヤー、カートリッジの素性を最大限に引き出します。
    ★もちろんハムは皆無。
    ★このカイルベルトにも新しい光が当たりました。
    
    とご感想を述べられています。上記のアップグレードは伊達ではないのです。気のせいではなく
    確実に音質を向上させます。其処がこれまでの既成オーディオとは異なり、再現性が保証されて
    います。「やって見なければ分からない」とか「聴いて見ないと何とも言えない」とか、曖昧な
    事は全くありません。その大きな理由は帰還に依って不可避的に生じる「負性抵抗」を徹底的に
    排除する特許回路を採用してるからです。又、生音楽の現場で長い時間かけて鍛えた聴感で線材
    及び部品の選択をしているからです。その上に、フォノアンプは原則的にSEコン化されています。
    メーカーはコストが嵩み過ぎるので使うはずがなく、従って比肩出来る製品は世界広しと言えど
    他に存在しないと自負しています。
    
     だから千葉のK さんに
    
    ★そう、ウエストリバーは「単なる音」の集合体ではなく、「音楽そのもの」を再生します。
    
    と言って頂けるのです。
    
     井上陽水も
    
    ★再生すると、鳥肌が立つほどリアルな息づかいが聞こえます。
    ★まあなんていい声なのでしょう!
    
    と言う具合です。
    
     これらの音をお聴きになって、プリやパワーアンプがSEコン化直前であっても十分に満足して
    居られる様子が手に取るように伝わって来ます。、
    
    ★でも、今この音に満足なので、これ以上は本当に贅沢なのではないのかなあ?(笑)
    ★だって不充分なホールで聞く、下手な生の演奏よりよっぽど幸福な音ですから。 
    
    とまで仰って頂いています。私も気の無いサラリーマン的な演奏をするオケを聴きに行くくらい
    なら、カラヤンやショルティが振ったウィーンフィルの名演・名録音を我がWRアンプシステムで
    聴いた方が余程感動できると思います。音楽は技術そのものではないのですから。
    
     確かに、WRプリ並びにWRパワーアンプをSEコン化すれば、さらに音楽がより自然に再生される
    ようになり、結果的にリアリティーが増す事が、多くのユーザーの方に依って報告されています
    が、自分も含めてSEコン化が必須だと言う事にはならないようにも思います。出来るならやった
    方が良いと言う事ではないかと思います。それから、プリだけとかパワーアンプだけに施工した
    場合の音ですが、私は丁度半分くらいの効果が出るように感じています。ですから片方だけでも
    SEコン化する価値は十分にあると思っています。
    
     不幸な事に昨年SEコンがディスコンになってしまいました。以来、その事後処理に忙殺されて
    おりましたが、昨日完成したフォノアンプを以って取り敢えずピリオドを打てそうですが、逆に
    言えば、今後はおいそれとはSEコン化が出来なくなります。プリで40個以上、パワーアンプでも
    30個以上のSEコンが必要になる訳ですから、そう簡単には集められないのではないかと思います。
    容量値によっては既に入手困難なものも出始めておりますので、仮に同じルビーマイカに依って
    製造されている英国製のルビーマイカコンで穴埋めが出来たとしても、かなり苦労する事になり
    そうです。
    
     しかし、ディスコンになって以降に、予約で受け付けたSEコンが大量に生産されたはずであり、
    そして、その全てが既に使われてしまった訳でもないと思いますので、日本の何処かには欲しい
    容量値がまだまだ存在しているはずです。それこそオークションに出て来る事も有り得ると思い
    ます。私はある意味楽観論者ですから、まだ「為せば成る」と思う事にしています。SEコン化を
    お望みの方は諦める前に一度ご相談頂ければと思います。今なら、まだ間に合うかも知れません。
    一人でも多くの方がSEコン化される事を心より願っています。  

    2031千葉のKさん(指揮者(オペラ、オーケストラなど)) Thu Mar 17 20:27:16 JST 2022
    三度のアナログ熱が再発!
    
    コロナの影響で、エンタメ界は大打撃を受け、音楽界の片隅に棲息する私も例外ではなく
    厳しい2年間を過ごしてまいりました。
    そして、依然としてまだまだ元の生活にはもどっておりません。
    
    それでも応援してくださる方々のおかげもあって、
    なんとか人間性を保って日々を送ってきました。
    そう、人らしくいるために、やはり音楽は必要なのだ、と実感する日々でした。
    時間は有り余っていたので、以前買って封も開けてなかった(!)CDの山を片っ端から聴きました。
    変な話、こういう状況にならなければ、一度も開封されず、
    プレイヤーに乗せられないCDたちのなんと多かったことか、
    と済まない気持ちになります(笑)
    
    購入してからもう3年以上経ちますが、ウエストリバーのアンプは快調そのものです。
    古いCDはもちろん、blu-ray audio 、MQA CDなども素晴らしい「音楽」として、
    拙宅の古いPIEGA C10 を鳴らし続けててくれました。
    そう、ウエストリバーは「単なる音」の集合体ではなく、「音楽そのもの」を再生します。
    
    音楽を教えるという作業もリモートになり、一日中何時間もzoomやら、
    Lineで生徒さんたちに向き合いますが、その電波で飛んでくる音は心身共に疲れます。
    レッスンが終わって、貪るようアンプに灯をともし、CDをかけます。
    古い大家たちの偉大な音たちはウエストリバーで、
    「生音」のように心をうるおしてくれました。感謝多謝!
    
    さて、外出も少しずつできるようになって、近くの某有名リサイクルショップに立ち寄った時、
    ジャンクレコードが沢山置いてありました。
    1枚税別 100円!
    自由に検盤できるので、中身を見ると、
    カビやらタバコのヤニとかで汚れたものばかりですが、傷のないものもたくさんある。
    
    クラシックや、若い頃良く聞いたサイモンとガーファンクルとか、井上陽水なども沢山あります。
    うちにはバキュームクリーナーもありますし、クラウドファンディングで納品待ちの
    超音波式クリーナーも控えているので、傷さえなければ、
    そしてジャケットの汚れさえ我慢すれば新品同様の音がするはずです。
    
    そこで程度の良さそうなのものを20枚ほど買い込みました。しめて 2200円!(安)
    こうして、ふたたび三度目のアナログ熱が再発しました。
    
    コロナ前までは、プレイヤーは古くなって回転が不安定になったノッティンガムを売り払い、
    最近の安価なベルトドライブを買っていましたが、
    複数ある手持ちのカートリッジが取り付けられないので、
    仕方なく古いケンウッドのDDプレイヤーを購入。
    DENON の DL103の新品で音を出していました。
    
    フォノイコもそれに合わせて、ウエストリバーに変更、
    川西先生にインピーダンス等を調整していただき、大変満足して聞いていました。
    ウエストリバーフォノイコは、不思議な事に、DL103 特有のやぼったい音がしないのです。
    これには当時本当に驚きました。
    以前のフォノイコ(結構高価な機種)では、それこそNHKFM そのものの地味な音でしたので。
    
    さて、アナログ熱が再発すると、ダイレクトドライブプレイヤーでは物足りなくなってきました。
    ワウフラッターの問題があるにせよ、
    やはり音楽性はベルトドライブが優っていると私は思っています。
    今一度ノッティングガムに戻そうかと思ってあれこれ物色していると、
    なにやらロクサンのラディウス7 が評判が良いとの情報を得ました。
    
    以前のように店舗で相談等がしずらいので、もっぱらネット、動画での情報収集になります。
    ラディウス7 は狙っていたノッティンガムよりかなり安価ながら、
    音はそれに肉薄すると某有名ショップの店員とのメールのやり取りで教えていただき、
    同時にこれまたコスパ最高と評判のフェーズメーションのMCカートリッジPP200 も購入しました。
    
    苦労してセッティング、音出しすると「あれ?音が小さい」
    そして満足するまでボリュームを上げると今まで一才なかったハムが聞こえます。
    これはカートリッジを変更した事によるインピーダンスのマッチングかも、
    と久しぶりに川西先生にご連絡差し上げました。
    
    すると先生は、調整、メンテするのでついでにプリアンプも送って下さい、とのこと。
    ほんの二、三日でフォノイコとプリが戻って来ました。
    先生のご指示に従いフォノイコの設置も変え、いざ音出し。
    
    まずはCDで、ヘレン・メリルを。
    どんな調整をしていただいたのかは先生に説明していただくとして、
    その鮮烈な音にびっくり。それこそ良く表現される「目の前でヘレンが歌ってる!!」です。
    
