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1448川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Thu Sep 26 14:30:00 JST 2013
増田さん、ご投稿ありがとうございました。
増田さんには台数が即座に分からない程、WRアンプをお買い上げ頂き、その上アップグレード
もして頂いて、何とお礼を申し上げたら良いか言葉が見つかりません。本当にありがとう御座い
ます。
それにしてもホーンシステムは大変なご苦労があると思います。オーディオを志す者は誰でも
一度はマルチに憧れますし、できればホーンでやりたいと思いますが、住宅事情から断念せざる
を得ない場合が多いと思います。
私もホーンではありませんでしたが、マルチをやってきました。一番の難敵はチャンデバでは
ないでしょうか。昔のアクティブ型チャンデバはエミッタホロワを流用した素子が使われていま
したので、それだけでも問題を抱えていて、決して良い音では鳴らなかったのではないかと思い
ます。大半の人は失敗して撤退したはずです。
私が最初に「負性抵抗」に注目したのはエミッタホロワであった為、素子をコレクタホロワの
2段100%帰還型回路に置き換えてやっていた事もあります。2段100%帰還回路に「負性抵抗」を
回避する策を施しますと、入出力インピーダンス共に負性抵抗フリーの回路にする事が出来たの
です。
最終的に伝達関数が1である 6dB/octに落ち着いてそれなりの音にはなったのですが、アンプ
には多くの問題点を抱えていました。1カ所修正するのに、5台のパワーアンプを棚から下ろす
必要があり、若い頃から腰痛もちになってしまったのです。
又、1カ所SEコンでも増やせば5倍の費用が掛かり、経済的にも窮してきました。そのような
事情からマルチを諦めたのでした。ホーンではなく、適当なコーン型SPを組み合わせれば今でも
理想的なマルチシステムで鳴らせると思っています。
今は時代が変わり、チャンデバはデジタル型になって96dB/octも可能になったそうで、隔世の
感があります。音場特性(総合的なf特)もコンピュータが自動的にレベルを調整して、可能な
限りフラットにしてくれるので、昔とは全く様変わりしています。
ウォーブルトーンを出しながらスイープすれば、たちどころに最適なレベルに調整されるので
大変便利になったと思います。その上カットオフ周波数が小数点レベルで自由に変えられるのは
凄いと思います。昔は、抵抗とコンデンサーの組み合わせを全部取り替える必要があったのです
から、デジタル技術の優位性には感心します。
私がお邪魔した時はまだ高帰還化前でしたので、色々と問題がありました。一つは50Hzの誘導
ノイズですが、これはアンプのゲインが高かっただけではなく、アンプ内部のアースの取り方の
問題があったようです。
WRパワーアンプのアースの取り方は、最初の発売から原則的に変わっていません。この方式は
ノイズは勿論の事、音質も含めて結構優秀だと思ってきました。しかし、マルチシステムは少し
事情が違います。チャンデバで全てのチャンネルのアースが事実上共通になってしまいますから、
アースループがあちこちに作られて、結局50Hzの誘導ノイズを引くケースが多くなってしまうの
です。
今回は、アップグレードと共に増田さんのアンプのアース方式を、このような環境に強い方式
に実は変えたのです。勿論、今度のΕシリーズは、ヘッドホンアンプが母体になっていますから、
元来ノイズには強いのですが、ノイズの激減にはアース方式の変更がより効いたと思っています。
もう一つは音質上の問題ですが、やはり広い意味での過渡ひずみが有った為に、各スピーカー
から出る音の合成が、今ひとつ纏まり難かったと言う事もあったと思います。そもそも増田さん
が大改装した理由の一つに、軽くて切れのある低音をだしたかったと言う事があると思いますが
その事に以前のアンプは必ずしも最適ではなかったと思っています。
未だ拝聴はしておりませんが、ピアノの左手の音で代表されるような低音の品質が齎されれば、
エレボイの追加と床の改装と合わせて、きっと極上の低音になっているのではないかと期待して
います。畳の部屋では極上の低音は聴こえないと思いますので、かなり向上されたと思います。
マルチの調整は切りがないと思いますが、もう少し熟成されましたら、もう一度お邪魔させて
頂いて、この耳で本領発揮されたゴトーホーンシステムの音を聴かせて頂きたいと思います。
最後に、ホーンユーザーの方々に申し上げますが、Εシリーズは
1.ゲインがホーンシステムに合っている。
2.残留ノイズが少なく、オフセット電圧も低くドリフトが少ない。
3.過渡ひずみが少なく、軽い低音とピュアな中高音が両立する。
4.マルチシステムに対応したアース方式にできるので、誘導ノイズから開放される。
5.他社製同クラスアンプより安価なので、複数台数を気軽に購入できる。
のような特長があります。成功された増田邸を参考にして頂き、ご検討の程よろしくお願い申し
上げます。
老婆心ながら、勿論、ブックシェルフ型スピーカーでもΕシリーズは最高のパフォーマンスを
発揮する事を申し添えて置きます。
1447増田吉男さん(みやまホール足利)
Sat Sep 21 17:19:00 JST 2013
ゴトー・ホーンシステム大改装の巻
WRアンプを知ったのは2012年3月頃でした。
元はと言えばオーディオラボ・田中さんのお客さんで、
WRのミニヘッドホーンアンプでゴトーを鳴らし、非常に素直な音で上手く鳴らしていると教えられ、
試しにWRP-Δ6/miniアンプ2台を求め、試聴して驚いたことに始まります。
色付けの無い柔らかく繊細で力感が有り、素直な音にやっと巡り会えたと言うのが
その時の本音でした。
コレクタホロワ型は初めての体験でした。もう居ても立っても居られません。
2012年9月頃、早速川西様に連絡をして安定化電源50W型WRP-αZERO50Wアンプを
4台お願いしました。
出た音は、矢張り安定化電源50Wは力感があり、分離等が格段に良く成りました。
暫らく満足していましたが、それではと低音部の38cmダブルの天井ホーンを
120W型WRP-Δ120/BALで駆動したらどうか、結果は予想以上に締まり
低音の分解能も上がりました。
暫らく試聴を続けてかなりの完成度に成りましたが、2012年の11月末頃からでしょうか
このアンプだったら、絶対に成功すると言う確信に至り、次のような計画を練り始めました。
今迄の天井ホーン4wayだと如何しても絃バス等の低音が重くこれを解決すべく一念発起し、
今迄のデータを元に構想をまとめ、大口径のSPで超低音部を加え5wayにする事にしました。
幸いに(EV30W)が入手出来、約8立方の容積の鉄筋コンクリートの密閉箱を両チャンネルに
配置し、その上にゴトーの4wayを使用する事にしました。
完成写真の様な計画を実行したのが2013年3月初旬で7月末まで掛かって仕上がりました。
(「リスニングルーム拝見」を参照下さい)
今迄は低音ホーン下の床部分は強化板張りでしたが共振し、
部屋は畳でしたので音抜けする様で芳しくなく、
今回は20畳全部を床下より全面基礎を打ち、石張りにいたしました。
施工にあたりコンクリートボックスを早く乾燥させるため、
工事中はエアコンと送風機をいっぱいに掛けていました。
8月に入り機器のセッティングを始め漸く音だしが出来ホットしたのも束の間、
50Hzの誘導ノイズが気に成りボリュームを下げて何とか間に合わせていました。
川西様に連絡を取り相談致しましたら、実はいろいろと実験を繰り返し上手くいったので、
掲示板1436の高帰還化アップグレードの掲載記事を読んで下さいと連絡を頂きました。
アップグレードすればホーンには最適に適応するからと、川西様にアドバイスを受けました。
数日後に時間が取れたからと試作の30Wアンプを敢えずテスト用にと自ら倅さんと一緒に
届けて下さいましたが、その時は時間の関係で今までのアンプで試聴して頂きました。
川西様の子息がCD製作に携わっていて
ウエストリバーオリジナルCDのショパン:ピアノ協奏曲第1番ホ短調 作品11
(ピアノ六重奏版 KSCD-0002)で試聴をしました。
何と言っても現場で録音しCD製作したお二人が比較試聴するのですから言うまでもありません。
素晴らしい聴覚には唯々脱帽です。あれこれ調整をしながら、楽器の位置は勿論の事奥行き感等々、
生の音を聴いて現場の配置を見ていますから、これは厳しいです。
何とか調整を繰り返した結果やっとOKを頂きました。
先ず一般の人が聴いたら問題は無いと言って下さいました。現状でも良いがアップグレードで
完成度の高い装置になるからとアドバイスを頂きました。私の都合で約2時間位の間でしたので、
届けて下さったアンプでもテスト試聴したかったのですが、後程ゆっくりとテストをしてから
次に進みましょう、そして良かったアプグレードの返事を下さいと言われ、
その日はお帰りになりました。
漸く時間が取れたので早速中低音(200Hz~1KHz)に使用いたしました。
これには驚嘆です。
ノイズは皆無に成り音自体はより鮮明になり切れ込みも鋭く解像度も抜群に良く成りました。
これはもう全部アップグレードする以外に無いとお願いをしたところ、
1台ずつ進めて行きましょうと、全部が仕上がるまでは30Wアンプを貸し出して下さり、
おかげ様で聴けない状態の日は無く、無事にアップグレードが済んだのは9月初旬頃でした。
全部が同一特性のアンプに成り調整に入りましたが、今までのアンプとは一線を画し
余りの違いに戸惑うほどでした。
時間の許す限り調整を繰り返しての日々のうち、オーディオラボ・田中さんから電話が入り、
富山市からの帰りに寄りたいと連絡が入りました。
改装前の音を何度も聴いていますから、今回の音出しを興味津々で待ち望んでいた様です。
以前にも持ってきたムソログスキーのパイプオルガン「展覧会の絵」を聴かせてくれと、
先ずは難題を突き付けられました。
再生音が出るや否やビックリして、此処まで最低音部の切れ込みや、尚且つ軽い音を出し、
中音部は勿論、高音部が素晴らしく澄み、細部の音も分離し奥行き感が出て来て
スピーカーの存在が感じられないと、合格点を出してくれました。
次の混声合唱等の難しい再生もいとも簡単に再生してくれます。
今迄は食いかじりで聴きましたが、今回は最後まで通して聴いて仕舞いました。
今回の改修で色々な事が解って来ました。
先ずスピーカーは勿論の事、アンプが如何に大事か、その重要性を改めて実感いたしました。
良い事尽くしで書きましたが、貸出アンプが有る様ですので実際に、ご自身の耳で試聴すれば
納得すると思います。アンプの素性は無色透明で繊細で力強く、料理で言えば素材を最大限に
引き出してくれる、一度はこの様なアンプに触れて頂ければ必ずや納得されると思います。
今回の大改装の決心が出来たのもWRアンプの存在が大でした。改装後の音出しも以前の音から
比較したら格段の差があります。
今迄のWRアンプでの調整もやゝの処まで来たところで誘導ノイズに悩まされましたが、
それもWRアンプの高負帰還型のアップグレードをして解決し、
前と後では格段に良く成りました。
各ホーンに耳を当ててもノイズは皆無ですし、力強さ、分離、繊細で透明感、
そして低音が明るく軽くでて、どれをとっても満足の行く装置に仕上がりました。
室内楽は勿論、交響曲など見事に再生してくれます。
煩さが無くなり音量レベルが低く成った様にさえ感じられます。
これが同じCDの音かと、以前はどうしても煩さや楽器の位置等が不満でした。
今回は非常に運が良く、改装早々にアンプのアプグレードの前と後で続け様に試聴テストが出来
おそらく、この様な経験はもう二度とあり得ないでしょう。
最後になりますが前文で書きました川西さま親子の洗練された素晴らしい感性と聴覚が有ってこそ、
WRアンプをここまで追求し、築き挙げ、素晴らしい完成度の高いアンプが出来たのが頷けます。
もし試聴をご希望の節は、御一報頂ければ時間の許す限りお相手致します。
使用アンプ:
120W型 WRP-Δ120/BAL 1台
120W型 WRP-α120/BAL 1台
50W型 WRP-αZERO 4台
予備テスト用 WRP-Δ7 1台
プリアンプ WRC-α1MK2相当品 1台
遮断特性:
① スロープ 96dB
~40Hz 40Hz~224Hz 224Hz~1.25KHz 1.25KHz~6.3KHz 6.3KHz~
EV30W SG-38WNSSPx2 SG-5880BLx2 SG-3880BL SG1880BL
② スロープ 96dB
~40Hz 40Hz~200Hz 200Hz~1.12KHz 1.12KHz~5.6KHz 5.6KHz~
EV30W SG-38WNSSPx2 SG-5880BLx2 SG-3880BL SG1880BL
(使用機器は「リスニングルーム拝見」を参照下さい)
1446川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Thu Sep 19 17:30:00 JST 2013
パワーアンプとスピーカーに関する一考察
前縞で、初めて極上の低音に気が付いたのは、feastrexの 500万円もするスピーカーであった
と書きましたが、この件に関してまだ書き足りない事があるので、少しだけ付け足してみたいと
思います。
世の中の大半のスピーカーは動電型です。駆動力は、磁場に垂直に置いた線状の導体に電流を
流して得られるローレンツ力に起因します。磁場が強ければ強い程、又流す電流が多ければ多い
程、駆動力は強くなります。即ち、得られる駆動力は磁場と電流の積の形になっています。
単純に考えれば、同じ駆動力を得るには磁場を強くするか電流を多く流すか、どちらでも良い
事になります。feastrexのスピーカーの設計思想は、多分、実効質量の小さなコーン紙を可能な
限りの強力な磁場に置いて、コーン紙の運動を正確に制御して、過渡特性の良い音を出したいと
言う事だと思います。
その強力な磁場は、特別な磁性体で作ったヨークにフィールドコイルを巻き、外部から適当な
電流を流して得ているものと推察されます。永久磁石では手の届かない値が得られるのでしょう。
その結果、真空管アンプでも軽い切れのある低音が得られるのかも知れません。
事実、WRのエミッタホロワ式120W型モノブロックパワーアンプを持ち込んで試聴させて頂いた
時もB&W805等、普通のブックシェルフ型では聴いた事のない低音が得られていたのでした。その
時のソースは、確か東京芸大の第6ホールで息子が録音した、ピアノ連弾によるチャイコの第4
交響曲でした。
あたかもスタインウェイが眼前に置かれているかのような素晴らしい音でしたが、特にピアノ
連弾の第2ピアノの左手の音にハッとさせられたのです。我が家では聴いた事がない音でしたが
録音現場では耳にしていたので、耳は学習していて、その音の存在に気付く事ができたのです。
ピアノは一番音域の広い楽器だと言われていますが、実際のイメージは中高音にエネルギーが
集中しているように聴こえます。ショパン等は楽譜上仕方ないのですが連弾は違います。フルに
広い音域が使われています。しかし過渡特性の悪いアンプでは、左手の低い音を正確に再生する
事が難しく、ぼってりと聴こえてしまいます。要するに存在感のない並みの低音になってしまい
ます。
それがエミッタホロワ式のWRアンプでも、feastrexのスピーカーでは正確に再生され、現場で
聴いた真の音が再現されたと言う事になります。これはもう、500 万円のスピーカーの威力だと
言っても良いでしょう。特にコーン紙がピストン運動する周波数領域では100%そうだと言えると
思います。しかし「500万円 は無理!」と思って、その後暫くはこの事を忘れていました。
それが高帰還化を行ってから、その音が蘇ったのです。あの時に聴いた音と同種の音である事
を確信しました。片やエミッタホロワ+feastrex、片や高帰還+B&W805ですから、全く同じ音だ
とは言えませんが、同じ次元の音である事は確かです。息子も、この極低音が再生されるように
なってピアノのミックスダウンがし易くなったはずです。
それで思ったのですが、磁場と電流の積で音が決まるのなら、磁場で稼いでも電流で稼いでも
同様な結果が得られるはずだ、と言う事でした。磁場が特殊なものであるなら並みのアンプでも
その音は出るし、磁場が並ならパワーアンプに過渡特性の優れた特別なアンプを使えばその音は
出る、と言う大胆な仮説です。
仮説と言うよりかなり説得力のあるテーゼです。前稿でご紹介させて頂いた感想文はこの事を
大いに支えていると思います。唯、両者が等価だとは思っていません。総合的にfeastrexを使う
方が効果は大きいかも知れませんが、WRの高帰還パワーアンプは 500万円もしません。2桁ほど
安価です。どちらが大衆的かと言えば、もう言うに及びません。
この音に気が付いたのはピアノの極低音でしたが、コントラバスのピッチカートやオルガンの
最低音等もこの部類に入ります。違う音楽分野でもこれに似た楽器やそれを含む楽曲が必ずある
でしょう。知らなければ「知らぬが仏」で済むかも知れませんし、500万円 もするなら仕方ない
と諦めもつくでしょう。
しかしアップグレードなら3万円弱で、新規に買っても10万円前後でこの音が手に入るのです。
手を伸ばせば届くところにその音はあるのです。しかも、極低音だけではありません。全帯域の
過渡特性も同時に改善され、スピーカーを意識しないで音楽が楽しめるようになります。貴方は
この音を知らないままオーディオを続けますか?
私は是非、新しい音の世界を覗いて欲しいと思います。堂々巡りの、新しい事には繋がらない
オーディオ遊びに耽るより、余程生産的だと思います。オーディオは徹底した技術か新規な理論
でしか、開拓できないのです。それ程オーディオの道は険しいのです。伝統的なオーディオには
未来はありません。伝統的なオーディオは高周波ノイズの増加と共に成り立たなくなったのです。
従って、昔のアンプに回帰するのも余り意味がなくなっています。
オーディオは昔とは変わってしまっています。オーディオに於けるノスタルジアはもう意味が
ありません。アクセサリーに頼るのも論外です。今こそ、革新的なオーディオ観が大切なのです。
1445川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Tue Sep 17 14:30:00 JST 2013
高帰還化アップグレードされた方のご感想をご紹介致します。
8月の半ば頃からアップグレードが始まりましたが、これまでに10件を越すお申し込みを頂き、
この場をお借りしてご応募頂いた方に厚く御礼申し上げます。3日に1台のペースで仕上げた事
になります。勿論、納入のままの方も居られますが、感想をお寄せ頂く方も中には居られます。
10年以上に及ぶ経験から「沙汰がないのは良い音の証拠」と勝手に解釈しております。今回は、
短いご感想ながら、私の気持を代弁して下さるような内容を送って頂いた方が居られましたので
ご本人の許可を頂き、此処でご紹介させて貰う事にしました。
先ず、全内容を一字一句修正無しに記させて頂きます。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
WRP-ΔZERO/BAL/HYBがアップグレードを終え、戻ってきました。
有難うございました。
早速1時間ばかり聴いてみました。
まったく別のアンプになっていて驚きました(良い意味で)
以前から気になっていた中高音のキラキラした色気みたいなもの、それと
低音の薄さも消え去り十分な厚みを持って表現されるように
なりました。
この音の厚みは全帯域に渡って、まるで「質量を伴った音」として
立体的に表現されています。
私も川西先生がおっしゃるように軽い(薄いではなく)低音を求めていました。
このアンプは、まさにそれを体現しています。
しかも、低音の旋律をきちんと表現しています。意外にこの低音の旋律を
表現できるアンプは少なくて私の知る限り御社の他は一社しかありません。
しっかりした低音があって、はじめて中高音も生きてくると思っています。
もう、柔らかいとか硬いとかいう音からは開放されました。それほど
自然な音楽を聴かせてくれます。ベストなアンプに出会えました。
有難うございました。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
以上のような短いご感想ですが高帰還化アンプの本質を見事に言い現して居られます。私は
これまで掲示板で何回となく、低音の出方について説明させて頂いてきましたが、軽い切れの
ある低音の良さを分かって頂けて、本当に嬉しく思います。
また、「中高音のキラキラした色気みたいなもの」が無くなったと仰っていますが、これが
私の言う過渡ひずみなのだと思います。八尋さんが指摘された「歪が明るさに聴こえ、従来の
αZEROのほうがきれいに聴こえるかもしれません」と言う部分に対応するのではないかと
思います。この音は好き好きが分かれるポイントかも知れませんが、これが無くなる事で音に
厚みが出て、質量を伴った立体的な音になるのだと思います。私なりに言えば、生演奏会の音
に近付く訳です。
軽い低音が日本では余り理解されないのは、和室では吸収されて殆ど出ない事、そのような
和楽器が無い事、このような伝統的な事情が日本人のDNA に刷り込まれているからでしょうか。
私がこの音を追求するようになったのは、feastrexの500 万円の音を聴いた時に普段聴く低音
と本質的に違う低音が出ている事に気付いた事と、日フィルの東京定期をサントリーホールの
バランス抜群の最上席で聴くようになってからです。
和室で西洋音楽を聴こうとすると、普通は低音不足に陥ります。それは部屋の反響が殆んど
ないからです。低音が逃げて行ってしまうと言っても良いかも知れません。そこで何らかの形
で低音を補う事になります。例えばトンコントロールで低音をブーストするとか、低音の甘い
アンプを使うとかです。その結果、量的には兎も角も、質的にはブーミーな低音で音楽を聴く
事になります。
要するに低音に関しては質より量を重んじるようになってしまったのです。このような下地
があるので、日本人は伝統的に低音音痴の人が多いのです。これはアンプの評価を誤った方向
に導く結果にもなっています。西洋では教会があり子供の頃からオルガンの響きを聴きながら
育つと言う環境があります。そこが日本と大くき違うところでしょう。
もう一つ重要な事は、このような低音が出るパワーアンプはWR以外では他に一社しかないと
仰っている事です。要するに、このような低音を出せるパワーアンプはこれまで殆ど無かった
のですから、この低音をオーディオ装置で体現した人は殆ど居ない事になります。このような
パワーアンプが殆ど存在しない理由は、負性抵抗に阻まれて高帰還アンプが実現出来なかった
からでしょう。技術的に厚い壁があったと言う事になります。
高帰還化アンプの特長は、一口で言えば過渡ひずみの殆ど無いアンプ、音で言えば中高域の
ひずみ感がなく、軽い低音が出るアンプと言う事になります。過渡ひずみは、帯域に関係なく
発生しますから、実際の音への影響は全帯域になりますので、その影響は、実はもっと複雑な
はずです。唯、耳に分かりやすい帯域として、中高域と低域を例に挙げたに過ぎません。個人
の耳の特性や音の好み、聴く音楽によって感じ方は微妙に変わってくると思います。貴方なり
の新しい発見が有っても不思議ではありません。
軽い低音の良さは心地良さだけではありません。オルガンの下降音階のような低い音の旋律
が明確に掴める事にもメリットがあります。低音楽器が重なると個々の楽器の旋律が埋もれて
しまうアンプがこれまで実は多かったのです。低音の旋律がきちんと掴めるアンプは殆ど無い
と言うご指摘は、その通りだと思います。そして、しっかりした低音があって初めて中高音の
音も生きてくると言うのも、仰る通りだと思います。WRアンプで真の低音を味わって頂きたい
と思います。
このような音の上での特長もさることながら、本当に大切なのは「もう、柔らかいとか硬い
とかいう音からは開放されました。それほど自然な音楽を聴かせてくれます。ベストなアンプ
に出会えました」と言う部分でしょう。要するに、オーディオ装置を忘れて音楽に没頭出来る
アンプこそが、本当の意味で価値があるのです。
WRアンプはオーディオ遊びのためのアンプと言うよりは、音楽を心から楽しみたい方のため
のアンプです。音の事に煩わされないで、心行くまで音楽に没頭したい方に、是非ご購入頂き
たいと願っています。オーディオ遊びはいずれ飽きます。しかし、音楽は無限に近くあります
から、一生飽きることなく音楽を聴き続けられるでしょう。その間、壊れなければWRアンプは
ずっと寄り添って行けると思っています。
WRアンプユーザーの方で、同じような志をお持ちの方には強くアップグレードをお勧め致し
ます。この方のご感想で、今こそ自信をもって、そう申し上げられるようになりました。
追伸:
最近アップグレードされた方の中に、WRP-α6 をお持ちの方がありました。非安定化電源の
30W 型アンプです。これまで非安定化電源で高帰還アンプはWRP-α9/A しかありませんでした
ので、言ってみればこのアンプのハイパワー版になります。一体どんな音になるのだろうかと
言う好奇心がありました。
偶々、息子が来ていたので一緒に聴いて貰いましたが、これが非安定電源の30W アンプなの
と言う良い意味での驚きがありました。これまで、種々の高帰還化アンプを聴いてきましたが、
90% 程は同程度の質が達成されていると言う結論になりました。高帰還恐るべしです。慌てて
自身のα6 もアップグレードしたのでした。WRP-α6 をお持ちの方アップグレードしませんか。
コレクタホロワ化も含めると\67,200 掛かりますが、その価格で他社パワーアンプを買うより
ずっと色々な意味で強力なアンプに仕上がります。ある意味十分お得だと思います。
又、Δ6/miniやΔ7 もアップグレード可能です。もっと実力のあるアンプに改変しませんか。
WRP-Δ7をアップグレードするとΕ-30相当になります。新しく高帰還パワーアンプをお望みの
お方は、新しいΕ(イプシロン)シリーズをお買い求め下さい。Ε-10 は既にWRP-Δ8 として
実績がありますが、より高域が美しく進化しています。
近々にΕ-30、Ε-50の仕様も発表致します。どうぞ、参考になさって下さい。
1444川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Tue Sep 10 11:30:00 JST 2013
* * * 八尋さん、ご感想ありがとうございます。* * *
八尋さんには相当昔にWRP-α1 を、最近ではWRP-αZEROの特別提供品とWRC-ΔZERO/FBAL 等を
お買い頂き、有り難く思っております。最近、使用しているOPPOやB&W のせいもあってか、少々
バイオリンがキツク聴こえるので、アップグレードしたらどうなるでしょうか?と言うご相談を
頂きました。
多分アップグレードすれば解決するとは思いましたが、機器の癖や電磁環境の問題もあります
ので、ご自宅で聴いて頂くのが一番確かだと考え、偶々貸し出し機の30W が出払っていた事から
WRP-ΔZERO/BALのアップグレード品をお貸しする事にしました。
その第一声は八尋さんのご報告の通りです。私なりのコメントを書き込みます。
> ダイナミックレンジがやたらと広く、音の重心がぐっと下がり、圧倒的なスケール感
ダイナミックレンジが広くなったと感じるのは、小音量の時に音が埋もれずに綺麗に鳴る事と
大音量の時に音が崩れない事が重要です。この2つが両立している証です。音の重心が下がった
のは出力インピーダンスが下がり、アンプがスピーカーを的確にコントロールしている証拠です。
過去にも千葉さんのご指摘があったように高帰還化の特質でしょう。他にアップグレードされた
方からも、異口同音に低音の伸びについては例外なくお褒めを頂いています。
さらに圧倒的なスケール感をお感じになったと言う事は、ffでひずみ感が大幅に減った為だと
思います。CDの本来の特長が遺憾なく発揮されたからでしょう。
アナログは微小範囲は得意ですが振幅の大きいところが苦手です。逆に真のデジタルは振幅の
大きいところが得意なのです。
> 高域で派生する響きのようなものがほとんどない。これが過渡歪なのでしょうか。
つまり音のささくれが無いと言う事です。このささくれは過渡ひずみの一種です。これが無く
なる事で、楽器本来の音が蘇り耳の疲れは激減します。だからピュアサウンドなのです。これで
バイオリンの音はずっと聴きやすくなるはずです。
> 一種のうるささから解放され本当の音だけが聴こえるようです。
高帰還化アンプに、八尋さんはこのようにお感じになっています。殆どの場合、煩さの実体は
過渡ひずみなのです。それが無くなれば聴こえて来るのは楽器本来の音だけになります。それは
バイオリンもピアノも同じ事なのです。
> 歪が明るさに聴こえ、従来のαZEROのほうがきれいに聴こえるかもしれません
人の好みや耳の特性はそれぞれ違いますので、多少のひずみを含んでいる方が耳に心地良いと
感じる人もないではありません。唯一、この問題だけは理屈では割り切れないので、私も好みの
問題が存在する事を申し上げています。唯、私自身は耳の老化の為かこのひずみ感には生理的に
堪えられなくなっていますので、今の私には理解出来ない事ではあります。
> 弱音がきめ細かく込められているのがよく分かります。この弱音からオーケストラの総奏まで
> 各楽器の音が克明に再現され壮観です。
これが可能になった理由は、既に上述した事でお分かり頂けると思いますが、八尋さんご自身
も、この事を正しく評価されています。
> 一番感動したのは生演奏独特の中高音の張りのある艶のようなものが聴こえること
と仰って、ブラスバンドの音を例に挙げられていますが、この中高音の張りが、私がよく言う
剛体感だと思います。勿論、実演は柔らかい音も含みますが、圧倒的パワーをもって面で押して
来る力強さがあります。これは柔なアンプでは絶対出せない音です。出力インピーダンスが普通
のアンプより相当に下がっているから可能なのです。
> スピーカが全く気にならなくなります。音場が安定し、地に足がついたというか、音場がどう
> と気にする必要もなくなりました。
これは私も感じるところです。以前はバランス伝送が必須でしたが、もうアンバランス伝送で
十分になりました。だから発売するΕシリーズはRCA 入力のみですし、開発中の新型プリも同様
です。それでもバランス伝送と音場の問題で見劣りしませんのでご安心下さい。コストダウンの
要素にもなっています。勿論、バランス伝送が悪い理由はありませんので、否定している訳では
ありません。
> 実体感を持ってはっきり聴こえ、きれいな音というより堂々と鳴り響く印象が強い
確かに小奇麗に聴こえるのではなく、実演の音を髣髴とさせる鳴り方ですから、リアリティを
求める方に向いています。ピュアサウンドであると同時にリアルサウンドでもあります。
> 今までと次元が違うようで、今までの拙いオーディオ遍歴の中でも、これほどの質的な変化は
> 初めての経験です
今までは帰還量は一定でした。今回のアップグレードは14dBの高帰還化ですから、基本的には
全てが「5倍返し」になります。だから驚異的な質的変化が起きても不思議ではないのです。
八尋さんも
> WRアンプの美質が高帰還化により数倍となって発揮されるようです
と仰っています。以上のように八尋さんが1週間で聴き分けられた高帰還化アンプの音の特質
はほぼ正確に言い表されています。八尋さんの耳は長年に亘って鍛え上げられた優れた特性だと
推察しました。唯、数倍もの違いがあれば、誰でも気のせいではなく、ブラインドテストで言い
当てられる程の違いをお感じになる事でしょう。
現在お持ちの2台のWRアンプのアップグレードにご期待下さい。高帰還化アンプの音の再現性
は高いので、必ずご満足頂けるものと思っております。これはWRP-αZEROを高帰還化した息子の
話ですが、マンションの余り良くない電磁環境でも、その悪影響を受ける事なくアンプの本領が
発揮されているとの事です。
好みの問題がある事と度重なるアップグレードに気が引けていますので、少し遠慮しています
が、高帰還化アップグレードは殆どの方に福音となると私は信じています。八尋さんのご報告で
その感を強くしました。又、高帰還化アンプはオフセット電圧やドリフトが少ないので、高能率
ホーンでシステムを構成されているマルチユーザーの方にも最適だと思います。
1443川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Mon Sep 9 10:30:00 JST 2013
日フィル9月定期を聴く
いよいよ秋の音楽シーズンが始まりました。幸い暑さも峠を越え、この日は涼しく行き帰りが
楽でした。今月の出しものはインキネン指揮するオールワーグナープログラムです。シベリウス
に続いて読売新聞にインキネンの記事が掲載されていました。インキネンは北欧の指揮者ながら
ワーグナーに力を入れているようです。
曲目は「ジークフリート牧歌」、楽劇「トリスタンとイゾルデ」より前奏曲と愛の死、そして
楽劇「ワルキューレ」より第1幕です。ソプラノはバイロイトの常連と言っても良いエディス・
ハーラーで、テノールも一流歌劇場やバイロイトでの活躍が目立つサイモン・オニールです。
ワルキューレにはジークムンントの仇役としてフンディングも登場しますが、バイロイトでも
長きに亘って脇役をこなし続けているバスのマーティン・スネルが配役されています。登場人物
全てがバイロイト経験者なのです。インキネンの本気さが伝わってきます。
ジークフリート牧歌は妻コジマの誕生日を祝って個人的に作曲した室内楽でした。しかし借金
返済の為に出版する事になり、この曲名が付けられたのです。その時に、オーケストレーション
されたのかも知れません。曲想は「指輪」の愛のモティーフを使っていて、全体に穏やかに推移
します。
ワーグナーの他の作品に比べればどうって事ない曲です。これまでLPやCDで聴いても特に感動
を覚えたことはありませんでした。今回インキネン/日フィルの演奏を聴いて少しこの曲の良さ
が分かった気がします。この曲は、木管、金管と言うよりは、やはり弦パートが鍵を握っている
と思いました。幸いコンサートマスターが扇谷泰朋だったので、弦が綺麗に揃っていて、この曲
の良さがある程度表出されていたと思います。この曲にもffらしきものがありますがワーグナー
らしい、面で押して来る迫力を感じ取る事ができました。
次は「トリスタン」です。前奏曲の部分は、可も無く不可も無くと言う感じだったでしょうか。
とは言っても、私の耳に残っているのは、クナッパーツブッシュ/ウィーンフィル/ニルソンや
ショルティ/ウィーンフィル/ニルソンのような超一流の演奏ですから、違和感がなかっただけ
でも良いと思います。愛の死の部分は、勿論、部分的には凄かったとは思いますが、ソプラノが
まだ本調子ではなかったのか、或いはこの曲に慣れていなかったのか、平均して声量が保たれて
いたとは思えず、少々消化不良の感は否めませんでした。
15分の休憩後に、いよいよ本日のメインである「ワルキューレ」です。舞台の左右には字幕が
流れる電光掲示板が置かれていました。ワルキューレはショルティ/ウィーンフィルで偶に聴く
ので耳には馴染みがあります。特に第1幕は聴き易いので、ワーグナーの中では気楽に聴く事が
できます。
最初の導入部分は嵐を表すのか、凄まじい弦楽合奏で始まります。バイオリンは鋭くも細かく
刻み、ビオラ、チェロが支えます。コントラバスが底知れぬ深い闇の中不気味に騒ぎます。この
部分の英デッカの録音はかなりオンマイクで録っておりテストCDになるくらいの迫力があります。
それに比べれば、実演の方が大人しく聴こえる程です。
金管が加わりワーグナーらしい、いや指輪らしい迫力に包まれますが、ワーグナーは大太鼓や
シンバル等を使わない為、実は余り派手ではないのです。寧ろ、中低音から中高音に掛けて充実
するように楽器が準備されているようです。例えば、バスクラやバストランペットがモティーフ
を奏します。オーボエも特徴的に使われていて、日フィルのトップの音は存在感がありました。
テノールの登場です。道に迷い疲れ切って辿り着いた所が敵の家、フンディングの家だったの
です。テノールの独白が始まります。綺麗に澄んだ迫力のある理想的なテノールです。主は留守
で、代わって妻が応対します。強引にフンディングによって結婚させられた被害者です。
言葉を交わす内に直感的に兄妹同士である事に気が付き惹かれ合います。楽劇はアリアと言う
より独白です。凄いと思ったのはテノールが自分の父親の名を叫ぶところ「ウェルゼ!」と2度
絶叫するその声質は感動ものでした。そこから調子を上げそれがソプラノにも乗り移って互いに
触発し合って、日本人には真似のできない声量とテクニックで聴衆を魅了したのでした。そして
互いに名前を付け合って、ジークムント、ジークリンデと呼び合うのでした。この2人の子供が
実はジークフリートなのです。(注:父親とはウォータン)
オケは、偶にバスクラやバストランペットそしてソロチェロが華を添えるものの、基本的には
弦楽パートによる伴奏なので、その意味では派手さは全くなく、その調子が第1幕の幕切れまで
続きますが、流石に最後のffはワーグナーの醍醐味を十分味わえる迫力でした。日フィルも健闘
したと思います。うねるようなワーグナーの音楽を上手く奏でていました。最後の盛り上がりで
場内は最高潮に達し、騒然とした雰囲気に包まれました。
ホールが一体となって揺れているようでした。これぞライブの魅力なのでしょう。東京定期を
聴いた人は得をしたと思います。読売新聞が敵のオケの事を取り上げたのは公平に見るマスコミ
の良心だと思いました。聴く価値ありの一夜でした。
1442柏市 八尋さん(会社員)
Thu Sep 5 23:19:34 JST 2013
高帰還アンプを試聴機で聴いてみました。
現在、バランス駆動で使用している、α1とαZEROを高帰還アップグレードして
いただけるかメールで質問したところ、好みの問題もあるので試聴機で確認したほうが
よいとのことでした。早速、ΔZEROの試聴機を送っていただきここ1週間ほど聴き
こみましたので報告します。
今までも、コレクタフォロワ化、バランス駆動化とアップグレードしていただき、
そのたびに確実に音は改善されてきましたが今回は少しレベルが違うようです。
試聴機が到着し、わくわくしながら早速接続し音出ししたのですが、これが、想定
以上の驚きの音でした。
最初に、カラヤンの60年代録音のモーツァルトのディヴェルティメント集で、あまり
よく聴こえた記憶がないのですが、どこまできれいに聴こえるかかけてみました。
ゲインが低いということでいつもより2目盛ほどボリュームを上げて聴き始めましたが
強奏では部屋中に音が充満し慌ててボリュームを下げることとなりました。
ダイナミックレンジがやたらと広く、音の重心がぐっと下がり、圧倒的なスケール感で
モーツアルトが響き渡ります。
初日は何が変わったのかわからず、翌日から、聴きなれたソースをとっかえひっかえ、
アンプをαZEROに戻したりを繰り返し1週間ほど経ってようやく高帰還化の威力が
分かってきました。
・高域で派生する響きのようなものがほとんどない。これが過渡歪なのでしょうか。
ムターの華麗なヴァイオリンの響きも、キーシンのピアノの輝きも一種のうるささ
から解放され本当の音だけが聴こえるようです。秋葉原の店頭などで比較試聴すると
歪が明るさに聴こえ、従来のαZEROのほうがきれいに聴こえるかもしれません。
確かに、好みの問題はあるかもしれません。
・音楽のダイナミクレンジが圧倒的に広がります。ムターのベートヴェンVn
コンチェルト、気持ちの良い前奏の後、華麗なソロとなるわけですが、華麗なだけ
でなく弱音がきめ細かく込められているのがよく分かります。この、弱音から
オーケストラの総奏まで各楽器の音が克明に再現され壮観です。第一印象の
スケール感はここから来ているようです。
暑いのにエアコンを止めて聴く価値があります。
・一番感動したのは生演奏独特の中高音の張りのある艶のようなものが聴こえること
です。野外でブラスバンドの生演奏が聴こえてきてはっとさせられるあの響きです。
モートン・グールドのマーチ集(SACD)で聴くと昔、子供たちが運動会で
やっていたブラバンの音が、演奏はともかく音は格別だった記憶が甦ります。
・スピーカが全く気にならなくなります。音場が安定し、地に足がついたというか、
音場がどうと気にする必要もなくなりました。武満徹の合唱曲集(SACD)は
モヤッとした曲が多いのですが、それでも各声部がはっきり分離され自然に再現
されます。
ということで試聴したCDでの発見を書き出すときりがなのですが、再生される音全てが
実体感を持ってはっきり聴こえ、きれいな音というより堂々と鳴り響く印象が強いです。
今回のグレードアップは今までと次元が違うようで、今までの拙いオーディオ遍歴の
中でも、これほどの質的な変化は初めての経験です。
従来のWRアンプの美質が高帰還化により数倍となって発揮されるようです。
α1とαZEROのアップグレードによりバランス駆動でどこまで行ってしまうのか
本当に楽しみです。
柏市 八尋
1441川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Wed Sep 4 16:30:00 JST 2013
理想的なパワーアンプを追求して---Εシリーズの完成
何十年掛かったのかもう自分でも分かりませんが、やっと此処に来てΕシリーズに辿り着く
事ができました。かなり理想的なアンプになったと自負しています。
オーディオは料理みたいなものだから、甘い物、辛い物、苦い物等、色々あって良いと言う
意見もありますが、私はそうは思っていません。オーディオは、物理、化学、電気、電子等の
理学・工学に基づいた立派な工業製品であり、味覚のような、人の感覚で左右されるべきもの
ではないと私は考えています。
学問的に間違ったものを作って「それが好きだから良いのだ」と言う論理は、趣味の世界と
言えども、作り手として如何なものかと思います。そう言う私も過去に、結果的に不足のある
アンプを作って来た事は否めません。最初から理想的なものが作れなかったのは、私の不徳の
致すところです。
どんな世界でも完璧に理想的なものはありませんが、それに近いものを目指すべきだと思い
ます。オーディオで好き嫌いが分かれるのは、アンプが理想的に出来ていない、と言うところ
に原因があると思います。エネルギー供給が無限に起き得るパワーアンプが、一番オーディオ
の中で大切だと思っています。
例えば出力インピーダンスが低くなり切らないパワーアンプは決して理想的とは言えません。
スピーカーを定電圧駆動できない為、低域に存在する共振峰の影響を受けますし、コーン紙の
自由振動も活発化して、少なからず原信号とは違った音で鳴ることでしょう。その音が理想的
ではないので、ボワーンとしていて良い音だと言う人も居れば、締りがなく嫌な音だと言う人
もいるでしょう。要するに、理想的でない(原信号に忠実でない)音に対しては意見が分かれる
のです。但し、原信号はかなり理想的に録音されている音源だとします。
逆に言えば原信号を忠実に再生する理想的なアンプならば、殆どの人が良い音だと認識する
はずだと思います。本当に美味しいもの(理想的なアンプ)なら、殆どの人が美味しいと言う
はずである、と言う事です。下手物だから、好き好きが出ると言うことではないでしょうか。
しかし、これまでは残念ながら理想的なアンプはこの世に存在してきませんでした。それは
古典的回路では理論的に無理がある事、高帰還アンプは負性抵抗に阻まれて成功しなかった事
この2点で明らかです。真空管アンプは前者に、トランジスタアンプは後者に属します。
この為、世間には悪く言えば「下手物」的アンプしか無かった為に、これが好きあれが嫌い
と言う図式でオーディオの世界は成り立ってきたのだと思います。だから未だに決定的な定番
製品が存在しないのです。WRアンプもこれまでその一つであった事は、完全には否定できない
とは思っています。
しかし、Εシリーズでやっと理想的だと思えるパワーアンプに辿り着けたのです。一番の肝
は過渡ひずみが僅少だと言う事でしょう。原信号を歪めずに聴くには、アンプのパワー増幅で
過渡ひずみを加えてはならないのです。忠実なパワー増幅は難しいので、殆どのパワーアンプ
は何らかの過渡ひずみを付け加えてきます。
過渡ひずみを付け加えない為に必要な事は
1.帰還を極力安定に掛ける事→帰還で生じる負性抵抗を積極的・抜本的に排除する事。
2.帰還量を多くし、可能な限り出力インピーダンスを下げる事→SPを定電圧駆動する事。
の2点に集約できると思います。これによって、理想的なアンプに近づけるのです。
若い頃は耳の許容範囲が広いので、多少の音は耳が吸収して聴いてしまいますが、老化した
耳はそれができません。嫌な音が少しでもあると、その音でマスキングされて真の楽器の音が
聴こえなくなってしまいます。そう言う実用的な事から、この新しいΕシリーズは生まれたの
です。
WRアンプユーザーの方で、広い意味での過渡ひずみに気が付いている方は、アップグレード
をお申し込みになって下さい。殆ど不満なくお聴き頂いている方は無理なさる事はありません。
仏の顔も三度と言う言葉もありますが、三度目の正直と言う言葉もあります。
オーディオアンプが偶然に音が良くなると言う事は有り得ません。ましてやアクセサリーで
音が良くなる等と言う事は妄想に過ぎません。如何に原信号の劣化を、パワーアンプの段階で
減らせるかが最大の課題なのです。オーディオに対する変な期待や夢は捨て、現実をよく直視
して欲しいと思います。
「趣味だから適当でいい」と言う考え方もありますが、そんな事を言いつつ良い音を密かに
期待しているのではありませんか?オーディオは最難関の趣味です。科学的に全貌が明らかに
なっていない稀有な工業製品です。浮ついた気持ちで対するなら、それだけの見返りしか期待
できない厳しさがある事に早く気が付いて下さい。では、どうすれば良いのでしょうか?
