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1710川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sat Oct 15 14:00:00 JST 2016
旧WRP-α9 ヘッドホンアンプの一風変わったアップグレード
ヘッドホン端子付きの普及型プリアンプWRP-α9 は、元はスピーカー端子、プリアウト付きの
ヘッドホンアンプでした。台数が比較的出たWRP-α9/A の高級バージョンだったのです。これを
ご購入になったユーザーの方から、最初は安定化電源を積んで欲しいと言うリクエストを頂いて
勿論、誠実に対応させて頂きました。
多分、当初はパワーアンプとしてお使いだったはずですが、何時の間にかこれをプリアンプに
転用されたようでした。暫くしてサブウーハー用のプリアウトが欲しいので、スピーカー端子を
潰して、其処にRCA 端子を増設して欲しいと言うご要望を頂いたのです。安定化電源にしたとは
言え4W弱のパワーアンプに見切りを付けられたのでしょう。ユーザーの方からのリクエストなら
仕方ありません。ご希望を叶えて差し上げたのでした。
それからまた月日が流れたのですが、その方がL-Pad の記事をご覧になってご興味をお示しに
なり、何とかVRをL-Pad に交換できないだろうか、と言うご相談があったのです。何でも、音を
絞った時に音数が減ってしまうのが、L-Pad にしたいと思った動機だそうです。またまた意外な
リクエストでした。出来るかどうかは物理的なスペースにあるので、中を見て4cm x 8cm の空き
スペースが確保できるかどうかを見て下さいとお願いしました。
直ぐに内部の写真が送られて来て、基板をずらせば大丈夫そうだと言うコメントが添えられて
いました。その時丁度、ΕC-1Hのカスタム化アップグレード用に準備してあったL-Pad が手元に
ありましたので、それならやって見ましょうと言う事になりました。
パワーアンプに依る送り出しアンプのみのプリアンプですが、電源が安定化電源になっており
これにL-Pad が加われば、電圧が±13.5V と低いものの、構成はカスタム化されたΕC-1Hに近い
状態になります。2段差動のラインアンプが無いだけです。果たして、プリとしての音質はどう
なるのか、私も多少興味が湧いて来ました。
丁度その頃、普及型プリアンプWRP-α9 とカスタム化されたΕC-1Hの音質比較を行ったばかり
でしたので、旧WRP-α9 の改造プリの音がどのような音になり、どの位置を占めるのか興味津々
でした。このプリの電源を非安定化電源に、L-Pad 型ATT を普通のVRに戻せば現行のWRP-α9 に
なるのです。安定化電源+L-Pad の威力がどうなのかが分かります。
WRP-α9 とカスタム化ΕC-1Hの音質比較を行った時に、私は次のような意味の事を申し上げた
はずです。
▲音の大きい音楽が映えるところでは差は余り感じないが、音楽が何て言う事のない地味な、
音の小さいところになると少し音が曇って、それが斑模様に聴こえるような気がする。
これに対してサトウさんからは、
●ウィークポイントが幾つか提示されていましたが、それはカスタム化EC-1H を知っている
方が判別できるレベルなのかも知れません。少なくとも私には全く分かりません。
とフォローを頂いています。
さて旧WRP-α9 の改造プリの音質ですが、上述したような、私が感じていた問題点は殆ど感じ
ませんでした。つまり音が小さくなっても解像度は失われませんでした。当たり前ですが、これ
までに聴いた事のない音でした。だからと言って、カスタム化ΕC-1Hの音のレベルに達している
訳ではなく、中高域が少々荒れて聴こえ、音楽のスケール感が多少出難いと感じました。言って
みればカスタム化ΕC-1Hの小型版と言うところでしょう。この音をお聴きになったユーザーの方
からは次のようなコメント頂いています。
■現状のL-Pad アッテネーターでも交換前とは雲泥の差です。
■高音がしっかり出て弦の強靭な張りの響が伝わってきます。歪みがないので耳に突き刺さり
■ません。
■中低音も滲みが全くありません。
■前のボリュームは滲んでいた音だと認識させられました。
■100万クラスのプリアンプと互角に渡り合えるのでは?
この評価はまんざら自己陶酔ではないと思います。私は辛めに評価していますし、現実にこの
音を越えるのは、現今の一般的帰還アンプ(ICオペアンプを含む)を使う以上そう簡単に出来る
ものではないと、私も思っています。因みに「現状のL-Pad でも云々」は「安価なカーボン抵抗
をL-Pad に使っても」と言う意味です。これは、最近のWRアンプに於いては抵抗に依る音質差は
殆ど無いと言う事がその拠り所になっています。
上述の私の不満を解消する為には、2段差動化されたラインアンプを積めば解決するはずです。
ちょっと信じられないかも知れませんが、今回の改造に於いては上手く空きスペースが確保でき、
実はまだ、ラインアンプを載せるスペースが残された事です。このユーザーのお考え次第ですが、
カスタム化EC-1H 並みの音にする事も夢ではありません。しかも、其処でWBC 化も可能です。
一つお断りして置かなくてはなりませんが、最近私の耳は完全にWBC 化の音に慣れ切っていて、
ノーマル状態で聴いても音質を正確に判断する自信がありませんので、ノーマル状態のアンプの
場合は、プリかパワーアンプのどちらかでWBC 化して試聴する事にしています。
WBC 化と申し上げますと、未だ「低音ブースト」と言う言葉を思い出す方がいらっしゃるかも
知れませんが、繰り返しますが、WBC は決して低音を強調するものではありません。中高音域と
低音域のバランスを取って、音調をアライメントしてますので、音のバランスが適正に聴こえる
ようになるのです。これは私の独善ではありません。一例一例、それを裏付けるユーザーの方の
声が届けられています。今現在、例外は生じておりません。
最近、旧型プリアンプWRC-ΔZERO/FBAL のWBC 化をされた方から、下記のような取り敢えずの
評価を頂いています。
▲まだ、印象レベルですが
▲全体に音がより立体化され低域から高域まですっきりした感じです。
▲低域のブーストということである程度想定されるような低域が強調
▲された違和感が全くなく、それぞれの音の存在感が増し、透明度が
▲上がった様な印象です。
▲バランス入力が生き返った様です。
この文章中にも、「低域のブーストということである程度想定されるような低域が強調された
違和感が全くなく」と言う風に語れています。そうなんです。WRのラインアンプは、この程度の
静特性(20Hzで+6dB )で低音が混濁するような事には決してならないのです。そればかりでは
なく、「それぞれの音の存在感が増し、透明度が上がった様な印象です」と仰っています。この
事と私の言う「音が冴えてくる」とはほぼ同じ事を指すものと思います。最後に「バランス入力
が生き返った様です」と述べられていますが、WBC 化は旧型プリのグレードを明らかに引き上げ
たように私も感じています。これはプリとパワーをバランス接続で聴いた時の感想です。これに
依って旧型プリも、カスタム化ΕC-1Hの音のレベルに追い付いたのではないかと思っています。
WBC 化の為の必須部品は有限ですし、当然良いものから使って行きます。「残り物に福がある」
と言う事にはなりませんので、お早目のご応募が有利だと思います。
1709川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Mon Oct 10 17:00:00 JST 2016
WBCの帰還素子に用いるコンデンサーについて
以前、WBC の帰還素子に使う0.1uF に依って音質が大きく変わると申し上げた事がありますが、
この帰還素子にはもう一つ高域補償用のコンデンサーが抱かされています。この回路は基本的に
はターンオーバーだけですから、コンデンサーは一つで足りるわけです。EQ回路はそれにロール
オフが加わりますので基本的にコンデンサーを2つ使用します。
高域補償コンデンサーはターンオーバー回路に必須ではありませんので、抱かせてない回路も
有りますが、WRアンプの場合は高帰還なので、抱かせた方が帰還が安定に掛かり有利になります。
ラインアンプの帰還抵抗の値とWBC のそれとは若干異なっていますので、抱かせるコンデンサー
の値は違ってきます。これまでラインアンプに使って来た容量とは違うものが必要になります。
コンデンサーは、オーディオに取って一番厄介な部品だと言っても良いでしょう。その最大の
理由は理想コンデンサーと言うものが存在しないからです。その点抵抗の方が罪は軽いはずです。
極端な事を言えば、コンデンサーは高周波領域に於いてはインダクタンスとしてしか機能しない
場合もあり得るからです。実践的には、その高周波等価回路に依って判断されます。一番簡単な
等価回路はコンデンサーに直列に、抵抗とインダクタンスが入ると言う形でしょう。
高域補償に使うコンデンサーの容量は特に決まっている訳ではありませんが、一般に数 100PF
以下、普通は100PF 以下が多いです。それに適していて現在入手可能なコンデンサーを大別して
列挙しますと
1.セラミックコンデンサー
2.マイカコンデンサー
3.スチロールコンデンサー(スチコン)
くらいなものではないでしょうか。この内2と3は入手が難しくなりつつありますから、事実上
1のセラミックが中心的になります。2の中にSEコンやディップマイカがありますし、3の中に
オーディオ用に開発された銅スチや工業用のポリスチレンコンデンサーがあります。
セラミックには昔からの円盤型と最近主流になりつつある積層型がありますが、国産の積層型
には音に癖が出易いものがあります。だからと言って、円盤型なら何でも良いと言う訳でもあり
ません。極端に言えば一つ一つテスト試聴して、WBC に適したものを見つけるしかないのです。
よくコンデンサーには固有の音があるような事が言われていますが、私はその意見には懐疑的
です。あくまでそのコンデンサーの高周波に於ける挙動に依って、回路の動作にどのような影響
を与えるかで決まって来るものと考えています。理想のコンデンサーはないのですから、何処か
で妥協するしかありません。
コンデンサーに取って一番大切なのは使用する誘電体です。誘電損とか誘電体のリニアリティ
等が問題になります。私は、誘電率の高い誘電体を使っていると思われるセラミックコンは使わ
ない事にしています。それは、リニアリティ等にに問題があると考えられるからです。小容量の
