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344北条さん(会社経営) Mon Oct 3 21:42:46 JST 2005

千葉さん早速、ありがとうございます。

仰る通り、野外は雰囲気が一番ですから、音云々より爽快ですよね。
また、生の音にも多く接されてるとのこと、何よりです。

私も、千葉さんがお使いになられた機器は一通り、使用したことがあります。
山水なんかは、ＡＵ９５００、ＴＵ９５００（最早、知らない人が多いかも）から
使っておりました。
ジャズ歌手には、どういうわけかハスキーボイスの方が多く、それが味があるためか
全体の楽器音の色づけもこちらに合わせたように思えます。
どこか、ざらついた（よい音を保ちながら）感じがでるＪＢＬとかデンオンに人気が
集まるのもわかるような気がします。

もし、透明なソプラノ歌手の声色で歌ったら今ひとつです。
私は、メーカーアンプとＷＲの決定的な違いは、このソプラノがリトマス試験紙になる
と考えております。
すなわち、ソプラノが本物っぽく感じられるのはＷＲのみということなのですが、では
ジャズの生音（PAを通した室内演奏）も同様になるかといえば、先に書いた理由から
不得手となると思っています。
ラックスでは、その点、ウッドベース等、低音域はこれでもかという具合に伸びて
ゆくでしょうし、ＰＡオンリーの演奏ではこのように聴こえていました。

でも、実際はここまで、強調されてはおりませんから、楽屋等で聞けば素っ気ない音
で、商業的にはＰＡを使用しない限り、観客が爽快感を得ることは難しいと思います。

勿論、千葉さんのようにＰＡを使わなくとも本生の音が素晴らしいと感じることは
あっても不思議ではないことについては私も同感です。
しかし、これも、よくよくみてゆくと、ＰＡを使わないＰＡといえないこともないので
はと思うのです。
それは、コンクリートの外壁、石張りの床、ガラスの仕切り等、音響効果を考慮した
上での反射、反響板による一種の増幅で、このおかげで、本来の素っ気無い小音量の
楽器音が伸びのある残響音を発生させたり、強い低音、刺激的な音を醸しだすという
ことで、本当の生の音といえば、それらが期待できない楽屋での音と思うわけです。

当然、このままで、お客様に提供するわけにはゆきませんから、結局、化粧を施して
観客の耳に届くというのが私の見解です。

とすると、ＷＲで通常のジャズの再生音をとなると川西先生が仰ってるようなリスニング
ルームから各種セッティング、相応しい周辺機器群で固めるという大掛かりなシステム
を組まねば難しいということになりますから、通常では、得手、不得手があるという
ことになるのではということです。

とにかく、私も、基本的には千葉さんと同じでＷＲは優れているとは思います。

貴重なご意見、ありがとうございます。
参考になります。

他の皆さんもよろしくお願いします。

343千葉さん(大学職員) Mon Oct 3 19:32:05 JST 2005

JAZZ喫茶

私がたまに行くJAZZ喫茶（古い呼称ですね。今ではライブ・スポットと言った方が良いかも
知れません。）では、店内が狭いのでラッパ類とピアノ、ドラムスはＰＡ無しで生の音が聴
けます。ＰＡを使うのはベースとギター、ボーカル、フルートぐらいです。
従って、ある程度JAZZであっても楽器本来の音には接して来たつもりです。そこで聴くドラ
ムスとサキソフォンはやはり「耳当たりの良い強い刺激」があり、耳をつんざく様な音であ
りながら耳障りな感じはしないものです。

これに対して、野外のコンサートでは全ての楽器がＰＡを通しており、往々にしてその音量
を上げ過ぎて、歪んだ不快な音を出していることもあります。でも、野外コンサートはオー
ディオ的な聴き方はしませんし、もちろんクラシックのように静かに聴いているわけではな
いので問題はありません。寧ろ音楽を楽しむという意味で、音質へのこだわりから開放され
た夏のJAZZフェスティバルは私としては最高です。

これらを全て、「それらしく」聴ければ充分だと私も思っていますが、ＰＡを通したものは
ＷＲは不得手だとも思えないんですよ。
私も以前にはＰＭＡ-2000を使っていましたし、これまでマランツ、サンスイ、ラックス、
ソニーのアンプを使って来て、今も米国製のアンプを本宅のメインシステムに入れています
が、何を聴いてもＷＲが一番良いように聴こえます。ＰＡの有り無しで評価が異なるとは思
いもしませんでした。

342北条さん(会社経営) Mon Oct 3 17:19:38 JST 2005

生演奏音について

一口に生といっても、どの位置（どの席）、どんな場所（野外、室内）で聴くかに
よって、音はまったく変わります。

かつて、房総のマニアの音を聴かせていただいたことがありましたが、このお二人の
好みは対照的で、一人は最前列派、一人は二階後部席派でして、それぞれ、その工夫
の効果がでていたように思います。

後者はホールの雑然とした騒音の中に極めて曖昧な音が溶け込む雰囲気をタンノイで
構築していましたが、それゆえに、楽器そのものが放つ音のリアリティに欠けており、
結論として演奏の再現というより、二階席のポジションにおける音場の再現という、
オーディオ（信号増幅再生機）の原則から逸脱しているように思いました。

また、前者はマッキンを中心とした構成でＳＮ、解像度のよいものでしたが、音圧等
も感じたものの、肝心の演奏音（楽器）が「これ、本物と違うよ」って感じで、いずれ
も帯に短し、たすきに長しの感が拭えませんでした。

この方たちは、マッキンを支持してきた著名な評論家の指南を受けていたわけですから
ある意味、セッティング、その他、申し分のない状態でのことですから、その結果とし
ての音が生の音（音質）と違うということは、もっと、根本的なところに原因がある
のではと思っていたものの、それがメーカーアンプの限界ということで、最終的に
最大公約数的に優秀で安価なデンオンのＰＭＡＳ１に落ち着いていたときに、ＷＲを知り
まして、クラシック（というか本当の生演奏）に限っては、このアンプが一番という
結論に落ち着いている次第です。

だから、ジャズの生演奏（ＰＡ通し）などは、ＰＭＡＳ１のほうが近いと思いますが
生楽器の音だとは思えません。

各種イベント等でジャズ演奏をしている野外場所でもそこにゆくまで、でっかいステレオ
が鳴っているのかと思ったら人が演奏していたとかであるように、生演奏はクラシック
や雅楽以外では最早、聴く機会も少ないでしょうから、ここの使い分けが必要とおもい
ます。

デンオンのＰＭＡ２０００が昔からジャズファンに手頃な価格から好評だったのも、
それが、生の音ではなかったからで、それならば、無難に効果的に再生することにかけ
ては、デンオン（現デノン）は最も得意とするアンプ（国内最高のメーカー）ですし、
また、同様に、音楽全般に関しては、Ａ社が国内最高のメーカーといえると思いますが
生演奏（本当の）に限っては、ＷＲが国内最高ではないかと思っておりますが、皆さん
如何でしょうか？

率直な感想、よかったらお願いします。

追伸
あくまで、私見で押し付けではありませんので反対意見等、大歓迎です。

341川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sun Oct 2 23:04:00 JST 2005

千葉さん、北条さんご投稿ありがとうございます

　この間も書きましたように、私は生音の再現等と言う大それた事は考えておりません。それは
千葉さんもお書きになっている通り、至近距離の生音を家庭で再現する事には無理があると思う
からです。それを実現するには、録音から全てタッチし、しかもかなり大掛かりな再生装置が必
要になって来るでしょう。

　それはオーディオの一つのテーマではあるでしょうが、WRアンプの目指すところではありませ
ん。特別なリスニングルームと高価な高級スピーカーを多数使うシステムは一般的ではないと思
います。私は普通の家屋やマンションで、少し手を延ばせば手に入る程度のシステムを常に考え
ています。

　千葉さんの仰る、少し離れた席でのオーケストラの音が、なんとなく我が家で再現できれば十
分に音楽は楽しめるものと思います。1階最前列のオーケストラの音は再現できなくても、それは
仕方ない事でしょう。ただ、偶に優秀録音に巡り合い、1階の前の方で聴いているような、いい気
分になれれば、それは大いに歓迎すべき事だと思います。

　北条さんが仰るように、その時の音圧レベルは生音のそれに比べて遥かに低いでしょうが、あ
たかも最前列に居るかのような錯覚を覚える事ができれば、これに過ぎる喜びはないでしょう。
その為には、与えられたシステムを漫然と運用するのではなく、少しでも良い音を出す為に、ご
自分も音造りに参加し、工夫する事が大切だと思います。

　電源ノイズ対策や、適正なケーブルへの交換、振動対策等など、地道に努力する事でシステム
の音質が向上すれば、得られた音に対して人一倍愛着が湧いて来るものです。勢い、スピーカー
からの音にも感動できる事になります。それが、物理的な音圧レベルの違いなどのギャップを埋
めてくれるものと確信しています。

340北条さん(会社経営) Sat Oct 1 20:22:18 JST 2005

ジャズの生演奏

千葉さんと同条件程度の会場で私も聴いたことがあります。
ＰＡもほとんど影響のない状態では、結構、生の感じには近いとは思いました。
この時はアルファ1でしたから、日比さんが仰ってた素っ気無いというか、残響音が
あまり無いという感じで、ドラムも乾いた音でしたから、ある程度、ＷＲで再現で
きてたように思います。

唯、先にも書いた通り、殆どはＰＡを通しますので、通常、ジャズというと室内で
あろうと、野外であろうとオーディオ装置の音が生の音となるわけです。

ゆえに、その装置はというとメーカーアンプ（内外の業務用）ですから、結局、これで
それら生演奏を再現しようとしてもＷＲアンプでは不可能なことです。

生演奏が醸しだす自然の音を再現するには、高域はともかく、中低域の余裕が絶対に
必要ですから、アルファ1ではシンバルの残響音やバスドラの空気の振動までは充分
に表現できないでしょうから、やはり、ゼロでなければ難しいでしょう。

後、音量の違いですが、これはあまり、重要とは思いません。
なぜなら、ホームシアター等のユーザーが映画館のようだと満足されるのと同じで、
実際に映画館と同音量ではなくても感覚的には満足できるのと同じです。

ですから、ギャップを感じるとすれば、ゼロでないことと、ＰＡの再生音との違い
があるのではと思います。

但し、立ち上がりの悪さとかスピードの違いはＷＲといえども困難であることは事実
ですが、これを除けば生演奏であれば、まずまず、忠実に再生できてるというか、
できるアンプは、現時点では、ＷＲのみのように思ってはおります。

ロビーコンサートとかは殆ど生演奏ですからこれとＷＲの再生音はほぼ、同じの筈です。
機会があれば、皆さん確認してみてください。

339千葉さん(大学職員) Sat Oct 1 18:48:39 JST 2005

生演奏と再生音

先週の土曜日、我が家の近くでJAZZコンサートがあって聴いて来ました。アルトサック
スがリーダーのカルテットで、ピアノとベースはエレクトリック。サックスとドラムス
はＰＡ無しでした。会場は鉄筋コンクリート１５０㎡ぐらいで、２階吹き抜け、床は石
張り、バンドの背後はガラス張りという極めてライブな条件でしたが、５０人ほどの聴
衆が入ったらそれほど変な響きにはなりませんでした。

　私は、遅れて行ったのでバンドの直ぐ前、サックス、ドラムスと３mぐらいしか離れて
いない場所で聴く羽目になりました。
　当たり前ですが、生演奏はやっぱり迫力ありますね。特にドラムスは音量もさること
ながら打撃音がグイグイッと、耳と身体全体も突くように圧してきます。ベースとピア
ノはＰＡ装置が可搬形のコンパクトなものだった所為か音質はあまり良くなかったで
す。

　ともあれ、「ワインとJAZZの夕べ」と題してのコンサートで、ノリの良いウエストコ
ースト風JAZZに酒が入って楽しいひと時を過ごしました。その後すぐ、徒歩１分の自宅
にとって返し、記憶の新鮮なうちに渡辺貞夫のＬＰ「カリフォルニア・シャワー」を聴
いてみました。アンプはマー○・レ○○ソンのプリメイン、スピーカーはイン○○○テ
ィーのトールボーイです。結果は、残酷なものでした。

JAZZに限って言えば、生演奏と「一般家庭での再生音」の最大の違いは音量だと思って
います。それだけは仕方の無いことと諦めざるを得ませんが、再生音は立ち上がりが圧
倒的に遅いんですね。それだけキレの無いモソモソした音になります。サックスはまだ
何とか聴けますが、ドラムスは比較にならないですね。シンバルなんか隣の部屋で聴い
ているみたいです。カートリッジやフォノアンプにも責任はあるんでしょうが、この差
を埋めるのは容易なことではない、いや不可能だという気がしました。

それから２日後、金沢に戻ってWR－α１MⅡコンビでCDを聴いてみました。オーディオシ
ステムや部屋、ソースもまるで違うので単純な比較はできませんが、WRアンプではモソ
モソした感じはほとんど無く、すっきりシャープに聴こえます。それにしてもJAZZの生
演奏にはチョット遠いかな？　という印象でした。川西先生が言われるように、ホーン
型のツィター・スコーカーを搭載したJBLの大型スピーカーにでもすれば、少しは生の音
に近づけるのかな、なんて財政的にキケンなことを考えてしまいました。

普段は、生演奏との差は有って当然と思って、あまり気にせず聴いていましたが、今
回、極めて短時間のうちに聴き比べる貴重な機会があり、想像以上の差にガックリする
と同時に改めて欲も出て来ました。しかし、いつになったら止まることやら！
なお、今のところクラシックではこの差はあまり感じません。WRで至極満足して聴いて
います。いつも安い遠くの席で聴いているからかもしれませんが…。

338北条さん(会社経営) Thu Sep 29 22:08:59 JST 2005

川西先生ありがとうございます。

録音する際のモニターの音です。
この音は、録音ビットレートを変更してもそれに連動しない一定の音となっています。
だから、低レベルのレートで録音した場合は、再生の際にモニター音との違いが
判るようになっており、高レベルに設定するとモニター音との差がほとんど感じない
ようになっています。

モニターの音にもＭＰ３が介在しているのか、それとも、ＡＤからＤＡでプリにスルー
しているのか判りません。

介在した場合に音質が若干悪くなることは購入前のメーカーの担当からも先生がおっしゃ
る通り聞いてましたので、最初は、あまり、期待していなかったのですが、なかなか、よ
い出来（安い、シンプル、便利）でＣＤやその他のソースをどんどんためこんだり、深夜
ラジオ番組をタイマー予約しては楽しんでおります。

それで、どんな音に変わるのかですが、ビットレートを高く設定したときの差のように
なります。

勿論、繋いでないときも特に問題はないのですが、顕著になるのは、クラシックやジャズ
以外のジャンルの録音の際に今までＷＲでは出なかった再生音で、それが、違和感がない
ものに仕上がっているので、幅が広くなったかなと思ったのがきっかけです。

いずれにしても、レートを高く設定して録音する限り、モニター音との差は殆どなく、
それがそのまま録音されますので、これはこれでよかったなと思っています。

唯、原理上はあり得ないことだとしたら、一種のアクセサリー（ケーブル等）効果が
何等かの形で働いたのか、あるいは音質の悪化が却ってジャンルによっては合っている場
合なのかもしれませんし、機器との分断が僅かでも働いたことによる変化かもと思って
おります。

337川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Sep 29 18:56:44 JST 2005

北条さん、率直なご感想ありがとうございます。

　WRアンプとメーカー製アンプとの違いを明確にご指摘頂き、正当に評価された北条さんの
勇気に感謝申し上げたいと思います。WRアンプをお買いになろうと考えている方々に、きっ
と良いサゼッションになると思います。

　さて、お尋ねの件ですが、正直に言ってその「ジュークボックス」を使った事がありませ
んのでよく分らないと言うのが本当のところです。又、文面からですと、録音されたものを
聴いた時なのか、ただ「ジュークボックス」を通して聴いた時なのか、それもスルーなのか
MP3のエンコード・デコードを経たのか、判断ができません。

　上記3つの場合で状況は変りますから一概に結論づけられませんが、何れにしても音が変る
のはオーディオによくある事です。仮にMP3が関与しているとして考えてみると、音質が悪化
する可能性が高いと考えるのが常識だと思います。

　即ち、AD変換－MP3－DA変換という経路で信号が伝達された場合、どのステージでも音質劣
化が起きる可能性があるからです。特に、MP3は情報を約1/10に圧縮しますので、原信号に対
してある情報が欠落した信号として復元され、アルゴリズム上一番音質劣化が起きる部分に
なります。

　ビットレートはMP3の高域再生限界を決め、最大で約20KHz程度になりますから、それを選
んでナローバンドにする事はできますが、それが音質向上に繋がるとは思えません。従って、
「ジュークボックス」を通した方が音が良いという風には考え難いのです。

　残るは、何処かで常識では考えられない事が起きているのかも知れませんが、文面からそ
れを推察する事ができません。その音が偶々北条さんのお好みに合ったという事ではないで
しょうか。それでWRアンプを気持ちよくお使い頂けるのなら、それに越した事はないと思い
ます。

　暫く時間を掛けてお使い頂いて、どのジャンルの音楽にも普遍性があるのかどうか確認さ
れる事をお勧めします。


追伸：常識外の事として、「ジュークボックス」がCDプレーヤーとプリアンプを分断してシ
ステムの境界条件が変化した、と言う風に考える事ができるかも知れません。

336北条さん(会社経営) Wed Sep 28 21:39:02 JST 2005

Ａ社との比較

優れたメーカーとは思いますが、こと、生演奏の再現力については、ＷＲのほうが
勝っていると思いました。

各社、それぞれ個性があるのですが、いずれもメーカーアンプ特有、共通の音が根底
にあるようで、その点、ＷＲにはそれらがない独自の音で、完璧ではないものの、
より、生に近い感じが出せていると思います。

私が感じたのはＡ社の音はマッキントッシュに近い傾向で、それに独自の高域の美しさ
を加味したものということです。

しかし、マッキンも機械的（デジタルの電子音ではない機械音）な人工音の感が拭えず、
こと、生演奏が醸しだす自然の柔らかさなどは、ＷＲしか出ないように思います。

従って、生演奏にこだわるなら、やはり、ＷＲでしょう。
ただ、チューナーなど高精度ですから、周辺機器ではＡ社が（音楽再生なら）お奨め
というのが現在の率直な感想です。

話は変わりまして、川西先生にお尋ねします。
最近、サン電子のハードディスク録音機（ＩＮＲ５０００というジュークボックス）を
購入しまして大変、重宝しているのですが、そこで、ちょっと不思議な現象がありまし
て、その原因を教えていただけたらと思いますのでよろしくお願いします。

