ウエストリバーアンプの掲示板

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*私のレコード遍歴と題してラジオ技術誌に連載した原稿下部にあります。
何かの参考になれば幸いです。

    2021川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sat Oct 16 18:00:00 JST 2021
    この先、徐々に不確実性が増すSEコン化とその音質について−−−第三者の評価は?
    
     最近、どうしてもSEコンの話題が増えています。幾ら話題にしたくても現物不在では、この先
    の動向は知れています。まあ現実味をもってお話しできるのもあと僅かだろうと思います。私は
    当事者ですからSEコン化の音質評価はやはり「出来たらやった方が良い!」と言う事になります
    が、これは決して我田引水ではありません。元々オーディオにはそう言うところがあって誰しも
    自分の音が一番良いと思い込むところがあります。
    
     しかし、WRアンプは再現性と普遍性をモットーにしていますから、私が良いと思えばユーザー
    の方々も良いと評価して下さるものでなければなりません。但し、評価には各人の聴感レベルの
    問題が無関係ではありませんから、此処では、ライブによく行く方、生の楽器の音を聴く機会の
    多い方、そして同時に最終的には何よりも音楽が好きな方と言う条件を付け加えるべきだと思い
    ますが、このような条件の下で多少なりとも聴感が訓練されている方ならば、同様の価値判断を
    して下さるに違いないと思います。
    
     上述したような条件に合致する方は、特に日本に於いてはオーディオ人口の中でも少数派なの
    ではないかと思います。何でもそうですが少数派は無視され勝ちです。「高忠実度再生」に適合
    するアンプは稀有な存在です。それには、作りたくても出来ないと言う背景がある事も事実です。
    私のアンプ研究は当然の事ながらハードから入りました。自動制御理論に頼ったオーディオでは
    なく、帰還によって不可避的に派生して来る「負性抵抗」をアンプから取り除くと言う観点から
    抜本的に帰還アンプを見直して2つの特許を取得し、ハード的にはある程度まで音質を高める事
    は出来たのですが、今思えば、あと一歩のところで少し停滞してしまっていました。
    
     それを打破出来たのは、偶々高校時代の友達に在京オケの定期に誘われ会員になった事だった
    のです。結果的に12年間もサントリーホールの最上席で同じオケを定点観測する事が出来それが
    モノを言ってオケの音の良し悪しが正確に判断出来るようになったので、アンプの最後の仕上げ
    が出来るようになったのです。このように、ハード的には「負性抵抗」からフリーになった事と、
    ソフト的には訓練された聴感に裏打ちされた音質評価が可能になった事で、「高忠実度再生」を
    目指せる帰還アンプにWRアンプは成長出来たのです。
    
     ライブにも行かず生楽器の音も滅多に聴かないと言う方は幾らオーディオ歴が長くても、私の
    言う聴感レベルは最低ラインですから、仮にWRアンプの音を聴いたとしても、何処に良さがある
    のかさえも分からないだろうと思います。しかし、普段機会があればライブに行かれるような方
    がWRアンプの音をお聴きになれば、その本当の良さを直ぐに分かって頂けるのです。最近話題の
    SEコン化の記事に呼応して、上述した条件を具備されたユーザーの方からお便りを頂きました。
    
     この方のWRアンプは、プリがWRP-α9 の完全アップグレード版、パワーアンプがWRP-α120 で
    どちらもそれが話題になった時点でSEコン化をされています。三種の神器が完全に満たされてる
    事も言うに及びません。従ってWR製RCA 接続ケーブル、MITSUBOSHIスターソフトによる終端抵抗
    付きのスピーカーケーブル、そしてWR製電源フィルターを完備されています。
    
     それでは、その方からのお便りを紹介させて頂きます。
    
    ★よくよく考えると、これは現在WRの最高機種ですね。
    ★このアンプに比肩しうるアンプとなると、
    ★A社やE社のパワー、プリで300万投資しても相手になりませんね。
    ★何度も聴取してきたので間違いないです。
    ★真空管でもL社やU.S.、O.S.、O.T.などは相手にならないですね。
    
    と既成オーディオアンプを一刀両断と言ったところです。一般のマニアではなくライブに行って
    耳が訓練された方ですと、一般世間の評価とは180 度違った見方になる訳です。しかもWRアンプ
    の価格は、WRの最高機種と言われる上述のものでも、SEコン化代を含めても67万円です。300 万
    の三分の一です。
    
     この方のコメントはさらに続いて
    
    ★市場に出回っているアンプは、そもそも半年に1回、一年に1回、
    ★新モデルが出る時点でおかしいですね。
    
    とも仰っています。オーディオアンプも家電並みにして、目先を変えないと売れないのでしょう。
    WRアンプは一見、十年一日のようですが、実はこれまではマイナーチェンジで高音質化を図って
    居たのです。古くなったWRアンプでも、アップグレードさえすれば何時でも最新状態になります
    から、どうぞご安心下さい。そしてほぼ完成したWRアンプは、今後もモデルチェンジはしないと
    思いますので、変り映えしないなどと思わないで下さい。完成したものは本質的には変えようが
    ないのです。
    
    続いて、
    
    ★音は、聞きごたえ?があるかのように見せるため、色付けされています。
    ★特に高域はぱっと聞きすると煌びやかで耳を引くのですが、実はリアリティがない、
    ★長く聞く(といっても30分程度ですが)で聞き疲れする不自然な音ですね。
    ★ライブにいくと大音量で聞いていても、聞き疲れはしないものです。
    ★この時点でアンプが正しく音を増幅していないのは自明ですね。
    
    と厳しい言葉が続きます。パッと目を引く言葉「色付け」「リアリティがない」「聴き疲れする」
    「不自然な音」「正しく増幅してない」、正に既成オーディオアンプの代名詞です。現場の音の
    再現と言う事と無縁にアンプを作っても、このような結果になるだけなのです。
    
     よくある話ですがTRアンプから一時的に真空管アンプに興味が移られたのでしょう。次のような
    コメントが続きます。
    
    ★逆に真空管は聞き疲れしない音作りと、響を着色するのは得意ですね。
    ★ボーカルは鬼門で、実際、肉声を聞いたことのある人はほぼいませんから、
    ★そもそもイメージの世界でなりたっているのですよね。
    ★ですので妙に響きの乗った音や、音の消え入りがぼけた音が暖かく聞こえてしまうのでしょう。
    ★まあそんなもんだ、と割り切れば、ボーカルものに真空管はまだ使えるのかもしれません。
    
    と、TRアンプよりは少しは増しな評価のようです。唯、あくまで「イメージの世界」だと言う事
    が前提条件になっています。要するに、割り切って聴けばボーカルものには使えるかも知れない
    程度なのです。
    
     さらに、真空管と言えばウェスターンですから、凝る方は一度はウェスターンに傾倒するので
    しょう。
    
    ★実際、ウエスタンエレクトリックなどにはまった時期はありました。
    ★線材から球からアンプまで。
    ★ですが、これらから再生される音楽は、生とは全く違いました。
    ★レンジが狭いためか密度が高い音と錯覚するのか、声には温度感を感じる部分もあります。
    ★しかしなんせレンジが狭い。
    
    と吐露されています。象徴的なのは「再生される音楽は、生とは全く違いました。」と言う言葉
    です。これは生の音楽を聴いている方だから気付けた事で、一生この音と共にする方も居られる
    事と思います。趣味ですから、それはご自由な訳ですが哀愁を感じてしまうのは私だけでしょう
    か?。この方は無事に生還されて、結局WRアンプシステムによって満足の行く音楽ライフを過す
    事が出来ているのです。
    
     このような事を思い出されている内に
    
    ★仕事を切り上げ、音楽が聴きたくなりました。今日はそろそろ帰りますかね。
    
    と言うお言葉で、このお便りは打ち切られたのでした。その次の日だったかに
    
    ★しかし、和太鼓からロックまでそつ無く鳴らしますね。
    ★クリムゾンやエリックジョンソンもよいのですよ。
    
    とその夜のご感想を寄せて下さったのです。このお話は事実であって、私が適当にでっち上げた
    ものでは決してありません。これが現実なのです。どうかライブに通ったりしている方、ご自宅
    で楽しく音楽をお聴きになりたければ、WRアンプシステムを導入為さって下さい。安くないです
    が、一度だけ投資すればその後の費用の発生はありません。一生楽しく音楽を聴き続けられます。
    そう言う意味では寧ろ安上りではないでしょうか。WRアンプに掛けて見ませんか?
    
     最後に「再現性」と「普遍性」に関して一言。仮にこのWRアンプシステムを我が家に持参して、
    私がクラシック音楽を聴いたとしても、同様に満足して聴く事が出来ます。それはユーザー方々
    のアップグレードを行っていますから分かります。聴く場所に依らずどんなジャンルの音楽でも
    楽しめますから、WRアンプシステムには「再現性」と「普遍性」がある証拠になると私は思って
    います。これは既成オーディオでは稀有な事であり、WRアンプが科学的に作られた査証と言える
    のです。  

    2020川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sun Oct 3 17:00:00 JST 2021
    SEコンの入荷状況について−−−ルビーマイカコンデンサーの併用も視野に
    
     EQ素子は未だのようですが、私が皆さんのリクエストに基づいて予約した、その他のSEコンは
    ほぼ入荷しました。一応、予約順にお声を掛けてSEコン化を実施し始めています。昨日その1番
    バッターの作業を終えたところです。WRP-α120 2台にΕC-1HですからSEコンの合計数はざっと
    34x2+44=112 個に上り、金額に換算すればSEコン代は約22万円です。
    
     この方は多い方になりますが、1台当たり34〜44個必要ですから仮に20件もあれば数百個以上
    のSEコンを購入する必要があります。仮に1000個であれば約200 万円になり金額が嵩むので凄く
    気を遣います。3月頃から6月頃まで五月雨的に予約を承って来たのですが、その時期によって
    入手出来たSEコンの数と予約したSEコンの数が違いますから、ちゃんと記録はしたのですが帳簿
    に書くところまでは徹底しておりませんでした。しかし、いざ実際にSEコン化をしようとすると、
    4カ月以上前の話ですから、記憶力の衰えもありその時に購入した個数とかお幾ら預かったのか
    等々が直ぐには出て来ずに、今になってから一人悩んでおります。その都度頂いたメールを検索
    し、通帳をひっくり返して何とか凌いでおります。
    
     結局、最終的にはお預かりした金額さえ明確になれば、あとはプリなら44個パワーアンプなら
    34個のSEコンを、購入したSEコンと入荷したSEコンの中からSEコン化に必要な容量値を取り出し、
    間違いなくSEコン化を遂行し、プリなら10万円パワーアンプなら8万円をお預かり金との差額を
    考慮して頂戴する事で現在進行しております。この方式の欠点は、もしミス発注をしていた時は、
    予約の順番が遅かった方にしわ寄せが行き兼ねないのですが、最後は手持ちのSEコンを動員する
    とか、どうしてもダメなら例のルビーマイカコンで賄うかだと腹を括っています。また、中には
    旧型アンプや基板一枚だけとか変則的なものもあり、今後EQ素子が入荷すればフォノアンプ関係
    も加わって来ますから、結局、その都度ケースバイケースで対応せざる得ない事になります。
    
     SEコンが普通に購入できた時は注文さえ間違えなく行えば必要なSEコンが一堂に会してました
    から、スムーズにSEコン化が行えたのですが、現在は機種によって何が必要かを予め調べて置き、
    先ず集めたSEコンの中から正しくSEコンを取り出す事から始めなければなりません。もしも予約
    にミスがあれば、必要な容量値を準備出来ないと言う事も起こり得ますから、その都度神経質に
    なるくらい気を遣う事になります。その背景には、SEコンがディスコンになってしまったと言う
    現実です。注文にミスがあっても買い直しが出来ないかも知れませんし、ミスの個数によっては
    1個当たりの負担が2千円以上に上ると言う恐怖です。これが結構なプレッシャーになっている
    のですが、お引き受けした以上は最後まで頑張るしかないと考えています。それによってSEコン
    化したWRアンプが増え、それだけ最高の音質で音楽を楽しんで頂けるユーザーの方が増える事に
    なりますから、今は忍の一字の心境です。
     
     今更、SEコン化した場合の音質がどのように変わるかを一からはご説明致しませんが、昨日に
    試聴したΕC-1Hの音を聴き、やはり出来たらやった方が良いと思いました。オールセラミックの
    音に比べての話ですが、難易度の低いソースの場合は本当に何処か違う?と言う程度の違いしか
    無いように感じるのです。この事自体も大袈裟に言えば前代未聞の出来事です。昔のWRアンプも
    そうでしたが、SEコンを使うと独特の艶が出る事が多かったと思います。しかしこれはSEコンの
    固有の現象ではなく、SEコンを使った為に起きたアンプの不安定現象の一つに過ぎないのでは?
    と私は思います。現在のようにアンプに殆ど不安定性が無くなれば、そんな音は全くしなくなる
    事からも分かります。
    
     しかし非常に再生の難しいソースの場合は明らかに音が違うと感じます。今回再生したソース
    は、これまでにも何回か話題にした例のパーシー・フェイスのデジタル録音によるCDです。私が
    特に注目するのはそのストリングスの再生です。弦楽パートが活躍する「ビギン・ザ・ビギン」
    と「マイ・ショウル」の2曲をよく聴きます。このソースは、アンプの具合が余り良くない時は、
    ざらついたり、ストバイが細く聴こえたりしますが「デジタル録音だから仕方がない」と思って
    しまいます。何故ストバイが細く聴こえるのかは、多分、基音部分と高調波部分が一体となって
    聴こえて来ないからだと思います。今回SEコン化された、もう少し正確に言えば同時にVishay化
    と高ft化されたΕC-1Hで聴きますと、このストリングスの録音に何の問題も無く寧ろ理想的な音
    で録れているとさえ感じてしまうのですから、やはり、SEコンの威力は相当なものだと思います。
    SEコンの補償コンデンサーとしての能力の高さをを示していると言えます。音が良くなれば演奏
    も上手く聴こえるから不思議です。音の余り良くないシステムでは本当の意味での演奏評は出来
    ないと私が思う理由です。
    
     誰しも経験するところですが、新しく購入したソースを我が家に帰って聴いて「いい音だ!」
    と思うよりは、「録音が良くないなあ」と嘆く確率の方が高いと言う事です。確かに、名録音は
    滅多に有りませんが、案外、自分の装置の力不足の方が実は多く、普通の音以上に聴けるソース
    は結構あるのかも知れません。昔、故高城重躬さんがLPの溝の中にどんな音が刻まれているかは
    神のみぞ知るだと仰ってましたが、CDの時代になってもそれは変わらなのではないかと思います。
    しかし神とまでは行かなくてもSEコン化を含む最高のアップグレードが為されたWRアンプならば、
    録音の良し悪しをかなりの精度で言い当てる事が出来ると思いました。何処までの高音質を要求
    するかで異なるとは思いますが、このCDをまともに再生できるアンプシステムが、このΕC-1Hを
    含むWRアンプシステムを除いて他に存在するのだろうか、とフッと思った次第です。
    
     ですから、SEコンのディスコンは甚だ残念な出来事ですが、望みの綱は例のルビーマイカコン
    にあると今は前向きに捉えています。先日、ΕC-1Hの基板のSEコン化をした際に、改めて基板を
    繁々見たのですが、実は補償コンデンサーを取付けるスペースは十分にあり、ルビーマイカコン
    を併用したSEコン化は可能だと確信したのです。問題はルビーマイカコンの容量値がSEコン程に
    豊富ではなく歯抜け的なところがあると言う事です。当面は在庫限りですが、SEコンでその穴を
    埋めれば、十分に純粋なSEコン化に匹敵する高音質WRアンプは作れる、と思うようになりました。
    その比率によっては名称が「ルビーマイカコン化」と言う事も有り得る気がして来ました。こう
    なりますと早くやって見たいと思うのが人情です。部分的にルビーマイカコンを使って全く問題
    がない、と言う事は確かめてあります。何方か、SEコン化を逃してしまって残念に思っている方
    は居られませんでしょうか? 大歓迎ですから奮ってご応募頂ければと思います。必ず、今より
    高音質にして差し上げられると確信しています。これも歯抜けの部分を埋める為のSEコンの在庫
    が未だ存在する内に行った方が確実だと思います。何でもそうだと思いますが、確実に欲しい物
    を入手するには、機を見るに敏である必要があるのです。  

    2019川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Sep 16 17:00:00 JST 2021
    WR製のヘッドアンプは格別な音がするようです。−−−スクラッチノイズが極端に少ないから?
    
     残念ながら、WRアンプで最も必要とする容量のSEコンが未だ入荷しません。この容量値が無い
    と、極端に言えばどのようなWRアンプもSEコン化は出来ません。つまり、この容量値を使わない
    WRアンプは存在しないとも言えます。従って、予約数も80個近くに上ります。この事は百も承知
    なので、私も、その容量に近く置き換え可能なものも含めて少しは買い溜めしましたが、焼け石
    に水と言うところです。
    
     この容量値は幸い例のルビーマイカコンに有りますので、スペースのある基板なら何とかなり
    ますが、まだ妥協は早いと思い踏み止まっております。予約された方には大変お待たせする事に
    なりますが、もう暫く様子を見させて下さい。この容量値の他にも、EQ素子に使う容量値も未だ
    入荷しておりませんので、フォノアンプ関係も手が付けられない状況です。
    
     前置きが長くなりました。前項で少しだけお話したSEコンを多用するヘッドアンプの件ですが、
    その後ご感想文を送って頂き、こう言う方にお作りして本当に良かったと思いましたので此処に、
    ご紹介させて頂こうと思います。
    
    ★動作確認が大変遅くなって申し訳ありませんでした。
    ★本日間違いなく動作を確認いたしました。
    ★緑のボディーを見た時はあれっ市販品と同じ物なのかな?と思ったのですが、
    ★音を聴いて杞憂に過ぎないことがわかりました。
    
    ★スクラッチ音が極端に少なくなり、聞こえなかった音が溢れるようになりました。
    ★初めて、レコード見てきいた甥っ子たちが、なぜこんな平べったい円盤から
    ★このような芳醇な音が出るのかを、不思議な顔をして、私の手元を覗き込み、
    ★その音にいたく感動していた姿を見て、私も嬉しくなりました。
    
    ★これからも、さらに感動と衝撃を与えていけるように、
    ★使いこなしを頑張っていこうと思いました。
    ★良い買い物ができました。ありがとうございました。
    
    と言うものですが、WRヘッドアンプの特長を端的に表せば
    
     1.スクラッチ音が極端に少なくなった。
    
     2.聴こえなかった音が溢れるようになった。
    
     3.初めてLPの音を聴いた甥っ子さんが、その芳醇な音に感動した。
    
    の3項に纏められると思います。ではこの方はどのような装置でお聴きになったのでしょうか?
    
     私の知るこの方の使用アンプ等は以下の如くです。
    
     1)使用カートリッジ → FRの輸出仕様純粋(空芯)MCカートリッジ:MC-201
    
     2)ヘッドアンプ → WR-αPH/RD
    
     3)プリアンプ → 完全アップグレードされたWRP-α9(SEコン仕様EQ基板搭載)
    
     4)パワーアンプ → WRP-α50
    
     この方はプリにEQ基板を内蔵されていますが、これからLP再生に挑戦される方はAUX 端子から
    使えるフォノアンプWR-αPH/HDの方をお勧めします。唯SEコンの入手が間々ならなくなりました
    ので、今後ご要望にお応え出来るかどうかは予断が許されない状況です。3)4)のプリアンプ、
    パワーアンプはSEコン化されてない状態ですが、ケーブルは全てWR推奨品をお使いです。ご使用
    のスピーカーは不明ですが、お部屋に合った一流品であれば何をお使いになっても、似たような
    音が得られると思います。オーディオで一番問題になるのはスピーカーではなくアンプシステム
    だからです。
    
     では、ご感想に少しだけコメントさせて頂きます。先ず直接音には無関係のようなスクラッチ
    ノイズですが、極端に少なくなったと言う事は裏を返せばWR製ヘッドアンプの過渡特性が如何に
    向上したかを示しています。この方がそれまでご使用になっていたものは電池式のヘッドアンプ
    だったとお聞きしていますが、それに比較してWR製のヘッドアンプは遥かに過渡特性が良いので
    スクラッチ音が目立たなくなったのです。こう言うところにアンプの実力が現れるのです。
    
     勿論私もそれに気付いていて、最近のWRヘッドアンプのスクラッチノイズは事実上気にしない
    で聴けるレベルに減少したと思っています。換言すればCDを聴くかの如くに静かな音場を楽しむ
    事が出来るようになりました。原理的にパチパチと言う音がするLPの最大の欠点が克服された事
    になります。しかし、こんな事を今更大袈裟に皆さんに言って見ても余り意味がないかと思って、
    殆ど言及してなかったと思いますが、他人様に気付いて貰えたと言う事で改めて強調させて頂く
    気になりました。
    
     その理由は、この事はスクラッチノイズが減ったと言う問題だけに留まる事ではないからです。
    過渡特性が向上すれば自ずと音楽信号は理想的に増幅されるようになるからです。ご承知の如く、
    音楽信号は過渡現象の連続です。幾ら定常特性の良いアンプを開発してもその再生音は必ずしも
    良くならない事は一昔前に分かってた事ですが、未だにライブの音を再現できるアンプが少ない
    のは、既成技術の現状では帰還アンプの過渡特性を良くするのが非常に難しいからです。
    
     その原因の一つは、定常特性は目に見える形で追及出来るのに対し、厳密な意味での過渡現象
    はそれを止めて目で確認する事が出来ないからです。即ち測定器に頼った研究には原理的に無理
    があるのです。だから、研究が殆ど進まないと言っても良いと思います。この事とは裏腹に映像
    技術がどんどん進歩しているのは、映像は静止画で直接目で確認できるからです。映像が音像に
    比べて順調に研究が進むのはこの為です。では何故私は成功出来たのでしょうか。私はとっくに
    測定器に頼ったオーディオから足を洗い、聴感を鍛え耳に不愉快に響く音に着目して、その音を
    如何にしたら減らせるかに腐心したからです。即ち十分訓練された聴感を測定器代わりにしたの
    です。これは映像と違って誰でも簡単に出来る事ではありません。だから自然な音で鳴るアンプ
    は殆ど存在しないのです。
    
     具体的には先ず過渡特性に大きく影響する帰還アンプの安定性についてこれまでと全く異なる
    アプローチ、即ち帰還によって宿命的に生じて来る不安定要素「負性抵抗」を無くすと言う観点
    から、帰還アンプの安定性を追求したのです。その結果あるモデルケースでは位相余裕が110 度
    にも達する安定性が確保出来たのです。しかし、それだけで嫌な音は無くならなかったのでした。
    そこで普通の人には分からない程度の嫌な音でも、実際にライブ会場で極上の音を12年間も定点
    観測し続ける事によって、その嫌な音が微々たる状態であっても直ぐ気付けるようにしたのです。
    その結果、配線材によって引き起こされて来る嫌な音の存在に気付けたのです。アンプの回路を
    理想的に動作させる為にはその配線材を含めた使用部品の取捨選択が必須になりますが、それが
    音楽を聴きながら、比較的容易に判定出来るようになり、WRアンプの音質は飛躍的に向上したの
    です。
    
     こうした事が功を奏して、ヘッドアンプのスクラッチノイズも減らす事が出来ました。だから
    この事はこれまでの努力の結晶と言っても過言ではないのです。それを他人様に気付いて頂けた
    事は私の仕事が認められた事にもなりますから、正直言って大変嬉しかったのです。スクラッチ
    ノイズが減った程度で、何故そんな事が音に影響するのか全くご理解頂けない方も有ったと思い
    ますが、これで
    
    ★聴こえなかった音が溢れるようになった。
    
    と言う記述が単にノイズに埋もれてた音が聴こえるようになったからではなく、もっと基本的な
    過渡特性に起因するものであった事が少しはご理解頂けたかと思います。聴く席にもよりますが、
    極上のライブ会場には色々な魅力的な音が溢れています。オーディオの第一歩はライブの魅力的
    な音に浸り感動する事ですから、皆さんも勇気を出してライブ会場に足を運んで見られては如何
    でしょうか?
    
     最後に、普通なら今の若い子がWRアンプの音を聴いたとしても、馬の耳に念仏だと思いますが、
    流石はこの方の甥っ子さんは違います。生の音ならあり得たとしても再生音にいたく感動された
    と言う事は特筆ものですし、その感性は本当に素晴らしいものだと思います。WRアンプシステム
    はそう言う音を皆さまに提供できる力を有しているのです。  

    2018川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Wed Sep 1 20:00:00 JST 2021
    前稿での宿題を不完全ながらやって見ました。−−−SEコンの代替品にある程度有効!
    
     前項の最後の方で、ディスコンになってしまったSEコンの代替品として、ルビーマイカ使用の
    マイカコンデンサーが使えるかどうかテストすると宣言しましたが、まだほんの実験段階ですが
    取り敢えず、私なりの結論を出しましたのでご報告します。
    
     そもそも標準品に使われているセラミックコンとそれをSEコン化したアンプの音質差は、非常
    に微妙なものであって、ライブに通うなりして聴感をある程度訓練された方でないと、殆ど同じ
    音のように聴こえると思います。ましてや同じルビーマイカを使った高級品では、余計にその差
    が分かり難いと思います。
    
     唯、差がなければ一番良い事になりますから、今回のテストでは負の面があるかどうかに着目
    して試聴を行いました。私が危惧したのは、オーディオ用として開発されたものは大抵音にある
    種の癖を持ちます。それが既成オーディオアンプで聴けば映えるのかも知れませんが、自然な音
    を目指しているWRアンプに取っては好ましくありません。
    
     先ずは予告通りにパワーアンプに使われてるSEコンを6個だけこのルビーマイカコンに変えて
    見ました。最初にパッと聴いた時の第一印象は「変な癖はない」でした。寧ろ心なしか大人しく
    なったように感じたくらいです。最近、常用の110W機の手付かずの所に手を入れたと申し上げた
    と思いますが、それが徹底された感じに聴こえました。但し、その日によってAC電源に混入する
    ノイズの量も変動しますから、音の差が全てコンデンサーに起因するものだとも断言できない訳
    です。唯、明らかに音に変な癖が出るような代物では無かった事は確かだと思いますし、嫌な音
    が極限まで減じられたと言う印象を持ちました。
    
     SEコンは今でこそセラミックに置き換えて聴いても音に大きな差が出ませんが、アンプに何ら
    かの不安定性が残っていますと、嫌に輝かしい音に聴こえたりします。これをもってSEコンの音
    だと勘違いしてる方も多いのではないかと思いますが、私は不安定なアンプに使用しますと音を
    派手に変えてしまう癖があるのではないかと言う気がしています。その意味では、今回使用した
    ルビーマイカコンデンサーの方が無難なのかなと言う気がしました。
    
     前稿でパーシー・フェイスのCDの再生に多少の難があると書きました。アンプの状態が悪いと
    馬脚を現し易いと言う点で、同じCD再生でもポール・モーリアより難しいのではかと思っていた
    のですが、今回そのパーシー・フェイスのストリングスが殆ど問題なく綺麗に再生されたのには
    嬉しくもありびっくりもしました。ポールモーリアと違ってパーシー・フェイスの方はデジタル
    録音なので、高域が綺麗に抜け難いのかな?と疑っていたのですが、アンプ側に殆ど問題が無く
    なれば、ちゃんと再生される事が分かりました。確かに、出来損ないの録音も決して少なくあり
    ませんが、特にCDの場合は自分の拙劣さから音を悪化させてしまってる事が多いのです。その事
    を棚に上げて、LP再生の方が音が良いと単純に評価する人が多いような気がします。CDも最善を
    尽くせば捨てたものではないのです。
    
     丁度この実験が済んだ頃にヘッドアンプを製作しました。最近はEQ基板の入ったフォノアンプ
    の方を注文する方が増えましたが、プリにEQ基板を入れている方はヘッドアンプと言う事になり
    ます。しかしこれ等のLPを高音質で聴く為のWRアンプも、SEコンがディスコンになってしまった
    これからは、思うように作れなくなります。依頼されればセラミックやスチコン等で作れなくは
    ありませんが、自分では高音質を狙うWRアナログアンプにはSEコンを使うべきだと考えています。
    SEコンが不足の折、なんとか完成出来たヘッドアンプを自分のものと置き換えて試聴したところ、
    やはりオールSEコンの良さのようなものを感じたのです。
    
     それで思い付いたのですが、私のヘッドアンプはSEコンが8個もセラミックに置き替えられて
    います。理由は、注文を受けたヘッドアンプ等を製作する為にSEコンを購入しようとしたところ、
    ある値が在庫切れになっていて、月単位で待たねばならない事がこれまでに結構ありましたので、
    仕方なく自分のSEコンを融通した事でSEコンが歯抜け状態になったのでした。本来ならば在庫が
    補充された時点で再度購入すべきでしたが、そのタイミングが買い手にはよく分かりませんので、
    ついそのままになっていたのです。
    
     偶々交換された8個のSEコンの容量値とほぼ同じものが、そのルビーマイカの中に有りました
    ので早速発注を掛けたのです。それが最近入荷しましたので、昨日置換されていたセラミックを
    そのルビーマイカに交換する作業を無事にやり終えました。もし、音質が若干でも改善されれば
    このルビーマイカコンへの交換実験は2回目になりますから、このルビーマイカコンは使えると
    考えても良さそうです。前回はパワーアンプでの実験でしたが、今回はよりデリケートな信号を
    扱うヘッドアンプです。何らかの違いは必ず出るのではないかと思いました。
    
     案の定、勿論変な癖もなく全く違和感のない音が出てきました。文句の付けようのない音だと
    言っても過言ではありません。ひずみ感を全く感じさせない音だと言っても良いでしょう。LPの
    再生が此処まで出来るのかと、少し感慨深い気持ちになりました。SEコン化しますと、ピアノの
    右手の高音部の弱音が、ピアノの弦にハンマーが当たった瞬間に出る魅力的な倍音を伴って綺麗
    に聴こえてきますが、今回はストバイの最高音部の極細の音がこれまでに聴いた事のないような
    美しさで耳に迫って来たのでした。これが全て今回使ったルビーマイカコンのお陰と言う事でも
    ないとは思いますが、少なくてもこの美しい音をぶち壊すようなものでは無かったと言う事です。
    このルビーマイカコンの生産国はオーディオ先進国の英国であり、流石だと思いました。それに
    してもポール・モーリアのストリングスはあくまでも美しく響きます。此処まで来ますとCDより
    LPの方が音質が優れていると言っても良いと思いました。
    
     私の使っているカートリッジは、FR製の空芯型の純粋MCカートリッジで常用してるはの PMC-1
    ですが、偶に輸出仕様のMC-201で聴く事もあります。DENON の前身である日本電気音響KKの頃に
    購入したPUC-7Dが、私の最初のMCカートリッジだったと思います。それは多分、空芯型であった
    はずですが、その直後に日本電気音響KKがコロムビアに吸収されてDL-103が開発されたのでした。
    暫く使っていたものの違和感を感じてFR-1に買い替えて以来、マイクロ精機のLC-40 など長きに
    亘って空芯型の純粋MCカートリッジを使い続けて来ました。そしてFRが倒産したと聞いて秋葉原
    等のオーディオ店を漁ってFR製のMCカートリッジを買い集めたのです。その中にPMC-1と MC-201
    が含まれていたのです。両者ともに余計な音がしない優れたものだと思っていますが、PMC-1 は
    MC-201に比べて少しだけですが、音像がハッキリするような気がして好んで使って来たのでした。
    MC-201は大人しく地味に聴こえていたのですが、今回久し振りにMC-201を聴いて見たところ殆ど
    PMC-1 との違いが見出せないようになっていたのです。
    
     上述しましたが、アンプが安定になって来ますとセラミックコンとSEコンとの音の違いが極僅
    かになります。今回のカートリッジの件も多分同じ理屈だろうと思いますが、ヘッドアンプ以下
    のアンプが安定に動作するようになりますと、カートリッジの癖が出難くなるのではないか?と
    思います。ご承知のように、MCカートリッジの周波数特性は高域に多かれ少なかれピークを有し
    ますから、それがアンプの不安定性を突いて来て音質に一定の影響を与えていると考えられるの
    です。可聴限界に近くなる10KHz を越えたところでのf特の差が、その数値以上に音質に影響を
    与えている可能性があるのではないでしょうか。
    
     まだ2例に過ぎませんが、今回テストしたルビーマイカコンは、少なくてもSEコンとの相性は
    悪く無く、これからは徐々に入手困難に陥って行く事が予想されるSEコンのピンチヒッターには
    十分に成れると思います。しかし乍らこのルビーマイカコンは、図体が大きく容量値もSEコンの
    ように木目細かく用意されていませんから、かなり制約が出て来ると思います。図体が大きいと
    言う事は新型のWRアンプに使用されています準コン基板には使えないポジションが多くなる事を
    意味しますし、30PF、40PF、50PF代の容量値が全く存在しない事も大きな足かせになるだろうと
    思います。大きさは兎も角、是非今後は容量値を増やして行ってくれればと願うばかりです。
    
     新αシリーズに使われてる純コン基板はゆったり作られていますので、その大きさが致命的に
    なる事はありませんが、容量値には欠品が多くありますので、一部のSEコンの穴埋めにしか使え
    ないのが正直なところです。十分な代替品にはなり得ませんが、大きさの問題と容量値が運良く
    適合すればSEコンの代わりに使う事は十分に考えられますので、もう少し長い目で見守りたいと
    思います。今後は条件さえ整えば、徐々にこのルビーマイカコンを利用して行きたいと思います。
    SEコンは独占販売に近かったですが、このマイカコンは複数の販売会社に依る自由競争ですから、
    SEコンよりも安価に入手出来るようですし、その意味でも積極的に使って行けそうな気がします。  

    2017川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Mon Aug 16 16:00:00 JST 2021
    WRP-α9/ANはやはり同格の音だった!
    
     「最近のWRアンプについて」と題した前稿で、
    
    ★WRアンプは、価格にすれば約 5万円から33万円まで大きな開きがありますが、基本的に音質は
    ★同格であるところに現在のWRアンプの特徴があります。
    
    と書きました。これをお読みになって「眉唾もの」とお感じになった方も居られる事と思います。
    これまでの経験ではそんな事は絶対に有り得ないからですが、実はそれを改めて検証できる機会
    があったのです。お盆前に納入させて頂いたWRP-α9/ANがそれです。しかも高級部品化もされて
    ない正真正銘のWRP-α9/ANです。
    
     このアンプの製作には、WRアンプの後継者育成の観点から、息子と一緒に組み上げましたので
    最後の試聴も息子立ち合いで行いました。こう言う場合、息子がスピーカー正面の席に座り私は
    右側で横向きに聴く事にしています。これまでに、この位置関係で常設の110W機を何回も一緒に
    聴いていますから、今回が初めての経験ではありません。プリアンプにはSEコン化されたΕC-1H
    を使用していますが、完成したパワーアンプは何時もこのようにして試聴しています。
    
     今回採用したテストCDは
    
     1)ジャック・ルーシェ・トリオ:THE PLAY BACH(160E 52023-4)
    
     2)ポール・モーリア:ポール・モーリア・グランド・オーケストラ・ベスト(UPCY-6204/5)
    
    がメインです。
    
     1)はアンプ等のウォーミングアップを兼ねて、主にピアノの立ち上がり感の確認をする為に
    聴きます。要するにピアノが目の前で鳴ってるように自然に聴こえるかどうかです。詰まったり
    耳に異常音が聴こえたりしないかチェックします。2)は主にストリングの立ち上がり感を確認
    する事と、金管・木管等の楽器の数が増えた時に混濁して煩く聴こえないかをチェックします。
    
     1)の中から聴くのは、CD-1の1曲目に入っている「G線上のアリア」と2曲目に入っている
    「2声のインベンション第8番」です。1曲目は右手の弱いタッチが透き通って綺麗に抜けるか
    に注目します。昔似たような目的でベーシーのピアノを聴いていた事がありますが、セラミック
    とSEコンで明らかに抜け感が違って聴こえるのです。ルーシェの方が抜け易い傾向にありますが
    十分テストCDになります。2曲目はピアノのダイナミズムが自然に再現されるかが注目ポイント
    です。特に音が大きくなった時にピアノの音が飽和感なく崩れずに鳴ってくれるかです。
    
     2)の中から聴くのは、CD-1の1曲目に入っている「エーゲ海の真珠」、3曲目に入っている
    「オリーブの首飾り」および7曲目に入っている「渚の別れ」です。1曲目は最後の方になると
    曲の作りも影響してると思いますが、多かれ少なかれ「煩い」と言う感じがしないでもないので
    其処がチェックポイントになります。3曲目は後半ストリングスのffが出て来ますのでストバイ
    が綺麗に抜け切るかをチェックします。7曲目も3曲目と同様にストバイに注目して聴きますが
    この曲の魅力を満喫したいと言う気持ちもあり、十分にそれを満たしてくれるかどうかです。
    
     以上は私自身のチェックポイントですが、息子は息子なりに聴いている事になります。息子は
    録音エンジニアとして主に小編成のクラシック音楽を録音していますので、当然ながらその経験
    が試聴に生きていると思います。何れにしても、これだけ聴けばそのアンプの存在価値が直ぐに
    分かります。そして、極端に言えばピアノとストリングスの再生がほぼ完璧に聴こえればどんな
    楽器にも耐えられると私は思います。理由はこの2つの音を完璧に再生するのは至難の技だから
    です。相当アンプを追い込まないと普通は達成できないのです。
    
     さて、ほぼテストCDを聴き終わって私は「結構いけてる」と感じたのですが、正直右側の横向
    きではもう一つ自信がありません。そしたら息子も同様の意見を言ったのでした。二人の意見が
    一致したのです。その後、私自身も正面に座ってちゃんと確認を取っています。要するに、この
    WRP-α9/ANはパワーアンプとして合格と言う事です。この事実はΕ-5H についても言える事です
    から、最初からパワーアンプをお望みの方はΕ-5H をお求めになって下さい。これで胸を張って
    このアンプをお勧めする事が出来ます。これまでの経験から頭の中では分かってた事なのですが、
    今回の試聴はそれを実際に裏付ける事になりました。これで一件落着と言う事になるはずだった
    のですが、このあと実は意外な展開になってしまったのです。
    
     その日はくそ暑い日でした。久し振りに音楽でも聴いて見ようと思ったのです。昔は暑い夏は
    いい音で鳴らないので半ば夏の音楽聴取は諦めていたのですが、近年WRアンプの進歩と共に暑い
    夏でも遜色なく聴けるようになっていました。だから大丈夫だと思って聴いたのですが、どうも
    様子が違います。最近、また聴くようになっていたパーシー・フェイス(VICP-47003〜4)の音が
    おかしいのです。このCDの演奏は後継者のニック・ペリートが指揮するオケですが、十分に親分
    の良さを引き継いでいると思います。再生音が良くなるに連れて、そう思うようになったのです。
    最近よく聴く曲はCD-1の3曲目の「ビギン・ザ・ビギン」と20曲目の「マイ・ショウル」ですが
    ストリングスの音が特に3曲目で嫌に汚れて聴こえるのです。元々デジタル録音なのでストバイ
    のffはアンプ泣かせの所がありますが、最近聴いたWRP-α9/ANの音よりは劣って聴こえたのです。
    これは一大事です。
    
     慌てても仕方ないので冷静に考える事にしました。そんなに暑くなる前はこれ程酷くなかった
    ですし、去年の11月に今回と同じ組み合わせのアンプでコンサートを開き好評を得た訳ですから、
    やはりくそ暑くなった事と無関係ではないと思いました。そうなると何処の家でも使うエアコン
    の類が発生する高周波ノイズが一番疑われます。WRP-α9/ANのリレーを含めた電源関係は比較的
    単純で、その対処法も確立されていますから、多少ノイズが増えても許容範囲に収まっていたの
    だと思います。しかし110W機は一点物であり、リレーも100Vリレーの他にもう一つ使ってますし、
    もしかするとアンプの補償コンデンサーにも多少問題が残ってる可能性が有り得ます。これまで
    に何となくですが、出荷するアンプに比べ多少音が派手気味かなと感じた事がありました。医者
    の不養生ではありませんが、アンプの製作やアップグレードが優先ですから、自分のアンプには
    直ぐに取り掛かれないのです。しかし、今回だけは見過ごす事は出来ませんでした。
    
     先ずはアンプ基板から問題点を探し出し、今ならやらないような所を2、3箇所改めたのです。
    これで試聴したところ手を入れる前よりは確かに良くなりましたが、耳が慣れて来ると未だ何か
    が残っていると言う感じに聴こえてきました。こうなるとアンプ基板ではなく、リレーを含めた
    電源関係です。リレーの接点はスピーカーをオフにしたりしていますので、意外にリレー電源に
    含まれる高周波ノイズが音を汚すのです。結論的に言えばリレー電源の整流器に抱かせるノイズ
    を抑えるコンデンサーの数が最低限の1個しか使われてなかった事と、最近のWRアンプでは半ば
    常識になっています、リレー電源に含まれて来る高周波ノイズを遮断するローパスフィルターが
    全く入っていなかった事が原因ではないかと思いました。やはり昔の常識のまま110W機のノイズ
    対処法は据え置かれていたのです。これらを気が済むように改善して改めて試聴して見ました。
    
     今度はくそ暑い夏の割には、ストリングスの合奏音に含まれるひずみ感も減り、許容範囲の音
    になったのでした。この事から推定できる事は、普通の暑さとくそ暑さではエアコンの使用率が
    当然ながら変わって来るのだと思います。普通に暑い程度ですと、暑さに強いとか電気代が勿体
    ないと思う人はエアコンを使わない可能性がありますが、くそ暑い(八王子は39℃)と猫も杓子
    もエアコンを使う事になるはずです。でないと熱中症で命が危なくなるのですから背に腹は代え
    られないのです。ところがその日から1、2日程で、今度は急にくそ寒くなってしまったのです。
    8月の半ばで20℃を切るなんて、私の記憶には残っていません。昼間でもせいぜい23℃ですから
    10℃以上の急降下です。そうだ音の方はどうだろう?と思い同じソースを同じ条件で聴いて見た
    のですが、110W機の音はこれまでで最高の音になっていました。気象変動のお陰で110W機もより
    良い状態に改める事が出来たのです。そして、オールSEコンの音は貴重だと感じました。因みに
    SEコンの予約を何人かのユーザーの方から承っていますが、数種ある欠品中のSEコンで入荷した
    ものは2種のみで、未だSEコン化等の作業に入れない事をお伝えして置きます。
    
     SEコンが順調に入荷したとしても何人かの方は救われますが、今後の方は望んでも叶わない事
    になります。それを少しでも回避する代替法を探って見たのですが、不完全ながら一つの可能性
    を見出しましたので、近々に実験に入る予定です。そのマイカコンデンサーは形が大きくて用意
    されてる容量値も少なく、SEコンに代わるものとしては大いに不満足ですが、一つだけSEコンと
    共通する特長を有しています。それは使われてるマイカが普通のマイカではなくルビーマイカで
    ある事です。世界広しと言えどもルビーマイカを製品化している例は殆どありません。この事実
    が、図体が大きく用意された容量値にも不満があるにも拘わらず、私を実験して見る気にさせた
    のです。1個当たりの価格は輸入の問題なのか単価がバラバラですが、SEコンより安い感じです
    から、取り敢えずある容量値を6個だけ購入して、110W機に使われてる6個と置き換えて音質に
    変化が出るかどうかを探る予定です。この内4個はアンプの「負性抵抗」を抑制する回路に使用
    され、残りの2個も安定化電源の「負性抵抗」を抑える回路に使われています。音質には大きな
    影響を及ぼすと思われる6個の補償コンデンサーを置き換えれば、ある程度の事は分かるだろう
    と踏んでいます。結果が分かりましたら又報告させて頂く予定です。   

    2016川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sun Aug 1 17:00:00 JST 2021
    最近のWRアンプについて −−− WRアンプの選び方
    
     最近納入させて頂いたのは、完全アップグレードされたWRP-α9 (SEコン版EQ付き)+WRP-α50
    のシステムです。システムと言うのは、電源フィルター以外は三種の神器も同時に揃えると言う
    意味です。この前に何台かのWRP-α9/ANや電源フィルターの製作をを挟んで、入出力用ケーブル
    付きのWRP-α120 を作りました。また、その間隙を縫って例のWRP-α5 やΕC-1H、旧型プリ等の
    アップグレードをやっています。
    
     この間少なくても4種類のWRアンプの試聴を行った事になります。WRP-α9/AN からWRP-α120
    まで、途中にWRP-α5 、WRP-α50を挟んで、幅広いパワーを有するアンプを聴いた事になります。
    具体的に言えば、5W、30W 、50W 、120Wと言う事になります。これだけの幅がありますと普通は
    音質、音色はてんでんばらばらになりますが、WRアンプは違います。8畳洋間でB&W805MATRIXを
    鳴らす限りでは、ほぼ似たような音質・音色で普通に鳴ってくれます。
    
     「ほぼ似たような」と言う意味は、本来、音楽がどのような音で鳴れば自然なのか(正しいか)
    が本当には分かってない人が聴けばと言う意味です。それも、ベルト・ケンプフェルトのような
    古い録音ではなく、ポールモーリアのような伸びのあるストリングスを含む音でさえも、細かい
    事を言わなければ十分に聴ける音質レベルで聴けると言う事です。α5 も小音量で聴けば、他の
    WRアンプと同じ印象なのですが、残念ながらポールモーリア級のソースでは、前述の通り馬脚を
    現してしまいます。
    
     斯様に、厳しい注文をしなかればWRのパワーアンプならどれでも一定の水準の音が保証されて
    いる事になります。では、5Wアンプと120Wアンプの違いは何でしょうか。なかなか難しい問です
    が、以下のような事が言えるかも知れません。全て120Wアンプが主語になります。
    
     1.音全体に安定感があるように聴こえる。
    
     2.中低域が分厚く聴こえる。
    
     3.高域の音の伸びにゆとり感がある。
    
     4.楽器の音に存在感がある。
    
     これらの特長は、実際の演奏会に足繁く通って、結果的に聴感が大いに訓練された人でないと
    判別が難しいと思います。スピーカーの能率や聴く部屋の大きさ、それにどの程度の音量で聴き
    たいのか等の問題を横に置けば、ライブに通った経験がまだ少ないと言う条件は付きますが、5W
    アンプで十分役に立つと言えると思います。少し大きな音量で聴きたいとかちょっとはライブに
    行った事があるとか、そう言う方はその条件に従って、10W アンプ、30W アンプ、50W アンプと
    言うようにアンプの格を上げてお選び頂ければと思います。ご自身の聴感の質的レベルを何処に
    置くかで大きく変って来ると思います。諄いようですがリスナーの聴感を棚に上げたオーディオ
    論は殆ど意味がありません。聴感は筋肉と同じで最初から備わっているものではなく、鍛える事
    無く胡坐をかいていては、一向に進歩しないのです。
    
     WRアンプは、価格にすれば約 5万円から33万円まで大きな開きがありますが、基本的に音質は
    同格であるところに現在のWRアンプの特徴があります。多分、既成オーディオでこれだけ価格が
    開いたらかなり音に落差が出ると思われます。では何故、WRアンプは基本的に音質が同一なので
    しょうか? その答えは全てのWRアンプに多くの共通点があるからです。その共通点を列挙して
    見ますと
    
     1.出力段にハイブリッド式純コンプリメンタリーコレクタホロワ型を採用している事。
    
     2.ひずみ感の出難い部品、特にコンデンサーを同等に使用している事。
    
     3.ひずみ感の出難い配線材を同じように使用している事。
    
     4.アンプの電源供給を全て安定化電源方式にしている事。
    
     5.耐圧を除いて、同じような格のトランジスタを使用している事。
    
     6.帰還は基本的に高帰還であり、負性抵抗が生じない補償法(特許回路)を使っている事。
    
     7.三種の神器が同等に使えるように入出力端子を共通化している事。
    
    等が挙げられると思います。
    
     本質的に共通している事は、アンプの帰還を不安定にする「負性抵抗」を抜本的に消失させる
    特許回路を使って基板が作られている事です。安価なΕシリーズのアンプには準コン基板が採用
    されていますが、純コン基板を使った新αシリーズと直ぐ分かるような音質差は確認されており
    ません。即ち、帰還に依って生じる「負性抵抗」さえ防いで上げれば、回路自体は音質に大きな
    影響は与えないと言う事だと思います。勿論、回路を理想的に動作させる為に必要である安定化
    電源が高音質アンプと謳うからには必須になります。従って、非安定化電源方式で幾ら回路論を
    ぶっても空しい気がします。
    
     このように見て来ますと、5万円程のWRアンプでも既成オーディオアンプとはかなり掛け離れた
    技術が生かされている事が分かります。WRアンプを使っていい音で鳴ってもそれは偶々ではなく
    必然なのです。これまでのオーディオアンプは作って見なければ音はどうなるか分からないのが
    相場でしたがそしてそれがオーディオの面白さとか言われた事がありますが、WRアンプは作れば
    必ず一定の音質が保証されます。WRアンプは、アマチュアライクではないのです。三種の神器は
    必要ですが、アンプの欠陥を補うような高価なケーブル等は一切不要です。其処が本質的に既成
    オーディオアンプと違うところです。
    