円盤型セラミックには比較的誘電率の低いものが使われていますので無難だと思っています。
ところで、WBC をやる前のラインアンプにも、当然の事ながら補償コンデンサーを使っていま
したが、それ程シビアな事はなく、普段から「これなら」と思っているものを使えば、特に問題
は無かったのです。しかし、WBC の場合は少し難しい芸当をさせているせいか結構シビアな結果
になっている気がします。
チェックポイントは2つ、アンセルメ/サンサーンスのオルガンの安定感と中高域の弦の聴こ
え方(ライブに近いかどうか)です。この曲は、サントリーホールの1階最上席で聴いています
ので、凡そどう聴こえれば正しいのか分かっています。オーディオの決め手は、結局その設計者
が優れた耳を持っているかどうかどうかだと思います。
高域補償コンデンサーとして新たに良さそうなものを4種入手し、手持ちの4種を加えて色々
聴き比べて見ました。極端に言えば、8種とも全部音が違う言っても過言ではありません。その
中から、許せる範囲に入るものを厳選すると2つくらいになってしまいます。0.1uF の場合とは
違って音場が崩れて全く使いものにならないものはありませんでしたが、出来れば使いたくない
と言うものが結構ありました。ダメなものはオルガンの音が少しダブつき、弦が汚くなります。
幸い使えるものの内、1つだけは今のところ入手可能なものなので、暫くは大丈夫ですが何時
ディスコンになるやも知れず、やはりディスクリート部品の供給不安には何時も戦々恐々とさせ
られます。このセラミックコンデンサーは海外製品の積層型でした。円盤型の中に一つオルガン
の音が非常に安定していて、弦の音も荒れずに綺麗に収まるものが有ったのですが、どんな曲を
聴いても一定の抑制感があり、結局音楽が楽しく聴けないと言う理由で取り敢えず却下してある
ものがあります。少し抑制的にして欲しいと言うご要望にお応えできると思います。
ところでSEコンも有力な補償コンデンサーの一つですが、WBC 回路では余り芳しくありません
でした。ちょっとオルガンの音がダブつきます。旧型のWRアンプには全面的に採用し、明けても
暮れてもSEコンと言う時期がありました。現在でも、ヘッドアンプとEQ回路には全面的に使って
いますが、旧プリのラインアンプや安定化電源及びパワーアンプでは寧ろセラミックの方が良い
場合がある事に気付いており、今回の結果に特別な驚きはありません。この結果はコンデンサー
には固有の音はない、と言う私の推論を助けるものになると思います。あくまでも高周波領域に
於ける挙動で音が決まって来るのだと思います。その回路の任に負えない場合は例えSEコンでも
ダメな場合もあり得るのです。どんな場合でもコンデンサーを全面的に信用するのは危険です。
よくユーザーの方から音の良い部品を特別に使って欲しい、と言うリクエストをお受けします
が、私は常に最適な部品を使うように心掛けていますし、SEコンと言えども使えば必ず良い結果
に結び付くとは限りませんので、WRアンプに関する限りは、そのようなリクエストはやんわりと
お断りしています。どうかご理解頂きたくお願いします。
最初に例示したコンデンサーの等価回路は簡単な部類で、実際には、もっと複雑な等価回路で
表わされるべきなのかも知れませんが、仮にその等価回路で表わされたとして直列に入る抵抗値
やインダクタンスの値はコンデンサーによって大きくばらつくはずです。高周波に於ける回路の
挙動は、それらの値で微妙に変るはずです。それがその回路の安定性に影響を与え、最終的には
その回路の音質を決める事になるのだと思います。
WBC は上手く言った場合の成果が大きいので、その分、その実現に必要な補償コンデンサーに
は重い責任が課せられるのでしょう。今回のテストでまあOKと思えるコンデンサーがこれまでの
手持ちの中に1つ(あと幾つ買い足せるかは不明)、恐らく暫くの間今後も購入可能なものが1つ、
合計2つ見つかりましたので、今後もWBC を安定的に続けて行けると思っています。
蛇足になりますが、手持ちの合格品は市内の部品屋さんで購入したものです。同一メーカーの
物をネットで探して大量に入手したのですが、見た目は殆ど同じもののロットが違うせいなのか
残念ながら同じような結果にはなりませんでした。それ程、この補償コンデンサーに要求される
レベルは高いのでしょう。この事は高価なコンデンサーが有利であると言う事を意味している訳
ではありません。安価なものにも良いものが見つかる可能性があるのです。自分の聴力を信じて
地道に見つけるしか方法はありません。
1708川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Wed Oct 5 16:00:00 JST 2016
他社パワーアンプとの組み合わせでも、取り敢えずWBCは成功しました。
アンバランス型の旧型プリをお持ちの方から、WBC化のリクエストがありました。ご使用の
スピーカーはパワード型の小型モニタースピーカーです。つまり、他社製のパワーアンプが組み
込まれている訳です。プリの方は、既に安定化電源はコレクタホロワ化されラインアンプも2段
差動化が施されていました。
多少低音がダブつくと言う危惧はあったのですが、低音が不足気味であると言う事でしたので
それなら大丈夫かなと思ってお引き受けしました。その試聴レポートを頂きましたので、下記に
お示ししたいと思います。
★ 第一印象は、音がすごく聞きやすくなった、低音がものすごく出ている、という感じです。
★心配な点は、低音が出すぎていないかというところです。
★ そういうわけで、色々CDを聴いているのですが、楽曲が豊かに聴こえる感じで、
★ぎすぎすした感じがなく、声も柔らかになり、聴こえていなかった音も聞こえてきている
★ようです。小さめの音量でも楽しめるところがうれしいです。
★ヴァイオリンもあでやかになってきました。CDを最後まで聴くことが多くなりました。
★ 低音楽器は、意識しなくても音程がわかるようになっており、疲れませんね。
★低音の少なめだったCDは低域がどっしりしてよくなりました。低域がまあまあ入っていた
★CDは、たっぷり低音が出ていますので、大音量のときにどうかが多少気になりますが、
★今のところあまり機会がないので、確認はしてみたいと思います。
★ 不思議な感覚ですね。オーディオの歴史の中で、いつごろからか、すべてフラットで
★なくてはいけないという雰囲気になって、音の調整部分がまったくなくなり、困ったなー
★と思っていたのですが、助かりました。
★とにかく色々な曲を聴いてみて、又何かございましたら連絡いたします。有難うございました。
と言うご報告でした。大音量の時の低音のダブつきの問題が未チェックではありますが、一応
成功したと言っても良いだろうと思います。WBC化で低音が豊かに聴こえるのは当然としても
プラスαが見逃せないところです。
先ず聴き易くなると言う事実です。それは「楽曲が豊かに聴こえる感じで、ぎすぎすした感じ
がなく、声も柔らかになり、聴こえていなかった音も聞こえてきているようです」と言う行です。
特に、変な刺激感が無くなった為に「聴こえていなかった音も聞こえてきている」と言う音質に
結び付いています。結果的に分解能も上がると言う訳です。
次に「ヴァイオリンもあでやかになってきました」と仰っていますように、音が冴えて聴こえ
て来ます。この辺りがWBC化の寧ろ肝なのかも知れません。その結果「CDを最後まで聴くこ
とが多くなりました」と仰っていますように、音楽を最高の音質で楽しく聴けるようになります。
だから、聴き飽きたCDでもまた新鮮味が出て来るのでしょう。この効果を皆さんに是非体感して
貰いたいと思っています。
勿論、低音域が改善されるのは言うまでもありません。「低音楽器は、意識しなくても音程が
わかるようになっており、疲れませんね」と仰っています。低音楽器の音程が分かると言う事は
そうそう簡単な事ではありません。これもWBCの過渡品質が優れている事を物語っています。
最後に「不思議な感覚ですね」と述懐されています。何方もWBCは未体験ですのでその効果
に遭遇すると、多かれ少なかれこのような感覚に陥るのかも知れません。だからWBCの魔力と
言う表現を私は使ったのでした。
唯、大音量時の低音のダブつきに関してまだ未チェックですので、その対策は練って置く必要
があると思っています。誤解を招きたくありませんので敢えて申し上げますが、この問題はWR製
のパワーアンプをお使いのユーザーの方には全く心配無用の話です。もう何例もWBC化は行わ
れていますが、低音の不調を訴えられた方は零ですからこれは決して気休めの話ではありません。
では他社製パワーアンプ場合問題は何処にあるかですが、それは伝統的な帰還回路と電源部に
あります。その問題点は
1.帰還によって不可避的に生じる「負性抵抗」を積極的、抜本的な方法で除去していない。
2.電源が安定化電源になっていない。
の2点です。
1の問題は、一般的には自動制御理論に於けるボーデ線図のようなものを使い、安定・不安定
の判別を行って、帰還の安定化を図っていると言う事実です。これですと位相余裕はせいぜい50
度程度で合格させているはずですが、これでは高級音質を志向するオーディオアンプには不足だ
と言わざるを得ないのです。
その理由は、帰還アンプから完全に負性抵抗を除去するには、位相余裕に換算すると110 度も
必要になると言う事実から、そう言う言えると思います。負性抵抗が残っていますと帰還アンプ
の過渡特性は悪化します。不安定要素を包含しているのですから当然の話です。それは全帯域こ
影響しますが、低音に限れば多かれ少なかれブーミーな低音になるのです。
その上に、直流域の電源インピーダンスが、中域のそれに対してかなり上昇してしまう非安定
化電源ですから、直流域に向かってアンプの出力インピーダンスの上昇を招き、低域が甘くなる
と言う欠陥を有する事になります。厳密に言えば中域と低域とでは、音質が異質なものになって
しまうのです。
この1と2の問題が重なる事に依って、伝統的帰還アンプの低音特性には多くを期待できない
ばかりではなく、WBCのような静特性(定常特性)を有する周波数特性を、完全に具現化する
事は無理だと言う事になります。過渡特性(動特性)が悪化しやすいので、その静特性とは別物
の音を聴く事になります。静特性を準備すれば、その特性の音が必ず聴けるとは限らないのです。
音楽は過渡現象の連続ですから、音質(音の聴こえ方)はアンプの過渡特性に大きく影響を受ける
のです。
この事を逆に考えれば、WRパワーアンプで普通にスピーカーを鳴らすと、低音は控えめになる
事になります。それはWRアンプに責任があると言うよりは、スピーカーの低域特性がその大小に