それは、通常はＣＤプレーヤーをプリに繋いで再生するのですが、これで、録音する
ときは、常時、中間にはさんで再生することになります。
問題は、こうすると音が変わるのです。

それも、より私の好みの音になるのです。
勿論、外すと、元に戻ります。

この録音機は小さなボディに40ギガのハードディスクを内蔵していることと、ＭＰ３
に圧縮して録音する機能がついているだけで、その他は特にイコライジングする要素
はありません。

接続は単純で、プレヤーのラインを入力し、プリにラインアウトするだけのものです。
ところが、結果は解像度が上がったような感じがするのです。
そういえば、録音ビットレートの変更が可能になっておりますので、何か、これが
関係しているのでしょうか？

だとしたら、ＷＲのグレードが上がる最も安上がりな機器とも思えるのですが、本当
のところはどうでしょうか？
よろしくお願いします。

335川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Mon Sep 26 23:36:00 JST 2005

皆さん、ご討論ありがとうございます
－WRアンプの目指すもの－音をなるべく歪めないアンプ

　高忠実度再生という言葉から始まって、バーチャルリアリティまでオーディオの目指す
ところは曖昧模糊として、人それぞれ違うものです。私は大それた事を考えているわけで
はなく、ただ、アンプで音質劣化がなるべく起きないようにしたい、という単純な考えか
らアンプを設計しています。

　前回も書きましたが、CDプレーヤーからの信号を単にパワー増幅だけして、信号を歪め
る事無くスピーカーに伝達するアンプを作りたいのです。アンプではパワー増幅以外はそ
の信号をなるべく変化させてはいけないと思っています。音質の悪化や音色の変化はなる
べく避けたいのです。　

　それが理想的に具現化できれば、アンプは一般性をもちます。即ち、録音された信号の
クオリティとスピーカーの特性で再生音は決定されます。その結果として少しでも実演の
イメージが湧いて、音楽に感動できるようになれば、オーディオの役割は十分果たせるも
のと私は思っています。

　しかし、WRアンプは無い袖は振れませんので、プレーヤー等の前置機器とスピーカーの
実力で決まる音しか出せません。場合によってはそれが物足りなく感じる事があるかも知
れませんが、そう言う場合は、前置機器やスピーカーのグレードを徐々に上げて行って頂
ければ、確実に良い音を構築して行く事ができると確信しています。

　世の中のアンプの中には、その最終的な音にまで消極的叉は積極的に関与するタイプの
ものが多くあります。極端な例ですが、3極管のシングルアンプはどうしても2次高調波ひ
ずみを多く発生します。しかし、人間の耳には偶数次ひずみは心地よく聴こえる為に、そ
ういうアンプを好んで使う方も居られます。

 即ち、物理特性が悪いが故に、部分的に心地よく聴こえてしまうアンプが世の中には有る
という事です。趣味の世界ですからそれが悪いという事ではありませんが、そうしますと、
このアンプにはあのスピーカーと言うような面倒な組み合わせ論が介在してきます。少な
くてもWRアンプの目指す方向とは明らかに違います。

　WRアンプは未だ完璧とは行きませんが、これまで市販されてきたアンプに比べると、特
許回路の採用と最高級部品の使用により、帰還アンプが内包する負性抵抗を出来る限り除
去していますので、音質劣化や音色の変化はかなり少なくなっているはずです。

　だから、WRアンプを使って、録音の良いLPやCDを優れたプレーヤーとスピーカーで再生
すると、実演を聴いているかのような錯覚を覚える確率が高くなるのだと思います。オー
ディオは所詮は缶詰音楽ですから、僅かでも実演の雰囲気が感じられれば、それで成功し
たと言っても良いでしょう。

　その喜びを分って頂ける方にWRアンプをご提供し、演奏会に行った時のような感動をも
って音楽を楽しんで貰えれば、私の初期の目的は達成できたと言えるでしょう。WRアンプ
が思い通りに作れたかどうかは、これまでに、音楽のジャンルに依らずにWRアンプの良さ
を認めて下さっている数多くの方々の真摯なご報告でほぼ証明されたと思っています。

　オーディオ装置で一番重要な事は、スピーカーから出る音そのものではなく、その音楽
に感動できるか否かだと私は思っています。そのような方にWRアンプを愛用して頂ければ、
設計者としてこれに過ぎる喜びはありません。


＊　＊　＊　飛鳥さんにお答えします　＊　＊　＊

　至近距離の生音と同じ様に聴こえるような再生装置の構築は、アンプだけでは如何とも
し難いところがあります。勿論、そう言う事を視野に入れてアンプの設計・製作を行って
はいますが、スピーカーにもかなりのウェイトがあるように思います。

　先日も書きましたが、現行WRアンプでも、上手く調整された高級ホーンによるマルチシ
ステム(最近の5.1chとは違います)なら、シンバル、チェンバロ、ギター等の過渡音をかな
りそれらしく楽しむ事ができます。

　問題は、そのような音がブックシェルフ型スピーカーでも楽しめるようになれば良いと
思いますが、他の楽器、例えば弦楽合奏などとの両立を考えると、なかなか難しいものが
あります。即ち、特定の楽器が映えて聴こえるようなアンプは作りたくないのです。しか
しながら、飛鳥さんのご希望を念頭に入れて、これからのアンプ作りに生かしたいと思い
ます。

334北条さん(会社経営) Mon Sep 26 21:45:53 JST 2005

日比さんありがとうございます。

仰るとおり、奏者の技量や使用する楽器によって音は異なると私も思います。
かつて、ポールモーリアさんが来日した時、山本直純さんが共演していたのをテレビ
でみたことがありますが、おはこの蒼いノクターンを両者が弾き比べしていました。
ジャンルは異なれど、もともとはクラシック出身のポールさんの技量は流石で、両者
から出る音は全く異なっていたものでしたから、奏者の違いというものは大きいです。

さて、ＷＲのまとわりつくものがない音という感想はこれこそ「音質」のよさと思い
ます。
メーカーアンプにはない長所といえるでしょう。
現在、Ａ社のアンプの自宅貸出しを受けている最中で、その感想を述べます。
先に、ゼロプラスプリの長所というのは、店内で試聴した率直な感想です。
ただ、自宅ですとちょっと異なるようで、セパレーション、定位等はＡ社が勝ります
が、音質、ＳＮについてはＷＲのほうがよいように感じております。

思うに、店内では、試聴環境に配慮している部分と、ある程度、喧騒な部分があって
小音量時（十時まで）の細かいところまでは感じなかったようです。

勿論、押しの強さや臨場感、センターの定位など優れたアンプではありますが、
ＷＲ（ゼロプラスプリ）の長所の代用ということにはならないようです。

それだけに、しつこいようですが、音色の点が惜しいなと思うのが私見ではあります。
この点は川西先生も以前から、アコースティックは得意だがとして述べておられること
から傾向としては気づいておられるものと私は思っております。

後、ゼロのスケールの原因ですが、これは単純にパワーアップした余裕ゆえと思います
試聴会の感想で千葉さんが書いておられたように私も特にスケール感を感じたという
ことはありませんが、この余裕がおそらくそのように日比さん（アルファ1ユーザ）達
には写ったのだと思っております。

だから、奥行きとかスケールとかのレベルではアルファ1もそんなに差がないと思いま
す。
　でも、この「余裕」が自然の再生音に近づけるには不可欠ということがそう感じられ
た原因と結果だと思います。

333日比さん(公務員) Mon Sep 26 17:56:47 JST 2005

生演奏との比較
　
　これは難しい質問ですね。あるところで行われた演奏会で、ベース奏者に、いつもＣＤで聴
いているのと音が全く違うので、質問したら、うれしそうに、「わかります？」といわれ、な
んのことかと思ったら、借金して名器を買ったとのこと。同じ奏者が弾いても、楽器で音が違
うのはまあ、当たり前といえば当たり前ですが。ただ、このときは小さな会場だったにせよ、
若干の増幅はあったと思います。
　さて生の楽器の音ってあんがい素っ気ないと書きましたが、以前の装置で聴いていた状態や、
最近聴いたよその装置との比較で言えば、楽器の音のまわりにまとわりついている音がＷＲア
ンプには少ないような気がします。その点では生の音により近いのかな、とは思います。だか
ら、これを素っ気ないと感じる人もいるのかな、という気もしています。飛鳥さんの言われる
トランジェントの問題、というのは少し分かるような気がします。で、ちょっと問題がずれま
すが高域ばかりではなく、他の帯域でも、実は可聴帯域外の高音成分が音の存在感に関して重
要な鍵を握っているかも知れないな、と最近思うようにもなりました。巷間よく言われている
ようですけれど、実感としてどうもそうらしいと思えるようになったのは最近のことです。
　ちょっと北条さんの質問に対する答えになっていないとは思いますが、僕の目下の関心は、
試聴会で感じたＺＥＲＯとのスケール感の差です。これが何に起因するのかということです。
北条さんはどうお考えでしょう。もうひとつ、Ａ社のアンプがＺＥＲＯの長所を、ということ
ですが、具体的にはどんなところなのでしょうか。

332北条さん(会社経営) Sun Sep 25 22:47:36 JST 2005

飛鳥さんありがとうございます。

スピーカーの相性かもしれませんね。
唯、アンプを交換しただけでも変わりますのでこの両方が影響しているんだと
思います。

参考になりました。

331飛鳥さん() Sun Sep 25 20:59:44 JST 2005

川西さん

さっそくの返答ありがとうございます。

> 高音域のトランジェントも当然本領を
> 発揮できていないと思われますので、その問題はプリアンプを接続後に、もう一度見極め
> て頂きたいと思います。

了解しました。
今プリアンプの購入資金を貯めているので購入したらまた、その辺りをレポートしたいと
思います。

ただ、自分が遊びで弾いているギターの音（全く下手ですが）でもオーディオ再生の音と
比較すると明らかに立ち上がりスピードが早いので、もしアンプの改良をする際には
このような意見も参考にして戴けると幸いです。



北条さん

ＷＲアンプの音色に関してですが、私はオーディオの音色を最終的に支配しているのは
スピーカーだと思っていますのでアンプの音色に関しては気になった事はありません。

また自分が使用しているのが、癖の少ないディナウディオのスピーカーなのでアンプと
の相性も良いのではないでしょうか。

本物の楽器に非常に似た（ような？）音でなってくれています。

330北条さん(会社経営) Sun Sep 25 15:34:39 JST 2005

飛鳥さん　こんにちは

私はプリとパワーセットで購入したのですが、初めにパワー単体で聴いたときは
仰るような「無機質」と感じまして内心、しまったかなと思いました。
但し、その後、プリを繋いで聞くと問題なくなりましたのでホットした経緯が
ありますので、プリはお奨めします。

パワー単体はお湯を注いでいないインスタント麺で、プリというお湯を注いで初めて
食べられる状態になるというのが私の感想です。

唯、ＷＲ全体にいえることですが「音色」については考察が必要とは思っている
次第です。

後、シンバル等のスピードですが、このアンプでは仰るとおり、鋭いアタック音
は望めません。
川西先生のコンセプトが「クラシック演奏の再現」ですから、一応、これを基軸に
判断するアンプといえると思います。

ですから、映画等の効果音のような地響きが迫るようなものは「Ｄ社、Ａ社」には
及びませんから、私は使いわけをしております次第です。

ところで、飛鳥さんは「音色」についてどう思いますか？
クラシック以外の生音に近いと感じますでしょうか？

先に、日比さんが、演奏者によって音色が異なると書いておられましたが、私の言って
いる意味は、たとえば、ピアノは誰が弾いてもピアノの音色しかでず、エレクトーン
やオルガンの音色にはならないということであって、その意味で分野が違ったりすると
このような質的変化が起こっているような音色となっているようだということで、
お尋ねしているわけです。

そこで、他の方はどのように聴こえているのか参考にしたいのでよろしくお願いします。

329川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sun Sep 25 15:30:50 JST 2005

飛鳥さん、パワーアンプのお買い上げありがとうございます。

　プリメインを買って頂いたのに、その上にα1MKⅡまでもご購入頂きまして、誠に感謝に
堪えません。

　ご指摘のように、プリを通さない音質は、若干の硬質感、無機質感がある事は、設計者
自ら認めるところでありまして、叉何時の日かにプリアンプのご購入をご検討頂ければ幸
いに思います。

　巷の常識では、プリを介さないストレートの方が音が良い、という前提に立って話がさ
れる場合が多いようですが、少なくてもWRアンプの場合はプリを介した方が音が良くなり
ます。WRプリアンプのラインアンプは音質劣化が殆ど無い上に、プレーヤーからの高周波
ノイズを上手くバッファリングして、プレーヤー等の前置機器とパワーアンプを分断する
為、パワーアンプが、その機能を十分に発揮できるのではないかと考えています。

　さて、シンバル系楽器のトランジェントの問題ですが、再生時に生より鈍く聴こえるの
は、ある意味仕方ないと思いますが、如何にそれらしく聴こえるようにするかは、アンプ
より寧ろスピーカーのトランジェントで決まると思われます。それは、高域に於ける過渡
特性は、電気系より機械系の方が遥かに不利だからです。

　そこに拘る方は、平野氏も述べているYL音響などの高級ホーンを組み合わせてシステム
を構築します。典型的な例が高城重躬氏でした。最近、WRアンプを使って、4chの高級ホー
ン(オンケン使用)システムを運用されている方の家でいろいろ聴かせて頂きましたが、何
と言っても打楽器の圧倒的なトランジェントの良さには、日頃小型SP(紙、布やドーム型)
で聴いている私は完全に脱帽しました。爽快感のある過渡音を聴く事ができます。

　まだ、プリアンプをお使いになっていないので、高音域のトランジェントも当然本領を
発揮できていないと思われますので、その問題はプリアンプを接続後に、もう一度見極め
て頂きたいと思います。


＊　＊　＊　日比さんへ　＊　＊　＊

　UBYTEスピーカーケーブルに関する検討は、私の義務感から行ったもので、別にお気にな
さらないで下さい。皆さんお忙しいですし、回答・返答が遅くなる事は仕方ない事と思っ
ております。

328飛鳥さん() Sun Sep 25 12:27:54 JST 2005

飛鳥です。

その後プリメインアンプは快調に音を奏でています。

またWRP-α１ MarkⅡアンプを買い足しました。
WRI-β３プリメインと比較すると、上下にレンジが広くどっしりとした安定感がありますが
プリアンプを繋いでいないので音にやや無機質な所があり、やはりプリアンプが必要だな
と感じています。

それと多少本物の楽器の音と比較すると多少スピードの立ち上がりが遅いかなとも感じて
いますが（特にドラムのクラッシュシンバル・チャイナシンバルの音）
このあたりは、ウエスト・リバーアンプを使用している他の皆さんはどのように感じている
のか気になるところです。

327北条さん(会社経営) Wed Sep 21 23:29:09 JST 2005

日比さん、ＰＡを全く使わない生演奏というのは商業演奏ではほとんどないでしょうか
ら、デリバリー演奏か極めて少数の会場でお聴きになったということだと思います。

それで、その音とＷＲの音は日比さんはどのように感じられたでしょうか？
音質とかその他は問題ありませんのであくまで、「音色」一本でお願いします。

つまり、ＰＡを使わない生音に近いか、はたまた、それらと再生音の音色に違いありか
をあくまで、ジャズの生音をお聴きになっている日比さんの言葉で率直なご感想いただ
けたら参考になりますのでよろしくお願いします。

326日比さん(公務員) Wed Sep 21 21:38:44 JST 2005

音像の実体感について

　北条さん、僕は実演そのものの音が再現される、といっているつもりはありません。
あたかもそこにいるような、という、まあヴァーチャルのレベルで、ＷＲアンプは優れ
ているな、と思っているのです。よその装置で色々聴いてみて、比較してみると（あく
まで自分の頭にに残っている記憶に過ぎないですが）という話です。北条さんの言われ
るようなレベルではないと思います。前に書きましたが、スピーカーから音がしている
感じがしない、音がスピーカーから離れてきこえる、という感じを強く持ったのは、少
なくともＷＲアンプが初めてなのです。

　ジャズの生演奏は何度か聴いたことがあります。全くＰＡを使わない状態でという意
味でのことです。これは案外素っ気ない音がするものです。特にベースのソロを聴いた
ときがそうでした。世に存在するＣＤその他の音源は多かれ少なかれ、何か加工をして
いるのかな、とは思っています。もっとも演奏家の違いでずいぶん音色が違うので、
（同じ楽器を使っても演奏者によって全く違う音になるということは経験済みです）そ
の点何とも言えないところがありますが。

　ところでこの間の書き込みで一つ間違いがありました。私が聴きに行った喫茶店兼オ
ーディオショップで使用していたテクニクスのスピーカーはＳＢ－Ｍ１００００でした。
桁が一つ違っていました。一本１６０キロもある大型のスピーカーです。

325北条さん(会社経営) Wed Sep 21 13:53:57 JST 2005

音像の実体感

うーん、これを感じたアンプ（含めたシステム）は無かったですね。
日比さんのいうものは、私も究極の理想としているものではありますが、
無理のようなので、諦めております。

おそらく、目を閉じているとあたかもそこにプレイヤーがいるかのごとくでしょうが、
現在の製作原理では難しいのではと思っております。

いうなれば、音のホログラムを構築するということで、映像と合わせれば完璧な
バーチャルとなりますからもし、可能なら凄いものですよ。

理論的にこれにチャレンジしている製作者はおりますが、未完の域です。
ただ、はっきりしていることは、これを完成させるには、録音から、再生まで一切
をデジタル処理（真値に近い）し、加工編集するということになりますから、
アナログ機器では難しいでしょうね。
映像のホログラムはある程度、可能にはなっておりますが究極のデジタルオーディオ
システムという革命的発明でも成されない限り、ユーザーが納得するレベルまでの
音像の実体にはならないでしょう。

しかし、近い将来、このようなものが開発されることは私も期待はしております。

話は変わりますが、クラシック以外はすべて、舞台のオーディオ装置の音を聴いている
（ジャズの生演奏も）わけですが、日比さんはこの点はどのようにお考えでしょうか？

実は、私は初めは錯覚しておりまして、ジャズとクラシックは共に生演奏と思って
いたことがありました。

ＷＲの音色について考察するようになって、よくよく考えてみると全く生演奏といって
も音は違うものだな、生楽器の音を演奏会場でも聴いているものではないと再認識した
次第です。