要するに、信用できるパワーアンプを先ず購入する事から始めれば、きっと近道で良い音に
巡り会えると思います。そのパワーアンプの候補の一つとして、WRアンプの新しいΕシリーズ
を考えて頂ければ幸いです。ちゃんとしたアンプを求めればあとは自然について来るはずです。
そうすれば、混迷のオーディオから抜け出る事ができるでしょう。
尚、Ε-30とΕ-50の価格が決定しました。全段安定化電源駆動式の高帰還パワーアンプです。
Ε-30 → \131,250(税込み)→ Ε-10の上級サイズシャーシ使用
Ε-50 → \147,000(税込み)→ Ε-10の上級サイズシャーシ使用
となります。100W、120Wも可能ですがカスタム扱いになります。価格はシャーシに何を使うか
に依りますが、30万円以下で賜れると思います。120W型以外は試聴機がありますので、先ずは
音を聴いてから注文したいと思われる方は、遠慮なくお申し出下さい。
1440川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sat Aug 31 15:30:00 JST 2013
高帰還アンプの10W型(Ε-10)と100W型(Ε-100)の音の違いについて
新シリーズには出力に応じて5種類の高帰還パワーアンプがありますが、果たして音にどの位
の違いがあるのでしょうか。誰しも気になるところです。残念ながら、120W型は現在我が家には
ありませんが100W型ならありますので、先ずは10W 型と100W型を聴き比べて見ました。尚、Εは
ギリシャ文字で小文字はεです。数学では非常に小さな数を意味します。小粒でもピリリと辛い
アンプです。
パワー比で10倍と言う事は、電圧比では3.3 倍の余裕度の違いがあります。即ち100W型の方が
ダイナミックレンジの点で明らかに有利な訳です。特に、交響曲や管弦楽のような大編成のオケ
の場合は、その差が出ても不思議ではありません。
もう一つ言える事は、100W型の方が裸のゲインが高くなるので、帰還量も多くなるはずですし
結果として出力インピーダンスもより低くなります。出力インピーダンスが下がれば、それだけ
定電圧駆動に近付きますから、当然音の正確度も変わってきます。
このように音に違いが出る条件があるので、同じ音質になるはずはないのですが、その割には
基本的に同じ音で鳴ってくれます。音の8~9割り方は同じだと言っても良いと思います。音を
絞れば絞るほど、その差が分かり難くなります。音の特長はこれまで何回も申し上げて来ました
ので詳述は避けますが、ひずみ感の少ないピュアサウンドです。
では音の違いはどんなところにあるのでしょう。先ず10W 型の良い所を挙げると、音が優しく
きめ細かな部分が綺麗です。ストレスなしに気楽に聴ける音です。能率87dBのスピーカーで8畳
の洋間で聴く限り、パワー不足を感じる事はありません。ましてや、低音不足を感じる事もあり
ません。コントラバスのピッチカートは低く締まって聴こえます。ブーミーとはほど遠い音です。
言ってみれば必要にして十分な音であると言えると思います。比較しなければ何の不満もない
音です。日本の住宅事情を考えると殆んどの方はこのアンプで十分な気がします。全段を安定化
電源で供給した高帰還アンプです。これまでの「10W のアンプ」と言うイメージは捨てて下さい。
では、100W型アンプの音はどうでしょうか。パワー素子がTO-3のパラレル接続ですから、パワー
の違いだけでなく、それだけで音の違いがあっても不思議ではありません。10W 型はTO-3P 型の
シングル接続で、何れもEMe 型バイポーラトランジスタを使っています。
音全体からすれば8~9割りは同じですが、残りの1~2割りの部分の違いを強いて拡大して
申し上げれば、音の輪郭がくっきりしている事、音に力がある事です。ピュアサウンドがさらに
冴える感じです。オーディオ的に濃くがあると言っても良いかもしれません。ここまでソースの
実像を曝け出すのか、と言う気もします。別の言い方をするとある種の凄みを感じます。高出力
パワーアンプの魅力を知ってしまった方、能率の余り良くないスピーカーを広い部屋で最大限に
鳴らしたい方にお勧めです。
オーディオの楽しみ方には色々あります。あくまで魅力的な音を追いかける人、音はそこそこ
にしていい音で音楽を楽しみたい人、どちらにも特化しない中間的な人もいらっしゃるでしょう。
私自身は「そこそこにしていい音で音楽を楽しみたい」と言いたいところですが、魅力的な音を
聴くと昔の色気が蘇ってきて、実はまんざらでもありません。大抵の人はそうではないでしょう
か?
昔の色気とは、大音量で聴いても煩くなく、あくまでひずみ感のないソースの肌がクッキリと
見える音だと言う気がしています。若い頃は今のようにノイズ環境が悪くありませんでしたので、
自作真空管アンプでも結構な音で鳴ってくれました。アンプの出力インピーダンスは、そんなに
低くはありませんでしたが、大きな容積のスピーカーボックスが昔のSPとマッチして、結構いい
音で鳴っていたと思います。
トランジスタの台頭と共に、デジタルノイズが世の中に氾濫するようになって、アンプの音は
坂道を転げ落ちるように悪くなっていきました。初めは自作アンプの音が何故良くならないのか
皆目分かりませんでした。帰還の掛け損ないと高周波ノイズは密接に関連しメーカー製アンプも
含めて、オーディオは混迷の時代に突入したのです。
「帰還は音を硬くする」「TRは石だから音が硬い」「無帰還ないしは軽い帰還の真空管アンプ
が良い」等と言う常識が、何時の間にかオーディオ界に浸透して行きました。トランジスタは悪
真空管は善、と言う誤った常識を植えつけた責任は、オーディオ全盛期にアンプを開発していた
大メーカーを含むオーディオメーカーにあります。
それがオーディオ界の斜陽を招いたと言っても過言ではありません。定年を迎えつつある団塊
世代の方の多くは失望した事でしょう。金輪際オーディオはやらない、と決意した人も居たはず
です。今、余生を楽しむ為にオーディオに回帰しようとしている方も、半信半疑でオーディオの
実情を見つめていると思います。
その頃からずっとオーディオの研究を続けてきた私が、此処に来てやっと正解に辿り着けたと
思えるような、新しいアンプの開発に成功しました。それが新しいΕシーズです。トランジスタ
方式ですが、昔のような耳を異様に刺激する音の硬さはありません。それどころか、ソースの真
の姿を忠実に再現してくれます。それには、幾多の理論的裏付けがあります。
趣味の世界だから理屈はどうでも良いと言うのは如何なものでしょうか。そろそろ誤った常識
から勇気を出して抜け出す事が必要ではないでしょうか? WRの新しいΕシリーズには、お使い
のスピーカーの能率、リスニングルームの広さ、聴取音量レベルに応じて5種類のパワーアンプ
があります。
今回は10W 型と100W型の音の違いをレポートしましたので、アンプを選ぶ時の参考にして頂け
れば幸いです。30W型および50W型はその中間的な位置にあります。明日からでもΕ-10 はお買い
求め頂けます。Ε-30及びΕ-50の設計は終わっていて、Ε-10 の上位サイズのシャーシに載せる
予定です。近々に価格も決定したいと考えています。WRアンプは高いと言う常識を打ち破る価格
になると思います。WRアンプの最終決定版にご期待下さい。従来のWRアンプシステムをお持ちの
方にはアップグレードをお勧めします。
注)帰還の掛け損ないが回路内に負性抵抗を生みます。負性抵抗は不安定要素ですから、アンプ
の安定動作を妨げます。また高周波ノイズの存在はそれに輪を掛けてアンプを不安定にします。
この負性抵抗を抜本的に積極的に無くすようにしたのがWRの特許回路です。この回路を最大限
に活用したのが、新しいΕシリーズのパワーアンプたちです。帰還のメリットを100%発揮する
新しいパワーアンプの音を是非聴いて見て下さい。試聴機も用意してありますので遠慮せずに
お申し込みになって下さい。Ε-10、Ε-30、Ε-50、Ε-100 相当品があります。
1439川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Mon Aug 26 21:00:00 JST 2013
WRパワーアンプの新しいラインアップについて---Εシリーズ
このところ、100Wアンプや120Wアンプの高帰還化を続けざまに手掛けてきました。WRP-Δ8 から
始まって、ついにパワーにして10倍以上に及ぶラインアップが揃いました。これからは新シリーズ
が始まります。
明日にも、鹿児島県の内之浦からイプシロン型ロケットが打ち上げられます。革新的な打ち上げ
システムと安価で日常的な打ち上げが可能になった新型ロケットは、日本の宇宙ビジネスの中心に
なると言われています。
奇しくもWRアンプはΔシリーズが終わり、Δの次、即ちΕ(イプシロンの大文字)シリーズに受け
継がれます。ロケットと同様に革新的で安価なアンプシステムが出来上がりました。過渡ひずみが
殆ど無い耳に優しいアンプです。余計なひずみがないので、源ソースの良さを余すところなく聴き
取る事ができます。
まだ確定的ではありませんが、今後のパワーアンプのラインアップは
Ε-10(WRP-Δ8と同スペック)
Ε-30
Ε-50
Ε-100
Ε-120
となる予定です。勿論、これらの間を埋める出力のパワーアンプも製作可能です。シャーシ形状は
WRP-Δ8 のサイズ違いがありますので、それらを利用しようと考えていますが、100W以上も可能か
どうかまでの詳細な検討は未だ行っていません。どちらにしても100W以上はカスタム扱いになると
思います。
又、基本的にはアンバランス入力としてコストダウンを図るつもりです。その為に、現在のプリ
よりゲインの高いアンバランスプリを計画中ですが、このところ高帰還化アップグレードの仕事に
時間を取られて、商品化はまだ先になりそうです。
新型アンバランスプリのゲインは、マスターボリウム以降で約12dB、その前に約10dBのフラット
アンプを置いて、総合ゲインを22dB程度にする予定です。これにΕシリーズのアンプのゲイン12dB
を加えるとトータルゲインは約34dBになります。
旧型プリのゲインは約10dB、旧型パワーアンプのゲインが約26dBですから、その差は2dB となり
十分実用範囲でマスターボリウムを扱えると考えています。このプリが実現するまでは以下に示す
2つの方法でWRの高帰還化パワーアンプをお楽しみ頂けます。
1.WRのフルバランス型プリとバランス型パワーアンプをお持ちの方は、アップグレードする事
により、バランス接続のままでプリのボリウムを3時半くらいまで回す事によって、十分な
音量でCDソースを再生する事ができます。(標準的なCDプレーヤーを使った場合)
2.WRP-Δ8 又は新シリーズのΕ-30やΕ-50を仮に入手された方は、その前にWRP-α9/A を接続
すればトータルで25dB程度のゲインになりますから、かなりの音量で音楽を楽しむ事が可能
になると思います。マンション住まいの方や、閑静な住宅街にお住まいの方には適合すると
思います。万が一WRプリをお持ちなら、ゲインが 4dB~10dB増えるので、さらに使い勝って
が良くなると思います。(WRP-α9/A は新型プリ発売まで発売継続になります)
近い内に、少なくてもΕ-30とΕ-50の価格を決めたいと思います。Ε-10 は9月から\84,000 と
して対応させて頂く予定です。Ε-30とΕ-50もΕ-10 と同程度の普及部品でOKなので、これまでの
ような高額なパワーアンプにはなりません。これが技術革新なのだと思います。
音質については今更ご説明の必要はないかも知れませんが、ひずみ感の少ないピュアサウンドが
特長です。特許回路によって安定性を十二分に確保した上で、高帰還化を試みましたので、パワー
アンプの出力インピーダンスは広い周波数に亘って低く確保されており、スピーカーを定電圧駆動
に近い形でドライブできるようになっています。従って、スピーカーコーン紙の余計な自由振動が
抑制されて、スピーカーから音楽信号以外の余計な音が出難くなっています。
その事と高い安定性のお陰で、従来型の高帰還アンプの常識を越えた「ピュアサウンド」が実現
されていて、音の精度が一桁ほど良くなった印象です。細かな音が聴こえる割には耳に異常な刺激
はなく、あくまでも自然に響き、老化した耳でも楽器の真の音をクリアに聴き取る事ができます。
別の言い方をすれば、「帰還の威力」を目の当たりにできるパワーアンプだとも言えるでしょう。
戦後、期待されながら、今ひとつ冴えずに「帰還は音を硬くする」と言う誤解さえ生んでしまった
帰還技術が、「負性抵抗」を克服する事によって、此処に蘇ったのです。
「音楽を楽しむ為のオーディオ」の新時代を開く、WRの新しいΕシリーズにご期待下さい。
1438川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Wed Aug 21 18:00:00 JST 2013
WRP-Δ120/BAL の高帰還化も成功しました。
前回、100Wアンプの高帰還化が成功したので、次は120Wアンプを行う予定である事をお伝え
しました。100Wアンプの電源電圧は±46V、120Wアンプの電源電圧は±50Vです。4Vの差なので
そのままの高域補償法で上手く行くだろうと思っていました。
負性抵抗を排除する特許回路は、その定数の設定がクリチカルではなく広い範囲に有効です。
従って、100Wアンプと同じ定数を適用しましたが、予想通り新たな問題は発生しませんでした。
とは言っても、実際に測定して見るまではドキドキものでした。
生憎、その基板を組み込む為の実際のアンプは平野氏の方にあり、測定にタッチできないの
です。送った基板が上手く動作したと言う報告が入るまでは、非常に心配です。万が一にでも
ある領域で発振していると言う事にでもなれば、その対策が取れるだろうか、と言う不安です。
どんな一流の指揮者でも舞台に上がる寸前まで、凄く緊張するそうです。上手く振れるかと
不安になるそうです。あのカラヤンでさえそうであったと聞きます。我々凡人は当然の事なの
だと自分を慰めて見ても、結果を聞くまでは落ち着きません。
その日の3時過ぎになって、やっと平野氏から取り敢えず上手く行ったと言う報告を貰って
安堵したのです。しかし、今年の夏は異常に暑いので、熱対策をもう少し掘り下げたいと言う
提案がありました。50W までのアンプはその点楽に作れるのですが、100W以上になると途端に
ハードルが高くなります。
皆さんの家のリスニングルームの室温はどの位でしょうか。出来れば30℃以下でお使い頂き
たいと思います。リスニングポイントが30℃では熱中症になってしまうので、もう少し低いと
思いますが、アンプの置き場所は必ずしも同じ温度とは限りません。今一度アンプ周辺の温度
を確認して頂ければと思います。特にラックに入っていますと通風が悪く、温度上昇の原因に
なります。
真空管アンプは元々陰極が高熱で動作するものですから、その点心配はないのですが、TRの
場合は、ペレットに許される最大温度は150 ℃と言われています。それも十分余裕のある動作
をさせている場合です。高電圧、高電流などのように条件が過酷になれば、もっと低い温度で
TRは破壊します。
具合いの悪い事に、TRの破壊の殆どは電極がショート状態になります。フェイルアウトです。
ショート状態になれば過電流が流れ、普通ヒューズが飛ぶ事になります。高温で壊れる可能性
のあるTRは、電流が多く流れるドライバーと終段です。ドライバーとは終段のTRを駆動する為
の前段のTRの事です。
もう一つTRアンプで厄介な事は、TRは温度が上がる程、電流が流れ易くなる事です。つまり
電流が流れれば温度が上がり、温度が上がればより多くの電流が流れると言う、所謂熱暴走が
起き易くなります。TRアンプが壊れる原因の中で、我々が一番恐れるのがこの熱暴走です。
大きな音で聴いていると、当然多くの電流が流れますから高温になりますが、音エネルギー
として外部にエネルギーが放出されているので、意外にこの状態でアンプが壊れる事は少ない
のです。一頻り聴いた後でちょっと休憩している間に、急に熱暴走が始まる事が実は結構あり
ます。
普通のTRアンプでは、熱を出す張本人であるパワーTRに温度補償TRと言うものを貼り付けて、
温度が上がると自動的にパワーTRのバイアス電圧を低くする事で、この熱暴走を防いでいます。
ところがハイパワーアンプになりますと、ドライバーTRの温度上昇も馬鹿にならなくなります。
例えば、50V掛けて10mA流れていれば、その熱損失は500mWになります。電圧増幅用TRの殆ど
は300mW 以下で使うようになっていますが、普通は余裕を見て、半分以下の動作に抑えて使い
ます。ドライバーに使うTRは普通のTRでは全然無理なので、1Wクラスのものを使います。周囲
温度が適性ならばこれで余裕があるはずですが、30℃以上の室温で使いますとペレットの温度
がより高温になり、必ずしも安全とは言い切れなくなります。もしドライバーが熱暴走したら
回路構成上、当然その影響はパワーTRにも及びパワーTRもおシャカになります。
今回平野氏が注目したのはこの点です。ハイパワーアンプの場合はパワーTRのみの温度補償
では危険な場合があると言う事です。ドライバーの温度補償も同時に行った方がベターである
事になりますが、これまで夏を乗り切っている方は、その実績があるのですから心配には及び
ません。唯、これからも地球の温度上昇は続くと言われていますので、何らかの対策が必要に
なると思います。
我々の方も、ドライバーとパワーTRの同時温度補償法を数多くこなしている訳ではないので
今後の課題にして、研究を続けたいと思っています。何れにしても、50W 以下のアンプの場合
は殆ど心配はないと思います。Δ120 の場合の熱対策の話しは高帰還化の話とは別物ですから、
温度管理さえしっかりやれば、安心して高帰還化の御利益をお楽しみ頂けます。
幸い、もう1台我が家には100Wアンプがあるので、このアンプを高帰還化したついでに温度
補償も新技術を適用して、実験を続けようと思っています。既に高帰還化は済んでいて、2台
の高帰還化100Wアンプが揃うので、今後ブリッジ接続(片チャン約300W)にして聴いて見ようと
思っています。
1437川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Thu Aug 15 18:00:00 JST 2013
急遽、100W型アンプの高帰還化実験を行いました。
WRP-Δ120/BAL をお持ちの方は少ないので、もう少し落ち着いてから実験をしようと思っていた
のですが、そのΔ120 をお持ちの方からも、アップグレードのお申し込みを頂いてしまったのです。
お断りする事は勿論できません。急遽、先ずは手持ちの100W型アンプの改造に着手しました。100W
アンプが上手く行かないのに、120Wアンプが成功する事はあり得ないからです。
計算上は「此処の抵抗をこう変えて」等と言う青写真はありましたが、実際に上手く動作するか
どうかは予断を許しません。パワーアップはエネルギー供給が増えるので、特に安定性に見通しの
効かない部分があるのです。やる前から多少の不安がありました。
案の定、30~50W 型では起きなかった寄生振動がある出力の範囲で起きてしまったのです。さあ
どうする、と言うのが毎度繰り返す焦燥感です。このまま寄生振動を止める方法が見つからないの
ではないか、と言う気持ちに落ち込みます。兎に角、新手を見付けない限り前に進めません。
こう言う場合は、寄生振動が起きている状況で、あちこちの補償コンデンサーの値を変えて見て
どちらに転ぶかを判断して行くと、此処は余り関係ない此処はクリティカルだ、と言う事が掴めて
きます。そのクリティカルポイントがやっと見つかったのです。その瞬間もしかしたら脱出できる
かも知れない、と言う一筋の光明が見えてきました。
結局、そのポイントだけでは解決しませんでしたが一歩前進です。もう一つ決定的なポイントを
探さないと本質的な解決にはなりません。しかし此処まで来ると勇気が出てきて、ただ手を拱いて
不安感に襲われていた時とは違った自分が居ます。ピンと閃きが起きてあそこの補償を増やしたら
良いかも知れない、と言うアイデアが自然に浮かんできます。これは長年の経験に基づく勘です。
そして、寄生振動をピタッと止める方策が見つかったのです。一部の補償を弱めて、一部の補償
を強める事で解決する事ができました。今度は、全ての出力範囲で綺麗な波形が観測できたのです。
最大パワーもほぼ100W得られています。やっと不安感からくるストレスから解放されました。
これなら試聴する価値があります。この高帰還化アップグレードでは初めて未踏の100Wの領域に
到達できたのです。今度は、聴く前からウキウキ気分です。この苦労と達成感から、出てくる音に
自己陶酔してしまう気持ちはよく分かります。だから、自分で作るアンプの音には甘くなるのです。
これはいけません。十分戒めの必要があります。
私は自分で楽しむだけでなく他人様にアンプを提供する身です。自己陶酔だけのアンプをお売り
する事は避けねばなりません。なので、都合の良いソースは排除して、問題のあるソースばかりを
数点用意してあります。そして聴くポイントを予め決めておきます。そうすれば、かなり客観的に
アンプの良し悪しが判断できます。これは好き好きではなく、あくまで良し悪しなのです。
例えばピアノの音が自然に聴こえるのが「良」耳に威圧的に聴こえるのが「悪」、バイオリンに
伸びがあるのが「良」詰まったり引き攣れたりするのは「悪」、トランペットの音が不自然に前に
飛び出るのは「悪」などと言う具合に、各ソースのチェックポイントで良し悪しを冷静に判断して
行きます。全体の感じをムーディーに判断したりする事はありません。
この100Wアンプでも、それらのテストポイントを聴いて見ました。これまでΔ8 、30W型、50W型
で散々聴いてきたので簡単に迷いなく判断できました。結果は基本的にΔ8 の延長線上の音である
事は勿論の事ですが、100Wともなると10W のアンプに対して、電圧比で3.3 倍の余裕があります。
それが効いているのか、全てに余裕を感じました。要するに良くなっている部分が明らかにあり
ます。まだ時間を掛けて聴いていませんので、もしかしたら繊細さの点で多少落ちる事が有り得る
かも知れません。それはパワーTRがパラ接続になっている事とドライバーの石が少し大き目のもの
を使っている事から、ある程度は覚悟すべきだと思っています。ハイパワーアンプの宿命なのです。
一長一短と言う事でしょう。
これで120Wアンプの見通しがつきました。100Wアンプと120Wアンプの間には本質的な問題はない
と思っています。今、その改造に踏み切ったところです。DCバランスは上手く行きました。結果は、
またお知らせします。
1436川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Wed Aug 7 11:30:00 JST 2013
WRP-α1MK2/BAL及びWRP-αZERO/BALなどの高帰還化アップグレードについて
既に予告させて頂きましたように、WRP-Δ8 の具合が良いものですから、従来型のパワーアンプ
も同様な質にアップグレードできるように実験を重ねて参りましたが、音質を含めて見通しが付き
ましたのでお知らせ致します。理論上の見通しはついていますから、100W型以上も今後実験を行え
ば可能になると思います。
アップグレード対象アンプはコレクタホロワ化が済んでいるものに限ります。エミッタホロワが
残っているものは高帰還化には向きません。帰還は深い程、高調波ひずみ率やノイズが減る、出力
インピーダンスが下がる等のメリットがありますが、従来の補償法ではデメリットの方がクローズ
アップされ、必ずしも高帰還アンプは成功しませんでした。
WRアンプは独自に負性抵抗の概念を導入した事とコレクタホロワ化した事で、これまでの常識を
覆す程の深い帰還を掛ける事に成功しました。不思議な事ですが、従来型アンプより5.5 倍も帰還
が深くなったにも拘わらずアンプの安定性は向上こそすれ、悪化した形跡がありません。これこそ
が「負性抵抗」を排除する特許回路の威力なのでしょう。
最近息子のところのαZEROを実験台にして高帰還化を試みましたが、今までで一番アンプが安定
したと言われました。マンションは戸建より一般にノイズ環境は不利ですが、時間帯や電化製品の
使用・不使用の影響を殆ど受けなくなったとの事です。常に同じ質でモニターできる事に満足して
いるそうです。モニター音も以前より余計な音が激減し、純粋に録音媒体に入っている音の見極め
が可能になったようです。この事実は「アンプがより安定に動作するようになった」と言う証拠に
他なりません。
自分自身で明確に言える事は、何十年もの間苦しめられて来た、耳(大体は片耳)を非音楽的に
刺激するピアノの異常音から、ほぼ解放されたと言う事実です。一時はオーディオの宿命と考えた
事がありましたが、今では殆どのピアノのCDを普通に楽しむ事ができるようになりました。これは
高帰還化によってパワーアンプがより正常に動作するようになった証拠だと思います。
異常音は録音側でも再生側でも発生しますが、どちらかと言えば、録音より再生の方が難しいと
言う気がしています。それは再生にはパワー増幅が必然的に課せられているからです。ヘッドホン
聴取の方が罪が軽い場合が多いのは、パワー増幅の程度が低いからだと思います。最近のWR録音は
ピアノが多いですが、Δ8 系アンプの完成により大きく前進しようとしています。「トリスタン」
や「運命」のffでも全く混濁しない音が提供できると思っています。
人間は歳を重ねると物忘れが酷くなったり、動作が緩慢になったり不都合な点が増えてきますが
一つだけ良い事があります。それはモノが見えてくる事です。若い頃は夢中になるばかりで、モノ
の本質を捉える事に劣っていた、と言わざるを得ません。「若気の至り」とはよく言ったものです。
オーディオも例外ではありません。音に自己陶酔し惑わされていたような気がします。又耳が劣化
してくるので、悪い音を生理的に受け付けなくなります。
どのような音が本当に自分が求めているものなのか、どのような音が本当に良い音と言えるのか
その辺りの事が段々とはっきり分かって来たのです。その年頃になった時に、このWRP-Δ8 が完成
したのでした。偶然の一致ではありますが、Δ8 の音こそ自分の求めていた音だと悟ったのです。
Δ8 の完成によってもう一つ見えてきた事は、やはりペレットの小さいトランジスタの方が音が
スッキリすると言う事実です。本来ならパワーTRも小さいものを使いたいところですが、さすがに
30W型や50W型では非現実的な要求です。しかし、実際には前段のドライバーの石を小さくしただけ
でも効果がある事が分かりました。必要以上の大型TRは有害だと実感しています。それが好きだと
言う人が居るかも知れませんが、何故か中低域がダブつきます。
帰還が安定に掛かると静特性は勿論向上しますが、寧ろ、音楽を聴く事に深く関係する動特性が
大きく改善される事が重要だと思います。ひずみも、高調波ひずみより過渡ひずみの方が音質には
ずっと大きく影響するはずです。
出力インピーダンスが下がると言う事自体は静特性ですが、問題は中身でしょう。如何なる音楽
信号が来ても、出力インピーダンスが動的に変動しない事が大切なのです。だから見掛け上DFの値
が大きいだけでは、良好な低域特性(心地良い低音)が保証される訳ではありません。DFは静特性
ですから、不安定なアンプでも値が大きくなり得るのです。
Δ8 系アンプは安定度が高いので、DFの大きさはそのまま低域特性の良さに繋がります。この事
は低域の向上だけではなく、余計な音を抑制する効果もあるはずです。皆さん、スピーカー端子を
ショートした時とオープンにした時では、コーン紙を叩いた場合の音が違う事をご存知でしたか?
ショートした時はボンと言う締まった音がしますが、オープンにした時はボーンというだらしない
音になります。
これはコーン紙の自由振動に電磁力による制動が掛かったか掛からなかったかの違いによるもの
で、当然制動が掛かった方が余計な振動が減るので、音楽信号以外の余分な音が減る事を意味して
います。本来、コーン紙の振動は音楽信号による強制振動のみであるべきなのですが、DFが小さい
と強制振動の他にコーン紙の自由振動を許してしまい、雑味が増える事になります。
アンプ自体が安定動作する事によって余計な過渡ひずみが減り、さらにコーン紙の運動が的確に
制御されて余分な音が出なくなるようになり、これらが相乗効果を生んで、Δ8 系の音はすっきり
ピュアーサウンドになったのだと思います。
音がスッキリしたと言う事の中には、当然低域の改善が含まれています。音のベースである低域
は重要です。正当にDFを大きくしたアンプの低音は、重いと思われるかも知れませんが実は軽いの
です。過渡特性が良くなると音に切れが出て尾を引きません。あと味スッキリの低音即ち軽い低音
が得られます。
重低音と言う言葉があるので誤解され易いですが、本当の低音は軽く出るべきなのです。日本は
和室が多いので低音再生には向きません。和室は低音を吸収するので本来出ている軽い低音が聴こ
え難いのです。それを無理に聴こえるようにすると重い低音になってしまうのです。あるユーザー
の方から頂いた最近のレポートの中に、家の床を和室からコンクリートを打ってしっかりしたもの
にしたら、やっとコントラバスのピッチカートの音が軽く聴こえるようになったと言うものがあり
ました。但し、本当の低音は沈むように下に向かって伸び切らなければなりません。それが重低音
の真の意味だと思います。
今回のアップグレードは3回目になりますので、現在の音に特に不満を感じていらっしゃらない
方には無理にお勧め致しません。もし、今現在の音に偶に気になる音をお感じなっていらっしゃる
のなら、最後の手段として今回のアップグレードをお申し込み下さい。但し、ゲインが下がります
ので、WRプリを用いたバランス伝送では3時半くらいにボリウムツマミを回す必要があります。
肝心のアップグレード費用ですが、\28,000 +消費税とさせて頂きます。当然、アンプ基板等を
取り外し再組み立て後に測定を行いますので、アンプのメンテナンスを兼ねる事ができます。多少
の事は無償で行いますし、予告なく改善した技術も適用させて頂きます。あと付け加えるとしたら、
スピーカー端子のオフセット電圧及びドリフトが5.5 分の1に改善される事です。従ってDCアンプ
でありながら常に5mV 以下に収まりますので、ホーンユーザーの方には好都合になります。アンプ
のゲインが低くなりますので、高能率ホーンをお使いの方には使い勝手が良くなるはずです。26dB
→12dBにゲインは下がります。
ご希望の方は、当サイトのショッピングサイトより商品番号39をお申し込み下さい。
注)DFが小さい方が心地良い低音が出ると言うのは詭弁で、スピーカーを制御できない状態で良好
な低音を望む事はできません。不安定なアンプでDFを大きくすると、籠もったような悪い低音に
なりますので、DFが小さい方が良いと言う誤った考え方が生まれた可能性があります。正当なDF
なら大きくしても、スピーカーが定電圧駆動に近付くだけですので、悪い理由は何もありません。
DFが大きいと良い低音が出ないと言う理屈は、アンプの安定性に問題がある事を自身で証明して
いる事になります。制御の効いていない野放しの低音を好むと言うのは趣味の問題で別に考える
べきなのです。
1435川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sun Aug 4 17:00:00 JST 2013
秋篠さん、WRP-Δ8 とWRP-α9/A のお買い上げ及びご感想ありがとうございます。
秋篠さんからご連絡を頂いたのは、確か5月の連休の頃だったと思います。メールの文面から
冷やかしとは違う真摯なお気持ちが察しられたので、直ぐに両者セットでお貸し出しする決意を
しました。この方はきちんとされている方だと直感しました。
案の定、お貸し出しして2、3日で「気に入ったので購入したい」と言う主旨のご連絡を頂き
ました。音の良し悪しを即座に判断出来る優れた耳の持ち主で、決断力がある方だと思いました。
それ以来、トントン拍子でアンプの納入が進んだのでした。
その間色々とメールでやり取りさせて頂きましたが、常に的確なお返事を頂戴し感心しており
ました。逆に言えば末節な事まで神経を行き届かせている方、従ってオーディオにも妥協がない
方だと思いました。そのような方に、今回ご提供した組み合わせは最適だったと思っています。
それでは逐一お応え致します。
★α9/A単体
このアンプに関してはこれまで千葉さんやhiroさんにもご感想を頂いておりますように、何方
からも同様なご意見を賜っています。非安定化電源でミニパワーな為に、低域に軽さがある事は
否定出来ません。それは原理上仕方ない事だと思います。それを除けば、十分実用になる実力を
有していますし、何より良質なプリとしての機能は見逃せませんが、近々、衣替えする予定です。
★Δ8単体
「低域の弱さが解消され、低音に厚みが出て重心が下がりました」とあります。パワーが 10W
になった事と何より安定化電源が採用された事が大きいと思います。そもそも全段を安定化電源
で供給するパワーアンプは希有な存在ですが、それを10W のアンプに採用した事例は殆どないと
思います。しかし10W であろうとなかろうと、パワーアンプこそ安定化電源で駆動すべきである
事を如実に示していると思います。
「本当に音がそのまま出てくるという印象」と言う表現は、私のピュアサウンドと言う説明と
通じるものです。このアンプは本当に余分な音がしませんしストレートです。「アンプの印象が
あまり上手く表現出来ません。しばらく聴いていると存在を掴みにくくなります。」と言う行は
余計な音がしないので、アンプの存在を忘れると言う意味だと思いますが、そうだとすれば私に
取っても素晴らしい事だと思います。オーディオを忘れて音楽に没頭出来るのですから。「嫌な
音が全くせず」との表現はそれを裏付けているように思います。
★α9/A+Δ8
「これが一番良いと思いました」と言う結果は、これまで数多くの方に指摘されて来たプリの
効果だと思います。プリと言っても、いい加減なモノを使いますと逆効果の場合もありますから
これはWRプリを使った場合だと思って下さい。他社のプリを使った場合に、同じ効果があるとは
限らないと思います。高級品でもデジタル表示を採用した便利優先機種は?が付くと思います。
★音が安定するまでの時間が短い(特にΔ8)
音が安定するまでにある程度の時間が掛かるのは、熱的平衡が済むまでは仕方ない側面があり
ます。これはトランジスタアンプの宿命でしょう。しかし10分もすれば、熱的平衡は大体収まり
ますから、それでも音が安定しないアンプがあるとすれば、それはアンプの電気的安定度が悪い
事になります。負性抵抗を内包したアンプでは、そのような事があっても不思議ではありません。
これは秋篠さんが初めてご指摘になった事ですが、Δ8 の方が落ち着くまでの時間が短いと言う
レポートは、私自身認識しておりませんでした。もしそうだとすればΔ8 の方が総合的な安定度
が高い事になります。
★ヘッドホン端子の音質の差
「明らかにα9/A よりも音が良いです」と言うご指摘はもっともな事だと思います。SPによる
試聴結果が、ヘッドホンにもそのまま現れている事になります。ヘッドホンだからと言って手を
抜いてはいけない事になります。録音のモニターを含め、ヘッドホンの音質を重要視する方にも
WRP-Δ8 は最適なアンプだと言えるでしょう。ヘッドホン端子なら皆同じ、と言う認識は捨てた
方が良いと思います。質の良いパワーアンプでダイレクト駆動するのが理想です。
★オーディオアクセサリーが悪い方向に作用する
以前より私が声を大にして申し上げて来たことが、秋篠さんによって追認された事になります。
「特定の帯域に強調感が出たり、妙なバランスになってしまいました」とあります。オーディオ
アクセサリーの使用は、ピュアなアンプでは癖だけが残る事になるからです。逆に言えばこれを
使わないと全体のバランスが取れないオーディオシステムは、機器が有する凸凹を上手く平坦に
なるように辻褄を合わせている事になります。しかし、完全に平坦にするのは望み薄でしょう。
だから其処に組み合わせ理論がクローズアップされて、オーディオ評論家が飯を食って行ける
土壌を構成するのです。私はそう言うオーディオと一線を画して研究を重ねて来ました。そして
今、Δ8 の誕生を経て、それと真っ向から対峙出来るオーディオアンプシステムを構築できたと
思っています。数の上では完全に劣性ですがオーディオの本質では負けていないと思っています。
頼みはWRアンプユーザーの方々ですので、今後ともどうぞよろしくお願い致します。
★Δ8単体の方が良く聞こえるシチュエーションがある
秋篠さんの仰る事はよく分かります。アンプ単体のシンプルさ、ビデオで収録した未加工の音
これらが組み合わされた時に得られる新鮮な音、「臨場感や緊張感にハッとさせられる事があり
ます」と言う楽しみ方もオーディオの一面かと思います。
★どのジャンルでも耳につく嫌な音の低減効果がある
ピアノは勿論の事どんなジャンルでも嫌な音が軽減されるとあります。Δ8 はピュアサウンド
だけではありません。異常音(雑味)がないので、ソースが固有に有する嫌な音を誇張する事が
ありません。魔法のアンプではありませんので、ソースに含まれる嫌な音を消す事はできません
が、アンプ内で電気的に嫌な音を増強する事がないので、一般のアンプに比較すれば軽減されて
聴こえます。「特にアコースティック楽器への効果が大きく」とありますようにWRアンプは元来
アコースティック楽器の再生を得意としています。ジャンゴ・ラインハルトはジプシー・ジャズ
の大御所のようですが、どうりでバイオリンが出てくるはずです。ジャンルは違いますが、私が
一番好きな楽器はバイオリン、それも綺麗に揃っている合奏の、充実したサウンドが好きです。
★ボディが小さくて設置しやすい
10W アンプなのでなるべく小型化する事に注力しました。この大きさでも安定化電源搭載です
から、小さいからと馬鹿に出来ないと思います。それに、このアンプの10W は最大限有効なので
能率上物理的に不可能な場合を除いて、殆どの方にご利用頂けると思います。昔のトランジスタ
アンプのように、余裕を見る必要はありません。事実、既に30W 型や50W 型の実験も済んでおり
ますが、これまでのようにパワーに比例してアンプの実力が上がると言う印象は殆どありません。
ネット10W 利用可能です。小さいので贅沢にモノアンプとして使用し、SPの直ぐ傍に置くと言う
使い方もありだと思います。
秋篠さんは「WRアンプに触発されシステムの大幅な入替を行いました。具体的にはDAC の入替
や、接続方法の見直し、ケーブルの見直し・・・」とあるように、大幅に機器を入れ替えられた
ようです。斯様にアンプに正しいモノを使いますと、他の部分も正しくしないと全体のバランス
が取れなくなります。つまり、平坦なものに平坦なものを組み合わせて、結果も平坦にするのが
WR流の考え方なのです。
この中で光ケーブルの採用の件ですが、凸凹組み合わせ理論では圧倒的に同軸が有利のようで
すが、平坦組み合わせ理論では、光ケーブル(但し、OPC-X1クラスを使う事が前提)が有利だと
言う結論です。理由は2つ程ありますが、一つはアースが遮断されてノイズの排除に有利である
事です。もう一つはコネクタを含めて同軸の設計に伝送理論が十分生かされているとは言えない
ので、端の反射が考慮されずパルスの形が大きく損なわれる可能性がある事です。光伝送の方が
その点の考慮がなされていてジッターが少なくなる可能性が高いのです。これはケーブルの物性
以前のお話なのですが、この事を飛び越えた議論には全く閉口します。
最後に「奏者やエンジニアのやっている事・やりたい事が分かり、なお且つ所謂「モニター調」
のようなギスギスした音が出ない事」を挙げて居られますが、それに見合うアンプとしてΔ8 を
お選び頂けて、私も光栄であります。要するにアンプ内で電気的にソースを汚してはならないと
言う当たり前の事を完遂したまでなのですが、これが今まで殆ど実現された事がなかったのです。
それは多分帰還アンプに取って一番大切な「負性抵抗」と言う概念を無視してきたからでしょう。
無視とは知っていて知らない素振りをする事ですが、本当は自動制御理論に囚われて見落として
いたのではないかと思います。オーディオで通用する高帰還アンプを作るには自動制御理論だけ
では、実は不足なのです。今後、暫時Δ8 系アンプはその事を証明する事でしょう。
Δ8+α9/Aを導入する事により「音楽を聴く時間が増え、オーティオの事を考える時間が減り
ました」とあります。これがオーディオの理想だと私は思います。あーだこーだと同じところを
ぐるぐる回るオーディオが良いと思う方は別ですが、早く落ち着いて音楽を楽しみたいと思う方
は早めに秋篠さんのようにΔ8 をお選び下さい。「信じて決断する者は救われる」と思います。
オーディオには偶然の産物はあり得ません!夢を壊すようですが、何かいいものがあると思う
のは幻想に過ぎないと思います。先ず第一に、良質なアンプ類を早く見つける事をお勧めします。
そうすれば、あとは自然にシステムは固まって行く事でしょう。アンプがダメだと全てが狂って
しまいます。何故アンプなのかは「電気エネルギーを忠実にパワー増幅する事の難しさ」とだけ
此処では申し上げて置きます。アクティブな世界はエネルギー供給が無限大である事を忘れては
いけないと思います。事が起きれば大事に至るのです。
貴方はそれでも、平坦になるとは限らない凸凹組み合わせ理論を支持しますか?