拘わらず、低い周波数まで十分伸びていない事にあります。この音響・振動的な問題を電気的に
補正して、少しでも低音域が普通に出るように工夫した技術がWBCなのです。低音を強調する
ものでは決してありません。
以上の事を、WRアンプユーザーの方は今一度理解し直して頂きたいのです。最近あるユーザー
の方が「WBCはやる気がありません」と仰るのでその理由をお聞きしたのですが、理由はこれ
までにPCのソフトを使って、色々な低音ブーストをやって見たけど、最初は良いと思っても直ぐ
に飽きてしまう、粗が見えてしまうので・・・と言う事でした。それは寧ろ当然でしょう。
PC環境のような高周波ノイズが溢れている所で、一般の帰還アンプを使って実験しても、その
静特性の本当の姿を見極める事は、上記の理由から不可能に近いのです。その結果を信じ切って
WBCを誤解されていたようですが、これはその方だけではないと思います。WRアンプユーザー
の方に在っては、このような誤解のないようにお願いします。WR製のパワーアンプならWBC化
を行っても余程の特殊事情が無い限り、決して低音はブーミーにはなりませんので、どうぞ安心
してWBCでしか味わえない魅力的な音に遭遇して頂きたいと思います。
他社製のパワーアンプをお使いの方でも、現時点で低音不足をかなりお感じになっているので
あれば、やって見る価値はあると思います。今でも多少ブーミーな感じがするのであれば止めた
方が無難です。
低音過多になった場合は、勿論スピーカーの置き方を工夫すると言う手がありますが、WBC
の帰還回路に使う補償コンデンサーを選ぶ事に依って、多少は調節が可能です。この件に関して
は機会を改めて、またお話しする予定です。
1707川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Fri Sep 30 12:00:00 JST 2016
サトウさん、WRP-α9 のWBC 化とそのご感想ありがとうございます。
サトウさんには今年の正月の半ば頃にΕ-5H をお買い上げ頂き、続いて5月末に普及型プリで
あるWRP-α9 を追加して頂き、さらに9月になってWBC 化アップグレードを2段差動化と併せて
行って頂いています。未だ1年も経過していないのに、ホップ、ステップ、ジャンプと3段飛び
よろしく目覚しい進歩を成し遂げられています。
サトウさん自身が
●当時ここまでの音に辿り着けるとは夢にも思っていませんでした。
と仰って居られますように、かなりの進捗をお感じになっていらっしゃいます。客観的に見ても
サトウさん宅の音は、相当なレベルに達していると断言できると思います。その過程は
1.WRパワーアンプΕ-5H のみの音
2.普及型プリWRP-α9 による「プリ効果」が得られた音
3.WRP-α9 のWBC化によるバランスの取れた音
と言う3段階に大きく飛躍した音で説明がつきます。多分、1つずつ遡って施行前の音を聴けば
信じられない程の音のギャップをお感じになるでしょう。耳は一度慣れてしまうと、もう元には
決して戻れない状況に陥ります。今更一つ前の音で音楽を楽しむ事は出来ないはずです。サトウ
さんはご自身で
●多少はWR耳になってきた証でしょうか
と仰っています。
1と2では、音の安定感や聴き易さの点で大きな飛躍があったと思います。音楽が上手いこと
練れて聴こえる様からは、「プリ効果」の有り難味を思い知らされるはずです。これまではこの
レベルで何方も止まっていました。
サトウさんのWRP-α9 は当初からラインアンプを搭載していましたので、ほぼ標準のΕC-1Hの
音と同レベルだったと言っても良いと思います。WBC化が行われる前までにΕC-1H+Ε-5H の
組み合わせで聴く音のレベルに達していたはずです。私自身もこの組み合わせで日頃聴く機会が
多かったのですが、当時、この音のレベルはWRアンプで得られる最高の部類に達していたと思わ
れます。
その証になると思いますが、マルチでメインシステムを運用されているH.T さんが項番1683で、
サブシステムについて次のように述べられています。
□ サブシステムの方はメインアンプのみE-5Hでプリは他社のものですが、たまに
□メインシステムのEC-1Hを繋いでみると、明らかにその方が良い音なので、いつ
□かはEC-1Hがもう一台欲しいなあ、などと夢想しておりました。
つまり夢想する程ΕC-1H+Ε-5H の音質レベルは高かった事が暗示されています。普段マルチ
で思い存分、いい音でジャズをお聴きになっていらっしゃるのに、ΕC-1H+Ε-5H の組み合わせ
の音にも、当時大いに注目されていたのです。これには小型スピーカー一発に依る、マルチにも
優る良好な音場感が関与していたのではないかと推察されます。
ところが3が発明されて、その時の音質レベルからさらにWBC効果に依ってWRアンプは飛躍
したのです。最早、WBCは低音不足に悩まされている特殊な事情にある方を救済する限定的な
テクニックではなく、一般的なオーディオの手法として、堂々と認知されるべきものである事が
サトウさんに依っても語られています。
●確かにWBC の効果は実際にやってみないと分かりませんね。絶妙な匙加減で補完され
●た低音域は、ただ闇雲に増幅されたそれよりも臨場感や迫力において遥かに勝るのを実感
●しました
とあります。補完された中低音~低音域に依って全体のバランスが取れ「臨場感や迫力において
遥かに勝るのを実感しました」と証言されており、その効果が中低音~低音域に限定されてない
事が分かると思います。私は「臨場感や迫力において遥かに勝る」と言う効果を、音が冴えると
表現したのです。
これまでWBCをおやりになった方が、このようなWBC効果を例外なく認めていらっしゃる
ばかりでなく、サトウさんが「実際にやってみないと分かりませんね」と仰っている事に大きな
意味が込められていると思うのです。
つまり普通のオーディオ好きの方は、低音が増強されると言う経験はトンコントロールでしか
体感した事がないはずですし、余り良い印象をお持ちではないので、それ以外の方法で中低音~
低音域が補完された相乗効果は未体験であって、全く想像が出来ないと言う事なのです。だから
「やってみないと分からない」のです。
WBCをやった方は皆さん同様なお気持ちだと思います。例えば先鞭をつけられたO.M.さんは、
○この低音ブーストされた音は聞かないことには効果がどんなものかは全く想像できないので、
○悩むだけ無駄でしょう。
と仰っています。お二方の言葉を逆に表現すれば、
★ ★ ★ WBCはやれば誰でも納得する ★ ★ ★
と言う事だと思います。
極端な事を言えば、低音とは無関係と思われるバイオリンソロの音もWBC化されたシステム
で聴くと、よりリアルに聴こえるから不思議です。不自然な刺激感が薄まり、バイオリン特有の
美音が透過され、胴鳴りのような音も聴き取れてバランスの良い音に聴こえて来ます。ソプラノ
やテノールにも、多分、同様な事が言えるのではないかと思います。
要するにオルガンやコントラバスのような低音楽器の為にだけ、WBCが存在している訳では
決してなく、全ての楽器に対してより適切なバランスを齎す為の方策だと言えるでしょう。現在
低音がダブついたり篭ったりするような特殊なシステムを除いて、WBC化する事で低音に変な
意識が行ってしまう事はまず無いと思います。低音はそんなに不足してないと思われている方も、
安心してWBC化を行って見て下さい。
サトウさんも
●WRアンプの音なのでスピーカーの位置調整などをすれば不満はありませんでした。
と仰る一方で、WBC化後は
●耳にタコができるほど聴き慣れた曲でも、新たな発見やこれまで以上の満足
●感が得られます。
と証言されています。音が明らかに冴えて聴こえるからでしょう。私もそうでしたが、もうこれ
以上改良の余地はないと思っていても、WBC化するとその考えは見事に吹き飛んでしまうから
不思議です。それが「オーディオの深み」と言うものなのでしょう。勿論低音の充実ぶりも半端
ではなく、
●明らかにカタログスペックを越えているような低音がスピーカーから出る
●様は驚愕であり痛快でもあります。
と述べられています。だから、普通は10cmのスピーカーシステムでは楽しめないサンサーンスの
交響曲第3番のオルガンに圧倒されたのでしょう。
「耳にタコができるほど聴き慣れた曲でも、新たな発見やこれまで以上の満足感が得られます」
と言うサトウさんの証言は重要で、私も買ってはみたものの余り聴かずにCD棚で眠っているもの
を徐々に引っ張り出して聴き直していますが、当初はそう思わなかった「魅力ある音」に化けて
いるのに驚かされています。ちょっと大袈裟に言えばWBCをやらないでWRアンプを使っている
のは勿体無いと思います。O.M.さんも
○さっさとやったほうが幸せな時間を送れます。
と断言されています。そうなんです。この音を聴いていると「本当に音楽はいいな、オーディオ
は楽しいな」と幸せな気分に浸れます。
メーカー製のサブウーハーをお使いの方も、一度それを止めてWBC化を行って低音域の補正
を試みる事をお勧めします。その方が違和感のない低音が得られる可能性が高いと思います。
最後に私から一言付け加えさせて頂ければ、ピアノ再生の充実感です。グルダのピアノの音を
聴く度に、我が家でも此処までピアノがリアルに再現できるようになったのかと感嘆し満足して
います。左手と右手の音のバランスが絶妙です。多分この音と同等な音をWBC抜きで実現する
としたら、相当大型で高額なシステムを導入しないと無理だろう、導入してもそう簡単には行か
ないだろうと悲観的にさえなってしまう程です。
B&W が既に製品を発売していたとは言え、幅広く実用に供されたと言う記録はなく、その意味
ではこれを簡単に安価で実現したWBCは、やはり優れた発明ではないかと思います。もう一度
申し上げますが、これは小型スピーカーの低音不足を補う為の、限定的なテクニックでは決して
ありません。もっと一般性のあるオーディオの最終技術なのです。
最終と申したのは、全ての技術が達成されない内に適用しても消化不良になる可能性が高いと
言う意味です。B&W がもし失敗に終わっていたのなら、それは使われたパワーアンプがまちまち
だった事が原因だと思います。WRアンプは色々な技術やアップグレードを経て、今や最終段階に
差し掛かっていると言っても過言ではないと思います。だから、WBCはこれまで例外なく成功
出来ているのだと思います。
WRアンプは、殆ど同じようなレベルで表向きのモデルチェンジをして来た伝統的帰還アンプと
は一線を画し、オーディオと言う山を上へ上へと登り詰めて来ました。そして、旧型のアンプも
時代遅れにならぬように、諸々のアップグレードで対応して参りました。現行製品はそれを全て