     このような技術的裏付けがあるWRアンプの特性は何が優れているのでしょうか? 勿論、動的
    なひずみ感(過渡ひずみ感)が少ないのですがそれは何に依って齎されるのでしょうか? 負性
    抵抗を極力抑えている事も勿論ですが、直流から可聴限界まで電源インピーダンスが一桁以上も
    低く一定になる安定化電源が使われているので、超安定な高帰還アンプが実現出来ている事です。
    これに依ってスピーカーを理想的に定電圧駆動する事が可能になりスピーカーを正しくピストン
    運動させ、余計な分割振動を防いで高音質が実現出来ているのです。
    
     以上のような、ほぼ完成されたWRアンプシステムをご使用になっている方は徐々に増えており、
    三種の神器さえ備えて頂けば、使用の場所に拘わらず何処でもいい音で鳴ってくれるシステムが
    構築可能になっています。そのシステムの目安が「WR標準」です。その証拠の一つになると思い
    ますが、つい最近にWR掲示板で話題にしたプリアンプ系の安定化電源に於ける高ftTRの採用の件
    です。新型及び旧型プリをご使用になっている2、3の方が試行されてその効果を認めて頂いて
    おります。安定化電源の制御の石のftを100MHzから250MHzに変えた程度で、一見相違する新型と
    旧型システムに於いて同様な効果が確認されたと言う事は決して偶然ではなく、共に「WR標準」
    と言う音質レベルを達成したWRアンプシステムをご使用になってると言う事が、決め手になって
    いるのです。
    
     確かにより多くの高ftTRを使用するフォノアンプ系を使ったLP再生の方が、効果が一層際立ち
    ますが、CD再生オンリーのプリアンプ系でも十分な効果がありますので「WR標準」が達成された
    システムをお使いの方は、ftが250MHzのTO-220型のTRの在庫が有る内に奮ってご応募頂ければと
    思います。一人でも多くのWRアンプユーザーの方にワンランク上の音で音楽を楽しんで頂きたい
    と願っております。高ftTRの件はほんの一例であり「WR標準」をクリアしたWRアンプシステムを
    ご使用になれば、それを使う場所が何処であろうとも、又そのユーザーが誰であろうとも、同じ
    ようなライブ感覚で音楽がお楽しみ頂けます。これこそが、因習的な既成オーディオでは決して
    見られない、完成されたWRアンプシステムが有する再現性であり、又普遍性なのです。  

    2015川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Jul 15 21:00:00 JST 2021
    WRP-α5 をご存知ですか?−−−>非安定化電源の30W クラスのパワーアンプです。
    
     特徴的なのは銅シャーシにパワートランジスタが、カバーは有るにしても剥き出しで取り付け
    られている、ちょっとマニアックなデザインです。WRアンプはWRP-α1 から始まって、現在では
    ヘッドホン端子付きのプリアンプとしてお馴染みのWRP-α9 まで行きました。WRP-α50のように
    数字が出力を表してるアンプはずっと後からの発売になっています。WRP-α1 以外の他の機種は
    正直のところ「α5 ってあったっけ?」見たいに、直ぐにイメージが湧いてきません。
    
     今回もアップグレードの依頼をメールで頂いた時に、「拝見してから可能なアップグレードを
    お知らせします」と言うお答えに留めたのでした。着いた梱包を開けて初めて銅シャーシを発見
    し、「ああ、あのアンプだったか?」と言う風に納得したのでした。中を開けて調べて見ますと
    次の事が分かりました。
    
     1.準コンアンプである事。。
    
     2.非安定化電源のアンプである事。
    
     3.電源電圧から30W 型のアンプである事。
    
     準コンアンプであるなら十二分にアップグレードの対象になります。この呼称が正式かどうか
    は分かりませんが、現今のWRアンプは「ハイブリッド式純コンプリメンタリーコレクタホロワ型」
    で製作されています。ハイブリッド式とは、プッシュプルを構成するパワートランジスタを片や
    EMe 型、片や非EMe 型(例えばTMe 型)にする事です。コレクタホロワは基本的な増幅回路の一つ
    で、コレクタから出力を引き出すものでエミッタ接地回路とも呼ばれます。一般に出力回路には
    出力インピーダンスを下げる為にコレクタを設置しエミッタから出力を引き出すエミッタホロワ
    が用いられますが、必ずと言っても良い程に「負性抵抗」を内包するので、WRアンプではかなり
    前から使っておりません。準コンは、片側はコレクタホロワですが片側がエミッタホロワなので
    音質的に問題があります。
    
     これで回路は理想的になりましたが、これだけでは不完全です。それは配線に用いられている
    線材の交換です。これを怠りますと、アンプの音には過渡ひずみ感が残り心地良い音で鳴っては
    くれません。電源ケーブルもスピーカーケーブルも然りですが、過渡ひずみ感の無い線材は全体
    から見れば極一部分ですから、訓練された聴感で取捨選択をして見つけ出す必要があります。WR
    アンプで使用する線材は、電源部に使われるものは勿論の事、入力及び出力に使われる信号線も
    含めて決められた線材の中から、配線し易いものを適宜選んでいます。ですからアップグレード
    の場合は、結果的に全ての線材を交換する事になります。
    
     回路、線材が理想的になっても、過渡ひずみ感の起きない部品を選ばないと元の木阿弥になる
    可能性が無きにしも非ずです。特に要注意はコンデンサーです。中でもフィルムコンデンサーと
    セラミックコンデンサーの選別は大切です。自分の聴感を信じてひずみ感のないコンデンサーを
    見つける必要があります。唯、コストの問題も無視できませんので、WRでは特に大切なポイント
    を選び出して、其処だけはある意味贅沢をする「高級部品化」を推奨しています。今回もこれを
    行う事にしました。
    
     本来は電源供給も非安定化電源ではなく安定化電源化したいところですが、今回はそれに必要
    な空間スペースが無い為に断念しました。この事が音に影響してくる事になるのですが、詳細は
    後述する事にします。既に何回か申し上げていますが、全ての電子回路は理想電源が想定されて
    設計されます。そう言った回路を電源が微妙に変動する非安定化電源で動作させても、理想的に
    動作する保証はありません。特に微妙な音を取り扱うオーディオアンプで、影響しないと考える
    のは少し甘いのではないでしょうか? 今回、それが何となく分かった気がしたのです。
    
     以上でアップグレードの全貌が決まりましたので、あとは忠実に仕事を熟す事ですが、先ずは
    基板の大幅な変更とパワートランジスタの交換です。4つあるNPN 型の2つをPNP 型に変更する
    必要があります。何を選ぶかはコレクタ損失、最大コレクタ電流、それにftを見比べて近い物を
    探します。余りCob の大きなPNP 型は使わない方が良いと思います。メーカーの正規コンプリも、
    NPN 型とPNP 型で結構違ってるものがありますから、余り神経質になる必要はありません。今回
    は最初から付いていた2SD188に2SA756を組み合わせる事にしました。前者がNEC 後者が日立です
    が、メーカーの違いは気にしない事にします。
    
     左右2枚の基板が完成しましたので、先ずは測定器としての安定化電源を使用して動作試験を
    行い、正常に動作する事を確認し、決められたアイドリング電流に調整して置きます。電源回路
    の配線から始めて、正常にケミコンの根元に正負の電圧が出るかを確認をします。今回は無負荷
    で30V 弱でした。次に、基板を取付ける前にスピーカー端子に120 Ωを付けたり、ACインレット
    に120 Ωと0.1μFの直列素子を半田付けしたり準備をして置きます。基板にパワートランジスタ
    を結線してからシャーシに固定します。基板の入力端子とRCA ジャック周り(VR含む)の結線及び
    出力端子とリレー基板の結線、リレー基板とスピーカー端子間の結線を行います。最近世界的に
    プラスチックの供給が減っているせいなのか、コネクタの在庫が不足気味で調達に神経を使って
    います。プラスチック問題が影を落としてるのかも知れません。
    
     これでほぼ結線は終わりです。行き成り電源ONは流石に気が引けますので、安定化電源をもう
    一度持ち出して安定化電源から電源を供給して見ます。相変わらず正常に動作する事が確認出来
    れば、いよいよ電源SWをONにします。素早く電源電圧を測定しプラスマイナス共に26〜28V 程度
    出ているか確認します。問題が無ければ暫く放置して熱平衡に達するのを待ちます。パワーTRの
    上部に温度計を翳し左右のパワーTR上空の温度を測ります。ほぼ等しければOKですが、余り違う
    ようでしたら、アイドリング電流を調整し直します。これでこのアンプの調整は終わりです。
    
     いよいよ試聴です。この瞬間の為に全ての作業を地道に遂行しているのです。穴あけ、ヤスリ
    掛け、パワーTRの取り付け等の面倒さを忘れる一時です。何時ものテストCDを普通の音量で聴く
    限りでは日頃聴く音と比べて違和感は殆ど感じません。安定化電源の部分が有るか無いかだけが
    何時も聴いているWRアンプと違う訳ですから、音量を上げない限りでは余り動作条件に差が無い
    と言えるからだと思います。ベルトケンプフェルトのような録音が古く余りD レンジの広くない
    ソースなら十分に楽しめます。
    
     しかし、それではと言って例のポール・モーリアのCDを掛けて見ますと、音量が大きくなって
    行く過程で何となく雑味を感じるようになります。要するに気持ち良く音が伸び切らないのです。
    厳密に言えば過渡ひずみ感が顔を出すのです。特に最近は高ft化の効果もあって中高域の伸びは
    胸が空くような感じに聴こえるのですが、その良さが裏目に出てしまう感じです。一度知った音
    は忘れ難く、もう元には戻れないのです。雑味が邪魔して音が思うように伸び切らない状態では
    最早同じ音楽ソースを聴き続ける事は出来ません。試聴を断念しました。これまで実際に安定化
    電源の有無で音の違いがあるかどうかについては、正確には体験していませんでしたが、今回は
    私の考え方が正しかった事を体験出来た気がします。
    
     これと似たような体験談を、最近お貸出しした試聴機に対する感想文の中に見つけましたので
    紹介させて頂きます。試聴機は、プリが簡易型ですが一応電源フィルター以外は最近のWRアンプ
    システムの条件を満たしています。安定化電源方式と非安定化電源方式の音の相違、と言う観点
    から必要なところを下記にピックアップしました。
    
    ★今回お借りしたアンプに繋いで聞いた時に、今まで聞いたことのないほどの静けさで
    ★再生されていることに気づきました。ライブ録音ですがソリストの衣擦れ音が聞こえ、
    ★人が立っている気配までわかりました。これは初めてでした。その音をよく聴きたくて、
    ★ボリュームを4時くらいまでにして聞いていました。
    
    ★パワーアンプだけを私の真空管アンプにして聞いたのですが、もちろん静けさという点では
    ★全くというほどかなわず、衣擦れの音なんて聞こえてきません。
    ★強奏の際の破綻もよりずっと明確になり、すぐにお腹いっぱいという感じになってしまいます。
    ★ただシンバルやゴングの響きの長さは私には向いているのかな?と思えました。
    
    ★川西さんのアンプで聴くビッグバンドのドラムセットの音ではシンバルの音の違いも
    ★よくわかりますし、バスドラムやタムたちの音程の違い、スネアドラムの響き線の音も
    ★よく再現されていて、どうしても耳がそちらに取られます。
    ★また、CDで聴くピアノの音がレコードで聴く時みたいに生々しい音で聞こえた時は
    ★思わずうなってしまいました。
    
    ★これはどう言った現象が起こっているのでしょうか?
    ★パワーでは真空管アンプの方が優っているのに破綻が早いのはなぜでしょうか?
    
     人気の高い真空管アンプですが、実際にはこの程度にしか鳴ってくれないようです。ある聴き
    方をすれば「ただシンバルやゴングの響きの長さは、私には向いているのかな?と思えました。」
    と仰っていますように、真空管アンプにメリットがあると感じる方がいらっしゃる事も事実だと
    思います。しかしそれは限定された音楽や楽器の時だけに感じる事で決して万能ではありません。
    特に問題なのはこの最後の行です。出力の割に音の破綻が早いのは一概には言い切れないものの、
    やはり非安定化電源の弱点が表面化してるのではないかと私は思います。その他帰還が浅く出力
    インピーダンスがスピーカーを正しく駆動出来る程下がらない、と言う致命的な欠陥もあります。
    斯様な真空管アンプが多いにも関わらず、何故多くの人が回帰したのか、それは既成オーディオ
    のトランジスタアンプには常にある種のひずみ感が付き纏い音楽や楽器を限定したとしても心地
    良く鳴ってくれる事が少ないから、ではないでしょうか? 関係各位には真剣に考えて頂きたい
    深刻な問題だと思います。  

    2014川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sat Jul 3 22:00:00 JST 2021
    高ftのパワートランジスタは、やはり高帰還アンプに取って大事な部品のようです。−−−続編
    
     前回、高ftの中型パワートランジスタ(250MHz)をプリ系の安定化電源の制御の石として使う
    と高域の抜けがさらに良くなるのみではなく、中域から低域に掛けての厚みや柔らかみが増す事
    をご報告しました。オケの生音を低域の抜けの良いホールの最上席で聴きますとビオラ、チェロ、
    コントラバスの音が混然一体となって、桁違いに安定感のある音楽のベースになる音を構成して
    る事に気付かされますが、これまでこの音だけは空間のスケールの次元が違う家庭では実現不可
    だと半ば諦めていたのでした。しかし、それが何分の一かでも味わえるようになった事は画期的
    な事だと思います。このような音は、幾ら大型装置を構えたとしても、アンプがこの音を正しく
    増幅しない限りスピーカーからは聴こえて来ないはずです。逆に言えば、アンプさえこのような
    信号を正しく増幅すれば、例え小型スピーカーでも聴こえて来ると言う証になります。
    
     これは私の単なる錯覚ではなく、その後に時間を見つけてチェックした何枚かのクラシックの
    LPでも感じる事が出来ましたので、此処に再度報告させて頂きます。まず聴いたのは、下記のLP
    です。
    
     1)ブルックナー 「交響曲第9番」:ジュリーニ/シカゴ響(EAC-80385)
    
     これは所謂EMI 録音です。EMI は当たると凄くいい音がしますが外れる事が多く、なるべくは
    買わないように避けて来たレーベルでした。一般に低音が余り入ってないような貧弱な音がする
    モノが多い印象でした。しかし、このLPはジュリーニの全盛期に録音されたものなので、兎に角
    買って置こうと思ったのです。録音状態は意外に良く取り敢えず楽しめる音で鳴ってくれました。
    しかし、どちらかと言えばエネルギーバランスが中高域に寄って聴こえたのです。しかし、今回
    初めて豊かなホール音響に裏打ちされた中域から低音部の厚みと柔らかさを感じたのです。正直
    このLPにこんな音が入ってるなんて、夢にも思っていませんでした。勿論、中高域の鋭い金管の
    音も見事に再現されています。因みに録音は1976年の12月に行われています。
    
     それではと言う事で、今度は同時期に同じ組み合わせで独グラモフォンに録音された下記のLP
    を聴いて見ました。
    
     2)ムソルグスキー 「展覧会の絵」:ジュリーニ/シカゴ響(MG1064)
    
     EMI とは違って独グラモフォンは比較的低音がタップリ入ってるものが多くこのLPは優秀録音
    の一つと言っても過言ではありません。昔からいい音で鳴るソースでしたが、演奏も非常に良く
    これ見よがしなところもなく、あくまで純音楽として交響的に演奏しているのは流石です。1)
    の解説を担当してる西村引治氏がジュリーニをべた褒めしてる気持ちも分かる気がします。勿論、
    いい音で鳴りましたが、昔からいい音で聴けていたソースの為かそれほど感激はしませんでした。
    しかし、鋭さと柔らかみが両立する音はやはり魅力的です。LPにソリッド感すら感じるのは稀有
    な事だと思います。この録音は1)と同年の4月ですが、この頃に多くの名アナログ録音が誕生
    しています。因みに、録音エンジニアはオケの音を有りの儘に録るクラウス・シャイベです。
    
     ジュリーニ続きでもう1枚聴いて見ました。それは購入当初からストバイが左のスピーカーに
    貼りつくような感じが付き纏っていたので、どうなったかな?と言う興味もあったのです。下記
    のLPがそれです。
    
     3)ドボルザーク 「交響曲第7番」:ジュリーニ/ロンドンフィル(C 069-02830)
    
     これも1)と同じEMI 録音で、同じスタッフ、Bishop&Parker が録音を担当しています。オケ
    がシカゴ響に比べると非力であり、ジュリーニによってかなりカバーはされていますが、やはり
    ストリングに弱点が出て来ます。要するに音が細いのです。だから、余計にストバイの音がギス
    ギスするのかも知れません。最近はWRアンプも進歩したせいか当初よりその欠点も気にならなく
    なっていました。さて、今回はどうなったかですが、ストリングスの非力さが殆ど気にならなく
    なっており、左に引っ張られる事もありませんでした。そしてオケ独特の中域から低域に掛けて
    の厚みと安定感も若干ですが感じ取れました。ドボルザークのストバイはブラームスと似ていて、
    決して綺麗に聴こえる事はありません。新世界でも同様でマゼール/フランス国立管だったかの
    演奏を池袋の芸劇で聴いた事がありましたが、やはり生でも同じだと思った事があります。今回
    も如何にもドボルザークのストリングスの音でした。それだけ、再生の忠実度も上がったのだと
    思います。
    
     次は演奏者を変えて、昔から優秀録音だと思っていた下記のLPを聴いて見ました。この作曲家
    の代表的な三部作の中の一つです。
    
     4)レスピーギ 「ローマの祭」:小澤/ボストン響(MG1201)
    
     何回か書いたと思いますが、この曲は高校生の頃に内幸町にあった旧NHK ホールで生を聴いて
    度肝を抜かれた曲です。あの時の衝撃は一生忘れられないでしょう。まともにフルオケの生演奏
    を聴いた事のない若者が、行き成り本格的なクラシックの生演奏、しかもスケールが大きく滅多
    に聴けない難曲を聴いたのですから、その驚きは如何ばかりだったかですが、まあそれはご想像
    にお任せしたいと思います。バンダのトラペットが、パタッと開いた小窓から出て来て鋭い音を
    発するのですから、生音に興味のある若者には堪えられなかったと思います。近衛秀麿が率いて
    いたABC 響をショタフォンハーゲンが振った公開録音の演奏会でした。
    
     その後自分のオーディオ装置を持ってからもこの曲には何時も目を光らせていましたが、此れ
    と言って食指の動くものはありませんでした。思ったような音のする録音に巡り会えなかったの
    ですが、自宅で聴くのならこの程度で良しとするしかないと思ったのが此のLPです。当時はまだ
    大型マルチで聴いていましたが、独グラモフォンの録音に若い頃に味わった感触が多少なりとも
    感じられたのです。録音エンジニアはこの手の録音を得意とするクラウス・ヒーマンです。必ず
    しも小澤の担当ではなかったと思いますが、この音楽を少しでも正確に捉える為に、特別に起用
    されたのかも知れません。しかし、何故か成功したのはこの「祭」だけだったのです。
    
     このLPも2)と同様に結構いい音で鳴りますから、改めて感激する程の事もありませんでした
    が、それでも鋭く突き刺さるようなトランペットの迫力や、地を這うようなオルガンの重低音は
    特筆に値するかも知れません。当時の小澤の指揮も見事で、全く怯む事無く果敢に攻めるような
    演奏には好感が持てます。よく聴けば、このLPも高ftトランジスタの恩恵を受けていると、納得
    する事が出来たのです。因みにこの録音は1977年10月に行われています。
    
     最後にもう一枚聴いて見ました。それはアバドの名録音にして名演奏のLPで下記に示します。
    
     5)プロコフィエフ 「スキタイ組曲」(アラとロリー):アバド/シカゴ響(MG1171)
    
     この曲は、プロコフィエフが若く血気盛んな頃にディアギレフから委嘱されて作曲したバレー
    音楽ですが、ストラビンスキーの「春の祭典」の向こうを張ったと思わせる曲調で非常に激しく
    動く音楽です。ある意味オーディオ向きでもある訳ですが、アバドとシカゴ響の演奏は正に壺に
    嵌った名演と言えるでしょう。そのスぺクラムを余すところなく捉えたのが小澤の「祭」を録音
    したクラウス・ヒーマンです。本当にこのような曲を録音したらこの人の右に出る者は居ないの
    ではないかと感心します。
    
     この曲も昔から度肝を抜かれていますから、今更、驚く事もないのですが、やはりよく聴けば
    凄さの中に鋭さと柔らかさが同居しており、明らかにこのLPもこれまで以上に正しく再生されて
    いると言えます。このような難曲をやらせた時のシカゴ響は、腕達者が揃っているのか安心して
    聴いていられます。勿論、この頃のシカゴ響の御大はショルティでしたが、アバドも頻繁に客演
    しており、息の合った演奏は見事です。因みに録音は1977年の2月です。ショルティ/シカゴ響
    と言えば、ワーグナーの序曲集が同時期に英デッカで録音されており、「タンホイザー序曲」を
    少し聴いて見たのですが、確かにトロンボーンの合奏の音色と迫力は如何にもシカゴ響であって
    凄みすら感じましたが、今回取り上げた2)以外の録音レベルの水準には達してないなと感じた
    次第です。要するに、この録音には若干ですが、生の音にはない余計な雑味を感じるのです。
    
     極言すれば、英デッカ録音のピークはカルショーの時代に終わっていたのではないだろうかと
    思います。未だに日本では盲目的に模倣されてるデッカツリーですが、これをを考案したと言わ
    れるウィルキンソンがこの録音を担当しています。カルショーのテクニックを受け継いだ技術者
    として幾つかの好録音を残していますが、独グラモフォンの域に到達出来てなかった気がします。
    その原因が録音方法なのか録音機材だったのか知る由もありませんが、今回の高ft化は色々な事
    を透けて見せてくれます。それにしても、この頃のアーティストや録音スタッフの水準は半端で
    ない水準にあったと思うのですが、現在はそのどちらもがスケールを落としてるように感じます。
    孤高を誇る人が激減し数を集めなければ話が始まらない時代になってしまったからでしょうか?
    
     この高ft化の為のトランジスタの交換作業ですが「WR標準」に達してるプリアンプ又はフォノ
    アンプ(ヘッドアンプを含む)を対象にして、プリアンプは\15,000、フォノアンプは\25,000で
    お引き受け致します。ご希望の方はお申し出になって下さい。高ftのトランジスタには数に限り
    がある事を申し添えて置きます。  

    2013川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Mon Jun 21 21:00:00 JST 2021
    高ftのパワートランジスタは、やはり高帰還アンプに取って大事な部品のようです。
    
     トランジスタアンプ全盛期の後期に、高ftのパワートランジスタがあちこちのメーカーで採用
    された事はご承知の事と思います。30〜50MHz のものがざらに有ったと記憶しています。しかし、
    此処で言うパワートランジスタはそのような大型のものではなくて、ドライバー段等に使われる
    中型のパワートランジスタの事です。私は、大型のパワートランジスタはftではなく、内部構造
    がEMe 型のものを選んで来ましたので、せいぜい15MHz 程度のものしか使った事はなく、今でも
    それが尾を引いています。
    
     当時EMe 型は、明らかにTMe 型等に比べてひずみ感が少ないと感じましたから、その選択自体
    は仕方がなかったと思います。それは現在でも踏襲されているのですが、せめてドライバー段に
    は高ftのものを使おうとしています。現在、プリの送り出しアンプのドライバー段や安定化電源
    のドライバー段には250MHz程度のものを使っており、それはWR掲示板で言及している通りですが、
    今回もう一歩だけ歩みを進めています。それはプリやフォノアンプ等に使われている安定化電源
    の制御に使われる中型パワートランジスタも高ftにしようとするものです。このクラスの石のft
    は下手をすると10MHz 以下のものも有りますが、選べば100MHz程度のものが使えますし、最近は
    なるべくそうするように心掛けていました。
    
     最近、EMe 型はハイブリッドと称してプッシュプルの片側に使用したり、安定化電源もプラス
    かマイナス側だけに絞って使っていますが、音質的には特段の問題も無く推移して来ております。
    EMe 型で高ftのものは少ないのですが、昔に流行った27MHz 帯のCB無線用に開発されたものには
    100MHzの石があり、現在はそれをマイナス側に使用しています。CB用の中型パワーTRはメーカー
    によってはメサではなく普通のSiE 型の石があります。その中にftが250MHzのものも有り数年前
    に買うだけ買ったのですが、殆ど手付かずの状態で眠っておりました。最近、その存在に気付き
    実験的に使って見る気になりました。将来的にはEMe 型は枯渇して使えなくなる事もあり、正負
    電源の制御の石を両方共にSiE 型でやって見る気になったのです。
    
     音が良くなれば儲けものですから、ダメ元でやる事にしました。しかし正側に使うPNP 型には
    そんな高ftの石はまずありませんから100MHzで我慢する事にして、早速、制御用中型パワーTRの
    交換に移りました。ターゲットは何時も聴いているΕC-1Hの安定化電源です。NPN 型には100MHz、
    PNP 型の方には45MHz のEMe 型が使われていました。それを片や250MHz、片や100MHzのSiE 型に
    交換したのです。良くも悪くも音質に変化が出れば直ぐに分かるはずです。こう言う時の試聴は
    ハラハラドキドキです。丁度その日は午後になって蒸し暑くなり、台所にはクーラーが居間には
    エアコンがついていました。勿論、それぞれに市販のフィルターを噛ませてはありますが、微妙
    な音の判定の時は影響を受けるのです。そのせいか、確かにポール・モーリアのストリングスの
    高域が何時もの音とは違ってはいましたが、悪く言えば少し荒れてるように聴こえたのです。
    
     やはり、SiE 型同士ではダメなのかな?とちょっとガックリしたのですが、少し時間を置いて
    もう一度聴いて見る事にしました。丁度、その頃にはクーラーもエアコンも切れていましたから
    今度はもう少し正確な事が分かると思いました。案の定、荒れたように聴こえていたのは、実は
    何時もより高域が伸び切っていたからなのでしょう。これまででもかなり満足感をもって聴いて
    いたはずなのですが、さらに抜けが良くなった感じです。ソースをマントバーニのCDに変えても、
    この印象は変わりませんでした。これだけストリングスの高域の抜けが良くなると、最高の気分
    で音楽が楽しめます。これでEMe からも解放されるかも知れないと一瞬思いましたが、まだ序の
    口であり、この件に関してはもう少し研究の余地がありますが、これまで蓄積した来た諸技術と
    部品・線材等の選択によって音のひずみ感をかなり減らせた事が、功を奏したのかなと思います。
    そう言えば最近のWRアンプは、部品の品質に少しだけ鷹揚になっている気がします。
    
     音の伸びがさらに良くなった事は非常に嬉しい出来事です。これも未だ一例ですから、断定は
    禁物です。そこで、次にヘッドアンプに使われてる2つの安定化電源で試して見る事にしました。
    つまり、もし今回の目論見が正しければCDの音の改善と同等以上の音質の向上がLPにもあるはず
    です。私の場合はΕC-1Hの中にEQ基板が入ってますから、既に何らかの改善が為されているはず
    ですが、これに外付けのヘッドアンプの安定化電源の高ft化が行われれば、LPの音質向上も相当
    期待出来る事になります。もう少し具体的に申し上げれば、CDの場合は、関与する安定化電源は
    プリの安定化電源だけですが、LPの場合は3つの安定化電源が関与している事になるからです。
    
     無事にプリと同じように、2つの安定化電源の正負の制御の石をマイナス側を250MHzのftの石
    に、プラス側を100MHzのftの石に交換しました。いよいよ試聴です。先ずポール・モーリアです。
    アンプが温まるまでは何時もの音かなと思ったのですが、10分以上経過後辺りからは徐々に音に
    深みが増して来ました。裏で支えている楽器群の動きがより明瞭に聴こえるようになったのです。
    彫の深い音とでも言えば良いのでしょうか。こんな音はこれまでLPで聴いた事がなかったと思い
    ます。アナログの良さがより色濃く出て来たようで、高音は元より中音が充実して来ていますし、
    低音も何時もより豊かで素っ気なさがありません。これまでポール・モーリアのCDとLPの音の差
    を余り感じなかったのですが、今回は明らかにLPの音に軍配が上げたくなったのでした。
    
     まだ時間が余りなく、その他のクラシックのLPを聴いていませんので、決定的な事は申し上げ
    られませんが、LPの優位性はやはりあるのかも知れません。唯、世間で言う相違とは次元の違う
    話です。この音の違いは、WRアンプの最高クラスのシステムでのみ分かる違いだと思いますので
    安定化電源の制御の石の高ft化が、どんなグレードのシステムでも発揮される訳ではないと思い
    ます。今回のプリ系の安定化電源の中型パワートランジスタの高ft化は、勿論、CDの音質向上に
    もなりますから、もう少し色々なソースを聴いてから改めて、皆さんにお声掛けするかどうかを
    判断したいと思います。唯、この高ftの中型パワートランジスタは数に限りがあり、今後何処か
    で新しく見つからない限り、そう多くのユーザーの方にサービス出来ないのが残念なところです。
    何れにしても、明確な結論が出るまでは新規プリに搭載する事も控えようと思っています。
    
     それにしても「高帰還技術」の奥深さに改めて気付かされています。「高帰還」を制する者が
    「オーディオ」を制する事は間違いないところです。それは一般的な自動制御論の届かない世界
    だと思いますから、既成概念だけではかなり厳しいと思います。表面的な安定性を検証する方法
    ではなく高帰還アンプの物理的な背景から根本的に見直し、安定性の判定に関する新しい方法論
    を確立しない限り、「高帰還」の恩恵に浴する事は難しいだろうと思っています。  

    2012川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Wed Jun 9 21:00:00 JST 2021
    ライブ感が楽しめるWRアンプを開発して見て分かった事。
    
     元来オーディオはわざわざライブ会場に足を運ばなくても、その雰囲気が実感として楽しめる
    装置を作る事が当然の目的でした。だからその当時から「高忠実度再生」と言う語句が存在して
    いたのだと思います。しかし、言うのは容易くても実現は非常に困難を極めた為、諦めて行く者
    が後を絶たなくなって行ったのでしょう。何時しかオーディオの楽しみは、単なる「音遊び」に
    終始するようになっていたのです。それだけなら未だしも、その事が非科学的なアクセサリーの
    横行を許す素地にもなっています。
    
     私はそれを諦めなかった者の一人ですが、何でも諦めないで執拗に追い求めれば何時かは実現
    するのです。要はそれに対する執着力です。しかし、其処に要した時間は半世紀を超える長丁場
    になったのでした。その間、無駄時間も当然あったと思いますが、常にオーディオの目的を変更
    する事なくチャレンジし続けた事が功を奏したのかも知れません。もう一つ重要な事は、数ある
    テーマの中から、ターゲットを「帰還アンプ」一本に絞った事も大きかったと思います。
    
     昔、オーディオ評論家の多くは、オーディオで一番大切なのはスピーカーであると思っていた
    のではないでしょうか。確かに、昭和30年代までは普通にアンプを作れば、大体は所謂「いい音」
    で鳴りましたし、高音質のスピーカーが少なかったのも事実です。問題は、世の中がデジタル化
    されて行く昭和40年代以降に、急速に我々の周りに高周波ノイズが増えた事です。それに気付け
    なかった技術者が多かったのは仕方のない事ですが、私は若い頃から帰還アンプを自作しており
    ましたからその異変に直ぐ気が付いたのです。ラッキーだった事は私が「無線」にも興味があり
    短波受信機などを数多く自作していましたから、高周波の常識が身に付いていた事です。普通は
    「オーディオ」を趣味にするか「無線」を趣味にするか二者択一でしたから、オーディオ技術者
    の多くは高周波の素養のない人が多かったのです。
    
     以下に、私が帰還アンプで成功できた理由を纏めて置きたいと思います。
    
     1.帰還アンプが「いい音」で鳴らなくなった為、帰還そのもを「負性抵抗」に着目して見直
       し、従来からの自動制御論を脱却した事。
    
     2.「負性抵抗」の権化とも言うべきエミッタホロワを徹底的に追放して、コレクタホロワに
       切り替えた事。
    
     3.音質の判定を「いい音」ではなく「悪い音=嫌な音」に注目して行った事。
    
     4.音質判定の正確さを上げる為に、自分の聴感を12年間にも亘って同じ良質なライブ会場で
       訓練し続けた事。
    
     5.聴感を訓練した結果、「嫌な音」がするコンデンサー類をアンプから排斥できた事。
    
     6.同様に、同じ4N導線の中にも「嫌な音」のするものが多い事に気付けた事。
    
     7.「嫌な音」を極限まで減らした結果、その音が12年間通って知り得た本物の「ライブの音」
       と同質のものであると、私の聴感が実感できるようになった事。
    
     普通オーディオをやる人は殆ど「いい音」に注目して音を聴きますが、私は「いい音」の定義
    は曖昧で科学的アプローチには不向きであると考え、「嫌な音」に着目するようになったのです。
    嫌な音の定義は比較的簡単で耳に不快に響く音であり、普通の人間であれば余り異論はないはず
    ですが、「いい音」に着目する方は個人の好みの問題が必ず入り込みますから、一概に音の良し
    悪しが決められないのです。然も好みは時間的に移ろって行きますから一定ではなく気付かぬ内
    に変貌します。それでは、帰還アンプの音の良し悪しの判定は科学的に出来ません。極言すれば
    「いい音」を追求するオーディオには着地点が存在しないのです。だから、結果的に正規化され
    難く所謂、単なる「音遊び」に終ってしまうのです。そして気が付けば同じところをぐるぐると
    回っていた、なんて事にもなるのです。
    
     「嫌な音」に注目出来るようになったのは、12年間の体験で養った聴感で「嫌な音」を正確に
    識別して聴けるようになったからです。単一楽器の場合は嫌な音が出難いのですが、複数楽器が
    一斉に鳴ってる時に、その中に「嫌な音」が含まれてるかどうか、具体的に気付けるかどうかが
    問題なのです。良質なライブには演奏の未熟さから来る「嫌な音」が殆どありません。ですから
    聴感を鍛えるにはなるべく良質のライブに行く必要があります。そうする事で再生音に含まれる
    「嫌な音」に気付く事が出来るようになり、結果的にそれを除去出来るようになります。
    
     では、1.から7.までに関して少しずつコメントを付け加えたいと思います。先ず1.と2.
    に付いてですが、私は若い頃から無帰還アンプに全く興味がありませんでした。最初から帰還を
    掛けた本格的なアンプを自作して音楽を楽しむようになったのですが、それは大学に入学した頃
    だと思います。当時出力管には流行りの6RA8PPを採用し、位相反転には単純なオートバランスを
    使って帰還アンプを作っていました。オートバランスは段数が少ないので帰還に有利だと考えた
    のでしょう。帰還量は14dBにしたのですがそれは兄の友人の秀才が教えてくれたからです。紙と
    鉛筆を持って来てと言われて持参したところ、行き成り数式のようなものを書き始め色々と書き
    続けた上で、14dBが限界だと教えてくれたのです。
    
     それ以来アウト付きの帰還量は14dBにするようになりました。大学に入ればそんな計算は直ぐ
    に出来るようになると思っていたのですが、大学の授業はそのようなテクニックではなくもっと
    アカデミックなものでした。唯「電子管工学」の授業で教授が発振回路について詳述してくれた
    お陰で「負性抵抗」の概念が身に付くようになったのです。発振回路そのものではなく、物理的
    な背景に重点を置いて教えてくれたのです。ですから、自作の帰還アンプが発振又はそれに近い
    状態になった時に、直ぐに「負性抵抗」の仕業だと直感出来たのです。安定不安定の判別をする
    より「負性抵抗」を直にコントロールした方が直接的で合理的だと考えたのです。それにしても
    アンプ製作に携わる人に幾ら説明しても「負性抵抗?」と言うだけで、一向に話が通じないので
    これは前途多難だと感じた事があります。電気の技術者でも「負性抵抗」の概念を知らない人が
    多かったのです。
    
     幸いな事に私は大学でコンピュータの演習を学べた一期生のようなものでしたので、計算機で
    数値解析をする事を仕事にしていました。其処で回路論で習った知識を総動員して常々疑わしい
    と思っていたエミッタホロワの入出力インピーダンスの実部が、高周波領域でどのような挙動を
    するか計算したのです。案の上、入力インピーダンスにも出力インピーダンスにも「負性抵抗」
    が歴然と存在したのです。それも何10MHz 以上と言う高周波領域です。これには、図書館で偶々
    見た「電子回路工学」の教科書の記述が大いに役立ったのでした。この結果を目の当たりにして
    この回路をキッパリ捨てる決意をし、それを2段コレクタホロワの100%帰還回路で代替する方向
    に舵を切ったのです。我が道を行くです。
    
     3.についてですが、オーディオには必ず音の良し悪しの判定が必要になります。当然、その
    人の聴感で判定しますが、問題はその判定法です。普通の人は「いい音」で鳴るかどうかで判定
    しますが、上記したように「いい音」の基準が曖昧で個人の好みが入り込みますから、客観的な
    判定が出来ない恨みがあります。私は相当前から「いい音」に直接注目するのを止めております。
    それは昔オーディオアンプに関する情報を交換していた先輩のI氏が、ピアノのある音階で耳が
    打ん殴られる音がする、と言ってバックハウスが弾く「熱情」の楽譜に印を付けて見せてくれた
    事があり、自分でもホルンの音で窓ガラスがビリビリと鳴る経験をしましたので、「嫌な音」に
    着目した方が客観的に判定できるのではないかと考えるようになったのです。事実ピアノの異音
    やホルンの共鳴音のような音に関して、I氏と共通認識が出来ていました。
    
     4.は、「嫌な音」に着目するにしてもお手本となるライブの音を正しく自分の耳に叩き込む
    必要があると考えるようになったのです。一つは「嫌の音」が殆どしないライブの音はどう言う
    音なのかを知って置く必要があった訳ですが、ライブの音は本当に心地良い音だけなのかと言う
    事も確認したかったのです。実際には必ずしもそうとは言えない事がありました。ショスタコの
    ある曲で耳を塞ぎたくなったからですが、そう言う音も再生音で再現できるのかどうかも問題に
    なるはずです。何れにしても「嫌な音」の判定の為にも自分の聴感を鍛える必要性を感じたのは
    言うまでもありません。高校のクラス会で偶々出会った日フィル合唱団員の勧めもあって、定期
    会員になる決意をしたのですが、自分でも12年間も続くとは思っていませんでした。サントリー
    ホールの改装で一時的に音響バランスが崩れ、この音響では聴く価値がないと判断したのですが、
    もし改装が無ければ、もっと続いていた気がします。しかし、最上席で12年間も定点観測すれば
    アンプの再生音の判定には十分な期間であったと、今は思っています。
    
     5.と6.ですがアンプの回路は「負性抵抗」を徹底的に追放する特許回路の採用とエミッタ
    ホロワの完全追放でほぼ固まっていましたが、それだけでは「嫌の音」の発生を完璧に防ぐ事は
    出来なかったのです。先ずは昔から気にしていたひずみ感の出るコンデンサーを使わないように
    さらに努力したのですが、直近の2〜3年で足踏み状態に陥ったのです。そんな時に偶々、試聴
    の前後で交換した線材に依って、高域の過渡ひずみ感に違いが出る事に気付いたのです。それが
    切っ掛けで、4N導線を選び抜けばひずみ感のない音のするアンプが作れる事が分かったのです!
    考えて見たら、これまで電源ケーブルやスピーカーケーブルのひずみ感には気付いていたのです
    から、当たり前の事であったのですが配線材と言う事が盲点になったのかも知れません。やっと
    「嫌な音」が殆どしないWRアンプが誕生したのです。もしも、聴感を鍛えていなかったとしたら、
    このワンチャンスを生かせなかった気がしてなりません。
    
     最後に7.ですが、ひずみ感が殆ど無くなったからと言って、それがライブの音に酷似してる
    かどうかの保証は何処にもありません。しかしもし、再生音がライブ感のある音だったとしたら
    再生が正しく行われた事になります。頼りは自分の耳だけです。12年間鍛えた聴感だけがモノを
    言うはずです。オケものを中心に、過去の著名な優秀録音を色々と聴いて見ましたが全て違和感
    なく聴く事が出来たのでした。つまり、録音側の意図が汲み取れたのです。遥か昔に一流オケが
    空間に放った音場が、ほぼ正しく我が家の試聴室に再現したのです。「高忠実度再生」と言うに
    相応しい音質レベルでした。「嫌な音」に着目し、それが無くなる方向にアンプの音を改善して
    行くと言う方法論が正しかった証です。この結果は人の好みが入り込む余地が殆どない状況下で
    生まれたものです。我田引水では決してなく同様に感じて頂けるユーザーの方が居られるはずだ
    とずっと信じて来ました。まだ事例は少ないですが「正にライブだ」とか「ロックの再生が一夜
    にして完璧と言えるような音の出方になった」と言うご感想を頂いておりWRアンプで再生された
    音は、非クラシック音楽を愛好する方々にも通用する普遍性がある事も分かって来ています。
    
     又昨年の秋に行いましたWRアンプを使ったレコードコンサートでは、聴きに来て頂いた普通の
    音楽好き(非オーディオマニア)の方々から、次のようなコメントを頂いています。
    
     ★目をつぶって聞いているとそこにオーケストラがいるような音。
    
     ★これほど美しく聞けるなんて、生演奏のように美しい、オーディオでここまで聞けるなんて。
    
     ★演奏会場にいるようで、1曲ごとに拍手をしたいくらいです。
    
     ★臨場感があり、素敵でした。ホール音響より素敵でした。
    
     ★クラシック、ジャズ、最高の音響で聞かせて頂きました。ジャズは特にプレーヤーの息遣い
      が伝わってくるよう。
    
    と言う具合に、何れのご感想もライブ会場でのご経験があり、それをイメージされて発言されて
    いるのがよく分かります。この事からも、WRアンプシステムはライブ感を味わうには最適なもの
    であると言えると思います。
    
     以上の事をお読み頂いて1.〜7.までとは、ほぼ真逆の方法で開発された既成オーディオと
    比較して、どちらの方が科学的且つ論理的且つ音楽的なアプローチであるかご判定頂ければ幸い
    です。オーディオは関係諸学会から見放されてはいますが、やはり「電子回路学」に関する技術
    である以上はもっと科学的に扱われるべきものであり、このように正しく再生される技術が開発
    されたのですから、眉唾もののアクセサリーが重宝がられるようなオーディオから早く脱却して
    欲しいと思います。また「音楽が心行くまで楽しめない!」とオーディオを見限った方も、是非
    もう一度カンバックして見ては如何でしょうか? 音楽好きの方なら人生楽しみが一つ増えると
    思います。

    2011川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Mon May 24 20:00:00 JST 2021
    バランス伝送は家庭のオーディオに本当に必要なのか、私なりに検証して見ました。
    
     WRアンプでも過去にバランス信号が扱えるプリアンプWRC-α1/FBALやパワーアンプWRP-αZERO
    /BALを販売していた事がありました。当時は何となくバランスの方が良いのではないか、と言う
    漠然とした考えだったと思います。まだ試行錯誤の途中で、オーディオアンプに何が必要なのか
    が本質的に分かっていなかった時期でしたので、ある意味仕方がなかったと思います。
    
     その後、アンプの根源的な問題を研究するには、アンバランスの方が手軽に試行錯誤出来ます
    ので、新型WRアンプはアンバランス型で行く決心をしました。その結果誕生したのがΕシリーズ
    です。シャーシも鉄からアルミになって身軽にアンプに手を入れられるようになりました。その
    結果、徐々にWRアンプは本質的な進化をし始めるようになりました。達成したところまでは確実
    に技術を把握して、元の木阿弥になる事が無くなって来ました。今思えば、一番大きかった事は
    配線材の取捨選択でした。
    
     勿論、6Nや7Nの話ではなく普通の4N導線の話です。ちょっと迂闊だったのですが電源ケーブル
    やスピーカーケーブルはきちんと選択して置きながら、配線材に特に注意を払わなかった事です。
    線材のメーカーに無頓着だったのです。しかし、ある切っ掛けから線材で音質、特にひずみ感が
    大きく異なる事に気付いたのです。WRアンプは徐々にですが音質向上が図れてましたから、線材
    による音質の差に気付けるようになっていたのでしょう。これが最後の突破口になり、ライブで
    聴くような心地の良い音でアンプが鳴ってくれるようになりました。
    
     私のアンプ研究の原点はあくまで「高忠実度再生」でしたから、アンバランスアンプで十分に
    目的が達成できる感触を掴んだのでした。勿論、線材以前の諸々の改善、例えばコレクタホロワ
    や高帰還等の諸技術及び高級フィルムコンの採用が有ったから達成出来たのであって、線材だけ
    に拘る技術は論外だと思います。現今では幾つかの適当な配線材を回路によって使い分け、過渡
    ひずみ感が殆どないアンプを作り上げる事が出来ています。しかし線材・部品の選択は、秀逸な
    聴感を有してないと出来ません。聴感の悪い技術者にはいい音のアンプは作れないはずです。
    
     そう言う私もサントリーホールの1階中央の最上席で12年間同じオーケストラの音を定点観測
    するまでは、大した聴感をもっていなかったのです。某オケの定期会員であった事もありますし、
    著名な外来オケが来れば積極的に聴きに行きましたが、その程度では微妙な過渡ひずみを見抜く
    事は出来ないと思います。やはり、最高の音がするホールの中央最上席でバランスの良いオケの
    音を繰り返し聴く必要があります。音量が大き過ぎる前の方の席は絶対駄目です。冷静には聴け
    ないからです。
    
     聴感は基本的には生の音で訓練すべきですが、今現在のWRアンプシステムが理想的に動作して
    いる環境であれば、ソース源の質にもよると思いますがある程度訓練できると思います。徐々に
    聴感が良くなって行くと思います。逆に、神経を逆なでされるような嫌な音がするアンプで音楽
    を聴き続けていますと、微妙な音に気付けない聴感になってしまうと思いますから、要注意です。
    聴感と言う問題はオーディオでは避けて通れない問題のはずですが、これまで聴感に言及される
    事が少な過ぎたと思います。自身の聴感を横に置いた評論は余り意味がないと思います。
    
     アンプの音質に関してよく言及される内容は、全て如何に良い音かと言う表現です。良い音の
    定義はありません。個人差が大きいからです。これを真っ向から追求するオーディオが科学から
    外れる所以です。しかし悪い音=嫌な音の定義は明らかです。誰の耳にも不快に感じる音の事で
    あり、本来音楽信号に含まれる事が許されない音です。定義の無い音を幾ら実現しようと思って
    見ても原理的に不可能です。良い音は正しく動作するアンプを作りさえすれば付いて回って来る
    ものだと私は思います。それよりは定義が明確で殆ど個人差の無い悪い音を取り除く事を考える
    べきだと思います。耳を不快にする音は、私がよく口にする過渡的なひずみです。音楽信号から
    明らかに外れた部分と言い直しても良いかと思います。極端に言えば、アンプから過渡ひずみを
    完全に除去出来れば、自ずと音の良いアンプになるはずです。
    
     さて本題に戻りますが、上述したようなアンプシステムが完成して分かって来た事があります。
    バランスのソース源は、例外を除いて一般的にはアンバランス信号です。LP盤もCD盤もそうです。
    バランス伝送するには何処かでアンバランス−バランス変換を行う必要があります。スピーカー
    も一般にはアンバランス信号で動作します。従ってバランス伝送およびバランス増幅した信号を
    逆にバランス−アンバランス変換する必要があります。しかし、その過程でホットとコールドの
    信号に微妙な音質差が生じる為、最後に合成されたアンバランス信号には、僅かな過渡ひずみが
    生じて来ます。これが問題なのです。
    
     同じように作ったアンプにも必ず個体差が出ます。幾つもの部品が重なり配線材にも何らかの
    違いが出るからで避けて通れない問題です。又、変換回路には必ず反転増幅が必要になりますが
    それに使われる演算増幅器の正相増幅と逆相増幅との間で、音質が変わらないと言う保証は何処
    にもありません。従って、ソース源からスピーカーまでの道中でホットの信号とコールドの信号
    に微妙な音質差が生じる事は十分あり得る事になります。微妙な音質差とは、現今のWRアンプで
    聴けば気が付く程度の違いですが、問題はその音質差ではなく2つの信号が最終的に合成された
    時に生じる過渡的ひずみです。特に再生の難しい音源では波形が複雑になる為、その過渡ひずみ
    感に気付き易くなります。この問題はバランス増幅固有の問題であり、アンバランス増幅ならば
    個体差程度で済む話なのです。
     
     この事実にはこれまでに既に気付いていましたが、今回この事がハッキリ分かる出来事があり
    ましたので、黙っているのも罪だと思い正直に書く事にしました。実は最近、バランス入力のみ
    のWRP-α120/BAL のご注文を賜り既に納入は済んでいますが、その動作確認の試聴時にこの事を
    体感したのです。勿論、変換回路を含めてSEコン化されています。テスト試聴の為に、バランス
    出力をもった旧型プリを急遽引っ張り出して来て、慌てて整備したのです。SEコン化以外は全て
    手を打ち、ポール・モーリア程度の難易度のソースならば十分聴けるようになりました。しかし
    それより録音の古いマントバーニでそれが露呈したのです。この録音の再生は非常に難しく現在
    版権を所有してるユニバーサル盤ではそもそもひずみ感が多くて楽しめないのですから、如何に
    この音盤の再生が難しいかが分かろうと言うものです。
    
     この事は以前に掲示板に書いた通りですが、偶々所有していた「MOOD MUSIC」と言うタイトル
    の2枚組CDが聴けるのです。CD番号はE-TWE16 でEYEBIC INC. が発売したCDで一種の廉価盤です。
    しかし、音質は本家より良いのですから、オーディオは難しいはずです。これとほぼ同等の音質
    であるキング盤は、残念ながら私の注目する以下の5曲中の2曲が未だ集められていません。
    
     1)ムーラン・ルージュの歌
    
     2)モナ・リザ
    
     3)魅惑の宵
    
     4)グリーンスリーブス
    
     5)シャルメーヌ
    
     ハッキリと気が付いたのは4)の再生中でした。明らかに高弦にひずみ感を感じ取ったのです。
    まるでユニバーサル盤を聴いているような感じです。この録音はもう少し聴き易かったはずです。
    そこで、我が110W機を引っ張り出して比較試聴して見ました。愛機も一応バランス入力を有して
    いますので、ほぼ同じ条件で試聴出来たはずです。しかし同様に明らかなひずみ感が感じ取れた
    のです。旧型プリがSEコン化されてない事もありますが、私はひずみ感のあるセラミックは使い
    ませんし、SEコン化との音質の差はひずみ感の有無ではなく楽器の質感の差ですから、旧型プリ
    のみに原因があるとは思えません。取り敢えず、もう一度アンバランスプリである我がΕC-1Hで
    聴き直す必要があると思いました。
    
     確かに、録音が1958年ですから多少の問題点はあるにしても、明らかなひずみ感はありません。
    十分楽しめるストリングスの音です。マントバーニが相当の腕利きを集めたのが良く分かる弦の
    音です。後継者が新録音をしても叶うはずもありません。改めて「何と素敵な音楽だろうか!」
    と感動した次第です。だから、真に「高忠実度再生」を可能にするオーディオアンプシステムが
    必要になるのです。それにはアンバランス方式の方が面倒な問題が無いだけ有利になる、と私は
    思うのですが、まだそう感じているのは私だけですから、仮説の域を出ていないと言えるのかも
    知れません。
    
     逆に言えば、家庭のオーディオに於けるアンバランス伝送の何処に問題があるのでしょうか?
    録音現場や放送局等では信号ケーブルを長く引き回す事が多い為、バランス伝送の必要性がある
    事はよく分かります。その為に、筐体が大きくなっても価格が倍程になってもプロ用ならば仕方
    がありませんが、個人の趣味用であるならば、コンパクト且つ安価の方が良いに決まっています。
    アンバランス伝送で唯一心配なのは、信号ケーブルを長くした場合でしょう。しかし3m〜5m程度
    のRCA ケーブルならば、WR製のRCA 接続ケーブルを用いれば何の問題もありません。私は昔から
    この方法でプリ−パワーアンプ間を結んでいますが、ノイズ誘導の問題も音質劣化の問題も全く
    心配する事なく、「高忠実度再生」が楽しめています。 

    2010川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Fri May 7 00:00:00 JST 2021
    昔の洋盤には懐かしい音楽がいっぱい!!
    