1434秋篠さん(田舎暮らし)
Thu Aug 1 17:39:02 JST 2013
初めて投稿します。
4月の始めにwestriverアンプの存在を知り、この掲示板を読み込むにつれて購入意欲が
高まっていったのですが、
聴いたことのないアンプを購入するのはためらわれ、無理を承知で貸出のお願いをしたところ、
快くΔ8とα9/Aの試聴機をお貸し頂きました。視聴後すぐに購入を決め、
まずはΔ8を購入し、その後α9/Aを追加して、6月の始めから、両方揃った状態で聴いています。
試聴はα9/A→Δ8→α9/A+Δ8の順番で行いました。
・α9/A単体
高出力アンプのようなパワーは当然感じませんが、ノイズが少なく静かで自然な音がします。
少し低域に軽さを感じるものの、
奏者が何をしているかが分かる楽しさの方が勝り、ある程度高能率のスピーカーを
小音量で聴く場合はこれで充分だと思いました。
・Δ8単体
α9/Aで感じていた低域の弱さが解消され、低音に厚みが出て重心が下がりました。
そのせいか、全体的に安定していてストレートです。
本当に音がそのまま出てくるという印象で、アンプの印象があまり上手く表現出来ません。
しばらく聴いていると存在を掴みにくくなります。
しかし嫌な音が全くせず、こういう鳴り方があるのか、と感心してしまいました。
・α9/A+Δ8
これが一番良いと思いました。Δ8のストレートさと安定感に加え、
音に艶のようなものが出ますが、味付けとは感じません。
音量が取りやすくなるので、使い勝手も上がると思います。
製品版も基本的な印象は変わらないのですが、購入後に気がついた点について挙げますと、
・音が安定するまでの時間が短い(特にΔ8)
今まで購入してきたトランジスタアンプは、購入後音が安定するまでに
月単位の時間がかかり、中々電源が落とせませんでした。
しかし、Δ8は使用開始から2時間ほどで試聴機と殆ど変わらない音になり驚きました。
1週間ほどは念のため電源を付けっぱなしにしておいたのですが、
その後は、使用10分前に電源を入れれば、全く問題無く使用出来ます。
理由は分かりませんが、α9/AはΔ8に比べて安定までに少し時間がかかりました。
・ヘッドホン端子の音質の差
Δ8にもオプションでヘッドホン端子を付けて頂いたのですが、
明らかにα9/Aよりも音が良いです。
具体的に言うと、低域の安定感と、ノイズの少なさが、相違点になります。
スピーカー出力と同じような違いだと思いました。
・オーディオアクセサリーが悪い方向に作用する
これはこの掲示板で川西様が再三仰っている事ですが、実際使用してみて実感しました。
所持していた2~3万程度の電源ケーブル、1万円台のラインケーブルを数種試しましたが、
どれも特定の帯域に強調感が出たり、妙なバランスになってしまいました。
結局純正の品川電線の電源ケーブルと、100円ショップのラインケーブルに
落ち着いています。全く不満は感じません。
・Δ8単体の方が良く聞こえるシチュエーションがある
基本的に音楽試聴に関しては、α9/A+Δ8が殆ど全ての面で勝っていると思いますが、
映像作品、特にカメラ一台で撮影されたドキュメンタリー映画等を見ると、
その臨場感や緊張感にハッとさせられる事があります。
潤沢な予算で製作された作品ではなく、低予算である種撮りっぱなしのような物ほど、
その傾向が強いです。
ニッチな用途だと思いますが、もし機会があれば試してみて頂ければ幸いです。
・どのジャンルでも耳につく嫌な音の低減効果がある
視聴時にピアノに関しては嫌な音がほぼしない事が確認出来ていたのですが、
購入後色々なCDを聴いた所、どのようなジャンルでも効果があることが分かりました。
特にアコースティック楽器への効果が大きく、
今までどうしても一枚聴き通すこの出来なかった、
耳をつんざくヴァイオリンの音が収録されている、
ジャンゴ・ラインハルトのベスト盤CDを、最後まで何の問題もなく聴くことが出来たのは、
特に嬉しい驚きでした。
・ボディが小さくて設置しやすい
Δ8は高さがあるのでオーディオラック等には設置しにくい事があるかもしれませんが、
反対に面積は小さく、設置の自由度が高いです。
オーディオ専用の環境を持っていない私のような立場では、大変有り難い特徴だと思います。
私はPCオーディオで音楽を聴いているのですが、
WRアンプに触発されシステムの大幅な入替を行いました。
具体的にはDACの入替や、接続方法の見直し、ケーブルの見直しで、
現在のシステムは以下のようになっています。
デスクトップPC→電源線カットのUSBケーブル→DDC→光ケーブル(OPC-X1)→32bitDAC→
100円ケーブル→α9/A→100円ケーブル→Δ8→マッチング機能付スピーカーケーブル→
25cmウーファー搭載の3wayスピーカー
という構成で、試聴環境は6畳の洋室です。
特に川西様の投稿を参考にして導入したOPC-X1は効果が大きく、
現状PC-DAC間の接続は、光ケーブルに大幅な優位性があるように感じました。
私は、奏者やエンジニアのやっている事・やりたい事が分かり、
なお且つ所謂「モニター調」のようなギスギスした音が出ない事を目標にやってきましたが、
WRアンプの導入によって、理想に大きく近付けたと思っています。
実際WRアンプを購入後、音楽を聴く時間が増え、オーティオの事を考える時間が減りました。
個人的には大変良い傾向だと思っていますし、この金額でそれが達成出来たことも喜ばしいです。
今後ともwestriverアンプの益々のご発展に期待しております。
長文失礼致しました。
1433川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Wed Jul 31 15:00:00 JST 2013
日フィル夏休みコンサートに行ってきました。
数年前に一度、府中の森に行った事があったのですが、久し振りに今年行く気になって、未だ
寒い日が続いていた頃に申し込みました。孫が主役なはずですが、総勢8名の内僅か2名でした。
孫を出汁に大人が楽しんだ感がありました。
公演は東京、神奈川、埼玉、千葉と広範囲に及び、7/20~8/4まで行われています。どうせ行く
ならサントリーホールが良いと言う事になり、皆が行ける7/28の日曜日にしました。サントリー
ホールの雰囲気を味合わせて上げたいと言う意見を尊重しました。私自身もいい音が聴けるので
賛成しました。
取れた席は1階センターの6列目の16~23番でした。何時も聴いている席から数列前でしたが
偶には眼前の音も良いかなと思いました。日フィルの夏休みコンサートは今年で39回目で、長く
続いているところを見ると、多くの人に支持され続けてきたのだと思います。
初回を聴いた子供達はもう40代の後半でしょう。それが切っ掛けで、クラシック音楽が好きに
なった人も少なからず居ると思います。私自身まだまだ戦後の混乱が続いていた頃に、小学校の
体育館にやってきた本格的なオーケストラの音に、強烈なインパクトを受けた記憶が残っていて
指揮者が山田一雄だった事も憶えています。子供の音楽教育の一環として行っている日フィルの
活動は貴著なものだと思います。
サントリーホールは人気があるらしく、普通は埋まらない1階前の左右の角の席も満席でした。
6列目のほぼ真ん中に座れた幸せを感じました。何事も早い決断が功を奏するのだと思いました。
毎年コンサートにはバレエが付きもので、今年はくるみ割り人形の抜粋でした。舞台の前方から
数メートル位のスペースがその為に裂かれ、オーケストラはその分後に追いやられていました。
音が引っ込むかなと少々心配でしたが、そのハンデは余り感じませんでした。第1部のテーマ
は行進曲で、ベートーベンの「トルコ行進曲」から始まりました。指揮は若手の川瀬賢太郎です。
実力の程はどうかな、と少々心配でしたが、結構日フィルを上手くコントロールしていたと思い
ます。この曲は良い曲なのに意外にプログラムに上る機会がありません。こう言う機会に聴けた
のは良かったと思います。
次の曲はメンデルスゾーンの「結婚行進曲」でした。結婚式場では耳にする事が多いのですが
生で聴く機会は余りないでしょう。その意味でも良い選曲だったと思います。トランペット群の
ファンファーレは子供達に強烈な印象を植え付けるはずです。6列目の音はやはりエネルギー感
が違います。このエネルギーの塊はオーディオの範疇を越えていると思いました。ある種の快感
ですが、このエネルギー感は落ち着いて音楽を聴くには余りあると思いました。
次は「天国と地獄」の序曲ですが、有名なバイオリンソロの直前から始まりました。司会者が、
結婚して天国にも上るような気持ちが、一転して地獄を見ると言う皮肉なプログラムですね、と
言う意味の事を言ったのですが、会場のお父さん、お母さんにどのように届いた事でしょうか。
バイオリンソロは意外に良く、並のコンサートマスターの域を出ている音色でした。独奏者並
の線の太い音は、この人はコンチェルト向きかなと思わせるところがありました。日フィルでは
3番手ですが、この人(江口有香)の違った一面が分かって良かったです。ソロが終わって皆が
知るメロディーとリズムになり、多分多くのちびっ子は運動会を思い出した事でしょう。
第1部の最後は「スターウォーズ」からメインテーマでした。独特のトランペットのメロディ
は誰の耳にも残っている事でしょう。この曲はジョン・ウィリアムスの名曲の一つですが、作曲
から既に30年以上も経っていて、指揮者は未だ生まれていなかったそうです。その指揮者がある
意味難曲とも言えるこの曲を上手く料理しました。この種の曲はロンドン響かボストンポップス
と相場が決まっていて、息子は相当数のCDを持っているはずですが、その息子がそう違和感なく
楽しめたと言っていました。
舞台が狭くコントラバスは5挺でしたし、トランペットが少し右に追いやられる等少なからず
制約が有ったはずですが、日フィルはそれなりに健闘していたと言えるでしょう。やはり無邪気
な子供達の心を捉えるには、本物以外ダメだと言う事を長年の経験からメンバーは知っているの
だと思います。
15分の休憩後は、スターダンサーズ・バレエ団による「くるみ割り人形」抜粋です。普通なら
有名な組曲に終止するところ、ストーリー重視で玄人受けする選曲でした。私も全曲を子供の頃
から聴いていたので(ドラティ/ミネアポリス響)、特に戦争の場面はグッドチョイスだと思い
ました。管弦楽曲としてチャイコの面目躍如たるものがあります。一般の人には少し渋い選曲で
あったかも知れませんが、ストーリーを説明するには不可欠です。それでも、クララの夢として
お菓子の国の各種の踊りは、子供達に楽しく映った事でしょう。組曲から外れているスペインの
踊りを入れたのも良かったと思います。
スターダンサーズ・バレエ団は太刀川瑠璃子によって創立され、故渡辺暁雄を理事長に迎えて
バレエ団初の財団化を果たした由緒有るバレエ団です。その縁もあって日フィルのコンサートに
出演してるのかなと思いました。日本のバレエのレベルも上がって来ました。上には上があると
は思いますが普通に楽しめるレベルになっています。きっとこれを切っ掛けにバレエを習いたい
と言う子供が現れる事でしょう。やはり、教育は国の宝です。
第3部は皆で歌おうと言う事で、東京芸大出身の司会者(江原陽子)の独壇場でした。慣れた
もので会場全体を楽しい雰囲気にさせてくれました。「散歩」「海」「ウィーゴー!」の3曲が
会場を和ませました。1991年から担当しているそうで、39回の半分以上も続けている事は驚きで
すらあります。
最後のオーケストラ演奏は、これまでのリクエストが一番多かったと言うホルストの惑星から
「木星」でした。ティンパニーを2対使う大曲です。狭い舞台での制約が裏目に出なければ良い
と多少案じていましたが、産むが易しです。結構なレベルで演奏されたのです。迫力もさること
ながら、宇宙空間を彷徨う感じも上手く表現されてたと思います。曲が終わるや否や2階席から
ブラボーが飛び出しました。何故かブラボーは何時も2階席から出ます。定期会員のお父さんが
子供を連れてやってきたのかも知れません。
拍手が鳴りやまない内に、舞台の下手から黒装束のチンパンジーが飛び出してきました。頭に、
左右と上向に飛び出る三方巻き取り毛笛がセットされていて、ここぞと言うタイミングでピュー
と開きます。アンコール曲は、ニューイヤー・コンサートよろしく「ラデツキー行進曲」でした。
これが子供達に大受けで、会場は拍手と歓声でオーケストラの音が掻き消される程でした。
最後にチンパンジーの被り物を脱いで、指揮者の川瀬が現れて種明かしとなりました。大いに
会場が湧いてお開きになりました。夏休みコンサートだから、過度な期待はしていませんでした
が、大人も子供も楽しめる良い夏休みコンサートだったと思います。私も普段聴く席とは違った
迫力を味わいましたが、これは次元が違い過ぎると思いました。オーディオでは不可能なレベル
です。やはり、音と音楽をバランス良く聴くには真ん中より少し前が良いと思いました。
唯、負け惜しみではないですが、音の質感はΔ8 系のアンプで聴く音と大きな違和感はないと
思い、自信喪失にならずに済みました。寧ろエネルギーのスケール感を除けば方向性は間違って
いないと思いました。今後はΔ8 系の音の本質を少しでも多くの方に知って貰う事が、私の使命
だと考えています。WRアンプの音の原点は生演奏会にあります。楽器の音とその残響以外に余計
な音(雑味)がしない、それがΔ8 の基本ポリシーです。無い袖を振るオーディオだけは絶対に
やりたくないと改めて思いました。
1432川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Fri Jul 26 14:30:00 JST 2013
ミニパワーアンプ、WRP-Δ8 のスケール・アップについて---追伸
現在バランス化、コレクタホロワ化がお済みのWRアンプシステムをお持ちの方の為にゲイン
に関する実験をして見ましたので、追加報告させて頂きます。但し、WRC-α1MK2/BAL等のプリ
を併用されている事が前提です。
先ず、私のリスニングルームは8畳で、使用スピーカーの能率は87dBです。一軒家で隣接地
が山になっているので結構大きな音で聴いています。単純には比較できませんが、サントリー
ホールで聴く音量に匹敵するくらいの感覚です。
従来のパワーアンプ(ゲイン:26dB)で聴く場合のプリのボリウムの位置は、12時~1時位
です。レベルの高いCDの場合は12時、普通は1時で聴く事が多かったです。勿論バランス伝送
の場合です。
一方、高帰還化アンプで聴く場合は、アンプの前にゲインの確保と音調を整える意味でWRP-
α9/A を接続し、プリの出力を直前までバランスケーブルで引っ張って行き、そこで XLR-RCA
変換ケーブルを使って、ホットのみをα9/Aに入れています。勿論、パワーアンプ やα9/A の
ボリウムは全開です。当初Δ8 をそのまま高帰還化アンプで置き換えたので、この形で試聴を
繰り返しました。尚、高帰還化アンプはトップページに載っています貸し出し用パワーアンプ
WRP-α1 を改造しました。
従来のアンプで聴いていた音量感覚にするには、プリのボリウムの位置は2時にする必要が
ありました。プリをアンバランスで使いますと、原理的にゲインが半分になりますから α9/A
を入れてもまだ少し足りないと言う事でしょう。
次に、α9/A を取り除き高帰還化アンプをバランスケーブルで接続します。この状態で同じ
音量で楽しめれば世話はない訳です。絶対的にゲインが不足していれば、某かのゲインアップ
が必要になります。
幸い、ボリウムの位置が3時半のところで、ほぼ同じ音量になりました。バランスに戻った
のでゲインが足りたのです。3時半まで回して聴く事が普通はないので、慣れないと違和感が
あるかも知れませんが、それは技術的問題ではなく感覚の問題ですし、未だ全開までに余裕が
ありますので十分実用的だと思います。
2つのシステムの違いを図示しますと
1)WRC-ΔZERO/FBHY → XLR-RCA変換ケーブル → WRP-α9/A → RCAピンケーブル →
WRP-α1(高帰還化)
2)WRC-ΔZERO/FBHY → バランスケーブル → バランス-アンバランス変換器(α1 に内臓)
→ WRP-α1(高帰還化)
となります。
音質は全く同じであるはずはありませんが、かなり似通っていてブラインドテストされたら、
かなりの人が言い当てられないと思います。全然システムが違う割には音質は酷似しています。
これはWRアンプの一つの特長でもあります。システムの違いから来るノイズ環境の差が、余り
アンプの音質に影響を与えていない証拠ですし、原理的に同じ回路のアンプなら、同じ音質に
なる事を物語っています。
以上の実験から殆どの方は、パワーアンプを高帰還化しても現状のままで音楽を楽しめる事
が分かりました。私のリスニングルームより広い所で、極端に能率の低いスピーカーを使って、
私より大音量で聴く方以外は大丈夫だと思います。
尚、アップグレードの費用については、現在検討中ですが、このアップグレードを無理強い
するつもりはありません。もう十分に私の我侭にお付き合い頂いたので、これ以上は心苦しい
気がしますが、かと言って解決策を示さないのも無責任かと思い、一応アップグレードの準備
をさせて頂いているところです。ご理解頂ければ幸いです。この高帰還化アンプは、引き続き
貸し出しの対象になります。WRプリをお持ちの方はパワーアンプのみでも結構です。遠慮なく
お申し込み下さい。アップグレードをお申し込みの方は復路の運賃はこちらで負担致します。
1431川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Wed Jul 24 13:30:00 JST 2013
ミニパワーアンプ、WRP-Δ8 のスケール・アップについて
WRP-Δ8 はこれまでのWRアンプとは違った魅力があり、私自身大変気に入っています。幸い
お買い上げ頂いた方にも、試聴に来られた方にも、高い評価を頂いております。技術的側面を
言えば、より深い帰還のお陰と言う事になります。
戦前の電蓄を構成していたパワーアンプ部は、所謂古典的回路でした。帰還技術はまだ浸透
していませんでしたので、直線性の良い、内部抵抗の低い3極管をイントラドライブするのが
王道でした。当時、小出力アンプには45系の球が用いられた事は皆さんご存じの事と思います。
現在の真空管アンプも基本は帰還に頼らずに、特性の良い3極管を使ったものが多いはずです。
直線性の良い真空管を使えば、ひずみを少なくし、出力インピーダンスを低くする事はある
程度可能ですが、受動的方法ではひずみの低減に限界があり、出力インピーダンスも余り下が
りません。その為、如何なるソースにも幅広く対応できるアンプには残念ながら成り切れない
のが現実です。
一部のソースは美しく、気持ちよく聴く事が出来ますが、出力インピーダンスが下がり切ら
ないので、切れ込みの鋭さや立ち上がりの速さ、楽器のリアリティ、分厚さなどに不満が残り
ます。勿論、オーディオは趣味ですから、その音で満足出来る方はそれで良いのですが、私は
ダメです。生の演奏会で聴く音と違和感のある音では音楽を楽しめないのです。真空管アンプ
と対極に位置するのがΔ8 です。
多くのWRアンプユーザーの中にも、私と同じ趣味趣向を志向する方も居られるかと思います。
そう言う方々にはΔ8 系の音がよりマッチすると思います。負帰還を深く掛ける事に成功した
アンプは、出力インピーダンスの絶対値が限りなくゼロに近付くために、スピーカーの定電圧
ドライブがある程度可能になります。
元々スピーカーは定電圧源で駆動する事が前提で設計されています。ですから、それに近い
アンプで駆動する事が理想なのです。ひずみの低減よりも、寧ろ出力インピーダンスの問題の
方がアンプの音に大きな影響を与えると、私は思っています。
Δ8 がスッキリ聴こえるのは、スピーカーを理想的に駆動できている証拠ではないかと思い
ます。贅肉が削ぎ落とされていて、色々な意味で余計な音がしないので、音楽がピュアに聴こ
えてくるのだと思います。出力インピーダンスが高いと、スピーカーの余計な動きを許す事に
なり、雑味が混じるのです。
これまでも深い帰還アンプは存在していました。しかし、残念ながらアンプ内に負性抵抗を
残存させた為に、音が硬直し、所謂「トランジスタアンプの音」になってしまっていたのです。
このようなアンプが多かった為に「トランジスタアンプの音は硬い」と言う誤った常識を植え
つけてしまったのです。そしてその反動が未だに古典的な真空管アンプを好む人を絶やさない
のだと思います。
生の音にだって硬い音はあります。だからアンプから硬い音が出る事があっても良いのです。
しかしどんな音も硬く聴こえてしまうアンプは問題があります。アンプは硬い音も柔らかい音
も、どんな音も再現できなければなりません。その意味でΔ8 はかなり理想的に再生できると
思っています。
Δ8 にはもう一つメリットがあります。それは普及部品でOKだと言うことです。WRアンプは
SEコン、BGコン、ERO コン、進抵抗などの高級部品を使うのが常套手段でした。余りにSEコン
が高価なので代替部品を探したのですがダメでした。要するに、高級部品を含めてそれなりの
バランスが取れていたのでしょう。Δ8 は普及部品で上手くバランスが取れているのだと思い
ます。コストダウンには嬉しい結果です。系が安定になるにつけ普及部品でもOKになるのかも
知れません。そう言えば、Δ7 も正しく普及部品でバランスが取れています。
しかし、WRアンプユーザーの方が今更Δ8 を買い直す事は、色々な点から難しいと思います。
そうなると少々心苦しい気はしますが、どうしてもと言う方にはアップグレードで対応させて
頂くのが一番スムーズです。バランス化、コレクタホロワ化、そして今回の高帰還化と3回も
続けば仏の顔も三度ですから、ユーザーの方々に顔を顰められても仕方がないと思います。
私の不徳の致すところではありますが、それでも、内緒にして自分だけ楽しんでいるよりは
救われるかも知れないと思っています。そんな訳で、30Wタイプと50Wタイプを設計し、実験を
して見ました。パワーアンプのスケールアップは意外に難しいですが、何とか実用的に使える
ものが完成しました。早速息子が録音のミックスダウン時のモニター用に50W タイプを試験的
に使っています。ミックスの仕事が正確に出来るようになったと報告がありました。
Δ8 と同じ音かどうかは一概に言い切れませんが、同じ数直線上の音である事は間違いあり
ません。Δ8 は小さなペレットのパワートランジスタを使っているので、その分音がピュアな
気がしないでもありません。オリジナルの良さがありますので、10W で足りる方はハイパワー
機を狙う必要はありません。
将来的には、パワーアンプのラインアップも変えて、高帰還化を図る予定です。今回の変革
はアンプのゲインを5.5 倍程殺して帰還に回しているので、その分アンプの入力感度が落ちて
います。従って、今現在ボリウムの位置に余裕のある方はそのままでOKですが、ゲイン不足が
予想される方は、α9/A のようなプリを噛ます等、ゲインを稼ぐ方法を講じる必要があります。
Δ8 系のアンプはアンバランスでも十分性能を発揮しますので、バランスに拘る必要はない
と思います。私のΔ8 の使用法をWR掲示板の1420に図示していますので、参考にして頂ければ
幸いです。決して無理強いは致しませんが、ご興味のある方は是非お問い合わせ下さい。
注)「入出力インピーダンスの実部は如何なる周波数でも正でなければならない」と言う命題
が、全ての帰還アンプに課せられねばなりません。逆に言えば、これが達成できれば帰還
による弊害は一切存在しないはずです。
1430川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Wed Jul 17 16:45:00 JST 2013
hiroさん、ご投稿ありがとうございます。
hiroさんには、α9/A カスタムを始め、幾つかのWRアンプをお買い上げ頂き、重ねて御礼
申し上げます。
ヘッドホンによる聴取を余儀なくされていらっしゃる事は、以前から承知しておりました
が、その原因がご実家から引き取られましたLPの為と分かり、さぞその保管にご苦労されて
いる事とお察し申し上げます。
私も貯めに貯めたLPが数千枚に及び、試聴室にはLP棚が積み上げられています。玉石混交
なので、本当に聴く価値のあるLPは限られているのですが、かと言って思い切って処分する
気にもならず、未だ、漫然とLPが棚に並べられています。
もう少しでその整理もおつきになり、待望のスピーカーによる聴取がおできになるようで、
ご同慶の至りです。長方形の部屋では普通長い辺の方向にスピーカーを配置しますが、何故
か直角方向に置いた方が結果が良かったそうで、珍しいケースかなと思います。
ところで、hiroさんの兄上様の所の巨大アンプの代わりに、僅か3W程度のα9/A がお役に
立ったようで、そのご報告をお聞きした時に、やはりα9/A は只者ではないと思ったのです。
普通は、著名な300Wのアンプと名も知れぬ3Wのアンプを比較試聴して、3Wの方が良いと判断
される可能性は限りなくゼロに近いはずです。
この時千葉さんのご報告とhiroさんのご報告が私の頭の中で繋がったのです。これを機に
α9/A をベースにしたミニパワーアンプを作って見ようと決心したのです。α9/A の良さを
取り敢えず維持するには、なるべく最大出力を抑えた方が無難です。その限度は10W 位かな
と思いました。
3Wアンプの電源電圧は約±13Vです。10W 出すには±18V必要ですが、これまでの常識から
この程度の変化ならα9/A の良さは維持できるだろうと考えたのです。その代わり電源部を
TO-220タイプのEMe を制御トランジスタに使った安定化電源にする事にしました。
こうして完成したのがWRP-Δ8 なのです。お陰さまで発売以来それなりのご注文を頂いて
おり、私自身もΔ8 で音楽を聴く習慣になっています。
しかしオーディオはあくまで趣味であり、そこには必ず個人の好みの問題が入ってきます。
何を最大の拠り所にするかで、どのようなアンプを選ぶか変わってきます。私は生の演奏会
で聴く音、それもかなり良いホールの特等席で聴くような音を拠り所にし、その音に違和感
のない音を再生できるアンプを選びます。
問題は、全く違った拠り所をもつ人にこのようなアンプをお勧めしても良いのか、と言う
事です。例えば、ジャズはまだ良いとしても、ロック音楽は私のテリトリーではありません
ので、これまでWRアンプが向くのか向かないのか正直分かりませんでした。しかし、おはぎ
さんの評価によって、それは取り越し苦労だと分かったのです。
これらの事から邦楽も含めて要するに「音楽を聴く」と言う目的が一致していれば、その
ジャンルは問わなくて良いと考えるようになりました。「音楽を聴く」と言う言葉は「音を
聴く」と言う言葉とは意味が違います。
そう、オーディオマニアないしはオーディオ好きを分類するなら、最終目標が音楽を聴く
のか、音を聴くのかで区別すべきだと思うようになったのです。WRアンプは前者の方を対象
にしている事は自明の理です。
しかし、残念ながら意外にオーディオマニアには「音を聴く」方が多いのです。音楽から
離れたところで音を聴いた場合、音の基準となる物差しがありません。物差しの存在しない
世界では科学的な思考は成立しません。
どうしても行き当たりばったりになり勝ちで、その時の気分で結果はコロコロ変わる事に
なります。当然、構成機器の何処かに責任を転嫁する事になり、その機器の入れ替えを余儀
なくされる事になるのです。その結果、無駄な投資を繰り返す事になり、摩訶不思議な製品
の販促に力を貸す事になります。
それが趣味と言うものだ、と言われれば返す言葉はありませんが、オーディオを長年研究
してきた者に取っては、非常に残念な事に思えます。そんな方々に、もしWRアンプが一石を
投じられれば、これに過ぎる歓びはないのですが、世の中そんなに甘くはないでしょう。
今なら、
WRP-Δ8 → \75,600
WRP-Δ7 → \105,000 (製作担当の平野氏によれば、風袋もかなり立派に仕上がり、音は
繊細、さわやか、品位のある音だそうで、平野氏からもお買い得
だと折り紙付きです。)
です。混迷のオーディオを断ち切って見ませんか?