    何枚かCDやら、blu-ray audio を聞いて、
    いよいよLPをターンテーブルに乗せて、カートリッジを盤面に落とします。
    カイルベルト指揮、バンベルク交響楽団でモーツァルトの「リンツ」です。
    さほど良い録音ではないけれど、
    無骨な中にもモーツァルトの洒脱なエッセンスを感じる1枚なので事あるごとに聞いています。
    調整されたフォノイコは、プレイヤー、カートリッジの素性を最大限に引き出します。
    もちろんハムは皆無。
    このカイルベルトにも新しい光が当たりました。
    
    ジャンクで買った井上陽水もちょうど届いた超音波クリーナーですっかり蘇り、
    ツルツルピカピカです。
    再生すると、鳥肌が立つほどリアルな息づかいが聞こえます。まあなんていい声なのでしょう!
    さすが、ウエストリバー、川西先生です。
    本当はパワーアンプ等もアップグレードしたいところですが、
    以前のように演奏活動が頻繁に行える日までしばしの我慢です。
    でも、今この音に満足なので、これ以上は本当に贅沢なのではないのかなあ?(笑)
    だって不充分なホールで聞く、下手な生の演奏よりよっぽど幸福な音ですから。  

    2030川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Mar 3 21:00:00 JST 2022
    8年程前のΕC-1/Customのアップグレードが現在進行中です。
    
     このプリは標準型であり、当時はそれしか無かったと言っても過言ではありませんが、その後
    主にひずみ感を減らすべく各種アップグレードが考案され現在に至っています。現行のWRプリの
    価格も標準型で表示されています。ΕC-1HとWRP-α9 共に、標準型には安定化電源は採用されて
    おらず、非安定化電源の送り出しアンプが基本構成になっています。両者の違いはΕC-1Hの方に
    ラインアンプが搭載されている事です。
    
     話を戻しますが、ΕC-1/Customは基本的に標準型でありながら、音量調節用のVRが左右独立に
    なっている為に名称にCustomが付いたのだと思います。この状態から最新の状態にする為に必要
    なアップグレードを改めて列挙して見ますと
    
     1.線材交換(ひずみ感のない線材に交換)
    
     2.安定化電源化(基板と電源トランスの増設及びパワーTRの高ft化)
    
     3.高級部品化(Vishay化を含む)
    
     4.ラインアンプの2段差動化とWBC 化
    
     5.送り出しアンプ基板の高スルーレート化
    
    となります。
    
     各項目に関して、改めて若干の説明をして置きます。1.ですが昔から使用してる配線線材は
    一般的な4Nのビニール線です。信号線にはシールド線を使う事がありますが、これも普通に有る
    ものです。線材メーカーによって音質に差が出るとは夢にも思っていませんでしたので、無作為
    に選んで使っていました。しかし定期的に生の演奏会に通うようになってから再生音に含まれる
    ひずみ感が気になるようになったのです。ある時偶然にですが使用する線材に依ってひずみ感に
    大きな違いが出る事に気付いたのでした。それ以来、ひずみ感が殆ど出ないメーカーの配線材を
    選んで使う事にしています。選ぶ時は自分の耳が頼りですから、聴感が正しく訓練されてない人
    には出来ないと思います。
    
     それ以前から電源ケーブルにはSHINAGAWA 、スピーカーケーブルにはMITSUBOSHIを使っていた
    訳ですが、偶々買ったものが結果的に大当たりだったのでしょう。未だにこれを凌ぐものは無い
    と思っています。例えば、電源ケーブルをハードオフのようなお店に行って10本揃えたとしても
    ひずみ感が殆ど出ないものに遭遇する確率は1/10くらいです。如何にダメな線材が世間には多く
    存在するかがお分かりになると思います。これは不思議な事ですが、昔のPC-98 に付属していた
    グレーの電源コード(HANAI 製)は十分使用に耐えますが、パソコン用の電源コードは殆ど使え
    ません。ですから身の回りに有ったものを軽い気持ちで使うと、とんでもない事になります。
    
     2.の安定化電源については最近、項番2027、2028辺りで書きましたのでそちらをご参照頂き
    たいと思います。要するに、如何なる電子回路も設計通りに動作せるには、広帯域に亘って電源
    インピーダンスが無視できる程の安定化電源が不可欠だと言う事です。もう少し言えばライブの
    イメージを家庭で味わうには非安定化電源のアンプでは無理だと思います。聴き易い音にする事
    は可能ですが、ライブに行った時のようなリアリティを求める事は出来ないと思います。3.の
    高級部品化は入力の1箇所を除いてSEコン化の難しい所に限定し、Vishayコン及びASC コン等を
    使って一般のフィルムコンより高音質を実現する為の工夫ですが、SEコン化の前に必要不可欠な
    施術になっています。
    
     4.のWBC は、低域が必ず下降するスピーカーの低音不足を補う補償回路です。非安定化電源
    のアンプに比べて、良質な安定化電源を用いたパワーアンプを使いますと多かれ少なかれ低域が
    締まって聴こえる為低音不足を痛感しますが、これを少しでも解消する技術です。また、ライン
    アンプは当初1段差動でスタートしていますので、この機会に2段差動に改変してより充実した
    音質を実現します。
    
     5.の送り出しアンプは、旧型アンプの頃から安価なプリメインアンプを作る時などに使って
    いた準コンのパワーアンプ基板に手を加えて誕生したもので、コンプリのコレクタホロワ回路で
    作られています。ローノイズで高音質のヘッドホンアンプを作る事を思い立ち、エミッタホロワ
    を追放して系の負性抵抗を減らし、その分を高帰還化してローノイズを実現した事が切っ掛けに
    なっています。当初は考えが及ばずスルーレートが低い設計になってましたが、やはり鋭い立ち
    上がりの音に対応する為には必要にして十分なスルーレートが確保されている必要があり、改良
    を施しています。本来ならば次に6.としてL-Pad 化の項目が並ぶはずですが、これまでに左右
    独立VRの場合のL-Pad 化は例がありませんので、今回は準備不足と言う事で見送る事にしました。
    普通セイデン製の4段23接点の切替SWを使いますが、それを2段のもの2つに分離するだけです
    から、原理的には何も問題はないと思っています。
    
     以上の5点について、それぞれに必要な作業を行います。配線されていた線材は全て取り払い、
    安定化電源化に必要なサブトランスを増設します。メイントランスの2次電圧に下駄を履かせて
    電源電圧を数ボルトアップさせます。これに依ってリレーの電源電圧も上がりますので、リレー
    基板にも手を加えて適正電圧でリレーが動作するようにします。これが正しく行われたかを確認
    する為には、電源の出力側に入るパイ型フィルターの先に安定化電源基板を接続する必要があり
    ます。新規に製作する安定化電源基板の完成を待たずに早々に確認したかったので、我がΕC-1H
    から安定化電源基板を外して、2次側に約100mA 流す抵抗を接続し、此処までの直流動作を確認
    したところほぼ上手く行きそうである事が分かりました。
    
     これに気を良くして上述した送り出しアンプ基板に手を加え、さらに我がプリのラインアンプ
    基板も外して所定の場所にセットすれば、全ての配線を進める事が出来、その暁には取り敢えず
    の音質確認も出来ると踏んだのです。この目論見通りに事は運んで、今現在仮にですが当該プリ
    の音が聴けています。我がプリの基板はSEコン化されてますから、この音以上にはならないはず
    ですが、完成した時の凡その音が分かって来ました。まだ断言は出来ませんが、L-Pad 不使用の
    問題は殆ど現れていないように感じましたので、このアップグレードは上手く行くだろうと言う
    感触を得る事が出来ました。アップグレードをする前とは大違いの音質のレベルアップです。
    
     最後に、プリの音質と言う事で思い出しましたが、前項で製作したバランス出力のみのプリの
    音質について少しだけ触れて置きたいと思います。結論的に言えば、十分実用になるプリとして
    仕上がったと思っています。現用の我がΕC-1Hと比べて音質的には同格ですが、大人の音と言う
    感じがしました。必要な音は全て出ているのに、はしゃいだところがないのです。しかし、私が
    問題視した過渡ひずみの増加については2つの事例に遭遇したと思っています。一つのソースは
    マントバーニであり、もう一つのソースはポール・モーリアです。どちらも再生が非常に難しい
    ストリングスの部分で起きましたが、瞬間的な過渡ひずみ感でありこれまでには気付かなかった
    異音でした。再生が難しい音と言うのはその信号波形が来ると虚弱なアンプはやられてしまうと
    言う事だと思います。どんな波形が来ても正しく増幅できるアンプを作る必要があります。今回
    の2つの異音だけでは断言は出来ませんが、その危険性は残された気がしています。
    
     前回も申しましたが真のバランス駆動と言うのは現時点では物理的に不可能であり、有るのは
    バランス伝送だけです。今回はプリの出力直前でバランス信号になり、パワーアンプで入力直後
    にアンバランス化されていますから、バランスの経路は比較的短くホットとコールドの信号差は
    生じ難い条件だったと思います。このプリとパワーアンプの間にチャンデバなどの機器が入れば
    バランス伝送の経路が長くなり、状況はさらに不利になるのではないかと思っています。  

    2029川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Tue Feb 15 20:00:00 JST 2022
    出力がバランスアウトのみのプリアンプを現在製作中。−−−どんな音になるか興味津々!
    