     内の上さんは、台所仕事をする時は大体ラジオを点けてBGM 代わりに聴いています。余り好き
    ではない食事作りのストレスを軽減しようとしてるようです。しかし、最近のラジオから流れる
    音楽には、癒されるより余計神経が疲れてしまうようで、昔バブルの頃に購入して今は全く使用
    してないミニコンポで適当なCDを再生するようになりました。相当昔から台所に一応ステレオが
    置いてありました。
    
     ミニコンポと言ってもパイオニアの小型CDプレーヤーに超小型のオンキョーのアクティブSPが
    繋がったもので、聴き易いラジオ品質の音で鳴るようにわざわざモノにしています。アンディ・
    ウィリアムスやナット・キング・コール将又フランク・シナトラ、パットブーン等のCDを代わる
    代わる聴いていますが、毎日のように繰り返し聴いていれば、当然飽きて来ます。何か無いかと
    言うので、これも相当昔に購入した、我々の若い頃に盛んに放送された洋盤アワーでよく流れて
    いた曲が網羅されてるCDセットを持ち出して掛けて見る事にしました。この手のものはカセット
    も含めると少なくても3セットくらい有ります。それぞれが20曲程度収録されたCD又はカセット
    が10〜15程度で1セットになっています。
    
     洋盤アワーにはS盤、L盤、P盤アワーが有って、それぞれが誇るヒット曲を聴かせてくれた
    のです。S盤アワーの開始曲はペレス・プラードの「エル・マンボ」で、終了時の曲はラルフ・
    フラナガンの「唄う風」でした。L盤アワーのテーマ音楽は、パーシー・フェイスのそのムード
    タップリの「恋をして」だったと思います。P盤アワーの主題曲は、ベルト・ケンプフェルトの
    「星空のブルース」で、その放送局はラジオ東京、文化放送、日本放送だったと思います。洋盤
    の頭文字はそれぞれビクター、コロムビア、ポリドール社が発売するSPレコードの愛称だったの
    です。私の小学生の頃のSP盤は1枚\350が相場でした。我が家には、親父が戦前から集めていた
    東海林太郎や松平晃などのSP盤は沢山有ったのですが、戦後のアメリカ音楽を中心としたヒット
    パレードに登場するような洋楽は皆無でした。しかし我が家には昔から社交ダンスをする習慣が
    あり、古賀メロディーでダンスをするのもピンと来ないので、近くのレコード屋に洋楽を買いに
    行く事がありました。
    
     今でもよく憶えているのが、パティ・ページの「チェインジング・パートナー」です。中学の
    2年頃だったと思いますが兄が英語の勉強になるとか言って、歌詞カードを見ながら一緒に歌え
    と言うのです。SPレコードの再生に慣れていた私が、音のクリアなコロムビア製の電蓄にセット
    して何回も繰り返し聴いたのです。レーベルはマーキュリー盤だったはずですが、上記3社以外
    のレーベルが有ったのかどうか定かではありません。兄の友達に洋盤を沢山所有してるお金持ち
    が居て、我が家で行うダンスの為に提供してくれたのです。一つは兄が作った大型装置で聴いた
    方が聴き堪えがあったから持って来てくれたのかも知れません。
    
     装置のソース源は、主にラジオ放送でしたが、兄が古いモーターとオイル・ダンプ・アームを
    組み合わせて、一応SPの他にLPとEP盤が再生出来る状態になっていました。アームには当時安価
    であったクリスタル・イヤホンの中から取り出したロッシェル塩に、レコードの替針を接着した
    簡易クリスタル・ピックアップが付いていたのです。そのテスト盤にと当時流行っていたビル・
    ヘイリーと彼のコメッツが演奏する「ロック・アラウンド・ザ・クロック」のEP盤を買ってきて、
    散々テストを兼ねて聴いたのです。勿論、モノですが低音のリズムの切れがよく、当時流行って
    いた「Hi-Fi 」で楽しく聴いていました。確かデッカ盤でしたが、今にして思えば英デッカでは
    なく米デッカだったはずです。名称が競合する為に、英デッカはアメリカでは「ロンドン盤」と
    称して長い間LP盤等を発売したのでした。
    
     友達から多くの洋盤を借りられたのでキング・コールの「トゥー・ヤング」、ダイナショアの
    「ボタンとリボン」将又ドリス・デイの「アゲイン」、パティー・ページの「テネシーワルツ」、
    ハンク・ウィリアムズの「ジャンバラヤ」等、当時流行っていたヒット曲を聴く機会に恵まれた
    のでした。小学生の頃は日本の流行歌よりクラシック音楽が良いと思ってたのですが、これらの
    曲のもつ親しみ易さに魅了されクラシックを聴く事は殆どなくなってしまいました。勿論、当時
    のラジオ放送は、これらのヒット曲を盛んに放送していましたので、ラジオからも吸収して行き
    ました。記憶に残っている番組は志摩由紀夫の「ポポン・ミュージック・レター」で、浦川麗子
    さんのソフトで優しい語り口も印象的でした。志摩由紀夫は深夜の「イングリッシュ・アワー」
    も担当していたと思います。「イングリッシュ・アワー」でも色々アメリカの音楽を聴きました
    が、担当は三国一郎(当時は国一郎と称していた?)と交代だったと思います。
    
     又、中学の頃には既にラジオを自分で組み立てて音楽を聴いていましたが、衝撃的に聴こえた
    のがペレス・プラードが演奏するマンボNO.5やセレソ・ローサです。マンボなんて言うリズムは
    聴いた事が無かったからです。ラテンは、ザビア・クガートの「マイアミ・ビーチ・ルンバ」は
    既に聴いて知っていましたが、ルンバのリズムはもう少し穏やかだったのです。パット・ブーン
    の「砂に書いたラブレター」が流行ったのは中学から高校生に上がったばかりだったと思います。
    当時パット・ブーンは既にEP盤で発売されてたと思います。レーベルは確かDot と言うレーベル
    だったような気がします。中学の英語の先生が遠足の観光バスの中で、余興に「ジャンバラヤ」
    を歌ってくれたのが、今でも鮮烈に思い出されます。この曲は「ボタンとリボン」と共に言って
    見れば、当時は誰でもが口遊む音楽だったのです。
    
     また、何故か中学生なのに秀才の友達と「ケイン号の叛乱」と言う映画を見に行ったのですが
    その時に予告編だったと思いますが、ハンフリー・ボガード絡みだったのかエバ・ガードナーの
    「裸足の伯爵夫人」の映像が映し出されて、そのバックにユーゴー・ウィンターハルター楽団が
    演奏する「裸足のボレロ」が流れたのでした。この曲も当時流行っていて、兄が製作した電蓄の
    テスト盤として、この曲の入ったLP盤を借りて来ていましたので、既に耳に馴染んでいたのです。
    何とも言えぬボレロのムードが漂うこの曲に魅了された覚えがあります。この曲も当然CDセット
    の中に入っていますので、WRアンプのアップグレード中に聴いていると、もしもこの曲が最新の
    録音で我が装置で聴けたなら良いな、なんて思ってしまいます。実はアップグレード等の作業は
    台所と一体の居室で行っていて、スピーカーの後面からの音が聴こえて来ます。粗が目立たない
    ので、古い録音を聴くには絶好の聴取位置です。
    
     高校生の高学年になると当時はまだまだ高嶺の花だったテレビ受像機を、測定用オシロに写し
    出す回路がラジオ雑誌に載っていたので、何とか作り上げて見たいと思い、秋葉原で部品を買い
    集めて、半ば執念で小さな緑色のオシログラフ上にテレビ画像を映し出すのに成功したのでした。
    当時のテレビ放送は、夜が更ける頃にはテストパターンに移行して、バックに気の利いた音楽を
    流していました。その時になんて洗練された音楽だろうか!と引き込まれたのがマントバーニの
    演奏する「魅惑の宵」「シャルメーヌ」「ムーラン・ルージュの歌」などです。テレビ放送のFM
    の音声は、高域が伸びていて凄く綺麗に聴こえ、これまでラジオでしか聴いた事のなかった音と
    一線を画すものでした。マントバーニはムード音楽の先駆者だったのです。
    
     大学に入学すると授業を適当にサボり、友達と新宿で映画をよく見ましたが、ヘップバーンの
    「昼下がりの情事」の「魅惑のワルツ」とか、アランドロンの「太陽がいっぱい」のテーマ音楽
    とかこれ又沢山あります。勿論、アメリカ映画の主題曲が多いですが、フランス映画の主題曲も
    無視できないくらいあります。この2つの映画もそうですが、自分が見たもの例えばジェームス
    ・ディーンの「エデンの東」の音楽は心に残ります。ビクター・ヤングの有名な演奏が機会ある
    毎に流れていた時代でした。ブラームスの交響曲第3番の馴染み易い第3楽章のテーマが使われ、
    イングリッド・バーグマンとイブ・モンタンが共演した「さよならをもう一度」のテーマ音楽も
    忘れられません。もう一つエルビス・プレスリーの主演映画「ブルーハワイ」でのプレスリーの
    歌唱も、「監獄ロック」や「ハートブレイク・ホテル」とはまた違った一面が見れて良かったと
    思います。
    
     テレビ放送が盛んになって来ると、日本の歌手達もアメリカのヒット曲を日本語の歌詞で歌う
    ようになります。確か、坂本九がジミー・ジョーンズの「グッド・タイミング」をアレンジして
    「ステキなタイミング」と言う日本語歌詞で歌っていましたし、森山加代子は「月影のナポリ」
    や「悲しきインディアン」を、やはり日本語歌詞で歌っていました。原曲を先に聴いているので
    若干の違和感をもって見ていた気がします。ソロ歌手の他にもコーラスグループが活躍しだして
    いました。男性4人のデルタ・リズム・ボーイズの「ドライーボンズ」をデューク・エイセスが
    歌いましたし、パーシー・フェースのヒット曲「夏の日の恋」を女性3人のスリー・グレイセス
    がカバーしていました。
    
     特に印象的だったのはダイヤモンズが歌って大ヒットした「リトル・ダーリン」を伊藤素道と
    リリオ・リズム・エアーズがコミックに演技しながら歌っていた姿や、フランキー・レインの歌
    でヒットした「ローハイド」を、同じく伊藤素道とリリオ・リズム・エアーズがスリッパを持ち
    出して効果音として使うと言う前代未聞の演技?で、面白く見せていた(歌っていた)のが脳裏
    に焼き付いています。
    
     一浪して大学に入った頃にはクラシックにも名演、名録音が出て来た事と、徐々にヒット曲も
    減って来ましたし、曲調にも変化が出だして2拍子の音楽が増えて来ました。大きな切っ掛けは
    ビートルズの台頭ではないかと思います。世の中のダンスにも変化があり、ツイストとディスコ
    の時代に突入して行きました。社交ダンスをやっていた身としてはツイストは抵抗があり面白味
    には欠けると思ったのです。大学を卒業する頃には、こうした青春時代の一時期に集中した音楽
    の趣味も卒業したのでした。東京オリンピックが開催され日本も高度成長の時代に突入する時期
    に差し掛かかっていて、音楽業界も何時までもアメリカのヒット曲に頼らなくなっていたのです。
    外来ヒット曲に夢中になっていたのは10年に満たない期間でしたが、この間に聴いたヒット曲は
    200 曲を優に超えると思います。その証拠に、上述したCDセットには1枚に20曲として、10枚で
    200 曲、15枚セットなら 300曲も納められています。此処に紹介出来たのはほんの一部です。
    
     改めてCDセットを聴いて見て、知らない曲や殆ど馴染みのない曲は例外的で、殆どが懐かしい
    と思えるヒット曲だったのです。曲調は多彩であり上述した通り、男性ボーカル、女性ボーカル、
    オーケストラあり、コーラスありで、その多くは社交ダンスの出来る4拍子の音楽で占められて
    いましたが、中には3拍子のワルツ、2/4 拍子のタンゴ、将又ルンバ、マンボ有りで、リズムも
    多彩でした。タンゴで思い出す曲はリカルド・サントスの「真珠取りのタンゴ」でしょう。戦前
    にアルゼンチンからヨーロッパに渡ったタンゴが、独自のタンゴになったのがコンチネンタル・
    タンゴでこの曲はそのスタイルで演奏されています。アルゼンチンタンゴに比べ流麗で日本でも
    当時未だ人気がありました。代表的なのがアルフレッド・ハウゼ楽団で特に「碧空」は有名です。
    戦後、世界で大ヒットした魅力的な音楽が身近にあった頃に、青春時代を迎えられた事は何にも
    代え難い貴重な体験だったと思います。歴史に残る偉大なアーチスト達の作り出す音楽に触れる
    事が出来て、本当に良き昭和の時代を過ごせたと思います。
    
     最後に、これらのCDを我が装置で聴いたらどんな音で鳴るのか試して見ました。下手な装置で
    ラジオ品質のソースを掛けると、粗ばかり目立ってとても聴いて居られないと言う事があります。
    勿論、音量をラジオ並みに絞って聴いたのですが、普通に楽しめる事が分かりました。WRアンプ
    システムはソースの力量を正に有りの儘に表現するオーディオ装置なのです。最近聴いた諸々の
    ソースの体験から半ば予想していた事とは言え、結果が的中してWRアンプシステムには最早矛盾
    や齟齬は存在しないと言える気がして来ました。  

    2009川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sun Apr 11 13:00:00 JST 2021
    復刻版WRP-α9/A → WRP-α9/ANが完成しました!!
    
     前稿で予告させて頂きましたが、未だやり残したところのあった既にディスコンの WRP-α9/A
    の復刻版を新規に製作し、気になっていましたヘッドホン端子に於ける残留ハムノイズを一気に
    15μV(DIN:AUDIO)に下げる事に成功しました。基本的にはHP端子の位置を右に35mm程移動した
    事が功を奏したと言えます。又、これに伴いスピーカー端子の残留ハムノイズも左右共に同等の
    レベルに下げる事ができました。この事は構造が同じのΕ-5H の残留ハムノイズも下げられる事
    を意味しています。
    
     前稿での測定で、スピーカー端子に於ける残留ハムノイズも余り芳しい値になりませんでした
    が、実はΕ-5H になってから測定した結果でも、普通はトランスからは遠く有利なはずの右chの
    値がどうしても18μV 程度にしか落ちない事に気付いていました。仕様は15μV ですが実用的に
    殆ど問題のないレベルでしたのでこれまで不問にしておりました。今回良い機会ですので、この
    原因も同時に追求して見たのです。
    
     この件は結論的に言えば、安定化電源の中点からシャーシのアース端子まで引き回すアース線
    の問題でした。このアース線の引き回し方は当然ながらHP端子の残留ハムノイズにも影響します
    から、先ずはこの問題を先に解決する必要があると考えました。右chの残留ハムノイズレベルを
    観測しながら、その引き回し方を色々変えて見たところ、今回は14μV まで落とせる引き回し方
    が存在する事が分かりました。勿論、左chも同じレベルまで下がりましたので、この引き回し方
    に固定し、HP端子の残留ハムノイズの測定に移りました。
    
     測定法はソニーのMDR-CD900 のヘッドホンプラグのねじを外し、左右の電極を露出させて交流
    メーターでヘッドホンに供給される残留ハムノイズ電圧を計測しました。最初は問題外の 30μV
    程度まで上昇していました。SP端子のほぼ倍です。これを下げるには前稿でも少し触れたと思い
    ますが、HP端子のアース端子から安定化電源の中点まで引き回すアース線の経路を工夫するしか
    他に方法はありません。アース線を所謂ワンターンコイル状にしてそれをトランスの方に向けて
    翳すのです。コイルの巻き方で位相が、トランスまでの距離でレベルが変わりますから、ハムの
    レベルが下がるように巻き方とトランスからの距離を色々変えて、ハムレベルが下がる引き回し
    方を探りました。最初のトライでドンピシャの方法が直ぐに見つかりました。何とSP端子と同等
    レベルである14μV まで左右共にハムレベルを下げる事に成功したのです。このアース線はSPの
    方には影響しませんので、これで確定です。
    
     これは上級機のWRP-α9 と同等のレベルで、例外を除いてこれまでWRのプリ系では、これ以上
    低く出来ないハムノイズ電圧です。MDR-CD900 ではハム音を確認出来ない程のレベルです。私は
    イヤホンを持ち合わせていませんが、イヤホンでも普通に音楽を聴くには問題ないと思われます。
    これで、スリーインワンアンプとしてどの機能も胸を張れるようになりました。では改めまして
    各機能を説明させて頂きます。
    
     先ずはパワーアンプとしての機能です。これはΕ-5H と同等ですから、今更ご説明の要もない
    と思いますが、今回は試聴時に音質の確認がし易いように高級部品化も併せて施工してあります。
    その結果、当然ですが「WR標準」が認定されております。この音質がどの程度かと申し上げれば
    能率97dBのスピーカー(B&W805MATRIX)を8畳の洋間で鳴らした場合、十分な音量でライブ感を
    感じながら音楽が楽しめる状態です。例えばポールモーリアのようなストリングスがハイレベル
    で活躍する音楽でも、その他の金管などの楽器が潰れたりしないで適当なバランスで眼前に展開
    されて来ます。正に圧巻です。勿論、我がWRプリを使っていますが、このパワーアンプから出た
    音に違いはありません。
    
     この延長線上のお話しとしてご理解頂けるかと思いますが、これだけの音質のパワーアンプの
    出力端に抵抗などを経由せずに直にヘッドホンが接続されるのです。良い音がしないはずがあり
    ません。スピーカーは勿論ですが、ヘッドホンも超低出力インピーダンスのアンプで駆動すべき
    なのです。どんな逆起電力が発生してもアンプの方がビクともしない必要があります。名前こそ
    表向きヘッドホンアンプではありませんが、どんなヘッドホンアンプが来てもそう簡単に負ける
    事はないと思っています。
    
     最後にプリとしての機能です。WRP-α9 の標準より上の能力を有しています。理由は WRP-α9
    の標準型は安定化電源ではないからですが、WRP-α9/ANは最初から安定化電源動作ですから音の
    切れが違います。パワーアンプと違ってプリは大きな電流変化がありませんが、それでも電源は
    直流域から高周波域まで出力インピーダンスが平坦且つ低い電源を用いるべきなのです。どんな
    電子回路も電源インピーダンスを考慮した解析はされていません。解析結果をそのまま利用する
    のであればその前提条件を守る必要があります。そんなの無視できる程だから不要だと仰るので
    あれば、正しく動作する安定化電源を用いて試聴して見るべきです。但し3端子や帰還の不安定
    な安定化電源を用いて試聴したとしても、これまでの常識を覆すほどの結果は得られないと思い
    ます。
    
     ところでWRP-α9 の標準型がWRP-α9/ANより劣ると書きましたが、WRP-α9 の標準型は発展性
    が有りますので、アップグレードする事でWRP-α9/ANを完全に追い抜く事が出来ます。その一つ
    がWBC搭載機能です。スピーカーの慢性的低域不足をお感じになっていらっしゃる方には是非
    WBC搭載可能なモデルの方をお勧めします。もう一つ付け加えるならば、LP試聴には不可欠な
    EQ基板が搭載できます。WRのEQ基板は大変評判が良く、特に入手不可になるSEコンモデルは絶品
    です。
    
     最後にWRP-α9/ANの価格です。部品点数からすれば、Ε-5H より高価格にするべきなのですが、
    これまでの経緯を考慮して、\49,800 とさせて頂きます。当然、薄利になりますが入門用やプリ
    無しでお聴きの方に簡易型のプリとして気楽に使って頂きたいので、この価格としました。但し、
    限定品とさせて頂くかも知れませんが、この辺りはまだはっきりと決めている訳ではありません。
    暫く様子を見てからにしたいと思っています。
    
     今回の試作品は高級部品化までしてありますから、本来ならこれに\17,000 だけ上乗せになり
    ますが、試作品でもありますから今回は特別に\5,000高=\54,800 にてお分けする事に致します。
    Ε-5H 等をご検討されていらっしゃる方には魅力的なアンプではないかと思います。気になる方
    は、下記のアドレスまでメールで連絡を頂くか、お電話をして頂いても結構です。メールが届か
    ない恐れもありますから、応答がない場合は別のメアドをご利用下さい。
    
     メアド:kawanisi@west.wramp.jp または westriver_audio@yahoo.co.jp
    
     電話:  042-683-0201  
    
    
    注)近々にWRP-α9/ANの外観写真を掲載しますが、それまでは左側にある「標準型プリアンプ」
      にアクセスして頂ければ、WRP-α9/ANの仮写真が載っていますので参考に為さって下さい。
      HP端子の位置が右側に35mm程ずれましたが、外観はほぼ同じです。

    2008川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Apr 1 22:00:00 JST 2021
    WRP-α9/A と言う名のアンプをご存知でしょうか?
    
     今現在のΕ-5H と同じシャーシに組み込んだ、WR初のヘッドホンアンプでした。それだけでは
    詰まらないと言う事で、パワーアンプとして又簡易プリとしても使えるようにした謂わばスリー
    インワンアンプに仕上げられていました。価格がこれまでのWRアンプの中では最低の\39,800 と
    言う事もあって結構な台数が売れていたのですが、作れば作る程赤字になると言う事から廃品種
    になってしまったのです。
    
     この時には既に準コン基板を使ったWRアンプは存在していましたが、ゲインが今のように12dB
    ではなく、旧型アンプから引き継いだ26dBだったのです。これだけのハイゲインではS/N の良い
    ヘッドホンアンプを作るのには無理があります。そこで、ゲインを一挙に1/5(-14dB)に落とした
    のです。つまり14dBだけ帰還量を増やしたのです。普通の帰還回路で14dBも帰還量を増やしたり
    すれば、発振したり、発振はしなくても不安定になって使い物にならないのが相場です。
    
     WRアンプの場合は、帰還に依って生じる負性抵抗を完全に回避する事を可能にする特許回路を
    2つ搭載していますから、補償回路に少し変更を加えただけで、この難問を乗り切る事が出来た
    のです。これは準コン回路に取っては非常に画期的な事だったのです。帰還量が5倍に増えれば、
    アンプのひずみやノイズは1/5 に下がりますし、出力インピーダンスもその分だけ低くなります
    から良い事尽くめなのです。私がよく言う「高帰還アンプ」のメリットです。
    
     元々、帰還は性善説に立って考案されたものですからこの結果は当然なのですが、これまでの
    オーディオでは、帰還は、寧ろ悪者扱いされて来たのではないでしょうか? 特に帰還量の多い
    TRアンプで音が硬直するとか引き攣るとか詰まるとか、と言う表現が多用されて来たと思います。
    だから一度は見限った真空管アンプに縋る人が続出したのです。それは今でも解消されていない
    ように思われます。
    
     確かに、真空管アンプは裸の特性が良いので帰還に頼らなくても、そこそこの音は出ると思い
    ますが、万能なアンプにはなり得ません。ある種の音楽は心地良く聴ける場合があると思います
    が、再現の難しい音楽になると途端に馬脚を現すはずです。それは、スピーカーを正しく定電圧
    駆動できる程に、出力インピーダンスが下がり切らないからです。どんな大型真空管を使っても
    無理なのです。
    
     それは兎も角ヘッドホンアンプを開発した事で準コン回路の帰還量を5倍に増やす事が出来て、
    結果として、ライブの音を再現する事が出来るアンプに成長出来たのです。これに気を良くして、
    旧型アンプで採用して来た純コン回路の方も1/5 にゲインを落とし、新αシリーズとして新たに
    旧型アンプも生まれ変わったのでした。
    
     このようにWRP-α9/A はWRアンプの運命を変えるような意味を持っていたのです。当時は赤字
    なら仕方がないと諦めたのですが、未練があった事は否定できないところです。その後、ずっと
    このアンプの事は忘れていたのですが、最近になってこのアンプの修理とアップグレードの仕事
    が舞い込んだのです。修理と言ってもVRのねじが緩んで空回りした事から、音が途切れるように
    なっただけでした。当初、WRP-α9/A は安定化電源を搭載してませんでしたので、出力も2W程度
    しか出ませんでしたが、このアンプは一度アップグレードされていて、安定化電源が搭載されて
    おり、出力はΕ-5H 並みになっていました。
    
     しかし、線材交換、Vishay化を含む高級部品化、そして安定化電源の高帰還化が未実施でした
    ので、ご意志を確認して完全アップグレードの作業に入らせて頂きました。これに依って当初の
    WRP-α9/A とは基本機能こそ変わらないものの、アンプの実力は飛躍的に向上したものになった
    のです。パワーアンプはΕ-5H +高級部品化と互角になり、それに基づいたヘッドホンアンプは
    並みの市販ヘッドホンアンプが敵にならないレベルです。又プリとして使用してもラインアンプ
    が無いものの送り出しアンプはWRP-α9 の完全アップグレードと同等となり、風袋に似つかない
    実力を獲得したのです。この実力は実際の試聴でも確認されています。
    
     確かに、諸特性は向上しましたが一つだけ問題が残りました。それは小さなシャーシに無理に
    詰め込んだ関係で、HP端子の位置が電源トランスの間近になってしまった事です。リレー基板の
    スピーカー端子から出たビニール導線は、このHP端子を経由してアンプのSP端子に戻りますから
    多かれ少なかれトランスの漏れ磁束の影響を受けてしまい、ヘッドホン試聴の場合にどうしても
    残留ハムノイズが残ってしまいます。ヘッドホンとして標準的なソニーのMDR-CD900 でモニター
    しても有意に分かるレベルです。今回は仕方なく、HP端子のアースラインを長くしてワンターン
    回路をトランスの上に張り付けてハムが最小になるように細工して、何とか実用的に問題のない
    レベルに下げてあります。
    
     当時はこの件について余り気にしていませんでしたが、何とかHP端子をもう少し有利な位置に
    移す事は出来ないか検討して見たいと思うようになりました。そこで、このプロトタイプであり
    現在は貸出アンプになっている5Wアンプの中を開けて検討して見た結果、35mm程右にずらす事が
    可能である事が分かりました。あとは試作機を作って実際に確認するしかありませんが、何とか
    復刻させたいと思っていましたので、大した費用でもないので実行に移す事にしました。現在は
    シャーシデザイン及び基板の製作の真っ最中ですが、完成したらまた報告致します。
    
     もし成功しましたら、適当な価格でお譲りしたいとも考えております。そして、限定生産でも
    良いのですが、ご希望の方に頒布させて頂ければと考えています。入門用のパワーアンプおよび
    ヘッドホンアンプとして優れたアンプである事は勿論ですが、パワーアンプは購入したけれども
    未だプリまで手が回っていない方に簡易型プリとして使って頂けたらと思っています。 WRP-α9
    の標準型の価格以下でそれ以上のパフォーマンスが得られる事が保証されていますから、将来性
    は兎も角としても、最小の費用で「WR標準」に近い音質で音楽を楽しんで頂けるようになる、と
    踏んでいます。どうぞ、ご期待下さい。
    
     最後に、懸案事項であるSEコンについて、一言だけ付け加えさせて頂きます。前稿で、猶予は
    「半年くらい」と申し上げましたが、それはこれまでの様子から判断した事であり、貴重なもの
    が消えて行く時には先が読めない事が必ず起きますので、ご都合が付く方はなるべく早めに実施
    為さる事をお勧め致します。  

    2007川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Tue Mar 23 15:00:00 JST 2021
    突然ですが、ついに来るべきものが来てしまいました。−−−SEコンが廃品種に!
    
     上質なライブの音を再現するWRアンプを作る上で必要とされるSEコンが、来年3月には完全に
    出荷停止になるようです。発注は今年の6月に締め切られるそうですから、事実上今年の前半で
    これまで通りの生産は打ち切りになります。仮に多めの注文を代理店さんがしてくれたとしても
    あとは在庫限りと言う事になります。
    
     厄介な事に必要な容量値が多岐に及びますから、大袈裟に言えば1個のSEコンが入手できない
    ばかりに最高の音を出すWRアンプは製作不能に陥ります。少し甘く考えれば猶予はあと1年位か
    と思われますが、出来れば半年後にはSEコン化の決断をして頂いた方が無難だと思います。勿論、
    セラミックコンでも我慢出来ない訳ではありませんが、聴感が訓練されて微細な音の違いに目覚
    められた方には、多かれ少なかれ不満が残る事になると思います。例えば、前々稿に出て来ます
    岡山のT.N.さんのご感想に
    
    ★音の再現度は高いのに、うるさくならず、魅力的な音がどんどん飛び出してくる
    
    と言う行がありますが、SEコン化されていなければ、こうは成らなかっただろうと思います。
    
     ではSEコンの完全なる代替品は存在するのでしょうか? まだ調べ尽くした訳ではありません
    が、答えは「NO!」です。その理由を挙げて見ますと
    
    1.ルビーマイカと呼ばれる天然の最高級雲母を使用したマイカコンデンサーは皆無に近い事。
    
    2.仮にそうしたマイカコンデンサーが存在しても、容量値と形状に問題があり使用不能な事。
    
    と言う事で、代替品は望み薄となります。逆に言えば、どんな容量でも基板に実装できる種類が
    十分に用意されていたSEコンは、稀有な存在だったと言う事です。
    
     これはあくまでも私の推測ですが、SEコンは元々民生用に開発されたものではなくて、例えば
    電電公社とか国際電電とかが業務で必要な機器を民間会社に発注する際に、長期間に亘って性能
    を維持する為に精密で安定性のあるSEコンを使わせたのではないかと思います。しかし、技術の
    進歩から製法も様変わりして、新しいコンパクトな機器に取って代わられた事は想像に難くあり
    ません。全ての機器が同時に交換される事はないとしても、それが徐々に進んで、もう保守部品
    としてSEコンを用意して置く必要性も無くなったと言う事ではないでしょうか。オーディオ用途
    は、そもそも、そのお零れを頂戴していたに過ぎないのです。双信に取って、SEコンはお荷物に
    なってしまったのでしょう。
    
     しかし、SEコンの本当の良さが分かった今にして見ますと甚だ残念でなりません。このような
    優れたマイカコンデンサーは他に類を見ないからです。多分、世界広しと言えども日本以外には
    存在しないと思います。耐圧が500Vと高く、従って基板実装する為には形状が大きく、容量値も
    飛び飛びで実用的には殆ど使えそうもないモノなら存在しますが、その開発意図がオーディオ用
    と書いてあるから不思議です。オーディオ用途=真空管アンプ用と言う事なのかも知れませんが、
    私には理解できません。真空管アンプで高帰還アンプを作るのは至難の業だからです。
    
     大型管を束ねてOTL にしてもTRアンプ程は高帰還に出来ないと思います。出力トランス付きは
    帰還量14dBが良いところですから、出力インピーダンスを定電圧駆動出来る位に下げる事は困難
    だと思います。音高忠実度再生を担えるアンプを作る事はその意味で難しくなります。心地良い
    音はそれなりに出ると思いますが、それは高忠実度再生が齎すライブ感覚の心地良さとは異質な
    ものだと思います。ここら辺りにも、帰還に頼るTRアンプは論外で真空管アンプに活路を見出す
    と言う風潮が未だに見え隠れします。非常に残念な事です。
    
     このまま手を拱いて座視するしかないのが現状です。一部分なら代替品に交換する事も不可能
    ではないかも知れませんが、30個以上を交換して初めてライブでしか聴こえない微妙な音が再生
    出来るようになるのですから、先ず不可能だと言っても過言ではないと思います。一つの実験と
    してはセラミックを同じ双信のディップドマイカに変えて見る手は残されていますが、果たして
    どんな音になるのか、期待は持てませんがやって置く必要はあるかと思っています。ディップド
    マイカは外国を含む複数の会社で製造されていますが、所謂ルビーマイカではなくてシルバード
    マイカと言う代物だと思います。
    
     何れにしても、早晩、SEコンはこの世の中から一部の売れ残り品を除いて無くなると思います。
    欠品が出たら、これまでは極力避けて来ました並列接続で逃れるしかないだろうと思っています。
    そうすればもう少し生きながらえる事は出来るかも知れません。何れにしてもその気のある方は
    なるべく早めにお申し込み下さい。猶予は半年と思って頂いた方が無難だと思います。一人でも
    多くのユーザーの方に、ライブでしか聴けないような微妙な音の出るWRアンプシステムを、是非
    保有して頂きたいと願っております。  

    2006川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sat Mar 13 16:00:00 JST 2021
    岡山のT.N.さん、電源フィルターのお買い上げとそのご感想ありがとうございます。
    
     T.N.さんは「奇跡のような事が起こった」と仰って、WR製電源フィルターの劇的な効果に驚愕
    されていらっしゃいます。如何に現在の商用電源が高周波ノイズで汚染されているかが分かろう
    と言うものです。これは正にIT時代の負の遺産だと思われます。斯様な電源ではTRアンプは勿論
    の事、古き良き時代のアナログアンプでさえもその実力を発揮できないでしょう。こうなったら、
    目には目をではありませんが、抜本的な備えをしたシステムで対抗するしか他にライブのように
    心地良い気持ちで音楽を楽しむ術は無いと思います。
    
     でもご安心ください。WRアンプシステムならば、それに対抗可能なシステムになり得るのです。
    その証拠にT.N.さん宅では、電源フィルターさえ用いれば、
    
    ★ロックの再生が一夜にして「完璧」と言えるような音の出方になったのです。
    
    ★音の再現度は高いのに、うるさくならず、魅力的な音がどんどん飛び出してくるのです。
    
    と仰る程のリアリティーのある音でロックが再生出来た事になります。私はロックのライブには
    行った事がありませんからよくは分かりませんが、T.N.さんは多分ライブの感覚で音楽を楽しむ
    事が出来たのではないかと思います。自分のリスニングルームがさながらロックの会場と化した
    と思われます。私はこの半世紀以上の間、ずっと音楽のジャンルに拘わらず、このようなライブ
    の感覚で音楽が楽しめるアンプシステムを開発し続けて来たのです。先日、それがほぼ完成した
    と宣言させて頂いたばかりですが、このように第三者の方に証言して頂けますと、それが決して
    大袈裟では無かったと感じて頂けると思います。
    
     それにしましても、T.N.さんはSEコン化までアップグレードされてから最後に電源フィルター
    を導入為さった珍しいお方です。普通は完全アップグレードの前後で電源フィルターを導入して
    頂くのが順序なのですが、私の助言不足かT.N.さんが電源フィルターに懐疑的だったのかも知れ
    ません。電源フィルターはどの段階で導入して頂いてもその時点でそれなりの効果があると思い
    ますから、タイミングに関して絶対と言うものはありませんが、最後のSEコン化までにはかなり
    時間が掛るような場合は、やはり完全アップグレードの前後で導入して頂くのが合理的かと思い
    ます。
    
     T.N.さんが
    
    ★最後のどんでん返しのように、音が全く変わりました。
    
    と仰るように、劇的な効果を味わいたいのであれば最後でも宜しいかと思いますが、要は三種の
    神器はWRアンプをご使用頂く上で、やはり必須品であると言う事です。どれが欠けてもライブの
    感覚で気持ち良く音楽を楽しむ事は難しくなると思います。
    
     では今一度三種の神器について、もう少しだけ触れて置きたいと思います。三種の神器は今更
    言うに及ばずですが、
    
     1.WR製RCA ピン接続ケーブル
    
     2.WR推奨スピーカーケーブル:MITSUBOSHI スターソフト 2mm平方
    
     3.WR製電源フィルター
    
    の3つです。
    
     1.のRCA ケーブルですが、これには送り出し側と受け取り側の信号の伝送に於いて、高周波
    ノイズの流入を防ぐと言う重要な任務があります。ピンプラグとケーブルの特性インピーダンス
    をなるべく合わせて、両端に於けるミスマッチングを減らし、さらに左右のケーブル間に生じる
    ループに鎖交する高周波ノイズを編組シールドを被せてシャッタアウトすると言う機能を有して
    います。従いまして、このケーブルに置き換え可能な市販品は存在しないと思います。特に高級
    OFC 系ケーブルは絶対に不可です。音が曇って冴えなくなります。
    
     2.のスピーカーケーブルは高が普通の4N銅線ですが、どのメーカーの銅線でも同じ音がする
    と考えるのは大間違いです。これだけは今現在明確な理論的裏付けが出来ていませんが、大きな
    違いが出る事は、ライブの音で聴感が補正された方であれば十分識別可能だと思います。これは
    スピーカーケーブルに止まる事はなく、アンプの内部配線材等にも同様に影響してきます。6N等
    の高級OFC 材は論外ですが、4Nでも使えるもはほんの少数ですから、選別できる聴感が無い方は
    素直に従って頂くのが賢明だと思います。積極的には販売しておりませんが、相談して頂ければ、
    必要な長さのスピーカーケーブルを実費程度でお作りする事も可能です。
    
     3.これに関しては昨年の暮れ辺りからこれまでに何回か掲示板の話題になっておりますので、
    これまでに余り言及されていない代替品について、少し意見を述べて見たいと思います。先ずは
    静電シールド付きのトランスです。一般論ですが、トランスは1MHz 以下の低い周波数のノイズ
    に関しては確かに効果があると思いますが、帰還アンプに取って重要なのは寧ろその上の 数MHz
    から数10MHz の高周波ノイズですから、電源フィルターの方が有利になりす。電源フィルターの
    高い周波数に於けるフィルタリング能力は、使用するパスコンの高周波特性で決まります。WR製
    の電源フィルターは、VishayとASC コンを経験に基いて吟味し、適材適所に配置していますので、
    T.N.さんが仰るような劇的な効果が期待できるのです。
    
     もう一つ代替品があります。それは電源波形を能動的機器によって生成すると言う代物ですが
    そもそも能動機器自体に欠陥がある場合が多いので問題があります。即ち、その回路が帰還技術
    と無縁ではないからですが、ライブの音を正しく再生出来ないような帰還技術でそうしたものを
    作っても、結局同様な欠陥を内包する可能性が高い事になります。確かに、高周波ノイズは除去
    出来るかも知れませんが、その能動機器の音の癖を聴いている可能性が高いと私は考えます。
    
     能動的機器より悪さは軽微ですが受動的な電源フィルターにも欠陥はあります。直列にコイル
    類が幾つか入りますので、電源インピーダンスが上ってしまい結果的にレギュレーションを悪化
    させてしまう事です。しかし、WRアンプの殆どは安定化電源を搭載しています。パワーアンプは
    勿論の事、完全アップグレードされたプリでさえも、全段安定化電源で供給されますので、悪化
    したレギュレーションは安定化電源が吸収してくれる事になり、十分安定した音が得られている
    のです。
    
     そうでなければ、以下のT.N.さんの
    
    ★決定打となったことは確かです。
    
    と言うご感想にはならなかったと思います。「決定打」と言う言葉には、負の側面は無いと私は
    思います。
    
     尚、オーディオFSK なるものがどう言うものかは、他人様の事には全く興味のない私にはよく
    分かりませんが、導体または銅線に関するある種の理論に基づいて遂行されたオーディオらしく、
    所謂、既成オーディオとは一線を画すものだったようです。そうでなければT.N.さんがWRアンプ
    システムの音と同列に評価する訳はないと思います。
    
     皆様も現状で何処かに不満をお感じになられましたら、先ずは完全アップグレードを目指して
    頂き、前後して、WR製電源フィルターの導入もお忘れ無きようにお願い致します。当初は8万円
    の投資は高いとお感じになるかも知れませんが、T.N.さんに限らずこれまで多くの方から頂いた
    ご感想にも、皆、効果があった事が記されています。毎日聴く音楽が目に見えて映えて聴こえる
    ようになるのであれば、結果的には納得の行く8万円になると私は考えています。
    
     完全アップグレードをして頂いて、正しく三種の神器を用いて頂ければ、ライブ感覚で音楽が
    堪能できるアンプシステムを何方でも構築する事が可能です。それは三種の神器を含むWRアンプ
    システムが客観性と再現性を有しているからですが、これは取りも直さず、WRアンプが科学的に
    作られている証拠です。もうお金は掛けたけど、結局いい音で鳴らなかったと言うような悲劇は、
    絶対繰り返さない事を保証致します。聴感が極限までに研ぎ澄まされた方には、さらにSEコン化
    をお勧め致しますが、聴感が伴う前に先走る事は避けて頂きたいと思います。実際にライブ会場
    でしか聴けないような微妙な音の再現をお望みの方には朗報です。しかし、SEコン化にも暗雲が
    立ち籠めて来ましたので、次回はSEコンのディスコン化の動きについてお話しする予定です。 

    2005岡山のT.N.さん(元オーディオFSK使用者) Wed Mar 3 20:51:52 JST 2021
    電源フィルターの奇跡
    
    個人的に、奇跡のようなことが起こったのでご報告させていただきます。
    電源フィルターの効果は絶大で、今までWest Riverのアンプでは、
    思わしくなかったロックの再生が一夜にして
    「完璧」と言えるような音の出方になったのです。
    
    思わしくなかったというのは、West Riverのアンプは音の再現度が高いため
    ロックではどうしてもうるさくなっていたのでした。
    
    以降ロックはほとんど聴かずにクラシックばかり聴いていましたが、
    久しぶりに電源フィルターを使ってロックを再生してみたところ本当にびっくりしたのです。
    音の再現度は高いのに、うるさくならず、魅力的な音がどんどん飛び出してくるのです。
    
    まさに完璧といったところでこれは以前所有していた
    オーディオFSKの推奨セットでしか聴いたことがないような音でした。
    オーディオFSKのセットは、火事で消失しましたが、
    その代わりになるオーディオがついに手に入ることとなったのです。
    
    電源フィルターだけでなく、SEコン化の効果もあったのかもしれませんが、
    決定打となったことは確かです。
    これは、特にロックが好きな方には電源フィルターをお勧めしないわけにはいきません。
    最後のどんでん返しのように、音が全く変わりました。
    
    このような素晴らしいオーディオアンプやオーディオアクセサリーを提供してくださる
    川西様には心より感謝を申し上げたいと思います。
      

    2004川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sun Feb 28 23:45:00 JST 2021
    プロコ(小澤)とショスタコ(バーンスタイン)はそれぞれ凄い!
    