勿論、すでにお気づきのこととは存じますが、参考までにお聞きしたいのでよかったら
お願いします。

324日比さん(公務員) Mon Sep 19 23:51:54 JST 2005

申し訳ありませんでした

　川西先生、大変懇切な説明ありがとうございます。何気なく書いた質問にあのように
細かく検討を加えて頂き、恐縮しております。

　先日、その筋で有名なオーディオショップ兼喫茶店を訪ねました。オーナーは大変気
さくな方で、初めての私にも親切に対応してくださいました。この店で、ごく最近オリ
ジナルのアンプを発売し始めたようで、店内でも使用していました。これがまた、もの
すごいもので、プリが１７０万円、パワーアンプが３００万円という値段でした。もち
ろん、僕らには縁のないものですが、制作している当のご主人は僕の質問に丁寧に答え
てくださいました。技術者としてのことばには説得力があり、スケールメリットがない
分、意外なところにお金がかかるというのもうなずけるところでした。使用しているス
ピーカーもＢ＆Ｗの８００や８０１、そしてテクニクスの１０００番とかの大型で、さ
すがにスケールの大きな音がしました。大変魅力的だな、とは思いました。これと比較
するのは難しいし、意味があるのかも疑問ですが、我が家のＷＲアンプも音像の実体感
に関してはこれに負けていないな、という感想を持ちました。私が今、もっとも魅力に
感じているのは、この、音像のリアルさなのです。北条さんのリニアな音というのがこ
れと通ずるかどうか分かりませんが、ＷＲの音はなかなかよそで体験できるものではな
いな、と感慨を新たに致しました。

　平野さんの新しい企画、大変結構だと思います。私の家から歩いてものの１５分とか
からないところに、その昔、サンスイの本社がありました。かつてのサンスイスピ－カ
ーのサランネットのと同じデザインの建物でした。これが撤退してからもうどれくらい
の時が経つのでしょうか。僕が音楽に目覚めた頃、友人の家で入れた真新しいステレオ
が、あのブラックフェイスのサンスイのアンプだったのです。この友達の母親は当時パ
ートでサンスイの工場に勤めていたのでした。レコードを聴く目的で、なんどこの友人
の家に足を運んだことでしょう。といったこともあり、僕には日本オーディオ史、とい
うのはなんだか身近に感じられるような気がして、大変楽しみです。

323川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Mon Sep 19 17:01:00 JST 2005

バランス用ケーブルの音質について

　最近は、臨時に作ったはずのバランス入力可能なプリが手放せなくなり、もっぱらそれ
で音楽を聴いています。当初、間に合わせに買った安物ケーブルがOFCで、何か違和感を感
じたので、その後、市販のカナレケーブルにノイトリックのコネクタが付いたケーブルに
取り替えて、気分良く聴く事ができるようになっています。

　しかし、安物バランス用ケーブルを使わないのも勿体無いと思ったので、近所の電気量
販店でマイクケーブルを買ってきて、取り替えて見る事にしました。ケーブルはカナレで
はなく、関西通信電線製のものでした。100円/ｍで2芯マイクケーブルとして普通のもので
す。

　さて、取り替えて聴いてみると、OFCの時とは逆に中高域の何処かが強調されるような音
がして、これ又受け入れられない音質でした。予備に買ったFUJIのマイクケーブルに変え
てもこの傾向は変りませんでした。因みに、プリのバランス入力用にはノイトリックのソ
ケットレセプタクルを使っています。

　RCAピンプラグの時にも経験したのですが、案外ケーブルよりコネクタが音質に悪影響を
与えている場合があります。安物ケーブルに付属していたコネクタを見ると、何処製か分
らないものが付いています。こうなったら乗り掛かった船です。ちゃんとしたコネクタで
実験してみようと思いました。

　NHKや民放が推奨しているキャノンコネクタに国産のITTがあり、結構な値段がしますが
定評があります。もう一つは世界のスタジオで使われているスイス製のノイトリック(現在
はリヒテンシュタイン製が多い)ですが、これも民間のスタジオでは定番になっています。
そこで、2種類のコネクタの、ピンプラグとソケットプラグを対にして、ステレオ分入手す
る事にしました。

　まず、ノイトリクに関西通信製のケーブルを付けて聴いてみました。安物コネクタの時
にあった引き連れた感じは微塵もなく、市販のノイトリックとカナレケーブルの組み合わ
せの音に比べると、音の骨格がしっかりした感じに聴こえました。これはケーブルの違い
でしょうか。カナレは無難ですが、少しだけ線が細く聴こえるような気がします。

　次に、ITTのコネクタに同じ関西通信製のケーブルを付けて聴いてみましたが、高域に若
干の違いを認めるものの、目くじらを立てる程の事はありません。要するに許容範囲です。
やはり、定評のあるコネクタは伊達ではなく、それなりに意味のある事のようです。どち
らを使っても全く問題はありません。

　安物は結局ダメでしたが、これは幾何学的形状が悪いのか、接触ピンの金属又はメッキ
が悪いのかよくは分りません。幾何学的形状及び絶縁体(誘電体)はコネクタの特性インピ
ーダンスを左右します。何れにしても、悪いものは大体アグレッシブな刺激的な音がしま
す。このキツイ音を消す為にOFCが使われていたのかも知れません。

　たかが接続ケーブルですが、されど接続ケーブルで馬鹿にはできません。その事はRCA
のピンプラグやピンジャックでも嫌と言う程経験してきました。許容範囲に入るものは意
外に少ないものです。ピンプラグではテクニカのAT6C56Pが唯一安心して使えます。勿論
WR接続ケーブルのピンプラグはOKです。ピンジャックはWRプリやパワーアンプに付いてい
るものが唯一良品(秋葉原で500円近くする最高級品)だと思います。

　ところが不思議な事に安物にも例外があります。北条さんもお書きになっていらっしゃ
いますが、赤白のプラグが付いたクロムメッキの黒いピンケーブルはアグレッシブな音に
なりません。もう正規売り場では売ってないかも知れませんが、ハードオフに行くと100
円で売っています。金メッキやOFCと書いた、少し高級化したものは止めた方が無難です。

　そのケーブル自身もチャチなのですが、音質に悪影響がないので、自家用のアンプのシ
ールド線として、頭の赤白部分を切り落として使っているくらいです。本当は、3C-2V等
の高周波ケーブルが良く、私のプリとパワーアンプ間の接続ケーブルには3m程のの3C-2V
がわれていますが、内部配線には太くて使い辛いのです。

　さて、皆様に置かれましては、購入したCDプレーヤー等の機器について来たから何気な
しに使っている、と言う事はないでしょうか。北条さんも言及されていますが、あのA社
の付属ケーブルですら、実は要注意なのです。

322川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Mon Sep 19 14:28:15 JST 2005

日本オーディオ史の掲載が始まります。

　WRアンプの製作・設計をしてくれている平野紘一氏が、メーカーに居たからこそ知り得た
オーディオ史の裏舞台を、軽いタッチで書いてくれる事になりました。オーディオ産業も斜
陽になり、既に時効になった数々の興味深いエピソードが聞けると思います。その過程でWR
アンプの事も勿論話題になるでしょう。

　当分の間、管理の問題もあって「日本オーディオ史」への書き込みはできませんが、ご質
問などがありましたら、どうぞお気楽にこちらのWR掲示板の方に書き込み願います。私も状
況に応じて書き込む事があるかも知れませんが、暫くは氏の軽妙な文章に期待したいと思い
ます。

　どうか、WR掲示板共々よろしくお願い申し上げます。

321北条さん(会社経営) Sat Sep 17 20:51:02 JST 2005

川西先生ありがとうございます。

ということは、ＷＲアンプの場合、スピーカーに依存（音色）する度合いが大なのかも
しれませんね。

話は変わってＡ社のチューナーの付属ケーブルは極太ですが、私は通常の赤白を使用
しています。
ＷＲアンプの場合に限ってだと思いますが、こちらのほうが自然でよいのです。
むしろ、極太を使うと悪くなるので、この点はその性質ゆえと思います。

愛用のヤマハのＮＳ１０００Ｍは20年以上前の仕様ですが、現在のオーディオ機器環境
の中でも何等、不満を感じることがなく、メンテナンスフリーで頑張ってくれているの
で大助かりであり、やはり、名機はいいなあと毎日感謝している次第です。

スピーカーコードも付属の廉価もので十二分の効果が出ておりますので、私の場合は
マッチングとかグレードアップという気持ちそのものが発生しませんので、この点は
幸せなことだと思います。

もともと、80年代初頭に聴いた音が私の評価レベルで及第点でしたので、当然といえば
当然なのですが....。

それと、Ａ社については先生のメーカーアンプ批判の範疇に入ってなかったこと、参考
になりました。

個人といわず、比肩、凌駕できるよう頑張ってください。

320川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sat Sep 17 15:24:16 JST 2005

北条さん、お久し振りのご投稿ありがとうございます。

　αZEROが健在で高水準の音質を保っているとのご報告ありがとうございます。トラブル無しに
動作しているとの事、なによりと思います。確かご使用のスピーカーは日本を代表する名機ヤマ
ハNS-1000Mでしたね。それとの相性も良いのでしょう。


　今回のテーマは音色という事だと思われますが、「音色リニア」という表現は小生自身は余り
聞いた事がありませんでしたが、WRアンプの特徴をよく言い当てた言葉だと思います。アンプは
須らくそうありたいと願っており、WRアンプもそれを目指して作られております。

　アンプに必要な事は、入力された信号をできるだけ損なわずに出力する事であります。「何も
足さない、何も引かない」という表現や、「アンプはストレートワイヤーであるべし」という理
念は正しくこれを表しています。

　これを音色について言えば、信号の音色を少しも変えずにスピーカーに伝達する事こそがパワ
ーアンプの勤めであると思います。「音色リニア」とはよく表現された言葉だと思います。小生
はアンプで音色が変る事は避けたいと思っており、その評価は大変嬉しく思います。

　ただ、WRアンプは全て個人のレベルで作られており、A社のような強力なスタッフと資本力とを
有する老舗のアンプとは比較の対象になりません。例えば、部品一つ取っても、1000個、10000個
単位で購入するのと、1個、2個単位で購入するのとでは、価格にも大きな差が出ます。

　そういう意味でコストパフォーマンスが悪い事は重々承知しており、その事は非常に残念に思
いますが、それでも、全ての点で「リニア」を目指しているWRアンプをご理解頂ける方にお買い
求め頂ければ、それで十分と思っております。

　録音された音がスピーカーに到達する前に、音質、音色を変えないアンプ、それがWRアンプの
目指すところです。

319北条さん(会社経営) Fri Sep 16 20:23:56 JST 2005

ゼロのレポート（その後）

状態も維持しており、音質については問題ありませんが、気づいた点があります。
それは、音色がリニアであることです。
この結果、高域を中心とした音色で構成されたソースの再生はよいとしても、その他
となると、不自然であり、これが、アコースティック主体のクラシック専用アンプ
となる所以かと思いますが、やはり、楽器はそれぞれ音色が異なるものですからここら
辺はそうもいってられないところではと思います。

音色が一色だと、それに強弱濃淡が加わっても木管が金管に、木琴が鉄琴にという
傾向になるので、聴いていると音質、その他はよいのに、水で薄めた酒を飲んでいる
ような感じ（酒の筈なんだが）で、水ではないが、酒とも思えない音となって最終
的にどこか違和感を覚えました。

テレビでたとえるとＮＨＫと民放では色の基準が違います。
従って、両者を比較するとその違いがわかると思いますが、それでも、色そのもの
の違いは明確に区別されているので、空は空色、草原は緑、炎は赤となっており、
どちらかを視ている限り、違和感はありません。

あくまで、私見ですが、水墨画の場合は黒一色の濃淡強弱で表示してよいとしても
原音であろうがなかろうが音色自体はフルカラーで構成されているものですから
このアンプに違和感を覚える人がいたとしたらここが原因ではないかと思います。

最近、Ａ社のチューナーを購入しましてその精度の高さに驚愕しているのですが、
同じく試聴した同社のプリメインアンプ（廉価な最新品）の傾向がゼロプラスプリの
長所を内包していたことにも驚いた次第です。

実は、内外の主要なアンプは使用済みでしたが、唯一、同社だけは私は初めてだった
ので、この点は再考が必要となりました。

負性抵抗、特許回路の有無に関わらず、出口からの音にその差異が聴感的にまで
及ばないということは、また、同社の秘密のテクノロジー所以かとも思いますが、
このあたりについては川西先生はどのようにお考えでしょうか？

当初のインプレは、高域で構成されたソースを主体に聴いていたものですから、
あまり、気づかなかったものですので、その点、補足しておきたいと思います。

318川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Fri Sep 16 18:57:09 JST 2005

UBYTEスピーカーケーブルとそのマッチング

　他人様が長年考えたモノを、簡単にあーだこーだ言うのは慎むべき事ですが、ちょっと
気になった文言があります。それは、渦電流が音を濁らせる、というくだりです。確かに
導線に流れる信号の周波数が高くなるに連れて表皮効果が顕著になり、導体中央に逆向き
の渦電流が多く流れるようになって、順方向電流を阻止します。結果として抵抗が増えた
と同じ効果となって、周波数特性が劣化してきますが、だから音が濁るという論理には飛
躍があります。

　オーディオは斯様に、論理の飛躍が多くオカルト的思考が罷り通るところに、危険が潜
んでいます。しかし、このケーブルのオリジナルは外国にあるようで、そのリンクされた
原文には、表皮効果とか渦電流とかのタームは出てきません。多分、理論より現実の実験
を重ねて、本当に良い音になったのではないでしょうか。その事を疑う気持ちはありませ
ん。いろいろ実験して、音が変ったという報告は殆どウソではないようです。

　このケーブルは、2本の衛星放送用同軸ケーブルの芯線と編素を、それぞれ互い違いに結
び合わせて、結果として2本を並列に接続しています。表皮効果に拘れば、芯線より周りの
編素の方が少ないと考えられますので、互い違いに結ぶ事によって、どちらも平均化して
表皮効果は減ると思います。この事はケーブルの周波数特性向上に役立ちます。

　さて、放送用同軸ケーブルの特性インピーダンスは75Ωですが、それが2本並列に結ばれ
ている事から、単純には37.5Ωになるはずです。もし、その推定が正しければ、マッチン
グ抵抗は37.5オームが最適になります。実際には39Ωが入手できるでしょう。ただし、ア
ンプ側は出荷時に120Ωにしてあるので、スピーカー端子には直接56Ωを並列に抱かせるの
が理想です。

　しかし、両端に37.5Ωのマッチング抵抗が入ると、その抵抗によるパワーロスも無視で
きません。アンプの出力端に並列に挿入される抵抗値は18.8Ωになりますから、8Ωのスピ
ーカーで消費されるパワーの約2.4分の1が無駄に抵抗で消費されます。

　言い換えれば、スピーカーに4.8Wのパワーが供給されている時、実際にアンプは4.8W+2W
=6.8Wを消費する事になります。もっと言えば、スピーカーに19.2Wのパワーが供給される
時、実際にアンプは19.2W＋8W=27.2Wを消費します。これはα1MKⅡのフルパワーに近いの
でアンプの最大パワーが見かけ上約20Wに減少した事になります。

　この事から、使用する抵抗も少なくても8Wの大きなものでないと、黒く焦げて来て危険
ですし、8Wのような大型抵抗の周波数特性があまり良くないので、その事も気になります。
以上の事を覚悟すれば、一応UBYTEスピーカーケーブルを正しく使う事ができそうです。

　一方、そんなパワーロスが有るのならマッチング抵抗を付けないで使う、と言う方法も
考えられますので、一応その場合の結果を定性的ですが考察して置きましょう。

　線路の特性インピーダンスより高い抵抗で終端した場合は、勿論線路の端で反射が起こ
って定在波が立ち、1MHZ以上の高い周波数に次々にピークが現れて来ますが、全体的なレ
スポンスは高周波に行くに従って下降して来ますので、致命的な悪影響はないかも知れま
せん。

　もう一つ考えて置くべき事は、線路をマッチングを取らないで使う場合は線路の線間容
量がアンプの容量負荷になって来ると言う事です。しかもこの場合はケーブルが並列に接
続されていますから、線間容量も2倍になります。アンプによってはそれによって不安定化
して音質に悪影響が出る事も考えられます。

　負性抵抗を排除しているWRアンプに関してはまず心配ないでしょうが、帰還アンプに取
って決して良いことではありませんので、気持ちの良い使い方ではありません。ただ、古
屋さんの結果が良いと言うご報告からすれば、一応問題はないと思われます。

　最後に、衛星放送用同軸ケーブルですが大概のDIY店には、細いロスの多いものとして
3C-FBと3C-FVが、太いロスの少ないものとして5C-FBと5C-FVが置いてあります。例外的に
OFCもありますので、要注意です。OFC線はロスを少なくし感度を上げる為と言われていま
す。FBタイプは編素の内側にアルミ箔があり、編素はメッキ線です。FVは編素のみでメッ
キなしです。FBの方がロスが少ないと言われています。

　このスピーカーケーブルを、私は積極的にはお勧めしませんが、やって見て結果が良け
れば、それもオーディオの楽しみの一つだと思います。MITSUBOSHIに拘っている訳でもあ
りませんので、少しでも良い音でWRアンプを楽しんで頂ければ、それはそれで結構な事だ
と思っています。

ご注意)  39Ωや56Ωなどの低抵抗を抱かせて多量のパワーを加えますと、抵抗が発熱して
火災を起こす危険性があります。実験なさる場合は大音量で行わぬように、又自己責任で
実施するようにして下さい。火災発生の責任は負い兼ねますので、よろしくお願いします。

317日比さん(公務員) Wed Sep 14 10:28:04 JST 2005

早速ありがとうございます

　無伴奏チェロはカザルスの他にハインリヒ・シフとモーリス・ジャンドロンという
チェリストのものを現在所有しております。前者はＣＤ(TOCE-7171)でよくある１，
３，６番の抜粋です。この人の演奏はキレが良いといいますか、技巧がさえていると
思うのですが、テンポが急速調で、ちょっと馴染みにくいという印象があります。も
っとも、早いなと感じるのは冒頭のプレリュードくらいで後はそれほどではないのか
も知れませんが。よく聴いてみると案外彫りの深い印象もあり、現代的な、といわば
言えると思います。

　いつだったか、僕には珍しく、モーツアルトの演奏会に出かけたことがありました。
あれは没後２００年でしたっけ、盛んにモーツアルトが取り上げられた年だったはず
です。指揮者はラトルだったかと思いますが、これが意表をつく急速調の演奏で、な
るほど現代的な解釈とはこういうものかと思った覚えがあります。

　後者の方はＬＰ(13PC-143～44)で、こちらは悠揚迫らざる、といいますか、ゆった
りとした大きさを感じさせる演奏だと思います。

　それから、マイスキーの演奏を聴きに行ったことがありました。実演の場合は聴き
返すことが出来ない（あたりまえか）のでその時の印象で語るしかありませんが、さ
すがに名手の演奏といいますか、流麗な中に風格を備えたもののように僕にはきこえ
ました。