最後にアンプに使う電源ケーブルですが、hiroさんのところでも音が相当変わるようよう
ですね。お送りするケーブルが違っていて、ご迷惑をお掛けした事がありましたが、斯様に
電源ケーブルは音に重大な影響を与えるようです。仰るように、使用電源ケーブルでアンプ
の良し悪しの判定を間違える事もあり得ると思います。皆様も呉々も純正をお使いになって
頂きますようにお願いします。
何故音に重大な影響を与えるかは不明ですが、メーカーを決めると大体OKと言う結果から
ある程度の法則性はありそうなので、原因究明ができれば良いと思っています。 SHINAGAWA、
HANAI なら買いですが、ご自分で作れる方は、MITSUBOSHI、M-ONANBAの「ソフト」が良いと
思います。
1429川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sat Jul 13 00:30:00 JST 2013
WRP-Δ7 のお盆特別価格セールを実施します。
WRP-Δ8 はまだお値引き期間中ですので、10W+10Wでは物足りないと言うお方の為に
WRアンプの実用機、WRP-Δ7 の特別価格セールを実施致します。使用部品はトランスを
除いて全て新品ですので、大変お買い得です。限定1台ですのでお早めにお願いします。
アンプの概略を示しますと
1.全段安定化電源駆動 コレクタホロワ型ハーフブリッジ・パワーアンプ
2.出力:30W+30W
3.入力:RCA 1系統(音量調節可)
4.ゲイン:26.7dB
5.出力素子:NEC 製 TO-3タイプEMe型パワートランジスタ 2SD73/2SB506
安定化電源制御トランジスタ:同上
6.トランス:タンゴ VF-100(USED品)
7.ブロックケミコン:ニッケミ 50φ CE-PW 4700ufx2(耐圧63V)
8.シャーシ寸法:W380×H180×D230(突起物を除く)
9.プロテクション:SP端子に於けるDC検出→リレーoff
10.納期:即納(2~3日)
11.価格:\105,000(約2割引き)
となります。
今回のTO-3型は希少価値になっております上に、30W 程度のパワーアンプには同様な
パワートランジスタ2SD188/2SA627 よりペレットが小さく、より音が綺麗です。その上
貴重なニッケミの逸品CE-PW がブロックケミコンとして使われています。容量は4700uf
ですが、使用トランスがUSED品とは言え往年のタンゴの名品VF-100ですから、30W+30W
アンプには十分であり、余計な整流パルスが少なく音に濁りが生じません。
音質傾向につきましては、WR掲示板の1357、1358、1359辺りを参照して下さい。この
WRP-Δ7 の方が色々な意味でWRP-Δ8 より一般的だと思います。万人に支持される音質
であると思います。
尚、今回は納期を即納とさせて頂きました。これはWRアンプは注文生産だから、手に
入るまで時間が掛かり気短には向かない、と思われている方にも対応させて頂く為です。
注文した日から直ぐにでも、WRアンプの音をお楽しみ頂けます。
十分なゲインがありますから、CDプレーヤーやDAC 直結でも十分に性能を発揮します
が、出来ればWRP-α9/A をプリとしてお使いになれば、より滑らかな音でお楽しみ頂け
ます。WRP-α9/A はご好評を頂いておりますが、赤字体質の為、近々ディスコンにして、
新しいアンバランス型プリアンプに生まれ変わる予定です。ご希望の方はお早めにお願
い致します。
お申し込みは
メール:kawanisi@west.river.jp.org 叉は kawanisi@mail.ne.jp
電 話:042-683-0212
までお願いします。
1428hiroさん(音楽好き人間)
Fri Jul 12 13:00:46 JST 2013
小出力アンプ考
WRP-Δ8に関連して、私も名前の挙がった一人として久しぶりに小出力アンプについて
思っている事をちょっと書いてみようと思いました。
私の場合は、昨年の10月にWRP-α9CUSTOMをイシノラボさんの特別提供品として購入
したのをキッカケに、ウエストリバーアンプに目覚めたわけですが、以前から自宅(6
畳間)で音楽を聴く音量はワットメーターを見ても1.5Wくらいがせいぜいなところで、
ましてや3.5Wなどといったら近所迷惑になるくらいの音量のため、実際のところ我が家
で出すにはおそらく不可能な出力と思います。
スピーカーも音が良かった部屋の壁の長い面に配置するためニアフィールド的な距離感
になり、この状態で聴くのが現状です。
ですから、本当に低域までも安定にスピーカーを駆動する性能を持っているアンプであ
れば大出力は必要なく、余裕をみても8W程度あれば十分と考えていました。
なかなか市販のメーカーさんでは高価格の真空管アンプを除き、30Wや40W以上が普
通で適合するものもなく、ちょうどこの条件にマッチしていたのがイシノラボさんのマ
スターズアンプで、いずれは購入しようと思いながらホームページを見ていました。
この時、特別提供品で掲載されたのがWRP-α9CUSTOMだったわけです。
WRP-α9CUSTOM購入後、実行出力3.5Wのこのアンプを兄に聴いてもらったところ気に入
り購入する結果になりました。
兄は当初低能率、低インピーダンスのリボン型スピーカーであるアポジーを使っており
、この難敵スピーカーを駆動するためにマッキントッシュのMC300(300W×2)を使って
いました。
通常の音量を得るだけでもピークは軽く150Wを超えていましたが、普通のスピーカーに
替えてからは、せいぜい2Wくらいの出力で足りていた気がしています。
機器同士の組み合わせや音量レベルもあり、一概にどちらの機器が良い悪いは言えませ
んが、少なくてもこの使用状態では特に低音の質感はマッキントッシュよりも3.5W出力
のWRP-α9の方が良いと判断したわけです。
ウエストリバーアンプ間では差はないと思いますが、単純にワット数だけでは良否を判
断できない再生能力をこの段階でもWRP-α9は持っていたと思っています。
川西さんなどのお話では、さすがにハイパワーが必要になるとWRP-α9は伸びやかさや
低音感は不足するようですが、安定化電源を搭載し性能を向上させた10W出力のWRP-Δ8
であれば、広いオーディオスペースで鳴らす方を除き、その外形およびワット数から来
る小ささに不安を覚える必要はないものと思います。
そういう小出力アンプ礼賛の私でもWRP-α9CUSTOMを購入後、イシノラボさんから限定
1台で発売されたWRI-βZERO(40W×2)を購入していました。
この頃、ヘッドホンアンプ用基板は10W出力まで出力アップが可能とのお話があったので
、WRP-Δ7のシャーシにカスタムで搭載可能かとご相談しましたが、この時点では実現
不可とのことでちょうど限定発売されたWRI-βZEROを将来のスピーカー駆動用にと飛び
ついたわけです。
当然ウエストリバーアンプであったことが第一で、その外観の質感も気に入っているの
で所持出来たことに十分満足していますが、この時WRP-Δ8が完成していれば間違いな
くこちらを購入していたと思います。
そういえば数十年前に、コンデンサー型イアスピーカーで有名なSTAXで8Wのアンプを試
作したなんて話があった事を記憶しています。
電源さえしっかりとしていれば8Wでコンデンサースピーカーを駆動しようとしたのかど
うかは分かりませんが、当時はワット数が大きければ良いような感じの時代でしたから
、8Wで市販出来たとしてもおそらく人気は出なかった様に思います。
話は変わって私事ですが、これまで数台先行的な意味でウエストリバーアンプを購入し
たにもかかわらず、相変わらずスピーカーで音楽を聴けていません。
我が家に全てを置けず一部を実家に置いてあったレコードを引き取ったため、それを置
くスペース確保のためスピーカーで聴くことが困難になっているのです。
幸い4月からは使える時間が自由になったので、少しずつ古い機器や本等を整理し先は
見えてきて、スピーカーで聴けるのはもう少しといったところです。
ついでにWRP-α9CUSTOMについて電源ケーブルのお話を。
当初イシノラボさんから中古購入したときに付いていた電源ケーブルは、実は正規品で
はありませんでした。
前のオーナーさんが交換したものと思いますが、結果的にはこれは音として良い物で当
初の私の感想はこれを使用して述べたものです。
その後、兄のアンプに付いてきた物は形状が違いました。
音も不満でこれについては川西さんと数回メールのやりとりを行い、この時点で初めて
自分のアンプに付いていた電源ケーブルが正規品でないと知りました。
兄のアンプには手違いで別な製品が付いてきた事がわかり、その後届けられたWRP-α9
用電源ケーブルで聴きましたが、私には正直まだ不満な部分が残りました。
そこで無理を言って上級アンプに付属している電源ケーブルを購入させてもらいました
が、これは大正解。
私のアンプに付いていた方が中高音が若干緩い感じですがどちらも違和感がなく、今は
上級アンプ用の電源ケーブルを常用しています。
図らずも4本の電源ケーブルを聴く事となり、偶然にも最初は良い電源ケーブルで音を
聴くことが出来ましたが、もしこの時変なケーブルで聴いていたとしたら、私のウエス
トリバーアンプに対する評価はまったく逆になっていた可能性があります。
そうならずに良かったと思っています。
1427川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Thu Jul 11 14:00:00 JST 2013
日フィル7月定期を聴く
今月の東京定期は現代ものばかりだったので、横浜定期に振り替えて貰いました。こう言う
サービスは有り難いです。指揮は日フィルのミュージック・パートナーの西本智実で、曲目は
バッハ「音楽の奉げもの」から6声のリチェルカーレと「マラ5」でした。
実は昨年も7月分は振り替えたので今年で2度目であり、交通アクセスの件も含めて色々な
事に多少慣れましたが、みなとみらい大ホールの音には最後まで慣れませんでした。要するに
音が硬質なのです。昨年も今年も1階の後 1/3くらいのところだったので、場所が悪いと言わ
れればその通りなのですが、それだけではないのではないかと思います。
最近のホールの音は、池袋の芸劇や代々木のオペラシティーもそうですが、音が硬いのです。
それは残響を長めにしているからではないかと思います。残響を長めにして、潤いのある音を
狙ったのかも知れませんが、決して心地良い響きではありません。人工的な匂いが伴います。
金管群や打楽器が飛びぬけて聴こえてくるので、若い頃なら快感と感じたかも知れませんが、
昨夜は耳を覆いたくなる感じすらしました。シンバルの炸裂音はそのまま耳に痛烈な飽和感を
齎します。ホールに音が溶け込まないでダイレクトに耳に来るのです。その割りに弦パートが
聴こえて来ません。欲求不満になります。木管もサントリーホールより抑え気味に聴こえます。
録音の良かった古い録音を引っ張り出して来て聴くと、往々にして金管などが硬く聴こえる事
がありますが、そんな感じがしました。
この逆もあります。NHK ホールです。多目的ホールの為に残響を短めにしているので、オケ
の音が霞み勝ちになります。N響会員であった頃、一度も満足感を得た事がありませんでした。
N響のやる気の無い演奏が拍車を掛けているように感じた程でした。ベームがウィーンフィル
を率いて来日した時、指揮は若きムーティーながら此処でウィーンフィルを聴き感動したのを
憶えています。ここでいい音を聴かせるには、オケに相当な実力が要求されます。
NHK ホールと言えば内幸町にあった旧NHK ホールは本当に音が良かったです。今となっては
幻の音ですが、此処で「青少年音楽コンサート」の収録を聴いた時は、本当に音の洪水に酔い
痴れたものです。あと古いホールで音の良いのは、やはり東京文化会館大ホールでしょうか。
話を元に戻しますが、そんな訳で昨夜の演奏は正しく論評できる状態ではありませんでした。
バッハは弦楽合奏版であった為、弦が量感豊かに聴こえて来なかったのが残念でした。昔から
バッハを大オーケストラで演奏する事が行われていますが、私は、やはり腕の良い室内楽団で
やった方が良いと思います。ストコフスキー、小澤等の演奏を聴いても、バッハの音楽の本質
を正しく伝えているか疑問に思います。大オーケストラでは慣性が大きく小回りが効かない為
バッハのもつ独特のリズム感が伝わらず、悪く言えば「のんべんだらりん」に聴こえてしまう
のです。
マラ5は全5楽章の内、第4楽章を除いて金管、打楽器が出ずっぱりです。ある意味疲れる
曲ですが、昨夜の会場には最悪の曲でした。僅かに、第4楽章は弦が主体なので救われました。
特に最終部で弦のffが現れますが、ここだけは何時もの日フィルらしい弦の音が聴けて、少し
だけ満足感を味わいました。
ホールの音響特性は恐ろしいと思いました。東京定期で聴く日フィルとは大違いの日フィル
が其処にあったからです。もっとも、本当の首席が少なく副首席の勉強の場かと思えるような
感じもないではありませんでしたが、それにしてもホールの音響でかなり損をしていると思い
ました。サントリーホールの1階センターS席は絶対手放せないと思ったのでした。
昔と違って、生なら何でも良いと言う歳でもなくなったので、ホールと席を選ばないと殆ど
行く意味の無い演奏会になってしまう事を思い知りました。ユーザーの皆さんも、どうせ行く
なら最上席を確保なさる事をお勧めします。生演奏会でも席を間違えれば、とんでもない音を
聴かされるので注意が肝要です。そんな音を聴いて、演奏を誤って評価する事も十分有り得る
と思います。
横浜定期の良いところは、シーズン最後の演奏終了後にロビー(ホワイエ)で飲み物の提供
と楽団有志の室内楽が楽しめる事です。夏は喉が渇くので、コップ一杯のビールやジュースは
助かります。皆が取り敢えず喉が落ち着いたところで昨夜は指揮者の挨拶が先ずあり、続いて
臨時編成の室内楽がありました。
室内楽と言っても気楽に聴ける非クラシックから3曲が披露されました。編成は全部で12人
で内訳は第1バイオリン2人、第2バイオリン2人、ビオラ2人、チェロ2人、コントラバス
1人、フルート1人、ホルン1人、太鼓(ボンゴのようなもの?)1人でした。ぐるりと輪に
なって演奏していましたが、見慣れた顔ばかりでした。首席も何人か居る豪華な顔ぶれでした。
私はビオラ、チェロから2~3m位のところで聴きました。
フルート、バイオリンから遠かった(5~6m)のでバランス的には中低域たっぷりの音が
聴けたのです。ロビーなので響きはデッドでしたが、天井が低いので時にコントラバスの音が
ブーミーに聴こえましたが、そこは気にせず楽しむ事にしました。デットとライブのどちらか
を選べと言われたら、絶対デットです。なまじのライブは楽器の音だけではない、汚い反射音
が混じる可能性が高いので危険性があります。
流石はプロ集団です。ラザレフの扱きに付いて行ける腕の持ち主です。最初の曲の中程から
調子を上げ、結構、音の上でも満足できる演奏を披露してくれました。曲の説明はありました
が私のレパートリーにはなく、メロディーは知っているような、知らないような微妙なところ
でしたが、低弦楽器と太鼓のリズム感が良く、その上にフルート、ホルン、バイオリンの旋律
が上手く乗って、素晴らしい一時を過ごす事ができました。団員の方も楽しそうに見えました。
日頃から仲間とアンサンブルを楽しむ事は、健全なオケ活動には、絶対欠かせないのではない
でしょうか。往年のウィーンフィルには弦楽四重奏団や室内楽団が複数存在していました。
演奏が終わったところで、何時もサントリーホールの入口で挨拶するビオラ奏者の方と目が
ぱったり合い、「アレッ?」と怪訝そうに聞かれたので、事情を説明したのでした。その方に
よれば、サントリーホールでもやりたいそうなのですが、あそこは敷居が高くロビーでの演奏
を許可していないようです。昔は傍の酒場を借りて、僅かな会費制で団員との懇親会があった
のですが、世の中の不況と財団への認可に必要な財政の問題から、経費削減のあおりを受けて
多分、開催を見合わせて来たのでしょう。そのお陰で、日フィルも目出度く公益財団になった
そうです。
ある意味、お金を払っても体験できない、聴けない、このような催しは貴重ですし、今後の
復活を望みたいところです。皮肉でなく、昨夜のロビーコンサートは楽しめたと思います。
* * * 千葉さん、お呼び出しに応じて頂きありがとうございます。* * *
千葉さんには本当に色々とお世話になっており、心から有り難く思っております。北陸から
東京での試聴会にご参加頂いた事が何回もありましたし、WRアンプの気ままなアップグレード
にも率先して応じて下さり、その先鞭をつけて下さいました。
WRアンプは基本的には余りお貸し出しを行っていないのですが、何故か千葉さんには気楽に
お貸ししたようで、詳細な記録をご披露頂きその事がよく分かりました。私をその気にさせて
くれたのは、やはり基本的に千葉さんは音が分かっていらっしゃるので、お貸し出しする甲斐
があったからだと思います。
こちらの意図したアンプの改良点を見事に突いて来られ、音に対する洞察力が素晴らしいと
感服しております。コレクタホロワ化の時には低音が改善されている事をいち早くご指摘頂き
ましたが、そもそも、私がコレクタホロワ化に踏み切った第一の理由は、実は低音のブーミー
感にありました。勿論、ピアノの異常音も気になっていましたが、低音の出方に満足できない
部分があったのです。
千葉さんと私の共通点は、原点が生演奏会にある事ではないでしょうか。千葉さんも生の音
を知らないと騙されると仰っていますが、やはり評価の物差しになるものを持つ事が大切だと
思います。生演奏会で聴こえて来るコントラバスの伸びのある低音が、我が家でも違和感なく
聴けるか、バイオリン群の強奏時の、一歩間違えれば耳に嫌な刺激になるあのエネルギー感が
我が家でも再現できるか、そんな自問自答の例は枚挙に暇が有りませんが、そうした音の比較
の蓄積が、音の良し悪しを正しく判断する事に繋がっているのだと思います。
千葉さんにはWRP-α9/Aを高く買って頂いておりますが、WRP-α9/Aの欠点を敢えて挙げれば、
「密度感と低音の量」だと仰っています。確かに3W止まりの非安定化電源アンプには荷が重い
要求です。私もそれは感じておりましたが、ヘッドホンアンプが主体だし、それは仕方がない
事だと思っておりました。
しかし、その後もhiroさんからもWRP-α9/A の素晴らしさをご指摘頂いて、私の中に眠って
いた「α9/A に力を付けよう!」と言う構想が動き出したのです。それには最大出力のアップ
と安定化電源の採用は欠かせない条件だと思いました。逆に言えば、この2点以外はなるべく
温存してα9/A 独特の良さは保持すべきだと考えました。
こうしてWRP-Δ8 が完成したのです。千葉さんご指摘の「密度感と低音の量」は確実に改善
されていると思います。マンションのリフォームが終わりましたら、是非セカンドシステムに
採用して頂けたらと思います。その時の千葉さんのリポートが今から楽しみですが、意外にも
「ファーストシステムより良くなった!」と言う事になりはしないかと心配しております。
注)残念ながら、未だWRP-Δ8 の第三者評価が掲載されていませんが、それは掲示板への投稿
の問題でありまして、アンプの評価自体は上々ですから、ご心配なくご購入をご検討下さい。
この掲示板に書き込む事は相当高いハードルになっているようなので、何方でも気楽に書き
込む事は大変難しいと言う事情があります。どうかこの辺りの事をお汲み取り頂き、ご理解
頂けましたら、これに過ぎる歓びはありません。
1426千葉さん(団体職員)
Sun Jul 7 17:56:42 JST 2013
名前が挙がったので出て来ました。
私は、よく調べてみたらこれまで5度もWRアンプをお借りしていました。
川西先生、改めてありがとうございます。
2012年の11月にこの掲示板に投稿したときは間違えて時期が前後していたので、
もう一度整理してみました。
①最初は2004年6月に、WRP-α1を購入前提で借りました。
そのとき使っていたM社のアンプとあまりの違い(高音質)に驚愕して、
つい夜遅くまで聴いていたら宿舎のお隣さんから翌日やんわりと注意されて
しまいました。
②2008年6月にはWRP-α1MⅡのフルバランス化の代替にWRP-αZERO-STUDIOを
お借りして、「耳当たりがビロードのような感じがしました。そして、
ホリー・コールが若くなりました。」と感想をメールしています。
3度目からはWRP-α9です。
③2011年4月、WRP-α1MⅡのコレクタホロワ化の代替。
お借りした機材はいわゆるプロトタイプで、ぺこぺこの薄い筐体にマジックで
POWERとかL,Rと書いてあり、見るからに貧弱で極めて軽くて、最初にお借りし
たときは「これか~↴」とがっかりしたのをいまだに鮮明に覚えています。
しかし、直後にその性能とのギャップに驚かされました。
④2011年5月、WRP-α1M ⅡのPWスイッチ交換修理の代替。
このときはWRP-α9もコレクタホロワ化されていました。
この時の感想はメールで川西先生に送りました。
↓
先ほど、ヘッドホンアンプ届きました。
ありがとうございます。
で、早速聴いていますが、また良くなりましたね!
コレクタホロワ最高です!!
WRC-α1MKⅡ/FBALから繋げてますが、
WRP-α1MKⅡ/BALとの違いが分からない程
全く違和感無く聴けます。
敢えて言えば、密度感と低音の量でしょうか。
それにしても、感嘆します。この値段で!…と。
世の中のオーディオファンの多くに知ってもらいたいです。
これ、見栄えを良くしたらゴールドムンド並みの値段でも売れますよ、絶対。
でも、オーディオマニアの多くは生の音を知らない、聴かない。
だから、メーカー製のアンプの音で騙されてるんだと思います。
私の若い同僚はオーディオには全く興味が無いんですが、
コンサートには行くんです。その人が我が家のWRの音を聴いて
「目の前にオケがいる!」って言ったんです。
↑
少し興奮してますね(笑)
⑤2011年12月には、WRC-α1MⅡ/FBALの電源のコレクタホロワ化でお借りしましたが、
ホントに安心して聴いていられました。BGM的に聴いていてもときどきハッとするほど
生々しい音がして、つい聴き入ってしまいました。
そういう経験から、今度のWRP-Δ8は安定感にパワー感も備えて素晴らしい音だろうな
と確信しています。
この夏はマンションのリフォームする予定ですが、セカンドシステムをΔ8で組めれば
良いな~と思ってます。
1425川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Thu Jul 4 17:00:00 JST 2013
再び、WRの最新小型パワーアンプWRP-Δ8 の音質について
最近はすっかりΔ8 で音楽を聴くようになりました。心配されたパワーの問題(10Wx2)も、
8畳の洋間で能率87dB/mのスピーカーで聴く、と言う前提条件はありますが、全く問題には
なりません。アンプの安定性が確保されていれば、絶対的なパワー不足でない限り、パワー
の問題は余り気にしなくて良さそうです。
以前からΔ8 の音をピュアサウンドだと申して来ましたが、毎日聴く内にもう少し大切な
事が見えてきました。ピュアサウンドとは「ひずみ感が少なく、きめ細かな純粋な音がする」
と言う意味ですが、このアンプの魅力は単にそれだけでは無い事に気が付きました。
よくオーディオではパワー感と言う言葉を使います。これは、音が大きいと言う意味では
なくて音に力があると言う意味です。これに似た言葉には、厚みのある音、線が太い音とか
色々あります。どれにも共通するのは、エネルギー感や存在感があると言う事だと思います。
生の音楽会でも、私が気になるのは弦パートのパワー感、厚みです。金管や打楽器はどの
楽団でも似たようなエネルギー感を感じますが、弦だけはそう単純ではありません。大体は
弦が細く聴こえる楽団が多いです。綺麗、汚いとは別種の問題です。もちろん厚みがあって
綺麗なのが一番良いのです。
指揮者やコンマスにも依りますが、この条件をクリアできる楽団こそが一流の資格をもつ
と私は思います。世界三大オケは勿論の事、シカゴ響やボストン響はまず合格だと思います。
日本のオケでは、私が東京定期に通っている日フィルの、コンマスが扇谷泰朋の時にはほぼ
合格だと思っています。
この生の演奏会で感じる弦の厚みが、どれだけ再生装置から出るかが私に取っては非常に
大切なポイントになります。Δ8 はこの点でも優れている事が、最近透けて見えて来ました。
「たった10Wのアンプなのに?」と皆さんは疑問に思われる事でしょう。
そもそもミニパワーアンプとハイパワーアンプを、クリップしない範囲で同じ音量で聴く
と、大体はハイパワーアンプの方がパワー感がある、と感じる人が多いと思います。WRでも
α1 よりαZEROの方がパワー感があると思われた方が多いと思います。或いは120Wアンプは
さらに力があると感じられたのではないでしょうか?ハイパワーアンプは一般に電源電圧が
高く、裸のゲインは大きくなります。もし出来上がりゲインが同じならば、それだけ帰還は
深く掛かる事になります。
同じ音量で鳴らしても音の感じ方が違うのは何故でしょうか?それは多分、アンプの出力
インピーダンスと、アンプの安定性とで総合的に決まる何某かのファクターが違うからでは
ないでしょうか?未だそのファクターが具体的にどのように決まって来るかは言えませんが、
このファクターこそがアンプのパワー感や厚みを握っているように思います。
Δ8 は出来上がりゲインを14dB程、従来のアンプより落としています。これを単純に解釈
すれば14dBだけ帰還が深くなっている事になります。つまり5分の1に出力インピーダンス
やひずみが低くなっている事になります。実際にはそう単純に行かないにしても、その傾向
にある事は否定できません。
普通の高域補償法では、5倍も帰還を深くすればアンプの安定性が悪化し、必ずしも良い
音にはなりません。しかし、WRアンプは如何なる場合でも「負性抵抗」を抑えるように帰還
を掛ける事が可能なので、安定性を保ったまま出力インピーダンスとひずみを低くする事が
可能になるのです。出力インピーダンスが低いと言う事は、それだけスピーカーを制御する
能力が高くなると言う事になります。
だとすればΔ8 はローパワーアンプでありながらパワー感や厚みのあるアンプになり得る
事になります。その事を最初に感じた方は、WRP-α9/A を代替機としてお貸しした千葉さん
だった可能性があります。当時私自身はそんな事になっているとは思ってもいませんでした
が、千葉さんはα1 の代替機として特に不満なくお使いになったと証言されています。その
能力には唯ならぬ気配をお感じになった事と思います。普通はパワーが10分の1 しか出ない
アンプでは落差が大き過ぎて、聴く気にもならいのではないでしょうか。
また、最近ではhiroさんがWRP-α9/A の良さに気付かれて評価して頂いています。この時
を切っ掛けに私はΔ8 を開発する気になったのでした。やはりα9/A には何かあると思った
のです。そして今、その本質は出力インピーダンスとひずみの低減、及び安定性の確保では
ないのか、と言うところまで見えて来たのです。つまりは帰還のメリットを100%発揮させる
アンプを設計する事が出来れば良いのです。
帰還の掛けすぎは良くない、と言う常識はウソです。それは帰還を上手く掛けられない為
の言い訳に過ぎません。帰還そのもには全く罪はありません。アンプは定電圧源であるべき
であり、その為には出力インピーダンスの実部が負に落ち込まない限り、その絶対値はゼロ
に近ければ近いほど良いのです。負に落ち込まなければ系の安定性は確保され、音質を根本
から悪化させるような過渡ひずみは発生しないのです。
トランジスタアンプの音が硬いとか真空管アンプの音が柔らかいとか、それは負帰還技術
を100%使いこなせなかった時代の常識であり、少なくてもΔ8 については当て嵌まりません。
Δ8 は硬い音も柔らかい音も普通に出てきます。生演奏会で聴こえる音はそう言うものです。
「硬い、柔らかい」のような相反する音も同時に正しく再現されなければなりません。
もっと言えば「高帰還アンプは低音が出ない」と言うのもウソです。確かに、ブーミーな
低音は出ませんが、下に延びた心地よい低音、地を這うような低音が出ます。B&W805MATRIX
で聴いていて特に低音不足を感じませんし、サントリーホールで聴く低音と本質的な違和感
はありません。
試聴会で平野紘一氏がよく言ってますが、かなり大きな音で聴いても、普通は平均パワー
は2~3W 程度です。だからアンプが理想的に出来ていれば、10W+10Wのアンプであれば十分
飽和感やクリップ感なく聴けるはずです。なのに殆どの人は10W のアンプでは不安感がある
のではないでしょうか?
それは従来の帰還技術では、往々にして低出力のトランジスタアンプで秀逸なものが作れ
なかったからでしょう。WRP-Δ8 は違います。帰還の威力が100%発揮された、史上始めての
パワーアンプと言っても良いくらいのものです。従来の常識で評価する事はできないパワー
アンプなのです。10W 丸ごと役に立つアンプそれがWRP-Δ8 です。小さな筐体に似合わずに
音のパワー感や厚みが傑出していると思います。
最後にもう一点付け加えるなら、Δ8 に使われているパワーTRはこれまでよりペレットの
小さなものを使っています。安定化電源にはTO-220型のEMe 型を使っていますし、アンプ部
にも、TO-3P の中では最大許容電流が一番小さなものを使っています。10W+10Wだからこそ
可能になる選択です。
昔から、ペレットの小さいパワーTRの方が細かな音が綺麗に出ると言われています。その
意味では、低インピーダンス負荷でもパワーが出るように、2個を越える複数のパワーTRを
並列にする方法はもっての外と言う事になります。音が滲んでしまいスッキリした音は望め
ません。その対極にあるのがWRP-Δ8 のピュアサウンドなのです。
そうは言っても10W+10Wでは全ての人のご要望にお応えする事はできませんので、今後は
30~50W 機を先ず設計したいと考えています。そうすれば10W+10Wでは物理的にパワー不足
になる方にもお楽しみ頂けると思います。
1424川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sun Jun 30 14:30:00 JST 2013
八尋さん、ご投稿ありがとうございます。
総じて、WRアンプを気に入って頂き重ねて御礼申し上げます。このようにWRアンプが支持され
ますと、私の「負性抵抗」理論が正しかった証になり励みになります。八尋さんには未だα1 に
ボンネットが被っていない頃からWRアンプをご愛用頂いておりますので、もう10年以上もの長い
お付き合いになっています。
当初はWRアンプで中高域のホーンを鳴らされていたと思います。その後お仕事の方がお忙しく
なられて、多分、オーディオの方は開店休業のような状態ではなかったかと思います。お仕事が
そろそろ先が見えてきて、もう一度「アクティブにオーディオを」と言う事になったのだと思い
ます。昨年の正月に拙宅に聴きに来られてから、WRプリの新調、αZEROのご購入を頂き、現在の
八尋宅の音があります。
特にピアノの再生が素晴らしいとお褒めを頂き、私も嬉しいです。ピアノ再生は、LPと真空管
アンプ時代からの悩みの種でした。もっともこれは自分で気付いたものではなく、私が尊敬する、
今は亡きI氏がこの異常音の存在を教えてくれたのでした。I氏はその根絶を果たせずに逝って
しまわれたので、今のWRアンプの音を是非聴いて欲しかったと思います。
異常音を気にせずにピアノ音楽を楽しめるようになったのは、やはりコレクタホロワ化以降だ
と思います。「負性抵抗」には気を付けてアンプを設計して来たのに、未だ異常音が残っている
と悟った時は正直悩みましたが、結局終段のエミッタホロワにも責任があるはずだ、と気付いた
時は目から鱗でした。思い切ってコレクタホロワに踏み切って今は良かったと思っています。
科学は客観的で、且つ追試が出来なければなりません。八尋さんにピアノ再生が上手く行くと
認められた事は、その一つの証拠になりますから大変心強いです。一例だけでは偶然と言う事も
あり得ますので、多くの方の証言を集める必要があります。ユーザー各位のご協力をお願いする
次第です。
一点、ちょっとした誤解があるようなのでコメントさせて頂きますが、\105ケーブルは確かに
良いですが、一番良いと言う事ではありません。今となっては、RCA タイプのWRケーブルはもう
ディスコンになっていて入手不可ですので、高価な音質ケーブルをお買いになるくらいなら\105
ケーブルをお勧めする、と言う意味です。特に、Δ8 システムでは全く問題になる音は出ません
ので安心してお使いになって下さい。
ケーブルの話しが出たついでに、もう一点お話して置きたい事があります。電源ケーブルです。
高額アンプには原則的に品川電線製の電源ケーブルをお付けしていますが、それに匹敵するもの
としてHANAI と言う電源ケーブルを推奨します。このケーブルの特徴は、平行ケーブルに外皮を
被せたもので、断面が円ではありません。
私の家に黒のものが2本有ったのですが、自分で買った記憶が全くないので多分比較的高額な
CDプレーヤーに付いて来たものと思われます。音像が品川電線とは若干変わりますが、基本的に
問題の無い音で、合格だと思います。
これまで2本しか手持ちに無く、何処で買えるかも分からなかったので言いそびれていました
が、実は昔のパソコンPC-98 の電源ケーブルがHANAI である事に気が付いたのです。色はグレー
ですが紛れもなくHANAI です。パソコン付属のケーブルだから全く論外だったのですが、我が家
には数本ほど転がっていたのです。
しかし、試聴して見て問題なく使える事が分かりました。これなら世の中に沢山存在している
はずです。もしハードオフに有ればそれこそ\105です。そう思ってハードオフを覗いて見ました
が、既にPC-98 の残骸はありませんでした。しかし、1986年製の黒色のケーブルが1本見つかり
ました。少し長めのかなり古いものでしたが、問題なく使えました。
それにしても、古いもの、98付属のもの、メーカー製プレーヤーに付属のもの、どれにも共通
した良さがあります。単純な電源ケーブルの何処にそのような秘密が隠されているか、不思議と
言うしか他ありません。これだけの証拠があれば、科学的に扱えるはずですが、今のところ電源
ケーブルは?マークです。やはり交流100Vによる線間の振動と高周波ノイズの観点から伝送理論
は不可避な事だと言う気がしています。
1423柏市 八尋さん(会社員)
Thu Jun 27 15:01:24 JST 2013
久しぶりに投稿します。
WRアンプのバランス駆動とB&Wを導入して一年以上が経過しました。
この間にWRアンプはまた、更に進化してるようでこれはまた興味深いところです。
拙宅のシステムもエージングがかなり進んだのかますます安定し、楽しめるように
なってきています。
ここまでで、気が付いたことを何点かあげます。
・ピアノの音が抜群です。OPPOのBDプレーヤのハリのある音もあるのですが打鍵
の響きが極めて克明に聴こえます。キーシンのライブを含む安価なショパンのBOX
セットをこのところ繰り返し聴いてます。ライブで録音もそれ程新しくないの
ですが、鋼鉄の弦が響く様な硬質の輝く音は素晴らしく生でもこれだけの音は
なかなか聴けないのではと思われます。
最近リリースされたWR録音のトランスクリプション集が丁度届いたので早速聴いて
みましたが、これがキーシンとは全く異なりピアノという楽器の音がします。
中低音が豊かで柔らかく肌触りが暖かに聴こえます。連弾でこれだけ中低音を響かせ
ると音が混濁しそうですが、全くその心配もなく、オーケストラに相当する迫力が
聴こえ、これはこれで素晴らしいです。
・オーケストラの音が前に出ます。それぞれの楽器の音が明確に聴こえるようになり、
従来はかなり音量を上げないと聴けなかった細かな音の動きがよく分かります。
おかげで従来より1目盛ほどボリュームを下げて楽しめるようになりました。
・弦(Vn)の音が生に近くなりました。WR録音でリリースされたモーツァルトと
ショパンのCDなどでは本当に綺麗な弦の音が聴けます。
ただ、録音によっては鋭くなり過ぎるものもあります。生でも鋭い音はあるし、
B&Wの勝ち気味な高域のせいかもしれません。
・再生音のパーフォマンスが全体的に上がったせいか音楽から受ける印象が時と場合
により微妙に違って聞こえます。ボリュームの違い(昼と夜ではかなり違う)、
家庭電源の影響(午後から夕方がなんとなく落ち着かない)、自分の耳や体調
(実はこれが一番大きいのではと最近疑っています)など原因を検証中です。
・ケーブルは純正が一番か?。ケーブル類は現在WRアンプ純正と言われてるケーブル
に統一していますが、何の不満も感じられません。電源ケーブルは付属のもの。
信号ケーブルは純正のバランスケーブル。スピーカーケーブルはマッチング抵抗付き
スターソフトのバイワイアリングです。ただし、100円ショップの信号ケーブルが
一番いいとの驚くべき試聴結果が上げられてましたが、少し変えてみようかという
気にもなっています。
・やっぱりSPにより音は大きく変わる。以前のメインシステム38cmウーハと
ホーンをWRアンプのマルチで久しぶりに鳴らしてみました。押してくるような
オーケストラの音圧はやはり快感です。WRアンプのおかげで音の見通しがよく
なり、いっそうその魅力が増して聴こえます。しかし、B&W一発と比較すると
バランスが疑問で、緻密さに欠けます。ここは、時間をかけて再調整する必要が
ありそうです。
以上が、WRアンプを導入し一年ほど経過した状況です。WRアンプのおかげで、
まだまだいじり甲斐がありそうで楽しませていただいております。
柏市 八尋
1422川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sat Jun 22 15:00:00 JST 2013
ユニバーサルプレーヤーBDP-LX55のその後---オーディオは正しく発展したか?