     前項で、小澤/ボストン響の「ロミオとジュリエット」を聴き始めたと書きましたが、その後、
    1幕情景2以降を気持ち良く聴き続けました。ライトモチーフのお陰もあって殆ど隅から隅まで
    メロディーが頭に入ってるので、全く退屈しないばかりか時には美しいメロディーに、又時には
    ワクワクするようなリズムに酔いながら、脂の乗り切ってた小澤の指揮とそれに応えるボストン
    響の凄さに感服したのでした。CD2枚組なので全曲を聴き通す為には時間が掛りますが、適当に
    中断しては、結局最後の4幕エピローグのところまで難なく聴いてしまいました。
    
     所々にオケの全奏が織り成すスペクタクルが現れますので、その都度、曲の素晴らしさ、オケ
    の上手さに感服しながらの鑑賞になりました。どんなffでも破綻する事のない音の伸びには驚愕
    さえもしたのです。デジタル録音のDレンジの広さを身をもって体感したと言っても良いと思い
    ます。その殆どで、金管とストリングスが均衡を保ちながら盛り上がるのです。実演さながら嫌、
    申し訳ないですが国産オケでは味わえない凄みを感じたのが正直な気持ちです。珍しいと言えば
    この曲には2幕と3幕でマンドリンが登場します。舞台がイタリアなので、イタリア発祥の楽器
    が使われたものと思われますが、中々効果的に使われていて激しい音を聴いた後の一服の清涼剤
    になります。
    
     聴き所は沢山ありますが、強いて挙げればやはり最後から2曲目No.51 だと思います。ロミオ
    は敵対するキャピュレット家のパーティに忍び込んでジュリエットに巡り会い恋に落ちてしまい
    ます。修道僧ロレンスの計らいでジュリエットと密かに結婚するのですが、キャピュレット家の
    タィボルトをある事から殺してしまい、大公エスカラスによってロミオは追放の刑に処せられて
    しまいます。引き裂かれたジュリエットはエスカレスの遠縁のパリスと結婚するように命じられ
    ますが、何とかロミオと復縁したいジュリエットはロレンスに頼み込みます。ロレンスは仮死の
    毒を使った一計を案じます。詰りジュリエットはもう死んだと思わせるのです。しかし、この案
    はロミオに上手く伝わらず、ジュリエットが本当に死んでしまったと思い込んだロミオは悲嘆に
    暮れて自殺してしまいます。仮死から目覚めたジュリエットはそれを知り、ロミオの短剣で後追
    い自殺をすると言う悲劇の幕切れの音楽です。
    
     ストバイの美しくも悲しい微弱音の後、行き成りバイオリン群がffで悲痛な叫びとも聴こえる
    メロディーを奏でます。それに呼応するかのように金管が加わりオケの全奏に発展して行きます。
    その描写は的確でロミオの悲嘆に暮れた気持ちが聴く者の心に伝わって来ます。それが生の会場
    で聴くように、細かな音も聴こうと思えば聴こえて来る上質な迫力で迫って来るのですから堪え
    られません。このような稀有な音が自分の部屋で楽しめるのですから、正に高忠実再生を可能に
    したオーディオ装置が如何に価値ある存在かが分かろうと言うものです。これが実現する為には
    先ず、高度なレベルの演奏が実際に行われる必要があります。今回の主は小澤/ボストン響です。
    さらに、その場の音を正しく録音する技術が無ければそれは保存されません。この録音は小澤の
    録音を偶に担当するシュバイクマンに依って為されていますが、独特のある種の聴き易さを常に
    備えながらもリアル感には乏しい気がするシュバイクマンにしては、かなり忠実度の高い録音だ
    と思います。
    
     実際の生演奏会で発せられる音はそれ自体ポテンシャルの非常に高いものですから、この録音
    が簡単に再生できるはずがありません。再現できない部分は普通はひずみ感となってスピーカー
    を賑わせます。それがオーディオの再生音に有り勝ちな、引き攣れ感や飽和感等のひずみ感です。
    何れも耳に不愉快に響き、本来あるべき音をマスキングしてしまうのです。しかし、最新状態の
    WRアンプにはそれがありません。楽器の音を阻害するひずみ感がないのです。だから楽器本来の
    音がストレートに聴こえて来るのです。それで初めて元の演奏の本当の姿が見えて来ます。今回
    の場合は、小澤/ボストン響がシンフォニー・ホールで演奏した時のオケの音が我々リスナーに
    正しく届くのです。故に心から感激するのだと思います。諸悪の根源はひずみ感であり、これを
    根本的に取り除く抜本的な回路技術が必要になる訳ですが、この事を会得するまでに色々と積み
    重ねて半世紀も掛ってしまいました。それでも目の黒い内に実現出来、過去に購入した目ぼしい
    CDを聴く度に、幸せな気分を味わう事が出来ています。
    
     これに気を良くして、もう一曲大曲を聴く事にしました。同じロシアの作曲家の中で同様に光
    を放っているショスタコービッチの「レニングラード」(タコ7)です。このCD(FOCG-20455/6)
    は「ロミジュリ」を見つけた時に一緒にピックアップして手元に置いておいたものです。これは
    多分私が購入したものではなく、息子のところから来たものだと思います。未だこのCDの存在を
    知らなかった時、私は別の「タコ7」(ネーメ・ヤルビィ/スコティッシュ・ナショナル管)を
    聴いていました。この演奏もそれなりに優れており特に不満は無かったのですが、例の第1楽章
    のボレロに似た行進曲風の部分は音の飽和感で聴けなかったのです。この曲は日フィルの定期で
    ラザレフの指揮で聴いています。確かに、凄い音量にはなりましたが、当たり前ですが飽和感に
    達する事は無かったです。今回は其処が普通に通るのかどうかを確認したかったのです。
    
     紹介が遅れましたがこのCDの演奏はバーンスタイン/シカゴ響です。録音は「ロミジュリ」の
    CDより2年弱あとに行われていて、独グラモフォンの80年代後半の優秀録音の一つです。非常に
    珍しい組み合わせの演奏です。バーンスタインがシカゴ響を振ったのは、まだ30歳代の事であり
    その後ニューヨークフィルの首席指揮者に就いて以来今回の演奏まで全く振ってなかったのです。
    それはアメリカの音楽監督は他の5大メジャーオケは振らないと言う不文律があったからですが、
    今回はニューヨークフィルを辞めフリーになったバーンスタインに、そのチャンスが巡って来た
    事になります。ショルティ時代のシカゴ響は、アバドやジュリーニ等の客演指揮者を迎え入れて
    いましたから、バーンスタインもその一人として自然にシカゴ響を振ったと思われます。その時、
    バーンスタインは70歳の誕生日を迎えようとしていて、何とこの組み合わせの演奏は40年振りに
    実現したのです。
    
     バースタインは活動の場をヨーロッパに移してからウィーンフィルやイスラエルフィルと演奏
    活動をしており、独グラモフォンには結構な数を録音しています。担当エンジニアはネーグラー
    が多いのですが、このCDも例外ではありません。非常にバランスの良い音で録る特長があります。
    その殆ど全てがライブ録音であり、多分セッション録音は無かったのではないでしょうか。この
    CDの録音もシカゴで演奏会を行った時を利用してライブ録音されています。ライブ録音には一長
    一短ありますが、欧州に渡ってからのバーンスタインのモットーだったのではないかと思います。
    その熱気が感じられる程の力演であり、音楽のプロが殊更に気にする多少の音楽的傷なんか問題
    の外だと私は思います。
    
     さていよいよ第1楽章を聴き始めました。この演奏では7〜8分辺りから小太鼓の音が聴こえ
    始めます。これは軍隊を象徴してるのでしょう。ボレロもそうですが其処から10分の経過後辺り
    から音量が俄然増して来ます。そして、凡そ15分の所で断末魔を迎えるように曲は静かになるの
    ですが、その後も音量を下げて7〜8分ほど曲は続いて第1楽章を終えます。シカゴ響は音量も
    豊富で迫力があり雄大です。実際にサントリーホールで確認しまたが6弦のコントラバスをフル
    に使ってるからかも知れません。シカゴ響は世界の3大オケの次にランクする資格があると私は
    思います。技術的にも完璧に近くこれがライブかと思う程の出来です。次第に音量が大きくなり
    飽和するかな?と注目して聴いておりましたが、飽和するどころかffでも楽器の分解能は落ちず
    音的には問題なく聴く事が出来ました。しかし、神経を逆なでするような和音を故意に使ったと
    思える曲想なので、やはり冷静に聴いて居られなかった気がします。戦争とはそう言う事なのだ
    と思いますが、実演でもタコ4、タコ8などで聴いていられなくなり、両耳に指を突っ込んだり
    して一時的に凌いだ経験をしていますので、それがショスタコの音楽の大きな特徴の一つなのだ
    と思います。これとてひずみ感がもし多ければ神経が逆撫でされる前に、所謂嫌な音に閉口して
    音量を絞っていたと思います。
    
     第1楽章が問題なくクリア出来ましたので、時を改めて、第2楽章以降も聴く気になりました。
    これまでシカゴ響は金管にその特長があると言うイメージでした。詰りどんなストリングスなの
    かは明確に掴めていませんでした。しかし、このタコ7はストバイを中心とした弦が大いに活躍
    しますので、弥が上にも弦の質があからさまになります。第1楽章は、少しエキセントリックな
    ところがあってストバイも威圧的に弾くところが多いので、少し硬めの音としか認識できません
    でしたが、第2楽章はゆったりしており、出だしから頗る柔らかい音で奏でられるので、極端に
    言えば初めて、空気に溶け込むようなシカゴ響の美しい弦の音を聴いた気がします。ヤルビィに
    比べテンポがゆったりしています。第1楽章の反動でもあるのでしょう。過去への憧れでしょう
    か、聴き慣れたオーボエのメロディーも美しく心が解きほぐされた気がしますが、長くは続かず
    木管の鋭い音に掻き消されます。オケの全奏になり一層激しさを増しますが、又結局、楽章冒頭
    のメロディーに戻ります。
    
     続いて、第3楽章は行き成りパイプオルガンの響き?と思われる木管群の合奏で目が覚めます。
    ロシアへの賛美を暗示してるのでしょう。一方で弦が活躍しますが暗さや重さが付き纏い途中で
    金管を交えた激しい音楽が再現します。しかし又穏やかな弦の音が戻り、それを2回程繰り返し
    ます。木管の合奏も一流であり金管、弦と合わせて3拍子揃った腕前にやはり4大オケと言って
    も良いような気がしました。3楽章から切れ目なくティンパニーのトレモロで第4楽章に突入し
    ます。最初こそ穏やかにストバイが美しく響きますが、コントラバスやティンパニーに不気味な
    動きが出たりして徐々にオケは激しさを増して勝利への期待感が高まります。しかしそれも一旦
    は収まり静かになります。ppで奏でられる木管が綺麗に響きます。又美しいストバイの微弱音が
    出現しそれがビオラパートに引き継がれたりします。そこから、終結部に向かって曲は圧倒的な
    響きで盛り上がってティンパニーの連打で曲を閉じます。最後に、第1楽章の冒頭部の弦パート
    で奏でられるメロディーが分厚いトロンボーン群で再現されるところはシカゴ響の面目躍如たる
    ものを感じました。全曲は85分に及ぶ大曲ですが循環形式のようにメロディーが再現するところ
    が多いせいなのか飽きる事なく聴き通せる曲だと思います。もっとポピュラーになっても良い曲
    だと言う気がします。日本の演奏会では気楽に出来る為か「タコ5」がよく取り上げられますが、
    もっと「タコ7」がプログラムに登場しも良いのではないでしょうか。滅多に演奏されない気が
    します。
    
     バーンスタインはショスタコの演奏を得意にしていて1979年にニューヨークフィルと来日した
    時も東京文化会館で「タコ5」をライブ録音をしています。もっと古くはCBS 時代にも録音して
    いますから生涯関った作曲家だったのでしょう。だからツボを心得ており、どの演奏も説得力に
    富んでいます。今回改めて「レニングラード」を聴いて見て一層その感を強くしました。やはり
    そう思えたのは、音の破綻もなく全曲を通して聴けた事が大きいと思います。昔の装置では叶わ
    なかった事が、やっと成就出来ました。繰り返しになりますが、高忠実度再生を真に可能にする
    WRアンプシステムが完成した事でそれが可能になったのです。音が途中で破綻する装置で聴いて
    心から賛同できるでしょうか? 曖昧さが残らないでしょうか? SP盤の音でも演奏の良し悪し
    が判断できると言うのは、想像で音を補って聴いているからであり、その人のそれまでの音楽上
    の経験と無関係ではありません。LPでもCDでも同じ事なのではないでしょうか? 評価・評論は
    聴く人の経験とは無関係に出て来た音だけで、先ず客観的に判断するべきものだと思います。 

    2003川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sat Feb 13 21:00:00 JST 2021
    最近、やった事−−−電源フィルターの製作、旧型アンプのアップグレード、etc.
    
     新規の製作の場合はシャーシを入手しても、直ぐに製作を始める事ができません。デザイン化
    シャーシに仕上げて貰う工程があるからです。それが出来上がって来るまでは製作に必要な部品
    を確実に集めて置く事しかやる事が有りません。若干、手持無沙汰になりますが、今回はグッド
    タイミングで旧型のプリアンプWRC-α1MK2およびパワーアンプWRP-α1 の完全アップグレードの
    ご注文を頂いたのでした。
    
     旧型アンプの場合、アップグレードの凡その内容は下記の通りですが、順不同です。
    
     1.線材交換 → 例外:残しても殆ど音質に影響せず且つ交換に凄く手間が掛るもの。
    
     2.高級部品化の徹底 → 旧型は基本的には高級部品を使用してますが、最新のVishay化を
                  基本に、欠落してる所の補完も含め徹底します。
    
     3.WBC化 → これはプリのラインアンプに仕込みますが、同時に1段差動を2段差動に
              変更してより強力にします。
    
     4.コレクタホロワ化及びハイブリッド化 → プリの場合は安定化電源のみですが、パワー
       (エミッタホロワの追放)        アンプの方は安定化電源と左右のアンプ部分。
                           (これに伴いパワーTRの交換の要)
    
     5.高帰還化 → 安定化電源基板及び左右のアンプ基板の計4枚の基板が対象。これに伴い
              ドライバーのTRを高ft(200MHz以上)のものに交換。
    
     6.その他 → アンプは一律には作られていませんので、個々の問題箇所を発見次第、現行
             の水準に修正・補完します。
    
     以上ですが、これだけ行うと言う事はアンプは外観は兎も角も原型を留めない状態に変身する
    事になります。中身が全く新しくなると申しても過言ではありません。又、旧型はSEコンを使う
    のが原則になっておりますので、アップグレードをSEコン化まで行ったと同等の品質になります。
    因みに、アップグレード代はアンバランス型なので
    
     ●プリアンプ:\30,000
    
     ●パワーアンプ:\50,000
    
    です。バランス型の場合はプリアンプのみ\40,000になります。
    
     プリの方は内容的に現行機種に合致するものはありませんが、パワーアンプの方はWRP-α30が
    該当します。即ち、アップグレードが済んだWRP-α1 は、WRP-α30の価格にSEコン化代を加えた
    価値がある事になり、金額に直せば 25+8=33万円相当になります。プリの方も強いて現行機種
    WRP-α9 に例えれば、69,120+90,000+90,000≒25万円になります。即ち、現行機種で同等品を
    揃えるとなると25+33=58万にもなる事になります。これならばソースの信号を正しく増幅して
    高忠実度再生を可能にするアンプシステムになり得ます。
    
     では、その音質はどうなのでしょうか? 最初、難問のパワーアンプから手を付けましたので、
    アップグレードが済んだ後の試聴は、取り敢えず我がΕC-1Hを通して行いました。何時もの音と
    基本的には同じなのですが、
    
     1.アルミシャーシではなく鉄シャーシである事
    
     2.抵抗がカーボンではなく金属板抵抗である事
    
    の2点が決定的に違う訳ですから、多少の違和感は仕方ないところです。1、2はどちらも音が
    硬めになる傾向があるのかも知れません。これはストリングスの再生には多少不利ですがピアノ
    再生には寧ろ有利に働くように思います。しかし何れも致命的な問題ではなくどちらかと言えば
    と言う程度です。現にテストCDとして何時も聴くポールモーリアやウィーフィルのストバイの音
    は綺麗に抜けて同等のレベルで聴けたと思います。何回かライブを聴きに行ったウィーンフィル
    のあの音が楽しめたと思います。
    
     次にプリのアップグレードが仕上がりましたので、旧型同士のプリとパワーを使って試聴して
    みました。旧型プリはラインアンプが即、送り出しアンプになっている為、12dBほど新型プリに
    比較してゲインが低いので、VRを1時〜2時程度まで回さないと何時も聴く音量にはなりません
    ので、能率の良くないスピーカーを使って比較的大きな部屋で音量を上げて聴きたい方は簡単な
    フラットアンプを増設すると良いかも知れません。旧型プリのシャーシは大きくEQ用のスペース
    が確保されていますので、簡単且つ安価(\10,000)で実現できると思います。EQの場所を潰して
    流用しても、WR製のフォノアンプWR-αPH/HDをご購入になればMCカートリッジでLPを楽しむ事が
    可能です。
    
     さてその音質ですが、上述した1、2の条件がさらに加わる訳ですから音が軟化する事はあり
    ませんでしたが、かと言って硬質感がさらに深まったと言う気もしませんでした。ラインアンプ
    1枚のプリとしては上出来じゃないかと感じました。やはり、独立した別電源を有している事は
    プリに取っては有利に働くのではないかと思った次第です。我が110W機システムに慣れた耳にも
    特に大きな不満を感じずに音楽が楽しめましたので、両方のアンプ共「WR標準」に認定してあり
    ます。可能であれば、VRを東京光音の 2P-2511S 50K に交換するとか、思い切ってL-Pad にする
    とかすればもう少し良くなると思います。こう言う点でアンバランス型の方が、小回りが利いて
    有利なのです。
    
     この後少し意地悪にも、昔から中高域の再生に難しさを感じながらも、いい音で録れていると
    思っていたCDを掛けて見ました。それは、
    
     プロコフィエフ「ロミオとジュリエット」:小澤/ボストン響(423 268-2)
    
    と言う西独時代の独グラモフォン盤です。この曲も最初から最後まで飽きずに聴ける名曲だとは
    思いますが、灰汁が強いので聴き飽きてしまう事もない訳ではなく、大袈裟に言えば此処何年か
    全く聴いていませんでした。先日、カラヤンの「3大バレエ・ハイライツ」のCDを探してる時に
    目に入って、機会があれば聴いて見ようと取り出して置いたのでした。
    
     詰りは、今回の旧型アンプシステムに取ってこのCDは苦手ではないだろうかと勘ぐったのです。
    特にこのCD 1の初っ端のストリングスです。不協和音のせいもあるのかも知れませんが、どうも
    ザラついて聴こえるのです。やはり、予期した通りの音で少々ガッカリもしたのですが、1箇所
    ですから仕方ないと取り敢えず引き下がったのでした。もしも、手付かずの旧型アンプをお持ち
    でしたら、是非アップグレード為さる事をお勧めします。見違える音になると思います。そして、
    昔の投資が無駄にはならなかったと思って頂けるものと思います。この所有者の方からも以下の
    ご感想を頂戴しております。このメール文には有りませんが、実在感のある音だともお聞きして
    おります。
    
    ★先ほど無事受け取りました。
    ★問題なく動作しております。
    ★音質もとても満足しています。
    ★特に中低域の表現力が豊かになったと思います。
    
     今回のアップグレードで得られた実在感のある音質は、使用部品が良質の為この先10年以上に
    亘って保持され続けると思います。「中低域の表現力が豊かになった」と言う行はラインアンプ
    に仕込んだWBCのご利益で、スピーカーの慢性的な低域不足を補ったからだと思います。
    
     こうした経過を辿って無事に旧型アンプの納入は済んだので、今度は我がシステムでもう一度
    このCDを聴いて見る事にしました。これでダメなら本当に仕方がないと思えるからです。しかし
    この初っ端のストリングスだけは多かれ少なかれザラついた音に聴こえてしまいました。もしも
    録音が悪くてこのような音になるのであれば、その後のストリングスも同様にザラつくはずです。
    しかしそれ以降は、胸の空くようないい音だとは言えないにしても、特に気になる程のザラつき
    感はなく、力のある金管群に負けないくらいの力量です。それよりも小澤の指揮が決まっていて、
    それに呼応するボストン響の凄さが手に取るように分かる名演に目を見張ったのです。金管群の
    切れ味の良さがこの上も無く素晴らしく、ウィーンフィルとはまた違った近代的なメリハリ感を
    感じました。金管に負けずに呼応する弦の厚みはボストン響が一流である事の証明だと思います。
    隅から隅まで明快に各楽器が響き、音楽的にもオーディオ的にも目を見張るばかりのCD音源です。
    まあ、それだけ良く出来た曲だとも言えるのです。
    
     未だCD 1の1幕情景1を聴き終わっただけですので、今後この先を少しずつ聴いて行きたいと
    思います。昔購入したCDの音の素晴らしさに聴き惚れる喜びは一入です。やはり高忠実度再生を
    恰好だけでなく真に可能とするオーディオアンプは絶対に必要だと改めて感じた次第です。もう
    CD、LP、ハイレゾの音の違い等を超越した音です。次々に昔に購入したCDの完璧な再生音に出会
    える喜びは、半世紀の研究が実りついにWRアンプシステムがそれを実現した証だと思います。
    
     結局、この旧型アンプのアップグレードは、底板に重さを増す為の鉄板が足されていて非常に
    重く、作業が能率よく進まなかった為もあって、両方で1週間ほど掛かってしまいました。丁度、
    作業が終了する日に安定化電源のデザイン化シャーシが出来上がって来ましたので、2台の内の
    1台を製作して昨日納入したところです。この原稿書きが終わったらもう1台の方に取り掛かる
    予定にしています。もし、電源フィルターのご感想を頂きましたら、適宜アップさせて頂く予定
    にしております。
    
     最後に、余り良いお知らせではありませんが、折角見つけたUT-1なるラグ板もその後の調査で
    ディスコンである事が判明し、結局今回のスタイルで製作できるのは数台と言う事になりました。
    斯様にディスクリート用の電子部品はTRを含めて徐々に減って来ており、このようなWRアンプが
    将来に渡って製作し続けられるのかどうか、高忠実度再生を可とするアンプを供給し続けられる
    のかどうか、少々心許ない状況です。電源フィルターは特に劣化する物が有りませんから、ほぼ
    一生ものだと思います。確実に入手されたい方は、早めのご注文が宜しいかと思います。以上の
    事をお含み置き頂きたく、此処にお願い申し上げる次第です。 
    
    
     以下に、納入したばかりの電源フィルターに関するご感想を頂戴しましたので紹介させて頂き
    ます。
    
    ★電源フィルターを使用してのファーストインプレッションとなりますが、
    ★一聴して音がおとなしくなったと感じました。
    ★プリのボリュームを以前の常用位置よりも2段程上げてもうるさくなく聴けるので、
    ★気のせいではない事は確かです。
    
    ★音量が小さくなったと感じる場合、
    ★大抵は微小ノイズが減った事で耳への不快感がより減少した為だと思われます。
    
    ★さらに聴き込むと、低音の締まりが良くなって、
    ★一音一音が今までよりもさらに聴き取り易くなり心地良さが増しました。
    
    ★その反面、高音域は今までよりもやや詰まった感じに聴こえ一瞬物足りなくも感じましたが、
    ★恐らくこれは音がより自然に近づいて来た証拠ではないかと考えております。
    ★高音域の伸びの良さや響きが華やかに聴こえる場合、大抵それは本当の高音ではなく、
    ★余計なノイズを聴いているのではないか?と当方ある時期から仮定するようになりました。
    
    ★ですので、もう暫く聴き込んでさらに耳が慣れて来れば、
    ★音の自然さの向上を実感すると共に、仮定が確信に変わると思います。
    
    ★いずれにせよ、川西先生がこの電源フィルターをWR3種の神器と仰る意味は、
    ★思っていた以上に良く理解でき、入手出来て本当に良かったと感じております。
    
    ★取り急ぎ、こんな感じでのご報告となります。
    ★今回も、音質のステップアップにまたまた手を差し伸べて頂き有難うございました!
    
    ★次はSEコン化を目指したい所存ですので、今後とも宜しくお願い申し上げます。
    
     中々当を得たご感想だと感心しておりますが、2、3コメントさせて頂きます。
    
     先ずは、この方が「ノイズ」と仰った場合は私が普段使う「ひずみ感」と同義だと言う事だと
    思います。次に「高音域がやや詰まった感じ」と言う行ですが、これまでは何らかのひずみ感が
    如何にも高音が出てると言う錯覚を与えていたので、その反動でそうお感じになったと考えるの
    が正しいのではないかと思います。この方もその事に気付いて居られますが、普通のオーディオ
    マニアですと、こう言う反省はまずしないだろうと思います。ライブ聴取の経験が生きた、賢い
    考え方だと思います。私も家でずっと聴いていて、1カ月ぶりに日フィル定期に行って最初の音
    を聴いた瞬間「あっ高音が出てない!」と一瞬思った事が結構あります。しかし暫くすると繊細
    且つ明快な高音がちゃんと聴こえていて、これが生の音なんだと納得するのです。
    
     最後に、次はSEコン化を目指すと仰っていますが、実は上述された「詰まった感じ」の音には
    理由があるのです。それは補償コンデンサーにセラミックを使っているから起きているのであり、
    これは、より正しく補償する能力のあるSEコンを使えば解消するのです。私がベーシーのピアノ
    タッチで聴き分けた時の、微妙な高音の伸びがそれを物語っています。勿論、これはピアノだけ
    ではなく、声を含む諸楽器の自然な音の再生に寄与しています。この辺りの音を目指される方は
    是非、SEコン化を目標にして頂きたいと思います。
    
     引き続きお二方目からもご感想が届きましたので同様に紹介させて頂きます。お使いになった
    方は皆さん例外なく、凄い効果があったと仰って頂いています。それだけ、世の中の商用電源が
    汚れている事になります。普通、自分の所は大丈夫だと思うのですが、最早ポツンと一軒家以外
    例外はないのではないでしょうか。
    
     さて、開口一番、
    
    ★早速、電源フィルターを使用したところ
    ★一聴して違いがあり、驚きました。
    
    と仰っています。そして、
    
    ★それまで特に不満がなくても、
    ★アップグレード、三種の神器(RCAケーブル、スピーカーケーブル)の度に感動していましたが
    ★この度、三種の神器が揃い、自然そのもので
    ★埋もれていたと思われる微細な音が聞こえるようになりました。
    ★いつまでも聞いていたくなり、音楽鑑賞の止めどきに困ります。
    
    と続けられています。
    
     取り敢えず不満が無くても、WRアンプの音をお聴きになっていますと自然に聴感が訓練されて、
    無意識のうちにさらに上級の音を求めるようになるのだと思います。この方もSEコン化を除けば
    電源フィルターだけが揃っていなかった事になり、その効果が明確に認識できたものと思います。
    そして、私もそうですが、ついつい引き込まれて音楽を聴き続けたいと思ってしまうのです。
    
     人それぞれ惹かれる楽器の音は違いますが、この方は歌手の声に特に痺れるのでしょう。最後
    の部分に
    
    ★自宅の環境が悪かったようで、電源フィルターの導入で、
    ★最近よく聞いている太田裕美の歌声はこれ以上あるのかと思う程に生々しく聞こえますが、
    ★まだSEコン化が残っており、もう想像できません。
    ★暫く堪能させていただき、将来的にはSEコン化で未知の領域に踏み入りたいと思います。
    
    と書かれていました。
    
     「歌声がこれ以上あるのかと思う程に生々しく聞こえる」と吐露されていますが、私も最近は
    そう言う気になる事がよくあります。もう先が無いほどに完璧に聴こえると言う事だと思います。
    それなのに、まだSEコン化が残っている事に多少の戸惑いをお感じになっていらっしゃるように
    見受けられます。今はそう言う心境であっても、現在の音を聴き続ければ聴感はさらに訓練され
    何時しか、SEコン化のご利益も理解して頂けるようになるはずです。お一人目の方も含めまして
    これには例外はないと思います。それが完成されたWRアンプ・システムと言うものなのだと思い
    ます。正しく再生された音を聴いていれば、聴感は訓練されて必ず成長するはずです。
    
     以上のような何処にも載っていないようなお二方の貴重なご感想を、どうか皆さんのシステム
    構築の参考に是非供して頂ければと思います。お二方がご使用のWRアンプはプリもパワーアンプ
    もそれぞれ型番の違う新型であり、又最初に触れましたWRアンプは旧型です。共通項は、最新の
    状態にアップグレードされているWRアンプと言う事だけですが、音そのものではなく自然な音で
    音楽を楽しみたいと言う方であれば、その目的がほぼ同じレベルで達成できるところに、現在の
    WRアンプの大きな特長があります。それはWRアンプが再現性及び普遍性のあるオーディオアンプ
    に成長した証だと思います。自分はダメだ!などと簡単に諦めないでWRアンプを信じて是非挑戦
    して下さい。このお二方だって初めからこのような音が理解できた訳ではなく、一歩一歩、音を
    極めて来られたのですから。オーディオは一生精進する趣味なのかも知れません。

    2002川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Mon Feb 1 14:00:00 JST 2021
    非L-615 ラグ板を使った電源フィルターの製作−−−2台限定!成功キャンペーン特価!!
                                                    (完売御礼!)
    
     前項で予告させて頂いたL-4588とUT-1を使った電源フィルターを実際のシャーシを使って製作
    して見ました。もう少し具体的に申せば、L-4588-10Pを2枚直列に繋げて端子を一つ置きに使い、
    結果的に端子間ピッチが16mmの10P ラグ板を作り上げてパワーアンプ系統に充当し、2枚のUT-1
    をそれぞれプリアンプ系統とデジタル機器系統に割り当て、L-615-10P 3枚分と同じフィルター
    を構成しようと言う構想です。
    
     前回までは半ば机上の空論でしたが、今回は何も問題なく所定の電源フィルターが完成できた
    事に意味があります。そうです。L-615 の在庫の有無に関わらずWR製電源フィルターは同程度の
    コストと手間で作れる事になったのです。私に取っては目出度い事ですので、8万円でご購入に
    なった方々には大変申し訳けないのですが、この機会にWR製の電源フィルターキットを、お一人
    でも多くの方に使って頂くキャンペーンとして、7万円/台にて2台限定でご提供させて頂こう
    と思います。どうかご理解の程をお願い致します。未だ電源フィルターを備えていないユーザー
    の方は、是非この機会をお見逃し無きようにお願い申し上げます。
    
     三種の神器として掲げている以上、「製作はL-615 の在庫次第」では情けない話しになります
    ので、何とか出来て私もホッとしています。追い詰められて真剣になれば、難しい問題も何とか
    なるものだと改めて思った次第です。さて実際の製作ですが、L-4588x2-10Pの方は何も問題なく
    コイル、パスコンの取り付けが楽に出来ましたし、UT-1の方は少し窮屈なところはありましたが、
    これとて特に問題になる程の事もなく完成出来ています。勿論、妥協して異なる部品を使った訳
    でもありませんから、フィルター特性に特段の差が出るとは考えられません。
    
     とは言っても、やはり実用的に使って見て、フィルターの効果を含めて問題がないかチェック
    する必要はあると考えました。そこで完成した電源フィルターを、我が装置で稼働してる謂わば
    プロトタイプの電源フィルターと置き換えて試聴して見る事にしました。普段きいている音質が
    違和感なく得られるかどうかです。アンプが温まる間はベルト・ケンプフェルトのCD(UICY-1540)
    からセンチメンタル・ジャーニー、キャラバン、トワイライト・タイムの3曲を何時も聴く事に
    しています。これで約10分くらい掛かりますのでほぼアンプのヒートアップが完了します。特に
    問題もなく、何時も聴く感じに聴こえたと思います。
    
     次は、最近のテストCDになっているポール・モーリアのCD(UPCY-6204/5) です。この中からも
    次の3曲を聴きました。
    
     ◎エーゲ海の真珠
    
     ◎オリーブの首飾り
    
     ◎渚の別れ
    
     本当はゴッドファーザー〜愛のテーマも聴きたいところですが今回は割愛しました。このCDは
    音量レベルが高く、中高域の特にストリングスの抜けが問題になりますから装置の音質判定には
    恰好なものだと思っています。これら3曲が破綻もせずに気持ち良く聴ければ合格ですが、特段
    のひずみ感も無くストリングが気持ち良く抜けて、本当に気分良く聴けたと思います。こう言う
    音に浸っていると何となく顔が綻んで来ます。特に私は、ストリングスが綺麗に抜け切った音が
    大好きなので、こう言う音を聴くと「昔なら多分ダメだった!」と感慨深くなります。そう言う
    音の悪いCDを買った時は、得てして録音のせいにするものです。そして、録音の悪いのを何時も
    買ってしまうと嘆くのです。、
    
     ストバイの抜けと言う話になれば、やはりクラシックを聴くべきだと思います。ポピュラーの
    録音はどうやってるのか全く分かりませんが、クラシックならストバイの人数とテクニックには
    違いがあっても、基本的にはその形態に大きな相違はないからです。今回は、次のCDを聴く事に
    しました。それはカラヤン/ウィンーフィルの「チャイコフスキー:3大バレエ・ハイライツ」
    です。本当はハイライツではなく組曲ですがキングのCD(KICC-9210) にはそう印刷されています。
    少し前に「眠れる森の美女」について書きましたが、実はその時に真っ先に探したのが、このCD
    だったのです。でもその時は何処をどう探しても見つける事が出来なかったのです。
    
     この組曲「眠れる森の美女」の曲目は5曲で
    
     1.序奏とリラの精の踊り
    
     2.パ・ダクシオン(ばらのアダージョ)→ 第1幕
    
     3.パ・ド・カラクテール(長靴を履いた猫と白い猫)→ 第3幕
    
     4.パノラマ→ 第2幕
    
     5.ワルツ→ 第1幕
    
    と言う順になっています。プロローグと第1幕から3曲、第2幕と第3幕から各1曲で、やはり
    充実した名曲は前半に集中しています。キングレコードから、デッカ録音が1,000 円盤で大量に
    放出された時に、何となく購入した1枚だと思います。
    
     このCDは1996年の発売で、当時珍しく「いい音がする!」と思ったのですが、組曲を聴くなら
    全曲盤をちゃんと聴こうと思ってしまい、直ぐにCD棚に仕舞い込んでしまったのです。でも頭の
    隅に「いい音がするCD」と言う事は残っていましたので、この機会に聴き直して見たいと思った
    のでした。しかし、それ以降聴いてないので何処ら辺りに有ったかも忘れてしまい、上手く発見
    する事が出来なかったのです。それが最近になって気楽に探してたら難なく見つかったのでした。
    録音年月を見ますと1961年と1965年となっていて、所謂カルショー/ゴードン・パリーのコンビ
    による録音です。「くるみ割り人形」だけ先に録音されたようですが、どちらかと言えば後から
    録音された「白鳥の湖」と「眠れる森の美女」の方が音が良いようです。
    
     組曲と言うとちょっと軽く見てしまいますがこのCDは全く違います。少なくても「白鳥の湖」
    と「眠れる森の美女」の録音・演奏は特筆ものです。まあ音も凄いし又演奏も然りです。直ぐに
    仕舞い込んだ事は反省しきりですが、当時の己の装置の音では到底、今の感覚には浸れなかった
    だろうと思います。こんなに立派なチャイコフスキーがあるものなのか、部分的に少し急ぎ足に
    思えるところや逆に凭れるなと感じるところ、例えば「眠れる森の美女」のワルツは少し素っ気
    ないところがありますし、「チャールダーシュ」の前半や「ばらのアダージョ」では遅過ぎ感が
    無い訳ではありませんが、その後の畳み掛ける感じとか、締め括る重厚さは、その事を超越する
    凄さを感じます。一つは天下のウィーンフィルを此処まで真剣に演奏させるカラヤンの偉大さで
    あり、またそれをいとも簡単にやり遂げてしまうウィンーフィルの実力です。このレベルの音と
    演奏は、今後も含めてもうお目に掛れないだろうと思います。理由は、このレベルの音を録れる
    エンジニアが存在しない事、このレベルの演奏を実現できる指揮者が居ない事、又このレベルの
    演奏を可能にするオケが無い事です。このCDのように三拍子が揃う確率は、未来永劫かなり低い
    と言わねばならないでしょう。
    
     ところでウィーンフィルのストバイの音も見事に捉えられています。その充実ぶりは「ベト7」
    (イッセルシュテット盤)と同等と言えます。この録音は約4年後ですがエンジニアは記されて
    いません。しかし録音の質から判断すると、カルショーの技術が踏襲されているように思います。
    表にはカルショー/ゴードン・パリーとしか書いてなくても、アシスタント・エンジニアは必ず
    居るはずでし、カルショー後はその人達に引き継がれていると考えられます。録音のセンスから
    私はその有力候補はウィルキンソンではないかと思っています。それにしてもチャイコフスキー
    のストリングスも大したものだと思います。金管の迫力に拮抗するだけのストバイの張りを保つ
    バランス感覚を備えています。しかしよくある事ですが、ストバイが金管に負けるオケが多いの
    が実情です。日フィルの時も常に気にして聴いていましたが、日本のオケとしては上の部類だと
    感じました。だから12年間も聴き続ける気になったのです。それ程、オケに取ってストバイの力
    は必要だと思います。勿論、ウィーンフィルは言う事がありません。しかしこう言う音は当たり
    前に出るものではなく、指揮者が引き出すものです。そして、何とも言えないこの魅力的な音を
    捉えるのも至難の技です。カラヤン、ウィーンフィル、カルショーが揃ったから可能になったの
    だと思います。クラシックの録音は失敗する事の方が多く、録音は大袈裟に言えば一期一会なの
    です。
    
     だから高忠実度再生を可能にする真に正しく動作するオーディオアンプが必要なのです。私の
    試聴したCDはキング盤です。ユニバーサル盤が同様に鳴るかは未確認です。このCDに入っている
    音情報を100%近く正確に再生するオーディオシステムで聴かずに、このCDの評価は出来ないはず
    です。私も今になってやっとこのCDの実力を知ったのです。これに今回製作した電源フィルター
    も一役買った事になります。この電源フィルターを使わなければ、到底このレベルの音では聴け
    なかったと思います。またプロトタイプとの明確な違いも無かったと思います。SEコン化までは
    行かなくても、「WR標準」のプリとパワーアンプを使えば、このレベルに近い音で鳴るはずです。
    その為には三種の神器をちゃんと揃えて頂く必要がありますが、これまで余り積極的にはPRして
    来なかった責任を感じます。遅蒔きながら是非この機会を生かして貴方の装置に電源フィルター
    を備えて頂きたくお願い申し上げる次第です。そして、ソース源に入ってる本当の音情報を引き
    出して下さい。それが、その音源を作った人達への礼儀でもあると思うのです。
    
     今、旧型アンプの時代からWRアンプをご愛用になっているユーザーの方から、やっと重い腰を
    上げられて電源フィルターを装着した時の第一声が届きましたので、紹介させて頂きます。
    
    ★先ほど、電源フィルター受領しました。有り難うございます。
    ★早速、接続し試聴しています。
    
    ★一聴した感じですが
    ★音が全体に数段落ち着いたように聴こえます。
    
    ★ノイズの影響は特定の条件時だけと思っていましたが
    ★結構常時でも影響してるようです。
    
    ★苦手にしていたワルターやセルなどの廉価なリマスター版が
    ★かなり聴きやすくなったように感じられます。
    
    ★暫くは色々なソースを聴き込んでみます。
    ★まずは、受領のご報告です。
    
     音が数段落ち着くと仰っていますがそれだけノイズの悪影響があると言う事になります。その
    分、ひずみ感が減りますから、ソース本来の音が聴こえて来ますし聴き易くもなります。皆さん
    も是非、追随して見て下さい。私が三種の神器に入れている理由がお分かり頂けると思います。   

    2001川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Mon Jan 25 20:30:00 JST 2021
    再び電源フィルターについて−−−新ラグ板にて試作中
    
     何回か申し上げていますが、WR製の電源フィルターはノーマルモードとコモンモードの高周波
    ノイズフィルターを交互に5段重ねていますので、どうしてもある程度の大きさを有したラグ板
    が必要になります。特にパワーアンプ系統のフィルターに使うコイルは大きな電流が流れる為に、
    太い線で巻かれていますから、かなり場所を取る事になります。従いまして、これまではずっと
    サトーパーツのL-615 と言うラグ板を使用して参りました。
    
     しかし、数年前にこのラグ板はディスコンになっています。これまでは未だ在庫を持っている
    お店がありましたので、そう数が多く出る製品でもありませんし、何とか必要な台数を製作する
    事が出来ておりました。しかし最近になって頼りにしていた在庫も急速に無くなって来たようで、
    在庫を有している業者が激減して、風前の灯の状況です。昨年、運よくオークションで6台分の
    ラグ板を落札する事が出来、手持ちのラグ板と合わせて7台分のラグ板を揃える事が出来ました
    ので、皆様にお声掛けをしたところ、その全てが完売になっております。ご使用になった全員の
    方からかなりの効果があったと言うご報告を頂いています。
    
     参考の為、最近頂いたご感想を以下に引用させて頂きます。この方は最初にセカンドシステム
    に入れてお使いになり、その効果に感動されてメインシステムにも採用するご決断をされたよう
    です。
    
    ★制作して戴いたWR電源フィルター再構築中のメインシステムに設置し
    ★最初の2〜3日は高域の伸びがイマイチでしたが、現在はエージング?が進んで
    ★問題なく動作しています。
    
    と先ず安堵され、続いて、次のように述べていらっしゃいます。
    
    ★今までメインシステムは音源をPCからD/A コンバーターでアップサンプリングして
    ★聞いていたのですが、WR電源フィルターを通すと高域のノイズ成分が減少するためか
    ★CD規格の44.1khz でも充分な音質(高音域の伸び)を得られることが出来ました。
    ★(アップサンプリングは音の勢いと輪郭が甘くなるなど副作用も多いので
    ★利用は賛否あるようです)
    
     この方のメインシステムのソース音源はどうもPCオーディオのようです。これまではCD規格の
    音源はアップサンプリングして聴かないと高域が物足りなく感じて居られたのでしょう。しかし
    WR製電源フィルターで高周波ノイズの影響を排除すると、高域のひずみ感が減りCD規格でも十分
    に美しい高域を味わう事が出来るようになった、と仰っています。そうなんです。確かにCDには
    ある種の限界はありますが、よく経験する抜けの悪い高域は、本質的にはCD規格のせいではない
    のです。アンプシステムが正しく動作すれば、LPにも引けを取らない高域の美しさを味わう事が
    出来るのです。これまでそう言う問題を正す前に、アップサンプリング等の小手先技術に頼った
    オーディオ界に、寧ろ問題が有ったと言わざるを得ません。
    
     しかし、それだけで再構築中のメインシステムの問題点が、全て解決出来る訳ではありません。
    アップサンプリングと似たような問題あるテクニックが未だ残っているに違いありません。この
    件に関して、この方は次のように言及されています。
    
    ★ただ深夜に注意深く聞くと、高音域部に若干雑味のようなものがあり、
    ★これは恐らく音源のPCが旧型の(ノイズが多い)HDD 搭載型で、また
    ★PC → D/A コンバーター間のUSB ケーブルが無酸素銅?らしいケーブルで接続しているためと
    ★推測しているので、今後はPC廻りのノイズ対策を改善して行きたいと思っています。
    
     確かに、SSD の方が機械的な動作によるノイズの問題はありませんが、これとて定説になって
    いる訳ではありません。寧ろ、高品質を追求する音源にUSB と言うインターフェースを使う事の
    方が問題ではないかと思います。USB はマウスを動かす等と言う単純な事から始まったものです
    から、コネクタの形状と其処に使われるケーブルのインピーダンスマッチングは全く考慮されて
    いません。当然ながら端で反射が起きてパルスに大きなオーバーシュートが乗って来る可能性が
    あり、この問題が表面化しても可笑しくありません。出来れば違うインターフェースにされた方
    が早道である事を指摘させて頂きました。この件に付きましては後述させて頂きます。
    
     さて、ご感想にはまだ続きがあります。
    
    ★スピーカースタンドも売ってしまったので、システム再構築には時間がかかると思いますが
    ★土台となるアンプと電源がしっかりとしているので、今後は余り方向に悩まずに
    ★再構築が進みそうです。
    
     この方は古いWRアンプユーザーのお一人で、旧型のプリとパワーアンプをお使いだと思います。
    今現在は取り敢えずアップグレードも済み電源フィルターも導入されましたので、一歩一歩階段
    を登るように着実にシステムの再構築が進みそうだと満足されています。唯、WRアンプに出会う
    前にはオーディオ好きの方がよく経験するように、色々な製品を取っ替え引っ替えされたようで、
    それは、スピーカースタンドだけでは無かったようです。次のように懺悔されています。
    
    ★御多分に漏れず、自分もCDプレイヤー + トランジスタアンプの硬い音に我慢できず
    ★アンプは10台以上、CDプレイヤーは10台近く、音質改善アクセサリーは多数買い替えましたが、
    ★ようやく迷宮の出口が見えてきました。
    
     上記されている事からこの方も多くの資金を流失させてしまったのだろうと思いますが、此処
    まで来て、色々と紆余曲折がありましたが、WRアンプシステムの完成と時を同じくして、やっと
    「迷宮の出口」が見えて来たと仰って頂いております。多くの損失はありましたが未来が開けた
    のです。オーディオも捨てたものではなくなった証です。
    
     さて、この方は私の意見に対して、
    
    ★PC背面に光端子が付いていたので、
    ★間に合わせで家に転がっていた光デジタルケーブルを
    ★DAC と接続してみましたがこちらの方が高音域のノイズが減り
    ★音に躍動感が出るようですので、これから接続方法を見直してみます。
    ★アドバイスありがとうございました。
    
    のように素直に従ってくれました。これも巷には、光は同軸より音が冴えない、等と言う意見が
    多いようですが、石英ガラスの高級品を使えば絶対有利に運ぶはずです。今は使っていませんが、
    以前はトランスポートとDC-91 との接続に光ケーブルを使っていました。サエクのOPC-G1、X1は
    音に癖が無く良かったと今でも思っています。この方が偶に使われる「高音域のノイズ」と言う
    言葉は、私の言う過渡ひずみ感の事だと思われます。
    
     光ケーブルで結ぶと電気的結合が無くなり、それだけでPCからDAC への高周波ノイズの影響を
    減らせますし、USB に比べれば光の送端受端に於ける反射も少ないはずですから、パルスが安定
    して伝送出来、結果として高音質が期待出来ると思っています。
    
     以上のように、この方のアップグレードはずっと前に済んでいたはずですが、「迷宮の出口」
    を実感としてお感じになられたのは、WR製電源フィルターの導入後です。ですから、三種の神器
    として、各種ケーブルの他に電源フィルターを加えているのです。謂わば、最高レベルの音質を
    求めるWRアンプシステムには、これは必需品であると言う事になります。
    
     それなのにラグ板のディスコン如きで今後の製作が出来ないのは理不尽であり、これは何とか
    しないといけない!と真剣に思うようになりました。出来たら現在のシャーシ形体を変更しない
    で、取り敢えず内部部品の変更に留めたいと思うのが人情でしょう。そうなると現在入手可能な
    ラグ板で実現するしかありません。その第一候補は同じサトーパーツのL-4855と言うラグ板です。
    L-615 に比べると端子間ピッチが8mm と狭いのです。上述しましたように特にパワーアンプ系統
    のラグ板としては致命的で、大きなコイルを取り付ける事が出来ません。
    
     そこで2枚を直列に並べて端子を一つ置きに使えば、端子間は16mmになり十分過ぎるほどです
    からコイルは乗るようになります。ラグ板幅もL-615 に比べれば狭いですが、これは許容範囲内
    ですから何とかなります。問題は直列に繋ぐと当然ながら倍近い寸法になりますから、シャーシ
    に入り切るかどうかです。2つを直列にして結果的に10P にするには一方のラグ板の1つの端子
    を切り落とし、且つ繋ぎ目のピッチ間を16mmにする為にもう片方のラグ板も僅か切り落とす必要
    があります。こうして出来上がったラグ板長を測りますと162mm となり、L-615-10P と比較して
    12mmオーバーします。しかし、その程度なら現在のシャーシでも収納できますので、原理的には
    フィルターの各部品を取り付けられる事になりそうです。
    
     プリアンプ系統とデジタル機器系統のラグ板には、これは大き過ぎますのでL-4588-10Pを使う
    かどうかですが、余りにラグ板長が短過ぎてコイルなどが窮屈になりそうなので、もう少しだけ
    ラグ板長の長いものがないか物色したところ、K社が出しているUT-1と言う各種実験用のラグ板
    が見つかりました。ラグ板幅が僅かに狭くなるものの、端子間のピッチが10mmになり、コイルや
    パスコンの取り付けがし易くなりそうなので、採用しようかと思案中です。何れにしてもラグ板
    以外は同じ部品を使いますので、ラグ板の寸法の違いがフィルターの基本性能に影響を及ぼす事
    はないと考えています。
    
     以上は未だ絵に描いた餅の段階です。何でも実際に作って見ないと問題点があるかどうか判断
    できません。1月末くらいに1台納入する予定の電源フィルターがありますので、それで実験的
    に製作して見るつもりです。L-615 に比べて多少製作し辛い事はあるかも知れませんが、問題に
    なる事はないと今は考えています。この結果は、また何かの機会にお話しするつもりでおります。
    ご期待頂ければ幸いです。  

    2000川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Jan 14 21:00:00 JST 2021
    バレエ音楽「眠れる森の美女」はお好きですか?
    