     旧型のWRアンプ当時は、私も世間の常識に則ってバランスで動作するWRアンプを作りましたが、
    新型に移行した時に、安価で小型軽量のWRアンプの開発を目指した経緯からリソースを倍も使う
    バランスは全く眼中にありませんでした。WRアンプはその新型に移行して以降、徐々に音質改善
    が進み、これまでのアンプに有り勝ちな、耳に嫌な感じを与えるひずみ感を極小まで無くす事に
    成功したのでした。だから、スピーカーから出る嫌な過渡ひずみが直ぐに分かるようになったの
    です。これらに必要な技術は、バランスにしたから有利になると言う事は全くありません。寧ろ
    不利にさえなり得るかも知れないと最近思い始めています。
    
     スピーカーから出る過渡ひずみを極限にまで減らす事で気付いたのですが、バランスにはアン
    バランスでは感じないようなひずみ感が気になる事があるのです。その原因を色々と考えて見た
    のですが、バランスと言っても、何処かでアンバランス信号に変換せざるを得ないのが現実です。
    理由は、バランス信号で直接駆動できるスピーカーは少なくても実用的には存在しないからです。
    もう少し言えば、振動板にホット用とコールド用の2つのボイスコイルを有しない限り、ホット
    とコールドの信号で直接バランス駆動する事は物理的に出来ないのです。ヘッドホンも然りです。
    ヘッドホンで言うバランス駆動は全く別物です。同様にバランス信号を直接出力できるマイクも
    実用的には有りませんから、マイクの中でバランス信号を電子回路で作り出してバランス信号を
    出力しています。似たような事はCD再生のバランス信号も同じであり、CD盤の音源ソースは元は
    と言えばマイクで拾ってますからアンバランス信号であり、DAC からバランス信号を引き出した
    としても真のバランス信号とは言えないのです。結局、世の中には正真正銘のバランス信号なぞ
    存在しないのです。
    
     百歩譲ってスピーカーの直前までバランス信号で来たとしても、BTL 駆動では正規のバランス
    駆動にはなりませんから、其処でバランス−アンバランス変換が起きる事になります。この変換
    の際にホットとコールドの信号が合成される事になりますが、ホットとコールドの信号は別々の
    アンプで増幅されますから、其処に微妙ではあるものの音質差のようなものがどうしても生じて
    しまう事になります。同じように作ったアンプでも個体差が生じる理屈です。余談になりますが
    バランスをWRアンプに取り入れた頃にBTL 駆動をやった事がありましたが、一見、迫力が増して
    音が広がるような感じに聴こえ、最初は良いかな?と思ったのですが、結局、繊細な音が出難い
    感じがあり音が大味になるので、何時しかやる気を失ってしまった事を思い出しました。それが
    BTL 接続の為にアンプの負荷が重くなる事が原因だったのか、ホットとコールドの信号に音質の
    差があったからなのか定かではありません。
    
     この音質の差はソース信号とは無関係な一種の過渡ひずみですから、一つ一つを別々に聴けば
    気付かない程度であっても、合成された時に生じる過渡ひずみは耳に不快感を与えるはずである
    と言うのが私の推論です。これが真実だとして何故このようなある種の欠陥を有するシステムが
    高級オーディオの代名詞になってしまったのでしょうか。元々バランス伝送はラインを長く引き
    回す必要のある放送局のようなスタジオでは必須であったからだと思います。ラインを長く引き
    回しても同相成分が打ち消されるのでハム等を引かないで済むのです。それが家庭オーディオで
    も必要でしょうか? スタジオで使われる技術だから高級であると言う図式ではないでしょうか。
    家庭オーディオでラインを5m以上引き回す事は余りありませんから、そもそも家庭オーディオ
    には殆どバランスのメリットは無いのです。5m程度ならWR製 RCA ケーブルでS/N や音質上何も
    問題なく使えています。
    
     問題は、自分も含めてバランスを家庭に持ち込んだ場合のデメリットを真面目に精査してなか
    った事だと思います。原理的にリソースを倍程度使う事になればそれだけ高額になる訳ですから
    買う立場の方々の事も考えるべきだったと思いますが、メーカーは逆にそれに目を付けたのかも
    知れません。それでも本当に音が良ければまだ救われますが、良く出来たアンバランスシステム
    より耳に付く嫌な音が多かったのでは、踏んだり蹴ったりになります。そして、一度バランスで
    システムを組んでしまった人は、中々見切りを付けられないのが現実です。この度、ご注文して
    頂いた方もバランスでシステムを組んでいらっしゃいます。しかもマルチですから、チャンデバ
    からしてバランスです。この中に嫌と言う程のICオペアンプが入っているのではないでしょうか。
    既にこの方は5チャンネルのパワーアンプの1台として、試験的にWRP-α120 を導入して頂いて
    いますが、仕方なく入力部にバランス−アンバランス変換基板を入れて対応しています。
    
     それでWRアンプの良さをご理解頂けたのか、その他のパワーアンプをWR製にする前に、プリを
    先にWR製に為さりたかったのでしょう。多分チャンデバにはバランス入力しかないのでバランス
    アウトのみのWR製プリをご所望に成られたのだと思います。私の意見が少し効いたのか、入力は
    全てRCA で良くバランスは不要だと言う事になりました。こうなりますと、L-Pad まではWBC も
    含めて従来の方式が使えます。送り出しアンプだけを、旧型プリの時に製作したアンバランス−
    バランス変換基板を2段差動化して置き換えれば、システムの構成は上手く行きそうです。
    
     今現在、ΕC-1HでSEコン化まで行うと
    
     1.標準型のΕC-1H:約13万円
    
     2.完全アップグレード:8万円
    
     3.SEコン化:10万円
    
    となり約31万円になります。これをバランスアウトのみに変更する事を考えると、使用基板の
    数はほぼ同じになりますから、部品代、工賃等は似たり寄ったりです。シャーシは大きいものを
    お望みでしたので、ワンサイズ大きいWO-70-43-33 にする事にしました。それで分かったのです
    が、このシリーズのシャーシが製造中止になった事を知りました。ですから、今後ΕC-1Hを作る
    事が出来なくなりました。製造が続行されるシャーシの中に何か良いものがないか物色中ですが、
    当面、WRプリはWRP-α9 だけになりそうです。電源トランスも中止品が増えていますし、プラの
    世界的不足が原因でコネクタが入手困難になっています。やはりコロナ禍がジワジワオーディオ
    にも影響し始めています。結局、ΕC-1Hより少しだけアップした額でお願いしΕC-1H/Premiumと
    命名しました。今現在製作中ですが、L-Pad 用のSWの入荷が遅れており未だ未完成です。
    
     L-Pad 用のSWは今まで1週間程で出来上がっていましたが、現在は2週間位は掛かるそうです。
    似たような話ですが、旧型のバランスプリをお持ちの方から、4連VRをL-Pad のような切替式に
    にして欲しいと言うリクエストがありましたが、東京光音の4P-2511Sの納期は 5月の連休明けに
    出来るかどうかだそうです。これはコロナ禍と言うよりも、腕利きの職人さんが減ってしまった
    からだそうですが、何れにしてもディスクリートでモノを作る時代からモノをIC化しコンパクト
    にしてしまう時代になったと言う事なのです。オーディオもその流れに添って行くのでしょうか。
    今の若い人は音に拘りを持たなくなってしまったのかも知れません。ライブの感動を我が家でも
    と考える人は殆ど無く、IC化された簡便なもので聴く時代になって行くのかと思うと寂しい気に
    なります。
    
     L-Pad は明日入荷予定ですから、抵抗付けに半日以上掛かるとして、明後日にはL-Pad を組み
    込んでΕC-1H/Premiumを完成させたいと考えています。そして最近安定化電源に少し手を入れて
    調子が上がった我がΕC-1Hと比較試聴して有意な音の差が出るかどうかをじっくり聴き取りたい
    と思っています。唯、プリの出力でバランス化しパワーアンプの入力で直ぐアンバランスに戻し
    ますから、バランスの経路が短いので、その分罪は軽いかも知れません。何らかの結果が纏まり
    ましたら、後日ご報告したいと思っています。私の仮説が当たって欲しいと言う気持と、当たら
    ずに優劣がつけ難いような音が出る事を期待する気持が、今は半々だとだけ申し上げて置きたい
    と思います。  

    2028川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Mon Jan 31 21:00:00 JST 2022
    WR安定化電源はDAC 用の外部電源としても効果的に使えます。−−−音質改善が見込めます!
    