　フルニエとシュタルケル、どちらも聴いてみたいと思います。圧倒される、という
シュタルケルの演奏、ちょっと楽しみです。

　平均律クラーヴィア曲集はグレン・グールドの全曲集(60AC1776～9) を持っている
だけです。以前、職場の同僚がグルダの作品について、聴いていると壮麗な建築を思
わせる、旨の感想を漏らしたことがあって、以前から聴いてみたいと思っていたとこ
ろが、この間の試聴会で思いがけずも持ってきて頂きました。あれは最後の部分でし
たっけ、あれだけ聴いても素晴らしいということは分かりました。これもぜひ、手に
入れようと思います。

　グールドのバッハは色々言われているようですけれど、２度目の録音のゴルトベル
ク変奏曲(28AC1608)を初めて聴いて衝撃を覚えたのは記憶に鮮明で、僕は大変気に入
っています。

　それから古屋さんがこの間書いてくださった面白い自作スピーカーケーブルのペー
ジ覗いてみました。いつか作ってみようと思っているのですが、終端の抵抗はこの場
合でも１２０Ωで良いのでしょうか。

316川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Tue Sep 13 18:01:01 JST 2005

日比さん、クラシック音楽に関するご投稿ありがとうございます。

　最近、私の一人相撲のようなかたちになっていて、些か寂しい想いをしていましたので余計
嬉しく拝見しました。

　私には悪い癖があって、基礎教科は別にして他人様の書いたものは必要に迫られるまでは余
り読まない、という傾向があります。それは、研究職に就いてからは、自分のオリジナルなも
のを生み出す事こそが一番重要だと考えて、何時も頭を空っぽにして、これまでの常識に捉わ
れない、独自の閃きを大切にして来たからです。

　これまで日本の伝統的な研究方法は、欧米に追い着く為に先ず文献を調べるところから始ま
り、遣り残している所を重箱の隅を突付くようにして探し、そこから研究テーマを決めるとい
う、完全に後追い型が多かったのです。ある意味では仕方が無かった一面もありますが、良い
意味でも悪い意味でも、今の日本の根幹をそれが決めたと言えるでしょう。

　最近では、ノーベル賞受賞者も増え、工学に於いても青色LEDなど、日本独自の科学・技術が
発展しつつあり、日本も本物のオリジナルを生み出す体制が少しずつ整いつつあるように思い
ます。今後の日本を救う為にも、真の科学技術の発展を心より願うものです。

　前置きが長くなりましたが、私の音楽に対する姿勢も同じで、気に入った曲・演奏は自分の
考えで探して決めています。その為、私の趣向は必ずしも一般的ではないかも知れません。し
かし、ハイフェッツのメンコンを一番に推薦している方が居られたと聞いて嬉しく思いました。
ハイフェッツの、音程が絶対崩れないあの完璧さは本当に素晴らしいですね。

　ところで、日比さんは私とは反対にメインにはジャズをお聴きになるのでしたね。クラシッ
クでは、バロックがお好きだとか。確かに、バロックの方がリズム、メロディー、ハーモニー
が単純なので、ジャズに通じる部分が多くあり、昔からジャズに編曲されたバロック音楽は多
くあったように思います。ブルックナーやマーラーをジャズに編曲したと言う話は余り聞きま
せん。

　さて、無伴奏チェロ組曲ですが、私は2枚推薦します。1枚はチェロの貴公子フルニエ盤です。
初めはLP(198356/58)で聴いていましたが、CD(449711-2)も買いました。録音は古く1960年です
が、今でも十分聴ける音質を保っています。安保で日本中が荒れ狂っていたあの頃にハノーヴ
ァーで録音されていたのですね。演奏は気品に満ち、端正な演奏スタイルは誰からも好かれる
でしょう。

　フルニエ盤に物足りなさを感じる方には、シュタルケル盤を推します。私はLP(15PC-107/09)
しか持っていませんが、当然CDも出てるでしょう。先日もベリリウムカンチレバー+ヘッドアン
プで聴きましたが、演奏・録音共に凄いの一言に尽きます。ちょっと圧倒されそうです。

　心安らかに聴きたければフルニエかも知れませんが、構えて聴くにはシュタルケルでしょう。
この録音も1963-65年の間にニューヨークで行われていますが、シュタルケルがシカゴ響の主席
チェリストを辞めた直後の録音だと思われます。

　その昔、同じシュタルケルのコダーイの無伴奏チェロ組曲が米ピリオド盤から発売され、松
脂が飛び散るような演奏と言われた事が思い出されます。昔は思い切った特色ある演奏・録音
がありました。今の演奏・録音には強烈な個性が感じられず、箱庭的に聴こえるのは私だけで
しょうか。

　最後に、バッハの平均率クラヴィーア曲集第一巻ですが、私はグルダを推薦します。デムス、
スコダと共にウィーン三羽烏と言われていましたが、その中では異色であり、ジャズの真髄を
取り入れた演奏は賛否両論ありました。私はグルダのモーツァルトのP協はあまり好きになれま
せんでしたが、このバッハは文句無く良いです。やはり向いているのでしょう。

　実は7月のデモの日にもテスト盤として使用しましたので、あるいは憶えて頂いているかと思
います。第1曲のプレリュードは心洗われるような清く美しい演奏ですし、第24曲のフーガは引
き込まれるような力強い名演です。第二巻もありますが、第一巻の方が親しみ易いですね。

　知らず知らずの内にバッハの世界に引き込まれます。やはりこれはピアノ版がいいですね。
ちょっとデッドなピアノの音もよく録れていると思います。あの時はヘッドアンプのデモも兼
ねていましたので、テイチクから発売されたLPで、MPSレーベル(ULS-3187/9)を使いました。

　1972年にドイツのMPSスタジオで録音されていますが、同じ音源が現在はフィリップスからCD
(446545-2)として発売されています。今日、CDの音も改めて聴いてみましたが、プリがバラン
ス入力の為かピアノの響きが安定し、LPと遜色なくいい感じで聴く事ができました。

　昨日、バランス入力とアンバランス入力を瞬時に切替ができるように、プリに手を加えまし
たので比較視聴が簡単に行えるのですが、ちょっとした違いにも拘わらず、このバランス入力
の安定感には心惹かれるものがあります。

　皆様に於かれましても、もしCDプレーヤーやDACなどを買い換えるチャンスがある時は、バラ
ンス出力の付いたものも検討されてみては如何でしょうか。

315日比さん(公務員) Tue Sep 13 10:36:55 JST 2005

ハイフェッツのメンデルスゾーン
　
　クラシックはバッハのものをのぞき、ほとんど知らない私ですが、この間川西先生の書いて
おられたハイフェッツのメンデルスゾーンとチゴイネルワイゼンのＣＤは持っています。
　僕の好きな小説家に、宮城谷昌光という人がいます。中国の古典を題材に歴史小説を沢山も
のしている作家ですが、この人が好きなクラシック音楽に言及した新書を書いています。「ク
ラシック千夜一曲－音楽という真実」という本です。今奥付を見たら１９９９年の１２月に初
版が出ています。集英社新書ですが、この本の冒頭の第一夜がメンデルスゾーン　ヴァイオリ
ン協奏曲で、６種類の同曲のＣＤの聴き比べをして、それぞれの印象とともに、自身の想い出
等が語られる、なかなか興味深い一章です。さてその中で、第一に勧められているのが、この
ハイフェッツ盤な訳です。そんなわけで僕も買って聴いてみようかという気になったのでした。
　他の人の演奏を知らないせいで、何とも言えないのですが、あえていえばこの人の演奏は完
璧だな、という感じです。テンポといい、音色といい、文句のつけようがない。この曲はこう
あるべきだ、という姿がそこに提示された、といえばいいでしょうか。有名な曲だけにクラシ
ックをあまり聴かない僕にも何となくのイメージは浮かべられるような気がしています。比較
の対象にはならないと思いますが、たとえばバッハの無伴奏チェロでは必ず第一に挙がるカザ
ルスの演奏、これを聴いたときとは全く異なる印象です。両者の演奏する楽器も異なるわけで
すが、そもそも音楽というものへのアプローチの仕方が違うんだな、という気がします。上手
く言えませんが。
　さて、そこでバッハの無伴奏チェロの推薦盤をどなたかにお願いしたいと思うのですが。も
うひとつ、同じくバッハの平均律クラヴィア曲集も合わせて推薦していただけるとありがたい
です。

314川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Fri Sep 9 18:44:00 JST 2005

WRアンプをお買いになる前に考えて頂きたいこと

　これまでにWRアンプの特徴を機会ある毎に申し述べて参りましたが、ここで改めて書き記して
お買いになる予定のある方に、是非参考にして頂きたいと思います。

　WRアンプは、私がクラシック音楽の実演を聴きに行った時の、あの感動的なサウンドをなんと
か我が家で再現できないか、という素朴な願望が昇華されて実現したアンプです。ですから先ず
第一のポイントはアコースティックな楽器の再現に力点が置かれているという事です。

　そういう意味ではジャズにも共通点があり、聴く音楽がクラシック音楽に限定されるべきもの
ではありませんが、電子楽器を多用する音楽に向いているかどうかは分りませんし、かなりイコ
ライジングされた録音にも不向きかも知れません。何れにしても生の音楽を家で再現して楽しむ
為のアンプであり、オーディオ的爽快感やムーディーな癒しの音を満喫するアンプではありませ
ん。

　オーディオファンの中には音に溺れるあまり、実在しない想像上の音を求めて遍歴する方が居
られますが、WRアンプはそういうオーディオ的興味の対象には成り得ません。ただ、音楽を楽し
むアンプに巡り会えずに、自分の意志とは無関係に遍歴を重ねて来られた方はこの限りではあり
ません。

　実演の音をスピーカーで再現する事こそ、HiFiの名の下にこれまで種々のメーカーが研究を重
ねて来た最終目標だったのですが、実はこの事は非常に実現が難しかったのです。何百種類とい
うアンプが世の中に送り出されたにも拘わらず、結局決定版的アンプに到達する事ができなかっ
たという事実がそれを物語っています。

　その事が先に述べた、自分の意志とは無関係に遍歴を重ねる人を増やし、その結果オーディオ
に失望して他の趣味に転じる人を増やしてしまった、と私は見ています。一時は輝かしく煌いて
いたオーディオ産業も、今は見る影もありません。大メーカーは殆どオーディオから撤退してし
まいました。厳しく言えば、それは自業自得なのです。アンプを甘く見て、真剣に、あるいは謙
虚に研究しなかったからでしょう。

　私も同時期にアンプの音質改善に取り組んでいました。メーカーの多くがアンプをオーディオ
帯域に的を絞って研究したのに対して、私はその帯域には早めに見切りをつけ、高周波帯域を中
心に研究を重ねたのです。

　前にも書きましたが、私は高校の頃には無線機にも興味をもち、オーディオとの二刀流使いを
していました。自分で短波帯の送信機を作ったり、感度の良いダブルスーパーの受信機を組み立
てたりしていましたので、高周波のセンスは自然に身に着いていました。SWRの概念もこの頃には
理解していました。そうしないと、電波は飛んでくれませんでした。

　余談になりますが、まだ街頭テレビが主流の時に、家に有った5インチ程のオシロを使ってテレ
ビを作り、黎明期のテレビ番組を楽しんだ事もありました。初期のテレビは夜が更けるとテスト
パターンを流し、放送が終了したのです。その時にしばしばバックグラウンド・ミュージックと
して流れた曲に、マントバーニの「魅惑の宵」や「シャルメール」がありました。今でもこの曲
を聴くと当時の事が髣髴として来ます。音楽というのはそう言うものなのでしょう。

　さて、オーディオと高周波は水と油みたいなところがあり、同じ電気屋でも二つに分かれてい
て、普通はどちらかに偏るのです。ですから、オーディオ屋には高周波の事は見えませんし、高
周波屋は音質など殆ど気にしません。アース方式から全く違うのです。

　多分、この事がオーディオアンプの正しい発展を阻害したのでしょう。私は、高周波がアンプ
に深く関与してしている事に気が付くまで、そう時間が掛かりませんでした。そう、もう30年近
く前から高周波帯にまで広げた、オーディオアンプの研究を始めていたのです。
　
　しかし、学会で発表しても、技術雑誌に書いても、当時のオーディオ界から無視され続けたの
です。耳に聴こえない範囲の帯域がオーディオ帯域に関係するはずはない、などいろいろ言われ
ました。しかし、私の勤務校に理論物理学を専攻する同好の先輩が居られ、私の考えをバックア
ップしてくれました。お陰で孤軍奮闘ながら研究を続行できたのです。

　その結果、二段増幅器の高周波変調メカニズムに関する論文を仕上げる事ができましたが、そ
れでも世の中からは無視され続けたのです。もう、学会は当てにできないと考えて、特許を取得
して実際にアンプを自分で売り出して、判定はユーザーの方にして貰うより、戦う方法はないと
考えたのです。そう、これは私の戦いでもあるのです。

　以上のような経緯で生まれたWRアンプは、オーソドックスなアンプとは本質的に違っています。
そのポイントは内部に負性抵抗を含まない事です。この事がアンプの取り扱い方を大きく変えて
しまいます。例えば、オーソドックスなアンプはOFC等のアクセサリーが音を整えるのに重宝がら
れますが、WRアンプでは寧ろ余計なものとして有害になります。

　そういう訳でWRアンプをお買いになるという事は、大げさに言えば従来のオーソドックスなオ
ーディオと決別する勇気が必要になります。従来から言われているオーディオの常識が必ずしも
通用しなくなるのです。ですから、予算の関係で最初にパワーアンプのみをお買い頂いた場合は、
他社製のプリを使っている限りWRアンプの本領は発揮されないと思って下さい。国内最高級品を
使っても、程度の差こそあれ、その悪影響から逃れる事はできないでしょう。

　つまり、負性抵抗のあるアンプ類を繋ぐと、どうしてもその欠陥が表に出てしまい、それが支
配的になってしまうからです。確かにプリとパワーをセットでお買いになるには高額な出費が必
要です。当分そのような負担が無理な方の為には、安価なプリメインが用意されています。

　ですから、パワーアンプのみをお買い上げ頂いた方で、今一つ満足できない場合は是非プリア
ンプを追加注文なさって下さい。プリアンプの有効性については、これまでに何人もの方がこの
掲示板等で発言されていらっしゃいますので、確かな事として確立しています。特に最近開発し
たバランス入力を有したプリの効果は絶大です。多分、CDプレーヤー等のデジタル機器とパワー
アンプの分断が確実に行われ、パワーアンプの能力が100%発揮されるからでしょう。

　最後にご使用になるスピーカーについて触れさせて頂きますが、クラシック音楽にはヨーロッ
パ製が、ジャズにはやはり米国製が適していると思います。やはり、その国の音楽を聴く限りそ
の音楽が生まれた国の技術者が開発したものには敵わないと思います。そういう意味で残念では
ありますが、同じ金額を出すのなら日本製は避けた方が良いでしょう。

　それは、音楽の聴こえ方より物理特性を拠り所に設計されるからです。日本人にも訓練された
耳を持った技術者が居ないわけではありませんが、何と言っても、ヨーロッパや米国の人は生ま
れながらに訓練されている場合が多いのです。西洋音楽に関する音造りは彼らが有利なのです。

　負性抵抗の無いWRアンプと音楽を聴くのに相応しいスピーカーを正しく使って、是非生の音楽
を家で再現する楽しみを味わって下さい。

313川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Tue Sep 6 18:00:15 JST 2005

バランス入力回路を備えたWRプリアンプの可能性

　信号伝送方式にはバランス方式とアンバランス方式がある。バランス方式は、正相(ホット)
と逆相(コールド)の180度位相の違う2つの信号を、3線方式で同時に伝送する方式であり、マイ
クケーブルやラインケーブルを長く引き回すような場合でも、同相成分として入り込むハムノ
イズをキャンセルして、信号のみを安定供給できるメリットがある。

　バランス方式は放送局のようなスタジオでは必須なものとして使われているが、これを必ず
しも必要とは思われない民生用オーディオでも使おうとする動きが何時頃からか始まり、一部
ハイエンドオーディオ製品に装備されていて、バランス方式イコール高級オーディオというイ
メージが確立している。しかし、バランス方式の音質が必ずしも良くないと言う声も聞かれて
いた。

　バランス方式を実現するには、入力側又は出力側に中間タップを有するトランスを使用する
のが慣例であったが、トランスは周波数特性、ひずみ特性などに問題が無い訳ではなく、段々
電子回路技術で置き換えられてきている。その代表的な回路が差動増幅回路であるが、ディス
クリートで組むと煩雑になる為に、しばしばICオペアンプが使われている。

　オペアンプは多量の帰還が掛けられた高帰還アンプであるから、トランスとはまた違った深
刻な問題点を含んでおり、上述したように必ずしも良好な音質が得られない事が指摘されてい
る。そういう事もあって、これまでWRでは全てアンバランス方式でシステムを考えてきた。

　しかし、今回あるWRユーザーの方から、バランス方式の出力端子しか持たない機器を使いた
いので、オプションでバランス入力が可能なWRプリアンプを作って貰えないかと言う問い合わ
せがあった。初めは、キャノンジャックを付けてホット側のみ生かす方式なら対応できる、と
回答をしたのであるが、平野氏と話し合う内にWR回路を使った本格的なバランス－アンバラン
ス変換回路を考えて見る事になった。

　バランス方式は、オペアンプを使って行うから音質に対する疑問が残るのであって、特許を
有するWR回路を使えば、高音質が期待できるという考えに基づいていた。平野氏と大体の打ち
合わせを行い、平野氏は計測上の問題点が無いかどうか、私は音質に問題がないかどうかを別
々にチェックする事になった。

　私は、WRプリに使われているラインアンプの回路を、2倍のゲインをもつバランス入力回路に
設計変更し、ホット側もコールド側も2倍のゲインになる事を確認してから、何時も新しい回路
をテストする時にやるように、愚息の耳を煩わして音質確認を行う事にした。バランス出力を
もつDACとしては、アンバランス出力で何時も使っているアキュフェーズDC-91を使う事にした。

　最初、エージングが進んでなかった事と、急遽買った安物キャノンケーブル(実はOFCだった)
のせいで、なんとなく篭った感じであったが、時間と伴に解像度も上がって、これまでに聴い
た事の無いような安定感のある、いい感じの音で鳴りだしていた。その事は息子も私も同時に
気が付いていた。

　かなり音質がこなれてきたものの、やはりOFC独特の抑え付けられるような感じが気になった
ので、マイクケーブル用に息子が買って置いたカナレの5mのケーブルに変更したところ、変な
癖は解消し、破綻とは対極にある非常に安定感のある音になった。例えて言うなら、パワーア
ンプを非常に良質なハイパワーアンプに変えたような感じで、あの実演の安定感を彷彿とせる
ものとなった。