TEAC DV-15の後釜として導入したパイオニアのユニバーサルプレーヤーBDP-LX55のその後
ですが、結局慣らされてしまったのか、エージングが進んで少しは良くなったのか、何れに
しても特に違和感もなく、大きな不満もなく聴けるようになっています。
と言うのは、アキュフェーズDC-91 に切り替えても目に付くのは音の粗さであり、それを
上回る充実感を大して感じないからでしょう。当初は、パイオニアの音は綺麗だけど厚みに
欠ける傾向があり、線が細い気がしていたのですが、それが余り気にならなくなって来たの
です。
やはりオーディオ製品はアンプも含めてある程度のエージングが必要なのでしょう。この
辺りの事は、アナログ製品のみならず、デジタル機器に於いても多かれ少なかれ感じられる
ものです。理論的に整然とは説明できませんが、一番大きなファクターはケミコンの電解液
が化学的にも電気的にも安定するまでに時間が掛かる事ではないでしょうか。
それにしても、当時は80万円もしたDC-91 が、10万にも満たないプレーヤーに劣るように
なってしまったと言う事実には、デジタル技術の着実な進歩を感じます。特に、32bitDACの
技術的優位性は否定できないでしょう。
オーディオ全体で言えば、録音も含めて着実に進歩したとは言い難いと思います。それは
オーディオを支えるバックボーンとしての学会が定まっていないからだと思います。例えば
自動車は日本機械学会、エレクトロニクスは電子情報通信学会、医学は日本医学会のように
メインの学会が決まっていて、新規性のある重要な技術などは必ず学会の洗礼を受ける事に
なっています。
従って、非科学的な摩訶不思議な技術が罷り通る事は有り得ないのですが、オーディオは
違います。DAC のように科学的に扱える範囲のものは、オーディオと切り離した範囲ながら
学会の禊ぎを受けられますが、オーディオに直結した技術は何処の学会でも扱ってくれない
のが現実です。「オーディオは科学ではない」と見放されているからです。
これはオーディオを愛する人たちに取っては非常に不幸な事です。私が助手になった頃は
まだオーディオの話題が学会の大会で結構発表されていましたが、それでもオーディオその
ものがテーマになった原著論文は皆無でした。当時から学会員にオーディオは疑問視されて
いたのです。私の「負性抵抗」に関する論文も、学問の範囲である時は受け付けられました
が、一歩オーディオに足を踏み入れた途端に、リジェクトされるようになりました。
要するに、オーディオを科学的に発展させて行こうと言う熱意のある人が、学会には殆ど
居なかった事になります。この事がずっと尾を引いていて、オーディオの発展を歪めている
と私は思っています。私ごとですが、仕方なく学会での活動を止めて、私の主張が正しいか
どうかを、ユーザーの皆様に判定して貰う事に方針転換したのでした。
WRアンプをお買い頂いた方が「WRアンプは良い!」と言う評価を下して頂ければ頂くほど
私の主張である「帰還アンプの音質は内包する負性抵抗によって一義的には決まる」と言う
事が証明されると思っています。
話が少し反れてしまいましたが、やはり着実な技術の進歩には学会と言うバックボーンが
必要だと言う事です。自動車もエレクトロニクスも治療法も昔に比べて着実に進歩している
と言えるでしょう。残念ながらオーディオは必ずしもそうとは言えない面があると思います。
もし進歩しているものがあるとすれば、DAC のように学会レベルの討論がなされている分野
だけだと思います。
だから、使わなくても良いお金を注ぎ込んでしまった人が数多くいらっしゃっても不思議
ではありません。その為オーディオ不信に陥った方も居られる事でしょう。その原因を2つ
に絞って挙げさせて頂きたいと思います。
1.帰還アンプの安定性を既成の安定判別で判断している事 → 負性抵抗の概念が必要
2.線路(ケーブル)に伝送理論的考察を取り入れていない事 → ケーブルに伝送理論は
必須(オーディオケーブルはアナログもデジタルも可聴領域だけでは済まされません。
必ず高周波領域が関与して来ますので、分布定数回路を扱う伝送理論の考え方が必要
になります)
この2点をきちんと取り入れてオーディオを再構築すれば、かなり救済されると思います。
1を正しく遂行すれば、無帰還や低NFB が良い等と言う馬鹿げた発想は出てきません。2を
正しく理解すれば、高価な物性を売り物にしたようなケーブルは存在しないはずです。帰還
を性悪説とするオーディオは間違っていますし、伝送理論を無視したケーブルは、それだけ
でも落第です。それにしても、「負性抵抗」や「伝送理論」を知らないオーディオ技術者が
多過ぎます。今の状況は成るべくしてなったと言う他ありません。私の卒業した大学はこの
2つの事をちゃんと教えてくれました。有り難かったと今は思っています。
ユニバーサルプレーヤーから大きく脱線してしまいましたが、皆さんも学会レベルで議論
されたもの以外は、余り信用しない事です。オーディオの現状は誤った考えから出た技術を
突飛も無い技術で覆い隠す事を繰り返しているとしか思えません。趣味とは言えそれが悪い
と思う理由は
1.無駄なお金が掛かる。
2.幾らやっても本質的解決にはならないで、同じところをぐるぐる回って永遠に続く。
と言う事になるのが落ちだからです。それが趣味だと言われれば、返す言葉はありません。
最後にBDP-LX55の試聴に使った音源を提示して参考に供したいと思います。試聴に使った
システムは、前項で図式したΔ8 システムです。
1.ラフマニノフ パガニーニの主題による狂詩曲:
ワールト/オロスコ/ロイヤルフィル(438 326-2)
2.モーツァルト 交響曲第41番「ジュピター」:アバド/ロンドン響(415 841-2)
3.モーツァルト ディベルティメント第15番:アカデミー室内楽団(412 740-2)
4.パガニーニ バイオリン協奏曲第1番:
カントロフ/オーベルニュ室内管(COCO-70456)
5.ベルディ「アッテイラ」前奏曲:シノーポリ/ウィーンフィル(UCCP-7085)
1は先日の日フィル定期で聴いてきた曲で、演奏会との対比で聴きましたが、オケの厚み
に欠けるところがありますが、総じて当夜の雰囲気を再現してると思います。
2は悪い録音ではありませんが、下手すると弦が濁って聴こえる傾向にあります。しかし
最低限モーツァルトの交響曲を楽しむ為の音質は確保されています。奇麗事では終わらずに
ジュピターが有する力強さ、充実感が味わえます。
3は録音自体は悪くはありませんがコンマスの音が偶に悲鳴を挙げる音源です。耳に強い
刺激があるのですがそれが比較的無難に聴こえます。この程度なら十分に音楽として楽しめ
ると思います。
4はカントロフのバイオリンは全く問題なく美しいのですが、弦楽合奏がともすると濁る
傾向にあります。これが爽やかとまでは行きませんが、普通に聴こえるようになっています。
それにしても、カントロフのバイオリンは上手いの一語です。
5は曲によって録音状態に有意な差があるディスクです。アッティラは悪い方で、全体が
混濁し易いのです。弦が引き攣れそうに聴こえたりしますが、大分気にならなくなりこの曲
の持つ切ないロマンティシズムをたっぷり味わえます。
私の耳はピアノ等の異常音には敏感ですが、本能的に音の良し悪しが分かるのは弦楽合奏
です。ピアノ再生も難しいですが弦楽合奏も難しい部類です。緊張感やエネルギー感があり
ながら、決してささくれたり、引き攣れたりしない事が最低条件です。これは生演奏会でも
言える事で、中々満足できるオケは少ないのですが、扇谷泰朋がコンマスの時の日フィルは
結構の確立でいい音を出してくれます。
世界3大オケは当然ながら合格ですが、イギリスのオケはロンドン響ですら細く感じる事
があります。アメリカのオケでは少し汚いですがシカゴ響と、コンセウトヘボーに似ている
ボストン響くらいでしょうか。バブル期に片っ端から海外オケの演奏会に行って分かった事
です。勿論、録音でもこればかりは誤魔化せないので、直ぐ分かります。
当初、LX55にはその辺りに不安を感じていたのですが、最近では許容範囲に入ったのでは
ないかと思っています。価格的にもハイC/P プレーヤーであると言えると思います。内部に
納まっている電源基板は明らかにアナログ電源ではありませんが、これも学会レベルの討論
を経て進歩しているのかも知れません。でも、出来ればこの部分をWR製安定化電源に代えて
聴いて見たいと思います。そうすれば、もっと音は良くなるはずだと思っています。
1421川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sat Jun 15 17:00:00 JST 2013
日フィル6月定期を聴く
今月はラザレフのラフマニノフの最終回です。前半はカプリッチョ・ボヘミアンとパガニーニの
主題による狂詩曲で、後半は交響的舞曲でした。正直に言えば、カプリッチョ・ボヘミアンは曲の
存在すら知りませんでした。若干21才の時の習作でしょう。交響的舞曲は、ずっと気になりながら
結局、LPもCDも買う機会に巡り会えませんでした。もしかしたら何かに付いてきてレーコード棚で
眠っているかも知れませんが、意識的に聴いた記憶が残っていませんでした。
カプリッチョ・ボヘミアンは爽快、痛快な曲で、ラフマニノフらしい何処となくロマンティック
な雰囲気はありません。しかし、金管、打楽器が縦横無尽に活躍する様は正しくオーディオ的です。
流石ラザレフです、ピタッとのっけから日フィルをコントロールしています。日本のオケもやれば
出来るじゃんと思いました。日フィルがビルットーゾオーケストラに変身したようでした。やはり
コンサートマスターが扇谷泰朋であった事も見逃せないでしょう。
2曲目がこの夜の白眉でした。パガニーニによる狂詩曲は、多分、アシュケナージがプレビンと
70年初頭に入れたラフマニノフのP協2番とのカップリングで有名になったと思います。当時この
LPはHiFiの代名詞のように扱われ、結構売れたのではないでしょうか。私も胸のすくような録音と
共に、この曲の魅力に取り付かれたのでした。
ピアノ独奏は河村尚子です。クララ・ハスキル国際コンクールで優勝するなど、国際的にも活躍
する売れっ子ピアニストです。そうは言っても大ホールでコンチェルト(パガニーニも似たような
もの)を聴くと大体はガッカリするものです。コンチェルトは、録音で聴いた方がバランスも良く、
満足感が得られる事が多いものです。
しかし、ラザレフ/河村/日フィルのパガニーニは久し振りに聴く素晴らしい演奏でした。河村
の音はちょっと冷たくメカニックではありますが、抜群のテクニックが爽快感を生み出しこの曲に
ピッタリです。ラザレフのサポートも一流で、河村のタッチにピタッと寄り添います。往々にして
オケが遠慮して控えめに演奏したりしますが、鳴らすべき時はオケを最大限に鼓舞します。その為
ピアノが一瞬聴こえなくなりますが、オケがピアノと張り合った時に生じる緊張感が生まれ、全く
飽きさせません。
この曲のテーマは、パガニーニのカプリース第24番の魅力的なメロディですから、手を変え品を
変えて変奏が進んでも、常に親しみを感じながら曲に没入できます。特に、第18変奏は心に滲みる
ロマンティックな部分で、最初は独奏ピアノで提示されますが、やはり私には弦を伴うオケの全奏
が堪りません。ストバイとセコバイが一体となったバイオリン群の音はエネルギー感がありながら、
決して汚くささくれる事なくホール一杯に広がります。世界3大オケのような厚みのある弦の音は
滅多に聴けませんが、日フィルの好調時は結構なレベルに達します。これがある限りは現在のS席
で聴き続けたいと思うほどです。
こうして快調にこの曲の最後に到達したのです。最終部はスパッと気持よく終わります。誰かが
フライングして手を叩かなければ良いと思った瞬間でした。最初に拍手したのは他ならぬラザレフ
だったのです。河村を讃えたかったのでしょう。それに値する演奏だったと思います。僅か22分程
の曲でしたが濃密な時間を過ごすことが出来ました。この難曲をミスタッチ無し(素人に検知不可)
で弾き切った河合も凄いと思いました。
当然の事ながら、凄い拍手が続きました。私も儀礼的ではなく手が痛くなる程叩きました。緑の
ドレスに身を包んだ河村は何回となくカーテンコールを受け、定期にしては珍しくもアンコールに
応えてくれたのでした。直ぐピンと来る曲ではなかったですが、パガニーニの主題による狂詩曲を
聴いたあとで聴く曲として、違和感の無い曲だとは感じました。アンコール曲だけに直ぐ終わって
しまい、結局曲名は分かりませんでした。帰りしなに分かったのですが、奇想曲第4番をリストが
編曲したものだったのです。アンコールも含め河村のテクニックは本物です。演奏中は神がかって
見えますが、カーテンコールで舞台で挨拶する仕草は、何処にでも居るような気さくなお姉さんと
言う感じでした。
指揮/独奏/オケの3拍子揃った演奏会に巡り会える事は、外来オケを含めてもそう多くはあり
ません。今夜はこれで満腹、もう前半だけで満足したのでした。ピアノの調律も上の部だったとは
思いますが、もう少し香り立つような倍音が聴ければ、潤いのある理想的な音になったと思います。
その意味では真面目過ぎる調律だった気がしますが、耳に来る異状音は全く感じませんでした。
15分の休憩後は交響的舞曲です。いい曲だったと思いますしこれもいい演奏だったと思いますが、
やはりメジャーな曲になり得ないのは、結局、忘れ難いメロディが殆ど無いからではないでしょう
か。この曲もオーディオ的でHiFiに向いていると思いますが、もう一度聴いて見たいとは思わない
のです。もっとも、そう感じてしまったのはパガニーニで既に飽食感一杯になっていた事と無関係
ではないでしょう。
一夜明けてから、私が持っているパガニーニの主題による狂詩曲(438 326-2)をΔ8 システムで
ちょっと聴いて見ました。この演奏はワールト/オロスコ/ロイヤルフィルのフィリップス盤です。
P協全集の中にこの曲が入っています。エド・デ・ワールトはラフマニノフを得意としていますし
オロスコの音も輝かしく、フィリップスの好調な時期の録音ですから聴く価値は大いにあります。
ピアノは眼前で鳴る感じに録れているので、昨夜よりピアノがより近くに展開します。オケの音
は悪くはありませんが、ロイヤルフィルの為か幾分弱く、その意味では昨夜の方が厚みがあったと
思います。しかしながらピアノの音もオケの音も水準以上です。当時のスタインウェイは音量より
音質を重視していた時代ですから、切れ味がありながら一本調子にならず木の温もりも感じされる
音です。オケに多少不満は残りますが、ピアノは全く文句がありません。
ピアノだけが得意と言う訳ではありませんが、特にピアノ再生に不満を感じていらっしゃる方は
一度騙されたと思って、Δ8 システムを導入なさって見ては如何でしょうか。ピアノの再生を根本
から見直したWRの最新型のパワーアンプWRP-Δ8 を是非ご検討下さい。志のある方にはシステムの
お貸し出しもさせて頂くつもりでおります。遠慮なくお申し出下さい。
1420川西 哲夫さん(WRアンプ開発設計者)
Fri Jun 7 15:00:00 JST 2013
ユニバーサルプレーヤーを新調しました。
SACDに特に興味があった訳ではありませんが、DVD-AUDIO には興味津々だったので、前回
ユニバーサルプレーヤーとして、TEACのDV-15 を購入しました。それ以前に、Accuphase の
DC-91を買ってありましたので、音が悪ければDC-91と接続して聴けば良いと思っていました。
TEACもそこそこ聴けましたが、CDは勿論の事ダウンサンプリングながらCD以外でも DC-91
に一日の長がありました。やはり、音質はスペック以前の問題に大きく左右されるようです。
この状態でつい最近まで使っていました。
使用年月と使用頻度の問題もあって、TEACの読み取り能力が多少落ちてきました。ピック
アップの交換も有り得たのですが、最近、息子が録音したソースをブルーレイオーディオに
焼き始めましたので、そろそろBD-AUDIOが再生できるものを買う必要性を感じていました。
一応、DC-91 があるのと金力もないので、そこそこのプレーヤーを買ってみようと、最初
はデノンのユニバーサルプレーヤーを検討したのですが、デジタルアウトが同軸のみだった
ので、買うのを断念しました。
言い忘れていましたが、昔からTEACとDC-91 とはサエクのX-1 で接続していました。同軸
はノイズ源(プレーヤー)とアースが共通になる事に抵抗があり、最初から光伝送と決めて
いました。巷では光伝送は音が悪いと言われていますが、それはケーブルの質に依るのでは
ないかと思います。確かに、2~3千円程度のものでは音が冴えません。X-1 程度のものを
使えば光伝送の方が有利だと私は思っています。
さて、他社のプレーヤーが他にあるか物色していたところ、パイオニアのBDP-LX55が候補
として上がって来ました。ユニバーサルプレーヤーとは称していませんが、BD-AUDIO、DVD-
AUDIO、SACD、CD-DA 、DVD-VIDEO等が聴けますので、明らかにユニバーサルプレーヤーです。
これらのソース音源が我が家には全てあるのです。
パイオニアは昔からこの手のプレーヤーを手がけています。LX55は9万円台ですから安物
ではありません。唯、実勢価格は5万円チョイですから、気軽に買える範囲です。ダメなら
DC-91 で今まで通り聴けば良いと思って購入を決意しました。この位の価格帯が高級OFC や
フェライトを多用したりする等の余計な事をしないので、素直な音が楽しめて良いかも知れ
ません。そう言う意味でなまじの高級品は考えものだと思います。
品物が届き、意外に軽いので、実勢価格は正直だなと思いました。機能的には5万円以上
の価値はあると思いますが、風袋はDC-91 に比べるべくも有りません。DC-91 の上に載せて
さらに重石に雑誌を何冊が載せ、華奢なシャーシを多少カバーしました。
最初に出た音を聴いた瞬間そう悪く無いと感じ、取り敢えず安堵しました。しかし今まで
聴けていたDVD-AUDIO が、ダウンサンプリングを48KHz に設定してもシンクしてくれません。
この状態でSACDをかけるとシンクしてくれます。あとでパイオニアに聞いて分かった事です
が、SACDは基本的には88.2KHz のマルチビットに変換されるようです。
TEACはSACDに関しては全く無出力だったので、これは良いと思いました。試しに96KHz に
設定するとDC-91 ではシンクしません。つまり48KHz に設定すれば44.1KHz 、96KHz に設定
すれば88.2KHz で出力されるようです。又オープントレイの状態で、CD→SACD2ch→SACDMul
の3段階にリモコンで選べるのは良いと思いました。
肝心のDVD-AUDIO が何故シンクしないのか、色々過去の事を思い出したのですが、どうも
DC-91 の不具合に一因がある事が分かって来ました。DC-91 は同期のレベルを3段階設けて
いてL1、L2、L3に自動的に切り替わるのです。勿論 L1が50ppmの精度で理想的です。しかし、
手持ちのDC-91 の48KHz のL1が故障していて、L2でしかシンクしてくれません。修理に8万
位かかると言われて躊躇していました。
TEACの場合は自動的にL2でシンクしてくれたので、そうなるものと思い込んでいたのです
が、何故かパイオニアの場合は強制的にDC-91 の方でL2にしないとシンクしてくれないよう
です。DC-91 でL2を指定したらシンクしてくれるようになりました。
一手順増えますが、シンクしてくれれば良い事にしました。この状態でBD-AUDIOもシンク
しますので、一応DC-91 でも最新のブルーレイの音が楽しめます。独グラモフォンがSACDの
発売を止めてBD-AUDIOを発売して行くようで、今後市販のハイレゾソースも楽しめるように
なります。但し、48KHz で一度L2になると、44.1KHz でもL2を保持してしまうので、CD再生
の時にはL1に戻す必要がありちょっと面倒ではあります。DVD-AUDIO のL2はまだ聴けますが、
CDのL2 は聴けません。酷い音です。
一手順増えると言えば、普通のCDプレーヤーでは聴きたいCDのトラック番号を押すだけで
選曲できるのですが、先ずクローズした上に再生が始まるタイミングでトラック番号+決定
ボタンを押す必要があり慣れないと多少不便です。あとはレジューム機能が効いているので、
途中で止めたソースは続きから再生が始まり、これも慣れないと鬱陶しい気がします。解除
設定が出来るのかまだ分かっておりません。最近の取説は不親切で分かり難いです。取説に
割くコストを削減しているのかも知れません。
さて、BDP-LX55の音ですが、DC-91 より中高域の引っ掛かりが多少少ないように感じます。
スムーズな感じを受けます。これはやはり最新の32bitDACのお陰なのでしょう。パイオニア
のHPには最新の32bitDACとしか書いてなく、型番が意識的に隠されているような気がします
が、写真をよく見るとAudio4pro のAK4480のようです。これはDSD にも対応しています。
DAC の事はよく分かりませんが、旭化成エレクトロニクスの32bitDACのハイC/P 版のよう
です。OPPOに搭載されているES9018とどちらが良いのか私には分かりませんが、AK4480でも
32bitDACの良さは十分に感じられます。WRの最新パワーアンプWRP-Δ8 に音質的にも価格的
にも相応しいプレーヤーが見付かったと思います。よく、WRアンプは静かだと言われますが
このプレーヤーにも静けさのようなものを感じます。
あとはダウンサンプリングを96KHz に設定した時に、96KHz で本当にシンクが掛かるのか
の検証が済んでいません。48KHz しか掛からない製品も過去に有ったようで、コピーガード
の問題もあり、今後の宿題です。もう少し聴き込んだら、詳しい音の状況も含めて、又報告
させて頂きます。
尚、ヒアリングは次のようなラインナップになっています。
BDP-LX55-→WRC-ΔZERO/FBHY-→WRP-α9/A-→WRP-Δ8-→B&W805MATRIX
↓OPC-X1↑
DC-91------
LX55の出力はΔZERO/FBHYのRCA 入力に接続され、DC-91 の出力はΔZERO/FBHYのXLR 入力
に接続されています。ΔZERO/FBHYの出力は、バランスケーブルでα9/Aの直前まで来てから
XLR-RCA変換ケーブルでアンバランスに変換されて、α9/Aにホットのみ入力されています。
注)フェライトコアはノイズ吸収に効果がありますが、機器内の線材に巻くと音に癖が出る
確率が高く、使わない方が無難です。あくまでも、外部のノイズ発生源に限定して使う
ようにして下さい。
1419川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Fri May 31 23:10:00 JST 2013
最新WRレコーディングによるピアノ連弾のCDが新発売されました!
項番1403で、ピアノ連弾を録音してきたとご報告致しましたが、誰がどんな曲を録音したかは
敢えて明示しませんでした。この度、その時の録音がCDとしてリリースされましたので、改めて
ご紹介したいと思います。
演奏者は、東京芸大の角野裕教授の下で研鑽を積まれた、同大出身の太田佳弘と和田萌子です。
デュオの名前はプレジールと言うそうです。角野教授はピアノ・トランスクリプクションの研究
及び演奏の権威で、毎年7月に同大第6ホールに於いて、学生にトランスクリプクションの演奏
を課した演奏会を開いています。沢田千秋も角野門下ですが、彼らはその後輩に当たります。
沢田千秋の博士リサイタルで「田園」を録音した事が縁で、毎年7月の演奏会の録音もずっと
録らせて頂いております。昨年の7月に彼らとお会いした時に、ある曲のCD化を考えているので
録音をして欲しい、と息子が頼まれたのでした。それが実を結んで2月にウィーンホールで録音
する事になったのです。
それ以来、ミックスダウンされたCD-Rを何回聴いたでしょうか。ショパンP協1番の時にある
程度コツを掴んでいたので、その時に比べれば比較的楽に出来たと思いますが、録音された媒体
から現実のCDに辿り着くまでに相当な紆余曲折がありました。それがノウハウとして蓄積されて
次に役に立つようになると思っています。勉強の機会を与えられた息子の技術も、確実にレベル
アップしたと思います。
本日CD(MHCD-001)をWRP-Δ8によるシステムで聴いて見ましたが、日頃CD-Rで聴いていた感触
より良く聴こえました。CD-Rより実際のCDの方が読み取りに有利なのかもしれません。ピアノの
調律が良い上に、抜群のテクニックで弾きこなされていますので、ピアノの音はメジャー級です。
もう少し付け加えさせて頂ければ、調律から全てを管理すれば少なくてもピアノの異音に関して
はメジャーレーベル以上のものが作れると言う証明でもあります。
それは、ピアノの再生上の異音に関してはその存在から抑制方法まで、長年研究を重ねて来た
からに他ありません。その為に効果があった技術的背景は「負性抵抗」の排除にあります。2つ
の特許回路と最新のコレクタホロワ技術が功を奏したと言えるでしょう。勿論ミックスダウンと
言うソフトウェア上の技術も見逃す事はできません。
媒体音楽(缶詰音楽)から音楽的感動を得るには、音が良い事が必須条件です。幾ら音楽的な
表現が優れていても、音そのものが悪くては話になりません。SPや古い録音の演奏が素晴らしい
と言う人は、頭の中で音の悪さを補う力をもっているか、権威に負けて思い込みで聴いているの
だと思います。
このCDは正真正銘頭で補って聴く必要がありません。眼前に完璧に調律されたスタインウェイ
の雄姿が広がります。だからと言って音がオーディオ的に誇張されたりせず、あくまでも音楽的
に自然に流れます。時たま聴こえる下に伸びる第2ピアノの極低音や輝かしい第1ピアノの倍音
が、何とも言えないアクセントになっています。
このCDに収録されている曲は、皆さんがオケ版ではお馴染みの「モルダウ」と「新世界」です。
どちらも作曲者自身によるピアノ4手版です。言うまでもなく、「モルダウ」は「わが祖国」の
2曲目の曲でこの曲だけ取り出されてよく演奏されますが、私はオケ版は余り好きになれません
でした。「わが祖国」には他にもっと良い曲があると思っていました。
しかし録音中からこのピアノ4手版による「モルダウ」の良さを感じていました。オケ版より
ずっと「モルダウ」らしいと思います。皆さんも是非、聴いて見て欲しいと思います。このCDは
私に「モルダウ」の真価を認識させてくれました。ほぼベストの形でピアノ4手版を具現化して
いると思います。
一方、「新世界」はオケ版と大きな違和感がなく楽しめますが、オケのあの楽器はピアノでは
どのように表現されるのだろうか、そんな興味を湧かせてくれます。例えばオケ版ではオーボエ
が吹いていた所をピアノ版で聴くと、そのオーボエのイメージが自然に膨らんできます。やはり
作曲者自身が4手版にしただけの事はあります。
このCDは残念ながら流通に出回っていません。ご興味のある方は、下記のURL にアクセスして
見て下さい。定価\2,500(税込み)です。
http://www.duoplaisir.com/
何れにしても、ピアノの再生は難しいです。このCDの音が皆さんの装置でどのように鳴るかで
ある程度の診断ができると思います。第1ピアノの右手の音が、耳を異様に刺激するような音に
ならないで綺麗に抜けて聴こえるか、第2ピアノの左手の極低音が下方に低く伸びて聴こえるか、
ピアノの高音部の特に早いパッセージで一音一音が団子にならないで、綺麗に分離して聴こえる
か、ピアノが木製の筐体で出来ている事が分かるような暖かい音がするか、等チェックポイント
は沢山あります。
WRの最新のパワーアンプWRP-Δ8 システムで聴く限り、殆ど問題なく聴こえました。これなら
何処に出しても恥かしくないと思った程でした。そしてΔ8 は、本当にピアノに強いアンプだと、
改めて思ったのでした。長年の懸案事項が解決できた気がしています。
尚、この成果はオーディオにあり勝ちな偶然の賜ではありません。WR特有の技術で支えられた
再現性の高いものです。以下にその技術の本質部分を示します。
1)全てのアンプ回路には、入出力インピーダンスに「負性抵抗」が生じないような特許回路
を必ず使っている。
2)アンプの出力段にはエミッタホロワの類を一切使っていない。
3)1、2の条件を満足する事を前提に、出来るだけ「帰還」の力を利用する。
この大原則に基づいて各種アンプや安定化電源が設計されています。では、録音機材に具体的
に用いられたものを列挙して見ましょう。
a)マイクプリアンプのアンプ部分及び安定化電源部分に大原則を適用。
b)インターフェースに直結された外付けHDD の電源部にWR製安定化電源を使用。
c)コントロール用 Windowsマシンの電源にWR製安定化電源使用(付属のバッテリーは抜く事)
以上が録音側に対して行った対処です。次に、ミックスダウンとCD-Rへの焼き出しに関しての
対処です。尚、バッテリーが入っていると安定化電源の本領が発揮されないので外しています。
d)ミックスダウンを行う Windowsマシンの電源にWR製安定化電源を使用。
e)読み込みHDD の電源にWR製安定化電源を使用(+5V、+12V)
f)焼き出し用ドライブの電源にWR製安定化電源を使用(+5V、+12V)
(焼き出しにMac を使う場合はその電源にWR製安定化電源を使用)
以上の操作に必要な安定化電源は、次の3台が有れば同時に使う事がないので、十分用を足す
事ができます。
1.Windows マシン用安定化電源 → +19.5V(Mac にも使用可)
2.HDD やドライブ用電源 → +5V
3.同上 → +12V
尚、デジタル機器と言えども可能な限り良質な安定化電源を使わないと、必ず何処かに皺寄せ
が出る事が経験的に分かっています。それはPCオーディオも例外ではないでしょう。SW式電源は
出力インピーダンスが下がり切らないばかりかノイズの塊ですから、小型・軽量・安価を理由に
使う以上、ハイエンドからは遠くなるのです。
最後に一言付け加えるなら
(1)帰還は深く掛ければ掛けるほど、それだけのメリットがある。
(2)バッテリーは次善の策、動的に反応する安定化電源を使うべし。(ACパックはNG!)
と言う事になります。無帰還やバッテリー駆動には限界があると言う事です。但しこれは理想的
な帰還技術を使う場合についてのみ言える事であり、不完全な帰還技術を使った場合はこの限り
ではありません。
1418川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sat May 25 21:30:00 JST 2013
日フィル5月定期を聴く
今月の指揮者は高関健で、出し物は「ジュピター」と「英雄」のドイツ古典です。ロマン派は
どちらかと言うとテクニック的に難しく、古典はその表現の仕方や精神性の高さがが問われると
言われています。だから、ベートーベンの交響曲を演奏すると精神的に疲れるそうです。
高関健と日フィルの組み合わせを聴くのは2度目ですが、前回、余り良い印象を持たなかった
ので、今回も多少不安な気持ちでした。前座に置かれた「ジュピター」は予想が的中し、私には
余り芳しい演奏とは思えませんでした。
そもそも「ジュピター」を前座に置く事自体無理があるように思います。要するに気持ちよく
楽しめる演奏のレベルにならないのです。一つの原因は、今回指揮者の好みで採用されたと思わ
れるジャーマン方式によるオケ配置です。ストバイとセコバイが離れて対座し、ビオラが奥へと
押しやられ、左半分に低音弦が来る独特の配置は、近代オケの配置に慣れた耳には音のバランス
が悪く、バイオリン群のエネルギー感が削がれて聴こえます。
モーツァルトの特徴である弦のハイポジションのある種の出っ張りがなく、その意味での充実
感がありません。流石の扇谷泰朋でも上手く纏め切れていませんでした。そもそも聴き取り難い
セコバイは、バイオリンの胴体部を客席に向け、発音部を隠すようにして演奏する為、指向特性
上も不利になります。不慣れな配置でオケマンが一気に最善の演奏が出来るはずがないでしょう。
日頃の配置で慣れた感覚は体が覚えているので、今日だけ頭で補正して100%の結果が出せるはず
もないのです。
もう一つ言える事は、フルオケでモーツァルトを演奏する場合、力の入れ加減が正しく掴めて
いないように感じました。後に演奏される「英雄」も含めて規模の大きな曲なら目一杯に弾けば
良いのですが、多分「ジュピター」では何らかの抑制が働いていたのだと思いま。それが結果的
に各自中途半端な力の入れ具合になって、音が纏まらないのです。ばらけていてひずみ感のある
音にしか聴こえてきません。綺麗に揃わない為に起きる不協和音でしょう。モーツァルトに必要
な透明感はありませんでした。だったら何プルトか落して小数精鋭でやった方がスッキリしたと
思います。
典型的な例はティンパニーです。何時もはベルリンフィルのような乾いた切れの良い音を出す
奏者のはずなのに、どうも音が締まりません。力の入れ加減が中途半端になって、音もブーミー
になってしまったのでしょう。「英雄」では見違える程の音になったので、そうとしか思えない
のです。
勿論、指揮者にも責任がありそうです。ラザレフ、インキネン等に扱かれて最高の演奏をする
事に慣れた楽員は、常識的な日本人指揮者では、残念ながらそこまでのハイポテンシャルな演奏
ができないのではないでしょうか。演奏者は機械ではないので、それもまた仕方の無い現実なの
かも知れません。これだけ悪条件が重なれば結果は自ずと知れています。モーツァルトはアバド
/ロンドン響(LP:28MG0010 CD:415 841-2)が断然良いと思います。
15分の休憩の後は「英雄」です。正直、モーツァルトの延長線上の演奏だったらどうしようか
と言う恐怖観念がありました。あのような音を45分に亘って聴かされたら頭が変になりそうです。
しかし、良い方に裏切られました。不思議にもあのひずみ感は殆ど無くなり、ピシッと音が纏ま
ったのです。ジャーマン方式にも少し慣れ、全員が何時ものように目一杯力を入れられるように
なったのでしょう。
それに、やはりメインの曲に照準を合わせた事にもよるのでしょう。その上高関健には「英雄」
の方が合うように思いました。聴きなれた曲ながら演奏に違和感はなく、時折聴こえるホルンの
炸裂音が新鮮でした。木管、金管も無難にこなしていたと思います。特に第4楽章で朗々とした
オーボエソロがありますが、音量も音色も共に良かったと思います。
しかし、前座で大きくマイナス方向に振れてしまったので、ゼロ程度には戻ったものの、心が
ウキウキして来るほどの感動には至りませんでした。「英雄」は何と言ってもベルリンフィルで
しょう。特にクーベリックとの「英雄」(LP:MG2488 CD:POCG-90499)は最高だと思います。独特
のスケール感がありながら、ベルリンフィルのイヤラシさが鼻につきません。このレベルに日本
のオケが到達するのは無理かも知れないとフト思ったのでした。
1417川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Fri May 17 15:05:00 JST 2013
旧型シャーシによるWRプリ、完売のお知らせ。
お陰様で2台とも売約済みになり、1台目は既に納入の運びになっております。ご応募頂いた
方に厚く御礼申し上げます。実は何件かのお問い合わせを頂きましたが、全てアンバランス型に
関してでした。旧型プリは元々アンバランス型でスタートしましたから当然の事かも知れません
が、全体的に見ればアンバランス愛好者の方の方が多いと言う事情もあるように思います。
しかし、WRプリに関しては、現在WRP-α9/A を除くと正式なアンバランス型プリがありません。
これは、一時期バランス型至上主義的な考えが有った事と無関係ではないように思います。頭の
隅で、WRC-ΔZERO/FB でもアンバランスで使えるから事足りると思っていた節があります。
しかしアンバランスしかやらない方が、高額な、ある意味無駄な部分のあるバランス型を買い
たいと思うはずがありません。これは私の考えが至らぬ事から起きた一種のミスです。今回の件
でこの事を深く思い知りました。今は反省しております。
しかし、そうかと言ってWRC-ΔZERO/FB のアンバランス版を今更発売しても、余り面白くあり
ません。そこで考えついたのが、Δ8 と組み合わせて調子の良いパフォーマンスを示すα9/A を
発展的に解消して、アンバランス型のプリアンプに仕立てる案です。
α9/A は安価でパフォーマンスも高いですが、なにせシャーシが柔で外観的に貧弱です。この
弱点を克服するには、ある程度シャーシにお金を掛ける必要があります。又プリアンプと称する
からには、やはり最低でも3入力位の切替が必要ですし、REC 端子や2つの出力、さらに左右の
音量バランス調節も必要かも知れません。勿論、オプションでヘッドホン端子も用意するつもり
です。
そこでアンバランス型プリに必要な装備について、これだけは欲しいと言うものがありました
ら、是非メールでご一報を頂ければと思います。出来るだけ最大公約数的なプリを作り上げたい
と考えております。
これまでアンプの電源は須く安定化電源にすべしと言ってきましたが、α9/A の基板はパワー
アンプの為か、そもそも出力インピーダンスが低く、駆動力が高いせいか、少なくてもΔ8 との
組み合わせでは、柔な感じや非力な感じはありません。このままでも行けると思っています。
ご承知のように、安定化電源にすれば確実に基板が1枚増えますから、確実にコストが上がり
ます。多くの皆さんにお買い頂くにはなるべく安価に抑えたいところです。これは私のイメージ
ですが、非安定化電源なら6万円台、安定化電源搭載型ならば7万円台になるのかな、と漠然と
考えております。
型番は、単純にWRC-Δ1 になると思います。今夏には量産試作まで漕ぎ着けたいと考えており
ます。α9/A を買いたいと思っていたけど、機能や外観の点で躊躇されていた方が居られました
ら、是非ご連絡下さい。なるべくご希望に添う形で、WRC-Δ1 を実現させて頂きたいと思います。
こちらは量産試作への弾みになりますので、利益を圧縮すればお互いにメリットがあるはずです。
1416川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sun May 12 14:00:00 JST 2013
「運命」のリストによるピアノ・トランスクリプション版を聴きに来ませんか?
今月の24日(金)に府中の森芸術劇場のウィーンホールで開催される、沢田千秋「ピアノリサイタル」
でこの曲が取り上げられます。LPやCDでも滅多に聴けない、ピアノスコアによるベートーベンの交響曲
シリーズの第1弾です。
世界的に見てもこれにチャレンジしているのはカツァリスくらいなものですが、沢田千秋は東京芸術
大学博士過程の研究テーマとして、この難曲に挑んだのでした。この度もう一度やり直して、CDに残す
決心をしたようです。我々の録音技術も向上したので、多分、良い録音が期待出来ると思います。
確か、カツァリスは交響曲全曲を録音しているかも知れませんが、真剣にリストが編曲を試みた曲は
5番、6番、7番だと言われていて、先ずはこの3曲の連続演奏会が計画されています。第6番「田園」
のみ、博士リサイタルの録音がCD(CHCD-001)としてリリースされています。
このCDはライブですし録音技術も未熟であったので、今回のリサイタルを機にセッション録音による
より完璧なCDを作り上げる予定です。今回はその皮切りのリサイタルなのです。充電期間を経て9月頃
にはその第2弾が企画されています。
ピアノと言えば、シューマンやショパンの曲が思い出されますが、今のように演奏会が頻繁に行われ
なかった頃は、ピアノで交響曲を演奏する事もあったようで、その為にリストが出来るだけオリジナル
に忠実にピアノ・トランスクリプションを書き上げたのです。
6番「田園」を聴くと分かりますが、オーケストラで耳慣れた「田園」のイメージが然程損なわれず
にベートーベンの世界を楽しむ事が出来ます。逆にピアノと言う単一楽器でよくも此処まで描き切れる
ものだと感心します。リストがベートーベンの楽譜を読みきって、どうすればそのイメージをピアノで
表現できるかを考えたのだと思います。
近い将来に、そのCDを耳にする時、ライブでの演奏やピアノの音がどうだったのかを知って置くのも
一興かと思います。お時間の都合のつく方、府中の比較的お近くにお住まいの方、是非滅多に聴けない
ピアノ・トランスクリプションの世界(リサイタル)にお越しになって下さい。
前座として、他にも
グリーク:ホルベアの時代から-古い様式による組曲 作品40
同:2つの悲しい旋律 作品34
傷ついた心
過ぎにし春
ワーグナー/リスト編曲:楽劇「トリスタンとイゾルデ」より
<イゾルデの愛の死>
が演奏されます。全席自由 一般\3,000、学生\2,000で、18:30 開場、19:00 開演となっています。
1415川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Thu May 2 21:00:00 JST 2013
旧型シャーシのWRプリアンプ、最終特価販売のお知らせ
以前に旧型シャーシによるパワーアンプの特価販売を行った事がありますが、この度シャーシ
製作工場から作り置きの旧型プリシャーシ2台が見つかりましたので、1台はアンバランス型で
1台はバランス型で頒布させて頂く事になりました。安定化電源はコレクタホロワにしますので、
実質的には現行プリと性能上に差はありません。現行プリにはアンバランス型はありませんので
この機会をお見逃しないように奮ってご応募頂ければと思います。
どちらかと言えばパワーアンプの方が大切だとは思いますが、プリアンプも決して侮れません。
パワーアンプの本領を発揮させる為にも良質なプリアンプは欠かせないと思います。プリアンプ
が悪いと逆にパワーアンプの足を引っ張ってしまいます。WRプリアンプは多くのWRアンプ愛好者
の方にお使い頂き、高く評価されています。プリアンプを通す事によって、より滑らかな再生が
期待できます。まだ、WRプリをお持ちでない方、是非この機会にご検討頂ければ幸いです。
1.アンバランス型プリアンプ WRC-α1MK2(但し、安定化電源はコレクタホロワ)
このプリアンプはパワーアンプWRP-α1MK2とセットでお使い頂く為に開発されました。特長は
当初からアンプ部にエミッタホロワを使っていない為、動作が安定しており、WRパワーアンプと
組み合わて一層高音質が得られます。多くの方々にお使い頂いておりますが、「プリアンプ効果」
が大いにあると定評があります。電源がコレクタホロワ化されてから、さらにパフォーマンスが
上がったと言われています。下記に仕様の概略を示しますと、
1)ゲイン:9.5dB
2)入 力:RCAx5(1つは前面)
フォノ端子:有り(但し、EQはオプション→セラミック:\13,650、SEコン:\38,850)
3)出 力:RCAx2 REC端子有り
4)左右バランス調節:有り
5)電 源:セパレート方式 安定化電源駆動型(TO-220 EMe素子使用)
6)ボディー色:シャンパンゴールド
7)価 格:\94,500(セラミック仕様)
8)納 期:2~3週間
9)備 考:オプションでSEコン仕様可(\44,000アップ)
となります。オリジナルプリはSEコン仕様でしたが、今回はフォノをSEコン仕様にした場合でも
\177,350となり、大変お買い得です。
2.バランス型プリアンプ WRC-α1MK2/FBAL(但し、安定化電源はコレクタホロワ)
このプリアンプはパワーアンプがバランス化され、それに合わせて開発されたフルバランス型
プリアンプです。音質上の特長はWRC-α1MK2に準じます。アンバランス入力使用の際はバランス
化されて出力されます。下記に仕様の概略を示しますと、
1)ゲイン:9.5dB(但し、アンバランスで使用する場合は3.5dB)
2)入 力:XLRx1、RCAx4(1つは前面)
フォノ端子:有り(但し、EQはオプション→セラミック:\13,650、SEコン:\38,850)
3)出 力:XLRx1、RCAx1(ホット、コールド有り) REC端子なし
4)左右バランス調節:有り(但し、ホット側のみ)
5)電 源:セパレート方式 安定化電源駆動型(TO-220 EMe素子使用)
6)ボディー色:シャンパンゴールド
7)価 格:\147,000(セラミック仕様)
8)納 期:2~3週間
9)備 考:オプションでSEコン仕様可(\92,000アップ)
となります。バランス型もフォノを含めてSEコン仕様にしますと\277,850になり、新型シャーシ
のSEコン仕様の価格357,000と比べて大変お得です。
1はアンバランス専用プリとして貴重ですし、2はSEコン仕様にした場合新型シャーシよりも
8万円程お得になります。旧型シャーシによる新品プリアンプはこれが最後になります。どうぞ
この機会に、信頼出来る良質のWRプリアンプをお買い求め頂いて、お持ちのパワーアンプの音質
をブラッシュアップして下さい。旧型プリの外観はトップページの貸し出しセットの写真を参考
にして下さい。
私はちょっと贅沢ですが、
WRC-ΔZERO/HYB → WRP-α9/A → WRP-Δ8
と言うラインナップで聴いております。この組み合わせ、中々のものです。一歩一歩積み重ねて
行く事をお勧めします。
今回の商品はカスタム扱いになりますので、ショッピング・サイトからはご購入になれません。
下記にご連絡をお願いします。
メール:kawanisi@west.river.jp.org 届かぬ時 kawanisi@mail.ne.jp
電 話:042-683-0212
注)WRC-ΔZERO/HYBとは安定化電源部はSEコン仕様、ラインアンプ部はセラミック仕様のように
SEコンとセラミックをハイブリッドにする仕様。今回も色々と可能ですのでご相談下さい。
1414川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sun Apr 28 12:45:00 JST 2013
日フィル4月定期を聴く
インキネンのシベリウス・チクルスも今回が最後です。交響曲全曲演奏の第1回目が3月の
東京定期で1番と5番でした。残念ながら2回目は東京定期のプログラムにはなく2番と4番
を聴き損ないました。今回は残りの3番、6番及び7番と言う玄人好みの一夜でした。1回目
の直後に、読売新聞の批評欄にインキネン/日フィルの演奏を高く評価する一文が載りました。
言ってみれば敵の新聞で褒められたのですから、それは本物だと思って間違いないでしょう。
一般的にシベリウスの交響曲と言えば、1番、2番そして5番が有名で、あとの4曲は殆ど
演奏会のプログラムに上って来ません。LPやCDのソースも激減しますので中々馴染めないのが
正直なところです。私も一応LP(デービス/ボストン響)で全曲を揃えてありましたが、殆ど
聴いていませんでした。
唯、6番はアマオケを録音した事があり、否応無く聴きましたので、それなりに頭に入って
いました。1番、2番は西欧のロマンチックな作曲技法に則って書かれていますが、3番以降
は規模を縮小し、余計な装飾を削ぎ落としてフィンランドの土臭さを前面に出しています。
だから面白くないと感じる人が居る一方で、シベリウスの面目躍如たる素晴らしい作品だと
評価する人も居ます。特に僅か20分程度の7番を最高傑作だと祟る人も存在します。そんな事
を想いながら臨んだ演奏会でした。
先ず、30分弱の3番が演奏されました。殆ど初めて聴くようなものです。しかし、上述した
事が頭に入っていたのと6番を聴いていたので違和感はありませんでした。繊細な弦、例えば
ストバイの表だけで弾く絶妙なppには「バイオリンは美しい!」と唯、唯、感心したのでした。
繊細な弦のリズミックな動きに透明感のある木管が絡みます。インキネンの指揮はフィランド
の冬を想起させるような厳しいものでしたが、最終楽章の充実ぶりは印象的でした。
コンマスが最高の扇谷泰朋ではなかったので弦の音が今一で、質の悪いトランジスタアンプ
程には硬直してなかったものの、それがインキネンの演奏を最高レベルに引き上げる事を阻害
していたように思いました。要するにもっとピシッと合えば、音はffでも決して硬くならない
はずなのです。私に取っての演奏の良し悪しにはオケから発せられる音の質が不可分なのです。
何でもそうですが、倍音が打ち消されずに綺麗に出ていれば音は抜けるのですが、不協和音
が出ると倍音が掻き消され、音が抜けずに詰まってしまうのです。オーディオのアンプも過渡
ひずみが出ると同様な事が起きるのです。今度発売した小型パワーアンプWRP-Δ8 は、それが
明らかに少ないと私は思っています。
話が反れましたが、3番が終わって15分の休憩に入り、後半のプログラムの心の準備をして
いました。後半は6番、7番です。普通2曲の交響曲が演奏される時はそれぞれ独立して演奏
されますが、今回は切れ目無く演奏されると告知されていました。7番は1楽章制の特殊な形
をしているからでしょうか。作品番号が104と105で示されるように両曲は近い関係にあるのか
も知れません。
6番が始まりました。私のイメージ通りに聴こえる所とそうでない所があります。この曲の
技術的レベルは相当に高そうで、アマオケでは表現できないような難所が続きます。その為に
初めて聴くような気がした所があったのでしょう。そうは言っても全体的には、唯一先が見通
せる曲だったのです。最初聴いた時は1番や2番からの余りの違いに戸惑いましたが、慣れる
と段々にシベリウスの本質が分かるような気がして来ました。
3番を聴いた時に殆ど違和感無く聴けたのは、6番で予習をして、シベリウスの本当の姿を
理解できていたからでしょう。繊細で美しい弦、特有なリズム、透明感溢れる木管、中低域を
支えるホルンとトロンボーン、これらが交じり合って醸しだされる独特の世界が感じられます。
交響曲を同じ日に複数聴かされるとちょっと食傷気味になりますが、コテコテした嫌味がない
のか、そう言った感じは全くありませんでした。
6番の第4楽章が終わったところで指揮者の手は下りず暫く停止していました。勿論、拍手
をする人は1人もいませんでした。直ぐ7番が始まりました。時間的には50分の交響曲に匹敵
します。7番は知る人ぞ知る名曲だけあって、聴くなり精神性の深さに気付きます。マーラー
の9番に通じるような重厚さや深淵性に富んで、シベリウスが研究に研究を重ねて完成させた
だけの濃くがあります。トロンボーンがここぞと言うところで曲の厚みを裏打ちします。
もっと聴かれて良い曲だと思いました。1楽章の中に、アレグロ、アダージョ、スケルツォ
フィナーレ等の4楽章制のエッセンスが散りばめられていると言われていますが、そんな理屈
よりこの曲に素直に身を委ねるのがベストだと思いました。20分が短く感じた程でした。
当然の事のように拍手が鳴り響きましたが、曲に酔った勢いと言うより、シベリウスの難曲
を整然と分かり易く聴かせたインキネンと日フィルの、努力に対する畏敬の念から出たような
拍手だと感じました。ブラボーと言う声が勢い余って出たと言うより、冷静に叫んだと感じた
のです。
1413川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sun Apr 21 18:00:00 JST 2013
低ひずみ感・ピュアサウンド小型パワーアンプWRP-Δ8 新発売!