     前稿で電子回路に取って電源は非常に重要であると説きましたが、WRの安定化電源はWRアンプ
    のみではなく、DAC 等のデジタル関連機器にも有効に働きます。実はWRレコーディングにはPCを
    始めHDD も録音データの記録用に使いますが、これらはWR式の安定化電源を使う事によってより
    高音質で録音できるようになっています。確かPC用には19V 、HDD 用には12V 、5Vの安定化電源
    を作った記憶があります。
    
     暫くデジタル用の安定化電源からは遠ざかっていましたが、最近WRP-α9/ANをご購入になった
    方から、DAC の電源にACパックのような外部電源をお使いである事を伺いました。そして、硬質
    な音が未だ残っていると仰っていましたので、もしやと思ってデジタル関連機器でもWRの安定化
    電源をお作り出来ますよ、と申し上げたのです。そしたら是非作って下さいと言う事になりトン
    トン拍子で話が纏まったのです。
    
     仕様は12V/1.5Aと言う事以外は分かりませんが、その程度なら普段WRアンプに積んでる安定化
    電源とそう遠くはありませんので、何時もアンプを作る時の設計感覚で作って見る事にしました。
    電源トランスには2Aのモノを使う事にしたのですが、世界的な銅不足の為か在庫切れのショップ
    が多いのには驚きました。これもコロナ禍の影響なのでしょうか。それは兎も角、あるところで
    最後の2個と言うお店を見つけて何とか購入する事ができました。
    
     新αシリーズのアンプの場合は4A、5Aと言うトランスを使いますので、その意味では特に問題
    無いのですが、普段のアンプの場合は正負2電源で作っていますので正電圧のみの単電源は逆に
    慣れて無くて、整流用ダイオードを4個用意してしまったり、負電圧用の平滑用ケミコンも取付
    けてしまったりと失敗しながらの製作になりました。歳を取ると経験豊富にはなりますが、その
    分思い込みが激しくなり、つい何時もの調子で無意識に行動してしまうのです。困ったものです。
    
     失敗しても特に何かが破損したりしなければ良かったのですが、実を申せば折角購入した1.4A
    の輸入トロイダルトランスを一瞬でお釈迦にしてしまったのです。これも初めての経験ですので
    お話して置きますが、要するに内部の回路で過電流が流れれば、普通は一次側に入れたヒューズ
    が飛ぶのがこれまでの常識でした。2次側が1.4Aの電源トランスは、決してひ弱なものではない
    はずですが、何の兆候もないまま電源が入らなくなったのです。ヒューズも飛んでないのにです。
    慌ててトランスの結線を外して、1次側の2つある巻線の導通を見たら、テスターの針は微塵も
    動かなかったのです。販売してる代理店のテクニカルサポートに電話で聞いた見たところ、偶に
    トランス内部で1次側が断線する事がある、と言う事でした。それで仕方なく第二の候補である
    EI型の2Aのトランスに買い替えたのでした。
    
     色々と紆余曲折がありましたが、最後はちゃんと動作する12V/1.5Aに適合するWR式安定化電源
    が完成したのです。デジタル機器用と言う事で何か変えた点はなく、何時も使う部品を使用して
    何時ものように完成させました。DAC の安定化電源は、パワーアンプと違って大きな電流変化は
    無いと思いますので、これで問題なく動作するだろうと思い、早速申し込まれた方に発送したの
    です。間も無く、それに対して次のようなレポートが送られて来ました。
    
    ★また、電源ですが相当効果があるように感じます。
    ★いままで聞こえなかった音が聞き取れるようになりました。
    ★電源フィルタの効果もあると思いますが硬質な嫌な響きが皆無になり、
    ★硬質な音でもうるさく感じなくなりました。
    
     と言うレポートを頂戴しました。今までひずみ感に埋もれていて耳に到達して無かった本当の
    音楽の姿が蘇ったのでしょう。この方はWR製電源フィルターも同時に入手されましたのでガラッ
    と音質が一変したのだと思います。又聴き取れなかった音が聴こえて来たばかりでなく、α9/AN
    納入時からずっと気にされていた音の硬質感が完全に姿を消したのです。音楽の中には若干硬い
    ように感じる部分もありますが、それはそれでちゃんと表現されるようになったのだと思います。
    斯様に、本当に良い音で音楽をお聴きになりたければ、WRアンプ購入だけでは無理な話であって
    三種の神器は勿論の事、ソース源に対するそれなりの心積もりが必要になる訳です。引き続いて
    
    ★また、中低音が寂しかったのがフラットなバランスになり音に安定感が出て、
    ★デリケートさも増したので抑揚がよく感じ取れるようになりました。
    ★音も広がるようになりあふれ出てくるようにも感じます。
    
    と言うご報告が続き、硬質感がなくなって、全帯域がフラットな感じに聴こえるようになった事
    が分かります。その為音楽の微妙なニュアンスが分かるようになり、音が広がって溢れるように
    聴こえるようになったのです。これだけの効果がWR製電源フィルターとWR式安定化電源のお陰で
    手に入った事になります。結局α9/ANは当初からそのような実力を秘めていたのですが、大雑把
    に言えばオーディオアンプに大敵な高周波ノイズにぶち壊されていた事になります。
    
     そして此処が大事なところですが、さらにコメントは続き
    
    ★音楽に没頭できるようになりました。
    ★いい音で鳴っています。
    ★ありがとうございます。
    
    と言う具合です。音楽に没頭できるようになった、と言うところが素晴らしいではありませんか。
    オーディオアンプは本来音遊びが目的ではないのですが、既成オーディオでは嫌でもそうせざる
    を得なかったと言う事でしょう。この方も此処まで来るのに、多分、相当遠回りをされた事だと
    思います。それがWRアンプに巡り会った事で一気に解決に向かったのです。
    
     それはこの方から最後に頂いたお便りに
    
    ★WRアンプと電源は宝物になりました。手放せないですね。
    ★電源は今のDAC が故障した後の候補のDAC もDC12V1.5A で動くようなので
    ★こちらも長く使わせていただきます。
    
    と記されていた事からも明らかです。唯、この方には、未だ未踏の可能性が残されているのです。
    それはお住まいが大都市の市街地ではない事もあって、プリ無しでこの境地まで行く事ができた
    からです。今後、WBC 付きのWRプリをお求めになれば、さらに音の世界が広がる事は間違いない
    と思います。
    
     皆さんもWRアンプを買った上に確かに三種の神器まで揃える事は大変でしょうけれど、WRには
    例外はありませんので、掛けた分の効果は必ず帰って来ますからそこまでは辛抱なさって下さい
    と此処で改めてお願いする次第です。そして、もしかしたら高級なDAC を購入するよりも、寧ろ
    外部電源からも供給できる中級品の方が、WR式安定化電源が使えますので却って高音質で音楽を
    楽しめるかも知れません。高級品のDAC 部分は良いとしてもその電源部がそれを帳消しにしてる
    可能性が否定できないからです。もう少し言えば高音質で鳴るアンプの安定化電源が作れる技術
    を保有してるかどうかでその安定化電源の価値は決まるのですが、WRアンプ並みの音質のアンプ
    は滅多にないと思われる事から、例え高級DAC と言えども、その安定化電源には?が付くのです。
    簡単なようで実はオーディオ用の安定化電源を作るのは難しいのです。だから安定化電源付きの
    パワーアンプが世の中には殆ど無いのではないでしょうか。技術も然る事乍ら音楽を正しく聴き
    取る事が出来る聴感も又技術者には求られるからですが、技術者が足繁くライブに通わない限り、
    それは不可能な話しだからです。
    
     外部電源が使えるDAC をお持ちのユーザーの方、もっといい音で鳴る可能性が大いにあります
    ので、是非ご相談下さい。単電源なら5万円前後で作れると思います。やはり電子回路には真に
    正しく動作する安定化電源が必要なのです。   

    2027川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sun Jan 16 16:00:00 JST 2022
    例外的にですが過去に非安定化電源のWRアンプが有りました−−−非安定化電源アンプの音は?
    