　神経質さなどは微塵もなく、楽器の音色が太く力強く聴こえるようになった。解像度も決し
て悪くなく、アンバランスの時に感じる、微細構造が精緻に浮かび上がるものとは趣が違うも
のの、楽器の位置関係がよく分るような、パースペクティブ感を伴う解像度となった。それは
先頃発売したWRP-αZEROHDのヘッドフォン端子で聴く安定感と一脈通じるものだった。音量を
上げてもこの安定感は変らず、50WパワーアンプαZEROの真の実力を見る思いがした。

　これが何の為に齎されたのか、DC-91のバランス出力がアンバランス出力より良くできている
為なのか、同相成分のノイズが打ち消されるバランス方式の音質はそもそもこういうものなの
か、はたまたバランス入力に設計変更したラインアンプのバッファリング能力が高まり、DACか
ら幅射される高周波ノイズを上手く吸収してくれた為、パワーアンプの実力がフルに発揮され
た為なのか定かではないが、決して悪くない結果から見て、こういう楽しみ方も明らかに存在
すると思った。

　逸る心を抑えて平野氏に完成した回路図をFAXし、平野氏から送られて来た実験回路図と突き
合わせて話し合ったが、奇しくも2つの回路は全くと言っても良い程に一致していた。2人が別
々に考えた回路が定数を含めて細部まで合致した事、計測上全く問題が無かった事、音質評価
が非常に良かった事などを考慮して、本格的なバランス入力回路をもつWRプリアンプの見通し
が立ったのである。

　これまで、殆どのバランス入力回路がICオペアンプ、又は不安定な高帰還差動増幅回路によ
って実現されていた事から、バランスのもつ真の姿が掴み切れない憾みがあったが、ここに特
許を取得したWR回路技術をもってその疑問点が解消され、バランス方式の真の姿が垣間見れた
と思う。

　バランス出力をもったCDプレーヤーやDAC等の機器の中には、IC等の安易な回路でバランス出
力を構成するものが多い為、必ずしもバランス方式の音質が優れたものになるとは限らないが、
優れたバランス出力回路を備えた機器を用いれば、アンバランス方式ではなかなか楽しめない、
安定感のある良質な音質を享受できる事が明らかになった。

　まだ実験段階なので、価格や発売時期などは未定あるが、バランス入力を備えたWRプリアン
プに、どうかご期待頂きたいと思う。

312川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Tue Aug 30 18:47:30 JST 2005

ハイフェッツのチゴイネルワイゼン

　先日ある方の形見であるLPを20枚程度頂いてきた。CDもそうであるが、曲目、演奏、録音の
バランスのとれたディスクはそうあるものではない。正直、余り期待していなかったのである
が、その中にハイフェッツのチゴイネルワイゼンがあった。メンコンとチャイコのV協がカップ
リングされた、超お得なLPだった(SX-2002)。

　これまでにもハイフェッツのV協は、シベリウス、ブルッフ、ヴュータン、グラズノフ等を
聴いていて、そのテクニックと音楽性のバランスの良さに聴き惚れた事があるので、今回の曲
目、その中でもチゴイネルワイゼン(ジプシーの歌という意)には大いに興味が湧いてきた。

　それと言うのも私が小学生の頃に、兄か書生さんかが買ってきたチゴイネルワイゼンのSPが
我が家にあり、よくコブラ型ピックアップの付いたビクターの電蓄が家中に鳴り響いていたの
で、自然にその曲を覚えていたからである。確か、RCAビクターの赤盤だったので、演奏はハ
イフェッツに違いなかった。昔から、チゴイネルワイゼンと言えばハイフェッツ、というのが
通り相場だった。

　その後高校までハイフェッツとは縁がなかったのであるが、英語の購読の先生が、偶々音楽
評論家(Mr.M)だったので、リーダーの中身にクラシック音楽の記述があった。ブラームスの第4
交響曲を聴くには、行き成り頭から聴かなくても、聴き易い第3楽章から聴くと入門し易いとか、
そういう内容が書かれていた。

　何の話からか、その先生の音楽談義が始まり、ハイフェッツの演奏会に行った時の思い出を
語ってくれた。顔は厳しくニコッともせず、寧ろ厳つい雰囲気であったが、奏でられたバイオ
リンの音色は、この世のものとは思われない素晴らしいものだった、と熱く我々に話してくれ
たのである。

　それ以来、機会があったらハイフェッツのLPを買ってみたいとは思っていたが、録音を優先
してLPを選んでいた事もあって、実際に買ったのは上述のシベリウスとブルッフのV協が初め
てだった。その音質は格別に良いとは言えないものの、十分楽しめる程度のものであったのだ
が、もう1枚買おうという気にはならなかった。

　そんな訳で、ハイフェッツが演奏する3大V協を含む重要なV協を聴かないまま今日を迎えてい
たのである。だから今回、メンコンとチャイコのV協には多少の興味は抱いていた。

　いよいよチゴイネルワイゼンに針を落としてみた。出てきた音は聴き慣れないモノ的音だっ
た。後で調べて分った事であるが、1951年録音の擬似ステレオだった。1951年と言えば私は小
学生だったので、もしかするとあの時の赤盤と同じ音源の可能性があるのだ。1951年当時は未
だSPの時代であったからである。ちょっと、感無量になった。

　オケの音はひずみがちでお世辞にも良いとは言えないが、バイオリンの音は下手なCDより良
いくらいの水準で、十分ハイフェッツの技巧を楽しめる音で鳴ってくれた。勿論、ベリリウム
カンチレバーとヘッドアンプを使っての再生だ。50年以上前の音が蘇ったのだ。

　改めて聴いてみて、ハイフェッツのチゴイネルワイゼンはやはり素晴らしい。この演奏を凌
駕するものは、永久に現れないのではないかと思ってしまった。現代のバイオリニストがこの
演奏を聴いたら録音を躊躇するだろうと思う。ただ技巧に走った演奏ではない。サラサーテの
音楽をものの見事に表現している。

　興奮が治まってから、次のバンドのメンコンを聴いてみた。ミュンシュ／ボストン響をバッ
クに少々早めのテンポで弾きまくる演奏は、決して甘いメンコンではないが、何故か非常に新
鮮に聴こえた。やはりミュンシュという大物も只者ではなかったのであろう。

　巨匠同志がぶつかり合った時にのみ起こり得る名演が繰り広げられていた。残念ながら、現
今ではこのような一期一会的なものはもう起こらないのではないだろうか。独奏者も指揮者も
それぞれが小粒になってしまったからだ。

　録音も1959年のステレオ録音でチゴイネルワイゼンより遥かに聴き易かった。当時の英国デ
ッカには及ばないにしても、RCAビクターの録音もHiFiではないけれど、音楽的には十分楽しめ
る水準で録音されている。WRアンプは当時の雰囲気を損ねずに上手く演奏者の魂を引き出して
くれる。これで、裏面のチャイコのV協にも期待が膨らんだ。
　
　日を変えて、裏面に入っているチャイコのV協を聴いてみた。こちらも1957年のステレオ録
音で、バックはライナー／シカゴ響である。今なら、こちらもミュンシュに揃えるところであ
るが、当事はそういう商品としての帳尻合わせなどせず、あくまで良い演奏の組み合わせを優
先したのではないだろうか。こちらの演奏もまた見事である。

　ライナーもミュンシュと並んで当事の大物指揮者であったが、RCAの録音という理由だけで
若い頃は余り触手が動かなかった。しかし、ライナーはシカゴ響に長期に亘って君臨し、シカ
ゴ響の実力を高めた事で有名であった。アメリカの古きよき時代の象徴でもあろう。シカゴ響
は、ショルティによって救済されるまで、ライナー亡き後一時低迷した事は誰も否定できない
だろう。

　さてこの曲に於けるハイフェッツの演奏であるが、これまでに何枚か聴いたチャイコのV協
では聴いた事のない奏法が随所に現れる。楽譜が違うのか、アクセントの付け方が違うのか、
兎に角聴きなれた曲だからこそか、「オヤオヤ」と感じるところがある。それは決して不愉快
ではなく、これが本当なのかも知れないと思わせる。シカゴ響のバックも一流オケの証を随所
に見せる。
　
　LPの解説を読むと、チャイコフスキーは自分のV協を当事のバイオリンの大家レオポルド・ア
ウァーに献呈しようとしたが、アウァーは「演奏不可能な難曲」と言って演奏を拒否し、事実
上この曲を葬り去ったのである。その3年後にウィーンフィルの演奏会で初演されたのであるが、
またもや当事の批評家ハンスリックに「悪臭ふんぷんたる作品」と酷評されてしまったそうで
ある。

　しかし初演に協力したバイオリニスト、ブロドスキー(オイストラッフの恩師の先生)の努力
により段々このV協の真価が認められて、結局アウァーも前言を撤回して積極的に演奏するよ
うになり、この曲が広く愛好されるようになったという事である。

　だから、アウァーの門下生は伝統的にこの曲を得意にしているが、アウァーの教えを受け
たハイフェッツが、この曲の演奏に優れた才覚を有しているのは寧ろ当然であろう。アウァー
門下生がこの曲を演奏する時に、アウァーから授かった伝統的な奏法があるのかも知れない。
一聴に値する名演である。

　こうなると、今はシェリングで満足している、ベートーベンとブラームスのV協もハイフェ
ッツで聴いてみたくなる。調べて見ると、どちらも1955年の録音とあるので録音状態が心配
であるが、WRアンプならば音楽を楽しむ程度には鳴ってくれるものと期待できる。WRアンプ
は実は古い録音に対しても強いのである。

　古い録音は帰還アンプの弱点を突き、不安定な状態にアンプを励起する音波形を包含する
ので、普通は実際の音質より聴き辛く感じる事が多い。負性抵抗を除去したWRアンプはそう
いう波形にも耐えて不安定に陥る事がないので、録音当時の波形が自然に増幅されて、当時
の音が鮮やかに蘇るのである。

　だから、無縁と思われるSPの再生にもWRアンプは威力を発揮する。フルトベングラー、ワル
ター、トスカニーニ、クレンペラー、フリッチャイ等の古い録音を中心に聴く音楽ファンにも、
実は、WRアンプは大いに適しているのである。


＊  ＊  ＊  リサイクル部品を利用したWRP-α1MKⅡ2台完成！  ＊  ＊  ＊

  いよいよ初めての試みであるリサイクルアンプの準備ができました。WRアンプご購入のチャ
ンスです。15%引き且つ即納です。この機会をお見逃しなく。お申し込みは8月31日20時以降に
  masters@sannet.ne.jp
までメールでお願いします。(それ以前に届いたメールは無効になりますのでご注意下さい)

311川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Mon Aug 29 23:41:51 JST 2005

お暑い中、日比さん、古屋さんご投稿ありがとうございます。

　日比さん視聴会以来かと思いますが、αZEROへのアップグレードお迷いのようですね。いずれは
その時期が来るとは思いますが、暮れにはヘッドアンプも発売する予定ですから、予算配分をじっ
くり考えて頂ければ幸いです。α1MKⅡの方を支持される方も明らかに居られますから、ご自分との
相性も含めてご検討頂きたいと思います。

　さて、旧型のCDプレーヤーですがDAC部分はまだしも、やはりメカが伴うトランスポート部は新し
いものの方が良いと思います。日比さんも指摘されていますが、古いものにはCD-Rが再生できない
物が多いですし、ピックアップ部分の進歩は確実に進んでいるからです。

　DVD-AUDIOのソフトは少ないかも知れませんが、全てが再生できるマルチプレーヤーをお勧めしま
す。DVD-AUDIOは自分で簡単に作れるからです。私は視聴会でも使ったTEACを偶に使っています。非
常に真面目な音で、愚息が使っているマランツに比べると地味な音ですが、必要にして十分な音質
であり、変な癖が無くて良いと思います。それに手頃に買える価格が嬉しいですね。アナログ部に
できるだけICを使っていないものを選ぶのも、一つのコツかも知れません。

　古屋さん、αZEROを気に入って頂いたようで、ありがとうございます。BTL接続にするとアンプの
ゲインは6dB上がるので、同じツマミの位置では音が大きく聴こえて正解です。確かに、BTL接続す
ると細やかなニュアンスが薄れる傾向にあるかも知れませんね。その代わりパワーはアンプ単体の
少なくても3倍は出るので、100Wは確実に越えていると思われます。

　パワーが出るという事はアンプの負荷が低くなる事を意味しますので、そういう意味では音質を
多少犠牲にしているところがあるのかも知れません。パワートランジスタの負荷が重くなると一般
にひずみが増大します。バランス回路を好む方には支持されていますが、パワーも増え音質も向上
するような夢の回路ではないようですね。

　ところで、4チャンネル再生にもご興味がおありのようですが、同軸4連ボリュームは市販されて
いますので、現行プリを4ch対応にグレードアップする事は技術的には可能です。古屋さんの使い
勝手が良いように、細かなご希望を平野氏に伝えて、お気に召すプリにして貰って下さい。

　その時にリアー用のアンプには、当然α1をお使いになると思います。ご使用になるスピーカー
にも依ると思いますが、フロント用のαZEROとの相性は当面問題ないとは思います。しかし、聴き
慣れて、微妙な段階になると将来的にはその違いが気になってくる可能性もあり得ます。

　そういう意味では、αZEROとα1単体との音の違いを正確に見抜いて置かれる事も必要かも知れ
ません。2つのアンプの聴き比べは視聴会で既に実施済みですが、古屋さんのところに実際にある
アンプで行うのが一番現実的かと思います。又のご報告をお待ちしています。

310古屋さん(公務員) Sat Aug 27 00:50:53 JST 2005

お久しぶりです　古屋です。

　αZEROにアップグレードして１ヶ月ほど経つでしょうか。
なかなか仕事が忙しく、じっくり聴く機会がないままに過ごしています。
十分に聴いてはいませんが、今までα１を２台使いBTLで聴いていたのとαZEROとの違いを
書きますと、同じ程度の音量を出すのに、BTLですとプリのボリューム位置が10時、αZEROでは
11時位の位置になります。BTLの出力がαZEROの出力に勝るのだと思います。
音色の傾向はさすがに両者似ていますが、雰囲気は異なります。
あえて両者を比較しますと、BTLは比較的硬い音、αZEROは柔らかくおおらかな音と言った
印象です。また、音が小さくなり消えるときの雰囲気・静寂さはαZEROの方が圧倒的に良い
です。BTLは、高出力を得るには良いのでしょうが、長い間聴いていますと漠然とですが
不自然さを感じてしまいます。これは、αZEROを聴いたからこそ言えるのですが。
音場の広さは、どちらでもそれほどの違いは感じません。
聞き比べて感じることは、自動車の排気量差による違いに似ていることです。
BTLは、さしずめ小排気量の車をきめ細かくチューニングして高出力を出している感じ。
αZEROは大排気量の車をゆったりと流している感じで、アクセルを踏み込めばどこからでも
高出力が得られるといった感じです。
どちらの車も高速走行が得意ですが、そのゆとり感は違ってきます。その違いに似ていると
思います。まだ、十分に聴き込んでいないですし、上手い表現ができませんのでこのような
表し方になってしまいますが、お分かりいただけるでしょうか？
また、α１とαZEROの比較をしていませんので、この部分には触れられませんが手元に
どちらのアンプもありますので、時間がとれましたら聞き比べたいと思っています。
　
　日比さんがCDプレーヤーについて書かれていますが、私のCDトランスポートはパソコン
です。通常のパソコンではなく、トランスポートに特化したものですがハードディスクに
CDを読み込み、演奏するときはハードディスクからメモリーに読み出して演奏するものです。
演奏時は、回転系がないためでしょうか、まだまだCDで十分と思っています。

 スピーカーケーブルは、私もMITSUBOSHIスターソフトを使用していたのですが「DIYで高
性能スピーカーケーブ（http://dotlabo.cside.com/audioEssay/speakerCable.html）」
を参考に、同軸ケーブルを利用してスピーカーケーブルを作ったところ、スターソフトより
良さそうです。千円程度で作れるケーブルですので、是非みなさん試して下さい。

309日比さん(公務員) Fri Aug 26 23:38:40 JST 2005

皆さんどうしていますか？

　最近投稿が少ないですね。僕も特に書くこともないのですが、ちょっと挨拶を、と思
いまして。目下、パワーアンプのアップグレードをしようかということで迷っていると
ころです。試聴会での印象は前に書いたとおりなのですが、我が家のリビングでどうな
のか、ということになると話はまた別のような気がして、一寸踏みきれないでいます。
もちろんコストのこともありますが。同じお金をかけるのならばプレーヤーもそろそろ
かな、という気もしないではありませんし。
　この間立ち読みしたＡＡ誌で石渡博氏が紹介しているビンテージもののＣＤプレーヤ
ーの記事を目にし、デジタルものは新しい方がいいはず、と思っていた僕には一寸新鮮
な印象がありました。近くの中古屋で、型番は忘れましたが、フィリップスの古いセパ
レートプレーヤー（多分当時の定価￥６００．０００くらいの物）なんかが出ていて、
これなんかどんな音がするんだろうなー、なんて思いました。僕はサブシステムで、マ
ランツのＣＤ８４というのを現用していますが、これがフィリップスのスイングアーム
とかいうメカニズムを採用しているとかで、良いんだということをどこかで聞いたこと
があります。そう言われりゃありがたい気もしますが、比較してみると、現在の主力の
デノンのプレーヤーに比べると音が平たい感じで、やっぱり時の隔たりを感じたりしま
す。それより、ＣＤ－Ｒがかからなかったり、音飛びが生じたりというのが目下の悩み
で、いっそユニバーサルプレーヤーにしようかな、なんて思ったりもしています。どな
たかアドバイスをしてくださるとありがたいのですが。
　それから、古屋さん、その後はいかがでしょうか？僕も試聴会の感想をアップしたわ
けなので、興味を持っています。無理に、ということではありませんが何か書いてくだ
さるとありがたいです。

308川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Fri Aug 26 17:50:00 JST 2005

負性抵抗は何故アンプの音質に有害な影響を与えるのでしょうか？

　前回は、コイル、コンデンサ、抵抗の各素子が直列に接続される直列共振回路について言及し
ました。そして、抵抗が負の値を示す場合はその共振周波数で自励発振が起きる事を説明しまし
た。即ち、ある切っ掛けで起きた小さな電気振動が徐々に大きくなって行き、何らかの制限が掛
かるまでその振幅は限りなく増大していきます。

　何故負性抵抗があると振幅が増大してしまうのでしょうか。それは直列共振回路の過渡応答を
計算するとよく理解できます。直列共振回路に流れる過渡電流をその微分方程式を解いて求めて
見ますと、過渡電流は指数関数で表される項と三角関数で表される項の積として求められてきま
す。その共振周波数は挿入される抵抗にも依存しますが、抵抗値が小さい場合はほぼコイルとコ
ンデンサの値で決まります。