     実は私は余り触指が動かない曲の一つでした。「白鳥の湖」や「くるみ割り人形」に比較して
    親しみ易いメロディーが少ないからです。後者2曲は例え全曲盤であっても知らないメロディー
    が殆ど無いのに対して、「眠れる森の美女」の全曲盤は知ってるメロディーが少しはある程度で、
    退屈しそうなところの方が多いように見えるのです。それは単純に私が聴き込んでないからかも
    知れませんが、やはりそうとばっかりは言えない気がします。
    
     クラシック好きならば誰でもが知っているメジャーな曲は、第1幕が始まって直ぐに出て来る
    「ワルツ」くらいではないでしょうか? この曲は4分足らずの短い曲ですが余り例を見ない程
    の優美なワルツですし、十分独立して演奏しても良いくらいのポテンシャルを有していると思い
    ます。そんな訳で、つい最近までこの曲しか知らないと思い込んでいました。しかし、もう少し
    魅力的な曲があった事を、ある切っ掛けから気が付いたのです。
    
     正月の三が日も過ぎて御節にも飽き、何か美味しい洋菓子でも食べたいと思い、銀座の裏通り
    にレトロな喫茶室を構える洋菓子店の日野工場に足を運んだ時の事です。レトロと書きましたが
    その後火災に遭い今現在はどうなっているのか、その後足を運べてないので知る由もありません。
    店内は空いていたのですが、エクレア、モザイクケーキ、モンブラン、苺のショートケーキ等を
    注文し、箱に詰めて貰う間店内で待っていたのです。その時、何やら引き付けられるBGM が耳に
    入って来たのです。気の利いたBGM に滅多に出会わないし、音も貧弱なものが多いので、普通は
    聴く耳を持たないのですが、何故か心にすっと入って来たのです。
    
     非常にシンフォニックに聴こえるちょっと惹かれる曲、一体何と言う曲だっけ?と言う疑問が
    湧いて来ました。知らない曲じゃないけど普段聴く曲でもない、何となく「眠れる森の美女」の
    中の1曲かな?と自分なりに答えを出したのですが、確証はありませんでした。車での帰路の間
    もずっと気になっていました。家に着くや否や有るかどうかも分からない「眠れる森の美女」の
    全曲盤を探しまくったのです。有りました。聴き込まなかった為か、この盤の存在を全く忘れて
    いたのです。
    
     それはボニング/ナショナル・フィルハーモニー管の全曲盤(L60C-1725/7)でした。ボニング
    は有名なソプラノ歌手サザーランドの夫君であり、従って、オペラを振って成長した指揮者です。
    バレエの公演は実際に殆ど振ってないようですが、著名なバレリーナから踊りのテンポを学んで
    バレエ音楽にも造詣が深く、チャイコの三大バレエもこの全曲盤で完結すると言う熱の入れよう
    です。唯、このLPを特に意識して買った訳ではなく、持ってても悪くないかな程度で購入したの
    だと思います。殆ど聴いた記憶が残っていませんでした。
    
     ケーキ店で聴いたメロディーが何処かに隠れていないか、あっちこっちに針を落として確認し
    始めました。最初は曲のスケール感から後半かな?とかってに推定したのですが、馴染みのない
    メロディーばかりが出て来ます。結局、徐々に遡って前半の方に注目点を移し、盤面はSIDE3 に
    なっていました。この外周部にお目当てのメロディーらしきものが出て来たのです。それは邪悪
    な妖精カラボスのテーマだったようで、第8曲パ・ダクシオンのd)コーダと第9曲の終曲辺り
    を聴いたようです。その後半に行くと又遠ざかって行く気がしたので、盤面をSIDE2 にしてffで
    刻まれていそうな内周部に針を落とした瞬間、此処だ!と気付きました。
    
     お目当てはパ・ダクシオンのa)ばらのアダージョだったのです。要するにオーロラ姫が4人
    の王子と踊りばらの花束を受け取るシーンなのですが、その事は全く忘れていたもののこの部分
    のメロディーは頭に残っていたのでした。5分程度の曲ですが非常に魅力的で充実してると思い
    ました。しかし、この演奏はケーキ店で聴いたようなシンフォニックな演奏ではなく、テンポが
    ダンサーの踊り易いように設定されてるせいなのか、聴く音楽としては今一つ物足りないのです。
    それにオケも下手ではないけれど素っ気なく、味がありませんし、録音も英デッカにしては冴え
    ません。急遽、何か良いCDは無いか今度は検索サイトで調べて見る事にしました。未だ日は短く、
    辺りはもう薄暗くなっていました。
    
     取り敢えず有りました。それは、ドラティ/コンセルトヘボウ管の全曲盤(PROC-1423/4)です。
    ドラティと言えば、同じコンセルトヘボウ管を振った名演にして名録音の「くるみ割り人形」の
    全曲盤があります。これしか無いと直ぐに注文をしました。Tレコードは対応が早く次の日には
    発送され、アマゾン並みの速さで手にする事が出来ました。独自企画で制作されたCDですが普通
    は省略される第18曲もちゃんと収録されていると書いてあった事も、購入の決め手になりました。
    届いたCDの帯には「アナログ録音末期の優秀録音」と印刷されてましたが、嬉しさ半分不安半分
    でした。フィリップス録音のアナログ末期の音は概して鈍っているからです。コリン・デービス
    の「春の祭典」「ペトルーシュカ」「火の鳥」等も録音は悪くはないけれど、ちょっと歯痒い音
    がします。
    
     最初は音量レベルを余り上げずに聴き始めました。行き成りガッカリするのが嫌だからですが、
    やはり多少ひずみ感を伴っているように聴こえます。アンプも温まったので意を決して何時もの
    音量で聴いて見ますと「くるみ割り人形」ほどの音ではありません。私の邪推かも知れませんが、
    マスタリングの時に音のメリハリを付ける為にグライコ等でf特を弄ったのではないでしょうか。
    所謂ナチュラルバランスではないのです。第一コンセルトヘボウにしてはストバイが細過ぎます。
    それに余り美しくありません。このオケのストバイはこんなものではないはずです。金管も音色
    が単純過ぎますし木管も自然さに欠けるところがあります。大太鼓も量感はありますがブヨブヨ
    した感じです。昔のドンシャリ傾向ですが、有意のひずみ感を感じますし、私の嫌な予感がある
    程度的中した感じです。
    
     1975年くらいまでの録音機材等で録音されていればと返す返すも残念でなりません。それでも
    ドラティの快演のせいか、初っ端の「序奏」の迫力は十分聴くに値しますし、ばらのアダージョ
    も満足いくものでした。それにしてもドラティの演奏のテンポは凄まじく速く感じました。もう
    少し溜めてから放出した方が良かったのではないかなと思います。それで「くるみ割り人形」の
    全曲盤(PHCP-9359/60)の演奏を聴いて見る気になりました。この「眠れる森の美女」の録音を
    聴いていると、自分の装置が悪いのか?と思ってしまうので「くるみ割り人形」でリベンジする
    ような気持ちでした。
    
     聴くところは、全曲盤の中で一番シンフォニックに聴こえる「クララとくるみ割り人形」及び
    「軍隊との戦闘−くるみ割り人形の勝利−人形は凛々しい王子に変身」を続けて聴いて見ました。
    最高に迫力のある演奏が10分に亘って繰り広げられるのです。演奏、録音共に殆ど不満なく聴き
    通す事ができました。唯このCDもLPの全曲盤からすると少し中高域に癖を感じましたので、もう
    少し良質なCDを探す必要はあるかも知れません。この録音は1975年ですからドラティが70歳位の
    時のものですが、正に充実した演奏が最高の音で楽しめます。正しく録音されたソースなら問題
    なく再生できる、と言う事を改めて確認する事が出来たのです。この頃の演奏には未だ速過ぎる
    と感じるところはないのでから、この5年後の演奏は先を急いだのでしょうか? 8年後に病死
    しています。惜しい指揮者を失ったと思います。最近は無難な指揮者ばかりになってしまい少し
    寂しい気がします。一時的には非難を浴びたとしても、少しくらい型破りの個性の強い指揮者が
    出現して欲しいものです。
    
     これは蛇足ですが「くるみ割り人形」全曲盤のCDの余白に「眠れる森の美女」のハイライトが
    収録されていました。演奏はフィストラーリ/ロンドン響ですが、録音は1962年と古いものです。
    「序奏」と「ばらのアダージョ」が入っていたので、比較の意味で聴いて見ました。バレエ音楽
    の指揮者を長い間やっていたので当然手馴れていますが、多分録音ともなれば聴く音楽としても
    楽しめるように工夫したのではないかと思います。其処がボニングとは違うところで、ドラティ
    に似た人を引き付けるような劇的な指揮をします。この2曲も中々堂に入っていると思いました。
    唯、60年代初期のフィリップス録音には中高域の硬いものが多くその点が少し残念なところです。
    最近買ったドラティ盤もこのフィストラーリ盤も音が自然でない為か長く聴くと耳が疲れます。
    
     耳が疲れるのは再生音に広義のひずみ感があるからですが、この責任の可能性はソース源及び
    再生システムの両方にあります。今回の主たる原因はソース源でしたが、それを助長させるもの
    に高周波ノイズの存在があります。今冬は殊の外寒い(−7℃にもなる)ので寝室のエアコンで
    多少暖房して寝る事にしているのですが、未だ無精から電源フィルターを噛ましていないのです。
    市販の10A クラスのノイズフィルターを2つ繋げて適当な箱に納めれば良いのですが、今は手元
    スイッチで誤魔化しています。つまり音楽を真剣に聴く時は手元スイッチでエアコンを切り離す
    のです。今回の試聴時も当然ながら切ったのですが、その夜寒かったので又入れてあったのです。
    殆どの家電製品は動作してなくてもリモコン操作が可能です。それは取りも直さず動作してない
    家電製品でも、制御用マイコンが生きてる証拠です。
    
     手元スイッチが入っていたのに、次の日の試聴の時にウッカリそのまま聴いてしまったのです。
    何んだか昨日よりも私の聴感の許容を越えるひずみ感があるなと思ったのですが、それでやっと
    切り忘れた事に気付いたのです。歳を取るとこんなものです。動作してないエアコンが、かなり
    音に影響してしまうのです。購入したドラティ盤の音質は、楽しめるか否かの線上にあった事に
    なります。WR製電源フィルターをお使い頂いただけでは十分とは言えませんから、是非、市販の
    フィルターを家電製品にも入れてご使用になる事をお勧めします。その分、蘇るソースも増える
    はずです。10A のフィルターは安価なものを探せば2つで数千円です。オークションなら2つで
    千円程度で入手できますから、クッキーか何かの直方体の金属製の入れ物に収納し、2つを直列
    に接続して、入り口に電源プラグを出口にアウトレットを付けて使って見て下さい。半田付けの
    出来る方なら難しい作業ではありませんが、あくまで自己責任で行って下さい。
    
     そんな訳でドラティ盤は決定打にはなりませんでしたが、それでも最近何か聴こうかと思って
    も止めてしまったりする事が多く、多少マンネリ気味であったのですが、新鮮な気持ちで音楽に
    立ち向かう事が出来て良かったと思います。犬も歩けば棒に当ると言いますが、ケーキを買いに
    行った事が思わぬ方向に転んでくれたのです。決めつけないで何でもやって見る事が、人生には
    必要なかも知れません。  

    1999川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Fri Jan 1 00:00:00 JST 2021
    謹賀新年 2021.1.1
    
     旧年中は、ユーザーの皆様には大変お世話になりありがとうございました。お陰様でWRアンプ
    システムはほぼ完成致しました。SEコン仕様の完全アップグレード版のWRアンプを、三種の神器
    (WR推奨スピーカーケーブル、WR製RCA ピン接続ケーブル、WR製電源フィルター)が具備された
    環境でお使い頂ければ、何処でも何方でも真の高忠実度再生(音楽ソースの正しい再生)が可能
    になります。これは言うに易しですが、多分世界中を見ても極めて稀な例であろうと思われます。
    オーディオは何時しか変節し「高忠実度再生」と言う目的が揺らいでいるように思います。
    
     私は生まれてこの方、オーディオを単なる音遊びの趣味として考えた事はなく、半世紀以上に
    亘って「高忠実度再生」を求め続けて参りました。オーディオの黎明期にはそうした志をもった
    方が多く存在していましたが、メーカー製のアンプを買っても駄目、自分で作ってもダメと言う
    結果を強いられ、作る側も使う側も結局、当初の理想を曲げざるを得なくなったのではないかと
    思います。また本来はその科学的根拠をオーソライズすべき関連学会がオーディオをその範疇に
    加える事を真剣に検討しなかった事も一因になっていると思います。その結果、非科学的な眉唾
    もののオーディオが、大手を振って闊歩する非常に情けない状況に陥っているように思われます。
    仕方なく私は独自路線を歩んで参りましたが、例外を除いて全て科学的な考察のもとで導かれた
    ものばかりです。そうでなければ、真の高忠実度再生は実現しなかっただろうと思います。
    
     真の高忠実再生を実現するには、アンプ設計に科学的な思考の結果を生かす事は勿論の事です
    が、結果として得られた音をどのように評価するかも非常に大切になります。詰り聴感を鍛える
    必要がある事です。私は12年間に渡って在京オーケストラの定期会員になり、サントリーホール
    の一階中央付近の音のバランスが一番良い席で聴き続ける事に依って、自分の聴感を訓練したの
    です。どの楽器はどう言う風に聴こえるのか、約120 回に及ぶ定期演奏会の音を聴き続ける事に
    よって、耳と脳にそれを叩き込んだのです。その回数も然る事乍ら定点観測をした事も重要です。
    何故なら、毎回一定の条件で聴取する事が出来たからです。偏った席で聴いたり、毎回違う席で
    聴くのは聴かないよりは増しと言う程度で余り意味がありません。そうして得られた聴感を尺度
    にして、研究の対象にしているWRアンプの音が、正しいか或いはそうでないかを判定したのです。
    好き嫌いではなく正か否かです。実演からは聴こえない音が出ているアンプは落第です。
    
     そして、少しでも正しくないと感じた音が確認された時はその原因を探り、逐一アンプの不備
    を修正して行きました。それが最後の詰めの作業だったと思います。これに数年以上費やしてる
    と思いますが、やっと昨年の後半になってどのようなソースを聴いても録音さえ正しく行われて
    いれば、正しくないと思われる音を感じる事が殆ど無くなったのです。時を同じくしてユーザー
    の方から「正にライブの音がする」等と言う感想を頂戴するようになりました。これはWRアンプ
    の音が偶然に出たのではなく必然だったと言う事を意味します。つまり客観的であり且つ再現性
    のある音がWRアンプから出るようになっていたのです。
    
     最近これを象徴するような事案を経験しました。項番1994にも書きましたが11月に開催された
    公開文化講座に於いて行ったデモの感想文です。感想文は項番1997に纏められています。参加者
    26名のほぼ全員から「音が良かった」と言う趣旨の感想を頂きました。公開講座に来られた方々
    は特にオーディオを趣味にしていると言う訳ではなく、教養として音楽が好きで参加された方が
    殆どであったと思います。詰りオーディオ装置の音を特別視する方々ではなく、普段音楽を聴き
    に行っている時の感覚が基準になっていたと思われます。従って音楽がそれらしく楽しく聴ける
    かどうかがポイントだったのでしょう。感想文の中から、その事を如実に示す行を改めてピック
    アップして見ます。
    
    ★★ジャズは特にプレーヤーの息遣いが伝わってくるよう
    
    ★★トランペットいいですよね。久しぶりです。
    
    ★★目をつぶって聞いているとそこにオーケストラがいるような音
    
    ★★これほど美しく聞けるなんて、生演奏のように美しい
    
    ★★演奏会場にいるようで、1曲ごとに拍手をしたいくらいです
    
    ★★臨場感があり、素敵でした ホール音響より素敵でした
    
    ★★久しぶりに良い音、音楽が聴け楽しかったです
    
     これらの感想文から殆どの方が生の演奏会を経験されてる事が窺われます。オーディオマニア
    の大方の人が例外的にしか生演奏会には出向かないのと対照的です。だからこれらの方々が仰る
    感想は「高忠実度再生」に直結するものと考えても良いと思うのです。私と類似するような感覚
    で複数の第三者の方々にお聴き頂けた事は、WRアンプの客観性を示す根拠になり得ると思います。
    また今回のアンプシステムには、我が家で稼働していたアンプシステムを単に平行移動して使用
    したに過ぎず、会場の音響に合わせてアンプの定数を変更するなど、改めてチューニングをして
    ない事から、再現性も併せ持っていると言えると思います。詰り聴く部屋を選ばずその部屋なり
    に正しい音で聴けるシステムであると言う事です。この事は科学的にアプローチをしたからこそ
    得られた特性だと思います。
    
     次に幾ら正しく動作するアンプを作り出したとしても、真の高忠実度再生は望めません。今や
    高周波ノイズの存在が無視できないご時世だからです。貴方のスマホも音を悪化させているかも
    知れません。この影響を最小限に食い止めるのが三種の神器です。項番1996にも載せてあります
    が、此処に高周波ノイズとその影響についてかなり詳しく述べてありますから、是非ご一読頂き
    たいと思います。
    
     何故、WR製RCA ピン接続ケーブルが必要になるのでしょうか? 殆どのステレオアンプはその
    送端と受端で左右のアースは共通になっています。即ち、アンプ内で短絡されています。従って
    左右のケーブルのアース側は一つの大きなループを構成し、これに高周波ノイズが鎖交しますと
    ループ内に高周波ノイズに起因する起電力が発生します。この起電力は当然の事ながら受端側の
    アンプに入力されます。特に高帰還アンプは高周波ノイズを嫌いますので極度の音質悪化を招く
    事になります。これを防ぐ為に左右2本のケーブル全体を編組シールドで包み込みさらに受端側
    でアースに落とす事に依って、これを強力に防止しています。
    
     また使用するRCA プラグ及びRCA ジャックの特性インピーダンスが、使用するケーブルの特性
    インピーダンスと大幅にずれていますと、送端と受端でインピーダンスミスマッチングが起こり、
    余計にノイズの影響を受ける事になります。これを少しでも改善するために、WR製RCA ピン接続
    ケーブルには75Ωの同軸ケーブルを用い、送端と受端の回路で高周波に於いて75Ωになるように
    工夫し、さらに幾何学的形状から75Ωに近いと思われるプラグとジャックを採用して、このミス
    マッチングの程度が低くするように工夫しています。
    
     スピーカーケーブルもRCA ピン接続ケーブルと同様に非常に大切です。世の中では、高純度の
    OFC 系ケーブルが重宝がられますが、WRアンプには害にこそなっても良い事は一つもなく、それ
    よりもっと大切な事があります。それはひずみ感を出さない4N線を先ず選ぶ事です。4N線を製造
    する会社は数多く存在しますが、その中で使えるのは2、3社です。WR推奨スピーカーケーブル
    に決めているMITSUBOSHIのスターソフトはその一つです。未だ試してはいませんが、WR推奨電源
    ケーブルのSHINAGAWA も数少ない会社の一つです。多分スピーカーケーブルとしても使えるはず
    だと思っています。このようなひずみ感の少ない4N線を作れる会社こそが尊いのです。アンプの
    設計者には、このひずみ感のない4N線を選ぶ聴感が必須になります。この聴感は上述したような
    訓練以外では身に付ける事は出来ません。この世の中に高忠実度に耐えるアンプが例外的にしか
    存在しない所以です。唯、物性的に殆ど同じはずの4N線で明らかな音の違いが何故生じるのかは
    科学的にきちんとした説明が出来ない事象の一つなのです。
    
     ところで、RCA ピン接続ケーブルもそうですが、スピーカーケーブルも伝送線路理論に則って
    考える必要があります。MITSUBOSHIスターソフト2mm スケアはその形状から特性インピーダンス
    は120 Ω程度であると思われますので、送端としてのスピーカー端子には120 Ωの抵抗を入れて
    マッチングが取れるようにしてあります。受端はスピーカー端子と言う事になりますので、接続
    に必要なY端子の直前、数cmのところに120 Ωの抵抗を入れ、両端でマッチングが取れるように
    します。スターソフトは内部で2本の被覆銅線が撚られていますので、例え高周波ノイズが鎖交
    しても隣り同士のループが逆相になる為、高周波ノイズに起因する起電力は発生し難いと思われ
    ますが、マッチングを取って置けばより安心と言う訳です。
    
     最後は電源フィルターです。この件に関しましては項番1996に詳述してありますので、そちら
    をご参照頂ければ幸いですが、この記事をご覧になって注文を入れて頂いた方が既に4人居られ、
    12月に入ってから3台を納入しています。皆さんに絶大な効果があったと仰って頂いていますが、
    その中から先ずお一人の感想文をご紹介させて頂きたいと思います。
    
    ★簡単なレビューとして、以前使っていた電源タップより中〜低域のノイズが減り、
    ★その帯域の焦点が合って音の見通しが良くなりました。
    ★カメラで例えると明るく歪が少ない良いレンズに付け替えたような感じでしょうか?
    
    と言う第一報を頂きました。この方は最初に中〜低域に掛けての音の改善に気付かれたようです。
    もやもや感がなくなりスッキリした中〜低域の音になったのだと思います。それから2日程後に
    次のような追報を頂いています。耳が慣れて来られたのでしょう。
    
    ★電源フィルターは土曜の夜から、ずっと通電して聞いていたのですが
    ★届いた初期より高音域の伸びが良くなり、
    ★また電源の濁りが無くなったのでアンプが正確に増幅しているためなのか、
    ★スピーカーからの音が立体的に出てくるようになりました。
    
    と仰って頂いて、高音域の音の改善にも気付かれて居られます。ノイズの悪影響がなくなった為
    アンプが正確に信号を増幅するようになったのではないかとも述べられていて、その結果として
    音が立体的に出て来るようになった、と結論付けられています。正に私が電源フィルターに期待
    する姿が其処にあるように思います。立体的と言うのは嫌な音が減り微細な音まで聴こえて来る
    ようになって、結果的に奥行感が出て来るからだろうと思います。さらに言葉を続けられて
    
    ★このレベルまで来ると、スピーカーの存在が消え、ただ音楽がそこにあるのみと言った
    ★不思議な感覚なのですが、意外だったのがアナログレコードの音も自然に再生されるように
    ★なった事です。こうなると贅沢な悩みですが、アナログ機器も見直したくなりますね。
    
    と贅沢な悩みを吐露されています。スピーカーの存在が消えるのも、楽音でない嫌な音が完全に
    消失するからであり、如何に高周波ノイズがアンプの音質を害しているのかが分かります。また
    アナログレコードの音が自然に再生されるようになったのは、高周波ノイズが減った為にアンプ
    の安定性が改善され、カートリッジの高域のピークに依る不自然な音が目立たなくなるからだと
    考えられます。
    
     ご参考までに申し添えますが、この方がお使いのWRアンプは、可能な限りのアップグレードが
    施されています。購入したままのアンプに何も手を加えずに上述されている「音が立体的に出て
    くる」「スピーカーの存在が消える」ような音が出て来る訳では決してありません。SEコン化と
    までは申しませんが、最新のアップグレードまで為さって頂く必要があります。
    
     4台目の電源フィルターは新年早々に納入されましたが、その方から最近頂いたご感想を下記
    に示します。
    
    ●よい製品を、ありがとうございました。
    
    ●AC OUTがワット数別に設けてあるのが、うれしいです。
    
    ●ずっと、気になっていた(リコーダー・フルート・オーボエ)の
    ●細く耳障りだったところが、聴きやすくスムーズに鳴るようになりました。
    
    ●チェンバロの速弾きで、倍音が複雑に絡み歪む箇所の汚さも改善されました。
    
    ●また、ハンドベル合奏の盛り上がるフォルテもキツかったのですが、
    ●明快さは、失わずに耳当たりがよくなりました。
    
    と述べていらっしゃいます。
    
     木管楽器は再生が易しいようで意外に難しものです。やはり管の中での共鳴を利用してるから
    だと思います。クラリネットやファゴットに比べると上記の楽器は再生がより難しいと思います。
    耳に触る音が出易いのでしょう。それが電源フィルターの使用で聴き易くスムーズになったとか
    本当に良かったと思います。チェンバロの速いパッセージでのffが混濁し易いのもまた事実です。
    倍音が複雑に絡み合うからです。電源フィルターの使用でその汚さが改善されたようで、如何に
    AC電源が汚れているかが分かります。普段私は聴きませんが、ハンドベル合奏の難しさも想像に
    難くありません。ベル内の共鳴が多数重なり合い複雑な音を形成するからだと思います。これも
    音の明快さを失わずに耳当たりの良い音になったようで、ご同慶の至りと言ったところです。
    
     斯様に、WR製電源フィルターの効果は非常に高く、WRアンプユーザーのお一人でも多くの方に
    是非使って頂きたいと思っております。まだサトーパーツのラグ板L-615Pには若干の余裕があり
    ますので、上述されたような音の改善を望まれる方は、早めにご応募される事をお勧め致します。
    年が明けて2台の受注があり、あと一つだけ作れるラグ板があります。
    
     最後に、本年も引き続きましてWRアンプをご愛顧頂きますようにお願い申し上げる次第です。  

    1998川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Dec 10 23:30:00 JST 2020
    年末はベートーベンの「合唱」?
    
     日本では慣例のように、年末にベートーベンの交響曲第9番「合唱」が盛んに演奏されますが、
    一説に依るとオケのメンバーにボーナスを支給するのが一つの目的だったようです。それが何時
    しか定着し殆どのオケが右へ倣えの状況です。私も一二度聴きに行った事がありましたが、殊更
    感激して帰って来た覚えもなく、自宅でLPを聴く程度になっていました。若い頃はトスカニーニ
    /NBC 交響楽団の演奏が良いと思い、モノだったと思いますが真剣に聴いた気がします。
    
     トスカニーニの「合唱」の特徴は、勿論厳しい演奏に徹している事ですが、所々に楽器を補完
    したとしか思えない分厚いサウンドが聴けるのが魅力でした。例えば、第2楽章のスケルツォで
    「タータラタッタ、タッタ、タッタ・・・」と言う特長的なリズムが刻まれますが此処で普通は
    聴こえないホルンが、近代オケのように見事に力添えをしてる事です。若い頃は金管がバリバリ
    鳴るのが好きでしたから、この演奏には好感が持てたのでした。また、テンポが速めで飽きる事
    なくサッと終わってくれるのも良かったのです。
    
     しかし世の中がステレオの時代になって徐々にこのLPからも遠ざかってしまいました。その後
    これを引き継ぐLPもなく、暮れに「合唱」を聴くと言う習慣も立切れになっていました。一つは
    この曲に本当の意味で感激した事が無かったので、結局長続きしなかったのだと思います。寧ろ、
    私に取っては「英雄」や「ベト7」の方が夢中になる要素が多かったのだと思います。その意味
    では「運命」「田園」にも夢中になった事はありません。外形的、表面的な興味で聴く音楽より
    唯、純粋に聴ける音楽の方が性に合うのかも知れません。
    
     ところで先日、Eテレで稲垣吾郎と広上淳一の対談を通じて、この「合唱」を掘り下げて聴く
    番組が放送されていました。ご覧になった方もいらっしゃる事かと思います。この時に流された
    演奏は、あのバースタイン/ウィーンフィルの名演でした。バースタインは晩年、ニューヨーク
    フィルから離れてウィーンフィルを重点的に指揮していました。1970年代後半の事です。77〜79
    年に掛け、ベートーベンの交響曲全集(MG 8873/80)を独グラモフォンと共に完成させています。
    独グラモフォンにはイスラエルフィル等を指揮して偶に録音をしていましたが、全てライブ録音
    だったようです。
    
     要するにセッション録りは行わずに、定期演奏会などで演奏する時に録音を兼ねていたのです。
    多分、ブツブツ切って繋ぐのは音楽ではないと考えていたからだと思います。このベートーベン
    の交響曲全集も然りで、大体は2〜3日で録音を終えています。私はこの全集が発売された頃に
    買ったのですが、これまで熱心に聴いた事が無かったのです。買うと安心するみたいなところが
    あるのですが、当時の音質ではこのLPの真価が分からなかったのかも知れません。「合唱」以外
    はウィーン・ムジークフェラインで演奏されていますが「合唱」だけ、キャパの関係でウィーン
    国立歌劇場で行われました。同時にビデオも撮影されたらしく、今回その時の映像が放映された
    のです。
    
     まだコンサートマスターのヘッツェルが健在の頃であり、裏にはキュッヒルが座っていました。
    何と豪華な事でしょう。カラヤンもそうでしたが、バースタインはベートーベンでも4管編成で
    演奏するのでオケの厚みが違います。木管は各パート4人ですしトランペットも通常の倍の4人、
    ホルンも4人のところ6人座っていました。トップは勿論、ヘーグナーです。その他の各トップ
    にも昔懐かしい顔触れ、例えばフルートのシュルツが座っていてある意味ウィーンフィルの全盛
    時のメンツが揃っていたと思います。
    
     ソリストには、バスのクルト・モル、テノールのルネ・コロ、ソプラノのギネス・ジョンーズ、
    と錚々たるメンバーが並び、アルトには若手ながら実力派のハンナ・シュバルツが配されていま
    した。モルもコロも誠実な声の持ち主で好感がもてますが、バイロイトのブリュンヒルデで一躍
    有名になったギネス・ジョーンズの声はよく通り「合唱」に似つかわしいと思いました。アルト
    もそれなりに存在感を示していて、この配役は成功したと思います。最後の方でオケの全奏の中、
    これら4人の声が浮かび上がるところは圧巻です。
    
     テレビを見終わって、直ぐにこの全集をLP棚から取り出して見ました。リブレットの裏表紙に
    描かれたこの演奏風景は、今見たばかりの映像と同じで、例えばギネス・ジョーンズの衣装は青
    であり、ハンナ・シュバルツのドレスは白系でした。裏表紙の内側には白黒ですが、独唱者4人
    が並んでいる写真があります。その足元にマイクが映っています。ライブ録音と言っても演奏会
    の雰囲気をなるべく壊さないように、目立たないような所にマイクを置いたのでしょう。因みに、
    録音エンジニアはシャイベです。番組で、何故にこの映像を選んだのかは知る由もありませんが、
    幾らでもあるN響の定期演奏会等のビデオを選ばなかった英断に、拍手を送りたいと思います。
    
     さて改めてこの「合唱」を、蘇ったEQ+ヘッドアンプを使って聴いて見ました。最初、今一つ
    かなと思ったのですが、もう一度日を改めて聴いた見たところやはり凄い力演である事が分かり
    ました。バースタインの元、メンバーがその気になって演奏してるのが手に取るように分かって
    来たのです。要するに、音符を正確に演奏するだけでなく、その音楽を自分のものにし、そして
    その音楽に没入したその演奏振りは、所謂それが本物である事を物語っています。特に第4楽章
    の凄まじい事と言ったらありません。唯、唯バーンスタインの偉大さ、ウィーンフィルの凄さに
    恐れ入るばかりです。最近の演奏ではまず見られない風景です。これからも、このような演奏は
    まず望み薄ではないかと思います。シャイベは、隠れたマイクでそれを的確に捉えていたのです。
    だからオーディオは必要なのです。過去の名演を生きた形でリスナーに提供できるからです。
    
     音像は非常に自然で写真で見るが如しに楽器が並んで聴こえて来ます。4管編成ですと木管群
    が多彩に聴こえます。1列に8人並ぶ訳ですから当然かも知れません。トランペットも第4楽章
    では浸透的な音で迫ってきます。ホルンは非常に安定していて音程に全く不安を感じさせません。
    第4楽章でトロンボーンが加わりますが、何故か、モーツァルトのレクイエムで奏される妙なる
    ラッパの音を思い出しました。コントラバスは右奥に陣取っていて、低域の厚みを支えています。
    ピッチカートの響きが自然でホール音響の良さが分かります。弦楽は左からストバイ、セコバイ、
    ビオラ、チェロと並んでいて近代オーケストラの標準的な配置です。弦楽の美しさは格別ですが、
    特に抑制の効いたバイオリンパートの音は、ヘッツェルの好みなのでしょう。総じて落ち着いた
    しかし生きた音に聴こえます。
    
     抑制が効いていると言えばウィーン国立歌劇場合唱団の歌唱も素晴らしいです。よく声を張り
    上げ過ぎてオケの音を潰す程力んで歌う合唱団もありますが、ウィーン国立歌劇場合唱団は場数
    を踏んでいますからどんなffでも声がサチってしまう程には張り上げませんし、全体のバランス
    を考えて美しい音楽に仕上げるコツを会得しているようです。どのパートもリアルでありながら
    落ち着いた歌唱を聴かせてくれます。このLPにこんな魅力のある音が入っていたとは思いも及び
    ませんでした。これまでは悪くないけれど無難な音、無難な演奏だと思っていたのです。やはり
    再生装置の品質は大切です。音の再生品質が悪いと演奏の良し悪しを見損なう事もあり得るから
    です。このLPの正しい評価が出来るようになったのは、WRアンプシステムが確実に進化した証だ
    と思います。特に昔は多少のひずみ感は仕方がないと諦めていた再生音に、録音が一流であれば、
    LPでもCDでも殆どひずみ感を感じなくなった事です。ストバイのff等のどんなに難しい再生音で
    あっても、ひずみ感無しに聴く事が出来るのは本当に幸せな事だと思います。
    
     皆さんも何某のソースを聴くのなら、その再生品質を可能な限り上げて聴くべきだと思います。
    確かに、経済的なネックはあるとは思います。しかし、その意義にさえ気が付けば本気で何とか
    しようと思うはずです。そう念じれば不可能な事は無いと思います。パワーは兎も角、WRアンプ
    と三種の神器を揃え、さらには時間を掛けてSEコン化まで進めば、普通のサラリーマンでも必ず
    目的は達成できると思います。そして眠ったままかも知れない凄い演奏に本気で感動して下さい。
    WRアンプは絶対それを可能にします。そうそうあるユーザーの方から完全アップグレードされた
    WRP-α9 にΕ-15HS を組み合わせてお聴きになった時の感想文を送って頂きましたので、最後に
    なりましたが紹介させて頂きます。唯、これは独り言だそうです。
    
    ★作成していただきましたE-15HS、フル稼働中です。
    ★最近一日の終わりに中島みゆきのお元気ですかというアルバムを聞きます。
    ★これは声を大にしていいたい事ですが、アルバムに世情という曲があります。
    ★そのなかの最後に「戦うためー」と歌うシーンがあります、
    ★この「めェァェ」の声を聴くだけのためにWRアンプを手にいれても
    ★全く価値あるくらいと思いました。まァ独り言です。
    
     この感想文の意味するところは、アンプに依っては中島みゆきの本当の姿が掴めないと言う事
    だと思います。同じ音源を聴いても、其処に大きな差が生じるのです。感動の度合いが違います。
    だから、高忠実度再生を可能にするオーディオアンプ・システムが必要なのです。単に音に拘る
    オーディオではなくて、WRは真の音楽を聴く為に拘るオーディオを目指しているのです。それが
    演奏する方たちに対する礼儀でもあると私は考えます。

    1997川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Dec 3 22:00:00 JST 2020
    改めて、WRのフォノアンプの音質は秀逸だと思います。−−−WRアンプはやはり素晴らしい!
    
     8月の下旬に項番1985で少し触れましたが、受注した3台のフォノアンプを1台ずつゆっくり
    と製作し、3台目を11月の初旬に無事に納入をし終えております。その節も触れましたが、製造
    中止になった優秀な部品をなるべく使うようにしていますので、完成したフォノアンプは基本的
    には同じでも細かいところでは異なった部品が使われています。それでも、出来上がったフォノ
    アンプの音は識別できない程に酷似していて、毎回毎回「いい音だな!」と感じ入っています。
    
     それは決して自己満足ではなく、納入先の方からも高い評価を頂いております。その方に依り
    ますと、第三者にあるメーカーのものと比較試聴して貰ったところ、直ぐにWR製フォノアンプに
    軍配が上がったそうです。その甲斐あってか今回4台目を製作させて頂いて、つい最近納入した
    ばかりです。その際も手短かですが、
    
    ★本日動作チェックいたしました。
    ★問題ないです。
    ★いい音してます。
    ★ありがとうございます。
    
    と言うメールを頂戴しております。
    
     ところで今回の一連のフォノアンプ製作時の試聴で気付いたのですが、我がΕC-1HのEQ基板に
    ヘッドアンプを接続して得られる音より綺麗に聴こえた事です。逆に言えば我が方の音に何処か
    電気系に可笑しなところがあると感じたのです。この件についてもこの場で触れてると思います
    が、4台目が完成して改めて検討して見る気になりました。我が装置でポール・モーリアのLPを
    聴き直してそう思ったのです。
    
     最初はSEコンを使用するアンプ等を作っていて、どうしてもある値が入手できない時に、急遽
    それを補完する為に我がヘッドアンプ等からSEコンを取り外し、セラミックで置き換えたりした
    事でヘッドアンプの音の品位が落ちたと思っていたのですが、それ以前にも改善すべき点が未だ
    他にある事を思い出したのです。それは次の二点です。
    
     その一つは我がΕC-1Hには当初EQ基板は搭載されておらず、LP試聴には旧型プリを使っていた
    のですが、そろそろ新型プリでもLPを聴ける状態にしておくべきだと考え、旧型プリのEQ基板を
    暫定的にΕC-1Hに組み込んだのです。しかし本来は他の基板の取り付け位置をずらしてスペース
    を確保してからEQ基板を取り付けなければならないところを、斜めに傾けて無理に納めていたの
    でした。従って、EQ基板はちゃんと固定されてなかったのです。
    
     さらに、その後に線材交換の話が持ち上がり本来はEQ基板の入出力のシールド線も交換すべき
    だったのですが、なるべく早く線材交換の効果を確かめたいばっかりに、暫定的なところは割愛
    してしまったのです。ですからEQ基板には従来のシールド線がずっと使われていました。そこで
    覚悟を決め地道に基板類を取り外し、穴を空け直して全ての基板をねじ止めしシールド線もやり
    直しました。これで一度試聴を試みたのですが、本質的には解決しませんでした。しかし電気系
    が怪しい時に出る嫌な音の素が、はっきり聴こえるようになりました。嫌な音が整理された感じ
    です。嫌な音とは非楽音の事で多かれ少なかれ耳に不愉快な感じを与え、音楽を楽しく聴くには
    邪魔になる存在です。
    
     そこで、気になっていたもう一点について手を付ける事にしました。それはプリ自体はやった
    のですが、ヘッドアンプはVishay化が行われてなかったのです。LPに関するところは何でもあと
    回しにしていました。特に重要なのは第一安定化電源の電源部です。整流回路と安定化電源基板
    には必ず入れる場所を決めていますので、合計で5個フィルムコンを交換しました。この中には
    ASC でないものもありました。旧型アンプ当時の古いスタイルがまだ残っていたのです。これで
    ダメなら第二安定化電源の方も交換するつもりでした。
    
     試聴して見ますと、これまで4台のフォノアンプで慣れ親しんだ音がほぼ再現されたのでした。
    この音なら許されるある範囲内に入っていると思います。要するに、電気系が原因で出る嫌な音
    の素があるかどうかです。これがあると音楽を正しく聴くには支障を来すのです。煎じ詰めれば
    オーディオで大切なのはこれなのです。これまで種々の対策を重ねて来ましたが、この素を極力
    減らす努力だったと思います。そしてVishay化+SEコン化でこれがほぼ無くなったと言う事だと
    思います。言うのは簡単ですが、これを達成するのに半世紀以上も費やしたのです。
    
     オーディオアンプは良い音の加算ではなく嫌な音の減算なのです。これを履き違えた手法では
    到底いい音には辿り着けないはずです。仮にいい音を足して行けたとしても嫌な音が何時までも
    混在するからです。オーディオの堂々巡りの原因は実は此処にあります。嫌な音を極限まで減ら
    せば、最後はいい音がするアンプに自然になります。そして、この嫌な音の素を認識する聴感を
    獲得する道は生の音楽を重ねて聴く事に依ってのみ達成されます。生の演奏会に足繁く通わない
    技術者には、正しく動作するオーディオアンプを作り上げる事は絶対に不可能な所以です。もう
    少し言えば、嫌な音を具体的に認識出来ないリスナーには、いい音のするアンプを獲得する術は
    殆ど無い事になります。
    
     WRアンプがほぼ完成されたと言う証は4台のフォノアンプの件もその一例ですが、先日の公開
    文化講座に参加された方々の証言からも伺えると思います。帰りしなに実施されたアンケートの
    結果が送られて来ましたので、以下にそのお声をご紹介したいと思います。アンケートに答えて
    下さった、即ち参加された方は26名でした。公開文化講座は年間10回程予定され、どのような
    テーマが設定されるかはその都度決まりますので、アンケートに答えて下さった方々は必ずしも
    オーディオ・音楽好きだとは限りませんし、寧ろ極一般の方々であって、殆ど先入観など無しに
    WRアンプの音をお聴きになったはずです。この事が重要であり、当日のデモは一種のブラインド
    テストだったと言っても過言ではないと思います。
    
     参加者26名中の19名の方に「大変良かった」と仰って頂きました。具体的に書き込まれた
    感想文は下記の如しです。
    
    ★クラシック、ジャズ、、最高の音響で聞かせて頂きました ジャズは特にプレーヤーの息遣い
     が伝わってくるよう
    
    ★理論は難しかったが、アンプの音質は素晴らしく感じました
    
    ★出来るだけ来年も、再来年も続けて下さいますようお願いいたします
    
    ★先生が自負していらっしゃる通り、素晴らしい音、選曲も、久々、堪能いたしました。
     やはり、トランペットいいですよね。久しぶりです。
    
    ★70年近くのオーディオマニアです 楽しい時間でした できればスピーカーをかえて聞かせて
     ほしかったです
    
    ★目をつぶって聞いているとそこにオーケストラがいるような音。懐かしい、ポールモーリア 
     コロナ禍で、もやもやの頭がすっきりうれしいひと時でした オーディオアンプが欲しい
    
    ★まことに美しい音色を聞かせて頂き感動です。これほど美しく聞けるなんて、生演奏のように
     美しい オーディオでここまで聞けるなんて ありがとうございました。
    
    ★素晴らしい音でした感動しました
    
    ★演奏会場にいるようで、1曲ごとに拍手をしたいくらいです 選曲もとても良かったです
    
    ★当方素人ですが、残りの人生を楽しみたいと思い、大変参考になりました
    
    ★クリアーなサウンドを聞かせて頂きました 臨場感があり、素敵でした ホール音響より
     素敵でした 特に低音がよかったです
    
    ★想像と違いとても楽しかった 充実したコンサートだった ありがとうございました。
    
    ★オーディオに魅了された講師の熱さに感心した
    
    
     残りの7名の方には「期待通り」と仰って頂いておりますが、具体的に書き込まれた感想文は
    下記の如しです。
    
    ★すばらしいオーディオで懐かしかった
    
    ★川西先生の思いと、実際に曲を聴いての充実した時間を過ごせました
    
    ★高性能のオーディオで素晴らしい曲をお聞かせいただきありがとうございました
    
    ★前半の講義は少々理解しがたかったですが、久しぶりに良い音、音楽が聴け楽しかったです
     我が家のオーディオ機器は埃をかぶっています。この機会に聴きたいと思います 
    
    
     以上のように、予備的知識無しの参加者全員の方に例外なく音が良いと感じて頂けた事は稀有
    な事だと思います。「期待していたものと違った」と言う結果は0名だったのです!! これは
    再生音が本物であったこそ得られた結果だと思います。WRアンプが、音楽を聴くのに適している
    事が客観的に認められたと言っても過言ではないと思います。音そのものではなく音楽を楽しむ
    為にオーディオアンプをお買いになりたい方には絶対にお勧めです。WRアンプはこれまでの私の
    半世紀に及ぶ研究に依って得られた成果に基づいて設計されておりますので、この目的の為には
    これ以上のアンプはないはずです。実質的には形骸化したブランドに惑わされずに、WRアンプを
    信用してお買い求め頂いても宜しいのではないでしょうか。  

    1996川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Wed Nov 25 19:00:00 JST 2020
    WR電源フィルターご使用のお勧め−−−絶対的な効果があります!
    
     オーディオアンプの音が冴えなくなったのは、前回の東京オリンピックが開催された頃に遡り
    ます。それに合わせて新幹線が開通した事はご承知の通りです。それまで直流モーターを単純に
    制御して走らせていた電車とは根本的に違います。新幹線にはハイテク技術が多用されています。
    ハイテクと言えばコンピュータとデジタル技術です。私が大学を卒業したのがオリンピック開催
    年の1年後の1965年ですから、色々と憶えています。
    
     大学の講義の中に「電子計算機」と言う科目はありましたが、本物の電子計算機が設置されて
    間がありませんでしたので、演習のようなものは全くありませんでした。当時は、大型計算機と
    呼ばれるものしか無く、当然、パソコンなんて言う代物も存在していませんでした。しかしです、
    世の中にはジワジワとデジタル技術が台頭していたのです。今でこそ、デジタルはパルスを扱う
    ので高周波ノイズの原因になり、オーディオアンプの音質を悪化させると言う常識が固まりつつ
    ありますが、当時はオーディオと結び付けて高周波ノイズをそんな風に考える人は皆無でした。
    
     自分の作ったアンプの音が何となく冴えなくなっていたのもその頃です。未だ真空管アンプを
    作って聴いていましたが、私は当時から帰還を掛ける事を良しとしていましたので、14dBほどの
    NFを掛けていました。14dBはアウト付きの場合の一つの目安です。20dBを目指した人も居ました
    が土台無理な算段で、アンプが発振を起こすか不安定になる事は目に見えていました。
    
     大学の2、3年生の頃に、大学際でレコードコンサートをやる為に自作のオートバランス型の
    6RA8PPのアンプを持ち込んで鳴らしましたが、未だ結構いい音で鳴ってくれました。やはり音が
    何となく可笑しくなったのは大学を卒業して間もなくだったと思います。最初は何となくの程度
    でしたが、私が修士課程を終えた頃には、ハッキリと音が冴えないと思うようになっていました。
    その2〜3年で急速にノイズ環境は悪化したのではないかと思っています。
    
     20dBは兎も角も14dB程度のNFでも、帰還を十分に安定に賭ける術を未だ知りませんでしたから、
    その弱点を急増した高周波ノイズに突かれたのだと思います。そろそろマルチを始めた頃でした
    ので似たようなアンプを数台作ったのですが、何れもパッとした音で鳴ってくれなくなっていた
    のです。マルチを構成する各種フィルターのバッファアンプとしてカソードホロワを使っていた
    のですが、そのプレートまでのビニール線の長さを変えると音が大きく変わる事を経験しました。
    当時の常識ではプレートから直にパスコンを入れると言う知恵は働かなかったのです。
    
     それまでのオーディオの常識では、10cmでも20cmでもビニール線で結びさえすれば同じ事だと
    考えられていたのですが、僅かの長さの違いが音に影響を与える事が分かって、最初はその訳が
    全く分かりませんでした。しかし、私は高校生の頃から高感度ダブルスーパー短波受信機を製作
    したりしていましたので、高周波の素養も見に付いていました。だから数cmの長さの違いで音が
    変わるとしたら、其処には何らかの形で高周波が関与しているはずだと思ったのです。
    
     丁度その頃、世の中は真空管の時代からトランジスタの時代に移行しつつありました。大学の
    電子回路の講義は殆ど真空管回路でしたが、類推で考えれば何とかなると考えて自分の持ってる
    真空管を全て処分して退路を断ち、全てのアンプをトランジスタで作り変えたのです。最初こそ
    音にメリハリが出て良くなったかと思ったのですが、徐々に馬脚を現し、相変わらず混濁する音
    に陥ったのでした。今でも明確に憶えていますが、メンデルスゾーンの「イタリア」の第3楽章
    のトリオで、ホルンが「パッパカパー」と何回かやるのですが、リスニングルームのガラス戸が
    ビリビリと大きな音を立てて共鳴したのには吃驚しました。万事休すでしたが気になる事が一つ
    だけありました。カソードホロワの関連から、トランジスタアンプではエミッタホロワの使用を
    なるべく控えたのですが、パワー段には例外的にエミッタホロワが残っていました。当時は気の
    利いた代替案はないと考えたからです。
    
     それから、一念発起してオーディオアンプの高周波に於ける挙動、特に帰還との関連について
    研究を始めたのです。それが曲り形にも実を結んだのが1989年のWRアンプ第1号の完成ですから
    高周波の関与を疑い始めてから約20年の歳月が流れていました。其処には「負性抵抗」の概念を
    織り込んだ技術が生かされていましたから、久し振りにいい音で鳴るアンプを作る事が出来たの
    です。第1回のベンチャー甲子園大会にも出場して大賞を受賞する事が出来ました。
    
     しかし、それも束の間でした。アンプの音が良くなると自分の聴感も向上します。何時しか音
    の粗に又気付くのです。本当に人間は厄介な生き物です。先ず手始めに世の中は軽薄短小の時代
    になりつつありましたし、重い旧型アンプを中止して準コン基板を主体にした新型のWRアンプを
    開発したのです。その準コン基板にヒントがありました。準コンは元々純コン用のコンプリの石
    が無い場合の便法です。本来はプッシュプルを構成する2つのTRは共にエミッタホロなのですが、
    片側をコレクタホロワにする事に依って、同型のTRでプッシュプルを構成できるように工夫した
    回路です。
    
     私の嫌うエミッタホロワが半分でも追放出来るならばと思ったのです。そこでホルンやピアノ
    が耳に来るソースを掛けて、純コンアンプと準コンアンプの音を比較したのです。明らかと言う
    程ではなかったのですが、耳に来る嫌な音に関しては幾らか準コンアンプの方が良かったのです。
    そして、片側がコレクタホロワに出来るのなら、両方共コレクタホロワに出来るのではないかと
    踏んだのです。それがパワーアンプとして成立するかどうかはやるっきゃありません。幸運にも
    実験は上手く運んだのです。
    
     コレクタホロワに依る純コン回路の誕生です。多少試行錯誤はありしましたが、決定版が完成
    し、WRアンプは新しい局面に突入出来たのです。それ以降、ハイブリッドだとか高帰還化だとか
    次から次へとアイデアが出て、最終的には配線材によるひずみ感まで検知できるようになり、WR
    アンプは急上昇で高音質化されて行きました。現在Vishay化を含む高級部品化およびSEコン化を
    以って最終局面を迎えています。1990から勘定して2020年で丸30年です。途中の20年と併せれば
    半世紀程の歳月が流れた事になります。
    
     しかしアンプだけ幾ら良くしてもアンプを取り巻く電磁環境の問題がありますから、これまで
    次の3つの三種の神器も併せてご準備頂きたいとずっと申し上げて来たと思います。
    
     1)WR製RCA ピン接続ケーブルの使用(バランス型の場合はWR製バランス接続ケーブル)
    
     2)WR推奨スピーカー・ケーブルの使用
    
     3)WR製電源フィルターの活用
    
     1)は手作りのWR製が購入可能です。2)も作り方を当HPに載せてありますし、ご希望の方に
    実費程度でお作りもしています。問題は3)です。この中で一番高価な事とPSE の関係で基本は
    キット販売になるからです。此処での私の音に関する感想は全てこれらの三種の神器を完備した
    状態で試聴した結果なのです。直ぐでなくても結構ですが、何時かは是非お揃えになる事を強く
    お勧めする次第です。自分は関係ないと思わないで頂きたいのです。
    
     前々項でも書きましたように電源フィルターを使用しても使用部品が理想的でないとその効果
    が100%発揮出来ない程に、現今の電源事情は悪化しています。電源フィルターを製作した当時は
    パスコンに国産ポリエステルコンを使っても十分効果があったのですが、その後ポリプロピレン
    の ASCコンに交換する羽目になっています。今現在は一部分をVishayコンにしているくらいです。
    息子に渡してある電源フィルターには、ほんの一部なのですが国産ポリエステルコンが合計7個
    残っていました。慌てて7個をVishayコンに交換したところ、デモ会場の音を劇的に改善する事
    が出来たのです。僅か7個のパスコンの為に公開講座を台無しにするところでした。息子も後日、
    自分のシステムに入れて聴いた見たところ、かなり良くなったらしく、
    
    ●団子っぽい音が無くなってスッキリした音になり、レンジ感も広くなった感じ
    
    と申しておりました。
    
     ところでこの何カ月間かラグ板の入手が困難になり、電源フィルターが作れない状況に陥って
    いました。ラグ板とはサトー・パーツのL-615P-10Pの事ですが、どうもこれは真空管時代の遺物
    らしくディスコンになってしまいました。代替品はなく1つの電源フィルターに3枚使用します
    のでこれが無いと手も足も出ません。しかし最近オークションで運良く数台作れるラグ板を確保
    出来ましたので、電源フィルターのキット販売を開始しています。
    
     お一人のユーザーの方がラグ板の入荷待ちでしたので、早速お声がけして最近納入したところ
    です。その方からの第一報に
    
    ★まだちょっとしか聴いてませんが、低音の力強さがちゃんと出てきました。
    ★50ヘルツ(AC電源)がキレイでないと、スピーカーから50ヘルツ(低音)が
    ★綺麗に再生されないのではと思っていましたが、その思いが一層強くなりました。
    
    とありました。括弧内はこの方が皆様に分かり易いと思い私が意訳したものです。多分このお方
    は普段、先ず低音に耳が行くのではないかと思います。それぞれ人には癖があり、私は中高音が
    先ず気になります。そこで低音が良くなっていればその他の帯域も良くなっているはずだと申し
    上げたのですが、第二報で
    
    ★音については仰るとおり、低音だけでなく他の帯域も変わりました。
    ★具体的に申し上げますと、声や拍手がより自然になりましたし、音が整ってきた感じで、
    ★デジタル機器に精度の高いクロックを入れたときの変化と似ています。
    ★正しい音に近付いたと思っています。
    
    ★先生の文章が、電源フィルターを通しての音についてのものである、
    ★ということが良くわかる音でした。
    
    と補足して頂きました。
    
     上記のご感想の「低音の力強さがちゃんと出てきました」と言う行ですが、普通はまさか電源
    に含まれる高周波ノイズが原因だとは何方もお考えにならないでしょう。そして、もっと強力な
    低音が出るスピーカーが欲しいとか思われるのがこれまでの常識です。しかし、電源に含まれる
    高周波ノイズが本当の原因であれば、例えスピーカーを買い替えたところで真に力強さい低音は
    出て来ないと思います。ですから、先ずやるべき事を先に済ますべきなのです。
    
     以上の事から、如何にアンプの正常動作に電源フィルターが必要かと言う事がお分かり頂けた
    かと思います。今現在、貴方の装置から気になる音が少しでも出ていましたら、部屋のせいとか
    スピーカーのせいにしないで、先ず電源フィルターを導入して頂きWRアンプが正常動作するよう
    取り計らって頂きたいのです。アンプさえ正常に動作すれば他の要因はパッシブに動作するもの
    ばかりですから、大した悪さをするものはなく、自ずと嫌な音は消え正しい音で鳴るように改善
    されると思います。逆に、それを無視して他の要因を幾ら改善しても大した効果は上がらないと
    思います。
    
     尚、電源フィルターのキット販売についての詳細は、メール又は電話にてお問い合わせ下さい。
    今回の機会を逃しますと、努力は致しますがこの先何時になったらラグ板の代替品が見つかるか
    分かりませんので、出来ればこのチャンスを生かして頂ければと思います。  

    1995川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Wed Nov 18 22:30:00 JST 2020
    再び、ポール・モーリアについて
    
     前回、小山台文化会館の公開文化講座に於いてWRアンプのデモを行った事をご報告しましたが、
    その際、それに合わせて急遽ポール・モーリアのCDを購入したとも申し上げました。しかしこの
    2枚組のCDセット(UPCY-6204/5)に関しては余り詳しく述べませんでしたので、改めまして説明
    させて頂こうと思います。
    
     このCDセットには「ポール・モーリア・グランド・オーケストラ ベスト」と言うタイトルが
    付いています。マントバーニと同じように多くのCDが発売されていますので、どのCDを買ったら
    良いのか正直迷います。私は「渚の別れ」と「ゴットファーザー〜愛のテーマ」の2曲は絶対に
    欲しいと思っていましたので、この2曲が収められている事を条件にしますと意外に数が減って
    選び易くなりました。このCDセットに決めたのは、私の所有するLPに収録されている30曲が全て
    網羅され、且つ、プラスアルファとして6曲が追加されていたからです。因みにそれらはDISC 2
    の13曲目以降です。
    
     それでは、このCDセットに収録されている36曲をご紹介致しましょう。
    
     DISC 1                  DISC 2
    
     1)エーゲ海の真珠 ◎          1)マイ・ウェイ ◎
    
     2)恋はみずいろ ◎           2)この胸のときめきを ◎
    
     3)オリーブの首飾り ◎         3)蒼いノクターン △
    
     4)そよ風のメヌエット ◎        4)シバの女王 △
    
     5)フィーリング 〇           5)ゴットファーザー〜愛のテーマ ◎
    
     6)コンドルは飛んで行く ◎       6)雪が降る ◎
    
     7)渚の別れ ◎             7)エマニュエル夫人 ◎
    
     8)ある愛の詩 〇            8)マネーマネーマネー 〇
    
     9)やさしく歌って △          9)悲しみのフェルナンド 〇
    
     10)モーニング・アフター △       10)涙のトッカータ 〇
       (ポセイドン・アドベンチャー)
     11)天使のセレナーデ △         11)口笛の鳴る丘 〇
    
     12)薔薇色のメヌエット △        12)ペガサスの涙 〇
    
     13)みじかくも美しく燃え ◎       13)ミッシェル △
    
     14)Mr. サマータイム(愛の歴史)〇    14)夏の日の恋 △
    
     15)禁じられた遊び △          15)悲しき天使 〇
    
     16)愛の休日 〇             16)黒いワシ △
    
     17)恋のアランフェス 〇         17)パリのあやつり人形 ◎
    
     18)レット・イット・ビー △       18)コパカバーナ 〇
    
     表中の記号の意味は
    
      ◎:素晴らしい!
    