包含しています。だから、これまでの技術が全て蓄積されており、もの凄くハイC/P だと言える
と思います。WRアンプに限って言えば発売から時間が経っていても、モデルチェンジされてなく
ても、決して価値を失うものではありません。安心してお買い上げ下さい。常に最新技術を提供
出来ているのがWRアンプなのです。
それもこれも、多くのユーザーの方々のご協力で実現できた事です。此処に旧来のユーザーの
方々に改めて感謝の意を表したいと思います。
1706サトウさん(会社員)
Sun Sep 25 16:28:31 JST 2016
WRP-α9にWBCを施しました。
以前にも書きましたが、私のスピーカーは10cmコーン、エンクロージャーも小型で数万円
程度のものです。低音の量を要求する事など到底無理な話なのですが、WRアンプの音なの
でスピーカーの位置調整などをすれば不満はありませんでした。そこへ出てきたのが WBC
の話題です。当然気になり様子を見ていたのですが、何やらパーツが無くなりかけたとの
事だったので、それならばできるうちにとお願いしました。
毎度の事ですが、WRアンプが届く度にスピーカーから出る音はこちらの想像を超えていま
す。確かにWBC の効果は実際にやってみないと分かりませんね。絶妙な匙加減で補完され
た低音域は、ただ闇雲に増幅されたそれよりも臨場感や迫力において遥かに勝るのを実感
しました(ただ増幅された低音は、やはりどこか嘘くさく、人工的に感じてしまうからで
しょうか)。耳にタコができるほど聴き慣れた曲でも、新たな発見やこれまで以上の満足
感が得られます。私のような小型スピーカー使いには極めて有益(そして必要?)な機能
でした。また、明らかにカタログスペックを越えているような低音がスピーカーから出る
様は驚愕であり痛快でもあります。
先日、図書館へ行った際に例のサンサーンスを発見したので、借りてみました。オルガン
ですが、WBC 化された重低音は楽器の響きがうやむやにならず、中高音と同等の明瞭さで
再生され、それほど大音量でもない、むしろ曲を支える控え目な量ながら重厚で絶対的な
存在感に圧倒されます。805もEC-1Hの音も知らない私には、川西様の仰る通り全く違和感
なく最後まで聴き続ける事ができました(いや、むしろ圧倒されっぱなし・・・)。
ウィークポイントが幾つか提示されていましたが、それはカスタム化EC-1H を知っている
方が判別できるレベルなのかも知れません。少なくとも私には全く分かりません。
昨年、自室のPCオーディオ買い替えでWRアンプを知ったわけですが、当時ここまでの音に
辿り着けるとは夢にも思っていませんでした。仕事上、家電量販店に行く機会があるので、
時々オーディオコーナーに寄り道しては試聴ブースから出てくる音を立ち聞きしたりする
のですが、今までどれも素晴らしい音に聞こえ羨ましく思っていたのに、最近はそう感じ
る事も滅多にありません(多少はWR耳になってきた証でしょうか)。以前に川西様が仮に
「お前は死ぬまでこのアンプしか使ってはならぬ」と言われたとしても痛くも痒くもない
と仰られていましたが、私も例え神様に逆らう事になったとしても、このアンプは手放さ
ないと思います。
今まで本当にありがとうございました。
1705川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Fri Sep 23 20:30:00 JST 2016
普及型プリアンプWRP-α9 のWBC化の音を聴いて見ました。
既に、これに近い状態の音は聴いていましたので、全く初めてと言う事ではなかったのですが、
やはり、WRP-α9 そのものでの音を確認する必要があるとは思っていました。これに近い音とは
標準のΕC-1HのWBC化の事です。これはあるユーザーの方が行ってくれていました。
WBC化は、先ずパワーアンプの前段にその機能を有するラインアンプを置く事でスタートを
切りました。この成功で気を良くしてプリアンプでも行う気になり、最初に、常用のカスタム化
ΕC-1Hで、その追試を行い同様の結果を得る事が出来ました。
この時のラインナップは、前者が
1.カスタム化ΕC-1H +{WBC化ラインアンプ + パワーアンプ}
で、パワーアンプには、WRP-α6/BAL 改造アンプ(Ε-10H相当)とWRP-α1/BAL(Ε-30H相当)を
使いました。この例で成功された方は、ヤマハのNS-1000M所有のユーザーの方です。
後者のラインアナップは
2.カスタム化ΕC-1H(内部のラインアンプをWBC化)+ 各種パワーアンプ
でした。パワーアンプにはΕ-5H 相当アンプ、Ε-10H相当アンプ、WRP-ΔZERO/BAL(Ε-50H相当
アンプ)等を使いましたが、何れも問題はありませんでした。この例で成功された方はO.M.さん
初め、多数いらっしゃいます。
次に旧型プリアンプWBC-α1/FBALのユーザーの方のラインアンプでWBC化が行われ、又我が
WBC-α1/FBALでも追試的な実験を行い、何れも成功裏に終わりました。この時のラインナップは
3.旧型のフルバランス型プリアンプ(内部のラインアンプ2枚共WBC化)+ バランス型
パワーアンプ(WRP-α1/BAL やWRP-ΔZERO/BAL)
です。この例で成功された方はパイオニアS-3EX/T を所有されているユーザーの方です。これと
ほぼ同時に行われたのが、次のようなラインナップ
4.標準のΕC-1H(内部のラインアンプをWBC化)+ Ε-10H
で、25cmのウーハーを密閉箱に入れてお使いのユーザーの方でした。以上の中に出てくるライン
アンプは例外なく2段差動化されたものです。従いまして、特性的には1段差動でも可能ですが
音質を重視するなら2段差動をお勧めします。
話が長くなりましたが、この時に今回と似たケースのWBC化の音を聴いていた訳です。この
場合、何が本質的に違うかと言えば、電源部が安定化電源か非安定化電源かの違いです。これは
WRP-α9 の場合にも言える事です。
最近、Ε-5H を先にご購入になった方が半年の内にWRP-α9 をお買い上げ頂き、昨日完成して
出荷させて頂きましたが、これにはオプションは付いていませんでした。試聴の時に、このまま
聴いて、良し悪しが直ぐに判断できるかどうか少々心配になりました。もう耳がWBC化の音に
慣れていますので、昔のバランスでの音を聴いたら当然不利に聴こえてしまうからです。
そこで一石二鳥とばかりに、WBC化されたラインアンプ基板を入れて試聴する事にしました。
オプション基板の場所は何時もの事で確保してレイアウトしますので、基板の取り付けは面倒で
はありませんが、ラインアンプ基板の入出力配線を行って、また元に戻す必要があります。この
手間くらい仕方ありません。使用したラインアンプはカスタム化ΕC-1Hから抜き去りましたので、
2段差動化されています。この場合のラインナップは
5.ラインアンプ付きWRP-α9 (ラインアンプをWBC化)+ パワーアンプ
となります。
さてカスタム化ΕC-1Hを使って何時も聴いている音とどう違うかです。同レベルに聴こえたら
それは下克上ですからあり得ません。同レように良かったと言えば聞こえは良いですが、ウソを
言っている事は明白になります。ですから、なるべく正直に感想を書こうと思います。
先ず、サンサーンスの3番で感じた事は、オルガンの低音がほんの少し安定感が損なわれる気
がしました。やはり極低音が持続する時には電源がモノを言うのかも知れません。安定化電源は
直流域まで電源インピーダンスが低く保てますので、その違いが出たように思います。と言って
もこのディスクを買った当時は、これは再生不可だ!と思って最近までお蔵入りしていたのです
から、別に驚く事ではありません。
もう一つ気になった事は音楽のハイライトではない部分、つまり何と言う事もなく流れる小節
のところが少し詰まらなく聴こえる事です。いい音の部分と少し曇って聴こえる部分が斑に存在
する事です。こう言うところにも電源インピーダンスが関与しているのでしょうか。或いはVRと
L-Pad の差が出ているのかも知れません。今後の研究で明らかにしたいものです。
実は、これらの事はWBC化とは本質的には関係ない話なのです。これらの問題が簡単に解決
できればオーディオは苦労はしないのです。WRアンプとしてこの問題が解決出来たのは、最近に
なってΕC-1Hがカスタム化されて以来です。それまではこれらの事は仕方のない事として諦めて
いたのだと思います。
一方、これ以外の音楽が映える部分では、それこそカスタム化ΕC-1Hと同等の輝きとか冴えが
有ったと言っても良いくらいです。常に映える音が続く音楽のジャンルならば、有意の差が殆ど
出ないと言っても過言ではないでしょう。音に冴えが出ると言う表現を私はこれまで何回となく
使って来ましたが、何故音が冴えて聴こえるのかその理由を考えて見ました。
中高域~高域の出方自体は変わっていないはずですが、中低域~低域が充実して聴こえて来ま
すと、仮に同じ中高域の音だとしても刺激感が減って聴こえるのです。同じ音でも刺激感があり
ますと決して冴えた音には聴こえず、煩いと言う感じが付き纏うはずです。この辺りにWBCの
魔法が秘められているのではないかと私は考えています。1KHz~100Hに掛けて+1dB、ジワジワと
上がる事で中低域の厚みが増し、20Hzに向けて+6dB上がる事でスピーカーの慢性的な低域不足を
上手くカバーしているのです。
よく録音をする息子に聞いたところ、100Hz で+0.5dB程度上げても広い周波数に渡って積分で
効くので、結構な効果があると言ってました。+1dBならば相当の効果が出るそうです。中高域が
張っているソースを、バランス良く聴かせるのによく使う手法だと言う事でした。
その意味でWBCはWRP-α9 に於いても、十分効果があると思います。特に小型スピーカーを
お使いの方には福音になると思います。一昨日、WRP-α9 (オプション基板付き)をお持ちの方
のWBC化が済んで納入致しましたので、そのユーザーの方からのご報告も届くのではないかと
思いますが、頂いたご感想の一部を先取りしてご紹介させて頂こうと思います。
●確かに、WBC の効果は実際にやってみないと分かりませんね。
●絶妙な匙加減で補完された低音は、ただ闇雲に増幅されたそれよりも臨場感や迫力において
●遥かに勝るのを実感しました
(ただ増幅された低音は、やはりどこか嘘くさく感じてしまうからでしょうか)
●私のような小型スピーカー使いには本当に有益(そして必要?)な機能です。
●また、明らかにカタログスペックを越えているような低音がスピーカーから出る様は、
●驚愕であり痛快でもあります。
皆さんもWBC化、如何ですか?