     安定化電源を搭載していないWRアンプは小型のアンプに何種類か有りましたが、何と言っても
    本格的な物はWRI-β2 と言うプリメインアンプです。そこそこの台数が売れた覚えがあり人気も
    有ったのですが、採算性が悪かったのか比較的短期間で販売終了になっています。
    
     私は如何なるアンプの電源も安定化電源で供給すべきであると考えていますが、中には主旨に
    反したものが有ったのです。今回、このWRI-β2 をお持ちのユーザーの方からアップグレードを
    依頼された関係で、非安定化電源の音の本質が垣間見えたように感じましたので報告させて頂き
    ます。このアンプには、もう一点私の主旨に反するものがあり、それはプリメインと言う方式で
    すが、この問題は今回の本質的な問題ではありませんので殆ど触れない事にします。
    
     如何なるアンプも電子回路学に基づいて設計されています。その場合、電源は全帯域に亘って
    電源インピーダンスがゼロと言う理想電源が仮定されています。即ち、電源インピーダンスまで
    考慮した電子回路は、私の知る限り存在しません。しかし、非安定化電源の電源インピーダンス
    はどうでしょう。必ず直流域では大きく上昇してしまいます。それでは複雑な音楽信号を正確に
    増幅する事は出来ないはずです。大きな信号が来て大きな電流が流れれば、電源電圧は降下して
    しまうはずです。電源電圧が信号の大小に依って変化するとしたら、その信号は正しく増幅でき
    ないと思います。
    
     今回アップグレードをお引き受けした時点ではこの事を特に気にしていた訳ではなく、可能な
    アップグレードは何かを考える方が先でした。そして以下の4項目のアップグレードを提案した
    のです。
    
     1.準コン → コレクタホロワ型の純コン −−− EMe と非EMe とのハイブリッド方式
    
     2.線材交換 −−− 全てにひずみ感の無い線材を使う事。
    
     3.高級部品化 −−− 要所要所に部分的にSEコン、ASC コン、Vishayコンを使う事。
    
     4.ラインアンプのWBC 化 −−− 2段差動化を含む事。
    
     先ず、1.4.の為に基板を大幅に修正します。パワーTRも半分交換します。これにかなりの
    時間を要しました。基板を未然に測定器を使ってチェックして正常に動作するように修正します。
    上手く行けば、残りの大部分の配線等を取り外し殆ど真っ新状態にします。改めて、トランスの
    2次電圧をチェックしたところ、13Vx2 と18Vx2 のタップがありました。これまでは、18Vx2 が
    使われていて凡そ±22V 程度が供給され18W 程度出ていたようですが、22V で動作するコレクタ
    ホロワ型のアンプは普段作っていないので、急遽13Vx2 のタップを使ってΕ-10Hと同じ10W 型の
    アンプにする事にしました。
    
     方針が決まれば、あとは只管配線作業を行って基板が正常に動作するように努めます。最近は
    歳のせいか多少ミスが増えて来ましたので要注意です。幸い大したミスもなく、アンプは正常に
    動作するようになりました。此処で、普通は調整作業に入りますが、アイドリング電流は未然に
    規定値に調整してありますから、事実上無調整で完成します。
    
     いよいよ試聴です。何時も聴くテスト用CDを色々聴いて見たところ、ひずみ感や硬い音などは
    一切なく、WBC も適当に効いていて、その意味では心地良い音で鳴っていたと思います。この音
    に異論を唱える人は余り居ないはずです。私も合格の判を押したのでした。しかし聴き終わって
    何か物足りない気がしたのです。「音楽を聴いた!」と言う気がしないのです。いろいろ悩んで
    出だした結論は、ライブ音楽で感じる独特の張り詰めた緊張感のようなものが無かったからだと
    思いました。そして次に「何でそうなるの?」と考え始めていました。私の推論は上述した電源
    の問題ではないかと言う事でした。
    
     確かに、プリメインはセパレート式に比べて音質の点で不利になると思いますが、それは私が
    言う「プリ効果」が薄れるからであって、この場合の音質への影響は、音に粗さが残る事が主な
    現象のはずです。今回はそのような音の粗さは微塵も感じない程に音は綺麗に整っていたのです。
    多分それはラインアンプ基板が電源トランスから一番遠くに配置されていた事とデカップリング
    に2200μF と言う大容量電解コンデンサーが使われていた事により、ラインアンプの効果が正常
    に発揮されていたからだと思います。しかし、その事よりも音の強弱に従って電源電圧が微妙に
    変動する事の方が、より大きな影響を与えたのではないでしょうか? 例えば、音が伸びようと
    した時に電源電圧が降下すれば、音が一瞬怯む事にならないでしょうか? それはある意味音の
    刺激感が減って聴き易い音を提供する事にもなるのかも知れませんが、少なくてもライブ音楽を
    聴くには不利な条件になると私は思うのです。
    
     世の中の大半のパワーアンプ・プリメインは非安定化電源方式ですが、ユーザー方々が挙って
    仰るように、既成オーディオアンプでは真の意味でライブ音楽は楽しめない、と言うご意見とも
    符合します。だからWRアンプシステムで聴いた音に「正にライブだ!」と言うお気持ちになるの
    だと思います。これは勘ぐりですが既成オーディオアンプには物足りない分を、銀線とかOFC 系
    線材で色付けされたアクセサリー等を使って、補う必要があるのではないでしょうか? それが
    立派なビジネスになっている事からも推察できます。しかし、だからと言ってライブ音楽が真に
    楽しめる音にはならないはずであり、だから、それが結局「音遊び」に向かわせてしまうのかも
    知れないと思うのです。趣味ですからそれも結構ですが、私はオーディオ装置では音楽を楽しむ
    事を心掛けて欲しいと思います。
    
     現行のWRアンプには非安定化電源式のアンプは全くありません。最低価格のWRP-α9/ANでさえ
    列記とした安定化電源を搭載しています。ですから、WRP-α9/ANでも十分にライブ音楽を楽しむ
    事が出来ているのです。そうは言っても音には必ずグレードが存在します。それはご自分の聴感
    と深く関わって来ますが、聴感に応じて、色々ある機種からご自分に合うものをお選び頂ければ
    と思います。多少背伸びをされた方が、そのアンプを長くご愛用頂けるのではないかと思います。
    ご自分のアンプで音楽を聴いても「音楽を聴いた!」と言う満足感が十分得られない方は、是非、
    ライブ音楽を楽しむのに相応しい!とユーザー方々に太鼓判を押されてるWRアンプを試して見て
    下さい。文字の上からだけでは信用出来ないと仰る方の為に簡易な試聴機セットも用意しており
    ますので、下記のメール又は電話にてお問い合わせ下さい。
    
     メール:kawanisi@west.wramp.jp 届かない時は westriver_audio@yahoo.co.jp
    
     電 話:042-683-0212  

    2026川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sat Jan 1 00:00:00 JST 2022
    謹賀新年 2022.1.1−−−年頭の辞
    
     今年もコロナウィールスに悩まされそうな気配ですが、そんな暗い気持ちを解消するためには、
    良い音で良い音楽を、目一杯自宅で楽しむ事で吹き飛ばして欲しいと思います。最近のWRアンプ
    システムでお聴き頂ければそれも夢物語ではなくなりました。それだけWRアンプは完成度の高い
    オーディオアンプに成長出来た事になります。
    
     オーディオは第一義的には音の趣味ですが、私は音楽の趣味でもあると思います。逆に言えば
    音楽なくしてオーディオは存在し得ないとさえ私は思います。最近の音楽の事は分かりませんが、
    音楽は、私の経験とユーザー方々のお声から、クラシック、ジャズ、ロックが三大ジャンルでは
    ないかと考えるようになりました。これらに共通する事はライブ会場で演奏されるのが基本だと
    言う事です。そして、ライブ会場で聴く音が、その録音より音の質が常に上である事です。
    