準備万端整いまして、此処にWRの最新小型パワーアンプを発売する運びとなりました。
WR掲示板には、開発当初からこのアンプの、特に音質面に付きまして、色々と言及して
参りましたので、このアンプの特色についてはある程度ご理解頂けていると思います。
このアンプの特長を一口で言えば、過渡ひずみ(諸ひずみ感)の少ないピュアな音質
である事です。音に濁りがなく、耳に優しく響きますが、決して柔な音ではありません。
出るべき時、出るべきソースの時はストレートに音が抜け出てきます。だからと言って
音が部分的に前に迫り出したりしはません。あくまで音像は安定していてリアリティが
あります。音色はソースに依存すると言っても良いかも知れません。
ひずみ感がないので裏旋律がマスクされる事が少なく、鳴っている多くの楽器を識別
して聴く事ができます。往々にしてクリアに聴こえるアンプは神経質であったり、聴き
疲れするものですが、音調はあくまでナチュラルです。このアンプて再生できない音源
は、元々の録音が悪いと思って頂いても良いと思います。
このアンプの物理的パワーは10W+10Wですが、パワー感に富んでいて決してひ弱な音
ではありません。能率の悪いスピーカーを大部屋で鳴らさない限り、殆んどのユーザー
の方に喜んで使って頂けると思います。小出力・小型アンプと言う事から来る常識的な
概念はお捨て下さい。
その裏づけになっているのが、全段を安定化電源で駆動すると言う、小型アンプには
有り得ない電源方式です。パワーに係わりなく電源電圧を一定に保つ事が如何に大切か
が分かります。また、画期的な特許回路を使った安定化対策により、超高帰還アンプで
ありながら内部に「負性抵抗」を包含しない回路技術も大いに役に立っています。
これらの事が相乗して効果を上げる為、トランジスタアンプにあり勝ちな音の硬さ等
の問題は全くありません。そればかりではなく真空管アンプでは得難い切れのある音が
楽しめます。特に下の方に限りなく伸びる底力のある低域は特筆ものです。これが本物
の低音です。
下記に参考程度に仕様を掲載しますが、これは単なる目安と思って下さい。これまで
の常識で読み解く事は余り意味がありません。このアンプの母体はヘッドホンアンプの
WRP-α9/A です。従って、ノイズも同程度に低く、高感度のヘッドホンをダイレクトに
接続しても十分使用する事が可能ですが、価格を抑える為にHP端子はオプションにして
あります。
既にWRP-α9/A をお持ちの方は、プリアンプとしてこの小型パワーアンプと組み合わ
せてゲイン24.6dBの一つのパワーアンプとしてご使用頂ければ、さらに使用感がアップ
します。
【価格】:\84,000
【仕様】
型 番 WRP-Δ8
出力方式 全段安定化電源駆動ハーフブリッジ・コレクタフホロワ増幅回路
最大出力 10W+10W(8Ω)
出力素子 EMe型バイポーラトランジスタ
入 力 RCA 1系統(音量可変)
出 力 スピーカー&ヘッドホン(オプション:\5,250)
周波数特性 20Hz~20KHz(-0.2dB/1W/8Ω)
ゲイン 12.3dB
入力インピーダンス 100KΩ
ひずみ率 0.05%以下(最大出力の-3dB/1KHz/8Ω)
残留ノイズ 15uV以下(聴感補正:DIN AUDIO)
オフセット電圧 ±2mV以下
プロテクション SP端子のDC検出でリレーOFF
サイズ 250(W)×160(D)×150(H)(突起物含まず)
ウエイト 約3.8Kg
消費電力 20W(電気用品安全法による表示)
(消費電力はこれまでのWRパワーアンプよりずっと低いので時代に
適合しています)
★仕様は改善のため予告なく変更することがあります。
【試聴】:拙宅及びマスターズでWRP-α9/A との組み合わせでご試聴頂けます。先ずは
「百聞は一聴にしかず」です。お気楽にどうぞ!
【納期】:2~3週間程度で納入可能です。
以上簡単にこの小型パワーアンプの説明をしましたが、これから3ヶ月間は販売促進
期間として、特別に1割引にてご注文をお受けする事になりましたので、奮ってご応募
頂きたくお願い申し上げます。
尚、ご注文はショッピング・サイトの商品番号46を選択して下さい。価格は正価表示
ですが、期間中のご注文は内部処理で9掛け(\75,600)にさせて頂きます。オプション
が有る場合は、カスタム扱いになりますので、その旨をメール等でお申し出下さい。
【お問い合わせ】
メール:kawanisi@west.river.jp.org 届かぬ場合 kawanisi@mail.ne.jp
電 話:042-683-0212
1412川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Wed Apr 17 14:40:00 JST 2013
RCA ピン接続ケーブルの音質に与える影響について
最近アンプが安定に動作するようになって、接続ケーブルの音質に与える影響が減ったと
述べてきました。その事は揺るぎのない事実なのですが、では何を使っても同じかと言えば
それは違うと言わざるを得ません。
今、WRP-Δ8 の最終的な音質チェックを行っていますが、同時に接続ケーブルのテストも
しています。本来は、WRの接続ケーブルを使うのが筋なのですが、残念ながら在庫が尽きて
います。
それに代わるものがあるのかどうか、それを確認する意味も込めてテストをして見ました。
高価なものは対象外です。それは価格の問題だけでなく、物性に拘った所謂「音質部品」的
なケーブルは基本的にWRアンプには合いません。
可能性としては、廉価なケーブルの中に使えるものがあるように思います。それはハード
オフ等で売っている中古の赤白プラグ・黒ケーブルが意外に良かったからで、これまでにも
何回かその事についてコメントしています。
しかし、出来れば新品で購入出来るものがあれば、それに越した事はありません。そこで
注目したのが100 円ショップです。ダイソーで売っている赤白プラグ・黒ケーブルは確かに
良い事が分かりました。ケーブル長は1mですが音に癖がなく、ひずみ感やモヤモヤ感を殆ど
感じません。。
此処で改めて申し添えて置きますが、この音の癖は、ケーブル自体の物性が直接関与した
訳ではなく、アンプの境界条件がケーブルの特性インピーダンスやケーブル長によって変化
した為にアンプの動作にある種の変動が起き、音質が変わったと考えるのが科学的だと私は
考えます。
ケーブルは電送線路と考えられますから、その特性インピーダンスと高周波に於ける送端
と受端のインピーダンスによって、高周波に於ける周波数特性は大きく変化します。普通は
インピーダンスマッチングは取れませんから、ケーブル長も大いに関係してきます。
従って、ケーブルを変えるとケーブルの高周波に於ける周波数特性は大きく変わるはずで、
当然ノイズの乗り方も変わってくるでしょう。この為にアンプ側から見た境界条件も大きく
変化し、当然ながらアンプの高周波に於ける安定性に大きく影響してきます。
アンプの安定性が確保されていればいる程、この影響を受け難くなりますから、ケーブル
によって音質が変化する程度が和らぐ事になります。この考え方はスピーカーケーブルにも
同様に言える事です。
話をダイソーで売っているケーブルに戻しましょう。このケーブルが良いと思った直接の
動機は、同じ長さの大メーカーのもの(S社とV社)と比べて音の劣化が歴然と少なかった
からです。ダイソーで聴いてしまうと、大メーカーのものには戻れなくなります。
それで「これは買いだ!」と思ってダイソーに行って見たら、其処のお店には在庫が1本
しか残っていませんでした。もう少し確保して置きたいと思って、色々物色していたところ
「モノラル用ビデオコード(1m)」なるものを見つけました。
ステレオ用はよく見ますが、こんな商品があるとは知りませんでした。要するにビデオ用
の黄色のプラグとモノ音声用の黒プラグの2本から成っています。色こそ違いますがこれを
ステレオ用に使っても悪くないはずです。
昔は、音声用とビデオ用は扱う周波数範囲が違うので、ケーブルの誘電体を変えて作って
いた可能性がありますが、今現在の誘電体は発砲ポリですから、そのままで十分どちらにも
使えるはずです。それに安価なビデオコードの為にわざわざ誘電体を変えるなどと言う面倒
は掛けないはずです。
そう考えて買うことにしたのですが、このビデオコードには2種類あるのです。どちらが
良いかは買ってテストして見ないと分かりません。試し買いをしてからまもなくして、息子
が編集中のピアノ連弾のCD-Rを持って聴きに来たので、息子にその良し悪しを判断して貰う
事にしました。
先ず最初の赤白・黒ケーブルは合格と言う事になりました。次いで2種類のビデオコード
をテストしたところ、その内の1本は悪くはないけど今一と言う事になりました。もう1本
は赤白・黒ケーブルより良いのではないか、と言う結果になりました。確かに私にもピアノ
の抜けが良くなるように感じました。ピアノの音が幾分綺麗に聴こえます。
このケーブルの需要は余りないはずです。まさか普通の人はステレオ用に買って行かない
でしょう。そう思いながらも次の日に再びダイソーに行きました。案の定、いっぱい並んで
いました。目印は黄色の袋で下部右側に「G051」と商品コードが印刷されています。10本程
纏め買いをして来ました。それでも1050円です。パフォーマンスからすれば断然安いです!
ご存知の通りダイソーの商品は玉石混交でメーカーも一定していません。将来的にずっと
買えると言う保証はありませんので、お店で見かけたら是非1本買って見て下さい。きっと
WRアンプには向いていると思います。但し、ケーブル部分の長さが98cmですから、それ以上
長さが必要な人には使えませんのでご注意下さい。
まだ試していませんが、ステレオ用ビデオコードには1.5mと言うのが存在します。この内
の1本を裂いて切り離せば、ステレオピンケーブルとして使えます。もしモノラル用ビデオ
コードと同じ材質を使っているものが有ればラッキーなのですが、それはお店で見比べれば
分かるはずです。
蛇足ですがこのケーブルを手に取って見ると、意外に外被が柔らかく感じます。使用して
いるPVC が良いのかも知れません。ハードオフにある中古品の中には古くなったせいなのか
外被が結構硬く感じるものがあります。理由は分かりませんが、電源ケーブルを含めて外被
の硬いものは避けた方が無難です。一般的に言って、音質上余り好ましくありません。
1411川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Fri Apr 12 14:00:00 JST 2013
懐かしいグレンミラーを聴く
このところ座右に置いてあるテストCDばかりを繰り返して聴く習慣になっていて、余り他のCDを
聴く事はありませんでした。職業柄仕方のない事とは言えこれでは色々な音楽を楽しむ余裕がなく、
そろそろ音も定まってきたし、普段は全く顧みない部屋の隅にあるCD棚を見る気になって来ました。
ふと、私の目に留まったのは「IN THE DEGITAL MOOD・THE GLENN MILLER ORCHESTRA」と言う CD
(VDP-1157)でした。このCDの印象はエネルギーが中域に集中し、耳に威圧的でおまけに低音が余り
聴こえないと言う感じでした。だからギスギスしていて、音楽が楽しく聴けずにお蔵入りになって
いたのです。やはりデジタル録音はダメかと言う見本のようなものでした。
このCDに注目したのは、音がどうのではなくて、孫に買い与えた安価なキーボードに入っていた
「茶色の小瓶」を孫が自ら弾くの見て、本物を聴かせたいと思ったのが第一の動機でした。だから
真っ先にこの曲を聴いて見たのです。勿論、アンプはもう少しで実用化プロトタイプ機が出来上が
って来るWRP-Δ8 です。この上にWRP-α9/A を載せて12dB程度ゲインを上げ、一つのパワーアンプ
と見なして聴いています。
ゲインの高いプリをお持ちの方には不要かも知れませんが、WRのバランス型プリのアンバランス
時のゲインは4dB 程度しかないので、こうすると余裕を持って各種のソースが楽しめます。それに
音質も若干落ち着く方向に整い、WRP-α9/A のプリとしての効用も馬鹿になりません。
さて、出てきた音にびっくりしました。確かに昔のイメージがない訳ではありませんが、それが
寧ろ強烈なリアル感に繋がって、まるでビッグバンドの眼前で聴いているような感覚です。低音も
出るべき時にはちゃんと鳴っているのが分かります。この迫力で鳴るのなら10W+10Wでも十分だと
思いました。常識的な感覚ではまるでハイパワーアンプで聴いている感じです。私には学生の頃に
ビッグバンドを眼前で聴いた経験があり、うん十年前の音の洪水を思い出しました。
普通の音楽会では眼前で聴く事はできませんが、当時の社交ダンスの会場では楽団と同じフロア
の至近距離の所でダンスが出来たのです。つまり目の前で聴けたのです。私はジルバに夢中になり
リーダーの故小野 満さんにぶつかってしまった程でした。当時の入場料(ダンスパーティー券代)
は500円 以下でしたし、必ずビッグバンドにはハワイアンとか、別種の楽団が30分交代で演奏して
いたのですから、割安な催しだったのです。ハワイアンだって、例えば大橋節夫とハニーアイラン
ダース等の一流どころでした。古き良き時代だったのです。思い出しましたが、バンドの交代時は
必ずワルツが流れたのです。ワルツの途中で2つの楽団が音を途切らさずに交代したのでした。
ブラスがこれ程リアリティをもって聴こえるCDも珍しい気がします。特にグレンミラーサウンド
の特徴であるサックスのハーモニーは格別です。「茶色の小瓶」に止まらず、次から次に懐かしい
グレンミラーサウンドに酔ってしまいました。
私の実家は太平洋戦争の空襲で焼けずに残ったので、父は、戦後の楽しみの少ない時代に自宅を
開放して社交ダンスの会を定期的に催していました。勿論、音楽ソースはSPレコードでした。兄の
友人にお金持ちがいて、当時 350円もしたSPレコードを何百枚と持って来てくれたのです。その中
にアメリカで流行っていた、グレンミラーやトミードーシー等のSPレコードがあったのです。
ですから、私の耳には昔のオリジナルの演奏スタイルが刷り込まれていて、特にグレンミラーの
楽曲は「懐かしさ」を越えた感慨があります。このCDの演奏は新グレンミラーオーケストラなので
多少編曲されているのが気になりますが、概ね快調です。これはグレンミラーに限らず歌謡曲でも
最初にヒットした頃の演奏スタイルから徐々に変節しています。オリジナルのまま聴きたいと思う
のは私だけでしょうか?
改めてこのCDを眺めて見ると価格は何と3,008円と半端です。税抜き価格は2,920円なので消費税
が3%の頃に発売された事が分かります。録音はGRP で有名なデーブ・グルーシンがプロデューサー
です。ニューヨークのスタジオ録音なので、残響が少なくこのようなドライなサウンドになったの
でしょう。大げさに言うと風圧を感じるようなサウンドです。収録されている曲は下記の通りです。
1.IN THE MOOD 6.KALAMAZOO
2.CHATTANOOGA CHOO-CHOO 7.TUXEDO JUNCTION
3.THE AMERICAN PATROL 8.ST.LOUIS BLUES MARCH
4.A STRING OF PEARLS 9.PENNSYLVANIA 6-5000
5.LITTLE BROWN JUG 10.MOONLIGHT SERENADE
この中の第6曲だけは子供の頃に聴いた覚えがありませんが、あとは全て、オリジナルのSP盤で
聴いたのでしょう。どれもこれも懐かしさが込み上げて来ます。最後のムーンライトセレナードは
格別でジーンと来るものがあります。それがHiFiで楽しめるのですから、何も言う事はありません。
WRP-Δ8 の音色の傾向は、どちらかと言えば、繊細感、柔らかさ、空気感、微少音の美しさ等に
特長があるのですが、今回のある意味正反対の音も捨てた物ではないと言う結果は、このアンプが
ある方向に色付けされた偽物ではなく、矛盾するようなソースでも、それなりに理想的に鳴らせる
本物志向である事を示していると思います。どんなソースにも通用するアンプなのです。
昔のWRアンプではこうは鳴ってくれませんでした。このCDが楽しめるようになって、WRアンプも
多少進歩したのかな、と思っています。2つの特許回路+コレクタホロワは間違ってないと改めて
思いました。このCDが再発売されているかどうかは分かりませんが、恰好なテストCDになると思い
ますので、機会があったら是非ご購入をお勧めしたいと思います。そしてWRP-Δ8 にご期待下さい。
1410川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Fri Apr 5 22:35:00 JST 2013
オーディオアンプの無音状態について
LPが主流であった頃は、サーフェースノイズが必ずあり、常に何らかの音が聴こえていました。
しかしCDになってから、急に音が無音状態から飛び出てくると言う経験をした方は少なくないと
思います。
これと似た事は音楽を聴いている間にも起こります。例えば、音楽が休止符で一瞬止んだ時に、
それまで聴こえていた音楽が急に闇に沈むと感じた事があるのではないでしょうか。そしてこの
無音状態を単純にS/N 比が良いと喜んでいませんか? それは正しい判断でしょうか?
答えはノーです。音楽を録音する場所には多かれ少なかれ暗騒音があります。決して無音では
ありません。生演奏会場では、指揮者の足音、譜面を捲る音、椅子の軋む音、お客さんの息遣い、
ピアノのペダル音、空調の騒音等など、音楽とは無縁の音が存在します。又、音が止んだ時には
残響が残ります。
確かに、指揮者はお客さんが静かになるまでは棒を振り下ろしませんが、その静寂は無音とは
違います。僅かながらの暗騒音はあるものです。我々が経験できる無音は無響室の中くらいでは
ないでしょうか? 音の響きがないところで音楽会は行われません。
では何故、CDの場合に「無音」を感じる事があるのでしょうか? それは録音された暗騒音や
残響を正しく再生できないからです。暗騒音のレベルは極端に低いです。再生システムが不安定
ですと動作点が不規則に変動している為、微小レベルの音はあやふやな状態に陥り、明確な音に
ならないのです。だから我々の耳に検知され難くなるのです。
この事を別の角度から言えば、楽器の余韻が微小レベルまで綺麗に聴き取れない事になります。
余韻が一番顕著に分かる楽器はピアノです。特に極低音はその最たるものです。ピアノは音域の
広い楽器だと言われています。しかし、普段ピアノから真の低音を聴いているでしょうか?
大太鼓、オルガン、コントラバスのような低音はレベルが高く、どんな装置でも質は兎も角も
はっきり認識できますが、ピアノの極低音は意外に認識されていないように思います。その理由
はそのレベルが必ずしも高くないからです。
又、ピアノの極低音は大会場のホールでは余り聴こえてきません。だから、その存在を身体で
受け止めた事が余りないので、装置の音から極低音が聴こえて来なくても余り不思議に思わない
のです。それがピアノの音だと思い込んでいる人が多いのではないかと思います。私自身もそう
でした。
しかし、録音する時にステージ上でピアノの音を聴くと、至近距離では明確に極低音を伴って
いる事に気が付きます。そして、この音を一度知ってしまうと、極低音の無いピアノ音楽は有り
得ないとさえ思うのです。
勿論、極低音の音域のない曲もありますから、一概に極低音が聴こえない事が即、システムの
せいとは言い切れませんが、どんなピアノ曲を聴いてもピアノの極低音を聴いた事がないと言う
方は要注意です。最近、録音したピアノ連弾は交響詩や交響曲のピアノ版ですから、当然ながら
極低音が含まれており、この音がきちんと再生できるかどうかで、これらの曲の面白みは各段に
違ってきます。
話が「無音」からずれてしまいましたが、CDを聴いて「無音」を感じる事がある人は、余韻が
上手く再生できてない可能性があります。音の微小レベルの再生に欠陥があるのかも知れません。
あるレベルまで音が小さくなると、急激にドロップアウトしている可能性があります。不安定な
アンプには、微小レベルに不感帯が存在するのではないかと思います。WRアンプはその点で全く
問題はありませんが、何と言っても現在開発中のWRP-Δ8 は特に優れていると思います。
情報量、定位感、空気感など、アンプのクオリティを云々するファクターは数多くありますが
最終的には楽器の音の余韻や残響が上手く聴き取れるかどうかで、そのシステムの価値は決まる
ように思います。WRアンプは絞って聴いても、色褪せないと言われます。余韻が綺麗に聴こえる
事と無関係ではないでしょう。
あなたのシステムは余韻や残響が綺麗に聴こえますか、ピアノの極低音が聴こえてきますか?
1409川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sat Mar 30 14:00:00 JST 2013
WRアンプの音の系譜
最近取り組んでいるWRP-Δ8 はもう少しで製品化される予定です。ユーザーの方から見ると
これまでのアンプの音とどう違うのか? と言う疑問が湧くのではないかと思います。此処で
各種アンプの音の系譜を整理して見ようと思います。
何と言ってもWRアンプの音のベースはWRP-α1 やWRP-αZEROにあると思います。皆さまから
ご好評を頂き多くのユーザーの方に支持されましたが、私自身は日が経つにつれ、残念ながら
音そのものより、不安定な音が残っていて以下のような問題を孕んでいると考えておりました。
1.ピアノ再生が安定して出来ない。一部の音階で耳が異常に刺激される。
2.ホルンのどちらかと言えば弱音で、片耳の中がくすぐったくなるような感じを受ける。
3.ストリングスに神経質なところがあり、引き攣れたり詰まりったりする事がある。
4.ベースのピッチカートのダンピングが悪く、低い音が詰まったり下に綺麗に伸びない。
5.4と関連する事ですが、ピアノの左手の極低音が聴こえてこない。
大雑把に纏めるとこのようになりますが、これらの問題点が取り除ければ理想的な音になる
と思ってコレクタホロワ化を断行したのです。その結果これらの問題は殆ど解決出来て、多く
の方にアップグレードを通じて、コレクタホロワ化のメリットを追認して頂けたと思っており
ます。
この特長を生かして新しく開発されたパワーアンプがWRP-ΔZERO/BALです。αシリーズでは
系の不安定性からSEコンが必須でしたが、コレクタホロワ化されてからは、必ずしも必要では
なくなり、原則的にはSEコンを使わずにコストダウンする事が出来ました。音は情報量が多く
精緻で一つ一つの楽器の音を分離して聴く事ができます。定位感も良く音場再生に富んでいて、
遠近感や空気感を感じる事ができます。
然しながら安定化電源搭載型のパワーアンプは部品が3チャンネル分必要ですから、部品代
だけでも1.5 倍になり、最大出力も非安定化電源式より遥かに低くなりますので、トータル的
に考えて、高価なアンプになってしまいます。悪く言えば、パワーが出ない割に重くて高価な
アンプになってしまいます。
それでも電源電圧は如何なる時も一定に保たれるべきだと言う信念が私にはあり、スタート
時点からそのポリシーでアンプを開発して来ましたので、「それがWRアンプだ!」と私自身は
割り切って考えています。
しかし、購入される方からすれば「高価なアンプ!」と言うイメージは付き纏うと思います。
そこで、もっと安いアンプは作れないかと考えて開発したのがWRP-Δ7 です。非安定化電源式
のWRP-Δ6/miniを安定化電源搭載型にしたらどうかと考えたのです。因みに、Δ6/miniは α2、
β2 、α6 等の流れを汲んでいます。
「WRP-Δ6/miniは安価の割りにいい音がする」と言う評価を頂いておりましたので、安定化
電源搭載型にすればもっと音は良くなるだろうし、プロテクション回路を簡略化すればコスト
アップも最小限に抑えられると踏んだのです。10万円を切る事は出来ませんでしたが、従来の
WRアンプに比べれば、大分コストダウンに成功したと思っています。
音は、そもそも非安定化電源でも通用するような回路を、安定化電源で駆動するのですから、
安定感や大らかさや押し出しの強さに特長が出てきます。確かに微細構造で精緻な音ではあり
ませんが、その事とは無関係に楽しめる音楽ジャンルは幾らでもあります。誠に気持よく鳴る
アンプだと言えるでしょう。おはぎさんにお褒め頂いた事は記憶に新しいところです。
一方、以上の2つのアンプとは全く毛色の違うアンプがWRアンプの仲間にあります。それは
ヘッドホンアンプのWRP-α9 です。このアンプはヘッドホン用と言う事で思いきってトータル
ゲインを下げ、その分を帰還に回しています。普通のWRアンプのゲインは26dBですが、12dBに
仕上げているのですから、WRP-α9 は13dBも帰還が深い事になります。その他、低雑音にする
為の回路上の工夫も行っています。
この事によって、ヘッドホンをアンプに直接接続しても、ハムノイズ等に悩まされる事無く
静寂の中でダンピングの効いた音を楽しむ事が出来るのです。このように抜本的なノイズ対策
を取らないでヘッドホンに直列抵抗を入れて誤魔化したアンプもありますが、当然の事ながら
音は垂れ流し的で締まりのない音になってしまいます。
このような背景からWRP-α9 は簡易型のプリにも使えますし、スピーカーを鳴らす事も可能
です。パワーは3~4W ですが小部屋で小音量で聴くには十分です。開発当時は音そのものには
余り気が回っていませんでしたが、hiroさんが素晴らしい評価をして下さり改めてこのアンプ
の実力を見直したのです。
その辺りの事はWR掲示板の項番1372~74やその後にあるhiroさんのご感想をお読み頂ければ
ご理解頂けると思います。WRP-Δ6/miniを安定化電源搭載型にしたように、WRP-α9 も安定化
電源搭載型にしようと考えたのは自然の成り行きでした。そして、項番1386~7 、1392、1398
~00、1404~05にはその実験過程で感じた事がストレートに書かれています。
そして大分煮詰まって来たので、そろそろ実用化プロトタイプでも作ってお披露目しようと
平野氏に協力を仰ぎ、適当な小型シャーシや小型放熱器を捜して貰い、それを利用した放熱器
ユニットを完成させ、シャーシ上のレイアウトを考えているところです。10W+10Wに相応しい
小型で粋なアンプに仕上げて、価格も10万円を切りたいと考えています。
肝心のこのアンプの音ですが、Δ7 とはある意味正反対の音かも知れません。豪快なところ、
押し出しの強さの点では物足りないと思います。贅肉を落としてシェイプアップしたような音
とでも言っても良いかも知れません。どの帯域にも偏らない、平坦化されたエネルギー分布を
感じます。それが極低音にも伸びています。だからピアノの極低音は余韻をもってはっきりと
聴き取る事ができます。不安定なアンプは余韻が綺麗に伸びないので聴き取れないのだと思い
ます。
音の安定性はぴか一で、どんなソースもこなします。このアンプで鳴らせないソースは元が
ダメだと言える程の安定感があります。勿論、耳に優しく変な刺激がありません。パワー感も
当初より改善され、87dBのスピーカーを使って8畳間で十分堪能できる音量で鳴ってくれます。
勿論WRアンプの音の基本は十分満たしています。ここまで来るとSEコンを使う使わないと言う
問題を超越していると思います。
このアンプは入門者か、酸いも甘いも知った超ベテランに向いていると思います。まだ血気
盛んな青年将校の方には、このアンプの本当の良さは理解されないかも知れません。入門者は
変な思い込みをもっていませんから、素直にこのアンプの良さを分かってくれるだろうと思い
ます。ベテランの方には新鮮な響きだと映るでしょう。
既にヘッドホンアンプをお持ちの方はそれをプリにして、少しゲインを稼ぐと余裕で音量が
調整できるようになると思います。そのプリにダイレクトでCDプレーヤーをつないでも良いし
また、WRプリをお持ちの方はプリアウトからこのプリにつないでもOKです。私は後者で聴いて
いますが、2重にプリが入っても音質の劣化は全く問題になりません。寧ろ、安定感が増すと
思います。
私のように長年に亘って音を聴き続けてきた者には、このアンプは救いと言いますか、福音
と言いますか、この音ならずっと聴いていたいと思うのです。多分、このアンプの音は一つの
典型であり、これまでの技術では有り得なかった音の境地に達していると思っています。
最後に、WRP-Δ8 の音の特長を纏めて置きます。
音のエネルギー分布が平坦で低い周波数域まで伸びている。従って、音に癖や特定の色付け
が無く、ソースの特徴が素直に反映される。ピアノの極低音も余韻たっぷりに明確に聴き取る
事ができる。アンプで音を歪めたり強調したりする事がない為、ソースの音を台無しにする事
は一切ないが、無い袖を振るような事は期待できない。
逆に、ソースが理想的に録音されていれば、それがどんなに複雑な音でもひずみ感や混濁感
なしに各楽器が分離されて再生される。どちらかと言えばアコースティック楽器に依るライブ
に向いている。イメージ上の「いい音」を追い掛ける人には向いていない。
表面的には大人しく聴こえるが、決して一本調子ではなく、腰のある強靭な音が録音されて
いれば、硬直することなく有りの儘に、正しい剛性感をもって再生する。勿論、柔らかい音も
ビロード感覚で耳に優しく響く。生の演奏会で感じるように、柔らかい音から硬い芯のある音
まで、渾然一体となって再生する能力がある。
端的にWRP-Δ8 の音を表現すれば「贅肉を綺麗に削ぎ落とした音」と言う事ができる。この
意味では、WRアンプの中でもぴか一である。
1408川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sat Mar 23 22:15:00 JST 2013
デジタル機器の電源について
デジタル機器と言えども電子回路ですから、当然の事ながら電源部が必要です。その昔は
TTL の電源は+5Vと相場が決まっていましたが、最近では種々のICが存在する為、必ずしも
+5Vだけでは事足りません。
HDD やCD-Rドライブは+5Vと+12V が必要ですし、オーディオ・インターフェースは個々
に電圧が違います。又、ノート型パソコンにも色々あるようで、これも一律ではありません。
しかし、これらに付属する電源は100%と言っても良い程に、スイッチング電源(SW電源)なの
です。
デジタル回路ならSW電源でも問題はない、と考えられているからでしょう。それに小型化
されたSW電源は使い易く、安価であると言う側面があります。しかし、WR録音をするように
なって、デジタル機器の電源と言えどもSW電源では本当のハイエンドの音質は確保出来ない
と悟るようになりました。
最近息子は、オーディオ・インターフェースをMOTUからRME に代えました。変更した一番
大きな理由は、RME にはHDD によるバックアップ機能があるからです。例えばMOTUを使って
パソコンのHDD に録音する方法では、途中でパソコンがハングしたら、全てが水泡に帰して
しまいます。セッション録音なら「ごめんなさい!」で済みますが、ライブ録音なら致命的
です。何時止まるか分からない状況は、バランスエンジニアとしては凄いストレスになると
言います。
しかしバックアップ機能のついたRME には外部電源端子がなく、内部のSW電源を使うしか
ありません。その点MOTUは外部から良質な電源を供給する事ができました。今回ピアノ連弾
の録音から本格的にRME を使い始めましたが、何時ものようにミックスダウンにRME を使う
方法を試みたところ、僅かですが音に濁りがあってスッキリしないのです。
私はRME のSW電源がその原因ではないか、と息子に言ったのです。息子はRME には高級な
SW電源が搭載されてるので、大丈夫なはずだと言っていましたが、念の為にRME を使わずに、
Windows 上でミックスダウンをする方法を試して見る、と言って帰ったのでした。この方法
は、実はMac の時にもやった事があったのですが、CPU の処理能力が低かったせいか、余り
芳しい結果は得られなかったのです。
その1、2日後に、音に芯が出て全く音の質が変わった、問題なく良くなったと言う連絡
が息子からあったのです。最新のWindows マシンの威力と、WR製安定化電源で供給された事
が幸いしたのでしょう。これだけで、RME のSW電源がその原因だったとは断言は出来ません
が、私はデジタル処理と言えども、なるべくSW電源は使わない方が無難だと思っています。
以下に、その理由を述べて見たいと思います。SW電源は次の2つの問題点を抱えています。
1.直流域から10KHz 位までの電源インピーダンスが下がり切らない。一般にアナログ式
より1桁くらい悪い。この特性が重要。
2.スイッチングによるノイズが多かれ少なかれ発生する。
アナログ式でも、10KHz 以上の電源インピーダンスは、事実上使用するパスコンに依って
決まってくるので、安定化電源自体の質の問題は余り関係しないと思われますが、10KHz 位
までは安定化電源の動的な内部インピーダンスで決まってきますので、安定化電源自体の質
が問われてきます。
分かり易く言えば、10KHz 以上の電源インピーダンスはパスコン(受動素子)で決まります
が、それ以下の周波数では、安定化電源自体(能動素子)のインピーダンスがモノを言う事に
なります。この能動素子としての能力が、SW電源よりアナログ式の方が優れていると言える
のです。
この事がデジタル回路にどのように影響してくるのでしょうか。デジタルの0と1はパルス
の有り無しで識別されます。ご承知のように理想的なパルスはあり得ないので、立ち上がり
部分は、リンギング状に暴れるか、応答が鈍るかのどちらかです。
どちらの場合でも、0と1の識別には悪影響が出ます。即ち、エラーを起こし易くなります。
従ってデジタル回路にはエラーが付き物で、だから誤りを訂正する技術が不可欠になります。
その昔、パリティ・チェックなるものがあって、偶数か奇数かでエラーを見付けていました。
エラーを訂正するより、エラーを起こさない方が良いに決まっています。
このパルスの形に、電源インピーダンスが影響しないとは言い切れないと思います。寧ろ、
デジタル回路の電源インピーダンスを、直流域までしっかり低く保つ事が、綺麗なパルスの
生成、処理、伝達には必要なのではないかと思います。
2のノイズの発生の問題も深刻です。SW電源から発生するノイズは、デジタル回路全体の
誤動作の原因に十分なるでしょう。ノイズは高周波ですから、他のデジタル機器にも飛び火
します。1つのデジタル系に複数のSW電源が存在すれば、ノイズの相互干渉も起きる可能性
があります。
1の問題と2の問題は決して無関係ではなく、その相乗効果もあり得ます。実はアナログ
以上に低い電源インピーダンスが必要とされるのかも知れません。そう考えないとこれまで
の諸々の経験は説明ができません。デジタル回路はSW電源でOKだと言えるのなら世話はあり
ません。
ノート型パソコン等は必ず電池を搭載しています。SW電源であるACアダプターを使わずに
動作させる事ができます。電源インピーダンスもある程度低いはずですし、余計なノイズも
出しません。しかし息子の実験報告によれば、確かにノイズによる音の荒れは収まるものの、
音に厚みや濃くが出ず、楽器の質感が皮相的で音楽として面白くないそうです。
やはり、ノイズ低減と共に電源インピーダンスが動的に低くならないと、デジタル回路と
言えども本当の効果が出ないようです。デジタル回路が、まるでアナログ回路のような挙動
をするので、本当に不思議な話ではありますが、事実は奇なりです。
そのせいか、最近はSW電源に代わる外部電源が商品化されています。又、測定器としての
安定化電源も売れているようです。しかし、何れも要注意です。それらが正真正銘アナログ
式であっても、制御トランジスタにエミッタホロワ回路を使っている可能性が大いにあって、
結局「負性抵抗」と言う別の欠陥を包含するので、これはこれで大きな問題を孕んでしまう
のです。負性抵抗を孕む安定化電源は、その動的インピーダンスに「不安定」と言う問題を
抱えます。
その点、WR製の安定化電源は理想的です。現にWRレコーディングでその効果が証明されて
いますし、最近試作品をテストされた方からも十分な効果があると言う報告を頂いています。
但し、PSE に詳しい平野紘一氏の話では、アンプ等に組み込んだ電源部は菱形PSE の対象に
なりませんが、独立した電源はその対象になり、試作品から量産品にするには許認可と言う
規制をクリアしなければならず、ガレージメーカーには高いハードルになります。
此処で申し上げられる事は、例え独立した電源でも試作品なら規制の対象外であると言う
事です。
注)発売中のモーツァルト/ショパンのCDは、録音からミックスダウン又CD-Rへの焼き込み
の過程で、WR製安定化電源を各部の電源に使って制作されています。
報告)お彼岸限定特価アンプWRP-Δ7 はまだ正式に決まっていません。他では求められない
安定化電源搭載のコレクタホロワ型パワーアンプですので大変お買い得です。ご興味の
ある方は、是非お問い合わせ下さい。
1407川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sun Mar 17 21:00:00 JST 2013
お彼岸特価セールです。---安定化電源搭載型パワーアンプWRP-Δ7 を限定1台ご提供!