1704川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sun Sep 18 20:00:00 JST 2016
我が旧型プリWRC-α1/FBALにもWBCを施しました。---高度なプリアンプのお話
実はユーザーの方のWRC-α1/FBALの音を聴いてちょっとホッとしたのです。正直に話しますと
WRC-α1/FBALとカスタム化する前のΕC-1Hの音質レベルは、前者が端正で、後者は中低域が少々
タップリしていると言う印象を感じつつも、レベルはほぼ互角だと思っていました。理由は定か
ではありませんが、このタップリ感が有った事がΕC-1Hに取っては有利な条件になっていたはず
です。
しかしΕC-1Hがカスタム化されて相当のレベルアップが図られましたので、旧型プリは完全に
置いてけぼりを食ったのではないかと、内心危惧していたのでした。本当はきちんと確認すべき
だったのですが、マイナス方向の確認行動はそのモチベーションが上がらずずっと不問に付して
いたのです。
唯、どう言うレベルであってもWBCは有効に働くはずだと言う信念はありました。それ故に
WBCを広くユーザーの方に呼び掛けたのです。本来は自らがWRC-α1/FBALにWBCを適用して
結果を得て置くべきだったのですが、ΕC-1Hをお持ちのユーザーの方からWBC化のお申し込み
が続いた為、それを良い事に後回しにしていました。
結果として、ユーザーの方のWRC-α1/FBALが先にWBC化される事になったのでした。しかし
WBC化されたWRC-α1/FBALの音質確認を進めるに従って、多少の方向性は違うものの、レベル
自体はそう違わないと言う事が分かってきました。WBC化も一段落したところで、これは自ら
もう一度きちんと検証すべきだと考えたのです。
話が少し反れますが、以前にWBC化には大切な役割を担うフィルムコンデンサーが存在する
と申し上げ、丁度お盆の時期に重なってお目当てのものが入手不可であった事、それでもERO の
ポリプロを注文した事、そして、やはり一般的なポリエステルは使い物にならなかった事などを
書き記しました。
最近になってその時に入手した20数個のERO が底をつきそうになり、慌てて同じモノを探した
のですが、小売をしているところが見つからずに一度に600 個も注文しないと買えない事が分か
ったのです。慌てて改めて使えそうなものを探し、候補が3つばかり見つかりました。試し買い
をして、これまで使用してきたオリジナルのERO と置き換えて使えるかどうかを確認したのです。
それらは
1.前回のERO の耐圧違い品 → 今後も入手可だが高価
2.旧ERO のポリカーボ品 → 多分在庫のみ
3.RIFA系のポリプロ品 → 現役品
ですが、全てリード線ピッチは同寸法で、外形は小型な為、オリジナル品と置換可能です。早速、
ΕC-1Hなどのラインアンプの帰還回路内のフィルムコンデンサーを一つずつ取り替えて、累計で
3つの基板で試聴を繰り返し、下記のような印象を持ちました。
先ず、1はやや大人しい感じはあるものの、問題は全くないと判断しました。2はやはり少し
大人し目ですが低音の出方と上手くバランスするように感じ好感が持てました。3は残念ながら
落第でした。音場が崩れてしまいますし低音がだらしないのです。やはり何でも良いと言う訳に
は行きません。
音場が崩れるとはストバイがffで引き攣ってスピーカーの左側に食み出てしまうのです。電源
ケーブルにSHINAGAWA ではない不向きなもの(十中八九そうですが・・)を使ったような音です。
原因は全く違っていても、結果としての音質劣化は同じところに行き着くのかも知れないと思い
ました。結局、両者共本質的には高周波領域の話が絡んでいるのだと思います。
2は旧ERO なので在庫が何個あるのか分からないものの、暫くはこれをメインに使って行こう
と思っていますが、改めて、フィルムコンデンサーのチョイスの失敗が音を台無しにする怖さを
知りました。外国の著名な会社のものでもダメなものは駄目なのです。これは製造技術上の問題
なのですが、何がその本質を握っているのか知りたいところです。静特性にはまず現れて来ない
のではないかと思っています。
話を元に戻して、コンデンサーの供給に一定の目処が立ちましたので、我がプリWRC-α1/FBAL
内のラインアンプ2枚のWBC化を行いました。完成後最近テストに常用しているサンサーンス
の3番やグルダの「悲愴」、ピノックのバッハ/チェンバロ協奏曲1番やエンシェントの作品3、
その他パーシーフェースやスタンリーブラック等々を片っ端から聴きました。基本的には端正で
控えめな感じはしますが、これはこれで素晴らしいと思いました。
WBC化されたカスタム化ΕC-1Hと確かに音の傾向は違うのかも知れませんが、やはりレベル
が下であるとは到底言えない音です。本当に耳の良い人ならブラインドでも聴き分けられるかも
知れませんが、それは例外的に聴感の優れた人だと思います。私を含めて普通のオーディオ通の
人ではブラインドでの判別は無理だと思います。それだけ肉薄しています。
ずっと聴いていて、何処が違うのかおぼろげに見えて来た事はWRC-α1/FBALの方は瞬間瞬間の
音が特に優れているように感じるのに対して、カスタム化ΕC-1Hの方はトータルで聴くと満足感
があると言う気がするのです。要するに、WBC化されたWRC-α1/FBALは微分型であるの対して
WBC化されたΕC-1Hは積分型としてその特長を有しているのではないかと思いました。理由は
WRC-α1/FBALはシンプルな構造の特長が、ΕC-1Hはパワーアンプで送り出しを行うと言う構造の
特長が、それぞれ反映されているからではないかと思います。
私の危惧はこれで完全に払拭されたと思います。多分WBC化以前にカスタム化ΕC-1Hと聴き
比べていたら相当聴き劣りがしただろうと思います。そう考えるのが常識でしょう。WBC化は
その溝を見事に埋めてくれたのではないかと思います。そう言う効果が、WBCにはあるのです。
これは、音楽を聴いていい音だと満足感を得る為には、低音と高音のバランスが如何に大事かと
言う事を物語っています。仮に中高音~高音に掛けてもの凄くいい音であっても中低音~低音が
貧弱では、余程の変わり者でない限り、全体から受ける音に惚れこむ事はまずあり得ないと言う
事です。
WRC-α1/FBALが覚醒できたのは、設計時の時点で考えられる全ての技術を金に糸目をつけずに
投入しましたので、経済条件を考慮して設計したΕC-1Hに比べてその基本特性で優位性があった
事が全てだと思います。ΕC-1Hは経済的な妥協点を、送り出しアンプにパワーアンプを使う事で
切り抜けたとも言えるでしょう。カスタム化で、ΕC-1Hのその弱点はほぼ吸収出来たのではない
かと思います。その最たる施術は電源を安定化電源化した事でしょう。
WRC-α1/FBALは生まれながらに有する特長を、WBCによってもう一度発揮する機会を得たと
言えると思います。WBCは本当に不思議な魔力をもっていて、中低音~低音の充実のみならず、
静特性的には一見無関係に思われる中高音~高音に掛けても冴えた音がします。音が輝いて聴こ
えてくるのです。その秘密はWBC内の帰還素子にあるように思えますが、今後のさらなる究明
が必要な気もしています。
改めて申し上げますが、WBCは本当に単純な低音ブーストではないのです。だから低音不足
を特に感じていなくても、余程低音がダブついている場合を除いてはWBCはおやりになった方
が得策のように思えてなりません。
1703川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Tue Sep 13 10:15:00 JST 2016
WRの旧型プリ、パワーアンプでもWBCは有効です。
昔からのWRアンプユーザーの方で、入口(ヘッドアンプ)から出口(パワーアンプ)まで全て
をWRアンプで揃えられ、殆ど全てのアップグレードにお付き合い頂いた方から、中低域~低域を
もう少し豊かにしたいので、旧型プリのラインアンプにWBCを施したいと言うお申し出を頂き
ました。
その方のご都合でアンプの送付までに少し間がありましたので、WRパワーアンプ WRP-α1/BAL
の中にWBC用のラインアンプが増設可能かどうかの実験をする気になりました。入力VRの直前
に入れれば、3入力(RCAx2、XLRx1)の何れの位置でもWBCが有効になります。即ちバランス
伝送でもWBCの恩恵を受ける事が可能になります。勿論、上述のユーザーの方のようにプリで
WBCを行う事もできます。
問題はWRP-α1/BAL の中にラインアンプを入れるスペースがあるかどうかです。シャーシの下
は既に、整流基板+プロテクション基板、リレー基板、バランス変換基板、電解コンデンサー等
で埋まっていてスペースは有りません。入れるとしたらシャーシの上側です。よく見ると放熱器
とボンネットの間に、前部のみ4cm 程度の隙間があります。此処にラインアンプを立てて入れる
事はできそうです。
早速プリ用のWBC用基板をパワーアンプ用に転用して、僅かなスペースに立てて見たところ
何とか配線も含めて取り付けが可能である事が分かりましたので、そのまま実行に移す事にしま
した。即ち、入力切替SWからの信号線をWBC用ラインアンプを経由してVRに接続すれば良い訳
です。この作業は簡単ではないにしても、そう難しくもありません。アースラインに問題が生じ
ないように注意して行えばハムの問題も起きないはずです。
完成して最初にチェックする事は残留ハムノイズが増加しないかどうかです。WBCの機能を
有するようにするには、1KHzに於ける出来上がりゲインを1倍にする事は原理的に無理ですから、
出来上がりゲインを8dB 程度は見込む必要があります。即ち、それだけ残留ハムノイズは増える
可能性がありますが、それを大きく越えている場合は何処かに問題がある事になります。ただし、
8dB もアンプのゲインが増しては使い勝ってが変わって使い辛いので、そこは上手く辻褄を合わ
せています。
ハムノイズの問題が無ければヒアリングです。パワーアンプの前ににWBC用のラインアンプ
を置く方法は、既に、WRP-α6/BAL(Ε-10H相当アンプに改造)のバランス変換部分を取り除いて
実施済みですので、当然ながら音質については特に問題はありませんでした。唯、今回の意義は
これまでの旧型パワーアンプの使い勝ってを変えずに、3入力共にWBCが適用できることです。
どうしてもプリではやれない、やりたくない場合に有効です。
そうこうしている内に上記のユーザーの方から、WRC-α1/FBALが届きました。ラインアンプは
ホットとコールドの2枚ありますから、2枚を同様に仕上げる必要があります。途中でバランス
増幅にアップグレードされていて、その後に2段差動化も行われていますので、基板自体は新旧