     勿論ポピュラー音楽やポップスもライブ会場で演奏され、その録音よりライブ会場の音が上で
    あれば排除する理由はありませんが、その演奏が録音のテクニックでカバーされて初めて映えて
    聴こえるのであれば、音質を云々するオーディオの対象としては如何なものかと言う気がします。
    私も経験した事がありますが、LPやCDなどで聴く録音の音が余りに素晴らしいので、そのライブ
    に足を運んで見たらガッカリしてしまった、と言う事があるのです。詰りライブ有りきではなく
    録音に頼った音楽が有ると言うことです。そう言う音楽をオーディオの対象にしますと、正しく
    オーディオを追求する事が出来なくなると思います。ライブの音が最高でなければ如何様にでも
    自分で好きなように音を弄る事が出来るからです。換言すれば、ライブで聴く音が基準ではなく
    なくなってしまうのです。
    
     クラシックの会場で聴いた音は、その録音に幾ら小細工したとしてもその音を質的に越える事
    は出来ません。ジャズもロックも然りでしょう。唯、只管に正しく再生できる技術を突き詰める
    しか他に方法がありません。これが真のオーディオだと私は考えます。これまで半世紀に亘って、
    既成オーディオと全く異なる新しい概念で私が研究し続けて来たのは、実はこの為です。それが
    最近になってやっと実ったのです。私が主唱する「高忠実度再生」が現実に可能になりました。
    
     この「高忠実度再生」と言う語句は今では殆ど死語になりつつありますから、少し噛み砕いて
    その意味を説明する必要があるのではないかと、最近気付きました。少し長たらしくなりますが
    「ライブ音楽の家庭での再現を可能にする再生技術」とでも言い替えたいと思います。日本人は
    音楽が好きだと言っても、ライブに足を運ぶ人は少数派ですし、その対象をオーディオマニアに
    限定すれば、極少数派になると思います。殆どのオーディオマニアはスピーカーから出て来る音
    の良し悪しを判断する場合、自分の好みの音かどうかをその基準にしているのではないでしょう
    か? それでは科学的にオーディオを遂行する事は出来ません。好みは千差万別で、正しい基準
    (物差し)を持たない技術は成り立たないのです。結局、非科学的なオーディオが横行し、それ
    に乗じたビジネスが流行る事になります。
    
     最近、ある方から頂いたメールに100%同感できる内容が書かれて有りましたので、そう考える
    人は私だけではない事をご理解頂く為に、以下にご紹介させて頂く事にします。
    
    ★話は変わりますが、youtube などでオーディオチャンネルを見ておりますと、
    ★いかがわしいオーディオアクセサリーのレビュー(というか偏見ですが)などが散見されます。
    
    ★アクセサリーをいじったところで音はよく成りません。
    ★変わることはあるかもしれませんが、よくは成らないのですが、
    ★いまだに高額なアクセサリーが日々新発売されてますね。
    ★不思議でなりません。
    
    ★最たるものが銀線ケーブルでしょうか。
    ★このような紛い物に高値がつくようではオーディオの未来はありませんね。
    ★良質なアンプとスピーカー、音源があれば、本来十分なはずですから。
    
     全く仰る通りです。この方の言葉をお借りすれば、WRアンプは研究が実りこの1〜2年で良質
    なアンプに成長出来たと思います。だから、三種の神器だけは必要ですが高額なアクセサリーは
    全く不要であり、下手に使えば音を悪化させる危険性すら孕んでいます。此処では銀線ケーブル
    が挙げられていますが、OFC 系ケーブルも然りだと私は思います。これ等のアクセサリーを使う
    必要のない良質なWRアンプは、正に、ライブ音楽の家庭での再現を可能にする音で鳴ってくれる
    のです。それは私が12年間も通ったサントリーホールでのオーケストラの音が基準になって紡ぎ
    出された音なのです。我が家で私の好みとは全く無関係なその基準の音が再現するようにアンプ
    を整えて来たのです。
    
     WRアンプはクラシック音楽だけではなくて、例えば一見正反対の音楽と思えるロック音楽にも
    通用します。それはWRアンプには普遍性が備わってるからです。自分の好みではなく正しい基準
    でアンプの音を突き詰めて行けば普遍性のあるアンプになるのです。実は上述したユーザーの方
    はジャズもお聴きになりますが、本命はロック音楽のようで、それなりの頻度でロックのライブ
    に参加されていらっしゃいます。そして最近行かれたロックコンサートに関するご報告を頂いて
    いますので、併せてご紹介させて頂こうと思います。
    
    ★先日、来日したキングクリムゾンのライブに行ってまいりました。
    ★最終来日との噂でしたので、(まあ、毎回そういう触れ込みなのですが)
    ★なんとか時間を工面し、行って参りました。
    ★ロバートフリップも75歳、往年のスピードはありませんが、やはりライブはよいですね。
    ★帰宅し、WRでアルバムを聞いてみました。
    
    ★73年のライブに連れて行ってくれました。素晴らしいです。
    ★ライブと比較し、負けているといえば、バスドラムの音圧だけです。
    ★もっともこれはPA機材を通しているので、ライブに比肩するのは困難でしょうけれど。
    
    ★往年の名演、近年のトリプルドラムになったクリムゾンが
    ★いつでも聞けるWRはやはり素晴らしいという他ないです。
    
    と綴られていました。バスドラムの音圧以外はライブでの音がその方の家のWRアンプシステム
    から再現されたようです。クラシック音楽もそうですが、雄大な低音だけは通常のスピーカー
    を使う限り全く同じように再現する事は出来ません。元々ライブ会場とは、ディメンションが
    大きく異なるから仕方がないのです。私は家から作り変える程の低音用スピーカーは必要ない
    と思っています。音圧が不足していたとしても、音の質は似通っていますから音楽として十分
    満足して聴けるからです。特に最後の2行はWRアンプに取っては大変名誉な内容だと思います。
    因みにこの方がお使いのアンプはWRP-α9 とWRP-α120 ですがどちらもSEコン化されています。
    勿論、三種の神器をお使いです。ご使用のエンクロージャーは20cmフルレンジをバックロード
    ホーンに納めたもので、セットで販売されているようですが、そんなにバカ高い価格ではない
    とお聞きしております。
     
     何故、この方がこのようなお考えに至ったかと言えば、やはりライブ会場の音をご自宅でも
    再現したいと言うご希望のもとで、オーディオを追求されて来られたからだと思います。もし、
    単に好きな音で再現したいと漠然とした気持ちでオーディオを始められたとすれば、WRアンプ
    に到達されてなかったでしょうし、多分ですが未だにあーでもないこーでもないと試行錯誤の
    連続であっただろうと思います。オーディオをやってる皆さん、新年に当たって漠然と好みの
    音を求めるのではなく、きちんとした目的・目標を決めてオーディオを楽しまれて見ては如何
    でしょうか。序にWRアンプの存在に気付いて興味を示して頂ければオーディオは半ば成功した
    も同然だと思います。WRアンプはライブ音楽に特別な興味のない方にも、聴き易くストレスの
    無い音を提供しますので、それだけでもお買いになってから損をした、と後悔する事は決して
    無いと思います。物は試し、諸ケーブルが付属した小型軽量な試聴機(WRP-α9/ANプロト及び
    Ε-10Hプロト)が用意されています。メール又は電話で申し込まれて見ては如何でしょうか。  

    2025川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Dec 16 21:00:00 JST 2021
    試験的に復刻を果たしたWRP-α9/AN(凄いハイC/P アンプ!)−−−ポチポチ注文があります。
    
     暫く音沙汰が無かった90歳になる兄から、最近電話を貰いました。私がラジオやアンプを自作
    する切っ掛けを与えてくれた兄です。当時、実家の階段下に有った3畳の小部屋が兄の工作室に
    なっていて、兄がお客さんから注文を受けたラジオ等の製作をよく横で見ていました。戦後間も
    ない頃はメーカー製の電蓄は未だまともに復活されておらず、電蓄は秋葉原で売っていたキット
    を誰かに組立て貰う事が多かったのです。
    
     電蓄と言っても中身は5球スーパーが多く、上部に付けられたクリスタルピックアップからの
    出力を5球スーパーの低周波部分を切り替えて入力し、SPやLPを再生するようになっていました。
    SPとLPの切替は、カートリッジの天地をひっくり返して使うターンオーバー式のカートリッジが
    使われていました。5球スーパーの低周波増幅には検波管を兼ねた6Z-DH3A と言う2極・3極の
    複合管が使われるのが定番でした。少し高級なものは出力管に42整流管に80が、安価なものには
    6Z-P1と12Fが使われていました。ついでに言えば、コンバーター管に 6W-C5、中間周波増幅管に
    6D6 が使われるのが一般的でした。
    