　ご承知のように、指数関数は肩の符号が負の時は値が1以下で単調減少関数になりますが、正の
時は逆に値が1以上で単調増加関数になります。抵抗が正の時は肩の符号は負になりますが、負性
抵抗の場合はその符号は正になり、値が1以上になります。

　一方、三角関数は規則的に正になったり負になったりを交互に繰り返します。即ち、振動項と
見なす事ができ、値は一定の幅に納まります。商用電源の交流は典型的なもので+141Vから-141V
の間を1秒間に50回又は60回振動します。この二乗平均平方根(rms)を実効値と呼び、商用電源の
実効値が100Vである事はご承知の通りです。

　直列共振回路の過渡応答の解は、上述したようにその振動項の振幅が、指数関数の肩の符号に
依存して本質的に変ると考えれば分り易いと思います。即ち、抵抗が正であれば何らかの原因で
起きた振動も徐々に減衰して収束しますが、抵抗が負、即ち負性抵抗の場合は減衰せずに無限大
に向かって発散して行く事がご理解頂けると思います。だから、負性抵抗は怖いのです。

　以上の話は単純化した1自由度のモデル上の話ですが、アンプの入出力インピーダンスをいろ
いろ計算して見ると、これと似たような現象が起きるのはほぼ確実だと思えてきます。何故過渡
応答が大切かは言うに及ばないとは思いますが、音楽信号が過渡現象であるからに他ありません。
このように本来ならば、全て過渡応答という形でアンプの特性を見て行かねばならないのですが、
単純化した上記の微分方程式を解くだけでも結構大変な作業ので、本格的に解析する事は至難の
業になります。

　解析がダメなら実験という手もあるはずですが、過渡応答の実験もそう簡単ではありません。
最近では、デジタルメモリの普及などにより昔ほど過渡現象を捕らえる事は難しくありませんが、
伝統的にオーディオアンプのスペックは過渡特性ではなく、定常特性で表示されています。だか
らスペックだけではアンプの音質を見抜けないのです。

　昔、アンプメーカーは音質の一つの指標である、高調波ひずみ率の軽減合戦を試みた時代があ
りましたが、結局いくら軽減に努めても本質的にアンプの音質を向上させる事はできませんでし
た。残念ながら、その後も音質と深く相関する適当な過渡特性を見出せぬまま、現在に至ってい
ます。メーカーも研究者も確たる音質の指標を定量的に表示する事を諦めてしまったのです。

　私が主唱している負性抵抗は音質に多大な影響を与える過渡特性に大きく影響していると考え
られます。残念ながら負性抵抗を定量的に測定する事は非常に難しく、スペックに掲げる事はで
きません。従って、WRアンプでは負性抵抗ゼロを目指して理論設計しています。負性抵抗さえア
ンプ内に存在していなければ、単純な定常特性だけで事足りると私は考えています。

　画像などに比べて音の高音質化が遥かに難しいのは、画像は止めて見る事ができるのに対して、
音は止めて見る事ができないからです。止めて見れないという事は音の評価が非常に難しいとい
う事です。音質評価の正確な物差しがつくれないのです。だから、耳の良い人の評価に待つしか
方法がなく、どうしても好みや主観などが入り込み非科学的になってしまうのです。

　過渡応答を増長し、音質に悪影響を与える可能性の高い負性抵抗を、世界で唯一積極的に取り
除いたアンプとして、我々はWRアンプを皆様にご提供しています。是非一度、音質を本質的に害
する過渡応答が殆ど発生しないWRアンプの音を試聴してみて下さい。必ずやWRアンプの良さを認
識して頂けるものと確信しております。

307川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Mon Aug 22 22:12:31 JST 2005

アンプの音質を悪くする負性抵抗とは？

　私の記述する過去の記事には多くの「負性抵抗」という文字が登場する。なかなか専門外の
人に説明するのは難しいし、電気を専門にする人にも直ぐに理解して貰えない事がある。だか
ら、これまでに電気・電子専攻のプロが設計したアンプにすら考慮されて来なかったという事
だろう。

　私がこの言葉を習ったのは大学の「電子管工学」という講義の中だった。電子管を使った発
振回路、例えばコルピッツ回路などの等価回路を説明して貰う中で教えられたのだ。その当時
送信機に興味をもっていた私は、非常に印象的にその説明が頭に入ったのである。即ち、試験
が済んだら何処かに行ってしまうような雑多な知識ではなく、頭の中に染込んだ知識となった。

　それから約20年後にアンプの回路を研究していた時に、その知識が有機的に生きたのである。
これが教育の有り難さであろう。もし、その講義を聞いていなかったらWRアンプはこの世の中
に誕生する事はなかったであろうと思う。そう思うとその教授は恩人である。発振には負性抵
抗が必須であると教えられたのである。

　さて、話は少し専門的になって恐縮だが、抵抗は電気基本素子の一つでオームの法則に出て
来る事は、皆さん中学の理科で習って知っているはずである。普通、抵抗は正の値をもち、負
になる事は絶対有り得ないのであるが、それが交流に拡張されたオームの法則になると、話は
もう少し複雑になって来る。

　交流に拡張されたオームの法則においては、直流における抵抗に相当するものをインピーダ
ンスと呼び、それを複素数で表現する。複素数は実部と虚部からなり、実部には直流でいう抵
抗分を示し、虚部はコイルやコンデンサによってもたらされる、リアクタンス分を表している。
交流の場合はこの実部が負に成ることは十分あり得る事であり、ここではこれを負性抵抗と言
う。

　複素数を使って表示する意味は、抵抗分とリアクタンス分の位相が90度ずれる事に基づいて
いる。コイルによるリアクタンス分をインダクティブ、コンデンサによるリアクタンス分をキ
ャパシティブと呼んでいる。それぞれ90度位相が進んだり遅れたりする。

　従って、コイルとコンデンサが直列に接続された2端子のリアクタンスは、ある周波数で2つ
のリアクタンスが相殺してゼロになる事が起きる。その周波数を共振周波数と呼ぶ。その2端子
にその共振周波数の交流電圧を加えれば、無限大の交流電流が流れる事になる。だから、共振
回路は危険なものとして、オーディオでは敬遠される。

　共振回路は確かに危険ではあるが、交流電圧を取り除けば共振は収まってしまう。即ち、自
励発振には至らない。しかし、この2端子回路にさらに直列にもう一つの素子、負性抵抗が挿入
されたとすれば、電圧を加えなくてもその周波数で電流が徐々に増大し、ついには発振に至る
という現象が起きる。負性抵抗素子の一つの実例がノーベル賞で有名なエサキダイオードであ
る。

　帰還アンプの入力インピーダンスと出力インピーダンスを克明に計算し、これと似た現象が
アンプ内でも起きている、という研究をして来たのが私である。それが起きる一番簡単な回路
がエミッタホロワである。真空管ならカソードホロワであり、FETならソースホロワである。エ
ミッタホロワは100%帰還アンプと考えられる。即ち、保有するゲインを全て帰還に回してゲイ
ンを1にした回路である。エミッタホロワの出力インピーダンスには負性抵抗が現れる。

　だから、下手するとエミッタホロワのみで発振する事があり得るのである。問題は発振にま
で至らなくても、系の安定度を著しく悪化させる事である。だからエミッタホロワを多用した
アンプにはいい音がしないモノが多い。エミッタホロワを重ねたダーリントン接続はもっと危
険である。バランス回路で構成してもこれを防ぐ事はできない。

　エミッタホロワを使わなくても、2段帰還増幅にすると入力インピーダンスに負性抵抗が表れ
るので、発振や系の不安定さを生み音質に悪影響が出てくる。この負性抵抗を消失させる特許
が私の第1の特許であり、プリアンプにおける6dBのラインアンプやEQ回路等に応用されている。

　2段帰還アンプは負荷に弱いので、重い負荷に耐えられるように3段目にエミッタホロワを配
する事がよく行われる。マランツ♯7で有名になったイコライザーが始めて成功して、猫も杓子
も皆作ったという程に流行したが、殆どの人が発振に悩まされ、結局諦めた人が多かったと言
われている。

　それは2段帰還と危険なエミッタホロワが合体する事により、今度は出力インピーダンスにま
で負性抵抗が表れて、系がより不安定になった為と解釈できる。だから安易にエミッタホロワ
は使わない方が無難であるが、パワー回路には必要不可欠なものであるので始末が悪い。

　そこで考案したのが、出力インピーダンスの負性抵抗をも消失させる第2の特許回路である。
晴れてエミッタホロワを使ったパワーアンプも実現できる事になり、WRアンプのラインアップ
を入口から出口まで揃える事ができたのである。安定化電源は一種のパワーアンプであるから、
安定化電源の系も安定になっている。

　帰還アンプには自動制御理論に基づく安定不安定の判別法があり、市販のアンプはそれによ
って設計されていると思われるが、それで判定したマージンでは、私の理屈からは不足であり、
負性抵抗が内包されたままになると思われる。負性抵抗が存在していても系は必ずしも発振は
しないが、アンプの動作点が、増幅しようとする音楽信号に依存して動くなどの不安定要素を
抱える事になる。

　これがアンプの音を滲ませたり、引き攣らせたり、あるいはブーミー感を生んだりする。WR
アンプはこれらを特許回路により克服しているので、「ぴったりとフォーカスが合い、音像の
実在感を鮮明に描く」事ができるのである。ここがこれまでの市販アンプと大きく異なるとこ
ろである。多くのWRアンプの位相余裕は90度以上もあり、市販アンプに比べると桁外れに大き
い。

　そういう意味で、One of them ではなく、Only one として選んで頂きたいと思う。負性抵抗
を有し、音が滲むアンプの方を好むと言うのであれば、何をか言わんやである。


注)  第1の特許：特許第2118015号  平成8年12月
     第2の特許：特許第2794667号  平成10年6月

306川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sun Aug 21 23:01:43 JST 2005

WRP-αZEROHDの発売に際して

　この度、WRP-αZEROにヘッドフォン端子を増設したWRP-αZEROHDが正式に発売され、例によって
アクセサリー誌118号352ページの試聴記事でも高く評価して頂いておりますが、記事に誤りがあり
ますのでここで訂正させて頂きます。

　それは、アンプの分類がプリメインとなっている事ですが、あくまでもパワーアンプであります。
連絡の行き違いにより生じた単純なミスですので、お気になさらないで下さい。従来のαZEROにヘ
ッドフォン用リレー基板を設け、SP用リレー基板と動作を切り替え、さらに帰還量を6dB深くしたパ
ワー回路をダイレクトにヘッドフォンに接続させる仕組みになっています。

　そういう意味では、従来から存在していた専用回路によって駆動するヘッドフォン端子とは本質
的に違います。即ち、高度な音質でスピーカーを駆動できる50Wのパワー回路を直接ヘッドフォンに
接続して、スピーカーと同じように駆動しようという試みです。以前にも言及しましたが、数100mW
あれば駆動できるヘッドフォンに何故50Wものパワー回路を使うのか、という事が重要です。

　そのヒントはα1とαZEROの音質の違いにあります。片や30Wで片や50Wの違いだけで、小音量で聴
いても力強さという音質の違いが生じるという事です。50W機が単にクリッピングポイントが高いと
いうだけではないのです。WRの特許回路を使うという前提では、50Wアンプの方が電圧が高い分だけ
アンプの裸のゲインが高く、出来上がりゲインを同じに仕上げているので、50W機の方がそれだけ多
くの帰還が安定にかかります。

　帰還は安定にさえかかれば、それが深いほど音質は改善されるのです。だからと言って全ての人
がα1MKⅡよりαZEROの方が絶対的に良いと判断する訳ではありません。そこには複雑な人間の感性
が関与するからです。何れにしても、帰還を安定にかけるという技術は決して簡単な話ではないの
です。これまでに市販されてきた帰還アンプの殆どは安定に帰還がかかっているとは言い難く、結
果的にいい音のするアンプは例外的にしか存在してこなかった、という事実があります。

　さて本題に戻って、ヘッドフォンを駆動するアンプを1Wそこそこで作れば、動作電圧が低い為に
多量の帰還をかけるのはなかなか難しい事になります。仮にできたとしても、安定にかける事は不
可能に近いでしょう。私の実験によれば、ダイナミック型のヘッドフォンはできるだけ駆動力の強
い、言い換えれば多量の帰還を安定にかけたアンプで駆動した方がいい音で鳴るのです。

　是非、WRP-αZEROHDでヘッドフォンの新たな魅力を感じて下さい。これまでの既成概念をブチ壊
すこの音を聴けば、あなたもオーディオの楽しみの一つに必ず加えるのではないかと思います。私
もこの機会に、自作のαZERO相当アンプに同じ仕組みを組み込み、改めて聴いてみましたが、思わ
ずニコニコと顔が綻ぶ程の音で鳴ってくれます。価格差1万円で、ここまでのレベルで聴けるのなら、
偶にはヘッドフォンで音楽を楽しむのもいいものだと思ってしまいます。

　勿論、ヘッドフォン端子を設ける事で、肝心のスピーカー駆動に悪影響が出ないように考慮され
ており、従来のパワーアンプとしての機能を全く損なう事なく、相変わらず素晴らしい音を提供で
きている事を付記しておきます。

305川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Tue Aug 16 00:10:00 JST 2005

ナンバリング５の交響曲について

　以前、ブルックナーの交響曲No.2について感想を書いた事があったが、あれからアンプの
音質チェック時にはなるべく聴くようにして来た。ヨッフム／バイエルン放送響のCDは演奏、
録音ともによく、かなり馴染みのメロディーも身に付いたが、やはり他の交響曲を凌ぐとは
思えずそろそろ卒業かなと思っていた。

　それで次にあまり聴かないNo.5の交響曲を聴く気になった。この曲は昔からクナッパーツ
ブッシュ／ウィーンフィル盤が有名で、一度は買った事があったが、当時の装置では楽しめ
るような音では鳴ってくれず、印象が悪いいままこの曲も置き去りにして来た。No.2と同じ
ヨッフム盤とカラヤン／ベルリンフィル盤(MG8313/4)を聴いているが、この曲も私に取って
は難しい。

　ブルックナーには、肩透かしを食わすような曲想の転換がちょくちょくあるが、これが非
常に目に付きどうも落ち着いて聴いていられない。部分的にNo.2より深みのある部分、例え
ば第2楽章の低弦のピッチカートのところなどは深淵で、引き込まれるのであるが、それが
長続きしない。同じブルックナーでもNO.8の第3楽章などは30分もの長い間気分が持続する
のだが、そういう落ち着きが感じられない。

　No.5を好きな人は本当のブルックナー好きとも言われるが、このボキボキ折れるようなぎ
こちなさに堪らない人がいるのかも知れない。そんな事を考えていたら、交響曲作曲家は皆
多かれ少なかれベートーベンのNO.5(運命)に影響されて苦労したのではないだろうか、とい
う気がしてベートーベン以降のNo.5の交響曲にはどんなものがあり、自分はどんな演奏で聴
いてるのか、思いつくままに概観してみる気になった。

　まずご本家ベートーベンはショルティ／ウィーンフィル(GT-9106、POCL-9562)で聴く。古
い録音であるが音質は良く演奏も第2楽章を除いて素晴らしい。第2楽章は私の好みからする
と、少しテンポが遅い気がする。この頃のウィーンフィルは今より上手かったのではないか
と思う。もう1枚を挙げるならクライバー／ウィーンフィル(MG2490)であろう。これも快演
である。どちらもWRアンプで聴くと録音の古さを殆ど感じない。

　NO.5まで創った作曲家は結構多いが、メジャーなものを順不同に拾うとまずチャイコフス
キーだろう。若い頃は3大交響曲の中で一番好きだったかも知れない。モントーがボストン響
を振ったビクター盤がラジオで放送された時、自作テレコに録音して繰り返し聴いたもので
ある。ボストン響は代々この5番を得意にしているのか、小澤／ボストン響(POCG-3227)もそ
の品の良さを受けついでいる。この曲はテンポが度々変るので、演奏がぶれる指揮者が多い
中モントー、小澤はスッキリ聴かせてくれる。

　マーラーも有名である。その第4楽章がよくドラマに使われるので、知っている人も多い
と思う。仲居正広が扮する直江先生の悲劇のテーマとして、劇中何回も使われていた。もっ
とも、この曲はその他の楽章も皆素晴らしいが、曲が長いのと第3楽章までオケが出ずっぱ
りという感じがあるので、聴き疲れして最後まで到達しない事が多い。私はアバド／シカゴ
響(52MG0178-9、POCG-6001)で聴く。勿論、演奏・録音ともに秀逸である。

　ショスタコのNO.5(革命)も力作である。これはバースタイン／ニューヨークフィルの東京
文化会館での来日ライブコンサート盤(25AC808、SRCR2020)が演奏・録音ともに良い。録音
エンジニアは日本人であるが、録り方が歌謡曲的にならず、コンサートホールの雰囲気がよ
く出ている。曲想としては第3楽章の緩除楽章が派手さはないが素晴らしいと思う。ショス
タコービッチの緩除楽章はNO.7の第3楽章もそうであるが深みがあって引き込まれる。

　シベリウスのNO.5も好きな曲だ。普通はNO.1とNo.2が取り分け有名であり、シベリウス好
きにはNo.4とNo.7が特に好まれるようだが、私にはその狭間のNO.5が魅力的だ。30分強のど
ちらかと言えばスケールの小さな曲だし、3楽章制の変則的な交響曲であるが、摩訶不思議な
魅力をもっている。昔はアレキサンダー・ギブソン盤(SHP-2196)で聴いていたが、今は録音
の良いデービス／ボストン響(X-7544、PHCP-9281-2)を愛聴している。シベリウスの演奏には
イギリスの指揮者が向いているようだ。

　プロコフィエフのNO.5も重要な曲だ。プロコには「ロミオとジュリエット」のような分り
易い曲があるかと思えば、バイオリン協奏曲のような取っ付き難い曲もある。NO.5の交響曲
は分り易い方に分類される。現代に近い作曲家だから、分り難い曲があって当然だが、一方
で「ピーターと狼」のような入門曲もある。さて、NO.5であるが私はカラヤン／ベルリンフ
ィル(SMG-2078)で聴く。録音は1968年であるが音質は良く、勿論カラヤンの棒さばきもテキ
パキしていて納得のいくものである。昔この第3楽章のフォルテで弦が引き攣れた記憶がある
が、今聴いてみると全く問題ない。やはり装置は確実に進歩しているのだ。