の違いがあるものの、パターン自体は同じですし、使用部品も同じように揃えられていました。
さて完成したら試聴です。久し振りに我が家のバランス入力型パワーアンプWRP-ΔZERO/BALを
引っ張り出して来ました。勿論、バランスケーブルを使ってプリとパワーアンプの間を接続しま
した。ご当人に申し上げるのを失念していましたが、プリのラインアンプの場合も8dB 程ゲイン
増加が見込まれます。旧型プリのゲインは元々6dB が標準のゲインですので、2dB 程度の微調が
必要になりますが、旧型プリはどちらかと言えばゲインが不足気味ですので、調整は行いません
でした。ΕC-1Hの場合も標準のゲインは6dB ですが、総合ゲインがかなり有りますので、敢えて
調整しています。
久し振りに旧型プリの音を聴きましたが、昔の印象である「端正」と言う感じは変わっていま
せんでした。しかし、何時も聴いているカスタム化されたΕC-1Hの音とは明確に違う事は分かり
ました。唯、旧型プリが質的に劣っているとは一概に言えません。整流回路には特に力を入れて
ありますし、安定化電源も採用されていて、電源電圧も±18V にアップされています。バランス
増幅部は勿論2段差動化されていますので悪かろうはずもないのです。強いて言えばカスタム化
されたΕC-1Hの方がオーディオ的に面白く聴けると言う事でしょうか。そう言う意味では、旧型
プリは少しあっさりした感じに聴こえるような気がしました。だからこそかバロック音楽は低域
のバランスが良くなり通奏低音が明瞭に聴こえ、本当に綺麗に美しく聴こえます。WBCの適用
で旧型プリのパフォーマンスも明らかに上がった印象です。
昨日、ご当人様から以下のような第1報が入りましたので、早速ご紹介させて頂きます。この
方はパイオニアのスピーカー S-3EX/Tをお使いのようで、このウーハーは16cmx2だそうです。
●結線して最初の音出しで違いは分かりました。
●今までほとんど聴こえてなかったコントラバスが音階も明確に聴き取れます。
●そして、トーンコントロールのようなブーミーではなく自然に伸びている感じです。
●不思議なことに全体に弦の音が柔らかく聴こえます。
●大げさに言えば、今までやや金属的な高音だったのが、しなやかになりました。
●といっても、これは前の音を知っているから比較できるのであって、
●改修後の音だけ聴いたら、「なんて良い音なんだろう!」としか思わないでしょう。
●それだけ自然な、変化と気づかない変化です。
●ヘッドアンプを導入してから一度もレポートしていませんでしたが、
●気になっていた低音のブーミーが無くなったのはいいのですが、
●アナログの特徴(と思っていた)ふんわり感が消えてCDと同じ音になってしまいました。
●どんな曲でもシャープに聴こえるので「レコードでなくても良いかな?」と思っていたところ、
●今回の改修で、上に挙げた高音の柔らかさが戻りました。
●これで、オーディオシステムは一応完成したかなと思います。
と言うレポートを頂きました。一点だけコメントを致しますと、LPは基本的にハイレゾですから、
LPの方が有利である事には違いありませんが、本当にオーディオシステムが良くなるとLPとCDの
再生音は区別が付き難くなるのではないか、それが正しい姿ではないかと私は思っております。
さて、これまでには無い16cmx2と言うトールボーイ型スピーカーでもWBCは有効に適合した
事になります。適合したスピーカーシステムは未だ他にもあります。
これは標準のΕC-1H+Ε-10Hを使って25cmウーハー(密閉箱)のスピーカーシステムを鳴らして
いるものの、低域の不足を常にお感じになっていた方が、ΕC-1HのラインアンプにWBC機能を
持たせた場合の第1報です。ただしこの方は同時に2段差動化も併せて行っています。この部分
だけカスタム化を先取りされた格好です。カスタム化は全てを同時に行って頂くのが原則ですが、
WBCに伴う2段差動化は例外とさせて頂きます。
■先ほどEC-1H が無事に到着し、音出しの確認も完了致しました。
■まだ小音量で15分程度しか聴けていませんが鳴り方が大きく変わっている事は判別できました。
■上から下まで出るようになったという感じで確かに元々の「低音ブースト」という呼び方だと
■誤解されてしまいそうですね。
と言う内容です。「上から下まで出るようになった」と言う事は全体のバランスが上手く取れた
と言う事だと思います。低音がダブつかないで下の方に綺麗に伸びたからこそ「低音ブースト」
と言う呼称は、確かに適切ではないとも仰って居られます。B&W 流に言えば、アライメントです
から結果的に低域が持ち上がる訳ではなく、だからブーストではないのです。カスタム化されて
いないΕC-1Hでも成功例が出ましたので、WRP-α9 をお使いの方で低音不足をお感じなっている
のであれば、WBCを是非お試し下さい。
これで、10cm、16cm、16cmx2、20cm、25cm、30cmの口径のウーハーをもつスピーカーシステム
で、例外なくWBC回路は全て上手くアダプトできた事になります。しかもこれらのスピーカー
システムはメーカーもエンクロージャーも全く異なっています。これだけのデータが揃いますと、
偶々上手く行ったと見るよりWBCには一般性、もしくは普遍性があると見た方が正しいのでは
ないかと思います。
世の中の事象には必ず例外はあるとは思いますが、かなりの確立でWBCは機能すると考えて
良いと思います。中低域~低域がブーミーにはならずに豊かになりますと、これまでの再生音の
グレードが俄然上がります。音楽が躍動して聴こえるようになります。これを避けてWRアンプを
お使いになっているのは、本当に勿体無いと思います。O.M.さんも仰っていますが、持っている
ソースを見違えてしまうくらいの変化が起きます。
今後もWBCに参加する方が徐々に増えて行くと思います。機会を見てご紹介して行きますが
WBCはWRアンプ所有者の謂わば特権です。是非、行使なさる事をお勧めする次第です。
1702川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Thu Sep 8 11:20:00 JST 2016
日フィル9月定期を聴く
9月の指揮は、例年通りに正指揮者の山田和樹です。最近、スイスロマンド管、モンテカルロ
フィル等の首席客演指揮者を務めるなど人気上昇中です。今月の出しものは全て20世紀になって
から作曲された3曲で、どれも余りポピュラーではない玄人好みの曲ばかりでした。つまり私の
知っているメロディーは一切出て来ないものばかりで、多少辛いものがありました。これが定期
演奏会と言うものなのでしょう。
9月は毎回、開演前に指揮者自身の解説が行われます。1曲目は柴田南雄のコンソート・オブ
・オーケストラで、3曲の中で一番前衛的でした。何でも11月に柴田南雄生誕 100年を記念して
オール柴田プロで固めた演奏会を行うそうで、その地均しを兼ねてプログラムに加えたそうです。
2曲目はR.シュトラウスの4つの最後の歌でした。歌の音域が広いので、この独唱を担う歌手
の人選で悩んでいた時に、マーラーチクルスで出会ったメゾソプラノの清水華澄を登用する事に
なった経緯を話されていました。3曲目はエルガーの交響曲第1番で、解説の中で印象に残った
事と言えば、第2楽章のスケルツォに出てくるテーマとリズムがあのスターウォーズとそっくり
で、多分、この曲がヒントになったのではないかと述べて居られました。これをを演奏する時は
何時も黒い仮面を被った像を思い浮かべるとも仰っていました。
日本人作曲家の曲にも色々あって、外山雄三の管弦楽のためのラプソディのような聴きやすい
ものや、武満 徹のような殆ど抵抗なく聴けるものがある一方で、このようなかなり前衛的な曲
が有って、これが日本人の発想なのかとちょっと意外な感じを受けました。柴田南雄はNHK など
で音楽解説者としても活躍されていて、その穏やかな話し方などからは全く想像もつかない音楽
でした。それでも「未知の語り口を開拓する冒険は避け、これまでにほぼ定着していると思われ
る奏法、語法の枠内で私の音楽を書きました」と語っていますが、グリッサンド、指で叩くなど
様々な特殊奏法を駆使した音楽は、私には殆ど理解不能なものでした。宇宙旅行でも可能になる
時代には、一般的に受け入れられる音楽になるのだろうか、そんな事を考えていました。
R.シュトラウスの4つの最後の歌は、勿論曲の存在は知っていましたが強いて聴きたいとは
思っていませんでした。シュトラウスの晩年の傑作でもあり、渋いながらそれなりに楽しめた気
はしています。時代が近いせいかワーグナーの雰囲気に近いものを感じました。それは独唱者の
歌唱法にも有ったと思います。清水華澄はイタリアで研鑽を積んでますがイタリアオペラと言う
よりはブリュンヒルデを思い出した程です。体格に恵まれ、日本人離れした声質は立派ではある
のですが、まだまだ若さが前面に出てffの歌い方が飽和気味になって聴こえてしまいます。その
瞬間、声の定位は完全に崩れて大きく拡散し、音楽が途切れてしまうのです。唯、声を張り上げ
れば良いと言うものではありません。声量は十分過ぎるのでもっとセーブして美しい声質を保ち
続けるべきでしょう。そこら辺は指揮者が注意すべきではなかったのかと思いました。
15分の休憩後はエルガーです。ところで演奏された曲の事ばかりを書いて来ましたが、折りし
もWBC(低音ブースト)が進行中でしたので、弥が上にも、低音域の音を何時もより意識して
聴いていました。幸い3曲とも編成が大きく、それだけ打楽器を含めた低音楽器が活躍する場面
が多かったと思います。優秀なホールでのオーケストラの音を改めて聴いて見ますと、低音域の
音が再生音に比べるとやはりタップリしています。今までそれは当たり前の事として聴き流して
いた、或いは敢えて無視していたように思います。
つまり、生音と我が家の再生音との低音域に於けるギャップは、どうせ埋まらないものと諦め
が先に立っていたのだと思います。優秀なホールならば低音域が抜ける落ちる事はなく、多かれ
少なかれスピーカーに依って低音域が失われる再生音とは、本質的に事情が違う事がよく分かり
ました。可能ならば再生音に於いては低音域を「補い、償う」必要があると確信しました。即ち、
適当な「Bass-Compensator」がオーディオシステムには必要なのです。
エルガーの交響曲第1番も実は初耳です。そもそも、エルガーを余り聴かないので当たり前で
しょう。だから定期に通う価値があるのかも知れません。そうでもなければ一生聴かないで終わ
る曲が増える事になります。この曲の初っ端を聴くなり、何処と無く威風堂々のような雰囲気を
感じました。しかしそれは極僅かな時間で、その後は内容の濃いものを感じました。ブラームス
もそうでしたが、第1番にはそれなりの神経とエネルギーを注ぎ込むようです。特に、この第1
楽章は長大で入念に作られていると感じました。
しかし、初めて聴いただけでは内容のある感想をとても書けない程、曲は複雑に作られていて