      〇:まあ良いのでは?
    
      △:余り映えない
    
    です。
     
     では、少し説明を加えさせて頂きます。全体的に録音は優秀で音質が揃っています。明らかに
    LPのアナログ録音とは別物のようでひょっとしたら、CDの時代になって再録音したのではないか
    と思われます。LPの中には、1970年代の後期のものが含まれていて、音が少し鈍っていましたが、
    この録音には、少々硬質ながら音に張りがあり剛体感すら感じます。LPと同様の快感を感じます
    ので、録音のポリシーは変わってないようですが、結果としての音にはかなりの開きがあります。
    だから私はデジタル録音ではないかと思ったのです。兎に角、そう言ったデータが一切書かれて
    いませんので、私の推定に過ぎません。
    
     LPに比べると再生の難度は上がったと言えます。もの凄く録音レベルが高いので、並みの装置
    で聴くと音が硬く、ffで音が詰まったり引き攣れたりするはずです。余り、一般向きの録音とは
    言えず、そうなったらポール・モーリアの音楽の快感に浸る事は出来ないでしょう。正にこのCD
    は踏み絵になります。このCDが楽しく聴ければオーディオ装置として合格であり、ダメなら並み
    の装置と言う事になると思います。私が◎を付けたものはポールモーリアにピッタリ合った音楽
    であり、最高レベルのエンターテイメントになり得ると思います。正にグランド・オーケストラ
    です。我が110W機はこれをほぼ完璧に再現してくれます。それが36曲中13曲もありますが、余り
    ポール・モーリアらしくない△も11曲あります。
    
     △印は無理にポール・モーリアが取り上げる必要もなかったのではないか、と思われる曲です。
    例えば14曲目の「夏の日の恋」は、パーシー・フェースの名演で聴き慣れてしまっていますので
    どうやっても太刀打ち出来ないと思います。どうせやるなら、ポール・モーリア流で徹底すれば
    良かったと思うのですが、意識したのか少々アプローチが中途半端に思えます。◎は正にツボに
    嵌った秀逸な演奏だと思います。それはメロディックでリズミックで胸の空くような録音であり、
    オーディオ好きには堪らない魅力です。その魅力はメロディーラインに対して必ず対抗する和声
    があるからだと思います。それは金管だったり十分厚みのあるストリングスで執り行われるます。
    心憎い曲作りです。それが才能なのでしょう。並みの人間が真似できる範囲を越えています。
    
     私がLPで聴いていた限りでは、本当の意味で録音の効果が映えたものは、数曲しかなかったと
    感じました。アナログ時代には録音ムラがあったからだと思います。本命の曲以外に「渚の別れ」
    と「ゴッドファーザー〜愛のテーマ」を必須にしたのは、LPで録音が良かったからです。今回も
    優れた音で録れていてホッとしました。私は音楽には素人なので、演奏の違いから新旧の録音を
    識別する事は出来ませんが、この「渚の別れ」の出だしは素人の私が聴いても分かる程明らかな
    違いがありました。逆に言えば、その他の曲は演奏の明らかな相違が指摘出来ない程に、演奏の
    再現性があるのです。それが嬉しいところです。マントバーニも1960年代に録音をし直してます
    が、前にも書きましたように演奏・録音共に1958年のものに叶わなかったのです。
    
     WRアンプユーザーの方々で音のアップグレードが済み、もう大丈夫かな?と多少自信が持てる
    ようになった方には、是非聴いて頂きたいと思うCDセットです。絶版で新規購入は絶望的ですが、
    中古CDを探してまで聴いて見る価値は十分にあると思います。今回、プレミアが付いてるのでは
    ?と思ってしまいましたが、今は購入出来て本当に良かったと思います。13曲もノリノリで音楽
    が楽しく聴けるのですから、ある意味安かったとさえ思います。音楽素人が好き放題書きました
    が、当たらずと言えども遠からずではないかと思っています。貴方も踏み絵を踏んで見られたら
    如何でしょうか? DAC(プレーヤー)を含めた総合的な診断が出来ると思います。

    1994川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Tue Nov 10 22:00:00 JST 2020
    小山台会館で公開文化講座の講師を務めてきました。
    
     もう一年以上前に公益財団法人小山台教育財団の館長さんから、息子の嫁でもあるピアニスト
    沢田千秋を介してWRアンプに関する講演を依頼され、丁度WRアンプも完成間近でしたのでお引き
    受けしたのですが、月日の経つのは早いもので先週の土曜日に気がかりだった講演を終える事が
    出来ました。嫁は小山台会館で行われているプロの演奏会等に出演してる関係で、館長さんとは
    懇意にさせて頂いているようです。此処に簡単ですがその時の報告をさせて頂こうと思います。
    
     進学校の都立小山台高校同窓会が運営する小山台教育財団は、品川区に4階建のビルを所有し
    そこで社会教育事業、学校教育事業、奨学育英事業等を展開しています。今回は社会教育事業の
    一環として行っている公開文化講座の一講座を私が担当させて頂いた訳です。コロナ禍の影響で
    日程変更があったようですが、私は当初から11月7日でしたので予定通りに講演を行う事が出来
    ました。唯、募集人員を絞り、配信サービスでそれを埋めるようになっています。
    
     私の講座名称は「高忠実度再生(Hi-Fi)を真に可能にするオーディオアンプ(WRアンプ)」
    と言うものですが、難解な負性抵抗理論を一般の方を相手に長々話す事は余り意味がありません
    ので、レジメはそれなりに書くとしても講演内容は簡単にして、CD再生によるデモを中心にする
    事にしました。講演時間は2時間ですが、途中に15分の休憩が入りますし最後の20分程度は質問
    の時間に充てられますので、実質の講演時間は85分程度になります。最初に私が15分程度で要点
    を説明しますと、CD再生に当てられる時間は70分になります。
    
     此処で私が予め立てたプログラムを紹介させて頂きます。
    
     1)「二声のインベンション」:ジャック・ルーシェ・トリオ(160E 52023)     3分
    
     2)「FLIGHT TO NASSAU」:カウントベーシー・オーケストラ(VICJ-23539)     5分
    
     3)「ジェリコの戦い」「揺れよチャリオット」:ロジェー・ワーグナー(2DJ-4260) 4分
    
     4)「オリーブの首飾り」「渚の別れ」:ポール・モーリア(UPCY-6204)       6分
    
     5)「ベト7」第一楽章から:イッセルシュテット/ウィーンフィル(KICC-8431)   6分
    
     6)「BROTHER,CAN YOU SPARE A DIME?」:Odetta & Dr.John 他(JR# 0003-2)    6分
    
    −−休憩15分−−
    
     7)「カバレリア・ルスチカーナ間奏曲」:バルビーゾ/ローマ管弦楽団他(POCL-2564)4分
    
     8)「展覧会の絵」から「キエフの大門」:ジュリーニ/シカゴ響(POCG-9707)    6分
    
     9)「Moanin」:ART BLAKEY AND THE JAZZ MESSENGERS(ST-84003)         5分
    
     10)「ラインの黄金」から:ショルティ/ウィーンフィル(455 558-2)        12分
    
     11)「グッドバイ」:クリス・コナー with ハンク・ジョーンズ・トリオ(ALCR-111)7分
    
     演奏時間は前半が30分、後半が34分でトータル64分になりますが、CDの操作時間を加味すると
    丁度70分となると計算しました。5)及び9)は全曲ではなく適当なところでフェードアウトし
    ました。これらの操作は息子にやって貰う事にしました。
    
     各曲について少しずつコメントさせて頂きます。先ず全体的に曲のジャンルを散らばせながら、
    如何に充実させるかに腐心しました。講座を受ける方は年配者が多いと聞いてましたので、今風
    の曲を準備する必要がないのは救いでした。クラシック愛好家は少数派ですしかと言ってジャズ
    もそう多くは入れられません。それらが二本柱になる事は確かな事ですが、なるべく聴き覚えの
    あるメロディーの楽曲を多く選ぶ事と、何か新しい曲風の紹介も兼ねられれば良いと思いました。
    それと同時にデモ映えする音楽と音の良いソースを選ぶ事も、又デモには必要な事だと思います。
    こうして選んだ上記のソースの録音状態は、全て上の部に入るものばかりです。
    
     1)はジャズトリオでありながらクラシックの方にも又綺麗なピアノタッチを聴きたい方にも
    興味を持って貰う事が目的でした。ベースとドラムスとのバランスも良く、心地良く聴ける事が
    初っ端の曲には必要だと考えたのでした。
    
     2)は同じジャズでも趣向の違うビッグバンドです。主に金管が活躍しますから金管の輝きや
    切れ味を味わって頂くにはカウントベーシーは打って付けだと思ったのです。演奏が洗練されて
    いますし、概してベーシーは恰好が良いです。私の想像ですが、この曲はカリブ海に浮かぶ島に
    演奏旅行で訪れた時に発想した曲ではないかと思います。
    
     3)はちょっと金管群で耳に強い刺激があった後ですから、ガラッと趣の違う合唱曲をもって
    来ました。直前の曲はメロディックではありませんから、聴き慣れない曲より皆さんが知ってる
    曲が良いと思いこの2曲を選びました。1曲目は合唱の力強さを2曲目は合唱の静寂さを聴いて
    貰うのが目的でした。
    
     4)この辺りで懐かしいポピュラーな曲が聴きたくなるのではないかと考えて、最近私も嵌り
    出したポール・モーリアをもって来ました。少し前にポール・モーリアのLPが素晴らしいと書き
    ましたが、唯でさえアンプ類やスピーカー等の運搬が大変なのに、この上レコードプレーヤーと
    ヘッドアンプを運び込むゆとりはありません。そこで3、4日前になって、急遽CDを探し始めた
    のでした。
    
     マントバーニもそうですがポール・モーリアも凄い種類のCDが出回っています。唯、これだけ
    は外せないと「渚の別れ」と「ゴッドファーザーの愛のテーマ」が入ってると言う条件にすると
    俄然選択の幅が無くなって、結局上記のCDを買うのがベストだと分かりました。しかしこのCDは
    絶版で何処にも売ってないのです。諦めかけて最後にアマゾンを覗いたら、中古CDでありながら
    プレミアが付いてるとしか思えないのものが見つかりました。機を見るに敏だと思いがらも背に
    腹は代えられないと考えて購入に踏み切りました。流石にアマゾンです講演日の2日程前に入手
    出来たのです。LPと比べると別の録音だと思われる曲も結構ありますが、録音のレベルは優秀で
    十分ポール・モーリアの音がします。LPと比べると多少硬質に感じるところもありますが何とか
    デモに使えると踏んで、直前に上記のプログラムのように変更したのです。私の持っているLPは
    グレイテスト・ヒッツ30とタイトルが付いていますが、この30曲とプラスアルファが入って36曲
    収録されています。30曲の内どれだけ同じ録音年月の曲があるかは分かりません。録音年月日や
    タイムコードが入って無いのです。手抜きですかね?
    
     5)は既に紹介させて頂いておりますので説明の要はないと思いますが、この辺りで本格的な
    クラシック名曲を掛けようと思いました。このCDに出て来るストバイのffは、今になって見れば
    ポール・モーリアの方がより厳しいと感じる程です。以前ならウィーンフィルのストバイは綺麗
    に聴けても、ポール・モーリアではアウトになっていたと思います。しかしWRアンプの完成度は
    高く、録音さえ良ければ多少レベルが高くなっても綺麗に抜けて聴こえます。ウィーンフィルの
    ストバイが拍子抜けする程簡単に鳴っているように感じてしまいました。アンプの良さはffだけ
    ではありません。ppp の微弱音が埋もれずに、綺麗に浮かび上がる事も要求されます。合唱曲で
    味わって頂いてるはずですが、ウィーンフィルの美しいストバイの消え入るような弱音を聴いて
    貰えたかと思います。
    
     6)は前半最後の曲です。一風変わったCDで、ホームレスの為のブルース・ギターと言うサブ
    タイトルが付いています。二人のボーカリストが歌いギターの他にピアノ、ベース、ドラムスが
    バックを務めています。このCDは、毎年正月にアメリカで行われるCSに出品する方が現地で入手
    されたもので、多分オーディオ会場でデモ用に使われていたものだと思います。私が聴く音楽と
    は少し趣が違いますが、音が良い事もあり初めて聴いても馴染み易い魅力があります。このCDの
    タイトルは「STRIKE A DEEP CHORD 」となっていて、心の琴線に触れるような響きがすると言う
    意味のようです。曲名は「仲間よ、今日も10セントを使わずに済ますか?」と言うような哀愁に
    富む曲になってると思います。自分の範疇でないジャンルにも、良い音で聴けば楽しめる音楽が
    ある事が分かって頂ければ本望です。
    
     15分の休憩を挟んで、此処から後半に入ります。
    
     7)はオペラを模倣し「カバレリア・ルスチカーナ間奏曲」で幕開けです。オペラを聴かない
    人でもこの間奏曲はご存知の方も多いはずです。何処か美しくも切ないメロディーの為でしょう。
    全曲盤からの抜粋ですが、サントゥッツァにスリオティス、トゥリッドゥにモナコを配し、脇を
    ゴッビ、アンナ・ディ・スタジオ等で固めた配役も魅力です。バルビーゾの生きの良い指揮振り
    も素晴らしく、若い頃にはこのLPで大いに楽しんだ想い出があります。LPには双子のオペラとも
    呼ばれる「道化師」が入っていて、所謂ベリスモ・オペラの凄みに感激したものです。ストバイ
    が思った以上に強烈で、普通の装置で聴くと多分硬直して聴こえるのではないかと思います。
    
     8)はジュリーニの名演で録音も優秀なのでオケの曲として選びました。こう言うオケものを
    やらせると実に上手く演奏するのがシカゴ響です。ジュリーニの指揮に的確に応えた演奏は流石
    です。この曲は元々はピアノ曲でしたが、ラベルが見事にオーケストレーションを施しています。
    ジュリーニは交響的に曲を構築しこの曲の格を一段上げたように思います。録音はジャイベです
    が、当たると本当に凄い録音をします。細工をせず正統的に録ろうとしているからでしょう。唯、
    外れると全くダメ録音になり易いのが欠点かも知れません。
    
     9)は言わずと知れたジャズの名曲でアート・ブレイキーの名と共に有名になりました。特に
    この曲のメロディーが憶え易い為か多くの人に感動を与えたと思います。1958年の古い録音です
    が今でも通用する音質です。エンジニアが有名なルディ・バン・ゲルダーだからでしょう。演奏
    は何と言っても、まだ若かりし頃のリー・モーガンのトランペットとベニー・ゴルソンのテナー
    ・サックスが聴きどころです。どちらも負けず劣らずの馬力でそのパワーには圧倒されそうです。
    本場のジャズの音は独特なところがありますが、この録音はHi-Fi に近いと言っても良いと思い
    ます。
    
     10)はワーグナーの代表作リングの序夜に演奏される楽劇です。ショルティがウィーンフィル
    を相手に名演を繰り広げます。録音も非常に良く今聴いても非の打ちどころがありません。全く
    素晴らしいの一言です。金塊をハンマーで叩くシーンでは銀行から本物の金塊を借りて来て録音
    したそうで、その音も鮮烈に入っています。ウィーンフィルの金管合奏の凄みが良く録れていて
    流石昔のウィーンフィルだと感心します。最後は落成した神々の城に入場して行くシーンで幕に
    なります。この最後の音楽の盛り上がり様も凄いです。このような素晴らしい芸術を公開講座に
    参加された方々に味わって頂きたくて、12分と長めでしたが敢えてプログラムに入れた次第です。
    これだけの音質で1958年にウィーンで出た謂わば還暦を過ぎたサウンドが自分の部屋で生々しく
    楽しめるのですから、オーディオの存在価値も十二分にあると思います。それが、1958年の録音
    技術と2020年の再生技術との合作で可能になったのですから、何とも皮肉な事だと思います。
    
     11)はお別れと言う事でこの名曲を選んでいます。壇上で私がそう話すとクスっと言う笑いが
    漏れたようでした。ジャズのスタンダードナンバーになっていて、ベニーグッドマンや鈴木章治
    も録音してるはずですが今回はベテランのクリス・コナーの歌声で聴いて頂きました。お名残り
    惜しい気持ちになって貰えればと思って用意したものです。大方の人は音楽に、音に満足されて
    お帰りになったと思います。それは壇上で聴いていた私の目に写った光景で察しが付いたのです。
    目を瞑り首や体でリズムを取る方が結構いらっしゃったからです。取り敢えず今回のデモは成功
    したと思いました。後方でお聴きになっていた音楽・オーディオ好きの館長さんも同意見でした。
    家庭用のオーディオ装置を使い大部屋で鳴らすのは無謀だったかも知れませんが、今のWRアンプ
    はそれを可能にするクオリティを有しているのです。
    
     ところで公開講座の行われた部屋ですが、天井が高くかなり大きめの部屋で常識的にはデモに
    不向きだと思われました。しかし我が110W機は頑張ってくれたと思います。誰が聴いてもいい音
    だと感じて頂ける音で鳴ってくれたのでした。実は下見の為先月の28日に一度現場にアンプ類を
    運んで音出しをしています。部屋が広いせいか今一つ音に充実感がなく、聴く場所を選ぶ傾向も
    あり、WRアンプの良さは感じたものの広い部屋だからかな?と言う疑問が残りました。ところが
    持参した電源フィルターに問題があったのです。普段私の家で使っているものではなく、息子に
    貸し出しているフィルターでしたが未だ一部に安価なフィルムコンが使われていたのです。息子
    の家からはスピーカースタンド、長めのテーブルタップ、そしてWR電源フィルターを持って来て
    貰い、色々と手伝って貰いました。
    
     暫くこの電源フィルターの中を見てないのでもしやと思ってチェックしたのが良かったのです。
    安価なフィルムコン7個をVishayコンに交換し、最新の状態に修正しました。それが功を奏した
    のか音に充実感が出て不思議にも聴く場所で音質が殆ど変わらくなりました。本物の音になった
    証拠です。聴く場所を選ぶのはアンプの調子が余り良くない証しです。当日はコロナ対策の為に
    参加人数を減らし、その分を配信でカバーする事が行われていましたから、電源は何時も以上に
    汚れていたはずです。結果論ですがWRの電源フィルターには、それにも堪え得る能力が有ったと
    言う事になります。因みに、その音がどうであったかは知る由もありませんが、配信用の音声は
    B&W805MATRIXの前方1mくらいの所に置いたマイクで拾って流していました。普通に音源から直で
    流した音に比べて、WRアンプで鳴らした音響空間の音をマイクで拾って流した音がどうであった
    のか、全く興味がない訳ではありません。
    
     斯くして久し振りに行ったWRアンプのデモですが、部屋の条件が悪かったにも拘わらず以前に
    行ったどのデモ(試聴会)の音より高音質で聴いて頂けたと思います。やはりアンプの完成度は
    確実に向上したと思います。演題に相応しい公開講座になったと自負しております。WRアンプは
    高価なものばかりではありません。少し手を伸ばせば昔のようにいい音で音楽が楽しめるのです。
    現在お使いのオーディオ装置に飽き足らない方は、思い切ってWRアンプに全取っ替えして見ては
    如何でしょうか。毎日聴く音楽の聴こえ方が俄然良くなり、充実した音楽ライフが送れるように
    なること請け合いです。今回の公開講座をお引き受けして、私の確信もより高まったように思い
    ます。大変良い経験をさせて頂きました。末筆ながら光を当てて下さった館長さんに心より謝意
    を表したいと思います。  

    1993川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Oct 22 23:00:00 JST 2020
    WRアンプに於ける安定化電源の高帰還化は非常に大切です!
    
     この1週間の間に偶然ですが WRP-α9、Ε-5H 、Ε-10Hの合計3台の安定化電源の高帰還化を
    実施しました。これらの中には「WR標準」認定アンプも有ります。つまり、過去に「WR標準」に
    認定されたアンプにも、安定化電源が従来のままで高帰還化されていないものが含まれていると
    言う事です。もう少し言えば、「WR標準」は安定化電源の高帰還化が全機種完全実施行われる前
    に実施されたのだと思われます。
    
     これは私の責任ですが、当初それで音質は最高レベルに達したと判断していたのです。しかし、
    その音に慣れて来ると次第に粗が見えて来たのだと思います。即ち、聴感は常に進歩しているの
    です。しかし誰でもがそうだとは言えないようで、これには条件があるように思うのです。その
    条件とは、ライブによく通ったり、生の楽器の音をかなり聴き込んだ人の場合です。粗や雑味は
    ライブや生楽器の音に本質的にありませんから、そのレベルが小さくてもそれが含まれていれば
    何時かは気になり出すのだと思います。しかしそう言う経験の少ない方は粗や雑味に気付き難い
    のでしょう。
    
     この事にもう少し早く気が付いて皆さんに告知すべきだったと思いますが、遅蒔きながら今回
    のアップグレードで初めて気が付いたのでした。実は何時もアップグレードのご要望を頂きます
    と能率を上げる意味もあるのですが、音質を確認しないで行き成りアップグレードの作業に入る
    ようにしていたのです。過去を余り振り返っても意味がないと思っていたからでしょう。
    
     しかし今回はこの事実が発覚する機会が有ったのです。あるユーザーの方がどちらも「WR標準」
    のラベルの貼った2台のΕ-10Hの音が、かなり違うと言うご指摘をされたのです。送って頂いた
    2台のΕ-10Hのラベルの年月日を拝見すると、片や2018.12 であり、片や2020.6でした。その方
    は前者の音より後者の音が劣っていると判断されたようです。即ち、後者を予備とし前者で普段
    音楽をお聴きになっていたのですが、偶々後者を繋いで聴いた時にそうお感じになったのだ思い
    ます。
    
     実は前者が安定化電源の高帰還化が未実施(まだ新型アンプに関しては安定化電源の高帰還化
    が実施されてなかった?)のもので、後者がVishay化までも済んでいる最新の状態だったのです。
    後者は私が試聴して自信をもって送り出したアンプですから、音が悪かろうはずもなく、立派に
    現在の水準に達した音でした。因みに、前者の音を聴いて見たのですが、雑味やキツイ音が偶に
    して遠近感が思った程に出ていなかったのです。確かに音質の差は歴然でしたが立場が逆転して
    しまっていたのです。
    
     どうしてこのような事が起きてしまったのかですが、一つは人間は聴き慣れた音を良しとする
    ところがあるのだと思います。耳にも保守性があるのでしょう。もう一つは上述した通りですが
    生の音を余程熟知していないと、多少の雑味やキツイ音、そして遠近感不足に気付き難いのだと
    思います。私はこの辺りの事を常に気にして試聴していますので、最近は直ぐに粗には気付くの
    ですが、普通の方はそれが良い音だと誤認し易いのでしょう。私とて2年くらい前にはこの程度
    の音で「WR標準」を認定したのですから、他人様を責める事は出来ません。
    
     この辺りが実はオーディオの重要なところなのではないかと思います。欧米と違って日本では
    ライブや生演奏会に行くと言う事は有る意味特別な事だからです。一般人が普段経験する事では
    なくかなり努力する必要があります。せいぜい、ラジオやテレビで聴いたり見たりする程度では
    ないかと思います。これはオーディオメーカーの技術者も含めて言える事です。しかしそれでは
    ライブや生演奏会の雰囲気を家庭で再現するアンプは作れないのです。
    
     問題は「ライブや生演奏会の雰囲気を家庭で再現すること」をオーディオに求めるかどうかだ
    と思います。そうだとすればオーディオで本当に一番大切なのは聴感なのです。そうではないと
    しても、私は聴感を大切にするアプローチの方がベターだと考えます。何故なら、今のWRアンプ
    は音を歪める要素が殆ど無いと言う事です。もう少し言えば入力信号に忠実に増幅しスピーカー
    をそのように駆動できるアンプだと言う事です。聴感云々の問題等々を脇に置いても、これ以上
    アンプに何を望むのでしょうか? まさか少しは歪んだ方が効果的に聴こえるとか仰るようなら、
    何をか況やです。
    
     そう言う事でライブに行ったり生演奏会の音が好きだと言う方は勿論ですが、そんな事は気に
    しないけれど良い音で音楽をお聴きになりたいと思う方なら、WRアンプは大いにお役に立てると
    思います。しかし、一般のリスナーはそれでも良いと思いますが、アンプ設計者はそれでは何も
    基準がないのですから、良い音のするアンプを作り出す事は出来ないと思います。アンプは立派
    な工学です。工学は科学の上に立って構築されています。科学は基準(物差し)のない事を一番
    嫌います。オーディオアンプにも何らかの基準は絶対必要なのです。単なる良い音(好きな音)
    悪い音(嫌な音)だけで音の良し悪しを判断するだけなら、一人前のオーディオアンプを設計し
    完成させる事は不可能だと、私は考えます。
    
     2年程前に「WR標準」が認定されたWRアンプの中には、現在の音の水準からするとワンランク
    落ちるものが有り得ますので、是非安定化電源の高帰還化が実施されているかのチェックを含め、
    Vishay化を実施して頂ければ幸いです。上記のWRP-α9 はL-Pad 仕様でしたが、正に高帰還化と
    Vishay化が未実施でした。これも2018年の後半期のものだと思います。
    
    
    * * * 
    
     WRP-α9 +Ε-5H を所有されている方から、早速試聴レポートを頂きましたので、追記させて
    頂きます。
    
    ★無事アンプ受け取りました。音出しも成功しています。音は非常に良いです。
    ★しっかりとした低域に支えられた音は以前より芯があり、輪郭もはっきりしています。
    ★再びWR製RCA ケーブルを導入したこともあると思いますが
    ★正直アップグレード前と基本的には同じアンプとは思えないくらいです。
    ★確実にアップグレード代の価値があったと確信しています。
    
    と言う風に喜んで頂けました。
    
     私もそう思いますが、安定化電源の高帰還化はプリもパワーアンプもかなりの音質を握ってる
    ように思います。未だ安定化電源化されていない方や高帰還化が未実施の方には強くお勧め致し
    ます。
    
     尚、この方が使用されているスピーカーは
    
    ★Telefunken RB70
    
    で、かなりメリハリのある音がするスピーカーだそうです。
    
    
    * * * 追記2
    
     1台目のΕ-10Hが2018年、2台目のが2020年に「WR標準」になった2台のΕ-10Hを所有されて
    いるユーザーの方からの試聴レポートです。当初、2018年の方が音が良く、滑らかさの点と低音
    がブーミーになる点で2020年の方が劣ると判断されていました。その後、それは何処かが変なの
    ではないかと言う私の指摘に、色々とご自分の装置を点検され、次のようなご感想を頂きました。
    丁度、2018年の方のΕ-10Hにノイズが発生する問題がありましたし、高帰還化を残したままでは
    私の気も済みませんので、ノイズの修理と共に無償でアップグレードをする事を提案させて頂き、
    2018年の方もアップグレードを完遂させてお返し致しました。
    
    ★ご相談させていただいた低音の件ですが
    ★実はその後も再現され、E-10H はお墨付きですので、
    ★色々と切り分けしたところ上流の機器の問題でした。
    ★上流問題を解決した本来の音は今まで以上に生々しく奥行きを感じました。
    ★この度はお騒がせしてしまい大変ご迷惑お掛けしました。
    
    ★EC-1H に繋いでいた上流機器の問題を解決した後の
    ★EC-1HとE-10H(2台どちらでも)が我が家で聴いた今迄で最も鮮烈な音です。
    ★生き生きした躍動感と臨場感・奥行きに驚きます。
    
    と正当な評価を頂きました。。
    
     此処で少しだけ付け加えさせて頂きますが、2018年のΕ-10HにはΕC-2Hと言うプリが、2020年
    のΕ-10Hには完全アップグレード済みのΕC-1Hと言うプリが接続され、2組のシステムは別室で
    ご使用になられているようです。
    
    ★しかし、上流機器の問題に気付く前は
    ★EC-2H とアップグレード前のE-10H(1台目)が
    ★アップグレードしていたEC-1H とE-10H(2台目)より良く感じたのですから、
    ★上流の某機器が余程本来の実力をスポイルさせてしまっていたのだと思いました。
    
    と反省されて居られます。上流機器と言えばDAC 系関連の機器だと思われますが、WRアンプには
    合わないものが世の中には存在している、と言う事を物語っていると思います。多分、この機器
    はそう安モノではないと思われますが、高級品だからと言って安心はして居られないと言う一つ
    の見本になると思います。
    
     そして、次のようにも言って頂いております。
    
    ★川西様の基準が正しい指標であり
    ★問題があるなら他のところにあるということを
    ★切に感じ、再認識しました。
    ★将来的に依頼したいSEコン化もある意味では
    ★全く悩みがなくなりました。
    
     WRアンプを生かして良い音で良い音楽をお聴きになりたい方は三種の神器だけでなくトコトン
    お付き合い頂く必要があると言う事になると思います。WRアンプをご購入になる方は、この辺り
    の事をご理解頂いてから、ご決断頂きますようにお願い申し上げます。
    
    
     * * * 追記3
    
     引き続き、端境期で少し中途半端な状態であったΕC-2Hの完全アップグレードのご依頼を頂き
    ましたので、Vishay化を含むSEコン化直前までのアップグレードを実施させて頂きました。当然
    ですが音質上の問題は全て解決しております。2018年に「WR標準」にアップグレードされた方の
    中には中途半端な状態になっている場合がありますので、音質に疑問をお感じになられましたら、
    どうぞご連絡をお願い致します。
    
    
     * * * 追記4
    
     ΕC-2Hの完全アップグレードをされた上記の方から試聴報告を頂戴致しましたので、皆様にも
    披露させて頂こうと思います。
    
    ★EC-2H の動作確認と試聴をさせていただきました。
    
    ★未熟な聴感ながら、毎回確認に使用している
    ★大野雄二トリオ(ピアノ、ベース、ドラム)のCD "LUPIN THE THIRD JAZZ" から
    ★ 'Woman from memphis' という曲でベースがより太く、
    (元々埋もれていた訳ではないのですが)
    ★よりはっきりとして、遠近感が感じられました。
    
    ★葉加瀬太郎のヴァイオリンで 'Etupirka' '情熱大陸' '世界の車窓から' 等を試聴しましたが
    ★どの曲もアップグレード後では、より聴き易くかつ生々しく、Live感の向上を感じました。
    
    ★常にアップグレードによる向上を実感している反面、満足感により、
    ★その後のアップグレードまでは間を空けてしまう(今回もおよそ 2年)のですが、
    ★次のSEコン化についてご案内がありましたら、早めに依頼させていただきたいと思います。
    ★この度はご対応いただき誠にありがとうございました。
    
    ★今も試聴中ですが、いつまでも聴いていられますので、
    ★SEコン供給予定の来年まで楽しませていただきます。
    
    と言うご感想です。取り敢えずご満足頂けたようで一安心致しました。一時はどうなるかと思い
    ましたが、正当な評価を頂けて私も本望です。誤認された原因がシステムの上流でお使いの機器
    にあったと言う事ですから、どうか、皆様もソース源になる機器の選択には十分お気を付け頂き
    たくお願い申し上げます。

    1992川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Oct 15 21:30:00 JST 2020
    フォノアンプWR-αPH/HDを別途もう1台製作しました。
    
     実は、前回の結果が良かったので追加で2台のご注文を賜ったのです。これは大変名誉な事だ
    と思います。伊達や酔狂で、高価なフォノアンプを2台も追加注文なさる方はいらっしゃらない
    からです。このフォノアンプの質の高さがそれを可能にしたと言えます。以前はヘッドアンプと
    フォノ・イコライザーに分割されておりましたが、比較的最近になってこのフォノアンプに統合
    されています。
    
     勿論、現在でも既にEQ基板をプリに組み込んで居られる方にはヘッドアンプをお作り致します
    が、そうでない方はこのフォノアンプの方が合理的かと思います。しかし、前回にも書きました
    ようにこのフォノアンプは高級部品化どころではなく、例外を除いては全て高級部品で作られて
    いますので、部品調達が必ずしも順調には行きません。SEコンは偶に欠品で入手不可になります
    が、時が解決してくれます。又、ERO コンも手持ちと現存する品種を合わせれば何とかなります。
    ASC コンとVishayコンも大丈夫です。
    
     問題はケミコンです。旧型WRアンプの時はまだBGコンが現役でしたので当たり前のように使用
    していました。当時のイメージですが、BGコンの音質に与える影響が最もノーマルだったと思い
    ます。変な癖が出難いのです。アンプは基本的に色付けされていては失格です。ニッケミにSLと
    言うシリーズが存在しましたが、それも十分許容範囲に入っていました。しかし、その後SMとか
    SME とか徐々に小型化されて行き、確かにケミコンとしての特性は良くなって行ったのでしょう
    が、BGコンとは掛け離れた音になっていった記憶があります。
    
     それがトラウマになったのか、ケミコンに日本製は使えないと思ったのでした。そんな矢先に
    悪い事にBGコンがディスコンになってしまいました。暫くはお店と自分の在庫で凌いでいました
    が、それも時間の問題で別の代替品を見つける必要に迫られたのです。既に、RSコンポーネンツ
    から一部部品の調達を始めていましたので、其処で目に付いたRIFAのケミコンを併用して一時的
    に穴を埋めていました。当時は少し高いかなと言う程度だったのですが、最近は急騰して気楽に
    使えるケミコンではなくなりました。
    
     そこで次に注目したのがVishayコンです。Vishayは元々ERO の親会社だった事もあって存在は
    頭に有ったのですが、自分で使うまでには至っていませんでした。しかし、試すしかないと思い
    220μF/25Vと言うケミコンを使い出しました。それは丁度プリの電源電圧を±15V から±18V に
    上げたタイミングでした。それまでプリのラインアンプ基板には耐圧16V のBGコンを使っていた
    からです。2Vと言えど耐圧無視は許されません。規格は16V の次が25V ですから、このVishayの
    ケミコンを試しに使ったのでした。これは両方向にリード線が出ている所謂チューブラ型ですが、
    縦にして使えば収納にも全く問題がありませんでした。音質にも特段の色付けを感じる事はなく
    それ以来、例外を除いてこのケミコンをラインアンプに採用する事にしています。
    
     その後新しく発足した新αシリーズのパワーアンプにもVishayコンを使い始めました。これは
    プリに使ったものとは耐圧が違います。旧型アンプの時はプリにもパワーアンプにも電源部には
    バイポーラ接続のケミコンを多用していました。この方式は新型になってコストダウンと小型化
    の為に不採用になっていました。しかし新αシリーズのパワーアンプと現行のフォノアンプには
    旧型の電源基板が使われています。当然ながら、このバイポーラ接続に使用するケミコンを探す
    必要がありました。因みに、旧型アンプ時代は全てBGコンを使っていたのです。このケミコンに
    は、何を使っても良い訳ではなくBGコン以外のものでは思った程の効果が出なかったのです。
    
     此処は電源部の根元ですから概して電圧が高く耐圧は最低でも50V 、120Wのパワーアンプでは
    耐圧200Vのものまで使います。こうなると品揃えの良いVishayコンしかありません。チューブラ
    (アキシャル)型とラジアル型とを織り交ぜて使うようになりました。それで今のところアンプ
    の音質に特段の問題もなく無事に使えています。これにはVishayコンの質の高さもあるとは思い
    ますが、WRアンプの最近の著しい音質向上も効いてると思います。部品の影響を受け難い体質に
    アンプが進化しているのです。
    
     前置きが長くなりましたが、現行のフォノアンプの電源部にはこのバイポーラ接続のケミコン
    が使われますから、今現在はBGコン、SL級の国産ケミコン、Vishayコンを動員して何とか凌いで
    います。だから1台1台全く同じ部品が使われるとは限らないのです。しかし近い将来はVishay
    コンで統一するしかないと思っています。現在は同じメーカーのもので固める事を敢えて避けて
    います。ある種の音の癖が出ないように配慮しているからです。これまで同じメーカーのもので
    統一しても音に変な癖が出ないと判断出来たものは少ないからです。例を挙げればBGコンですが、
    フィルムコン系に目を転じれば、SEコン、ERO コンが相当します。
    
     音に癖が出ると言えばケミコン以上に注意する必要があるのがフィルムコン系です。小容量の
    補償コンデンサーで絶対的な物がSEコンです。最近この真価が分かった気がします。セラミック
    コンには限界がありますし、積層系には要注意のものがあります。だから最高級の音質にはなら
    ないのです。勿論、フォノアンプには全てSEコンが使われています。発注頂いた時点でSEコンを
    予め揃えたので何とか製作する事が出来ています。セラミックコン以上に音質に影響が出るのが
    フィルムコンです。何故かフィルムコンはERO には敵いません。ドイツ製の赤いコンデンサーや
    青いコンデンサーは使いものになりませんし、国産で良いと思ったものは皆無です。何処か音に
    硬さやひずみ感が出てしまいます。
    
     ERO 以外で使えるフィルムコンは一部のRIFAコンでしょう。良いものとそうでないものがある
    ので選別できる聴感を持っていないとダメです。そんな訳でフォノアンプには大体はERO を使い
    ますが、部分的にRIFAも使っています。要するに、ケミコンにしてもフィルムコンにしても音に
    変な癖が出るようなものは絶対に使わないと言う姿勢が大切です。勿論アンプの回路は重要です
    が、それだけでは本当に音の良いアンプを作り上げる事は出来ません。使用するコンデンサーは
    勿論の事、使用する線材も厳重に選別する必要があります。問題なく使える線材は例外的にしか
    存在しませんから、選別無くして理想的な音のするアンプを作る事は出来ません。
    
     回路の設計だけなら聴感は不要かも知れませんが得られる音は部品を含めて決まる訳ですから、
    使用する部品の音が正しい音かどうかを、個々に判断する聴感を持ち合わせていない技術者には、
    正しい音がするオーディオアンプを完遂させる事は出来ないはずです。私がサントリーホールの
    最上席で12年間に亘って定点観測をし、自分の聴感を訓練したのはその為です。その音を実際に
    聴いた事のない技術者に、その音が正しく再生されるオーディオアンプを製作する事は原理的に
    不可能なのです。
    
     最後に抵抗も大切です。旧型アンプでは金属板抵抗の進抵抗を使っていました。高周波特性が
    良いからです。その内にそれが茶色のニッコームになり、現在では緑のフラット電子に代わって
    います。問題は1/4Wサイズです。抵抗の2本のリードの線間が約5mm なのですが、ヘッドアンプ
    基板は全てこの線間でパターンが描かれていますので、よく売っている1/2W型ですと上手く収納
    出来ないのです。従ってどうしても1/4W型を探す必要があります。過去の財産である手持ちの進
    とニッコームの中から何とか3台分は探し出しましたが、最近は補充してませんでしたのでもう
    限界です。危機感からネット検索をして、フォノアンプに必要な1/4W型を見つけて少し補充した
    ところです。やれやれです。
    
     斯くして、WRのフォノアンプは極自然な音でLPが再生できるのです。MCカートリッジの多くは
    高域に大きな共振峰を有していて、これが良い意味でも悪い意味でもLPの音の特徴を握っている
    のです。現在私が使ってるFRのPMC-1 も高域に明確な共振峰を有しているはずで、下手な装置で
    聴くと良くも悪くも高域に艶が出てしまいます。それがLPらしく良い音だと言う人は論外ですが、
    私は常々気になっていました。しかし、今回どのLPを聴いてもLPを再生してると言うような音は
    僅かな針音を除いて全くしません。本当に何の誇張もない自然な音です。
    
     CDの音を聴いた後でLPの音を聴くとCDの音は硬くLPの音は柔らかいとか、兎に角両者の違いが
    明確に確認されるのではないでしょうか。それが当たり前だと思っている方が多いと思いますが、
    私は常々疑問に思って来ました。今回は、CDの音とLPの音の違いが殆ど区別が出来ないレベルの
    音になっていると感じたのです。理論的にLPの方が多少ハイレゾの良さがあるはずですが顕著に
    分かる程の差は感じられませんでした。本来ハイレゾとはそんなものです。明確に分かるはずも
    ないのです。今回は音が良いとか悪いとかの前に、LPが本当に自然な音に聴こえたのです。LPと
    何十年と付き合って来ましたがこれは初めての経験です。自然に聴こえるLPの音も新鮮で魅力的
    だと思いました。いや、これが本当だと思ったのです。
    
     この結果から、選択した各部品は音に癖を出すこともなく、ソースの音そのものが再生出来る
    フォノアンプを生み出したと言えると思います。それがWRのフォノアンプの実体です。この良さ
    を最初に認めて下さったのが千葉のK さんでした。それまで独製の高価なフォノアンプをお使い
    だったにも拘わらずです。やはり出て来る音の本当の良さが分かる方には高い評価を頂けるのだ
    と思います。このフォノアンプの注文主の方もまた然りでしょう。
    
     再掲載になりますが、1台目を試聴された注文主の方から頂いたご感想には
    
    ★★川の流れのように滑らかで、力みのない自然な音に感動しました。
    ★★今まで聴いたヘッドアンプ及びフォノイコライザーの中で
    ★★私としては最高のものと思います。
    
    と書かれています。第三者の方にも一聴して「自然な音」と言う風に思って頂けた事がお分かり
    頂けると思います。そして、これまでお聴きになったヘッドアンプ及びフォノイコライザーの中
    で最高のものとお褒め頂いています。MCカートリッジを使ってLPを最高の音でお聴きになりたい
    方にはベストなフォノアンプだと断言出来ると思います。千葉のK さんの、輸入品の中から選び
    抜いた独製より良かったと言うご証言と、これまでに内外のあらゆる製品をお聴きになっている
    はずのご注文主の「最高」と言うご感想から、WR製フォノアンプは実質的には世界一の可能性が
    高いのではないかと思っています。それが\185,000で購入できるのであれば、寧ろお安いのかも
    知れません。帰還技術を根本的に見直した独自の回路解析と上述したような使用部品の絞り込み
    からすれば、当然の帰結と言えるのではないでしょうか。 

    1991川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Oct 8 22:30:00 JST 2020
    少し古いWRレコーディングを見直しました!
    