     兄は申年のせいか私より手先が器用で、ラジオの配線はそれは見事なまでに綺麗に部品や線材
    が整理されていました。傍で見ていても出来上がるのが楽しみでテストが始まるとワクワクして
    見ていました。工作台にはスライダックを通ったAC電源が準備されていて、ナイフエッジの接点
    を有する双極双投のスイッチで、普段は電源を完全遮断できるようになっていました。ですから
    電源ONして煙がモクモクと言うような危険な事は無かったのです。私もそれを真似れば良かった
    のですが、専用の実験室を持てない家屋事情から未だに何時も暫定的に実験をする情けない習慣
    が身に付いてしまっています。
    
     電蓄が完成するとテスト用のLP等を再生して見るのですが、我が家には親父が戦前に購入した
    流行歌のSPは沢山有ったものの、LPは全くありませんでした。ですから、LPは依頼者の方からの
    借り物が殆どでした。その中でも私の記憶に残ってるのは、やはりドラティ/ミネアポリス管の
    「くるみ割り人形全曲盤」、定かではないですがモーラ・リンパニーの「ラフマニノフP協2番」
    スコダの「ショパンP協1番、2番」が印象に残っています。ポピュラーでは「裸足の伯爵夫人」
    のテーマ音楽でユーゴー・ウィンターハルター楽団が演奏する「裸足のボレロ」でしょう。もう
    一つ鮮明に覚えているのは、多分本格的なプリとパワーアンプからなるオーディオ装置だったの
    だと思いますが、その時に借りて来たLPがコンチネンタルタンゴの12吋LPだった事です。GT管を
    見たのもその時です。オイルダンプアームにバリレラ型と言うカートリッジの付いたプレーヤー
    が付属していて、プリには各種EQ曲線の切替SWが付いてる事にも気が付きました。音楽も含めて
    全てが新鮮に私の目に写ったのでした。
    
     兄は自分で楽しむ為にも本格的なアンプを作っていました。我が家の食堂だった12畳の洋間に
    807PP のモノアンプが据え付けられていたのです。多分プレートには500V近い高圧が掛っていた
    に違いありません。普段はラジオが鳴るようになっていて私もラジオ東京で日曜日に放送された
    ポポン・ミュージック・レターで音楽をよく聴いたりしていました。司会の志摩夕起夫の独特の
    語り口やサポート役の浦川麗子の優しい声が印象的な番組でした。偶には、LPやEPも切り替えて
    聴けるようになっていて、ビル・ヘイリーの「ロック・アラウンド・ザ・クロック」の確かEP盤
    を聴いた時の事でした。独特の低音のリズムに心躍る気がして未体験音楽にある種のショックを
    受けたのを覚えています。
    
     そう言う兄の影響を受けて今の自分があるのですから、ほぼ完成したWRアンプの音を是非とも
    聴いて貰いたいと思い、再三電話で一度来て聴いて欲しい旨を伝えていました。しかし兄も高齢
    で何某か病気を抱えていて、気楽に来れる状況になく話は延び延びになっていました。私も半ば
    諦めていましたが、先日図らずも電話を貰ったのでした。声の張りから元気である事が分かった
    ので一安心していましたが「お前のところのアンプは幾らくらいするんだ?」と思いがけない事
    を聞いて来たのです。「ピンキリだけど一番安いのは5万円かな」と返答したところ、「じゃー
    俺それ買うよ」と信じられない声がしたのです。まんざら冷やかしでも無さそうなので「じゃー
    完成したら連絡するよ」と言って、電話を切ったのでした。
    
     現在の兄は本格的にオーディオをやっている訳ではありませんが、やはり昔取った杵柄は忘れ
    難く、未だに幾つものスピーカーをリビングに置いて、CD再生やUSB 再生などを楽しんでいます
    が高価なものはなく、極普通のオーディオ趣味です。そう言う人がWRP-α9/ANを導入したら一体
    どのような音で鳴るのだろうか、又その音をどのように感じるのだろうか、その場に立ち会って
    確認出来る良い機会だと思いました。これまでに多くのユーザーの方々にWRアンプをお作りして
    いますが、その意味では常に一方通行であり、その場に行って立ち会った事がありません。何か
    分かれば良いと思いました。
    
     最近は基板製作は大体息子に任せていますが、偶々息子の方にも別の録音の仕事がありました
    ので、久し振りに全てを私が作る事になりました。歳のせいもありますが、少し遠ざかっている
    と勘が鈍るのか基板が一度では完成しません。WRP-α9/ANに必要なリレー基板、安定化電源基板、
    左右のアンプ基板の4枚共、すんなりと行かずに何らかのトラブルに見舞われたのでした。私も
    焼きが回ったのかと反省しきりでした。それでもトラブル箇所を何とか見つけられて無事に4枚
    の基板を完成する事が出来ました。
    
     デザインシャーシは息子が早めに作ってくれてありましたので、配置、穴あけ、取り付け等々
    の作業を開始しました。こちらの方は長年の経験が生きていてスムーズに事が運びました。ANは
    Ε-5H に比べて配線が複雑で大変です。コスト的にはANの方が掛っているはずですが、39,800で
    スタートした過去の経緯がありますから、それには目を瞑る事にしています。先ず、安定化電源
    まで正常に動作するかを確認します。正常に動作すれば、半分以上完成に近づいた事になります。
    あとは左右のアンプ基板を取り付けて電源及び入出力の配線をします。安価なアンプでも基板の
    コネクタには一切手を抜きません。一つ一つ丁寧にコンタクトピンを取付けハウジングに納めて
    配線を進めて行きます。これ等の配線が終わればいよいよ動作テストです。
    
     安定化電源までは動作確認が済んでいますので比較的気楽に出来ます。コンタクトピンの差し
    違えやコンタクトピンとビニール線の接触不良が無ければ、問題なく動作するはずです。先ずは
    アイドリング電力を最大でも10W を越えないように調整します。電源トランスに小型のものしか
    使えませんので、オーバーロードに注意する必要があります。最後の砦は残留ノイズです。先ず
    SP端子で左右共に15μV 近くまで下がるかどうかですが、微妙な調整はアース線の引き回し方を
    多少変えて調整します。上手く行けば、最後にHP端子にホンジャックを挿入してHP端子での残留
    ノイズを測ります。これはHP端子の共通アース端子からのアース線を、トランスから数cm離れた
    所でループを描くように引き回して、そのループ面積を調整して残留ノイズ値が左右共に 15μV
    程度に下がるようにします。このアース線はSP端子の残留ノイズには影響しませんから、SP端子
    の残留ノイズに変化はありません。
    
     こう言ったような調整は正にアナログ技術であって経験がモノを言います。全く戸惑いもなく
    成功裏に終わってのでした。あとは試聴を残すのみですが最早やる必要もないくらいに同程度の
    音質に収まります。これはWRアンプが有する再現性のお陰だと思います。アップグレードされた
    旧型WRアンプを含めてどんな型番のアンプでも然りです。今回は兄に敬意を表して、依頼されて
    なかった高級部品化まで施工してありますから、SEコン化を除けば最高の音質の部類になったと
    思います。マニアの方でもブラインドで聴けば、120WのWRアンプとの差は分からないと思います。
    だから表題でハイC/P アンプだと申し上げたのです。まだ完成しない内から兄から催促のような
    電話があり楽しみにしてるのかなと思いました。そして兄に具体的に行く日を告げたのでした。
    
     以前は私の父が晩年を過ごした家が兄のところからそう遠くないところにあったせいで、結構
    行く機会もあったのですが、お互い年を取った事もあってこの5、6年は本当にご無沙汰でした。
    久し振りに車を走らせたのですが、何処の信号を曲がるのかを忘れていて慣れないところに行く
    のは疲れると思いました。しかし、少し遠回りをしたくらいで何とか無事に辿り着く事が出来た
    のです。念の為に、貸出用アンプ一式を積み込んで行きましたので、先ず持参したSPケーブルと
    RCA ケーブルを使い、兄が常用するCDプレーヤーを使って再生して見る事にしました。要するに
    プリ無しですが、電源フィルター以外は三種の神器を使って再生したのです。プリアンプも電源
    フィルターも最初から準備出来る方は余り居ませんから、よくあるケースだと思います。
    