音数も多く、マーラー、ブルックナーを越えて交響曲を書く事は、やはり至難の業なのだと理解
しました。例の第2楽章のところに差し掛かりました。確かに酷似しています。言われなくても
多分、気付く位の曲想です。その時、ホルストの惑星を思い浮かべました。イギリス人には宇宙
に対する直感力があるのかも知れない、なんて詰まらない事を考えていました。
第3楽章は少々長い緩徐楽章です。確かに癒しの効果はあるのですが、正直少し長いと感じて
しまいました。元々この曲の演奏時間はは50分となっていましたし、大体スケルツォ楽章は短め
に出来ているので、その分、他の楽章は長めになります。長めに感じるのは実際に長いかどうか
より、飽きがくるかどうかでしょう。同じ第3楽章の緩徐楽章でも、ブルックナーの8番は30分
近くありますが、私は飽きが来る事はありません。やはり帰するところはメロディーの美しさに
あるのだと思います。
最終楽章は比較的早いテンポのリズミックな印象でした。この曲は弦パート、金管、木管等々
の何れも均等に使われているような感じを受けました。つまり逆に言えば、突出した活躍はなく
常に平均的に楽器が鳴っている感じです。だから張りのあるバイオリンパートの音も余り楽しめ
なかったし、かと言って金管が凄かったでも木管が綺麗だったでもなかったのです。エルガーの
特徴なのかも知れません。コーダは盛り上がりを見せて気持ち良く終わったのですが、指揮者も
順に全てのパートを立たせて労ったように、何処かのセクションが飛び抜けて活躍するような事
は無かったのです。何時も全ての楽器が鳴っていたかのうようでした。そうそう思い出しました
が、この曲のスコアは端から端まで音符がギッシリ書き込んであるとプレトークで指揮者自身が
説明されていました。こう言う夜の帰り道は鼻歌が出ないのでした。
しかしある意味難曲であるこの曲を、かなり高いレベルで演奏し切ったのは、やはり日フィル
のレベルが上がった証拠だと思いました。この曲の我が国の初演も日フィルだったそうです。
1701川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sat Sep 3 17:45:00 JST 2016
O.Mさん、低音ブーストとその追試及びご感想を頂きありがとうございます。
今回のO.M.さんのご感想内容は少し買い被りのような気もしますが、しかしそれだけO.M.さん
に取って中低音域~低音域の充実は欠かせないものと理解しております。それはこの帯域は音楽
の根幹をなすからだと思います。特にコントラバス奏者としては尚更の事でしょう。中低音域と
申し上げたのは、1KHzから100Hz に向かってジワジワ1dB 上がって行く特性は、目には見えない
中低音域の充実に繋がっているはずだからです。低音だけをブーストしている訳ではないのです。
誰だって質の良い中低音~低音ならタップリ聴こえて欲しいと思うはずです。しかし、この質
の良い中低音~低音を得る事自体一般に難しいのですが、今回の低音ブースト法がWR独特の負性
抵抗を排除した帰還回路を用いているから可能になったのだと思います。ですから静特性の上昇
分だけ中低音~低音の音圧が上がるだけですから、これが0dB のレベルを大きく越えない限りは、
ダブつきは生じないと考えて良いと思います。事実、今回のO.M.さんのご報告の中でも「耳障り
な余計な音は皆無です」と述べられて居られます。私も種々のテストCDを聴いて、低音ブースト
が原因と思われる余計な音を感じた事は一切ありません。
O.M.さんは、コントラバスの開放弦の周波数を明示して説明されていますが、100Hz では+1dB、
50Hzでは+2.6dB、30Hzでは+4.8dBの上昇が期待できますので、第3弦と第4弦の開放弦の音の芯
が聴こえるようになったのだと思います。コントラバスは、クラシックは勿論の事、吹奏楽でも、
ジャズでも使われますので、非常に幅広い音楽をカバーしている事になり、それだけ多くの方の
音楽趣味に共通する低音楽器だと言えるので、このブースト法が十二分に効力を発揮する所以だ
と思います。
O.M.さんから私も初めてお聞きしたのですが、これと似たイコライザーと証するフィルターを
B&W 社が開発・発売していたと言う事実があります。しかし実際には流行るところまで行かずに
途中で発売中止になったようで、今回の成功から見えて来る事は、考え方より低音ブースト法の
中味が問題であると言う事だと思います。オーディオのベテランなら低域を少し電気的に上げる
と言う発想は、そう突飛な事ではありません。誰でも考える事ではないでしょうか。大切なのは
如何に安定に動作する回路を作り上げるかでしょう。全帯域を増幅するアンプは誤魔化しやすい
ものですが、低音のみを安定に上げることは結構難しいのです。ダメな部分が強調されてしまう
からです。聞きかじりの知識で同様なものを作っても実用にはならないと思います。
ところでB&W の技術を担当した方はMATRIXを作り上げていますが、その後の、Nautilusからは
別の技術者になっています。Nautilus805 は在職中に研究費で購入して研究室で音出ししていま
したが、ウーハーとツイターのショートバーにOFC 系線材を使っている等、ちょっと疑問を持つ
事があり、音もMATRIXとは違うと感じていました。O.M.さんに依ると「オリジナルノーチラスが
発売された時にこのイコライザは復活したようです」との事ですから、ベースアライメント技術
は一応継承されたようですが、「専用のアナログチャンネルデバイダに内蔵されたイコライザで
低域を+6dB/octで持ち上げています」と言われる物も、結局流行る事は無かったのです。負帰還
回路を用いた低音増強フィルターの実現は、音が不自然になり易くやはり難しいのです。
前稿でも書きましたが、生の楽器の低音ですら、音響設計の余り良くないホールで聴けばダブ
ついて聴こえるのですから、部屋の影響を確実に受ける再生音で切れの良い低音を得る事は更に
難しいのです。前稿で話が出ました、そもそもの発端になりましたYAMAHAのNS-1000Mをお使いの
ユーザーの方からは
★ジャズは問題なく綺麗な低音がブーストされています。
★今後は、いろんな音源を今まで以上に楽しめるようになると思います。
★1000Mの弱点が解消されたように思っています。
と言うレポートを頂いています。この効力は16cm以下ではなくても、少なくても30cmのウーハー
でも大いに有ったと言う事になります。フィルターの特性は一律ですから、今のところ私の予想
通りに、中低域~低域が不足気味に聴こえる全てのスピーカーシステムに通用しています。その
お一人に20cmウーハーのブックシェルフをお持ちのユーザーの方がいらっしゃいますが、この方
からも、下記のような直近のレポートを頂戴しました。
■約1時間30分くらい聴いた感想ですが、凄いです。
■カスタム化アップグレードで中高音がよく出るようになっていたのですが
■反面、低音部が弱く聴こえるようになっていました(バランスの問題ですが)
■それが、今回の低音ブーストで一転、低、中、高音がすべて出揃って
■自然に、そして安定的になりました。
■低音はどこまでも深く鳴っているのに、全く重苦しい印象はありません。
■今まで聴こえてこなかった低音が余裕で聴こえますよ。
■軽く聴いたくらいなので、このくらいの感想で申し訳ないのですが
■素晴らしいアンプになりました。有難うございました。
と言う内容です。O.M.さんからもメールで「これは効果絶大ですね」と言う第一声を頂きました
が、この方からも「凄いです」と言う似たような感想を頂きました。どちも感嘆するような肉声
です。その位の効果が生まれると言う事なのです。これで20cmウーハーのスピーカーシステムに
も大きな効果があったと言う事になり、10cm、16cm、20cm、30cmのデータが一応揃った事になり
ます。これらのブースト特性は皆同じですが、4つの全く違ったスピーカーシステムに何ら問題
なく適合出来た事になります。
これは決して偶然の賜物ではなく、このブースト法に一般性がある事を示しています。つまり
余程変わったシステムを除いては、どんなスピーカーシステムにも適用できると言う事を示して
います。自分のスピーカーに合うかどうかを心配する必要はないと言う事です。仮に少し違った
スピーカーシステムでも、中低音~低音域の不足を感じていらしゃるならば、試して見る価値は
十二分にあると思います。成功した時の果実が余りに大きいので冒険なさる事をお勧めします。
本当は一番低音の補償を必要とするはずの10cmのスピーカーについて、最後に少しだけ触れて
置きたいと思います。既にこの事はO.M.さんに依って語れていますが、我が家で総合的テストが
可能な他のスピーカーシステムはQUAD LITE しか有りませんでした。このスピーカーは出張録音
の時にモニター用に使うもので、軽量且つ壊れ難い事を条件に購入したものです。価格とサイズ
からして仕方のない事ですが、B&W805MATRIXの音質とは比肩すべくもないスピーカーです。
前文で「低音の補償」と書きましたが、これはB&W の「ベースアライメント」に対応する言葉
として使いました。英語で言えば「WR Bass Compensator 」で略称は「WBC 」になります。今後、
「低音ブースト」よりこの呼称の方が実体に近いので、WBCと呼ぶことにします。「ブースト」
と言う概念は、低音だけが強調されると言う誤解を生む原因にもなるので、これからはなるべく
使わないようにしたいと思っています。
最初10cmスピーカーなので能率が低いだろうと勝手に決め付け、何時もよりボリウムを上げて
聴いていましたが、音の大きい所で音が少し汚れるので変だと思って、仕様を見ると 805MATRIX
の能率と余り変わらない事が分かり同じボリウムの位置で聴く事にしました。設置は後面と内側
側面を805 の位置と合わせて置いてあります。
先ずは例に依ってグルダのピアノです。中高域の特性が805 より相対的に勝っているせいなの
か、右手がやや華やかに聴こえますが、左手の音も含めて殆ど不満を感じません。少しピアノに
近付いて聴いている感じです。これが容積にして約1/4 しか無いスピーカーの音かと思うくらい
のプレゼンスです。WBCを施さなければ、805 には全く太刀打ちできないはずですが、これは
ある意味革命的な変貌です。目を瞑って聴けばまさか10cmのスピーカーの音を想像する事はでき
ないでしょう。
次にアンセルメのサンサーンスの交響曲第3番第1楽章の後半を聴いてみました。O.M.さんも
「もちろん16cmよりは下は出ていないですけれども、だからといって「足りない」というような
音じゃありません」と仰っていますが、正にその通りです。オルガンも805 程はタップリ聴こえ
ませんが、十分にオルガンの最低音に近い低音が認識できます。下降音階の途中で消えてしまう