     実は最近、ある鍵盤楽器奏者の方からプリ(WRP-α9 のアップグレード版)とパワーアンプを
    セットでご注文頂き、先日の日曜日に我が家に取りに来て頂きました。パワーアンプには現在旬
    のΕ-15HS をご用意させて頂きました。プリにはL-Pad こそ採用してませんが、その他の例えば
    高級部品化等の必須のアップグレードは全て実施されております。ご持参頂いたCDをこのセット
    で再生させて頂いて、アンプの音質を確認して頂いて納得して頂きました。
    
     その際、この方が演奏するCDをお土産に頂戴したのですが、その返礼にと昔(約10年前)録音
    したCDを差し上げたのです。それは、Koike Strings のバックで沢田千秋が独奏するショパンの
    P協1番(ピアノ六重奏版)が入ってるCD(KSCD-0002)です。このCDにはKoike Strings が演奏
    するモーツァルトの弦楽五重奏曲ハ長調(K.515)がカップリングされています。
    
     確か、このライプが横浜のみなとみらい小ホールで行われた後、府中のウィーンホールでこの
    収録が行われたはずです。録音には、WRのヘッドアンプ部分に2段差動の送り出しアンプを付加
    して構成したWRマイクプリが使われました。ヘッドアンプ部分は勿論、送り出しアンプもSEコン
    仕様で作られていますから、最近の多チャンネル汎用マイクプリに比べれば高音質が狙えるはず
    です。
    
     しかし、当時は再生の品質が今一つだったせいか、期待した程には録音出来なかったと感じて
    いました。録音の結果は使用するハードウェアと収録後のミキシング技術に掛っています。私が
    ハードを担当し、息子がソフトを担当してこれまでずっとWRレコーディングを行って来ましたが、
    正直に言って、自分達が期待した程の結果が得られていないとずっと思っていました。私はWRの
    アンプ製作技術が向上するとマイクプリにも適用して高音質化を図って来ましたし、息子は息子
    なりにミキシングの方法を常に工夫して来ました。
    
     複数のマイクを使うと音が重なるので、下手なミキシングをするとひずみ感の多い音になって
    しまいますから、そのひずみ感が極小になるように、複数チャンネルの音を重ねているはずです。
    確かにワンポイントですとその点はスッキリするのですが、全体に音が遠く迫力の点では物足り
    ない音になってしまいます。痛し痒しですが、WRレコーディングは大した本数ではありませんが
    ずっとマルチマイクで録音しています。
    
     録音する時は当然ですがモニタリングをしながら実施します。オーディオインターフェースの
    ヘッドホンジャックで聴く限り鮮度の良い結構いい音に聴こえます。マイクプリ直の音ですから
    悪かろうはずもないのですが、これがHDD に記録され、後日ミキシングした音を聴くとこの程度
    だったのかとガッカリするのです。このギャップを出来得る限り無くして行く必要があると常々
    考えて来ました。息子も同じだったはずで、録音する度にミキシングの方法を工夫して来ました。
    
     結果的に思った程成果が上がっていないと思っていたのです。しかし今回差し上げるCDの音を
    念の為に確認しようと思って余り期待しないで聴いて見たのです。出て来た音はこのCDが出来た
    頃に受けた印象とは随分と違って素晴らしいではないですか! 弦楽合奏のひずみ感は殆ど感じ
    ませんしストバイの音が綺麗に伸びて聴こえます。失礼ながらKoike Strings ってこんなに上手
    かったのかと思ってしまいました。贔屓目に言えば良く録れたメジャーレーベル並みです。音が
    良いと演奏まで上手く聴こえるのですから、やはりどうせ聴くなら良い音で音楽鑑賞すべきなの
    です。このCDは確か未だ購入可能だと思います。腕試しには好都合なCDです。
    
     最近、昔は引き攣って楽しめなかったマントバーニのカスケーディング・ストリングスの音が
    綺麗に抜けて聴こえるようになった事と無縁ではないはずです。ポール・モーリアの金属的な音
    がするストリングスが快感をもって聴けるようになった事とも無関係ではないと思います。幾ら
    再生アンプの品質が向上しても、本当にダメな録音はどうやってもいい音には再生出来ません!
    しかし折角いい音で収録されているにも拘わらず、再生アンプがネックになってその実力が表に
    出て来ないソースもあるはずです。否、そう言うソースが実は多いのではないでしょうか。特に
    CDの場合はLPより再生上の障害が多い為、余計にそう思えるソースが多いはずです。
    
     昔、ラ技で録音評を担当されていた故高城重躬氏が偶に口にされていた「LPの溝にどんな音が
    刻まれているかは神のみぞ知る」と言う表現を今でも思い出します。同様に「CDのピットにどの
    ような信号が記録されているかは神のみぞ知る」なのです。結局、最も信頼できる再生アンプで
    聴いて見るしかないのだと思います。その資格があるのは最新のWRアンプだと言っても過言では
    ないのではないか、と今回の体感から強く思うに至りました。
    
     では、WRアンプを入手した場合の具備すべき最低条件を下記に示します。
    
     1)プリは完全アップグレードする必要がある事。
    
     2)パワーアンプは高級部品化まで実施する事。
    
     3)新三種の神器を出来る限り用意する事。
    
      3a:推奨スピーカーケーブル(当HP参照)を使う事。
    
      3b:WR製RCA ピン接続ケーブルを使う事。
    
      3c:WR製電源フィルターを使う事。
    
     4)家中の家電に市販ノイズフィルターを噛ませ家庭内の電磁環境を出来るだけ向上させる事。
    
     5)良質なプレーヤーを導入する事。
    
     それぞれについて簡単にコメントして置きますと、1)の完全アップグレードの中でL-Pad は
    最後に回しても良いと思います。3万円程安くなります。2)はワット数は大きいに越した事は
    ありませんが、スピーカーの能率、聴く部屋の容積、平均聴取レベル等を勘案して決めても良い
    と思います。3)のcは現在製作不可ですが、なるべく早く対応できるように致します。4)は
    半田付けが出来ない方もキット販売があるようなので、是非チャレンジして見て下さい。或いは、
    不要不急な家電の電源ケーブル等はコンセントから抜く事も大切です。5)は、PCオーディオは
    電磁環境を悪化させますので、なるべく避けた方が無難です。良質と高級とは違います。高級な
    プレーヤーは音が作られている場合がありますので、比較的安価で良質なプレーヤーを見つける
    事が賢い方法だと思います。私の使用するパイオニアのLX-55 はその典型例です。現在2台目を
    中古で購入して日々の音楽鑑賞と完成したアンプの試聴に使っています。                                   

    1990川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Oct 1 21:00:00 JST 2020
    Y.T さん、ユーザーの方に注意喚起をして頂ける有益なご投稿ありがとうございます。
    
                            −−−電磁環境を見直して見ませんか?
    
     オーディオアンプをより高音質で再生するには良好な電磁環境が必要ですが、アンプ等の機器
    に比べて、電磁環境の問題には残念ながら関心が薄いのが実情です。私は半世紀も前から高周波
    ノイズがオーディオアンプの音質に悪影響を与えると申して来ましたが、未だ十分に認知された
    とは言えない気がしています。
    
     WRアンプは他社製のアンプに比べれば高周波ノイズに対して強く設計されていますが、ノイズ
    は少ないに越した事はありません。それがアナログと言う世界の鉄則です。そこで新三種の神器
    として電源フィルターのご使用をお勧めしています。一口に電源フィルターと言っても、大きく
    分けて2種類存在します。一つはアンプの電源に入れるフィルターですが、それだけでは十分と
    は言えません。何処の家庭にもあるような家電製品には大体マイコンが搭載されていて、多かれ
    少なかれ家庭内の電磁環境を悪化させています。
    
     前者の電源フィルターには是非WR製をお使い頂きたいのですが、これまで使用して来たラグ板
    L-615Pがディスコンで入手不可になっており、これに代わり得る代替品が見つからず、現在製造
    不可になっています。ご希望の方にはご迷惑をお掛けしておりますが、何とか代替品を見つけて
    製造を再開したいと考えております。一方後者の電源フィルターには市販品が活用出来ますので
    半田ごてを握った事のある方なら自作をお勧めします。私は市販品を2つ直列に繋げて、適当な
    金属箱(クッキー等の空缶)に納めて使っています。
    
     結構、質が悪いのが映像を伴うテレビのようなものです。ビデオ信号は音からすればノイズの
    塊みたいなものですから要注意です。その他にも、電話機、LAN 関係の機器、冷蔵庫、エアコン、
    パソコン、給湯器、等々ノイズを出さないものを探すのは難しい程です。些細な物のようですが
    スマホの充電器も影響します。不用な物はコンセントから抜くべきです。これ等にはフィルター
    が噛ませられるのでまだ良いのですが、LED 照明器具等はお手上げです。私はリスニングルーム
    には白熱電球の照明器具を使っています。今の世の中はスイッチを切っただけでは本当に抜いた
    事にはなりませんので安心は出来ません。昔のように機械式に切るSWは少なく電子SWが多いから
    です。家中のノイズ源を探知するには、ポケットラジオの同調をずらして少し音量を上げてから
    色々な機器に近付けて見て下さい。「ジーーー」っと言う凄い音がして来たらそれは間違いなく
    ノイズ源です。試しに私の使ってるスマホ充電器を負荷を外してACコンセントに差して見ました
    が、それでも見事に唸りを発生しました。恐ろしいものです。
    
     何れにしても、高周波ノイズに関しては完璧は無理なのでベターな方法を見出すべきでしょう。
    要するに、運用で同じ機器を使っていてもノイズの影響を軽減する事が出来るはずです。ノイズ
    は高周波ですから距離が離れる程減衰します。例えばスマホの充電器をアンプと同じコンセント
    から取る場合とリスニングルームから一番離れた部屋で使うのとでは、その影響度合いは大きく
    違って来ます。Y.T さんが指摘された1.は正にアンプの電源ラインとPCの電源ラインを分けて
    お互いの距離を確保する事に繋がっています。
    
     その2.はテーブルタップの線材・器具の問題です。壁コンセントに直接アンプの電源プラグ
    を差し込む方は稀で、大体はテーブルタップをお使いになると思います。世の中で売られている
    テーブルタップはOA用、PC用のものが多いと思います。これ等にはアンプの音を悪くするものが
    有りますので、どんなものでも同じだと考えるのは危険です。一番良いのはスピーカーケーブル
    として推奨しているMITSUBOSHIのケーブルを使用し、Panasonic 電工のプラグとタップをDIY 店
    等で購入して自作する事です。
    
     その3.でY.T さんが指摘されていますSHINAGAWA の付属電源ケーブルも、伊達に付属させて
    いる訳ではなく、これは必須だとお考えになって下さい。この手の電源ケーブルは星の数ほどが
    存在すると申し上げますと大げさに聴こえると思いますが、その殆どが使いものにはならないと
    お考え頂いて良いかと思います。陳腐な電源ケーブルを使っただけでアンプの音を台無しにして
    しまいますから、本当に要注意です。
    
     しかしこのSHINAGAWA の電源ケーブルにも欠点があります。極性が明示されていないばかりか
    プラグの取り付け方に法則がなく、一本一本極性を自分で調べる必要がある事です。この事実を
    これまで余り申し上げて来なかったので、最近は一本一本チェックしてアース側のプラグの根元
    に青のサインペンで印を付けております。このアース側が壁コンセントの左側に入るように差し
    込んでお使いになって下さい。システム内で使用する機器の電源の極性を全て合わせる事が大切
    です。それが機器同士で余計なノイズのやり取りを少なくする方法です。
    
     この極性を調べるにはテスターのような測定器が必要になりますが、どうやって良いか分から
    ないと仰る方には検電器の使用をお勧めします。ペン型のものが使い易いと思いますが、調べる
    機器のシャーシに検電器の先を接触させて、内部のネオン管が点けば極性が間違っていると判断
    出来ますので、何方にも簡便に極性が正しいかどうかチェックする事が出来ます。システム内で
    使用している全ての機器を一旦個々に分離して、正しい極性かどうかを一つ一つ調べ直して見る
    と良いとます。
    
     線材で音が大きく変わる事は確かな事ですが、何故音がそんなにも変わるのかは誰も理論的に
    説明出来ていません。オーディオの七不思議の一つだと思いますが、WRアンプに取っての最悪な
    線材は高純度のOFC ケーブルです。線材の純度が高い事自体は悪いとは思えないのですが、問題
    は開発目的にあると思います。これまで多くの方が石のアンプの音は真空管のそれより硬いとか
    CDの音はLPのそれより硬くて聴き苦しいとか、色々と不満を述べて来られています。WRアンプは
    もうこれ等の問題を全て解決していますが、既成オーディオアンプには多かれ少なかれこの問題
    が影を落としています。これを少しでも軽減し聴き易くしようと考案されたのが高純度OFC 線材
    だと思います。だからWRアンプには不要なものであり、使えば音が曇る事になります。
    
     では高純度OFC ではなく4N線材なら安心かと言えば答えはノーです。上述した電源ケーブルの
    一件で使用されている線材は全て4N線の話なのですから。4N線は音こそ曇りはしませんが、今度
    は音にひずみ感が出てしまう事になるのです。これがストバイが引き攣れる原因の一つだったの
    ではないかと思います。そしてひずみ感の出ない線材が、4N線の中に存在する事に気付いた事が
    WRアンプを完成の域に高める大きな要因になったのでした。偶然だと思いますが、MITSUBOSHIや
    SHINAGAWA 等が同じような線材を作り出したのです。もしも、これ等の線材が世の中に存在しな
    かったら、WRアンプの完成もあり得なかったと思います。感謝、感謝です。ひずみ感のない線材
    を見出す事が出来る回路技術とそれを見抜ける聴感を有しない技術者には正しく動作するアンプ
    を作り出す事は出来ないのです。
    
     最後に、Y.T さんにはWRP-α9 のヘッドホン聴取は、非常に素晴らしいと仰って頂いています。
    余り目立ちませんが、多分、下手なヘッドホン専用アンプより音のひずみ感が少ないのでいい音
    に聴こえると思います。主にヘッドホン聴取で音楽をお楽しみなる方々にもお勧めです。ただし、
    完全アップグレード(参照:WR掲示板1820等)が必要になります。  

    1989Y.Tさん(大学生) Wed Sep 23 19:49:11 JST 2020
    電源の重要性
    
    初めまして。Y.T と申します。この度書き込んだのは
    私のような人にももう一度電源の重要性を再確認いただきたいと思って書き込みました。
    
    私は最近いくつか電源に関する改善処置を行いました。
    どれも川西さんによって既に掲示板に記述されていることではあるのですが、
    私みたいに無頓着だった人もいるかもしれないので
    ある種の注意喚起をできればというのがきっかけです。
    
    具体的には以下の3 つの改善を行いました。
    
     1.WRP-α9(アップグレード済み)とE-5H の電源ラインをPCと分ける。
    
     2.2 つのアンプの電源を取るタップをPC用の雷サージ付きから、
     Panasonic の安いシンプルなものに変える。(Panasonic 製タップの型番は WHA2554WKP)
    
     3.電源ケーブルをちゃんとWR推奨品のShinagawa に揃え、極性も合わせる。
     どれも非常に効果が大きかったです。出来れば電源タップも
     Shinagawa を使った自作品を作るのが一番良いのでしょうが、
     電源関連の自作は一歩間違えれば火事の元なのでまだ手を出せていません。
    
    3.に関しては恥ずかしながら電源ケーブルにOFC を使っていたことが発覚しまして、
    これをshinagawa に変えた時一気に音がクリアになりました。OFC は絶対やめましょう!
    皆様も今一度電源環境を見直していただけると幸いかと存じます。
    
    P.S これまでずっとイヤホンを使っていたのですが、
     ちょうど今日初めてヘッドホンを導入しました。
     オーディオテクニカのATH-A10 というヘッドホンです。
     これとWRP-α9 の組み合わせは非常に素晴らしいです。
     自信を持ってお勧めできます。
    
    お読みいただきありがとうございました!
    
     Y.T  

    1988川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sun Sep 20 13:00:00 JST 2020
    ポール・モーリアのLPを見直しました!
    
     前稿で、3台目のΕ-15HS(SEコン版)の試聴記を書きました。最近試聴にLPを聴く事が増えた
    のですがその時、何時も何時もハワイアンやアルゼンチンタンゴだけでは飽きてしまいますので、
    何か目新しいものが無いかとLP棚を見渡していたのです。音が良くないと烙印を押したLPを格納
    してある辺りに目が行きました。何時何処で買ったのかは全く記憶にないポール・モーリアのLP
    (20PP-31〜32)が目に留まったのです。唯、この辺りに有ったLPですから、どうせいい音がする
    はずは無いと期待もせずに針を落としたのです。
    
     マントバーニのムード・ミュージックが下火になってから、急速に人気が出た来たのがこの人
    ポール・モーリアです。イージー・リスニングと言う新しい呼び方が始まったのもこの頃だった
    と思います。何処のラジオ局もポール・モーリアを流さない日は無い程だったと記憶しています。
    なので既にポピュラー・ミュージックから足を洗った私の耳にも、好むと好まざるとに関わらず
    色々な魅力的なメロディーが自然に耳に入って来ていたのでしょう。それで1枚買って見る気に
    なったのではないかと思います。しかし、買っては見たもののラジオで聴くようには鳴ってくれ
    なかったのだと思います。
    
     それもそのはずポール・モーリアも高弦のきついストリングスを多用していたのです。マント
    バーニ程ではないにしても、この金属的な高弦のffを当時のアンプではまともに再生できるはず
    はなかったのです。今現在のWRアンプなら完全にクリア出来ますが、当時は足元にも及ばない程
    の酷い音でしか再生出来なかったのだと思います。当時から弦の高弦の音には凄く神経質でした
    ので、ダメだと烙印を押したのだしょう。逆に言えば、ポール・モーリアを気持ち良く聴くには
    高弦が鍵を握っている事になります。
    
     この「PAUL MAURIAT GREATEST HITS」と言うLPは2枚組で、ヒット曲が30曲納められています
    ので、有名な曲は殆ど網羅されています。1面に7曲、2面に8曲、3面に7曲、4面に8曲が
    納められています。先ず1面から聴いて見ました。ベルト・ケンプフェルトもそうでしたが低域
    がしっかり入っていて安定感のある音です。それにリズムをしっかりと刻むところも似ています。
    しかし、電子音かな?と思われる音もチョコチョコと顔を出します。金管の音も加工されている
    ように聴こえますし、弦も5部が同時に調和すると言うより、パート毎に適材適所に顔を出すの
    です。種々の楽器が現れては消え、正に神出鬼没的に音楽が進行します。しかし、全体を締めて
    いるのは疑いもなく金属的に響くストリングスでしょう。だから、高弦が引き攣れたらポール・
    モーリアは台無しになるのです。
    
     このLPには各曲毎に発売年が分かる記号が入っているので、何時頃の録音かが分かるのですが
    殆どは1970〜1979頃に分布しています。一番古いものは1966年で「蒼いノクターン」と言う自身
    が作曲した曲です。言い遅れましたが、このLPのレーベルはフィリップスです。フィリップスの
    クラシックはこれまでに何回か書きましたように1970〜1974年頃の間に行われた録音に良いもの
    が多いのですが、ポピュラー音楽の録音についても同様の事が言えそうです。70年以前の録音は
    ちょっと粗い音が多く、75年以降は逆に音がボケて来ます。1面に続き2面も比較的良い時期に
    録音されていて、高弦さえクリア出来るシステムならかなり聴き心地の良い音で鳴ってくれます。
    
     しかし3面は1960年代の録音が殆どで余り楽しめません。4面は1曲を除いて70年代の録音が
    並んでますので1、2面と同様なパフォーマンスで鳴ってくれます。ブラームスの渋い曲ならば
    多少音が悪くても内容でカバー出来ますが、このような半分は音響的な魅力で聴かせる曲ですと
    音の悪さは致命的になりますから、殆ど楽しめなくなってしまいます。多分にポール・モーリア
    の音楽は録音法でカバーされているように思うのですが、一方で来日コンサートも毎年必ず開か
    れてたそうです。舞台でこの音の魔術をどのように処理したのか謎が残ります。「恋はみずいろ」
    が全米ヒット・チャートの1位になった翌年に来日してるそうですが、その時の記者会見で独特
    のちょっと金属的な音がするストリングスについて、その配置や録音方法について質問が集中した
    そうです。当時も、ポール・モーリアの独特の音造りに関心が寄せられたのです。
    
     それでは、全30曲をご紹介しましょう。
    
    第1面:
    
     1)エーゲ海の真珠          5)コンドルは飛んで行く
    
     2)オリーブの首飾り         6)渚の別れ ●
    
     3)そよ風のメヌエット ●      7)恋はみずいろ
    
     4)愛の休日
    
    第2面:
    
     1)ある愛の詩            5)薔薇色のメヌエット ●
    
     2)やさしく歌って          6)みじかくも美しく燃え
    
     3)モーニング・アフター       7)Mr. サマータイム
      (ポセイドン・アドベンチャー)
     4)天使のセレナード         8)禁じられた遊び
    
    第3面:
    
     1)フィーリング           5)この胸のときめき ★
    
     2)恋のアランフェス ★       6)ソバの女王 ★
    
     3)レット・イット・ビー       7)蒼いノクターン ★●
    
     4)マイ・ウェイ ★
    
    第4面
    
     1)ゴッド・ファーザー 〜愛のテーマ 5)口笛の鳴る丘 ★
    
     2)エマニュエル夫人         6)涙のトッカータ
    
     3)マネー・マネー・マネー      7)悲しみのフェルナンド
    
     4)雪が降る             8)ペガサスの涙 ●
    
     (★印は1960年代の録音で少し音質が落ちるもの ●印は自身の作曲)
    
    と言う収録曲です。
    
     皆さんもこの中にはお馴染みの曲名があるのではないでしょうか。マントバーニもそうですが、
    ポールモーリアも基本的には指揮者ですから、自身のオリジナル曲は余りありませんが、上記の
    中の●がそれに該当し5曲あります。メロディーに聴き憶えがあるのは1面の3)と4面の8)
    ですが、私は1面の6)を推薦します。高弦のffが、何処までも透明感をもって抜け切りますし、
    グイグイとポール・モーリアの音楽に引っ張られて行く感じに好感がもてました。元気が貰える
    曲です。2面の5)と4面の8)は最盛期を過ぎた録音と言う感じがします。1面の3)は無難、
    3面の7)は音が冴えません。
    
     このような録音年代の異なる曲を収録したLP等は音質にバラツキがありますが、1面の6)の
    ような曲ばっかりが続いても聴き疲れしてしまいますので、少し気を抜いて聴くものがあった方
    が良いのかも知れません。その意味では3面を除いて、それぞれ楽しめるLPだと言っても良いと
    思いました。今後もテスト試聴に使うかも知れません。高弦の抜けとひずみ感がキーポイントに
    なると思います。我がΕC-1H+Ε-15HS(SEコン版)又は我が110W機で聴く限り、高弦は何の不安
    もなく抜け切りました。これだけの音は滅多に聴けないでしょう。
    
     尚、カートリッジにはFRの純粋MC型PMC-1 を使用しました。  

    1987川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Mon Sep 14 00:00:00 JST 2020
    いよいよ最後の3台目のΕ-15HS が完成し、試聴して見ました。
    
     3台目はご本人様のご希望に依り、最初からSEコン仕様で作られました。初めてのケースかも
    知れません。実はこのアンプの為のSEコン購入時に22PFの在庫が風前の灯火となり、20PFで一部
    を代替するとかして切り抜けましたが、これが契機となり今度は62PFが在庫切れになったのです。
    現在SEコンの納期は3カ月で、今年の暮れまで少なくても22PF、62PFの入手が難しくなりました。
    事実上、今年一杯はSEコン化は出来ない事になりそうです。
    
     それはさて置き2台目までのΕ-15HS で中古放熱器を使い切りましたので、3台目の Ε-15HS
    には新しい放熱器を購入して取り付けました。幸いこの程度のパワーアンプなら使えそうなもの
    が見つかりましたので、今後Ε-15HS を続けて製作して行ける目途が立ったところです。従って
    オリジナルとはトランスと放熱器が大きく変わる事になりますが、出て来る音に致命的な問題は
    生じないと思っています。
    
     さてこのアンプの音はやはりSEコン仕様の為か全く嫌味や癖やひずみ感がなく、本当に爽やか
    で自然な音です。これまでに何回か申し上げてますが、SEコン化の証を証明するにはベーシーの
    ピアノを聴くのが近道です。例のCDの3曲目に入ってる「WARM BREEZE 」の中で出て来る本当に
    どうって事無いピアノソロなのですが、SEコン化されてないアンプで聴くとタッチが少し曇って
    聴こえるのです。籠ると言い変えても良いかも知れません。プリには我がΕC-1Hを使って聴いて
    ますからパワーアンプのSEコン化さえ済んでいればちゃんと聴こえるはずです。絶対に大丈夫と
    思ってもやはり聴いて見るまでちょっとドキドキしました。でも、WRアンプに例外はありません。
    其処で普通にピアノを弾いてるかのように聴こえたのです。この自然感が意外に難しいのです。
    
     これがOKなら他のディスクを聴く必要もないのですが、最近聴くCDは当然ながら何も問題なく
    聴き通せました。これまでのセラミックを使ったΕ-15HS に比べてより嫌な刺激感が減っている
    と言う気がしました。肩の力が抜けて自然に音楽に集中してしまうと言う感じです。ふと目の前
    に置いてあったカラヤン/ウィーンフィルの「ブラ1」に手が伸びたのでした。このCDは復刻盤
    ですが、私はこのオリジナルを日本ビクターから発売されたLP(SHP-2005)のバーゲン品で購入
    しています。右下隅に空けられたパンチの穴がその証拠です。デパートの催し物会場で行われて
    いたバーゲンセールはお金の無い学生達には本当に有り難い存在でした。一枚千円で新品のLPが
    購入できたのです。
    
     もう少しこのLPには説明を要する事があります。カラヤン/ウィーンフィルの録音がビクター
    から発売される事は普通はないのですが、英デッカとRCA ビクターがお互いにスタッフ等を貸し
    借りすると言う企画があったのです。それでライナーがウィンーフィルを振った事もありました。
    この録音は実は英デッカが担当しているのですが、最初にRCA ビクター系列で発売されています。
    このLPを聴いた瞬間RCA の音とは全く違う重厚で鮮烈な音に驚嘆したのを憶えています。しかし、
    現在はこの録音の版権はデッカに帰属しているらしく、CD(UCCD-7206)はユニバーサルから発売
    されています。今聴いても十分に通用する音質で流石にデッカ録音だと感心します。この録音が
    奇しくも1959年なのです。マントバーニもそうでしたが1959年と言うのは名演奏の好録音が沢山
    あった事になります。SEコン化されたΕ-15HS で聴いて見ますと、昔から焼き付いたこのソース
    のイメージが全く損なわれる事がないばかりかまるで最新録音のような新鮮さで楽しめたのです。
    今から60年以上も前のその演奏の場の空気が居ながらにして味わえるオーディオは、やはり素晴
    らしい技術だと改めて思ったのです。
    
     今こうして音楽好きの方にそれを可能にするオーディオアンプを提供できるようになった事に
    半端でない幸せ感を凄く感じるのです。諦めずに孤軍奮闘何十年も苦労して来て本当に良かった
    と思えるのです。このあと、幸せ感に乗じて再びLPを聴いて見たくなりました。製作したフォノ
    アンプの出来が良く、自分のヘッドアンプに依る再生音をもう一度確認したくなったのです。唯、
    前回から1箇所だけ弄っています。それは別電源部と本体を結ぶケーブルです。線材には無頓着
    だった頃に採用したケーブルがそのままでしたので、それを最近使うケーブルに交換したのです。
    それだけで何か効果が出るのかどうかです。前回聴いて少し音が硬いと感じた例のハワイアンの
    LPを掛けて見ました。心なしか少し硬質感が消え自然さが出てるように聴こえたのです。少しは
    効果があったと思います。「アロハ・オエ」のウクレレ、ギター群の伴奏の音が満足感をもって
    聴けたのです。どんなジャンルの音楽もやはり本物の演奏は感動的に聴こえて来ます。このLPの
    サウス・シー・メロディアンズと言う楽団も本物なのでしょう。何回聴いても飽きない演奏です
    し、本当に素晴らしいLPだと思います。
    
     これに気を良くしてアルゼンチン・タンゴを聴く気になりました。と言っても、私が例外的に
    購入したたった1枚のLPです。まだ大学の助手をしていた頃の事です。所属する研究室に配属に
    なった学生が社交ダンス倶楽部に入っていて、タンゴを踊るのに好きなレコードがあると言うの
    です。聞き出して見ると、フロリンド・サッソーネが演奏する「フェリシア」が凄く格好いいと
    言うのです。調べて見ると次のLPが見つかりました。ダイナミック・タンゴ!日本のサッソーネ
    と題したOdeon レーベルのLP(OP-7561)が東芝から発売されていました。子供の頃に我が家でも
    社交ダンスが偶に行われていて、タンゴは耳に馴染みがありましたので、買って見る気になった
    のです。しかし、昔からアルゼンチン・タンゴはオーディオとは無縁で酷い音のするものが多く
    それまで自分から買う事は無かったのです。購入したものの「恰好いい」音はせず、バイオリン
    が引き攣って始末の悪い音でしか再生出来なかったのです。これまでにも機会ある毎に聴いては
    見たものの、満足感をもって聴く事はありませんでした。
    
     最近はマントバーニのストリングスの再生にも成功していますから、結構行けるかも知れない
    と思ってこのLPを掛けて見る気になりました。A面の1曲目に「ラ・クンパルシータ」が入って
    いて2曲目が例の「フェリシア」です。2曲続けて聴いて見ました。私はアルゼンチン・タンゴ
    の生を聴いた事がありませんので、どう聴こえれば良いのかがもう一つ掴めてませんが、かなり
    いい線行ってると思いました。これまであった明らかな引き攣れ感は殆ど無く、十分許容範囲に
    入ってると思ったのです。B面の1、2曲目に入っている「大きな人形」「夜明け」も素敵です。
    バンドネオンの音は魅力的であるし、この音ならオーディオとは無縁にはならないだろうと少し
    自信が出て来ました。この演奏では、バイオリン奏者が5人居ますがセコバイ、ビオラ、チェロ
    は無くあとはコントラバスですから中高域に音のエネルギーが集中し、故意的な不協和音もあり
    そうなので生でも結構耳に来るのではないかと思います。ずっと昔からアルゼンチン・タンゴの
    難易度はそもそも高いのです。でもSEコン化されたWRアンプなら十分楽しめる音で鳴ってくれる
    と思います。
    
     最後になりましたが、2台目のΕ-15HS をご購入になった方からレポートを頂戴してますので
    ご紹介させて頂きます。
    
    ★セッティング終わりました。どないしてもいい音しか出ません。
    ★10段階で10です。
    ★でも15まで鳴らせると確信しています。
    ★これからです。ありがとうございました。
    
    と言う簡潔なご報告ですが、この方は完全アップグレードされたWRP-α9 にQUADのパワーアンプ
    を繋いで聴いて居られましたので、まだ全てのアンプがWR製になったばかりでスタートラインに
    ついたところですから、4行目にありますように文字通り「これから」だと思います。行く行く
    は15まで持って行かれると言う意気込みを感じましたので、私も応援して行こうと思っており
    ます。  

    1986川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sun Sep 6 22:00:00 JST 2020
    フォノアンプの事、2台目のΕ-15HS の事−−−完成して試聴する喜び
    
     3台連続して製作する事になりましたニュータープ15W 型パワーアンプΕ-15HS の2台目の
    製作と平行して、フォノアンプWR-αPH/HDを手掛けている旨を前稿で報告させて頂きましたが、
    既に目出度く完成し納入済みとなっております。
    
     このフォノアンプは旧型アンプと同等な高級部品のみを使って作られます。最近、そもそも
    ディスクリート用の部品が入手困難になりつつある上に、BGコン、ERO コン、進抵抗が軒並み
    製造中止になっていますので部品集めが大変なのです。その上SEコンもディスコンになり易く
    三重苦、四重苦と言った状況です。
    
     セコハンでも程度の良いBGコンが手持ちに有れば使いますし、無ければVishayコンで何とか
    穴を埋めて行きます。よく使うERO コンの1826はまだ手持ちの物で何とか賄えます。1817なら
    現役のもの(Vishay)が入手できる事があります。抵抗も進やニッコームの手持ちを主に使い
    ますが、もう1/4Wが売ってないようなので、1/4Wサイズしか入らないヘッドアンプ基板は困り
    ます。どうしても無い場合に限り例外的に他の金属皮膜抵抗で代替します。
    
     斯様に薄氷の上を滑るようなものなので、正確に言えば二度と同じものが作れません。但し
    出来上がりの音質は必ずご期待に添えるグレードに仕上げているつもりです。今回も完成して
    我が装置で試聴したのですが、これまででも一番滑らかな音だったと思います。何の癖もない
    ナチュラルな音質バランスは安定感を感じる音です。「LPを掛けてます!」と言ったところが
    全くない音と言っても良いと思います。要するにLPでもCDでもベストで再生すれば、ソースが
    有する音がそのまま再生されるのです。チリチリしたり硬直したりするのはアンプに難がある
    証拠です。
    
     先ず初めに項番1980でも書きましたがハワイアンを掛けてみました。その時には、最初だけ
    音が少し硬いと書いたと思いますが、今回はそれがなく最初からナチュラルバランスで聴けた
    のです。何時も最後に聴く「アロハ・オエ」では、伴奏のウクレレ、ギター群のリズムを刻む
    ガット弦の音が生々しく聴こえて来て、メロディーを聴くのとはまた別の何とも言えない感慨
    がありました。次に昔オーディオショウか何かで貰ったコロムビアのテストレコード(TD-3007)
    の中から5曲目に入ってる「子供の領分」(間宮芳生作曲)を聴いて見ました。演奏は若杉弘
    /N響、合唱/NHK 放送児童合唱団ですが、これが非常に良く録れていて子供達の声が非常に
    リアルに響きました。最後の6曲目に若い頃によく聴いたモーツァルトのフルートとハープの
    ための協奏曲ハ長調の第一楽章の冒頭部分だけが収録されているのですが、改めてランパルの
    フルートの円やかな音色に気付いたのです。ランパルと言うと派手な音と言う先入観があつた
    のですが、ちゃんとした再生音で聴いてないだけの事だったのか、と反省しました。
    
     次にこれまで何かと問題が多く、気になってたジュリーニ/ロンドンフィルの「ドボ7」を
    聴いて見ました。ストバイが硬くて細いと言うのが第一印象でした。硬さは次第に取れて来た
    のですが、もう一つ満足できないのです。EMI 録音のせいも勿論あると思いますがオケの質も
    多分にあると思います。今回も理想的に鳴ったと言う訳ではありませんが、ジュリーニらしさ
    が感じられ、ロンドンフィルからそれなりの厚みを感じ取る事ができました。ドボルザークの
    音楽を楽しむ為の最低限の音にはなったと思います。良い演奏・録音の少ない「ドボ7」の中
    にあってもう少し聴かれても良いソースだと思いますが、このLPの日本盤はないと思いますし、
    CDがあるのかどうかも分かりません。日本で殆ど話題にならなかったのは残念な事です。
    
     最後にジュリーニの取って置きの「展覧会の絵」(MG-1064)を聴いて見ました。演奏・録音
    共に文句の付けようのない優れたソースです。CDでも勿論購入しましたので、最近はこのLPは
    殆ど聴いていませんでした。普通は邪道ですが、音の確認なので裏面の「鶏の足の上の小屋」
    と引き続き「キエフの大門」を最後まで聴いて見ましたが、久し振りにこの名演奏・名録音を
    聴いて演奏の上手さ、音の良さそして最後の最後まで冷静にオケをコントロールする指揮振り
    に改めてジュリーニの偉大さを感じたのです。やはり、もうこのような指揮者は出て来ないの
    ではないかと思います。 
    
     この試聴に依って、これまででベストかと思える音になりましたので、早速注文された方に
    発送させて頂きました。次の日だったと思いますが、早々にお返事を頂きました。その一部を
    次に紹介させて頂きます。
    
    ★本日無事受け取りました。
    ★楽しみにしていたので、すぐに接続してレコード3 枚聴きました。
    ★川の流れのように滑らかで、力みのない自然な音に感動しました。
    ★今まで聴いたヘッドアンプ及びフォノイコライザーの中で
    ★私としては最高のものと思います。
    
    と言うご感想でした。
    
     尚、お使いのMCカートリッジは
    
    ★Audiotechnica AT-ART9XA 0.2mV
    ★DENON DL-103 0.3mV
    ★光悦 Rosewood Standard 0.4mV
    ★Ortofon SPU Synergy 0.5mV
    
    だそうです。
    
     大丈夫だと思っていてもやはり実際にこのようなコメント頂きますと一安心です。苦労して
    部品を集めて作り上げた甲斐があると思いました。千葉のK さんに引き続き名誉あるお言葉を
    頂戴し、このフォノアンプの絶対性が半ば認められたように思います。確かに決して安価では
    ありませんが、お持ちのLPが最上クラスの音でお楽しみ頂けるのですから、回り道をするより
    寧ろ安く上がるのではないかと思います。LPには根強い人気があります。LP再生に満足されて
    ない方は、是非一度WR製のフォノアンプをお試しになって見て下さい。
    
     此処で話が2台目のΕ-15HS に移りますが、丁度本日完成して試聴を終えたばかりなのです。
    試聴の感想を書く前に残留ノイズについて一言触れさせて頂きます。1台目では電源トランス
    の漏れ磁束が少なかったからなのか、これまでプリでもパワーアンプでも経験のない10μV と
    言う驚異的な残留ノイズ値を実現したのでした。それがトロイダルトランスに代わっても保存
    されるのか興味がありましたが、残念ながらこれまでの標準値の15μV だったのです。決して
    悪い値ではないのですが、少しがっかりしたのも事実です。でも測定後に行った試聴では音が
    少しだけですが、前回よりナチュラルだった気がしました。
    
     これは未だ定かな事ではありませんが、実は旧型アンプ当時から電磁シールド付きトランス
    を積んだパワーアンプの音には、何某かの癖があるのではないかと言う気が偶にしていました。
    今思えば今日の音に比べて若干ですが、そう言う感じがあった気がするのです。しかしこれは
    誰の耳でも分かるような類の癖ではないのです。色々な場での生演奏会を沢山聴いた人にしか
    分からないものだと思います。しかも1台目のΕ-15HS の音は息子と一緒に聴いて素晴らしい
    と言う結論に至ったのですから、1台目の価値が落ちると言う事では絶対にないのです。
    
     では、CDによって試聴した感想を述べたいと思います。CDと言えばアンプが温まるまでの間
    ベルト・ケンプフェルトの3曲目「センチメンタル・ジャーニー」から8曲目の「キャラバン」
    までを取り敢えず聴きます。アンプが温まるのを待つと同時に我が耳を覚醒させます。大体の
    事を察してから、次のマントバーニで中高域の感じを見ます。今日はEyebicのCDから例の5曲
    を聴きました。どれもこれもマントバーニのストリングスがほぼベストと思える程の滑らかさ
    再生されたのです。何時何処で購入したか全く記憶がありませんが、このディスクを購入して
    置いて本当に良かったと今日改めて思いました。青春時代にこれらのモノ録音をテレビの音声
    として聴いてマントバーニを知ったのですが、その後の1959年にステレオ録音されたこれらの
    5曲が今、ベストな状態で再生されているのです。この演奏、録音も又ジュリーニとは違った
    ジャンルですが、素晴らしい演奏・録音だと思います。やはり同様にこのような指揮者はもう
    現れないだろうと思います。
    
     だから、真にHi-Fi なオーディオ装置が必要なのです。もう生では聴けない演奏家が残した
    録音の正しい再生は、WRアンプにお任せ下さい。疑似的ではありますが過去に演奏されたその
    音場に、装置さえWRで構築して頂ければ労せずしてタイムスリップできるのです。こんな素晴
    らしい事はないと思います。だから、オーディオは止められないのです。  

    1985川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sun Aug 30 23:00:00 JST 2020
    現在、Ε-15HS と平行してフォノアンプWR-αPH/HDを製作中です。
    
     前稿でお知らせしましが、特別限定パワーアンプΕ-15HS は結局、お三方に頒布させて頂く事
    になり、現在お二方目のΕ-15HS を製作中です。基板及び基板・放熱器ユニットは完成し、現在
    デザイン化シャーシ待ちになっています。合間を見ながら、その頃にご注文頂いたフォノアンプ
    WR-αPH/HDを平行して製作中です。
    
     元々、WRの旧型プリ及び新型プリΕC-1HではEQ基板が内蔵出来ましたので、MCをお聴きになり
    たい方には別途ヘッドアンプWR-αMC/RDを用意しておりました。しかし、その後に登場したプリ
    WRP-α9 には当初EQ基板を積むスペースがないと考えた為、EQ基板内蔵のヘッドアンプを新たに
    開発したのでした。それが今製作中のWR-αPH/HDです。しかし、その後の基板の工夫から二階建
    にすればEQ基板が積める事が分かっています。又、WRP-α9 は完全アップグレードをすれば最高
    レベルの音質に昇華させる事も可能で、外観以外の性能はΕC-1Hとほぼ同等になっています。
    
     どちらのプリもその方の好みで、プリに取り敢えずEQ基板を積んでMM型でLPを楽しみ、必要に
    応じてヘッドアンプWR-αMC/RDを導入なさるも良し、一気にフォノアンプWR-αPH/HDを導入して
    最初からMC型でLPをお聴きになるのも又良いと思います。何れにしても、WRのイコライザー及び
    ヘッドアンプの音質は定評があり、LPの溝に刻まれたアナログ情報を可能な限り正確に再生する
    には打って付けの製品だと思います。補償コンデンサーにSEコンを50個近く使いますので、高価
    ではありますがそれだけの事はあると評価されています。項番1866中の26個は誤りです。
    
     少し話が反れますが、今回50個近いSEコンをオーダーして分かった事ですが、20PF〜24PFの間
    がほぼ在庫切れになったようです。次回の注文時にもう一度確認はしますが、もし事実であれば
    在庫切れが解消するのに又3カ月掛るかも知れません。もう少し先を見越して在庫調整して頂け
    ればと思います。さて話を本題に戻してフォノアンプの事ですが、現在4枚の基板が全て完成し
    デザイン化シャーシも届いて、電源部は既に完成しています。本体部は機構部品及び基板が取り
    付けられて、あとは配線のみを残すところです。明日には本体部も完成するでしょう。
    
     4枚の基板の内訳ですが、先ず1枚目は旧型プリの安定化電源基板をそのまま流用しています。
    この基板の半分位は沢山のケミコンで占められています。パイ型フィルターの出口のケミコンと
    その後ろに入れる3種のバイポーラ接続のケミコンが場所を食っています。これに依って出来る
    だけ高周波ノイズの流入を阻止します。事実、容量的には大した量ではないこの3種のケミコン
    を入れるのとそうでないのとでは、明らかな音質の差があります。
    
     2枚目の基板も安定化電源基板ですが、この基板はΕC-1HやWRP-α9 に積んでいるものとほぼ
    同じ作りです。しかし、初めからSEコンを使って作られるところが大きな違いです。安定化電源
    を2段重ねる事に依って、AC電源から混入して来るパルス性の外来ノイズをシャッタウトする事
    が出来ています。昔、1段でやっていた頃に蛍光灯のON/OFF時のショック音が入った事があって、
    それ以来2段重ねる事にしています。又2段目の安定化電源の入力側のインピーダンスが直流域
    からゼロインピーダンスになりますので、低域の安定度が1段の時より改善されるはずです。
    
     3枚目は定評のあるEQ基板です。EQ基板には普通よく用いられるエミッタホロワはなく普通の
    2段差動ですが、EQ素子の負荷にも耐える強力な設計にしてあります。EQ基板には普及型もあり
    ますが、フォノアンプ用のEQ基板にはSEコンが使われています。4枚目の基板はヘッドアンプ部
    です。これも2段差動ですが入力回路の抵抗から発するノイズを抑える為に低インピーダンス化
    する必要があります。そうなると帰還抵抗が2段目の負荷として重くなり痛し痒しですが、その
    バランスを勘案して抵抗値を決定してあります。また、初段TRから発生するノイズを減らす為に
    4パラで初段回路を構成しています。ノイズの改善はそのルートで効くはずですから理論的には
    6dB S/N が向上するはずです。
    
     このフォノアンプを開発した当初のヒアリングで、EQ基板をプリの中に入れてヘッドアンプを
    付加する方法に比べて音質の向上があったと項番1866に書いてあります。ですが私は旧態依然の
    方法で普段は試聴する為、このフォノアンプの本当の実力は分からないと言うのが正直なところ
    です。従来の方法よりも良いと分かっていても、自分のものまで中々手が回らないのが現実です。
    そこでこのフォノアンプの適切なご感想がWR掲示板の項番1904にありますので、是非一度お読み
    頂ければと思います。千葉のK さんと言う、音楽家でありながらオーディオ事情に精通され多く
    のアンプ等をお聴きになって来られたベテランのユーザーの方です。
    
     「WR標準への道  其の四 結結編」と題されたものですが、このフォノアンプに関しましては
    次の第33行目から
    
    ★さて、前回フォノイコライザー導入を書きました。
    ★その後、というかつい最近、このフォノイコのポテンシャルはこんなものではない
    ★と確信しました。
              ・
              ・
              ・
    ★それでも、状態の良いプレスの盤をかける時、やはりアナログの持つ、
    ★スピーカーの外にまで広がる音場、生々しい実存感は何にも代えがたい魅力があります。
    ★そして、このフォノイコライザーはその思いを一層強くしてくれます。
    ★まさに That's WR!です。
    
    の第71行目までを、取り敢えずお読み頂ければと思います。近い内にこのフォノアンプも完成し
    テスト試聴する事になりますが、その暁には現時点での私の耳で聴いたこのフォノアンプの実力
    を報告させて頂く予定です。   

    1984川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sun Aug 23 20:10:00 JST 2020
    ニュータープ15W 型パワーアンプ Ε-15HS1台特別限定販売−−−顛末記
    
     この度は、特別限定販売にご感心を寄せて頂き誠にありがとうございました。今はホッとして
    おります。WRアンプは正価販売が原則ですし、このような企画をする事も滅多にありませんので
    偶にやらせて頂くと慣れないせいか、正直気疲れしてしまいます。人情として売り出した以上は
    なるべく早く売れて欲しいものですが、慣れてないので買う方の心理も分からず手探り状態なの
    です。
    
     WRアンプは基本的には値引き商法をやりません。その代わり原価に対する販売価格はせいぜい
    1.5 倍程度です。儲けが販売目的ではないからです。流通に流す大量生産品は原価の4倍以上で
    販売するそうです。だから値引きが常態化するのでしょう。今回は特別に値引きを致しましたが、
    それはラインナップにないアンプである事、中古トランスを使っているのでその大義名分がある
    事で、私の中で抵抗が無かったからです。ラインナップにあるアンプで値引きをしたら、正価で
    購入された方を裏切る事になります。同じアンプが運が良ければ安く買えると言うのは、決して
    良い事だとは思えません。
    
     でも、このようなイベントも偶には良いかなと思うところがありました。今回の告知は先週の
    日曜日の夜の9時でした。このところの掲示板の投稿ペースは規則正しく行われていましたので、
    一日目にアクセスされる方は多いはずだと予想しておりました。私は日が替わってから就寝する
    夜型人間ですから、取り敢えず深夜にメールチェックして見ましたが音沙汰はありませんでした。
    次の月曜日かなと勝手に予想しました。こう言う事に慣れっこになってませんので、売り出した
    以上、売れるかどうかが気になってしまうのです。
    
     夜型の人間は概して朝が弱いのですが、朝食だけは7時までに終わる習慣になっていますので
    寝てる間にメールが入っているかも知れないと思い直ぐチェックしましたが空振りでした。偶に、
    朝の4、5時にメールを頂く事もあるので少し期待感があったのです。仕方なく何時ものように
    二度寝をして10時頃だったかに又チェックを入れましたが、何もありませんでした。少し時間を
    置こうと思い、コーヒータイムを満喫した4時頃だったかに、またメールを確認して見ましたが、
    やはりそれらしきメールは1通もありませんでした。私は不要なメールはなるべく受け取らない
    ように行き成りメーラーでチェックせずに、マイLinux サーバにログインしてメールが来てるか
    どうかを確認して、画面のリストに必要なメールがある時に限ってメーラーで受信します。次に
    メールのチェックをしたのは夕方の6時を少し回った頃でしたが、結局明るい内には何のメール
    も来ませんでした。
    
     電磁シールド付きの高級EI型トランスを使っている事及び15W と言う新設計のパワーアンプの
    4割引きと言う条件から、商品の魅力は十分にあるし早めに決まるのではないか、と思っていた
    のですが私の予想は少し外れたようです。これは長期戦を覚悟しないといけないかな?と思った
    のです。来ないメールを頻繁にチェックしても神経をすり減らすだけなので、少し間を空けよう
    と考えたのです。今夜は寝る前に確認する程度にして、それまで頭の中を満たしていた Ε-15HS
    の事を一旦忘れて、別の興味の対象に気持ちを切り替えたのでした。
    
     大体、世の中は皮肉に出来ているものですが、最後のチェックから6時間以上の空白の時間帯
    が生じたその間に3通のご応募のメールを頂いていたのです。サーバのメールリストを確認して
    すぐさまご応募のメールである事が分かりました。商用メールとの違いは一目瞭然で分かります。
    これまでに馴染みのあるアドレスが2通、初めて見るアドレスが1通でした。掲示板に早くその
    旨を告知しないと、これ以上増えたら収拾がつかなくなります。返事を書く前に、先ず「商談中」
    とだけ掲示板に書き入れたのでした。
    