　これから後は交響曲としての規模は劣るが、是非ピックアップして置きたいものを挙げて
おく。まずメンデルスゾーンのNO.5の宗教改革である。ワーグナーのパルジファルにも出て
くる「聖金曜日の音楽」が第1楽章に流れるので、親しみ易い。昔はトスカニーニの名盤が
あったと言うが、今はこれと言った絶対的な盤はない。ここではハイティンク／ロンドンフ
ィル(456074-2)を挙げておこう。ロンドンフィルは腰が弱くあまり好きになれないが、ハイ
ティンクが常任を兼ねていた頃は頑張っていたようである。録音も良く案外出色盤かもしれ
ない。

　次はシューベルトであろうか。未完成、グレートに比べればスケール感はないが、シュー
ベルト独特のメロディは捨て難い。昔愛聴した盤はお金の無い頃に買ったゲテモノだったの
で今はこれと言ったものを持っていない。強いて挙げればケルテス／ウィーンフィル(43077
3-2)であろう。それにしても、若くして水難事故で亡くなったのは、非常に惜しまれる。き
びきびした中にもシューベルトの美しいメロディーラインを生かした演奏は、やはり何処か
非凡である。録音はエンジニアがジェームスロックなのであまり期待できないが、どきつさ
は感じられない。

　ドボルザークにもNO.5はあるのだが、後期三大交響曲に比べると影が薄い。ケルテス／ロ
ンドン響(430049-2)を聴いてみたが、確かにドボルザークの手法があちこちに出てきて興味
深いが強いて聴くほどのものではない気がした。私が高校生の頃は「新世界より」がNo.5だ
ったのであるが、その後変更されて「新世界より」はNo.9になってしまった。それと似たよ
うな事は他にもあって、シューベルトの「グレート」は昔NO.7として位置付けられていた。

　以上が常識的に考えた場合の作曲家達であろうと思う。実際どのくらい「運命」を気にし
て書いたのか、残念ながら私には分らないが、NO.5を書かなかったブラームスが案外一番影
響されていたのかも知れない。NO.5はシューマン、ラフマニノフにも存在しない。グラズノ
フにはNO.5があるのだが触手が動かなかった。

　暑くて音楽を鑑賞するには不向きな季節であるが、暑さをぶっ飛ばす為には逆に覚悟して、
WRアンプで駆動されたスピーカーからの音に、真っ向から向き合うのも良い暑気払いになる
かもしない。

304川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Aug 11 23:19:47 JST 2005

基板作りの楽しみとWRアンプ

　リサイクル部品を使用したパワーアンプ、WRP-α1MKⅡRを2台作って15%引き且つ即納にて販売
する事は前回お知らせしましたが、私もその内の1台の基板アセンブリーユニットを担当してい
ます。基板アセンブリーユニットとは、パワートランジスタが取り付けられた放熱器に、各種部
品を半田付けして完成させた基板をねじ止めして一体化し、アンプまたは安定化電源として動作
するように調整した物を指します。

　左右両チャンネルで2つ、安定化電源で1つ計3つのユニットを完成させる必要があります。これ
らのユニットはパワーアンプの謂わば心臓部で、非常に大切な部分です。これとは別にシャーシ
に電源トランス、電源SW、ACインレット、スピーカー端子、ピンジャック、VR、切替SW、LED、ブ
ロックケミコン、プロテクション基板、リレー基板などを取り付け、さらに完成した3つのユニッ
トをシャーシに乗せて配線に入ります。

　各ユニット及び他の基板を結ぶ配線には、メインテナンスを優先して堅牢なコネクタを用いま
す。音質劣化の原因にならないか、という理由でコネクタの使用を嫌う人もいますが、全てを半
田付けしたものと比べて有意な音質差はありませんし、これまで接触不良などのトラブルも起き
ていません。勿論、その他の部品と線材の締結には半田付けを使用します。こうして、全ての配
線が終了したら総合的な調整をしてアンプは完成します。

　ユニットが電気的に完璧に作られていれば、以上の過程はスムーズに進みます。WRアンプは非
常に安定なので、部品の取り付けミスや遣り残しなどが無ければ、ユニットの調整に時間は取ら
れません。即ち、オシロスコープなどの高度な測定器が無くても、テスターだけで完成させる事
ができる程です。クリチカルな調整の必要がないのです。

　これはWRアンプが経年変化にも強い事を物語っています。クリチカルな調整の上に成り立って
いるアンプは時間経過と伴にそれがずれて、故障や特性劣化につながる可能性がありますが、WR
アンプにはそれが殆どありません。トランジスタは半永久的ですし、部品にも高級なものを使用
している関係で、アンプの信頼度は非常に高くなっています。

　しかし、実際にはこの状態で出荷する事はありません。万が一の事を考えて、アンプの最大パ
ワー、周波数特性、ひずみ率特性、残留ノイズなどのチェックを行います。これらの測定で何も
異常が見当たらなければ、まずアンプは正常に動作していると見て構いません。もし何処かに異
常があれば、これらのどれかに引っ掛かってきます。正常ならば2、3日エージングしてから荷造
りをしますが、これらの作業を平野紘一氏が引き受けてくれています。

　基板作りは部品集めからスタートします。オーディオ全盛時には数千種のトランジスタの中か
ら選取り見取りで使えたのですが、現在は駄石と言われる数種のトランジスタを残して殆どのト
ランジスタは廃品種になっています。駄石だけではWRアンプを作る事はできません。そこでWRで
は、名石と言われるトランジスタを彼方此方の店から買い集めてストックしてきました。その頂
点に位置するのがEMe型パワートランジスタです。

　今回のアンプユニットにはそれぞれ、トランジスタが12個、SEコンが12個、EROコンが5個、BG
電解コンが5個、進抵抗が22個、可変抵抗器が3個、そして高級セメント抵抗が2個の計61点の部
品を用意します。電源ユニットも同程度のものが必要になります。これらを適材適所に位置させ
て半田付けし、基板アセンブリーユニットを完成させるのです。これは結構楽しい作業です。出
来上がって正しく動作するのを確認する作業はさらに胸を沸かせます。

　それまで無機的に存在していた61個の部品が、この瞬間に有機的に繋がって、一つの新しい命
を形成するのです。無感動ではいられません。物作りの楽しさの極みです。考えてみれば、この
面白さに取り付かれたのは、中学生の頃だったように記憶しています。私もラジオ少年だったの
です。その頃からの夢がWRアンプという命となって結実したのです。

　基板アセンブリーユニットが完成しても、シャーシ屋さんがお盆休みに入る為、アンプとして
の完成は8月末になりそうです。こうして、作る人の魂が入ったアンプはきっといい音で音楽を奏
でてくれる事でしょう。リサイクル部品を使った即納モデルは始めての企画です。どうか皆様の
ご理解を得て成功裡に終わりたいものと祈念しております。

　このチャンスにWRアンプをお買い求め頂き、現在よりもう少しいい音で音楽を楽しんでみては
如何でしょうか。帰還アンプに宿命的に包含される負性抵抗を、特許回路で消失させたWRアンプ
はそれを可能にする事ができる稀有なアンプなのです。

注)  電源ユニットには、TRが16個、SEコンが14個、EROコンが6個、ASCコンが2個、BGコンが6個、
  進抵抗が25個、ツェナーダイオードが2個、セメント抵抗が2個の計73点の部品が使われていま
  す。因みに小容量SEコンの1個の値段は秋葉原価格で税込み\1,300位します。容量が大きくなる
  に従って価格は上昇します。

303川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Fri Aug 5 18:00:06 JST 2005

WRP－α1からのリサイクル部品を使用したα1MKⅡの発売について

　WRP-α1又はα1MKⅡのWRP-αZEROへのバージョンアップをお受けしている事は周知の事実ですが
その時に、電源トランス、ボンネット、パワートランジスタ付き放熱器、ブロック電解コンデン
サ、LEDなどが交換になり、その保管をどうしたら良いかという問題が浮上して来ました。

　大きな工場なら保管場所も確保できますが、それでなくてもいろいろな物が所狭しと並べられ
ている小さな工房では、深刻な問題になって来る可能性があります。だからと言って、産業廃棄
物として処理するには余りにも勿体無い部品ですし、環境問題が叫ばれている昨今、これは時代
に逆行する行為になってしまいます。

　そこで、これらをもう一度生かしたα1MKⅡを作り、一部にリサイクル部品を使った事を明示し
て、WRP-α1MKⅡRを発売する事に致しました。取り外した部品を全てリサイクル部品として使用
出来る訳ではありませんが、確実に使用できる部品について、再利用に際しての問題点を申し述
べて置きます。

　１．電源トランス：最近の技術・材料で作られたものは、数年の使用では殆ど、または全く劣
　　　化しないと言って良いでしょう。しかも、α1の使い方もヘビーデューティではないので、
　　　トランスで大切な銅線材の絶縁には全く問題が生じていないと言えます。
　２．ボンネット：塗装に傷がついている可能性がありますので、これは再塗装してから利用し
　　　ます。
　３．パワーTR付き放熱器：トランジスタは真空管と違い、半永久的に特性の劣化なしに使用で
　　　きると言われており、特にα1での動作は決して重くないので、まだまだ全く問題なく利用
　　　できると考えています。

　以上が、主たるリサイクル部品となります。

　このように例示して見れば、そう多くを利用できるわけではなく、シャーシは新規に発注しな
ければなりませんし、基板も新しく作らねばなりません。勿論、電源SW、端子、VR、切替SWなど
殆どの機構部品も新規購入しなければなりません。

　そういう事を計算すれば、製造原価が大幅に下がる訳ではありませんが、取り外した部品を産
廃にする事なく、リサイクル部品として生かす事に、ユーザーの皆様のご協力を頂くという事で、
我々側も利益を抑えて、出精値引きをさせて頂く所存ですので、どうかご理解を頂きたくお願い
申しあげます。

　また、これは臨時の企画であり、リサイクル部品の入手状況から常時用意できるものではあり
ませんので、今回は取り敢えず2台限定で15%引きにてご提供させて頂く予定です。しかも、従来
の納期1ヶ月ではなく、アンプをご用意できた時点で受付を開始し、契約された方に即納という
形を取らせて頂きますので、ご期待下さい。受付時期は8月下旬を予定しており、HPでお知らせ
致します。

　尚、この企画はあくまでテンポラリーなもので、従来通りWRP-α1MKⅡのお申し込みは受け付け
ておりますので、どうぞこちらの方もよろしくお願い致します。WRアンプのご購入を予定されて
いる方には朗報かと思います。この機会をお見逃しなく。

302川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Mon Aug 1 16:30:02 JST 2005

「WRアンプは何を買ったら良いのか」にお答えします。

　直接、間接に上記のような質問を受ける事があります。開発者としてはそれぞれのアンプに
思い入れがあり、お答えし難い面もありますが、なるべく客観的に分析して私なりに書かせて
頂こうと思います。

　人間には、いい音に快感を感じるという本能があるようで、私などはその最たる人間だと思
います。これにはかなり個人差があり、全く興味が湧かない方も居られます。大体は子供の頃
の体験でそれに目覚める事が多いようで、幼児体験が案外影響しているように思います。例え
ば、生のオーケストラを聴いて、輝かしい金管の音に度肝を抜かれたというような経験が大き
く影響します。そのいい音が、同時にいい音楽であった時に言うに言われぬ魅力になります。

　極上の生の音楽を何時も聴ける立場の人は良いですが、特に日本ではそうそう生の音楽を聴
くチャンスはありません。そこで、再生装置を使って一度缶詰になった音をそれらしく再現さ
せる、という技に頼る事になります。しかし、多かれ少なかれ実際の音からはズレがあるもの
です。そのズレは広い意味で音のひずみであり、録音から再生までの全てのプロセスの中で発
生する可能性がありますが、私は再生時のアンプが一番鍵を握っていると考えています。

　そのひずみを正しく認知する事はなかなか難しい問題で、長年の耳の訓練が必要になります。
前回書いた、ピアノ、バイオリン、ホルン、ソプラノなどのアコースティックな楽器等の再生
音に異常があるかどうかをどの程度高いレベルまで認識できるか、そしてそれを何処まで気に
するのかで、その人に必要な再生装置のグレードが決まると私は考えています。WRアンプは実
在する楽器の音をなるべく正しく再現する為に存在しています。

　一方で、我々の殆どは経済的問題に直面します。アンプの価格は安いに越した事はありませ
ん。その辺りを関連させてあなたに取っての適正なアンプを考えてみましょう。

　まず、市販のアンプにはどうも満足できないので、一度WRの世界に足を踏み入れてみたいが、
最初から何十万円もかける勇気はない、とお考えの方にはWRI-β3（プリメイン）をお勧めした
いと思います。飛鳥さんのように、きっとこれまでのアンプとは違った音を体験できると思い
ます。もし、これが切っ掛けでWRアンプの良さをご理解頂いた場合は、プリメインをセカンド
システムに回して、αシリーズに挑戦して下さい。

　次に、市販のアンプは海外製品を含めていろいろ遍歴したが、どれもこれも満足できなかっ
たという方は、初めからαシリーズをお勧めします。勿論、余裕があればWRプリとセットでお
求め頂くのが理想です。この掲示板でも、プリアンプの有効性は何度となく、いろいろな方か
ら投稿されています。経済的問題があれば後から買い足す事も可能ですが、WRアンプの真価は
プリとのセットで発揮されます。

　αシリーズには現在3種用意されていますが、α1MKⅡはWRアンプの標準機として長年の実績が
あります。α1は最初18万円のキットで1998年の暮れにスタートしたのです。α1MKⅡは試聴会で
もお聴き頂いたように、αZEROとの価格差を勘案すればまだまだ存在価値のあるアンプだと思い
ます。特にMKⅡ化によりαZEROの経験が還元されており、当初のα1に比べてより安定度の高い音
に改良されています。もし1年ほどお聴きになって、ご自分の耳がより厳しくチューニングされ
た場合は、αZEROにアップグレードする余地が残されています。

　α3はちょっと変ったアンプをお好みの方に手頃にお買い頂けるユニークなアンプです。α1
及びαZEROには安定化電源を採用していますが、このアンプはその代わりに大容量ブロック電
解コンデンサを採用しています。それも半端な値ではなく、100万マイクロファラッド＝1ファ
ラッドという常識を超えた値が採用されており、世界でも類を見ないアンプとなっています。

　勿論、整流器に直に大容量コンデンサを挿入する事は種々の問題を引き起こしますので、一
度小容量のブロック電解コンデンサで受けてから、低抵抗を使ったπ型フィルタの出口にその
大容量コンデンサは接続されています。こうする事により、ラッシュカレントの問題や整流パ
ルスなどの高周波ノイズの影響を大きく回避しています。トランジスタ型パワーアンプの電源
にπ型フィルタを採用しているものは、世界広しと言えどこのアンプが唯一ではないでしょう
か。

　普通のアンプはトランスのレギュレーションが音質に重大な影響を与えますが、このアンプ
は大容量ブロック電解コンデンサに蓄積されたエネルギーによって全てが賄わますので、理想
的な電源供給が行われ、安定化電源とは一味違った安定感のある低音を可能にしています。大
容量ブロック電解コンデンサの耐圧の問題から、ローパワーアンプなので高い能率を有するス
ピーカーに適合します。ローパワーながら、エネルギー供給が円滑に行われる為に出力のワッ
ト数より、実効的に高い駆動能力を有してます。

　最後にαZEROですが、α1をハイパワー化したこのアンプは、現在WRアンプのフラグシップモ
デルであり、経済的問題さえ無ければ是非ご購入頂きたいパワーアンプです。使用電圧が上が
った分アンプの増幅度が増え、それが特許回路により安定的にNFに回った為に、α1に比べてよ
り制御の効いた音質を可能にしており、ハイパワー化による音の粗さは微塵もありません。し
かし、前述したように聴く方の耳の検知能力の問題もありますので、全ての方に無条件にお勧
めできるものではありません。オーディオの甘いも酸いも全てを知り尽くしている方にこそ相
応しいものと言えるでしょう。

　中にはいきなりαZEROをお買い求め頂いた方も居られますが、やはり他のWRアンプである程
度耳をチューニングされてからの方がαZEROの真価をご理解頂き易いと思います。それでも、
もう遠回りはしたくないという方には、自信をもってお勧めしたいと思います。ご購入頂いた
方々のお声を総合しても、これまで音質に関する欠点を指摘された事はありません。理想的な
アンプだとお褒めを頂いております。どうか安心してお買い求め下さい。

　WRアンプは何回も申し上げていますが、これまでのオーディオの常識が通用しない典型的ア
ンプです。これまでに得たオーディオの常識を一度破棄してから、セッティングなどの手続き
をして下さい。例えば、今まで使っていた高価なOFC系スピーカーケーブルは、評判が良いか
らそのまま使おうとか、付属して来た電源ケーブルは安っぽいから高価なOFC系に変えような
どという事は絶対お止め下さい。その結果、高域が曇る、低域がつまる、などという現象が起
きる可能性が大だからです。

　何回も口を酸っぱくして申し上げていても、これまでに長い時間かけて身に着いたオーディ
オの常識はなかなか抜け切らないものです。ついうっかりして音質向上アクセサリーや、逆に
廉価なパソコン用電源ケーブルを使ってしまう事もあるでしょう。何処か音がおかしいと思っ
たら、それらを使ってしまっていないかよく点検して下さい。ケーブルぐらい何でも良いだろ
うとは絶対に思わないで下さい。それらを含めてアンプシステムは成り立っているのですから。

　電源ケーブルにはWR付属品を、スピーカーケーブルにはマッチング機能付きスターソフトを、
そしてRCAピンケーブルにはWR製品を推奨しています。また、屋内のノイズ発生源にはなるべく
フェライコアを巻き付けるなどの対策を取った方が音質は改善されます。細かい事を言えばAC
パックも決して侮れません。どうも最近音の調子が悪いと思っていたら、新しく買った電化製
品に対策するのを忘れていたという事もあります。CDプレーヤーもアンプに取ってはノイズ源
である事をお忘れなく。

　WRアンプをご購入頂いたら、取り敢えずは自己流やオーディオ誌で得た常識を抑えて頂いて、
以上のような注意事項を忠実に遂行してから試聴をお始め下さい。そうすれば、部屋の音響的
問題は単純化され、比較的容易に解決する事が出来るでしょう。

　WRアンプを手に入れて、音質を気にする事なく音楽を楽しみましょう！

301川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Jul 28 17:04:04 JST 2005

飛鳥さん低音域が安定されて良かったです。

　飛鳥さんも指摘されておられるように、ピアノとバイオリンは再生の難しい楽器でこの2つ
の楽器が問題なく再生されれば、その再生装置は優秀だと言っても過言ではないでしょう。飛
鳥さんの言われるピアノのグリッサンドのような早いパッセージもさることながら、ゆっくり
とした単音も結構気になる音が出易いのです。片方の耳の鼓膜だけが圧迫されるような音と言
えば、お分かり頂けるかと思います。当然その音だけ定位が定まりません。