ご好評頂いている安定化電源搭載のベストバイ型機WRP-Δ7 を1台限定で特価提供させて頂く
事になりました。トランス(タンゴ:MG-200)と放熱器にUSED品を使っていますが、基本性能に
何ら問題はありません。安心してお求め下さい。音質等に関してはWR掲示板の項番1357~8 等を
ご参照下さい。
1.安定化電源搭載コレクタホロワ型パワーアンプ 30W+30W(8Ω)
2.利得:26.5dB
3.入力:RCA 1入力(音量調節可)
4.寸法:380(W)x 230(D)x 190(H)(突起物含まず)
5.重量:約6.5Kg
6.納期:2週間程度
7.価格:\105,000
8.備考:WRP-Δ6/miniをお持ちの方はご相談下さい。(下取り可)
使用パワートランジスタはアンプ部も安定化電源部もNEC の2SD73/2SB506です。勿論、EMe 型
で、有名な2SD188/2SA627 に勝るとも劣らないものです。2SD188/2SA627 は民生用ですが、この
パワートランジスタは旧電電公社(現在の NTT)指定の高信頼品です。
尚、有償になりますがある程度のカスタマイズ(例えば2入力、プリ部の増設)は可能ですので
ご相談下さい。1台限定ですのでお早めにお申し込み下さい。お申し込みは
1.メール:kawanisi@west.river.jp.org 無応答の場合は kawanisi@mail.ne.jp
2.電 話:042-683-0212
までお願いします。
基板製作は川西が担当し、シャーシ加工、機構部品取り付け及び内部配線は平野が担当します。
お支払い(マスターズ扱い)は納入時に銀行振り込みか代引きでお願いします。
1406川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sat Mar 16 23:30:00 JST 2013
日フィル3月定期を聴く
春の音楽シーズンが始まりました。今月は日フィルの首席客演指揮者インキネンのシベリウス
交響曲チクルス第1弾で、第1番と第5番でした。どちらも、交響曲の中ではポピュラーな方で
誰でも楽しめる名曲です。
第1番は劇的な出だしが特徴的で直ぐに親しみ易くなりますし、第5番はリズムに特徴があり
これも抵抗無く受け入れられる曲です。第1番は高校生か大学に入った頃に、ゲルマラジオから
流れたオーマンディ/フィラデルフィア管の演奏を聴いて「良い曲だ!」と直感しました。
第5番は、大学生の時にある音楽クラブに入会し、そこで知り合った方に勧められて聴く気に
なり、ギブソン/ロンドン響の中古LPを買ったのが始まりでした。生で最初に聴いたシベリウス
は、奇しくも渡辺暁雄/日フィルの杉並公会堂に於ける演奏会でした。何の為の演奏会だったか、
チケットを何処で入手したかは定かではありませんが、途中で頭が痛くなってそっと抜け出した
事だけが記憶に残っています。
当時の私には未だシベリウスは早過ぎたのでしょう。シベリウスの交響曲第1、2番は西欧の
影響をまだ強く受けていて、その意味で聴き易いものですが、本当の意味ではシベリウスの本領
が発揮されてない作品だと言われています。何処となくロマンチックで編成も大きくチャイコ的
な魅力に溢れています。
次の3番から段々余計なものを削ぎ落とし、フィンランドの原風景を描き出すような厳しさや
悲痛さが漂い始めます。楽器編成も小さくなって、第5番は打楽器はティンパニーだけ、金管も
チューバを省いています。必然的に弦と木管の妙味に曲の美点は移っていきます。
昔からシベリウスの指揮にはイギリス人が向いてると言われ、代々シベリウスを得意としてる
ようです。ギブソンもその一人ですし、バルビローリやディビスもそうです。私が愛聴している
CD(PHCP-9281-2)はディビス/ボストン響です。
昨日、フィンランド人であるインキネンの演奏を目の当たりにして、何時も聴いている肌触り
の良いシベリウスとは一線を画していると思いました。かなり硬質で刺激が強くロマンティック
ではありません。1番や5番をイギリス人の指揮で聴くと、もっと楽しく聴ける気がします。
同じ日フィルの1番でも、2、3年前に聴いた井上道雄の時は特に違和感なく楽しめたと思う
のです。どうも、シベリウスには2通りの演奏があるようです。シベリウスが生きた生活環境を
色濃く滲ませた演奏が正しいのか、それを西欧の文化で消化・吸収してから純粋音楽に練り直す
のが良いのか、難しい選択です。
昨夜のコンマスは幸いにも扇谷泰朋で、シベリウスの特徴的な弦の厳しさ美しさを余すところ
無く表現出来ていたと思います。木管も、トップ4人の呼吸が揃って、弦との対比もまずまずだ
と思いました。惜しむらくは、ホルンのトップが不在でffの音が少し崩れ気味でしたし、ビオラ
のトップがお休み、ソロ・チェロが代役、チェロのトップが行きなり平で中低弦の何時もの力感
に欠けるところがあった事は否めませでした。新人を育てる事は大切ですが、一時的にせよ演奏
の質を落として欲しくありません。
最近、日フィルは公益法人認定に向けて財務状況の向上に努める余り、欠員を補充していない
のでどうしてもトラに頼る事になり、それが演奏にも影響を与えているようです。それにしても
トランペットの客演首席は素晴らしい浸透力を発揮します。
シベリウスに限りませんが、同じ日に交響曲を2曲並べるのは無理があると思います。序曲や
協奏曲を前に置いて、全て交響曲をメインに据えるべきではないでしょうか。のっけから交響曲
第1番を聴くのも演奏するのも無理があり、事実、理想的な気分で楽しめなかった気がします。
第2番もそうですが、第1番の第4楽章の悲痛な盛り上がりには独特なものがあり、ディビス
盤を聴く度に痺れてしまいますが、昨夜の盛り上がりが今一つだった気がしたのは、私だけでは
ないのではないでしょうか。「それがインキネンの演奏だ」と言って片づけて良いのか、やはり
第1曲目に最高潮が来る事自体が不自然なのではないか、ちょっと考えてしまいました。
15分休憩後に演奏された第5番は3楽章制で、どちらかと言えば軽い30分足らずの交響曲です。
第1番ではなくこの曲をメインに持ってきて良いものなのか、ちょっと疑問を持ちながら聴いて
いましたが、インキネンの第3楽章の演奏は素晴らしく、シベリウスの編成は小さいが充実した
曲想が十二分に伝わってくる演奏だったと思います。特に、第3楽章のストバイの表と裏に分か
れた絶妙のppは素晴らしかったと思います。当然の事か、ブラボーが飛び交いました。
1405川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Tue Mar 12 15:00:00 JST 2013
超高帰還アンプWRP-Δ8 雑感---その2
前回もう少し力感とか、充足感とかを補いたいと書きましたが、これは、あくまでも姑息な手段を
使わずに行う事が大前提です。WRアンプはこれまでも、ずっとそのようなポリシーでやって来ました。
力感が多少不足するのは、やはり最大出力が10W+10Wである事と、その電源は無関係ではないと思い
ます。
経験的にハイパワーーアンプは、総合的に存在感の有る音がするものです。その理由は、確かでは
ありませんが、やはり電源部が充実しているからでしょう。非力な電源ではハイパワーは望めません。
その意味で、WRP-Δ8 のプロトタイプは多少、反省点があります。
WRアンプはパワーアンプと言えども、電源を全段安定化電源で供給する事をモットーにしています。
理由は簡単な事で、大電流が大きく流れても供給電圧を下げたくないからです。音量の大小によって
電源電圧がふらつくのは決して良い事ではありません。必ず何処かで馬脚を現すはずです。
電流が流れても電圧を一定に保つには、多かれ少なかれロスを伴います。簡単に言えば、降下する
電圧分を予め確保して置いて、電流が流れた時にそれを放出して、電圧を一定にしようとする訳です。
それを帰還アンプを利用して実現したものが、直列型の安定化電源です。
具体的に言えば、安定化電源の1次側の電圧を、パワーアンプの場合15V 程度高くして供給します。
2次側に大きな電流が流れて整流電圧が下がり1次側の電圧が落ちても、帰還技術で2次側の電圧が
一定になるように制御します。仮に5V程度1次側の電圧が下がっても、電流を制御するパワーTRには
10V程度の電圧がまだ掛かっていますので、十分大電流を流す事ができるのです。
この15V と言う値は、私の長年の経験で決めたものでWRP-α1 の誕生の頃から守り続けて来ました。
ロスは増えますが、この値を20~25V 位確保すると、多少ですが大音量時の音の安定感が増すように
思います。理由は制御TRの動作に余裕が出るからでしょう。
さて今回のWRP-Δ8 の場合ですが、全体の規模が小さくなる事を勘案して、この電圧差を11V 程度
で妥協してしまったのです。それは、敢えてそうしたと言うよりは、使用するトランスの都合があり
ました。ご承知のように、既成トランスの電圧、電流等の仕様は連続して用意されている訳ではなく、
飛び飛びになっていますので、もうワンランク上のトランスを使うと逆にオーバースペックになって
しまう事もあるのです。案外、丁度良いトランスを見付けるのは難しいのです。
今回はローパワーだし、なるべく小型に作りたい事もあったし、11V 程度の電圧差で仕方がないと
考えたのでした。ローパワーなら最大パワー時の整流電圧も大きく落ちないと考えたのです。問題は
もう一つあります。それは整流回路に入れるブロックケミコンの容量です。
非安定化電源方式のパワーアンプの場合は、ケミコン容量が即電源インピーダンスに響いて来ます
ので、大きな容量のものを使う必要がありますが、安定化電源の場合は必ずしも大容量を使う必要は
ありません。極端に言えば、一桁小さい容量で済みます。
WRP-α1 時代に色々試してみましたが、当時は2700~3300ufx2でも問題はないと思った程でしたが
製品は4700ufx2でスタートしたと思います。その後αZEROを開発した時に10000ufx2 に増やした経緯
があり、最近のWRアンプには10000ufx2 を使う事が多くなっています。
ケミコンの容量や種類は、音質に大きな影響を与えると言う常識がありますが、WRアンプの場合は
安定化電源がバッファになっているので、当然の事ながら、音質に与える影響もストレートではあり
ません。今回のWRP-Δ8 には5600ufx2が使われていました。アンプの規模からも適当な値だと思って
いましたが、今回、力感や充足感を高める為に、敢えて容量を増やす事にしました。
本当は電圧差を15V 以上にするのが良いのですが、大きなトランスに代える事は収納の問題もあり
一筋縄では行きません。その点、ケミコンの容量を増やすのなら、並列にチューブラ型コンデンサー
を抱かせるだけで簡単にテストできます。最近のチューブラは小型化されていますので、音質的には
疑問符が付くものの、収納の点では楽になりました。
容量を大きくすれば、チャージされるエネルギーが増えますので、大音量時に電圧差の急激な縮小
をある程度防ぐ事が出来ます。増やす目安は、倍の容量でしょう。偶々手持ちに4700ufが有ったので
これを使う事にしました。5600+4700=10300 ですから、これまでの一つの目安であった10000uf を
クリアします。
さて付加後の音ですが、やはり力感が増したようです。音がストレートに出て来るようになったと
思います。10W と言う壁は物理的なものですから仕方ありませんが、それ以上に音がひ弱になる事は
避けねばなりません。これまでは、嫌な音が耳を異常に刺激しない事を重点にして、WRP-Δ8 を開発
して来ましたが、最後に一般の方にも好まれるように、総合的に音を整える事ができたと思います。
例のくるみ割り人形のCDを掛けて見ましたが、序曲に始まって一気に第1幕を聴いてしまいました。
神経質な引っ掛かりもなく、今まででベストの状態で楽しむ事ができたと思います。音の整音と迫力
が上手くバランスして、凄く良くなりました。音の抜けが低音から高音まで素晴らしく、こう言う音
を聴くと幸せな気分になります。WRP-α9/A と組み合わせて聴いて頂くのがベストだと思いますので、
WRP-α9/A をお持ちの方には特にお勧めします。WRP-Δ8 の価格は10万円以内には抑えたいと思って
いますので、セットでご購入になっても14万円以下に収まります。是非ご検討下さい。
今回、一連の検討の中で、改めて電源ケーブルの音質に与える影響について気が付き、指摘させて
頂きましたが、少し意外な結果だと思っています。エミッタホロワ化に伴って、部品の音質に与える
影響度合いが減る中、未だ電源ケーブルの選択は重要である事を認識しました。
その点、接続ケーブルの方は比較的問題が減っており、一時は使いたくないと思っていたメーカー
製の一般品でも、特に違和感を覚えなくなりました。典型的な例としては、100円 ショップで売って
いる赤白プラグの黒い接続ケーブルでも、殆ど問題なく使える事が分かりました。これで賄えるなら
世話無しです。
アンプの高周波に於ける安定性が、諸悪の根元だったと思っていますが、その本質的問題は帰還に
よる「負性抵抗」の現出にあります。この問題を解決して見ると、これまで七不思議であったような
オーディオの諸問題も大体は説明がつきますし解決されています。世の中には物性論も根強いですが、
私は依然高周波関与説(負性抵抗関与説)を強く推します。
上述しましたが、それでもなお、電源ケーブルの音質に与える影響については、上手く説明が出来
ません。それだけ商用電源を使った電源には問題があると言う事だと思いますが、100Vと言う交流が
電源ケーブルに加えられている、と言う事実も無視出来ないのかも知れません。120Wのアンプでさえ
8Ωで31V ですから推して知るべしです。電源ケーブルの問題はこれからもオーディオの七不思議に
残ってしまう気がします。
1404川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Wed Mar 6 18:00:00 JST 2013
超高帰還アンプWRP-Δ8 雑感
最近ちょっと馬鹿な事をやってみました。普段はWRプリから3m程度のバランスケーブルで WRP-Δ8
近辺まで引いてきて、そこで自作のバランス-アンバランス変換ケーブルでRCA に変換して接続して
います。バランス-アンバランス変換ケーブルと言うと尤もらしいですが、単純にホットのみを取り
出しているに過ぎません。兎に角、プリ有りで聴いているのです。アンバランスで使った時のWRプリ
のゲインは4dB 程なので、常々もう少し音を大きくしたいと感じていました。
そこで、試作品ですがWRP-α9 があるので、これをWRP-Δ8 の前に噛まして見ました。取り敢えず
の目的はゲインを稼いで、もう少し大きな音量で鳴らしたいと考えたのです。これでゲインが12dB程
上がりますので少し余裕がでます。ギリギリのゲインでは、色々テストするのに不便だったのです。
当然、音量は上がり初期の目的は達成したのですが、音質も変わったかと言えば、やはり聴き易く
なっていました。劇的な変化ではありませんが、音の粗が収まる方向に変化しました。プリの効果は
殆んどの方が認めるところですが、ダブルで入れても、プリ次第ではさらに聴き易くなる事が分かり
ました。
例えば以前にも例として挙げた「くるみ割り人形」の「序曲」に於けるバイオリン群のザラツキ感
が明らかに滑らかになりました。単に滑らかになったと言うより、生の演奏会で聴くバイオリン群の
音に近くなったと言えるでしょう。定常特性は勿論の事、過渡特性にも優れたプリを使う限りプリの
効用は明らかにあります。
単純な理屈では、プリ無しでダイレクトに接続した方が音が良いはずですが、WRプリは定常特性は
勿論の事、「負性抵抗の素」とも言えるエミッタホロワの類を使っていませんから、負性抵抗による
過渡特性の悪化がありません。それはWRP-α9 をプリと見立てた場合にも言える事です。
今更ですが、何故「負性抵抗」があると過渡特性が悪くなるかですが、「負性抵抗」は不安定要素
ですからアンプの動作点を不確かなものにすると考えられます。動作点とは動作の基準点で、そこを
中心にして、電圧を増やしたり減らしたりして、結果的に音楽信号のような交流の増幅を行うのです。
従って、動作点を中心に出来る限り幅広い変化ができる事とその変化が直線的に行われる事が要求
されます。変化できる範囲が狭いと音を大きくした時に直ぐ音がクリップしてしまいますし、直線性
が悪いと音に高調波ひずみが出ます。一般的にアンプの特性を調べるのに音楽信号ではなく正弦波が
使われる事は周知の事実です。音楽信号では定量的な計測が難しいからです。
この特性を「静特性」と呼んで、これまで静特性を重点的に追求してきたのです。しかし本質的に
音を握っているのは静特性ではなく、「動特性」=「過渡特性」だと私は思います。静特性の場合は
信号に周期的に変化する正弦波が使われますので、例え動作点が不安定なアンプでも、動作が平均化
されて見かけ上動作点は動かないのです。しかし、音楽信号のように不規則に変化する波形の場合は、
動作点は不安定に動いてしまいます。
結果は自明で、基準点が揺れ動いてしまう訳ですから、元の音楽信号が大きく崩れて増幅されても
不思議ではないでしょう。この事が不安定なアンプの音を悪くする原因だと私は考えています。音楽
信号にも色々あり、比較的周期的に変化しその近傍で動作を平均すれば零になるような音楽波形なら
無難に増幅できる事になりますが、周期性に乏しく、平均しても零にはなり得ないような音楽波形の
場合は、耳に異常を感じる音を派生させる可能性が大きくなります。
逆に言えば、過渡特性に問題がないアンプなら、余程静特性が悪くない限り何台接続してもその事
で音が悪化する事は殆ど無いと言えるでしょう。プリの多段接続にノイズのバッファ効果があるなら、
寧ろ音が良くなる(聴き易くなる)事があっても不思議ではありません。
そんな訳で、今現在はWRP-Δ8 の前にWRP-α9 を入れて聴いていますが、中々のものです。ただし
私が音が良いと判断する基準は、再生音が生の演奏会で体験する音に近い事ですから、生の演奏会に
殆ど行かないオーディオマニアの方とは少しずれている可能性があります。
例えば、SEコンを使った高級機の音はオーディオ的には一番好まれると思いますし、何と言っても
耳に心地良く一番問題のない音だと思いますが、それが生の音に一番近いとは言い切れない気が最近
するのです。生の音はもっと剛性感がありますし、耳に刺激的な音も結構含んでいます。
この辺りの事になりますと、個人の好みの問題が絡んで来ますので単純に良し悪しを決める事自体
ナンセンスでしょう。言える事は、最近のWRアンプの音はある意味最先端まで来たと言う事でしょう。
あとは、好みで選んで頂くしかないと思っています。
WRP-Δ8 について言えば、もう少し力感があっても良いかも知れません。超高帰還アンプ故の粗を
包み隠す性質から、ある程度抑制の効いた音であっても仕方ないのですが、一般的にも通用する音に
する為には、オーディオ的にリッチに聴こえるような力強さも必要でしょう。電源部のケミコンでも
強化して見ようかと思案中です。
最後に蛇足ですが、WRP-α9 の電源ケーブルにいい加減な物を使うと、かなり音が濁る事が分かり
ました。やはりベストは、WRの高級機に付属させている「SHINAGAWA DENSEN」と印字されている電源
ケーブルです。呉れぐれも「そこに有ったから」と言う単純な理由でイージーな物を使わないように
して下さい。詰らない事で、アンプのランクを1つも2つも落としてしまいますので、お使いの物が
何か、今一度チェックして見て下さい。意外に使える電源ケーブルは少ないものです。
1403川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Thu Feb 28 15:45:00 JST 2013
ピアノの音は調律次第でもっと良くなる!
最近、ピアノの連弾を府中のウィーンホールで録音する機会がありました。ピアノがメインの
曲の場合は必ずと言っても良いと思いますが、調律師に調律を依頼します。それはピアノ演奏者
が自分の弾き易い人にする事が多いようです。今回は我々の知らない方でしたが、この方の調律
は少し神がかっていると思えるような斬新なものでした。
調律師は音程を正確に合わせ鍵盤の機械的な諸問題を整えて、演奏者がピアノを弾き易いよう
にサポートします。普通の調律師はこの2点に注力します。多分、日本の殆んどのピアニストは
この2点が整っていれば受け入れるのではないかと思います。しかしこれだけでは音色の美しい、
目の覚めるような輝かしい音は出ないのではないかと思います。
最近ピアノのいい音に巡り会う機会が少なくなったのは、ピアノの方向性が変化し音質よりも
音量を求めるようになったからだと思っていました。しかし、必ずしもそうではないと言う気が
して来ました。ピアノの音は、ピアノ自体の質だけで決まる訳ではなく、調律が大きく関与して
いると言う事実を知ったからです。
大体どのような録音の時も、ピアノを調律している間にマイクセッティングをします。舞台上
をマイクコードを引き回しながら行き来します。嫌でも調律中の音が耳に入って来ます。場所に
よって耳に強い刺激を受ける事が多く、私が「耳を打ん殴られるような音」と表現している音を
度々耳にして来ました。
それは調律が終わっていないのだから仕方のない事だと思って作業をしていたのですが、結局
最終的にも、この音が何処かの音程で残ってしまう事が多いのです。それが打鍵の失敗で馬脚を
現すのです。だから録音された音楽の中に多かれ少なかれこの音が現れる事が多いのです。その
嫌な音の素が、アンプの不安定性によって一層誇張されて聴こえる事になります。だからピアノ
音楽が楽しめないソースが多いのです。これは欧米の一流レーベルでも例外ではありません。
しかし例えば、ミケランジェリの演奏するCDからはそのような音はまず聴かれません。この事
は調律に命を掛けている演奏家の音は、美しく輝かしいし、当然嫌な音も出ないと言う事なのだ
と思います。もう一つの例はカンパネッラ/モンテカルロ管のリストの「ハンガリー田園幻想曲」
と「死の舞踏」で、目の覚めるようなピアノの美音に息をのみます。これらのピアノを調律した
方々の技術は、天才の産物であったが故に伝承されなかったのではないかと思います。
このような音は古き良き時代の素晴らしいピアノが有ったからこそ、録音出来たのだと思って
いましたが、今回、現今のピアノでも調律さえそのようにやれば、諦める必要はないのかも知れ
ないと思ったのです。「そのように」とはミケランジェリやカンパネッラの調律と同様にと言う
意味です。
ピアノの調律に、調律の基本に加えて何かプラスαを与えられれば、それは実現するかも知れ
ないのです。今回の調律は、正にそのような事を主たる技としている、ある意味天才的な方法に
よって行われたのです。要するに、ピアノから美しくも輝かしい音が立ち昇るように調律する事
を使命にしているのです。
普通の調律師は自分の殻に閉じこもって、黙々と調律をこなして行く人が殆どですが、今回は
そうではありませんんでした。私にも声を掛けてくれて名刺交換をしましたし、WRアンプの特長
についても好奇心旺盛に質問されて来ました。その上で、ご自分の調律のポリシーを語られたの
です。全てが理解出来た訳ではありませんが、音そのものを大切にしている事はよく分かったの
です。
未然に調律に3時間は下さいと言われていると聞いていましたが、それはある程度状態の良い
ピアノの場合であって、自治体の管理するホールでは、誰がどのように使うかは未知数であって
ピアノも荒れた状態になっている事が多いと言われています。その場合は、もっと調律に時間が
掛かるはずです。先ずは最初の3時間で普通の状態に戻し、追加の調律で音が立つ状態に高めて
行かなければならないのです。
今回の録音は2日に亘って行われましたが、1日目と2日目の音にはかなりの差が出てしまい、
結果的に1日目の録音を採用する事は出来ない程でした。それだけ調律に時間を掛けた分ピアノ
の音が良くなったのです。音の次元が違うと言っても過言ではないような変化でした。そこまで
ピアノが調律されると、もう次元の違う音になります。
それは普通はあり得ないピアノの音の状況の変化で説明できます。先ずピアノの周りを 360度
回っても音の変化が殆どなくなります。反射板の効果など余り感じなくなりますから不思議です。
聴く場所に依らず低音から高音までのエネルギーバランスが保たれているのです。舞台上や客席
の何処で聴いても同様な音で聴く事が出来るようになります。遠くに離れても音量が少し下がる
程度で音が霞むような事はありません。勿論、耳が打ん殴られるような音は、音の大小に依らず
皆無です。
これは全くもって不思議な事でしたが、実際にウィーンホールのスタインウェイがそのように
調律され、息子も同じように感じたのですからウソではありません。日本にもこのような天才的
な調律をする方が居たのです。この方の調律を受けたピアニストも多くいらっしゃるはずですが、
この事を有り難い事だと特別に認識して居る人は、意外に少ないとお聞きしました。
日本のピアノ教育らしい結果だと思いました。音楽は正確な音程と拍子が最も大切だと思って
いるのでしょう。しかし、音そのもが良くないと音楽として心から楽しめないはずです。感覚的
に理屈抜きで湧き上がる感動はないはずです。実はこれが音楽の一番大切なポイントではないか
と思う次第です。欧米の一流どこにはこの点で秀でた人がいます。ポリーニ、アルゲリッチ等は
少数派かも知れませんが、明らかに音の良さを意識しています。
しかしこの感覚は幾ら口で教え込んでも、分からない人には通じないのです。特に環境の点で
恵まれていない日本人には、この事を理解出来ない人が多いはずです。非常に残念な事ではあり
ますがそれが現実なのです。これはピアノに限った事ではなく、音楽全般に亘って言える事です。
音楽を再生して楽しむオーディオにも、勿論通じる事です。
事オーディオに関しては、感覚と言っても架空の感覚は困ります。あくまでも自然界で発っせ
られる音が基準になるべきです。趣味だから勝手と言う意見もありますが私はそうは思いません。
何故ならば、このような実体のある素晴らしい音に目覚めれば、絶対それに魅せられるからです。
架空の音を追っていても、結局は徒労に終わり、家計に散在をかけるのが落ちだからです。
日本のオーディオアンプは、基本的な技術でも負性抵抗の存在に気付かなかったと言う意味で
躓きましたが、感覚的な意味でも成功したものは少ないと思います。それは開発する技術者の耳
がそのように訓練されていなければ、感覚的にも素晴らしいアンプが出来るはずがないからです。
録音関係の技術者も含めて、一体どれだけのエンジニアが素晴らしい生の音を体験しているので
しょうか? その努力なくしていい音は作れません。
その調律師の方は自分でトランペットを吹く過程で、その音の感覚を掴んだと仰っていました。
全ての素は実在の音にあります。トランペットの吹き方で変わる音をヒントに、ピアノの調理に
上手く適用したその独自の技術はやはり稀有なものであり、誰にでも真似出来るような芸当では
ありません。黄金比と言う言葉がありますが、何か自然界の不思議な法則にピタッと合った時に
このような状況が生まれるのでしょう。
日本人は良いものに出会っても自信がないのか控えめなのか、それを認めて高く評価する勇気
がないように思います。欧米で話題になって初めて追認する人が多いのです。私は良いと思った
事は素直に表現すべきだと考えて、敢えて今回の経験を書き記したいと思いました。最後にこの
調律師は、岩崎 俊(Takashi Iwasaki)氏である事を明示して置きたいと思います。
1402川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sat Feb 23 14:05:00 JST 2013
デジタル機器(パソコンを含む)の電源と音質について---続き
前回行数も多くなり触れられなかった事があるので、書き足して置きたいと思います。それは何故
Mac とWindows マシンとの間に大きな音質差が有ったのか、と言う疑問への推察です。CPU を含めた
演算処理系の本質的問題にも当然原因は有るとは思いますが、もう一つ考えられる事として外付けの
安定化電源の効果が出やすい構造か、そうでないかにも原因はあるのではないかと考えています。
Mac は完全にアメリカの製品です。どんなACアダプターを差し込んでも壊れない事が大前提にある
はずです。最近のACアダプターには電力表示しかなく、ユーザーは何Vかを気にしないで使えるよう
になっています。要するに、機種の消費電力に見合った電力表示のACアダプターを使えば良いのです。
どうも内部で電圧をコントロールして、高い電圧のACアダプターが使われても問題が起きないよう
に調節しているようです。事実、息子のMac に19.5V を加えても壊れずに問題なく動作したそうです。
この位の事は訴訟社会のアメリカでは当たり前なのかも知れません。
もしそうだとすれば、外部からの安定化電源は直にメインボードに接続されていない事になります。
これでは安定化電源のメリットは半分位しか生きません。確かに、ACアダプターよりノイズの少ない
環境は作れますが、電圧を強固に一定に保つ機能は薄れるでしょう。
その点、Windows マシンは電圧を決めて、外付けのACアダプターが直にメインボードに接続される
構造になっているのではないかと思われます。壊して内部を見た訳ではないので確証はありませんが、
可能性は高いと思っています。従って、高性能な安定化電源を使って高音質の演算処理をしたければ
Windows マシンに限ると言う事になります。
そんな事を考えながら、昨日も改めてWindows マシンで処理をしたCD-Rを聴いて見ましたが、全く
破綻するとか、食み出すとか、定位が乱れるとか、そう言う不安定な音はなく、生の音楽会で聴いて
いるような自然な響きを楽しむ事が出来ました。デジタルが関与してるなんて夢にも思わないような
音です。
生の音楽でも「タコ4」「タコ8」等、耳(脳?)に刺激的な音楽は幾らでもありますが、一般的
に言えば生の音楽会で機械的な音の不安定さを感じる事は殆んどありません。噛り付き以外では高音
が出ているとか、低音がタップリしているとかそんな音質上の特徴を特に意識する事もなく、無意識
に音楽を聴いているのが普通です。それが生の音楽会と言うものです。
Windows で処理したCD-Rは正にそのような感じで音楽が楽しめる音に仕上がっています。モニター
に使ったアンプが、WRアンプの中でも超安定な音質であるWRP-Δ8 であった事も、それに輪を掛けた
のではないかと思っています。
一頻りCD-Rによる各種WR録音のサンプルを聴いた後、私が座右に置いてよく聴くテストCDを聴いて
見ましたが、このアンプには既にそのような特質が備わっている事が分かりました。以前からご説明
申し上げているように、超高帰還技術が成功すると全ての欠点を上手く包み込んでくれるようになる
らしく、市販のCDでもそのような傾向に聴こえて来ます。
これまでのアンプでは楽しめなかったのが、昨日初めて楽しめる音で鳴ってくれたCDがありました。
その一例を示しますと
ベルディ:「序曲、前奏曲集」 シノーポリ/ウィンフィル(UCCP-7085)
の中の、
3.「アッティラ」前奏曲
4 「ルイザ・ミラー」序曲
8 「ナブッコ」序曲
の3曲です。これら3曲は他の曲と録音の仕方が違っていたのか、曲の構成上そうなったのか兎に角
並みの装置では全く音にならないはずです。勿論部分的には聴けても、全体を通して破綻なく音楽を
楽しむ事は出来ないと思います。何れもベルディの傑作なだけに残念な想いがありました。
久し振りにこのCDを聴く気になったのですが、これが食み出さずに、破綻無く聴けるようになって
いました。今まで不満があって楽しめなかったCDが良い音で鳴ってくれると、本当に幸せを感じます。
この評価にはかなり客観性があります。音が良くなったと感じたのは結果論だからです。音が詰まる
とか、食み出るとか、色々な欠点が取り除かれた結果、即ち、音の悪い面に着目した結果、それらが
克服されて、ソースの真の姿が現れて、実はそれが良い音だったと気が付いただけなのです。
このように結果的に音が良くなったと言う証言ならば客観性はありますが、良い音だけに着目した
評価は、それこそ個人の好みの問題が入るので私は殆んど信用しない事にしています。
斯様に、このWRP-Δ8 で聴けば、楽しめなかったCDが蘇る可能性が増えると期待出来ます。リレー
の交換、補償コンデンサーの値の見直しで、プロトタイプのWRP-Δ8 は本物になった気がしています。
このアンプでWR録音のCD(モーツァルト/ショパン)を聴くと、高音が綺麗に伸びてるとか、低音が
聴こえたとか、確かに殆んど欠点もなく楽しめますが、Mac での処理のせいか、音に意識が行く点で
Windows マシンで処理したものと少し違う気がしました。
これから先、WR録音はWindows マシンを使って行われると思いますので、今後リリースされるCDに
益々、ご期待頂きたいと思います。さり気なく鳴ってくれ、それでいて力のある、腰の強い、骨太な、
でも無音や消え入るような音も実在感のある、そんなCDに仕上がるのではないかと思っています。
1401川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Wed Feb 20 17:10:00 JST 2013
デジタル機器(パソコンを含む)の電源と音質について
最近リリースされたWR録音は、主にMac を使って処理を行っています。昔から画像や音声処理は
Mac に限ると言う一般的な評価がありました。事実、プロユース用の優秀なソフトが種々開発され、
使い勝っても含めてパフォーマンスが良かったのです。
しかし、最近ではWindows マシンも無視出来ない程になって来たようです。息子の所有する Mac
の型番が古くなった事もあって、CPU の速度が最新鋭機に比べて相対的に遅く、6チャンネル位を
同時に録音すると音飛びを起こすようになったのが、考え直す切っ掛けでした。
勿論、Mac の最新鋭機を買えば済む事ですが、その出費も馬鹿になりませんし斜陽気味のMac を
買うより、既にあるWindows マシンを活用した方が合理的であると考えたのでしょう。ある日突然
息子が「これを聴いて見て」と言って1枚のCD-Rを持って来たのです。
確かに、今までの音の系列とは違った路線のように感じましたが、今一つ楽しめる、福与かな音
ではありません。色々と話を聞いて見ると、Windows マシンの電源は付属のACパックで賄っている
との事でした。Mac の場合は、WR製のコレクタホロワ式安定化電源に代えて使っています。
ACパックはブラックボックスですが、中身は殆んどの場合スイッチング電源です。一応は安定化
電源の機能はありますが、電源インピーダンスの絶対値は高く、電源インピーダンスのf特も良く
ありません。その上、ノイズを発生するのでハイエンドオーディオには向かない電源です。
しかし、スイッチング電源は小型で安価なのでデジタル機器の電源には殆んど例外なく使われて
います。デジタル機器だから大丈夫だろうと言う、変な安心感もあるのでしょう。しかし音声処理
に使うパソコンの電源としては相応しくなく、良質な安定化電源に変更すると明らかに音質が向上
します。
アナログ機器なら理解もし易いのですが、デジタル処理用の機器にも良質な電源が必要であると
言う事は、本当のところは説明がつかない気がします。しかし事実はデジタル機器にも良質な電源
が必要なのです。結局、どんな回路も最大のパフォーマンスを上げるには、理想的な電源が必須だ
と言う事なのでしょう。
そこで、Mac 用に作った安定化電源の電圧を切り替えて、Windows マシンにも使えるように改造
する事にしました。Mac 用は16V ですが、Windows 用は19.5V です。3V位なら電源の1次側に余裕
がありますから、別の基準電圧のツェナーを用意して切り替えれば良いと考えました。
改造している間、息子はパソコン付属のバッテリーだけでWindows マシンを動作させて見たよう
ですが、ノイズによる悪影響が無くなった分、確かに音はスッキリしたものの、もう一つ音楽的に
楽しい音にはならなかったそうです。音の厚み、伸び、力強さ、粘り等に不満が残ったとの事です。
この事はMac の時も同様な経験を積んでいたので、半ば予想できた事なのですが、バッテリーは
余り音楽的には期待出来ない事が分かったのです。これはWRのヘッドアンプのお客さんからも同様
なレポートを頂いた事があります。音はスッキリするものの、音楽的に充実した音にはならないと
言う点で、不思議にもデジタル、アナログ共通しています。
電源が改造できたと言う一報を息子に入れたら直ぐに取りに来て、早速WRの安定化電源を使って
ミックスダウンをやり直したのです。勿論、ミックスの内容は変わっていません。演算処理の方法
が変わっただけなのですが、「全然違う」と言うメールが息子から来たのです。そんなに違うのか
私も俄かには信じられませんでしたが、実際にそのCD-Rを聴いて驚愕したのです。
これまでMac で幾らやっても限界のあったソースが、見事に蘇っています。音楽家の演奏レベル
が上がったように聴こえます。細かなミスが目立たなくなり音楽的に楽しめる充実した音になって
います。弱音が綺麗で、ppの表現が上手く出来るようになりました。ppが演奏会場のような静けさ
の中から聴こえれば、対極のffも映えてきます。全てが相乗効果を生んでいるようです。
これまでバイオリンとピアノが別々に演奏しているように聴こえたソナタが、2人が張り合って
或いは呼応して演奏している姿が伝わって来るようになったのです。それにピアノのffでの飽和感
がなくなり、バイオリンのffも一段としなやかに伸びて聴こえます。Windows マシンの演算処理が
優れているのか、兎に角、これまでのMac では得られなかった音です。
それにしても、アナログ信号を扱っている回路の電源ならば分かるのですが、どうしてデジタル
演算処理をしているパソコンの電源が音質に関係して来るのでしょう。合理的な説明はできません
が、事実は小説より奇なりと言う事なのでしょうか。このWindows マシンの特長を発揮させるには
残念ながら付属のACアダプターでもバッテリーでもダメだったのです。
此処で、日常的によく使われる電源の種類を纏めて置きますと
1)整流器とブロックコンデンサーのみの非安定化電源。
2)バッテリー(昔は鉛バッテリーでしたが、最近の主流はリチウムイオン電池)
3)ACアダプター(スイッチング電源)
4)アナログ式安定化電源
に分類出来ます。
1はオーディオで最も標準的な電源で、市販されているアンプは管球式も含めて殆んどこの形式
です。手軽と言う事で多く使われていますが、出力電流に応じて電圧が降下するのが大きな欠点で
理想的な電源とは言い難いものです。音質も可も無く不可も無い、無難な電源と言えるでしょう。
2は充電しなければ使い続けられないと言う大きな欠点があります。持ち運ぶ必要のある機器に
重宝ですが、固定型装置には良し悪しでしょう。家庭用の小型のものでは、電源インピーダンスも
安定化電源程下がりませんし、あくまで受動的です。電流が流れれば僅かですが電圧は降下します。
電圧が下がったら上げるように補う能動的装置とは本質的に異なります。
3は一応安定化電源ですが電源インピーダンスはアナログ式に比べて1桁高く、そのf特も良い
とは言えません。最大の欠点は、原理的にスイッチングノイズを発生しますので、オーディオには
不向きと言えるでしょう。メリットは小型でロスが少ない事です。
昔、ビクターがDクラスの安定化電源搭載アンプを発売した事があります。原理的には同様な物
だと思いますが、ラ技編集部から測定の依頼を受けて測定した事があります。当時のWRアンプ搭載
の安定化電源と比べて1桁以上インピーダンスが高く、そのf特も余り良くなかった為、ビクター
の大学の先輩を通じて圧力が掛かった事があったのを思い出しました。
4には原理的に2種類存在し、プリ程度ならシャント型が使えますが大電流には無理があるので
普通は直列式が多く、WRの安定化電源も直列式です。これは一種の高帰還アンプですから、帰還の
不安定性が問題になり、下手な安定化電源は非安定化電源より音質が劣ります。その事も手伝って
余り採用するメーカーはありません。特に、パワーアンプの全段を安定化電源で賄うアンプは世界
広と言えども、WRアンプくらいなものです。
しかし、負性抵抗を確実に無くし、負性抵抗の塊のようなエミッタホロワを排除した安定化電源
が設計できれば、広範囲に亘って電源インピーダンスの低い、かなり理想的な電源を実現する事が
出来ます。電流が流れて電圧が下がっても、能動的に電圧を上げる機能が有り、電圧を一定に保ち
ます。それが普通の電源と本質的に違うところです。勿論、アナログ回路に使うのが一般的ですが、
上述したように音楽信号を処理するPCにも大いに有効です。
欠点は、扱う電流が大きくなると装置が大げさになり、機器のサイズやコストの点で不利になり
ます。オマケに安定化電源は原理上、入力電圧に対して出力電圧は必ず下がりロスが増えますから、
安定化電源搭載型パワーアンプは、大げさな割りにパワーが出ないアンプになってしまいます。
WRアンプが高価なのは、SEコン等の高級部品を使う事もありますが、この安定化電源部分の為に
余計なコストが掛かるからです。しかし、それでも安定化電源方式にしているのは、電源あっての
回路だからです。幾ら優れた回路を設計しても電源がプアーなら本領を発揮できません。デジタル
回路も含めて、電源が理想的であることが何より必要な事なのです。不思議な事ですが、能動的に
電源電圧を制御して一定に保つ方が、音楽的に豊かな音を生み出す事が出来るようです。
ヘッドホンアンプWRP-α9/A は安価にする為に止むを得ず非安定化電源にしていますが、それを
安定化電源に変更して、ちょっと電圧を高くしただけで、WRP-α9/A では到達出来ない音の極みに
上り詰める事が出来たのです。最近、評判の良いWRP-Δ7 も比較的安価ながら、安定化電源方式に
拘った逸品です。
これまでは付け足しのように扱われて来た電源ですが、もう少し電源について真剣に考えるべき
ではないでしょうか?