     決まり事で、最初のメールの方に第一優先の権利がありますので、その方にはその旨を普通に
    連絡させて頂きましたが、あとのお二方をどうするかが問題です。本来なら最初の方のメールを
    確認した時点で直ぐに告知を出すべきでしたが、それが出来なかったのですから私の方に手落ち
    があります。お二方に「残念でした」と単にメールする事は私にはできません。電磁シールド付
    電源トランスはもう有りませんが、代替品を載せればΕ-15Hは作る事は可能です。放熱器も同じ
    ものを使わなくても全く問題はありません。強いて問題点を上げるなら残留ノイズが10μV まで
    下がるかどうかです。
    
     代替品のトランスとしてはトロイダルトランスが現実的です。トロイダルも決して漏れ磁束が
    多い方ではありません。もう一つの可能性として、同じような電磁シールド付きの電源トランス
    を特注すると言う事も不可能ではないようですが、コストが跳ね上がりますし、特注品が本当に
    本領を発揮して残留ノイズが規定値まで下がるかどうかは分からないのです。それにトランスや
    放熱器等の費用をご応募頂いた方にご負担頂く訳には行きません。超過分はこちらが全て持つと
    言う条件で、お二方に提案させて頂きました。そうしましたらお二方共にその提案を受け入れて
    下さいましたので、この件は上手く解決する事ができました。ご報告と共に改めてご応募頂いた
    方に御礼申し上げます。
    
     既に第一優先の方のところにはΕ-15HS が届いているはずですし、二番目の方のΕ-15Hの方も
    基板製作に入っています。このお方は既に完全アップグレード済みのWRP-α9 をお持ちで今回の
    パワーアンプと組み合わせてお使いになるようです。三番目の方は初めての方ですが、Ε-15Hと
    一緒にWR電源フィルターの納入をも希望され、その上パワーアンプはSEコン化までして欲しいと
    申されています。その後には、WRP-α9 の完全アップグレード版までご購入になりたいと仰って
    います。今回の事が切っ掛けとなりご自分のオーディオシステムを一気に最高レベルのWRアンプ
    システムに為さるお積りのようです。未だこの上のランクがある、と思いながら音楽を聴くのは
    もう止めにしようと決意されたと伺いました。行き成りWRアンプを信用して下さり、本当に有り
    難い事だと感謝しております。
    
     今回のイベントが、結果的に音楽を良い音で楽しみたいと言う新しいユーザーの方との遭遇に
    繋がった事は確かで、偶然トランスを見つけた事が切っ掛けでしたが、この企画を遂行して本当
    に良かったと思っております。正に犬も歩けば棒に当たるです。コロナ禍でなくても、暑い夏は
    オーディオの季節ではありませんが、そろそろ夏も終盤に掛ってきましたので、今からでも準備
    をして、清々しい秋には良い音で良い音楽を聴く用意をされたらと思います。やろうと思っても
    出来ない事ですが、私のうっかりからお三方にアンプを提供できることになりました。世の中と
    言うのはこんなものなのかなと思います。私の直近の仕事は如何に遜色ないΕ-15Hを作るかだと
    思いますので、せいぜい頑張るつもりです。ご協力頂いた方々に改めて感謝申し上げて私の報告
    とさせて頂きたいと思います。  

    1982川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sun Aug 16 21:00:00 JST 2020
    ニュータープ15W 型パワーアンプ Ε-15HS1台特別限定販売について−−−完売御礼
    
     先日、探しものをしていましたら、お目当てのものとは全く関係は無かったものが視界に入り
    ました。昔、マルチをやっていた頃に5台のパワーアンプの内の1台に使っていた電磁シールド
    付きの高級電源トランスです。EIコアを使った縦型の形状です。見てくれから判断すると山水の
    トランスのように見えます。1次側に2本、2次側に3本のリード線が出てるだけのシンプルな
    巻線です。実測すると2次側が30Vx2 である事が分かりました。これで20〜30W くらいのアンプ
    を作って使ったいたはずです。
    
     外側に電磁シールドが施されていると言う事は、常識的には1次と2次の間に静電シールドが
    施され、漏れ磁束を最小にするショートリングが巻線の外側に巻かれているはずです。現在でも
    買えない事はないようですが2万円程度はするはずです。旧型のWRアンプに積んでいたトランス
    がこのタイプでした。漏れ磁束が非常に少ないのでS/N の良いアンプを作るには最適なトランス
    です。現在は、シールドのない安価な小型のEI型トランスかトロイダルトランスの時代になって
    しまって影が薄いですがある意味貴重な存在です。何とかこれを生かして限定1台でも良いから、
    少し新味のあるパワーアンプを作って見たくなりました。WRアンプにはΕ-5H 、Ε-10Hが有って
    その上が30W 型になりますので、その間隙を埋めるアンプとして15W か20W が良いのではと思い
    ましたが、20W 型にするとちょっと大げさになるので15W 型に決定しました。これで電源電圧は
    ±21V に決まったのです。15W なら小じんまりと使いたい方から、少しパワーに余裕が欲しい方
    まで幅広く対応出来そうです。
    
     トランスが中古品なので放熱器も昔使っていたものを流用する事にしました。電磁シールド付
    の構造上、内部にゴミが入ったりはしませんので、未だ巻線も劣化してないはずですし放熱器も
    古くても機能に関係しませんので、中古であるハンデは性能には現れないと思います。機構部品
    や基板類には全て新品を使って作る事にしました。トランスと放熱器の大きさからシャーシには
    リードのMK-300を選びました。少し控え目に作りたかったので、横幅は300mm が限界と考えたの
    でした。これは結果論ですが全ての部品を取り付けて完成したアンプはドンピシャ、誂えたよう
    上手く納まったのです。長年の勘ですが、自分でも良いものが出来たと思いました。シャーシの
    デザインは息子に依頼しましたが、その際にアンプ名称を告げる必要がありましたので Ε-15HS
    と咄嗟に命名したのです。このSはスペシャルの意味です。
    
     急遽15W 型アンプの設計に入りました。設計と言っても5W、10W 、30W 型アンプの数値は既に
    決まってますのでその間を埋めるだけですが、昔やった計算法を思い出すのに結構時間を要して
    しまいました。結果的に4箇所の抵抗値を新しく定めたのです。Ε-10Hの値のまま電圧だけ高く
    するような杜撰な方法は取っておりませんのでご安心下さい。これで準コン基板を使った 15W型
    のアンプが出来るはずです。現今は息子に基板類を作って貰っていますので、早速必要な部品を
    取りに来て貰いました。私は放熱器にパワーTRを付けて基板と結ぶリード線などを用意しました。
    パワーTRに何を使うか考えるのが楽しいのですが、今回は今は貴重なTO-3型と言うメタルキャン
    タイプのパワーTRを使う事にしました。現在はモールドタイプのものが殆どのはずです。WRには
    まだまだ多くのメタルキャンタイプのパワーTRがありますので、保守も当面問題ありません。
    
     そうこうしてる間にシャーシのデザイン画が出来て、何回かやり取りして最終的にデザインを
    決め、届いたMK-300を渡してシャーシ加工を息子に依頼しました。暫くして前面、後面に穴あけ
    されたデザインシャーシと、抵抗類を取り付けて一応チェック済の基板類が共に届けられました。
    届いた基板類を私がもう一度計測して問題が有れば修正し、直ぐアンプに組み込める状態にまで
    確実化します。結果的に準コン基板2枚、安定化電源基板1枚、リレー基板1枚の計4枚の基板
    が揃いました。アンプ基板2枚と安定化電源基板は放熱器と抱き合わせて放熱器ユニットを構成
    させます。此処まで来るとやれやれです。あとはシャーシ上面にトランス、ケミコン、整流器を
    ブリッジに組み上げた端子板及び完成してる放熱器ユニットの配置をレイアウトします。適当に
    穴をあける位置を決めて電気ドリルで実際に穴あけを行います。穴が空いたらそれらの部品類を
    取り付けます。不都合なく取り付けられれば、配線に入ります。
    
     最近は余り言及してませんでしたが、過渡ひずみ感のない線材を適材適所に使い分けて配線を
    して行きます。今回も計3種のケーブルを使用しました。AC電源から始まり整流器、ケミコン等
    の直流配線を行い、安定化電源とリレー基板が動作するところまでで一旦動作チェックをします。
    安定化電源の出口に±21V が出ている事、リレーが動作しその証の電源パイロットのLED が点灯
    する事等を確認します。そこまでの配線が済んだら、安定化電源の出口から左右のアンプ基板の
    電源端子を結び、また出力端子、リレー基板、スピーカー端子の間をコネクタを使って接続して
    行きます。コネクタを使うのは保守サービスをスムーズに行えるようにする為です。此処でもう
    一度動作チェックを行います。電源を入れると、もう最終的な動作局面になりますので、アンプ
    基板が直流的に正しく動作してるか、スピーカー端子のドリフト電圧を測ります。準コン基板の
    場合は最大でも5mV 以下になります。此処に異常な電圧が出ている場合は、リレーがOFF になり
    ますが、予備チェックを行っていますので普通、問題は起きません。
    
     これで骨格は出来た事になりますので、最後にパスコン類を付けて行きます。今回は最初から
    高級部品化をしますので、Vishayコン、ASC コン、ERO コン等の高級パーツを決められた箇所に
    付けて行きます。所定のパスコン類が全て取り付けられれば取り敢えずは完成です。次に測定に
    移ります。一番大切な測定項目は残留ノイズです。WRアンプの仕様では15μV (DIN-AUDIO)です
    が、ハムノイズも然る事乍らこの値が異常に大きい場合はアンプ基板の発振が疑われるからです。
    しかし、今回は前代未聞の値10μV と言う数値を示したのです。これまでの最低値は13μV です
    からさらに3dB 程低い事になります。最初は何かの測定ミスかと思ったのですが、増幅も普通に
    出来ていますので問題ありません。やはり、使用したトランスの漏れ磁束が極端に少なかった事
    が好結果に繋がったようです。無調整、手直し無しで此処まで来てしまいました。私の計算値も
    正しかったようです。この準コン基板は普通の2段差動とは違ってアクティブ負荷が使われてる
    為なのか、これまでに結構不安定な動作をして困った事があります。その後の色々な対応が生き
    てるのでしょう。やはりこの辺りの確実性はWRアンプ完成の証と言えるのかもしれません。
    
     こうなると音を聴いて見たくなります。アンプ作りの醍醐味はこうして出来上がったアンプの
    音を聴く瞬間にあります。音が良ければ直嬉しくなります。聴いた瞬間に静かな音だと言う気が
    しました。これは先入観ではなくちょっとこれまでのアンプではお目に掛った事のない音の感じ
    です。強いて言えばSEコン化したアンプと少々似た雰囲気を感じました。勿論、ひずみ感は極小
    に追い込まれていて音に透明感があります。ベルト・ケンプフェルト、マントバーニ等のテスト
    CDでも問題点は全くなく、モーツァルトの「パリ」もこれまでで一番聴き易かったくらいですし、
    ベト7のウィーンフィルらしさも十分です。残留ノイズが少ないと言う事は高周波雑音の成分も
    少ないはずで、それだけノイズの影響を受け難いと言う事なのだと思います。ひずみ感が少なく
    感じるのはその為だと思います。「WR標準」の場合に感じる雑味が余り無いようにも聴こえます。
    まあ素晴らしいアンプが誕生したものです。このトランスと同じものは入手困難ですから名実共
    にオンリーワンのアンプと言えると思います。
    
     このアンプの外観を写真に納めて置きたいと思って、もう一度息子を煩わせて撮影をして貰い
    ました。その写真をトピックス欄に掲載して置きましたので興味のある方はご参照下さい。撮影
    が終わって良い機会だと思って、色々尽力してくれた息子にも試聴して貰いました。先ず、私も
    滅多に聴かないイタリア弦楽四重奏団の演奏するベートーベンのラズモフスキー第1番を掛けて
    見ました。これは1970年代初頭のフィリップスの最も好調な頃の録音で、この手のものの中では
    一番音が良いと思われるCDです。私もサイドで一緒に聴きましたが、音の実質的な指向性が良い
    せいか傍で聴いてても凄く良いプレゼンスで鳴ってる事が分かります。ひずみ感はゼロでffでも
    ストバイは伸び切り、ビオラ、チェロの動きがハッキリ掴めます。「開口一番、室内楽に向いて
    るね」と言いましたが私も前日に聴いていて実際そう思ったのです。それではと言う事で何時も
    聴くベト7を掛けて見ました。ウィーンフィルの感じが出てると言って重量級のソースも熟せる
    と思ったようです。引き続き昔一緒に聴いてアンプの良し悪しを判断していたアバド/シカゴ響
    のマラ7「夜の歌」を掛けて見ました。
    
     初っ端に出て来るユーホニウムの音を聴いて思わず「おーっ」とちょっとした歓声を漏らした
    のです。この音の再生は難しく、中低域の音が締まってないと実在感が出ないのですが、見事に
    再現されていたのです。その直後だったと思いますが「今、コントラファゴットの音が聴こえた」
    とちょっと感動気味に言ったのです。昔はひずみ感のせいだと思いますが、影に隠れて聴こえな
    かったのだと思います。その後のオケの全奏でも音が濁る事無く、天才マーラーが使った個々の
    楽器の音が鮮烈に浮かび上がったのです。自らリモコンを操作して、聴きたいところを広い聴き
    して各部で音の進歩を確認していました。聴き終わった時に丁度机の上にはテラークが録音した
    「 BIG BAND HIT PAREDE」と言うCDが乗っておりました。カンゼル/シンシナティーポップスと
    有名なジャズメン達が共演した珍しい演奏で、昔、息子が買ったものですが意外に再生が難しく、
    テストCDの1枚として私が使っていました。実は最近このCDも十分楽しめるようになっていたの
    です。低音楽器の割には中高域の音が強調されて聴こえるので耳が疲れて最後まで聴き通せない
    のでした。エディ・ダニエルスと言うクラリネット奏者の吹き方や音の作りが中高域を強調する
    し、トランペットのドク・セベリンセンも鋭い音を発するのです。その一方でレイ・ブラウンの
    ベースは音響的に強調する事なくマイクで拾ってるので、遠くでベースの音がするくらいにしか
    入っていないのです。
    
     ですからクラリネットやトランペットのソロだけ聴いてもそれなりにリアルに聴こえる必要が
    あるのです。最初の方から順に聴き始めましたがバランスの取れた音なのでクラリネットが出て
    来ても煩いと感じない音になっていました。息子も納得したのかこの曲はどうかあの曲はどうだ
    とちょい聴きでしたが、曲順に従って山場を聴いて行きました。結局16曲目の最後に収録されて
    いる「聖者が街にやってくる」まで来てしまいました。この演奏は各プレーヤーの見せ場があり
    デーブ・ブルーベックの長いピアノソロやジェリー・マリガンの豊かなバリトンサックスなどが
    交代でソロ演奏を続けて行く様は圧巻です。残念ながら、佳境に入った頃に夕飯の支度が出来て
    しまい、後ろ髪を引かれながらCDを中断したのでした。もう15W 出力のパワーアンプとして完全
    に合格の音質レベルでした。勿論、「WR標準」の認定ですが、プラスαの実力を有している事が
    証された気がします。この音質がカットアンドトライなしに、計算値の一発で実現出来てる所に
    WRアンプの完成度の高さが表れていると思います。科学に必須な再現性がなければ出来ない事だ
    と思います。尚、プリにはSEコン化された我がΕC-1Hを使用しましたが、このパワーアンプもSE
    コン化すれば未だ伸びしろがあります。尚、このパワーアンプはVR付きですから、プリをお持ち
    でない場合は、当面プリメイン方式でソースの再生が可能です。
    
     手放したくない出来ですが、WRアンプはやはり他の方に聴いて頂く事が大事だと思いますので
    以下の要領で1台限定品として頒布させて頂きたいと思います。価格が問題になりますが、もし
    全て新品であれば、出力と使用パワートランスから10万円は下らないと思います。仮に\108,000
    として見ますと、高級部品化を施していますので\125,000と言う正価になります。Ε-5H の高級
    部品化が\71,000 で、Ε-10Hの高級部品化が\101,000です。高級トランスを積んでいる事を考慮
    すれば寧ろ安い価格設定ではないかと思います。然しながら中古のトランスと放熱器を使用して
    いる事と特別限定1台と言う事で、4割引きの\75,000 で提供させて頂こうと思います。以下に
    重要な仕様などを記して置きます。
    
     ★ ハイブリッド方式・コンプリメンタリ・コレクタホロワ型パワーアンプ限定1台
    
     ★ 出力:15W
    
     ★ ゲイン:12dB
    
     ★ 残量ノイズ:10μV(DIN-AUDIO)
    
     ★ 入力にVR有り
    
     ★ 付属品:WR推奨電源ケーブル
    
     ★ 概略サイズ:300(W)X 160(D)X 160(H)・・・突起物含まず
    
     ★ 外観写真:当HPのトピックス欄参照
    
     ★ 納期:即納
    
     ★ 価格:\75,000
    
     ★ お支払い:銀行口座振り込み確認後に発送
    
     ご希望の方はメールにてご連絡をお願いします。お問い合わせ及びお申し込みは
    
     ★ メールアドレス:kawanisi@west.wramp.jp 又は westriver_audio@yahoo.co.jp
    
    までお願いします。先着優先となります。
    
     以上、よろしくお願い申し上げます。  

    1981川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sun Aug 9 22:30:00 JST 2020
    「WR標準」に達したΕC-1H及びWRP-α120 のVishay化とSEコン化をさせて頂きました。
    
     この方は4年程前にWBC は付いてたと思いますが標準型に近いΕC-1HとΕ-50Hをご購入になり、
    その後にアップグレードを重ねられ、ΕC-1Hは昨年末に実施された完全アップグレードに依って
    「WR標準」まで高音質化されました。しかし、思うところが有ったのか、ΕC-1Hに組み合わせる
    パワーアンプとして、新しくWRP-α120 を導入されたのです。WRP-α120 は最初から「WR標準」
    の高音質ですから、結局、昨年の末から「WR標準」のプリとパワーアンプの組み合わせで音楽を
    お楽しみになって来られた事になります。そして意識するしないに関わらず、アンプの音質にも
    当然の事ながらお考えが及んだと思われます。
    
     音質評価にはリスナーの聴感が大きく影響して来ます。つまり物理的に同じ音質の音でも聴く
    人に依って感じ方は異なり違った評価にもなり得ます。ある意味当然の話なのですが、これまで
    のオーディオでは聴感の問題は殆ど取り上げられなかったと思います。言い換えれば一律に聴く
    人の聴感を想定していた事になります。しかし、私はWRアンプの音質をアップグレードを重ねる
    事に依って段階的に引き上げて来た過程で、どうしても聴感の問題を避けて通る事は出来ないと
    考えたのです。それは自身の定期演奏会に通った12年の経験から引き出されたと言っても良いと
    思います。つまり殆ど未経験の人と12年もオケの音を聴き続けた人では、同じオケの音を聴いて
    も、聴き取れる音楽の情報量には相当の差が生じると言う事なのです。同じ事がアンプの音にも
    言えると思います。アンプの音質はエージングで多少変わったとしても、基本的には殆ど変わり
    ませんが、リスナーの聴感が研ぎ澄まされて来ますと良い意味でも悪い意味でも、今まで聴こえ
    なかった音が聴こえて来るのです。
    
     悪い意味で言えば「WR標準」の音には嫌な音までは行かないのですが、若干雑味のような音が
    含まれている事に気付いて来ます。最初の頃は全く識別出来ないで居ますが、耳が慣れて来ます
    とその雑味が分かって来ます。その人の過去の経験から、本物の楽器の音を知っていたといれば、
    それは確信に変わって来ます。雑味の原因の殆どはやはりセラミックコンデンサーです。SEコン
    と言う理想のコンデンサーから見ればやはり不完全なところがあるのでしょう。誘電体の直線性
    や損失、又等価的に入る等価インダクタンス等に違いがあって、帰還アンプの動作に少なからず
    影響を与えると考えられます。しかし価格から考えれば仕方がありません。セラミックなら1個
    当たり数10円で済むところ、SEコンは1個当たり2,000 円弱もします。上述したユーザーの方は
    半年以上も「WR標準」のままでお聴きになっていますので、その雑味の無いクリアな音で音楽を
    聴いて見たくなったのだと思います。
    
     それにしてもプリとパワーアンプを一気にSEコン化すれば18万円掛る事になり、やはりかなり
    勇気が要ると思います。同じ音質向上でも最後の詰めにはそれ相応のコストが必要だと言う事だ
    と思います。念の為にもう一度言及しますが、SEコンには2つの顔があるように思います。一つ
    は旧型のWRアンプも含まれますが、オーディオ好きが好むような、煌めくような華美な音になる
    場合と、今回のSEコン化のように一見大人しい音になる場合です。前者は帰還の不安定なアンプ
    に使った場合で、後者は十分安定性が確保されたアンプの場合です。後者の場合は単に大人しい
    だけではなく、楽器本来の音が見えて来て非常に自然な音になります。ですから、楽器本来の音
    を知らないとかそんなものは求めてないと言う人には無縁の話であり、SEコン化したら逆に物足
    りなくなったとか言い出し兼ねないと思います。勿論上述したユーザーの方は雑味の無い自然な
    楽器の音を求められたのだと思います。
    
     先ず最初にΕC-1Hが送られて来ました。プリの場合はSEコンが44個必要になります。α120 は
    32個必要ですので合計で76個を一気に注文しました。軽く10万円を越す金額です。普通は完成後
    に後払いでお振込みを頂いていますが、もし注文後にキャンセルにでもなったら負担が重く圧し
    掛かりますので、SEコン化だけは先払いでお願いしています。どうぞご理解頂きたくお願い致し
    ます。さて44個を一気にやるのは現在の体力・気力からして無謀なので、着いた日に半分くらい
    やって残りを次の日に余裕を持ってやる事にしています。無理をすると結局ミスを犯し逆に遠回
    りする事になってしまうからです。今回は特に問題も起きずに交換作業を終える事が出来ました。
    WRアンプは再現性が担保されていますので、聴かなくても出て来る音は分かっていますが、一応
    試聴して見ました。
    
     最近よくテストCDに使っているベルト・ケンプフェルトやマントバーニのCDを、次から次へと
    掛けて見ましたが、我がΕC-1Hよりも大人しいと言うか雑味が少ないと言うか、全く問題のある
    音がしません。寧ろ、一見物足りないと思われる音ですが、マントバーニのここぞって言う音は
    十分迫力に富んで聴こえましたので、流石はSEコンだと感じ入りました。例の凄いストリングス
    でも余裕が感じられる程でした。昔から我がΕC-1Hは同レベルにアップグレードされたユーザー
    のΕC-1Hに比べてほんの少し派手に聴こえるようです。仕様は同じでも使用されてる個々の部品
    は製作年に依って微妙に変わって来ますので、この程度の音の違いは仕方のないところでしょう。
    試聴結果に納得が行きましたので、次の日の夕方に返送の手続きをさせて頂きました。
    
     プリは着いているはずですがウィークデーだったせいもあってか暫くの間音沙汰がありません
    でした。ひずみ感が一聴しただけで分かるアップグレードと違って、SEコン化は直ぐには良さが
    お分かり頂けないかも知れないと予め思っていましたので、特別に心配はしておりませんでした。
    3日ばかり経った夕方に下記のようなレポートを頂戴しました。
    
    ★プリアンプを無事受け取り、動作の確認もできたことをご報告させていただきます。
    
    ★まだCDを7枚ほどしか聴いていませんが、
    ★一聴して素晴らしい音質に仕上がっていることを確認しました。
    ★今までよりどこがどうというわけではないのですが、
    ★感銘度高く音楽を楽しむことができるように思います。
    
    ★音を大きくしてもうるさく感じられないようにも思いました。
    ★グレードアップの楽しみを設けてくださっている川西様に感謝いたします。
    
    ★もうずいぶん高みに上ったような感覚がしております。
    
    と言う内容のご感想でした。「どこがどうというわけではない」けれで音が良くなったとお感じ
    になられたようで、やはりSEコン化の特徴を表しているように思います。その結果、感銘度高く
    音楽を楽しむ事が出来るようになるのが、SEコン化の特長なのです。音を大きくしても煩くない、
    と言うのも二次的効果です。私を信用して下さり、勇気をもって高価な投資をされたユーザーの
    方に私の方こそ感謝しなければならないところ、ユーザーの方に感謝されて本当に有り難い事だ
    と改めて謝意を表する次第です。最後に自ら高みに上ったと仰る程に音質が向上したとお感じに
    なっています。確かに、未だ完璧ではないにしてもプリがSEコン化されますと、パワーアンプが
    「WR標準」でもかなり楽器の音がリアルになります。此処で言う「リアル」とはあくまで楽器の
    音が自然に聴こえると言う意味で、これ見よがしに鳴ると言う事ではありません。しかし、未だ
    ピアノのタッチが多少曇ったりする感じになります。
    
     このご感想文を頂いた2日後だったと思いますが、今度はパワーアンプWRP-α120 の方が送付
    されて参りました。当然Vishay化は未実施ですがこちらは最初から高級部品化は行われています
    ので、納入時から「WR標準」です。2ステップ目のSEコン化で、新αシリーズのパワーアンプは
    理想状態になります。プリより交換個数は少ないのですが、パワーアンプ特にα120 は高電圧で
    動作しますから、一歩間違えれば大きな事故に繋がり兼ねませんので、細心の注意をもって事に
    当たる必要があります。今回は特に問題なく無事に終了する事が出来ました。早速、試聴に入り
    ました。例に依ってベルト・ケンプフェルトから聴き始めましたが、少し滑らかかなと言う程度
    で特に優れているとは感じませんでした。次にマントバーニを聴いて、やはり音にゆとりが有り
    ストリングのffも安心して聴いて居られる事を思い知らされました。我が110W機よりワンランク
    上の音ではないかとも思いました。伊達に高出力である訳ではないようで、直線部分が広いので
    その一部を利用するにしても余裕度が違うのだと思います。それがアナログ固有の特質なのです。
    全てに品格のある音がするのです。
    
     マントバーニは何時もの5曲を聴きましたが「グリンスリーブス」のソロ楽器であるフルート
    の音がこれまでで一番良かったと思いました。この5曲に於けるマントバーニの演奏はソロ楽器
    を含めて文句の付けようが無い程、理想的に演奏されています。ソロ楽器の中でフルートの音が
    これまで余り映えない気がしていたのですが、フルートの柔らか味が良く分かる音に聴こえたの
    です。そもそも実演でも派手な音を出す奏者は居ても、柔らか味が出せる人は少ない気がします。
    5曲を聴き終わって急に、リヒターが演奏するヘンデルのオルガン協奏曲を無性に聴いて見たく
    なりました。私のお気に入りは作品7の3と4ですが、第9番、第10番と呼ばれる事もあります。
    モツレクと同じテレフンケン録音ですが、当時はミュンヘン・バッハ管弦楽団とは言わずに彼の
    室内オーケストラ(sein Kammerorchester)でした。このLPがキングから発売された当初何故か
    ロンドンレーベルで発売されたのでした。ホーンを中心にマルチをやられていたI先輩のお宅に
    伺うと必ず聴かされたものです。当時の月給では私には買えなかったのです。ところで、このCD
    (4509 97900-2)は1959年頃の録音ですが、マントバーニの録音と1年程度の差しか無かったの
    です。ヘンデルは弦の切れ味が物を言いますが、今聴くと誠に見事にストバイの音が録られてる
    事が分かります。マントバーニにしろリヒターにしろ、この見事な録音に目を見張るばかりです。
    今の時代このような音に録れる会社もエンジニアも皆無に近いのではないかと思います。もっと
    言えば、このレベルで演奏できる団体も存在しないかも知れません。これらを越える録音はもう
    現れないと言っても過言ではないでしょう。だから高音質で再生できるオーディオアンプが必須
    になるのです。
    
     最後にベーシーのピアノタッチが実演らしいかどうか確認しましたが、其処でピアノを弾いて
    いる感じが良く分かる音でした。これだけ確認すればもう十分だと思いましたのでアンプの返送
    手続に入りました。これで先に納入したΕC-1Hと組み合わせて聴いて貰えれば、最高の音で音楽
    をお楽しみ頂けると思います。もし未だ問題のある音がするとすれば、それは三種の神器を含む
    使用環境に何らかの問題が残っている事になります。そこまで完璧にして頂ければ、誰でも何処
    でもこの音質レベル(言って見れば「WR標準+」)で音楽が楽しむ事が出来ますし、そうなる事
    を私が保証します。 
    
    
    追伸)
    
     ご本人様から感想文を頂きましたので、掲載させて頂きます。
    
    ★パワーアンプのSEコン化の感想について、ご報告させていただきたいと思います。
    ★全体として素晴らしい音質と言えると思います。
    ★プリアンプのSEコン化の時の音の変化の延長線上にある音の変化で、
    ★感想は似たものになります。
     確かに、私もSEコン化の効果がプリとパワーアンプとどちらがよりあるのか、何時も気になる
    のですが、結局、同程度に効果があるのではないかと思ってしまいます。
    
    ★ですが、何を聴いても押しなべて素晴らしく聴こえるのはさすがだと思います。
    ★クラシックについては、リアルであるということが、まったく障害にならずに、
    ★良いことずくめのような気がしました。
     これも同感ですが、これまでオーディオで使って来た「リアル」と言う表現が意味するところ
    と若干違うリアルさなのだと思います。リアルだって強調するような音では決してなくあくまで
    楽器の音が自然な感じに聴こえるだけなのです。でも、それが難しいのです。
    
    ★ピアノの音がリアルなのも特筆ものかと思います。
     結局、ピアノ再生が一番難しいのではないかと思います。どうしてもタッチが甘くなり粒立ち
    が悪くなります。かと言って中高域が張ってギラギラするようなタッチは良いようで不自然です。
    これも普通にピアノが其処で鳴ってるように聴こえる事が大切なのです。
    
    ★今回はプリアンプ及びパワーアンプのグレードアップで大変お世話になりました。
    ★心よりお礼を述べたいと思います。
    ★ありがとうございました。
     感謝するのはこちらの方ですが、でも素直に解釈させて頂ければ、Vishay化と併せて19万円の
    出費にも拘わらず感謝頂いたのは、それなりに音質アップに繋がった証拠ではないかと自己満足
    しております。こちらこそ、ありがとうございました。改めて謝意を表します。 

    1980川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sun Aug 2 22:00:00 JST 2020
    引き続きオーディオ店のリクエストに応えさせて頂きました。−−−SEコンの威力?
    
     前項でWRP-αZERO/STUDIO の完全アップグレードの顛末を報告しましたが、引き続き旧型プリ
    WRC-α1MK2/FBAL の完全アップグレードを遂行させて頂きました。STUDIOが納入されたその日に
    
    ★本日無事受け取りました。
    ★音が以前よりも生き生きとして、深みも増し
    ★とても良くなったと思います。
    ★感謝申し上げます。
    
    と言うご報告のメールを頂きました。そして、その最後の方に
    
    ★別件ですが、今当店にWRC-α1MK2プリアンプ中古品があるのですが
    ★特に不具合はないのですが、もしよろしければ今回同様
    ★改善点などがあるかどうかも含めて、点検をお願いできますか。
    ★よろしければ、お送りします。
    
    と認められておりましたので、早速送って頂いて点検チェックを行い、以下の提案をさせて頂き
    ました。
    
    全体:
    
     1)線材交換 → 1 万円
    
     2)Vishay化 → 0.5 万円
    
    
    安定化電源部:
    
     1)コレクタホロワ化 → 1 万円
    
     2)高電圧化(±15V→18V)
    
     3)高帰還化
    
     4)ドライバーを高ftTRへ交換
    
     5)制御パワーTRのハイブリッド化
    
    2)〜5)込み → 1.5 万円
    
    
    アンプ部(ラインアンプ基板→ホット、コールド計2枚):
    
     1)2段差動化
    
     2)WBC搭載
    
    1)〜2)込み → 1 万円 X 2
    
     折り返し直ぐ、次のようなご依頼のメールを頂戴しました。
    
    ★早速お見積りをくださりありがとうございます。
    ★承知しましたので、アップグレードをお願いいたします。
    
    と言う事で早速作業に取り掛かりました。結果的にパワーアンプより作業が細かく、作業時間も
    少し多く掛った気がします。旧型プリは鉄シャーシで重く、ご丁寧にシャーシの裏に重い鉄板が
    振動吸収材を介して張り合わされていましたので、歳のせいか作業には堪えるものがありました。
    それでも無事に終えることが出来、早速、我が110W機に繋いで試聴を行いました。それにしても
    多分ですが完全アップグレードされたWRアンプの音を店主の方は初めてお聴きになったはずです。
    大した音ではないと思われたのであれば、プリまで完全アップグレードを為さる気にはならない
    はずだ、と自分に言い聞かせながら作業を行いました。
    
     最近の試聴は先ずベルト・ケンプフェルトから聴き始めます。これが楽しく聴けないようでは
    そもそも落第です。ある意味当然ですが、何時も聴いている我がプリΕC-1Hとはほんの僅か趣が
    違いました。やはり鉄シャーシの影響でしょうか、STUDIOで感じた音と共通性があるように思い
    ました。音が明快であるにも拘わらず、非常に細かな音は丸められて、ある種の聴き易さが出る
    のではないかと思います。音が良い意味で纏まってるのです。しかし一方で、音の自然さに若干
    欠けるところがある気がするのです。少しだけオーディオ的な音なのかも知れません。雑味感が
    少なく耳当たりの良い音がするのは旧型プリが2、3の例外を除いてSEコン化が済んでいるから
    でしょう。しかし、SEコンを使ったアンプに有り勝ちな華美な音ではありません。雑味感もなく、
    SEコン本来の自然な楽器らしい音になっています。初期のWRアンプもそうでしたがSEコンで華美
    な音になるのは、アンプに不安定性が残っている証拠です。
    
     ベルト・ケンプフェルトは無事に通過したものの、マントバーニは難しいのではないかと若干
    危惧したのですが、これが意外にも簡単にクリア出来てしまったのです。微細な音が丸められて
    粗が目立ち難くなったのだと思います。それがナチュラルな音かと言えば、多少人工的な匂いが
    しないでもないのです。だからオーディオ的な音だと申し上げたのです。しかし普通の方が何の
    比較もなしに聴いたら、何も問題がない音に聴こえると思います。私自身こう言う音も有りか?
    なんて思って聴いていたのですから。そう言う訳で例の5曲は簡単に?パスしてしまったのです。
    この調子で行けば例の「パリ」も聴き易いのではないかと急に思って、聴く気になりました。
    
     やはり、予想通りにモーツァルトのストリングスも変な刺激感がなく楽しめたのです。あとは
    カウントベーシーのピアノタッチがどうかです。これまでの経験では、プリとパワーアンプ共に
    SEコン化されている時のみ、ピアノ線とハンマーの間に何も挟まってないような、ストレートな
    音が聴こえて其処でピアノが鳴っていると言う感じに聴こえるのです。結果は半ば分かっている
    はずですが、やはり本当にその音が出るのかと言う不安感はありました。しかし、それは無駄な
    心配でした。籠る事なくちゃんとした音に聴こえたのです。このように理詰めの予想が当たる事
    は、やはりこのオーディオ技術の完成度の高さを示していると思います。
    
     これでほぼ試聴は済んだようなものでしたが、このプリにはSEコン版のEQ基板が載っています。
    LPの音も聴く必要があると思いました。久し振りにこのプリのPHONO 端子に、我がヘッドアンプ
    を経由したRCA ケーブルを接続してハワイアンを聴いて見ました。最近はかなり気温も上昇して
    季節は夏です。若い頃ダンパーで踊ったハワイアンを聴きたくなったのです。と言っても例外的
    にしかLPを持っていません。昔新宿の古レコード屋さんで900 円で買った1枚です。フォンタナ
    盤でザ・サウス・シー・メロディアンズが演奏する「珊瑚礁の彼方に」〜ハワイアン・ベスト14
    と言うタイトルです。ハワイアンの有名どころが収録されていますが「南国の夜」が入ってない
    のが残念なところです。このLPは意外に再生が難しくこれまで満足感をもって聴き通す事が出来
    たと言う記憶がありません。スチールギターの中高音が出過ぎて聴こえる一方で、低音楽器の音
    が余り聴こえずバランスの悪い音だったからだと思います。
    
     カートリッジはFRのMC-201と言う純粋MC型で輸出仕様です。国内で発売されたPMC-1 や PMC-3
    の兄弟に当たります。MCが下火になった時によく行っていた秋葉原の小さなお店に何故か置いて
    あったのです。1個2万円程度だったと思いますが、MCが無くなるかも知れないと思って、行く
    度に1つ2つ買っていました。結局、MCは無くなりませんでしたが、お陰で良いカートリッジを
    一生分購入できたのです。f特がフラットに近いせいか音の傾向は、比較的大人しくて聴き易い
    のが特長です。果たしてどんな音で鳴るのか興味津々でした。確かに、上述したようなバランス
    の余り良くない音ですが、特にはひずみ感はありませんのでこれなら聴けるかも知れないと思い
    ました。この演奏は多彩で女性、男性ボーカルの他にハミングコーラスや裏声、打楽器など曲に
    応じて色々工夫されています。1、2曲聴いて耳も慣れて来たのか、何時の間にか楽しく聴いて
    いました。確かに低音楽器の音は目立ちませんが、WBC のお陰も有ってか特にバランスの悪さは
    気になりません。A面の7曲聴いてさらにB面まで到頭全曲を聴き通してしまいました。このLP
    では初めての経験です。ハワイアンには色々な名曲がありますが、大体は最後に収録されている
    「アロハ・オエ」はじっくり聴くに相応しい曲だと思います。これを聴くとハワイアンを聴いた
    なと実感します。このLPの音の充実感からして、他のLPを聴く必要はないと判断しました。
    
     この事で、WRのSEコン仕様EQ基板がユーザーの方から高評価を頂いているだけの事はある、と
    今更ながら思うと同時に、このプリ自体の完全アップグレードが上手く行った証でもあると言う
    気がしました。LPの試聴で今一つ思うような音で再生出来ないでいらっしゃる方は、どうかWRの
    SEコン仕様EQ基板の搭載か、出来ればヘッドアンプ一体型のフォノアンプのご使用をお勧め致し
    ます。きっとLPの音が蘇ると思います。また新旧を問わず、お持ちのWRアンプを聴き込んだ結果、
    音質に物足りなさをお感じになりました節は、是非、アンプのアップグレードをお勧め致します。
    これまでに失敗例は皆無で必ずご満足頂ける音質になる事をお約束します。ただし、この場合の
    高音質とは、あくまで生楽器やライブの感覚が自宅の装置でそれらしく楽しめるようになる事を
    意味します。そもそもそれがWRアンプの研究・開発の意義なのです。ご賛同頂ける方はWRアンプ
    の試聴から始めて見ませんか? 簡単な試聴機セットをケーブル込みでお貸出し致します。
    
    
     * * * ご報告! * * *
    
     昨日の午前着でこのプリを納入させて頂いたのですが、夕方にはSTUDIOと組み合わせた場合の
    私に取っては大変嬉しい試聴レポートが送られてきましたので、ご紹介させて頂きます。
    
    ★★先日アップグレードしてくださったパワーアンプと組み合わせ聴きました。
    ★★いつも聴いているCD(ライブ盤など)を聴いてみました。
    
    ★★今までおそらく聞こえていなかった?感じられなかった?音が
    ★★聴こえてきて、臨場感がものすごく感じられ
    ★★とくに観客の拍手の音が、今までは作られたような
    ★★薄っぺらな音に感じていたのですが、生身の人間の手から
    ★★発せられるリアルな音になっていて驚きました。
    
    ★★また、低域についても、以前は少し物足りない感じを受けていたのですが
    ★★アップグレードによって、とても自然で良い低域になったと思います。
    
    ★★このたびこのような機会に恵まれ、川西様とのお付き合いができたことを
    ★★とても嬉しく、とても感謝しております。
    ★★アップグレードしてくださったウエストリバーアンプの音を聴いて
    ★★とても感動をしました。
    
     オーディオ店の店主の方ですから、国内外の著名なアンプの音は大体はご存じのはずだと思い
    ますが、そのお方に新鮮な感覚を覚えるような「音」を提供でき且つ感動して頂けた事は、私に
    取っても大変有難い有意義な体験になりました。これまでにもライブ音楽を感動を持って聴いて
    頂けたユーザーの方が多くいらっしゃいます。もう、これは偶然の領域を越えていると申しても
    良く、再現性が担保されたWRの技術は完成したと申しても間違いないと思います。あとはお一人
    でも多くの、こう言う音で音楽を聴きたくても聴けない方に早くWRアンプの存在に気付いて頂き、
    お仲間になって頂けるようにプロモートに励みたいと思っております。そう言う方がもし身近に
    居られましたら、WRアンプの存在だけでも結構ですから、ちょっとお声を掛けて頂ければと思い
    ます。

    1979川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sun Jul 26 17:00:00 JST 2020
    WRP-αZERO/STUDIO の完全アップグレードを行いました。−−−「WR標準」への道
    
     あるオーディオ店からWRP-αZERO/STUDIO を引き取ったのですが、どうもゲインは低いし音も
    冴えない気がするので一度点検・チェックをお願いします、と依頼されました。αシリーズの中
    でこの機種は一番最後のモデルです。この後旧型アンプは最後のモデルであるΔシリーズになり
    ます。STUDIOの特徴は旧型アンプに使って来たSEコンを止めて、セラミックにしてソリッド感を
    出そうとしたものです。当時、確かにSEコンは耳当たりの良い音でしたが、少し柔な感じがあり、
    一時的でしたがSEコンを敢えて避けようとしたのだと思います。当該の店主にはSUTDIOらしさが
    後退して聴こえたのかも知れません。
    
     早速送って頂いて中を拝見してびっくりしました。非常に限定的ではあったのですが、なんと
    コレクタホロワ化が為されていたのでした。唯、それだけでその後の各種アップグレードが全て
    抜け落ちています。これでは中途半端な音になるはずですし、コレクタホロワ化と共にアンプの
    ゲインは高帰還化の為に26dBから12dBに落ちていました。店主の方が違和感をお感じになっても
    当然の事だと納得しました。多分このアンプを所有されていた方が、その後のアップグレードを
    諦められてしまったのでしょう。アンプの音を蘇生させるには小手先のテクニックでは如何とも
    し難いところがあります。残された箇所をやるしか他に方法はありません。開発・設計者の私と
    しても、この中途半端な状態で再び何方かに引き取られるのを黙認する事はできません。
    
     それで以下の事を遂行しました。
    
     0)コレクタホロワ化 → 済み (ゲイン:26dB→12dB・・・14dB高帰還化)
    
    今回、実施したのは1)以降です。
    
     1)ハイブリッド化 → パワーTR3個(半分相当)交換
    
     2)高スルーレート化 → アンプ基板の抵抗等を交換しスルーレートを改善
    
     3)線材交換 → AC電源線、整流後のDC配線、安定化電源出口のDC配線(左右2組)、
              アンプの入力線の一部、アンプの出力線の一部
    
     4)安定化電源の高帰還化(ツェナーと抵抗交換)及びドライバー段の高ft化(TR交換)
    
     5)高級部品化の徹底(ASC コン化)とVishay化
    
     6)その他 → 現在は音質の関係で使用しないセラミックコンの交換とその他の不備を改善
    
     丸一日やった訳ではありませんが、これだけを実施するのに2日は掛ります。実は、当HPにも
    載せてありますが、0〜6までを行う旧型パワーアンプのコレクタホロワ化を\52,500 でお引き
    受けしています。古いアンプは段々と音が鈍って来易いものです。そうお感じになっている方が
    いらっしゃいましたら、是非このコレクタホロワ化をお勧めします。途中までの実施で不完全な
    状態の方も最後まで諦めずに付いて来て下されば、最終的には見違えるような高音質のアンプに
    出会えると思います。最新のWRアンプの音は昔と比較にならない程の音質レベルになっています。
    そして、それはもう完成形と言っても過言ではないレベルなのです。
    
     完全アップグレードの為のコレクタホロワ化作業が終わって早速試聴に入りました。最近よく
    聴くソースを順に掛けて、その都度合否を判定して行きました。先ずはベルト・ケンプフェルト
    から聴き始めました。このCDはマントバーニのCDに比べると再生は容易ですが、ダメなアンプで
    聴くと嫌な音と言うより全然面白く聴こえない、悪く言えば唯鳴ってる見たいな感じに聴こえる
    のです。しかしこのアンプは強いて言えばですが、力強さや豪放なところが感じられます。理由
    はよくは分かりませんが、鉄シャーシを使った旧型アンプに共通するような音のように感じます。
    因みに、私が普段聴くパワーアンプである110W機はアルミシャーシです。特に問題はなく合格だ
    と思いました。
    
     次に例のカウント・ベーシーのCDの2〜4トラックを聴いて見ました。中音量のどおって事の
    ないフレーズも退屈せずに聴けましたし、トラペット群のffも聴き苦しさもなく音が伸びて来る
    高揚感を味わえました。残念ながらSTUDIOはSEコン化まではなりませんでしたので、ベーシーの
    ピアノタッチは半分くらいしか見えて来ないように感じました。しかし、これは問題点にはなり
    ません。SEコン化を待つしかないのです。トロンボーンのリズムを刻む音にもリアリティが有り
    ます。このCDも退屈せず楽しむ事が出来ました。
    
     最後にマントバーニの例の5曲を聴いて見ました。最初はキング盤の「枯葉」のなかに入って
    いる「モナ・リザ」です。普通、出だしがほんの少し不安定な音に聴こえるのですが、特に問題
    なく過ぎてちょっとホッとしました。意外に音が安定しています。多少心配だったマントバーニ
    独特のストバイも引き攣れる事無く伸びて聴こえます。その先のオーボエのソロも適度に倍音が
    聴こえて来ていい感じです。続いてこのCDに入っている「魅惑の宵」を聴いて見ました。この曲
    が一番ストバイ泣かせかも知れませんが、何の破綻もなくパスしました。チェロパートの凄みも
    十分でした。これでもう安心だとは思ったのですが、キング盤の同じシリーズの「シャルメーヌ」
    からタイトル曲を聴いて見ました。クラリネットも膨よかで特に問題はありません。心の何処か
    に余裕が出て来ました。
    
     勢いに乗ってEyebicのCDから先ず「グリーンスリーブス」を聴きました。この曲のソロ楽器は
    フルートでオーボエ、クラリネット、アコーディオン等と比べると難しさが若干伴います。録音
    が古いせいもあるのかも知れませんが、ちょっと不安定な音になり勝ちなのです。それが平然と
    鳴っている感じに聴こえました。「モナ・リザ」の出だしもそうでしたが、安定感が比較的良い
    ようです。各曲に共通するストリングスのffも潰れる事無く抜けています。スタジオ録音ながら
    多少の遠近感すら感じられました。最後は「ムーラン・ルージュの歌」を聴きましたが中々いい
    感じです。イタリアらしいアコーディオンの音色は心が癒されます。その一方でビオラ・チェロ
    パートの力強さもあり、硬軟併せ持つWRアンプの音はやはりほぼ完成している事を暗示している
    ように思いました。以上の試聴を行い十分「WR標準」の音質に達していると判断できましたので
    「WR標準」の認定シールをアンプ後面に貼らせて頂きました。
    
     これまでオーディオアンプは不確かな点が多く、やって見なければ分からないと言う問題点が
    ありましたが、しかし先に掲げました0〜6の7項目を粛々と実施すれば、結果は自ずと付いて
    来る事が判明したのです。確かにアルミシャーシと鉄シャーシの音色感の差は個体差として残る
    ようには思いますが、だからと言って再生が上手く行ったり逆に余り頂けない音になったりする
    ような事はなくなりました。そう言う意味で技術は確立されたと言っても良い領域に来ていると
    思います。アンプのほんの少しの個体差は最後まで残ると思いますが、それは致命的な問題では
    ありません。趣味としてのオーディオは、その位の遊びがあった方が人間らしいのではないかと
    思います。
    
     新型パワーアンプは基本的に5を除く0〜6までの項目が保証されます。標準価格に高級部品
    化のオプションを追加すれば、今回と同じレベルの「WR標準」の音質になるようになっています。
    最後の砦はSEコン化です。SEコンの真の良さは誰にでも分かるものではないかも知れませんので、
    各個人の聴感レベルに合わせてそれに挑戦して頂ければ幸いです。差し当たっては「WR標準」の
    音に慣れる事が大切だと思います。その内に、音がどうあれば良いのかが見えて来ると思います。
    其処には生楽器の音、ライブでの音、そう言ったものが必ず介在している事が必要だと思います。
    そして最後に必須なのは、聴き出せばアンプ等のハードの事は忘れるくらいの音楽を愛する心だ
    と思います。  

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