     試聴用ソースですが、兄のCDコレクションの中から探す事にしました。共通に知ってるソース
    となるとパブロ盤のカウントベーシーくらいです。これなら音質的に問題ありませんから、出て
    来た音の評価も正確に出来そうです。使ったスピーカーは型番を聞き損ないましたが小型の JBL
    です。兄が日本向けのものではないとか言っていましたが、結構いい音で鳴ったのでした。兄も
    第一声を聴いて「自分のCDではない見たいだ」と言っていました。暫く聴いた後、SPケーブルを
    兄が用意したものと交換して見る事にしました。兄は結構高かったと言っておりましたが、透明
    のビニール被覆に銅線の色が透けて見えるものでした。私には少し中高域が曇って聴こえる割に
    高域が強調されてるように聴こえたのです。音のナチュラル感が少し後退したと私は思いました
    が、兄にはその差がよく分からなかったようです。私がこの音を聴き続ければ耳が直ぐに疲れて
    来るだろうと思います。
    
     次にRCA ケーブルを昔ダイソーで購入した100円 ケーブルに交換して見ましたが、決定的な差
    は無く、このレベルでは特に問題がない事が分かりました。兄も昔買った似たようなケーブルを
    持っていましたので、結局、RCA ケーブルも兄所有の赤白のRCA ケーブルに変えてアンプ以外は
    全て兄の持っていたもので賄ったのでした。その時点で既に1時間半程が経過していましたので
    時節柄長居は禁物と言う事で、兄宅に別れを告げたのでした。今回の試聴はあくまで臨時のもの
    でしたから、多分兄はシステムを使い易いように再構築しているはずです。システムが落ち着く
    頃を見計らってご機嫌伺いをするつもりですが、全くWRアンプとは無縁のところにポツんと1台
    のWRアンプが入っても、それなりに鳴るものだと言う事が分かりました。既成オーディオアンプ
    に何らかのご不満をお持ちの方々、WRP-α9/ANをご購入になって見ては如何でしょうか。きっと
    オーディオの将来に一筋の光明を見出す事が出来るようになると思います。  

    2024川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Wed Dec 1 22:00:00 JST 2021
    SEコン化したΕ-5H も結構凄い事を実感しました。−−−可能なら、是非お勧めします。
    
     先日、地道に着々とアップグレードを重ねられているユーザーの方から、予約なしでΕ-5H の
    SEコン化の依頼を受けました。多分、軍資金が貯まったのだと思います。ほぼ予約された方々の
    SEコン化及び新規製作が一段落する頃でしたが、相変わらずSEコンはWRアンプに取ってはかなり
    重要な値が欠品中になっています。多分、予約された方を優先した為に一般に販売するSEコンは
    後回しになっているからだと思います。
    
     それでも、何とかしてΕ-5H のSEコン化を実現しない訳には行きません。私の限られたSEコン
    の貯金分を取り崩しても若干の不足が生じます。こうなると以前にも申し上げましたが、SEコン
    にも使われているルビーマイカで作られた英国製のマイカコンデンサーを使うしか、他に方法は
    ありません。その為に機会ある毎にそのルビーマイカコンを購入して、自分のアンプで試用実験
    を繰り返して来た訳ですから躊躇はありませんでした。勿論、ご本人様にもその旨をお伝えして
    許可を得た上で実施しました。
    
     実際には、2種の容量値で合計8個だけそのルビーマイカコンを使用してSEコン化を実現しま
    した。総数34個中の8個ですからSEコンの使用率は約76% になりますが、後述しますように異種
    コンデンサーを使った為に起きた音質劣化は事実上無かったと私は思いました。その理由は既に
    これまでWRP-α120 を含む種々のパワーアンプで体感した音質と比べて明らかな見劣りが無いと
    感じたからです。「見劣りが無い」と言う表現には5Wとワット数では一番低くて不利であるにも
    拘わらずと言う意味が込められています。これなら自信をもって納入出来ると思いました。
    
     納入してから1週間程経った頃に、以下に示すようなメールを頂戴しました。
    
    ★E-5HのSEコン化後の試聴報告(第一報)となります。
    
    ★事前の先生のお言葉にもありましたが、
    ★一聴して、確かに大きな変化は無いように感じました。
    ★正直、BGM のように聞き流す程度では、
    ★SEコン化した事には殆ど気付かないだろうと思います。
    
    と開口一番、SEコン化では決して劇的な変化は起きないと仰っています。正にその通りであって
    非常に常識的なご感想になっています。コンデンサーは確かに高周波特性まで考えた時には微妙
    な差が物理的に出て来ますが、それが余りに大きな音の変化に直結するとしたらそれはアンプが
    安定に動作してない証拠になると私は思います。逆に言えばWRアンプはコンデンサーが変わって
    も、ある範囲内の物理特性のものを使えば安定に動作する事になります。
    
     引き続いて、
    
    ★しかし、集中して聴き込んでみれば…
    
    ★○ 微小ノイズ(歪?)が更に減り、静かになった。
    ★○ 一音一音がより明確になった。
    ★○ 演奏のタメ、間が良く分かるようになり、音楽が一段と楽しく聴けるようになった。
    ★○ 声のリアリティが増した。
    ★○ 空間表現が向上し、全般的にライブ感が増した。
    
    ★…概ねこんな印象を受けました。
    
    と述べられています。
    
     正に同感!!と言ったところです。この方は私が言う過渡ひずみ感を微小ノイズと表現されて
    いますが、僅かな過渡ひずみを聴き分ける事が出来る聴感こそがリスナーには求められるのです。
    聴感はライブに通うとか、生楽器から発せられる楽音を頻繁に聴くとかしないと訓練されません。
    過渡ひずみが減ればそれだけ隠れていた楽音が聴こえて来ますから、静かにもなり、一音一音が
    はっきり聴こえて来る事になります。ピアノのタッチがボケて聴こえるのはこの事が不足してる
    からであり、SEコン化によってタッチがより明瞭に聴こえて来るはずです。このように音の良し
    悪しは楽器の楽音と切っても切れない関係にありますから、楽音を聴く機会の少ない人には音の
    良し悪しの判定は出来ない事になります。
    
     次の行の「演奏のタメ、間が良く分かるようになり、音楽が一段と楽しく聴けるようになった」
    と言う部分はライブに行って初めて養われる感覚だと思います。これは非常に微妙な音の差です
    が明らかにSEコン化で改善されると私も思います。さらに「声のリアリティが増す」と言う表現
    はボーカルものをお聴きになる方がよく使う言葉ですが、「空間表現が向上する」と言う表現は
    普通は余り聴かないと思います。しかし、ライブに行けば空間に音が散らばり正に立体的に音が
    降って来ます。ライブに行かない人には分からない感覚ではないでしょうか。SEコン化は明らか
    にこの感覚を向上させてくれます。
    
     このような訳で、
    
    ★聴き込めば聴き込む程、SEコン化以前よりも味わいが増した事は認識でき、
    ★音楽の旨みをより一層噛み締められる完成度になっているとの実感があるので、
    ★結果的には施工して頂いて良かったと思います。
    
    と取り敢えず、満足感を示して頂いています。そして、また次のステップを
    
    ★これでプリの方もSEコン化できれば、
    ★相乗効果で更にクオリティの高い再生音になるだろうとの想像が膨らみ、
    ★この先期待が高まります。
    
    のように楽しみにされていらっしゃいます。以前にも申し上げたかと思いますが、パワーアンプ
    とプリで半々程度SEコン化の効能を分かち合っていますので、是非プリの方もSEコン化を行って
    頂ければと思います。その時には、私もSEコン化を全力でサポートさせて頂きたいと思いますが
    最後に、次のように釘を刺す事も忘れてはいらっしゃいません。
    
    ★但し、劇的な変化では無く僅かな差でありますので、
    ★SEコン化で金額に見合う効果を得られるかどうかを感じるかは、個人差があるように思います。
    
    と冷静にSEコン化を見られており、ある種の健全さを感じました。それは取りも直さずWRアンプ
    の完成度の高さを物語っているように思います。SEコン化は確かに効果はあるけれどやってない
    WRアンプも決して捨てたものではない事を
    
    ★逆に言えば、SEコン化以外を全て済ませたWRアンプは、
    ★それだけでかなりのクオリティにまで到達している
    ★という裏付けになるのでは無いでしょうか!?
    
    と仰って、念を押されています。
    
     そして、最後に
    
    ★結論
    ★SEコン化は、絶対必要とは言い切れませんが、やはり行った方が良い。
    
    と結論付けられてメール文は閉じられていました。SEコン化未実施のユーザーの方々どうかこの
    感想文を参考に為さって、今後の計画を立てて頂ければ幸いに思います。SEコン化を決意された
    場合は、私が全力でSEコン化完遂に向けて努力させて頂く所存ですので、ご安心頂ければと思い
    ます。 
    
      尚、この方のプリは完全アップグレード済みのWRP-α9であり3種の神器を既に揃えて居られ
    る事を付け加えさせて頂きます。

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