　ピアノは3本の弦の調律が悪いと生で聴いていても、そういう音が演奏会場でも聴き取れる
事がありますが、それが、アンプが不安定な為に電気的によりデフォルムされた場合は、我慢
ができない程の不快な音に化けてしまいます。それも、偶にある音階で起きるので不意に襲わ
れるその不快感は、音楽を楽しもうとする雰囲気を完全にぶち壊してしまいます。こういう状
態では一音一音もはっきり聴こえず、ピアノの音全体が多少靄のかかったような状態にボヤケ
てしまいます。

　ピアノの音は、タッチが明瞭でありながら、決してそれが金属っぽくならず、何処か木の温
もりが感じられるような音が理想的でしょう。

　バイオリンも、その音を正確に再生しているアンプがどれ程存在しているか、甚だ疑問が残
るほど再生の難しい楽器です。よくあるのは、倍音がチリチリして、その音だけがツイターか
ら出てくるので、直ぐ分ります。音がスピーカーに貼りつく、という表現もできるかと思いま
す。つまり、スピーカーの存在がはっきり分ってしまうのです。それがクリアできでも、バイ
オリンの低い音域の音が痩せて聴こえてしまう事がよくあります。高い方の神経質な音だけが
目立つ再生装置ではとても音楽を楽しむ事はできません。

　バイオリンはソロよりも合奏される場合が多いですが、微妙にずれた各楽器が織り成す不協
和音も、再生をより困難なものにします。ブラームスのシンフォニーはこの典型でしょう。ど
うも不安定なアンプは、こうした難しい信号の時により励起されるようで、所謂引き攣った音
になって、耳に強い刺激をもたらします。ブラームス嫌いは案外これが原因かも知れませんね。
そこまで悪化してなくても、不安定なアンプでは弦楽合奏特有の、エーテルが漂うような何と
も言えない音が硬直して、それを微塵も味わう事ができません。

　ピアノとバイオリンについて言及しましたが、実は他の楽器でも多かれ少なかれ、上述のよ
うな事が起きています。ただそれが目立つかどうかの問題でしょう。例えば、オーボエの至近
距離に於ける録音も結構難しいものがあります。不安定なアンプを励起状態に追い込む切っ掛
けをつくる、言い換えればトリガーになり得る音とそうでない音があるように思います。そう
いう意味では、柔らかく響くホルンの音やソプラノのfffも難しい一面を有しています。

　さて、上記のような問題点を市販のアンプは多かれ少なかれ保有しているのです。その根拠
は多量の負帰還によってアンプ内に発生する負性抵抗です。それが内包されていると複雑な音
楽波形が入力されると、アンプが励起状態になり正確にその波形を増幅できなくなるのです。
WRアンプは特許回路の使用により、出来得る限りその負性抵抗を排除していますので、そうい
う有害な音に悩まされる事なく音楽を楽しむ事ができます。それが、スピーカーの存在を感じ
させない音の広がり感を産み、絞っても決して色あせない美しい音を保ってくれるのです。

　飛鳥さんが、WRアンプはこれまでのアンプと違うと証言されていますが、正にこういう背景
があっての事で決して偶然ではありません。WRアンプはこの一点で共通しています。どのアン
プをお買い頂いてもこの条件は満足されています。唯、ハイエンドオーディオはそう単純では
ないので、入門用のβ3からフラグシップモデルのαZEROまで、いろいろご用意しております。
聴く方の耳の特性、お使いのスピーカーの大きさ、お聴きになる部屋の広さ、そしてご予算を
勘案してお選び頂きたいと思います。WRはまだまだ、高価でも優秀部品を調達して最高の音質
を確保できています。

　それでも未だ、あなたはブランド品に拘りますか？

P.S.　飛鳥さん、ケーブル類は指定ではなく、あくまで推奨です。何を使って良いかよく分ら
　　ない方の為に指針を示しているだけです。ご自分が信じるものが有れば、どうぞお使いに
　　なって下さい。勿論、いい音でアンプが鳴ってくれる事が前提ですが。

300飛鳥さん() Wed Jul 27 19:49:41 JST 2005

気になっていた、低域の音階もキッチリでるようになってきたので概ね満足する音になりました。

まだピアノの速いスケール弾きの部分など音の響きの硬い所などありますが
指定のケーブル類を使用していないこともあり、これから煮詰めていこうと思います。

このアンプはトランジスタアンプ特有の音の硬さが無いので聴き疲れしなくて
良いですね。（バイオリンやピアノの音を聞くとよく分かります。）

また演奏者の演奏の拘り（意図）が明確に分かるアンプである事も大きな特徴でしょう。


それではケーブルを変えたらまた報告しようと思います。

299多田さん(会社員) Sun Jul 24 17:56:13 JST 2005

お礼

ご返事有り難う御座います
早速スターソフトでジャンパーケーブルを作成して
つないでみます。
有り難う御座いました。
いつもこの掲示板は非常に役に立つので楽しみにしています
今後ともよろしくお願いします。

298川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sun Jul 24 16:31:47 JST 2005

多田さん、ご報告ありがとうございます。

　MITSUBOSHIスターソフトと進抵抗を入手されて、ウェスターンのスピーカーケーブルと交換され
かなり音が落ち着いたとの事、期待通りになり大変良かったと思っています。スターソフトは癖が
全くないと言ってよく、その上120Ωの抵抗でマッチングを取る事により、さらに音の暴れが減った
ものと思われます。

　WRアンプは再三申し上げているように、過不足なく素直に音が出ますので、アンプを補う為のア
クセサリーを必要と致しません。ですから、変に音作りをしていないスターソフトのようなケーブ
ルの方が、WRアンプの真の姿が見えてくるのです。これは接続ケーブルについても言える事です。

　面白い事に、皆さんスターソフトに交換すると寝ぼけた音になると仰い、時間の経過とともに段々
そのバランスの良さに気付かれている点です。幾らなんでも、銅線がエージングされるとは考え難
いので、どうやらこれは皆さんの耳の方がエージングされてくるのだと思います。何処か強調され
ていた音から自然な音への対応が、徐々に出来てくるのではないかと思います。一般的に言って、
何かを変えた時に、一見大人しく聴こえる方が正解である確率が高いのです。

　さて、ジャンパー線との事ですが、これはウーハーとツイターを並列に結ぶショートバーの事で
しょうか。多分、そうだと思いますので、その事について述べて置きます。このショートバーは意
外と曲者で、どうも音質に影響を与えているようです。スピーカーの中にはご丁寧にOFC製のジャン
パー線が添付されているものがありますが、それは論外としても、この幅1cm程の金属板には注意
した方が良いと思います。

　まず、どんな金属が使われているか分からない事と、そのメッキにも疑問が残るからです。正体
不明の場合は、取り外してスターソフト2mmスケアーに取り替えた方が無難だと思います。その時、
終端用の抵抗は不要です。それよりも、スピーカーケーブルをウーハー側に付けるか、ツイター側
に付けるかで、音質も変わってきますので、よく聴いた上でどちらにするか決めて下さい。本来は
このショートバーの距離はゼロが望ましいので、バイワイーヤー接続方式を嫌うメーカーもある位
です。

　ケーブルを取り替えて落ち着かれ、暫く聴きこんで、それでも何か物足りなくなった時にはαZERO
へのアップグレードをお勧め致します。

297多田さん(会社員) Sun Jul 24 12:25:50 JST 2005

ケーブル交換しました。

三つ星のスターソフトのケーブルが、なかなか手に入らなくて
困っていましたが、ふと立ち寄ったホームセンターに偶然見つけました。
やっと購入できました。うれしいー・・・。
（１メートル　120円非常に安かったです）
早速掲示板推薦の秋葉原のお店で抵抗（120オーム）を送ってもらいました。
ケーブルの長さは1本　5メートル　早速抵抗を付けてスピーカー、アンプに接続。
やはり最初は眠い感じで　大味の再生音。しかし気にせず5時間ほどCDを連続再生。
するとやはりだんだんと再生音が変化して音の分離がよくなり自然の音
（色づけのない音）がして、結構分厚い音がしてきました。
今まで使用していたケーブルはウエスタンのケーブルで
このケーブルも　いいケーブルなのですがスターソフトに比べると
バイオリン再生の時少し高音部がきつい感じがしていました。
皆さん掲示板でご指摘のように（今使用しているアンプは　α１Ⅱなので）
エッジが立つという表現しているように高音部がきつかったですが
この問題もケーブル変更して解決しました。
ケーブル交換して10日ほど経ちますが定位もよくなり、自然で色づけのない再生音に
満足しています。
掲示板ご覧の皆様　非常に安くて効果のあるケーブルですので使用してみてください。
満足すると思います。
ケーブル変更して、しばらくα１Ⅱで楽しめそうです。（バージョンアップしなくて
申し訳ありません）

川西先生にお聞きしたいのですが、ジャンパーケーブルもスターソフトに変更
しようと思いますが、その場合抵抗は必要なのでしようか。
教えてください。よろしくお願いします。

296川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Sat Jul 23 17:29:49 JST 2005

飛鳥さん、プリメイン(WRI-β3)のご感想ありがとうございました。

　これまで不思議にも、プリメインの試聴記が無かったのですが、飛鳥さんに本格的な
記事を書いて頂き、心より感謝申し上げます。αZEROよりずっと数は多く出ているので
すが、偶々プリメインのユーザーの方々が、余りインターネットをお好きではなかった
のでしょうか。それは兎も角、WRプリメインには身に余るお言葉を頂戴し、開発者とし
て本当に嬉しく思います。

　β3は丁度去年の6月頃に、今ではディスコンになったα2を母体にプリメインに発展さ
せた準コンのアンプで、αシリーズに慣れた耳にも決して違和感のないモノを目指して
開発した事を思い出します。以前に準コンと純コンについて触れた事がありますが、準
コンは純コンにない素直さがあります。また、その準コンに使うパワーTRでも随分音質
が変り、試行錯誤の上に、現在のEMe型であるサンケン2SA768に落ち着いた経緯があり
ます。現在の音はこの石でないと出ない音です。

　飛鳥さんのご感想は、こうしたβ3の特長をうまく引き出してお聴き頂いた様子がよく
現れており、ほぼ正しくお使い頂いていると安堵致しました。低域にまだ多少の違和感
が残っているとの事ですが、始めから全てが上手く行くほどハイエンドオーディオは甘
くないと思っております。短期間でこれだけのレベルでお聴き頂ければ、取り敢えず当
初の目的は達成されたのではないでしょうか。

　β3は普及型である為、電源部は非安定化電源です。メーカー製は殆ど全てそうですが
低域の重厚感を出す為に、整流直後に大型の大容量ブロックコンデンサを採用するのが
普通です。そうすると整流パルスがより立つせいか、音が硬直する傾向にあるので、WR
アンプではそれを嫌って必要最小限度の小型ブロックコンデンサにしております。それ
がメーカー製のアンプに慣れていらっしゃる方には、低域が多少甘く聴こえ要因になっ
ているかも知れません。

　これは一般論ですが、もう一つの問題は部屋の吸音とスピーカーの置き方です。低域
は中高域に比べて、そうした影響をどうしても受け易いので、一番難しい音域かも知れ
ません。私が推奨する方法ですが、スピーカーは堅牢な床に完全に固定する事が大切で
す。床が不安定な場合は、擬似大理石ボードのような上に置くのも良いでしょう。

　それから、スピーカーの周りと壁の間には少なくても1mの空間が必要でしょう。部屋
のコーナーは低域を異常に増強させる結果になるので、スピーカーを置くのは絶対避け
た方が良いと思います。コーナーには吸音効果のあるクッションのようなものを置いて、
低音のエネルギーを吸収させるのも良いと思います。

　部屋が洋間でフローリングなどの場合は、カーペットなどの吸音効果のある布を敷き、
天井との間で起きる定在波を防いだ方が良いでしょう。勿論、左右の壁や窓との間も然
りです。このような、部屋の音響上の諸問題を処理しても未だ低域の問題が解決しない
場合は、ご使用のスピーカーケーブル、ピンケーブル、電源コードなどを変えて見るの
も良い方法かと思います。

　即ち、低域の異常が音響的な問題以外に、電気的不安定さから来る場合もあるからで
す。しかし、そういう場合は低域だけに異常な音がでる事は極稀で、必ず中低域、中高
域などにも波及するものです。飛鳥さんのご感想からは、そういう印象は特に受けない
ので、先ずは音響的問題の方が効いているのかな、と想像しております。

　まだ、1週間も経っていないので、エージングでもう少し良くなるかも知れませんが、
エージングにはそう多くは期待しない方が良いと思います。次の一手を考えて置かれた
方が無難でしょう。そういうステップも、オーディオの楽しみであります。ゆっくり、
焦らず、音楽を楽しみながら、いい音に向かわれます事を祈念しております。

　WRアンプに興味は持っているものの、まだ踏ん切りがつかない方がいらっしゃいまし
たら、飛鳥さんの試聴記をお読みになって、是非あとに続いて下さい。飛鳥さんが仰っ
ているとおり、WRアンプはこれまでのアンプとは一味も二味も違うアンプです。もう迷
わずに、勇気を出して、新しいサウンドに浸ってみては如何でしょうか。

　一人でも多くの方にWRアンプをご購入頂いて、どうせ音楽をお聴きになるなら、是非
心地よい音で音楽を楽しんで頂きたいと切に願っております。

295飛鳥さん() Fri Jul 22 19:56:34 JST 2005

一週間たってから書込をしようと思いましたが、ずっと電源入れっぱなしで、HDD＋DVD録画機の
TVチューナーを使用し音出しをしていたら、音がこなれてきたようなので簡単なインプレをしたいと
思います。

取り敢えず、そのまま録画してあったNHKの朝のテレビ小説「ファイト」を視聴してみました。


～気づいた点～
【その１　広大な音場】
AVアンプのサラウンドスイッチを入れたようにサウンドステージがスピーカーの回りに広がります。
スピーカーから音が出ているというよりは音に体が包まれるような不思議な感覚です。

【その２　台詞がハッキリと聞き取れる】
通常、映画やドラマをピュアオーディオ用のスピーカーで聞くと台詞が聞き取りにくいものなんですが
このアンプは台詞がハッキリ明瞭に聞き取れます。

【その３　小さな音でもバランスが崩れない】
大きな音で視聴する時も音を絞って聞くときも基本的なバランスは全く変わらないです。
ラウドネス・ボタンが必要ないですね。
また小さな音でも音自体に張りがあります。


～気になる点～
まだエージングが進んでしないのか、低域での音階が不明瞭にでてくるようです。
低域のスピード感も今ひとつです。

それでも音出し直後から比較すると、かなり良くなったのでもう暫く音を出しながら
様子を見てみます。
何れにせよ一聴しただけで今までのアンプの基本的概念を変えるアンプである事は
間違いないですね。


自分の使用機器
（出来るだけノイズが少なくメーカー固有の音の癖が強く出ないものを購入しました。）

・CDプレイヤー　マランツSA-15S1
・スピーカー　ディナウディオ　コンター1.1
・HDD＋DVD複合機（東芝製）

その他アクセサリー等
・電源タップ（アコースティック・リバイブ製の4口）のもの
・電源コンセント　PADのもの
・スピーカーケーブル（ベルデン赤白ツイスト）


機器の電源ケーブルは基本的にノーマルを使用しています。

294飛鳥さん() Thu Jul 21 18:25:13 JST 2005

川西　哲夫さん

丁寧な返信ありがとう御座います。
取り敢えず１週間程慣らしてから、もう一度書込をします。
宜しくお願いします。

293川西　哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Jul 21 17:01:25 JST 2005

飛鳥さん、プリメインアンプ(WRI-β3)お買い上げありがとうございました。

　無事品物を受け取られて、テスト試聴中との事なによりと思います。どうしても2、3日は
音質が変って来るかと思います。特に電解コンデンサーは電位をかけた時に電解液が分極し
ますので、長い間電位をかけていない状態が続くと化学的に電解液が変質して、分極が十分
に行われない等の現象が起き、音質に微妙に影響する事があります。一般には音が鈍い、又
は硬い感じになるようです。

　残りの部品については因果関係が明白ではありませんが、やはり数多くの部品が揃って初
めてWRアンプを構成する訳ですから、一つの部品への電位のかかり方、電流の流れ方などが
ほぼ確定された事により、その動作がスムーズに行われ始めるという事も考えられなくはな
いと思います。言ってみれば、部品がWRアンプ用にチューニングされるという風にも考えら
れます。

　チューニングと言えば、ご使用のスピーカーもWRアンプで鳴らし続けると、WRの音質にチ
ューンアップされる、と仰るユーザーの方も居られます。これはスピーカーのコーン紙が物
理的に変化するのか、お聴きになる方の耳が生理的に変化するのか、定かではありませんが、
従来のアンプで鳴らしていた時とは本質的に違う状況になる事は確かなようです。

　何れにしてもエージングで音質が悪化する場合は滅多になく、大体は良くなる傾向にあり
ますが、音質が本質的に改善される訳ではありません。悪いアンプはそれなりの音にしかな
らないでしょう。WRアンプはこれまで殆どの場合、お客さまから音質に関するクレームを頂
いた事はありませんが、万一、1週間過ぎても視聴した時のイメージから程遠い音だとお思い
になられましたら、遠慮なくご連絡下さい。可能な限りの範囲で誠心誠意対応させて頂きま
す。

　以前にも部品調達に関して書き込みをした事がありましたが、大量消費時代の今、売れな
い部品は直ぐに廃品種になりますので、細かく言えば1台1台、何処かの部品に違うものが使
われる可能性を否定できません。WRアンプには廃品種になり易い高級部品が使われています。
勿論、廃品種の部品を闇雲に他の部品に置き換えている訳ではなく、そのアンプの音質を確
保する為に適当かどうかのチェックは厳しく行っているつもりです。

　しかし、当該アンプの最終的な音質を聴いて部品を決定している訳ではないので、各種部
品の組み合わせによって得られる最終的な音質が、許容限界を超える事がないとは言い切れ
ません。これまでに繰り返して申し上げて来た、WRアンプの使用上の諸注意をお守り頂いた
にも拘わらず、納得できる音質にならない場合は、ご連絡をお願い申し上げます。もし、WR
アンプの音質が維持できなくなった時は、潔く製造中止にしたいと思っています。

　以上の部品の問題はあくまでも可能性のお話です。その確立はまだかなり低いと思います。
飛鳥さんの程好いご報告をお待ちしております。

292飛鳥さん() Wed Jul 20 20:24:43 JST 2005

ウェスト・リバープリメインアンプ　WRI-β３届きました。
まだ慣らし中なのでインプレは後ほどします。