1400川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Wed Feb 13 21:00:00 JST 2013
安定化電源搭載型ヘッドホンアンプ(仮称:WRP-Δ8)の試聴ソースについて
これまで色々な角度から、安定化電源搭載型ヘッドホンアンプ(超高帰還パーアンプ:WRP-Δ8 )
の音質について述べて来ましたが、今回は実際にソースを特定し、従来型アンプとどのように違うか
を具体的に指摘したいと思います。
今回はクラシック2点、ジャズ1点を挙げますが、これらは誰が聴いても違いが客観的に分かると
思われるからです。音質評価は、個人の好みや趣味の問題が関与すると主観的になり勝ちで、曖昧な
結論になる事が多いものです。それではオーディオは発展しません。堂々巡りです。
特に、音の良さを問題にするとその曖昧さを避ける事が難しくなります。その為、私は昔から音の
悪さに注目してアンプの開発を行って来ました。特に、気になったのは
1)バイオリンのチリチリ感や引き攣れ感
2)ピアノの、耳を打ん殴られるような異常な圧迫音
3)ホルンの、片側の耳の中がくすぐったくなるような、片側の鼓膜に圧力が掛かるような音
4)ピアノの左手の重低音の不足
5)ベースのピッチカートのブーミー感
です。
1は比較的誰でも分かる音ですから説明の必要はないと思いますが、生のオケでも下手な演奏では
有り得る音です。勿論、再生音とは若干質が違いますが、綺麗に揃わないアンサンブルでは不協和音
が増えるので、ひずみ感や詰まり感を感じる事が多いものです。昔はウィーンフィルの弦は美しいと
言われましたが、私は扇谷泰朋がコンサートマスターの時の日フィルの弦は美しいと思います。
2はピアノの、特に右手のそう高くない音の時に生じる確立が高く、酷い装置ですとビンビン耳に
来る事があります。その素となる音は生の音に含まれていて、演奏空間の定在波の影響で顕著に聴こ
えて来る事もあります。調律のずれや打鍵ミスが基本にはあると思われますが、再生音はその比では
なくもっと深刻です。
3は耳の中の垢がコロコロ踊り出すような、そんなくすぐったさを感じたり、一方の鼓膜に圧力が
掛けられたように感じたりします。必ずしもレベルの高い場合だけでもなく、微小音でも起こります。
これも演奏現場で感じる事がありますが、やはり不安定な装置がそれに輪を掛けるようです。
4は重低音が出て居ない事に気付かない事が多いです。私もエミッタホロワ時代には無頓着でした
が、Feastrexの高額スピーカーを鳴らした時に気が付きました。その後、一度は忘れていたのですが、
コレクタホロワにしてから、我が家でも聴こるようになった事に気が付きました。ピアノの重低音が
聴こえるかどうかは、耳が打ん殴られるような音が出ない事と並んで、ピアノ音楽を楽しく聴く為の
必須条件です。重低音は必ずしも高いレベルの時だけではなく、微小音でも聴こえて来なければなり
ません。
5はジャズでは日常茶飯の事ですが、案外ブーミーな音を低音が出ていると勘違いする人が多いの
です。特に日本人は低音音痴が多く、平気でブーミーな音を聴いている人が居ます。私はブーミーな
音が長く続くと生理的に気分が悪くなります。エミッタホロワを諦めた原因の一つです。この問題も
コレクタホロワにしたら解決しました。
まだまだ色々な局面で音の悪さを感じますが、以上の5点を重点的に対策すれば、自ずと他の楽器
の再生音の問題点も同時に解決します。問題点が解決すれば結果的に音は良くなります。それが良い
音に到達する為の近道です。コレクタホロワ化によって、これらの問題点は概ねは解決したと思って
いますが、音の悪さの改善にもグレードがあります。
現在の標準的なWRアンプは普通のレベルでこの問題をクリアしていますが、もう少し高いレベルで
クリアするWRアンプ、それが安定化電源搭載型ヘッドホンアンプ(仮称:WRP-Δ8)です。その根拠と
なったソースの中から3つを選んで、具体的に説明しましょう。
(1)チャイコフスキー:くるみ割り人形 ドラティ/コンセルトヘボウ管(PHCP-9359/60)
アナログ時代の優秀録音です。この序曲は、低音楽器が殆ど聴こえない特異なスタイルで書かれて
います。目立つて聴こえるのはバイオリンで、左のスピーカーに張り付いて聴こえ勝ちです。その上、
過渡ひずみが目立ち、結構ささくれ感があります。これをWRP-Δ8 で聴くとバイオリン群が少し内側
に定位し、滑らかさも出てより自然になります。
(2)デュークへの想い/デイブ・グルーシン(MVCR-139)
これはGRP 独特の録音で、全体のレベルが高くタップリした低音と明快なピアノタッチが売りです。
しかし、並みの装置で聴くとレベルが高いので音が大きく、ベースの低音もピアノも食み出る感じが
付き纏います。ブーミーな低音と打ん殴られるような打鍵に、ついボリウムを絞りたくなるはずです。
しかし、WRP-Δ8 で聴けば飽和感皆無で切れの良いベースと美しいピアノタッチが楽しめます。
(3)ショスタコービッチ:レニングラード バースタイン/シカゴ響(F00G20455/6)
これは独グラモフォンの優秀録音ですが、再生装置泣かせの所も沢山あります。例えば第3楽章の
頭ですが、木管のffに絡んでバイオリン群が強烈に突っ張って来ます。木管の音はなんとかなっても
バイオリンは悲鳴を上げる装置が多いでしょう。2:30辺りまでキリキリと耳に来るはずです。この音
がどのように再生されれば合格かは、日フィルで勉強したので分かります。WRP-Δ8 で聴くとかなり
理想的に再生され、この部分を実演さながらに楽しむ事が出来ます。
以上、3つのソースを挙げて具体的にどのようなメリットがあるかをご説明しました。他のどんな
ソースでも、皆それぞれ改善点があります。どのようなソースを掛けても過渡ひずみが少なく、耳に
優しく響きます。その分、耳が疲れないし、音楽が手に取るように隅々まで見えて来ます。病み付き
になると元に戻れなくなります。そう言う魔力を超高帰還パワーアンプWRP-Δ8 は秘めています。
1399川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Fri Feb 8 00:00:00 JST 2013
安定化電源搭載型ヘッドホンアンプ(仮称WRP-Δ8)の基板の再現性について
気に入った基板が完成すると次に気になるのが再現性の問題です。微妙なところまで音に再現性
が有るかどうかです。あーだ、こーだ良い事を並べても、もう1台作ったらその良さは出なかった
のではお笑いです。まぐれで偶々出来たのでは困ります。そこで取り敢えずもう1組の別のアンプ
基板を作って見ました。勿論、安定化電源基板も音に関係しますが、先ずはアンプ基板です。
プロトタイプに入ってる基板はヘッドホンアンプを開発した当初のもので、抵抗は殆ど同じ物が
用意出来ますから問題はありませんが、当時使っていたコンデンサーは殆ど使い切っていて同じ物
が使えません。コンデンサーの安定供給は抵抗よりずっと難しいです。しかし、その位のハンデを
乗り越えられない程度のアンプでは困ります。
現在の手持ちのコンデンサーを使って作って見ると、20個のコンデンサーの内、16個が異なった
ものになりました。その率を分数で表すと
ケミコン(パスコン):5/5
フィルムコン(パスコン&カップリング):1/4
小容量コン(高域補償):10/11
と言う事になりました。これは片チャンネル分です。
これが意味するところは、フィルムコンデンサーは結構ストックがあるので同じ物を用意し易い
のですが、ケミコンと小容量コンは多くのストックがなく、安定供給が難しい事を意味しています。
昔のα系アンプは、上からBGコン、ERO コン、SEコンと言うように、何時も使う物が一定していた
のですが、SEコンを除いてディスコンになり、今は望むべくもなくなりました。
さて上記の数値をトータルで考えると、20個中16個が違うコンデンサーが使われた事になります。
これは結構大きな値で、これだけコンデンサーが異なると音質に少なからず影響を及ぼして来ると
考えるのが常識です。特に、高域補償コンデンサーは帰還の安定性に大きく関与するはずですから
微妙に音に影響を与える可能性が大なのです。
オールSEコンで作ったアンプとオールセラミックで作ったアンプの音は、好きずきは別にしても
明らかに違います。前者は粘性で後者は剛性ではないかと私は感じています。剛性と言う言葉から
硬いと言うイメージが湧くかも知れません。確かにそう言う傾向がない訳では有りませんが、この
超高帰還型のヘッドホンアンプでは、そのような印象は全くありません。ウソのように柔らかい音
が出ます。
今回の基板も殆ど同じような音に仕上がりました。殆どと申し上げたのは今回の方が僅かですが
音にさらなる安定感がありました。この原因はコンデンサーの種類の問題ではなく、値の問題だと
言う事に気が付きました。
それは、ヘッドホンアンプが開発された時はまだ準コン回路であったので、パワーTRにTO-220型
を使っていたのですが、コレクタホロワになってからTO-220型のコンプリが手持ちに無かったので
TO-3P に切り替えたのです。TO-220は中型パワーTR、TO-3P は大型パワーTRです。前者に抱かせる
補償コンデンサーは50~60PF、後者に抱かせるコンデンサーは100PF と決めていたのです。
その事を忘れて62PFのままでTO-3P を使っていたのです。これでは若干高域に不安定な音が残る
事も十分あり得ます。新規に作ったアンプは最初から100PF を使ったので、その分、音が安定した
のだと思います。やはりこちらが正解だと思い、慌てて62PFを100PF に変更しました。最近の基板
には100PF を使っていますからご心配はご無用です。
そんな付録もありましたが基板の再現性は問題ありませんでした。それだけでなく実はもう少し
WRP-Δ8 の安定性は高かった事が判明したのです。やはり、再現性はきちんとチェックすべきだと
思いました。それがお客様への真のサービスだと思っています。
実はこれで終わりではありませんでした。ヘッドホンアンプを含めて全てのWRパワーアンプには
ミュートリレーを搭載しています。電源ON時のクリック音を防ぐと共に、スピーカー端子に直流が
発生した時にスピーカーを切り離す役目があります。パワーアンプには接点容量が6A程度のものを
使いますが、WRP-α9/A には小信号リレーを使っています。
小信号リレーは2A程度の電流に耐えますので、3~4W 程度のアンプには十分なはずです。しかし
プロトタイプのWRP-Δ8 にパワーアップする時に、リレーの事を忘れていたのです。それでも 10W
アンプに対して2Aのリレーで理論上は大丈夫なはずですが、やはり少し無理があるかも知れないと
思いだし、今回リレーも6Aクラスに交換して見ようと思ったのです。
案の定、抑圧的なところが少し解消されたのです。勿論、超高帰還型アンプの抑制の効いた音に
変わりはありませんが、衝撃的な音が多少伸びるように聴こえるようになりました。勿論、羽目を
外すような事はない、節度をもった衝撃音です。
以上の2点が総合的に効果を上げて、このプロトタイプのWRP-Δ8 の音はさらに確固たるものに
なりました。10W+10Wのパワーアンプが10万円だとすると、これまでのオーディオの常識では高価
に映ると思いますが、それは超高帰還型アンプが実現する前の常識であって、実際にこのアンプを
聴いて頂ければ、10W+10Wの本当の価値が分かって頂けると思います。音の内容が違います。音が
大きくなってもスピーカーから音が決して食み出しません。本当は、誰でもこのような安定な音を
求めているのではないでしょうか?
1398川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Fri Feb 1 11:55:00 JST 2013
久し振りに安定化電源搭載型ヘッドホンアンプ(仮称WRP-Δ8)を聴いてみました。
このアンプの外観写真は「WestRiver Topics」に載せてありますが、もう一度、どんなアンプ
なのかを説明して置きたいと思います。普通、WRのヘッドホンアンプと言えばWRP-α9/A を指し
ますが、出力が3W程度であり非安定化電源です。それでも、ヘッドホンで聴く分には十分ですが
スピーカーで聴くとなると、少々物足りないところが出てきます。特にパルシブな音に対しては
そう感じます。
そこで回路自体には触れずに、電源電圧を高くしてパワーを増強し、同時に安定化電源で供給
して、ここぞと言う時に踏ん張れるようにしたのがこのアンプなのです。WRP-α9/A では ±13V
程供給していますが、これを安定化電源で±18V にしたのです。非安定化電源の場合の±13V は
最大パワー時には2~3V 下がるのが普通です。それが±18V に固定されるのです。
元々の設計が±13V ですから、電源電圧を±18V に変更すればば、回路定数も若干変える必要
がありますが、前にも述べた通りこのアンプの帰還はかなり深く、この程度の電源電圧の差なら
全く問題なく動作してくれます。その理由は深い帰還がそれを飲み込んでくれるからです。この
アンプは標準的なWRアンプより帰還がかなり深くなっています。
帰還は成功裏に掛ければ、こんなに良い事尽くめのものはなく、ひずみも出力インピーダンス
もノイズも、そして音質も全て良い方向に改善され、理想のアンプに近付きます。しかし帰還を
多量に掛けて成功したアンプがこれまで殆んど無かった為に、帰還を悪者扱いにして来たのです。
謂わば帰還は濡れ衣を着せられて現在に至っています。
その証拠に、帰還は音を硬くする、だから無帰還が良く、掛けても軽い帰還が良いと言う常識
がオーディオ界には明らかにあります。これはあくまでも、正しい帰還の掛け方を知らない人の
常識です。確かに、これまでの回路では殆どの場合「負性抵抗」が発生し、多かれ少なかれ帰還
の悪影響が出たのも事実です。私はこの度このアンプを作り試聴して見て、帰還には何ら責任が
ないばかりか、逆に帰還の威力を目の当たりにしたのです。
このところ寒中特価セールの基板を製作し、放熱器に抱かせてパワーユニットを完成させては
WRP-ΔZERO/BALのパワーユニットと交換して試聴を繰り返して来ました。そしてΔZERO系の音も
それなりに立派で素晴らしく、ある種の納得をして聴いていました。
セールの仕事が一段落して「ではWRP-Δ8 はどんな音だったっけ?」と急に思い出したのです。
早速、アンプを繋ぎ替えて聴いて見ると、やはり微妙に音が違います。この違いの中には単純に
50Wと10Wの違いから来るものもあるとは思いますが、どうも本質的に音が違うと思ったのです。
音の肌が木目細かいのです。より滑らかな感触です。決して機械を感じさせる音ではなく自然
な音です。例えばフルート。普通のアンプで聴くと倍音とか付帯音に機械的なぎこちなさを感じ
るのですが、それが全くなく、恰も生演奏会で極上のフルートを聴いているような感じに聴こえ
ます。その上各楽器の音が不自然に混じり合わず綺麗に分離し、独立して聴き分けられるのです。
だから影でひっそり鳴っている楽器の動きも掴めて来ます。それは低音楽器群でも例外ではあり
ません。要するに、耳を刺激する不安定な音は一切出ないので、音を掻き乱す事がありません。
弦合奏の音もザラツキ感が全くなく絹のような手触り感で、ラフマニノフP協2番第2楽章の
ロマンティックな感覚が弥が上にも高まります。それは「レニングラード」の緩徐楽章も同様で、
弦の滑らかさがアナログを越えてるとさえ思えて来ます。硬い音とは全く無縁です。少なくても
帰還は音を硬くすると言うのはウソです。一例でもそれを覆す事例があるなら、その「格言」は
論理的には崩れます。
確かに、石を砕くような破壊力はありません。それは10W しか出ないからではなくこのアンプ
のもつ本質的なもののように思います。その全ては超高帰還に依る抑制から来るのではないかと
思います。全てを包み込んで滑らかにする、そう言うアンプのような気がします。音が前に出る
アンプ
を良しとするような方の一部には、それを物足りないと思う人も居るかも知れませんが、本物の
ベテランには受け入れられる音だと思います。
SEコンやその他の高級部品は一切使っていませんが、出て来る音はそれら高級部品を超越した
音です。普及部品の粗雑さなどを飲み込んでいるかのようです。超高帰還アンプには高級部品は
不要な気がします。もしそれが本当なら回路の設計技術と抵抗値の選択だけで高音質が得られる
のですから、ある意味画期的な事です。
多分このアンプの音はこれまでの、どのアンプでも聴かれなかった音です。超高帰還を安定に
掛けられる技術があって初めて実現できる音だからです。皆さん、新しい音で音楽を聴いて見ま
せんか? 一度聴いたら、その良さが必ず分かると思います。
1397川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sat Jan 26 17:30:00 JST 2013
日フィル1月定期を聴く
シーズン最後の演奏会は、首席指揮者ラザレフのラフマニノフです。有名なピアノ協奏曲2番と
交響曲第3番で、独奏は、辻井伸行と優勝を分かち合ったハオチェン・チャンでした。ラザレフは
コバンケンと同等以上の人気で、一階の左右のコーナーは完全に埋まっていました。
ピアノ協奏曲第2番は余りにも有名なので、余程の秀演でないと人を感動させられないハンデが
あります。その上コンチェルトは、音楽ソースで聴いた方がオーディオ的には効果的な場合が多く、
実演で聴いてガッカリする事が多いので、余計に不利です。
その一因は、独奏者の音を掻き消さない為にどうしてもバックは力を加減します。コンチェルト
は互いに張り合ってこそ面白いのに、この手加減が何とももどかしいのです。音楽的もそうですが、
オーディオ的にも音が中途半端になります。残念ながら、今回もその傾向が見受けられました。
もう一つの不満は、この曲がもつ何とも言えないロマンティックな雰囲気が、余り感じられなか
った事です。これは手加減奏法と無関係ではないでしょう。その事が音のダイナミズムをも平板化
させてしまったからだと思います。ハオチェンのピアノも、左手は強靭な低音が出ていて良かった
と思いますが、右手の音が一本調子で硬直しているように聴こえました。大きなホールでのピアノ
演奏には限界があるようです。
どうしても辛口な感想になるのは、自分の心の中に昔刷り込まれた名演が鮮烈に残っているから
だと思います。その演奏はショルティ/カッチェン/ロンドン響の英デッカ録音(KICC 8482)です。
大学に入学した頃に聴いて、演奏にも録音にも凄い衝撃を受けた覚えがあります。今現在でもWRの
コレクタホロワシステムで聴けば感動する名演の一つだと思います。逆に、不安定な装置で聴くと
目も当てられない音になるはずです。
ショルティは全く遠慮がなく、カッチェンも強靭さと繊細さを兼ね備えいます。第2楽章などは
夢見心地です。昔、装置が不安定な頃、この第2楽章の4分25秒のところで出てくるコントラバス
のピッチカートがブーミーに篭って、此処だけは頂けないと思っていたのですが、昨夜の実演でも
似たような音がして目が覚めたのです。ブーミーな音の素は実演にあったのです。今聴いて見ると
殆んど苦にならなくなっています。ピアノも全く不安なく聴けます。装置が安定すると昔のソース
が蘇るので、本当にハッピーな気持ちになります。この第3楽章も魅力的な演奏です。是非一聴を
お勧めします。
15分の休憩の後は交響曲第3番です。三楽章制で完全な形での緩徐楽章がありません。第2番の
交響曲と比べると知名度が落ちます。この曲はラフマニノフの晩年(61歳)の作品で、これまでの
経験を生かして、ある意味強引に作り上げた曲のせいか、若い頃のラフマニノフ独特の香りがあり
ません。自然に迸る音楽の喜びが感じられないのです。やはり一般的には第2番が良いでしょう。
そうは言ってもラフマニノフ、オーケストレーションは見事でオーディオ的に楽しめる音響空間
を構成します。しかし、それは素晴らしいメロディーに裏打ちされて初めて、真の愉悦に浸れるの
だと思います。部分的な魅力はあっても、持続的な充実感が感じされないのです。この辺りが余り
好んで聴かれない原因なんだと思いました。それに各楽章の特徴がもう一つ掴みきれませんでした。
どの楽章も似たような曲に聴こえたのです。唯、手加減奏法で綺麗な倍音が出ないコンチェルトに
比べ、音が綺麗に伸びて鮮烈になった事は確かでした。
ラザレフは交響曲では上手く日フィルをコントロールして、この難曲をかなりハイレベルに仕上
げていたと思います。ラザレフが何時もやるように、終楽章が終わるや否やくるりと回って客席を
振り返る仕草に、否応無く大きな拍手が起こります。そして拍手が自分に向いていると思うと腕と
指を大きく使って日フィル団員の方を指し「俺じゃない日フィルだよ!」と言ってるようでした。
* * * 寒中特価セール終了しました。* * *
ご応募頂いた方に深く感謝申し上げます。又、その気で計画していたのに間に合わなかった方は、
旧型シャーシはもう出ないとは思いますが、もし次回が有りましたら早めのご応募をお願いします。
この手の特価セールは2、3日が勝負です。
1396川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sun Jan 20 23:00:00 JST 2013
寒中特別価格セールを実施します!
WRアンプのシャーシを作って頂いている工場から、旧型シャーシが幾つか見つかりまして
昨年の秋に一点物として2台の特製WRアンプを販売しご好評を得ましたので、旧型シャーシ
の最後の2台の特価セールを行います。従いましてシャーシは新品です。
今回取り扱うシャーシは2機種で、WRホームページの「販売終了の製品」の中にあります
WRP-αZERO/BALとWRP-α1MK2/BALです。これらはSEコン、BGコン、ERO コン、進抵抗などの
高級部品を使った、WRの看板アンプでした。前者が\444,150で後者が\252,000+\157,500も
したものです。今回は両者ともSEコン等を原則的に使わないで、お買い得価格にしています。
最近のコレクタホロワ技術により、必ずしもSEコンを使わないでも高音質が得られています。
勿論、可能な限り高級部品を使うようにしていますし、回路と基板枚数には何も変更はあり
ません。但し、USED部品を性能に影響が出ない範囲で限定的に使用します。
1.パワーアンプWRP-αZERO/BAL型のコレクタホロワ品
出力:50W+50W (8Ω)
入力:バランス1回路、アンバランス2回路(共に音量調節可)
利得:26dB
素子:NEC製 EMe型パワートランジスタ(2SD180/2SA626→2SD188/2SA627の低耐圧品)
電源:全段コレクタホロワ型安定化電源方式(SANYO製EMe型TO-3タイプパワーTR使用)
寸法:400W 220D 220H(突起物含まず)
塗装:シャンペンゴールド色
価格:\189,000
納期:2~3週間程度
備考:補償コンデンサーはセラミック主体
SEコンを除く高級部品を部分的に使用
2.パワーアンプWRP-α1MK2/BAL型のコレクタホロワ品
出力:40W+40W (8Ω)(旧α1 よりパワーアップ)
入力:バランス1回路、アンバランス2回路(共に音量調節可)
利得:26dB
素子:NEC製 EMe型パワートランジスタ(2SD180/2SA626→2SD188/2SA627の低耐圧品)
電源:全段コレクタホロワ型安定化電源方式(SANYO製EMe型TO-3タイプパワーTR使用)
寸法:400W 220D 200H(突起物含まず)
塗装:シャンペンゴールド色
価格:\157,500
納期:2~3週間程度
備考:補償コンデンサーはセラミック主体
SEコンを除く高級部品を部分的に使用
1台ずつの限定品ですので悪しからずご了承下さい。尚、大幅なシャーシ加工を伴うもの
は不可ですが、仕様上でご希望があれば、原則有料になりますがカスタムもお受け致します。
ご質問ご要望はメール又はお電話でお願い致します。
お申し込みは
メール:kawanisi@west.river.jp.org 又は kawanisi@mail.ne.jp
電 話:042-683-0212
までお願いします。
参考)
補償コンデンサーをSEコンにした場合は、\68,250 高になります。WRP-αZERO/BALなどの
コレクタホロワ復刻品が入手出来る事になります。SEコン特有のウェットでしなやかな音が
魅力です。
1395川西広文さん(バランスエンジニア)
Sat Jan 19 22:53:45 JST 2013
CDレコーディングの話
まずは、今回CDをご購入された方々にお礼を申し上げます。
ありがとうございます。
とむさんへのお答えになるか分かりませんが、このCDの録音について書いてみようと思います。
この録音で拘ったところは"人口的に音色の加工は一切しない"ということと"音楽を録音する"こと。
この2点でした。
内容に触れる前に今回の機材をご紹介します。
音を録るのに絶対必要なのがマイクロフォンです。今回は偶然にも全てがドイツの製品でした。
メインマイク ゼンハイザー MKH-20 x2
弦楽器 4人 ノイマン KM-184 x2
コントラバス ノイマン TLM-102 x1
ピアノ ゼンハイザー MKH-8040 x2
の計7本です。
録音はパソコンを使用したマルチトラックレコーディングで行いました。
マイクから送られてくる7系統のアナログ信号を増幅するために、WestRiver 特製マイクアンプが
計4台用意されました。完全バランス型でコレクタホロワ化された安定化電源を採用したものです。
このマイクアンプの出力をデジタル信号に変換し、パソコンに記録するのがオーディオ・インター
フェースです。
今回使用したのは米国MOTUのTravelerです。使用したパソコンはMacbook osx10.6です。
アプリケーションはレコーディングにはLogic を使いました。なおデジタル系(インターフェース、
HDD、Mac)機器にはWestRiver 特製のコレクタホロワ型安定化電源を使って供給しました。
さて、いよいよ録音の準備開始です。ホールに機材を搬入し、まずは舞台上のセッティングです。
ピアノの配置と弦楽器の配置、マイクの場所を決めます。演奏会ではないので見た目は全く考えず、
録音用の配置にします。
録音したショパンの協奏曲は通常ピアノ独奏とオーケストラによって演奏されますが、今回は
ピアノパートは変更なしの譜面を使い、オケパートは弦楽五重奏版なので、ピアノと弦の
音量バランスが非常に難しく、配置の段階から手こずりました。モーツァルトの弦楽五重奏曲より
ピアノ協奏曲の方がずっと厄介です。ここではピアノ協奏曲の方に焦点を合わせてお話します。
結局、通常のピアノ六重奏に近い配置になりましたが、パートごとにマイクからの距離を変え
バランス調整をしました。
音を良くするにはワンポイントが一番!という意見が多いのは事実ですが、私はどうしても
ワンポイントが好きになれないため、今回もマルチ録音となりました。
セッティングと同時に舞台ではピアノの調律も行われています。
ピアノの調律はピアニストにとって非常に重要な作業です。
ピアニストは大抵ホールなどに常設された楽器を借りて演奏します。自分の楽器を持ち込む演奏家は
非常に少ないです。その借り物の楽器を数時間内に自分の楽器にしなければなりません。
そこで重要なサポートをするのが調律師です。ピッチを揃えるだけが調律師の仕事ではなく、
鍵盤のメカニカル的な問題や、ピアノから出る音色、ペダルの重さなど様々な調整が行われます。
特にピアノからでる音色は調律師によって大きく異なります。
これによって演奏する内容も違って聴こえてきます。調律師も演奏者同様に芸術的センスが必要だと
思います。
準備が整ったらいよいよ録音開始です。演奏者に演奏してもらいプレイバックを聴いて、
各マイクの細かいバランス調整をし、演奏者のOKが出たら本番です。
あとは演奏者が取り敢えず納得するまでひたすら全曲を録音します。順不同になることもあります。
録音後に行う作業がミックス作業です。これは私の自宅で行いました。実はこのCDのミックス作業は
1年間かかりました。というのは、自分の技術的レベルが低かったためなのですが、
音楽として楽しめる内容にするまでに試行錯誤を繰り返し、確認用のCD-Rも数百枚無駄にし、
使用したアプリケーションもいくつも変わりました。
CDが完成した今現在も、その技術は進歩し続けています。
何がそんなに時間がかかったのかと言いますと、7本のマイクのバランス調整と音質の確保(音の
濁りや耳につく音をできるだけ減らす)、それと24bitから16bitへの変換時の音質劣化の問題でした。
先ほども書きましたが、この曲はもとの原曲とバランスが違うため、弦楽器とピアノのバランスを
とるのが非常に難しかったです。特にピアノとコントラバスが入るとどうしても音が濁ることがあり、
これを最小限にするための工夫が必要でした。イコライザーやリバーブ、コンプレッサーを使えば
誤魔化すことは簡単ですが、音質や音色が悪くなるだけでなく、音楽として楽しめなくなるのです。
音の濁りはマルチマイク特有のもので、時間差によるものです。
メインマイクに対して楽器の近くにおいてあるマイクとは距離があるためどうしても時間差が生じます。
それが電気的にミックスされると位相差により音が硬くなったり汚くなります。それを解決するのが
ディレイです。
音は1秒間に340m進みますので、メインマイクとサブマイクの距離から音の遅延がどれだけあるか
計算してメインマイクに対してサブマイクのタイミングを調整します。やり方はエフェクターの
ディレイを使うやり方と、実際に音の波形をずらして調整する方法とあります。
こうして細かな調整をしながら、楽器ごとの音色を確保しながらアンサンブルのバランスを調整します。
他にも多くの試みをしました。パソコンのHDDをSSDに変更したり、USB などのケーブルを取り替えたり、
一つ一つは微々たるものですが積み重なると大きな変化になります。妥協はいけません。
ミックスが終わると次は編集作業です。CDにする順番通りに並べ、曲間を調整し一本の音源を作ります。
演奏者の意見を聞いて、ベストのものを探します。
ここまでくればほぼ完成ですが、まだ重要な作業が残っています。それはフォーマット変換作業です。
録音から編集作業まですべて24bit96khzで作業をしていたので、CDのフォーマットの16bit44.khzへ
変換しなければなりません。変換作業自体は簡単なのですが変換後の音質、音色が気に入らず
多くのディザーやノイズシェイピングを試し、やっと良い方法を見つけ変換することができました。
こうしてCDフォーマットの音源を作成することができました。
このあとプレス工場へ納品するためにDDP ファイルという納品用のファイルを作成し、DVD-Rにて
プレス工場へ納品しました。その結果、皆様のお手元に届いたものが完成品です。
出来上がったプレスCDをマスターと聴き比べましたが、良い意味でプレス版は音がスッキリした
印象を受け、マスターは力づよさがあると思いました。CDプレスは工場によって音が全然違うので
多少の変化はしょうがないと思いますが、今回の出来はほぼ満足行くものになりました。
日々精進ですが、これからも益々音の良いWRレコーディングを行って行くつもりでおります。
今後とも、どうぞよろしくお願いします。
1394とむさん(CD買いました)
Fri Jan 18 01:41:33 JST 2013
聴いてて楽しくなるCD
無事、小池ストリングスCDが到着いたしました。
ありがとうございました。
先日、マスターズに注文していたアンプ(WRアンプではありません。ごめんなさい)
が出来上がったとのことで、引き取りに伺った際に、店長がこのCDをかけて待っていてくれまして、
そのままアンプの仕上がりをこのCDで確認させていただきました。
とても心地よい演奏・録音が印象的で、ぜひわが家でも聴きたいと思い、購入させていただきました。
最近の録音では珍しく音量の詰め込み(コンプレッション)がほとんど感じられず、
演奏の抑揚、雰囲気がよく伝わって来ます。
平均レベルを低めにしてヘッドルームを大きく取っていたり、バスとピアノの基音、ピッチをしっかり収めながら、
極低域のノイズが抑えられているのも、心地よさを後押ししている様に感じました。
落ち着いたショパンの短調が「楽しく」感じたのは、小編成ならではのアレンジの妙なのか、
皆さんが「楽しく演奏」されていたせいなのでしょうか。(笑)
また、7曲目の後半から演奏終了にかけて、名残惜しさ(と少々の焦り)を感じたのは私の気のせいでしょうか。。
掲示板に書かれていた、「再生は簡単ではない」と言うくだりのチェックポイントはどこかに行って、
聴き入っております。(笑)
アンプの新調ついでに、久しぶりにスピーカー工作もしてまして、現在箱の中の調整中です。
このCDが、更に自然に、楽しく鳴るように精進したいと思います。
取り急ぎ、御礼かたがたご報告まで。
1393川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Mon Jan 14 20:10:00 JST 2013
ショスタコービッチの交響曲第7番「レニングラード」の優秀CDソース
何時だったかマーラーの交響曲第7番「夜の歌」(アバド/シカゴ響)について触れた事が
あり、テストCDとしても推奨した事がありました。そんな事もあって年末年始に息子と第7番
の交響曲について雑談する機会がありました。
勿論、「ベト7」の話しも出ましたが、私はショスタコの第7番「レニングラード」を持ち
出しました。ショスタコの交響曲の中でメロディーに富み、最後までずっと飽きないで聴ける
のは第5番とこの7番だと思っていますので、それは自然の成り行きでした。
しかしこの曲は内容の割には良いソースがありません。良いと言う意味は指揮者、オケ共に
一流で、メジャーレーベルの優秀録音である、と言う事です。私が持っているCDはシャンドス
とBIS で、悪くはないけど一級品ではありません。
この曲の第1楽章は、ボレロを模したのかどうかは別にして、小太鼓のリズムに乗って同じ
メロディーが何回も繰り返され、徐々にクライマックスに向って盛り上がって行きます。その
ffで音が崩れるものが多いのです。ボレロもその傾向がありますが、私のCD(ハイティンク/
コンセルトヘボウ)は最近全く問題なく再生出来ています。
そんな話をしていたら息子が「このCDでも聴いて見ない?」と2枚組のCDを貸してくれたの
です。それはバースタイン/シカゴ響の独グラモフォン盤 (F00G20455/6)です。これは一級品
の資格があります。指揮者、オケ、レーベル共に不足はありません。
早速Δ8 プロトタイプで聴いて見ました。バーンスタインの比較的晩年の録音なのでテンポ
設定は遅めです。独グラモフォン盤には必ず録音データが明示されていて、この盤のバランス
エンジニアはネーグラーです。そう言えば、マーラーの「夜の歌」もネーグラーでした。
70年代~80年代に掛けて数多くの名録音を残してきた、独グラモフォンのエンジニアの一人
ですが、比較的無難な中庸な録音をする人だと私は思います。胸のすくような録音はないけど
聴き苦しいものもないと言う感じです。全体のバランスを重んじているようです。マーラーの
7番もショスタコの7番もそう言う感じに聴こえます。伸るか反るかのスリリングな面白さは
ありません。
そうは言っても、アンプが不安定ですとこのCDの再生も難しいはずで、ffで混濁してしまう
でしょう。余りにも多くの楽器が同時に鳴るので、各楽器を分離抽出して聴く事は難しくなる
と思います。ネーグラーの録音は悪く言えばメリハリを欠くところがありますので、音が平板
に聴こえる可能性もあります。
しかし、それにしてもppでの弦の美しさは特筆もので、シカゴ響の弦がこんなに美しく響く
とは思ってもみませんでした。これはいい意味での誤算で、この曲のもつ叙情的な一面を浮き
彫りにしています。アナログ録音以上にアナログ的に聴こえます。ショスタコの交響曲にある、
戦慄的で攻撃的な曲作りは第1楽章に集中し、他の楽章は比較的心穏やかに聴く事ができます。
極端な事を言えば、第2楽章から聴き始めても良いと思います。最終楽章まで充実して心から
音楽に浸れます。
第1楽章の盛り上がりを改めて聴いてみると、やはり凄まじいですが、流石独グラモフォン
です。破綻はしていません。Δ8 も何とか追随出来ているようで、この曲がこれだけの質感で
聴ければ合格でしょう。ショスタコの音楽はやはり凄いです。神経に直接訴えかけて来ます。
第2楽章は緩徐楽章なので基本的に問題は少ないですが、如何にバイオリン群を綺麗に再生
出来るかでしょう。これはΔ8 に取っては然して難しい問題ではないようです。それに反して
第3楽章は冒頭から弦楽と木管が突っ張って来ます。凄い緊張感です。この張り詰めた空気を
なるべく刺激的にならずに再生するのは、かなり難しいと思います。果たしてバイオリン群の
ffが引き攣れずに再現できるか、ネーグラーも馬鹿に出来ません。
第3楽章から切れ目無く演奏される第4楽章の前半は、終楽章だけあってやはり凄い迫力で
すが、第1楽章や第3楽章の難所をこなせていれば、その延長線上の問題としてクリアできる
と思います。中間の美しい部分を経てコーダに流れ込みますが、この長大な難曲を締め括るに
相応しい内容で、オケの総奏は金管の咆哮、打楽器の強打で裏打ちされて、聴く者の魂を揺さ
ぶります。そして自ずと「ブラボー」と叫びたくなるような満足感をもって全体を閉じます。
聴いた音量は、サントリーホールの私の席で聴く音量と等価的に同等と思われる程度でした。
尚、AccuPhase DC-91(デジタルボリューム:0dB)とWRプリはバランス接続し、WRプリの RCA
出力をΔ8 に入力し、WRプリとΔ8 のボリュームを全開にしました。つまり最大音量で聴いた
わけです。能率87dBのB&W805MATRIXを8畳の洋間にセッティングして、これ以上の音量は必要
ないと言う音量でした。勿論、飽和感やクリップ感は殆ど感じませんでした。10W+10Wも馬鹿
にできません。これが超高帰還パワーアンプΔ8 の実力です。
皆さんも、このソースをテストCDにして見ませんか?
1392川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Wed Jan 9 16:20:00 JST 2013
開発中のWRP-Δ8 の音質について
暮れから正月に掛けて、ヘッドホンアンプWRP-α9/A のご注文を頂きました。やはり最近の
hiroさんのご感想から始まった、ヘッドホンアンプの見直しの動きと無関係ではないと思って
おります。
開発中のWRP-Δ8 のアンプ基板も、WRP-α9/A と殆ど同じもので、実体はヘッドホンアンプ
なのです。WRP-α9/A とは電源電圧が4~5V 違いますので、本来は多少設計変更をすべきなの
ですが、高帰還アンプではその程度の差は吸収されてしまいますから、そのままでも問題なく
動作してくれます。
事実、WRP-Δ8 のプロトタイプの残留ノイズも15uV(DIN AUDIO)を切りますので、最大出力
が増えただけで、他の仕様に特別な変更はありません。従ってヘッドホン端子もプリアウトも
付ける事は可能ですので、価格と商品価値のバランスでどうするか決めるつもりでおります。
そんな訳で今年の仕事始めはヘッドホンアンプの基板作りでした。普通はルーチンワークに
なっていて、直流動作を確認したらマスターズに送ってしまいますが、目下のところ自分自身
が音質に興味があるものですから、完成すると先ずWRP-α9/A のプロトタイプに入れて聴いて
見ます。
メーカー製と違って1台1台使用する部品が一部で異なります。同じ部品を大量に買い込む
事が出来ないので、次に買おうとした時には入手困難になっていたりします。仕方がないので
2、3部品の候補を決めて予め音質チェックをし、そのどれかを使うようにします。最終的に
組み上がったものが、全く同じに仕上がる確立は低く、だから音を聴いて見たくもなるのです。
WR製のヘッドホンアンプの特長はヘッドホンがダイレクトに接続されますから、ダンピングの
効いた音が楽しめます。(普通はハムノイズを下げる為に直列抵抗を入れている)
WRP-α9/A のプロトタイプも電源電圧が高く、5~6W 程度出るようになっています。Δ8 は
約10W 出ますので、我が家にあるヘッドホンアンプは皆高出力?です。このヘッドホンアンプ
の音だけを聴いていると、これはこれで十分に満足出来る音だと思います。決してはみ出ない、
音の安定感には独特のものがあります。低域も十二分に伸びています。千葉さんもそう仰って
います。部品の違いによる音の差は極僅かで、高帰還が見事に吸収しているようです。
部分的に幾ら魅力ある音がしても、難しい音のところで破綻する、悲鳴を上げる、硬直する、
ハレーションを起こすようなアンプは落第です。その点このヘッドホンアンプは、そう言った
欠陥は全くなく、今までCDの録音が悪いと思っていたものでも、すんなり再生出来る事が多く
なります。
これが安定化電源搭載型のWRP-Δ8 になると音質はどう変わるのでしょう。直ぐ気が付く事
は低音域が引き締まって、さらに下に沈むように伸びる事です。これにはΔZEROも顔負けする
かも知れません。よく聴くとそれは低音域に止まらず中高域に掛けても音が引き締まるように
安定になっている事が分かります。全体が上手く制御された音で、理想的なオーディオアンプ
の音だと言っても良いかも知れません。弱音はアナログ以上の絹の肌触りです。平野紘一氏の
感想ではアキュレートな感じだと言う事です。
従来型WRアンプとの一番の違いは、あくまでも音が安定していると言う事です。やはり電源
電圧が安定した事と、帰還が正確且つ多量に掛かった事の相乗効果で、さらなる安定感を生み
出しているのだと思います。このアンプから異常音を聴いた例がありません。音が大きくなる
と普通は多かれ少なかれ飽和感を伴いますが、あくまでもリニアに伸び切ります。CDとは全て
そう言うものだと錯覚する程です。微細構造の音ながら神経質なところは全くありません。
逆説的に言えば、現在の市販アンプと対極の位置にあるアンプだと言う事になると思います。
最近、私はもっぱらこのアンプで音楽を聴いています。玄人好みと言いますか、オーディオを
知り尽くした人には、必ずこの良さは理解されると思っています。
オーディオアンプの価値は最大出力にある、と多くのオーディオマニアは考えているところ
がありますので、その意味では、このパワーアンプWRP-Δ8 の評価は高くは無いと思いますが、
それは大きな誤りである事が何時か分かって貰えると思っています。10W が丸々有効なのです。
これまで未踏だった程の高性能、小型、安価と言う安定化電源搭載型パワーアンプ WRP-Δ8
に、どうぞご期待下さい。私の言動を信用して下さって、今直ぐにでも欲しいと思われる方は
メールにてご相談下さい。正式発表前に試験的に、絶対ご損をさせない特別価格8~9万円程で
対応させて頂きます。
価格の幅はオプション(ヘッドホン端子、プリアウト端子、ラインアンプ等)によって変り
ます。 又、シャーシサイズはプロトタイプより少し大きくなり、見栄えも良くなります。