ような事は絶対にないのです。805 の音を聴いていなければ、これはこれで普通に聴けてしまう
でしょう。普通10cmのスピーカーでは、サンサーンスの3番1楽章後半のオルガンは再生不可と
言うのが通り相場です。WBCの効果は明らかにあります。
口径の小さいスピーカーは勿論のこと、口径が大きくても結局は相対的な問題ですので、大型
スピーカーでも低音が不足気味に聴こえる事はあり得ると思います。特に安定化電源が搭載され、
直流域まで定電圧駆動に近いWRのパワーアンプで聴けばそうなって当然かも知れません。これを
WBCで補えば、理想的な低音が得られ、結果的に低域、中域、高域が理想的に出揃う可能性が
出て来るのです。
方法は2つ有り上流のWRプリアンプ内のラインアンプでWBCを行うか、空きスペースのある
パワーアンプ内にWBC機能を有するラインアンプを増設するかです。既存のWRラインアンプに
WBCを施す場合は1万円、同時に2段差動化を行う場合は2万円、パワーアンプ内に2段差動
のWBC機能付きラインアンプを増設する場合は、基本的に3万円とさせて頂きます。
これは効果のはっきりしないオーディオアクセサリーより、ずっと合理的に中低音~低音域の
再生音を充実したものにします。しかも、これまでの中高域のいい感じを保持したままですから、
余計な心配は不要です。ですから、O.M.さんも仰っていますが信じられない効果を生む事になり、
結果的に、かなりHigh Cost Performance のアップグレードになると思います。この音を聴いて
もう何人も異論を唱えられないくらいのレベルにホップすること請け合いです。
此処に至ってO.M.さんも私の持論「とにかくアンプに尽きる」と言い切って居られます。また
「この低音ブーストされた音は、聞かないことには効果がどんなものかは全く想像できないので、
悩むだけ無駄でしょう」とも仰って、感想文を結んで居られます。要するにWBCは典型的存在
なので、他の類型的存在(例えばトンコン等)からは何も類推出来ないと言う事だと思います。
尚、今回の事例はO.M.さんを含めて、全てカスタム化されたΕC-1Hが絡んでいますが、それは
偶然であり必須条件ではありません。ラインアンプが入ったWRP-α9 や旧型プリでも十分効果が
あるはずです。必須条件は負性抵抗を排したWRのラインアンプを使用している、パワーアンプに
WRの最新の状態のもの(Ε-5H も可)を使っている、の2点です。中低音~低音域の充実をお望
みならどうぞお気軽にお申し出下さい。WBCの輪を広げて行きましょう。万が一改悪になった
場合は返金して回路を元に戻す用意がありますので、積極的にチャレンジして下さい。
詳細をお知りになりたい方は、メール、電話にて遠慮なくお問い合わせ下さい。
注)旧型のバランス入力パワーアンプをお持ちで現在RCA 入力しか使っていない方は、XLR 入力
をRCAピン-レセプタクルに変更する事に依りWBCが可能になります。この場合は変換基板が
再利用できる事が判明しましたので費用は1.5 万円、2段差動化を併せて行う場合は2万円で
お受けする事ができます。この場合はダイレクト入力とWBCをSW切替で選択可能になります。
1700O.M.さん(アマチュアコントラバス奏者)
Wed Aug 31 02:42:07 JST 2016
▪ 低音ブースト(ΕC-1Hのラインアンプ)を導入しました。
先生の技術で見違えるような音になった当方のシステムですが、B&W805MATRIXではクリアで
見通しが良いきちんとしたコントラバスの音がするものの、もうちょっとだけ極低音の芯が欲し
いと切望しておりました。しかしこれ以上の大型スピーカーになると当方にはデメリットの方が
気になるためなるべくこのブックシェルフでなんとかしたい、何か打つ手はないものかと思案
していたところに今回の低音ブーストの投稿でした。
当初投稿でこの低音ブーストの話を知ったとき、ぶよぶよとした低音を想像しまして、そんな低音
ならない方がましだろうと思いました。しかしB&W の創業者はMATRIXシリーズを販売したときに、
低域を持ち上げる専用のイコライザも同時に販売していたことを思い出しました。このイコライザの
情報は国内では見つからず、外国のマニアのサイトにある情報を見ると、なんと先生の行った低音の
持ち上げ方と酷似しています。かつてこの製品を知った時B&W のイコライザはグラフで見ると
ごくわずかの持ち上げ方だったので、どれくらい効果があるのか疑問を持っておりました。
しかし先生の投稿で低音ブーストは素晴らしい効果だとあり、すぐにお願いしました。
結果として、ぶよぶよした低音は一切ありません。あくまでも、出ていなかった音域が出るように
なった、というだけなのです。耳障りな余計な音は皆無です。コントラバス(ウッドベース)の
一番高い音の弦は開放で弾くと約100Hz です。今までは精々この弦がこのスピーカーでの限界で、
残りの弦の音は、とりあえず聞こえるという程度でした。きちんと聞こえているだけでもウエスト
リバーアンプはすごいと思っていましたが、今回のブーストで下3本の弦の存在感がぐっと出ました。
下から2番目に低い弦は開放で約50Hz。最低弦で約30Hz。こういう音域もよりはっきり聞こえるので、
ビル・エバンス・トリオでのスコット・ラファロが弦を横断して細かく弾くフレーズが
よりくっきりと聞こえます。『Explorations』の「エルザ」は全編でベースは高音を出した後に
4弦にずしんと落ちるフレーズを弾きますがこれがしっかりと響きます。
当方の感覚としては、このブーストで低音が1オクターブ拡張されたような感じです。
ドラムの音もアタックがはっきりし、ピアノの左手ももちろんよく響き、それによって演奏のリズム
感が今までと全く違って聞こえます。進行感があって音楽があっという間に終わってしまうのです。
MATRIX805 がまるで15インチウーハーかと思うような鳴り方です。大袈裟ではありません。しかも
小型2ウェイですので、フロアスピーカーのようにコントラバスが右下、バイオリンが左上という
ような定位のアンバランス感が全くありません。この定位の良さは素晴らしいです。
聞き辛く音質が悪いと思っていたレコードが、軒並み聞きやすくなりました。当たり前でしょう。
必要な低音が抜けていたのですから。録音が悪い、盤が悪い、そんなことは全くなかったのです。
オペラを聞けば、歌と伴奏のバランスが最高です。ヴォーカル、コントラバスのズシンと響く音、
ヴァイオリンの刻み、これらが同時に共存して鳴り響いているのです。オペラのレコードがこんなに
素晴らしいとは!実際にオペラの楽曲は声楽家のオケ伴奏として弾く機会がままあり、一緒の舞台で
弾きながらいい曲だ、素晴らしいなあと感動できるのですが、いかんせん自宅でその感動をレコード
から味わうことは出来ませんでした。それがたった16cmのブックシェルフで十二分に味わうことが
出来るようになりました。
ベーム指揮ウィーンフィルのモーツァルトのレクイエムが、美しい残響を伴って再現されます。
歌の背景にコントラバスの連続した細かい動きがしっかりと聞こえます。
実際にホールの客席で舞台を見ていて聞こえるようなコントラバスの聞こえ方です。
カウント・ベイシーを聞くとすごい音のエネルギー!全く、16cmのスピーカーの音ではありません。
眼前に、ウッドベース、ペット群の咆哮、ベイシーのピアノ、サックスのソロがしっかり定位して
います。低い音がしっかり下支えしているのでペットが全くうるさくありません。
サックスも吹き上がっていく感じがリアルです。
B&W の創業者がMATRIXシリーズで実現させた音はこれだったんだ!と納得しました。
ケブラーコーンによるブリリアントな中音を生かしつつ豊かな低音を両立させるために電気的に
低音を増幅するという開発者のアイデアが、ウエストリバーアンプの優秀な電源、回路によって
我が家で実現したのです。
この低音ブーストの技術が入ったことで、ウエストリバーアンプはあの気難しいと世間で言われて
きたB&W のスピーカーを手なずけて100%鳴らし切るアンプだと断言してもいいと思います。
B&Wの800シリーズは中高音がやかましくて低音が鳴らず使いにくいという一般的な評価は、至極
当然なことだったのです。イコライザで持ち上げてこそB&W のスピーカーの真価が発揮されます。
今まで何だったんだと拍子抜けするような、素晴らしい鳴り方に激変します。
この素晴らしい効果はB&W のスピーカーだけではありませんでした。もっと小さい小型スピーカー
も信じられないくらい鳴らしきってしまうのです。
▪ B&W の『ベースアライメントフィルタ』
B&W の専用イコライザは、『ベースアライメントフィルタ』という名称で低域を+6dB/oct持ち
上げるものでした。フロアスピーカーの801も802もブックシェルフの805 もこのイコライザを使う
ことが前提だったのです。
創業者が亡くなった後、この製品はすぐに廃番になったとのことです。研究室で結果は良くても、
市販化されたイコライザの電源や部品の質が恐らく低く、理想通りな音質が得られず評判が芳しく
なかったのでしょう。
その後ペアで500万(その後1,000万円に改定)のオリジナルノーチラスが発売された時に
このイコライザは復活したようです。
専用のアナログチャンネルデバイダに内蔵されたイコライザで低域を+6dB/octで持ち上げています。
PSE 法の関係で国内供給は停止になったようですが。
先生の今回の低音ブーストは、このB&W が実現できなかった方式を最も高音質で実現させたものだ
と言えましょう。
低音ブーストというよりも、やはりアライメントというような表現がぴったりな音です。
ないものを無理やり増やすのではなく、本来あるべきものをあるべき姿にするだけという感じです。
▪ 小型スピーカーで聴いてみました。
投稿をする前に、先生より『QUAD Lite でもそれなりの効果が出てとても805MATRIXの1/4の容積
とは思えないプレゼンスがあった』というメール、続いて『簡単に、追試を』と重ねてメールが
ありました。先生が「それなりの効果」などと仰るときは決まって「大変な効果」だったりする
のは今までの流れです。「これはただ事ではないな」と重い腰を上げて追試してみました。
当方が所有しているのはDENON USC-M3E という安いミニコンポのスピーカーです。10cm程度の
ウーハーで箱も貧相なものです。
ツィータもウーハーも素性の不明なもの、ユニットも箱も何も褒めるところがないような安物です。
オリジナルのネットワークは外して処分しており、ウーハーはスルーで、ソフトツィータは
ASC のコンデンサと抵抗で切ってあります。
数ヶ月前にWRアンプで聴いたときはそれなりに鳴っていてもやはりユニットの大きな805とは格段
の差を感じました。
繋いでびっくり、これがMATRIX805 並に鳴るのです!これにはぶったまげました。
無論、バスレフ臭さ、箱鳴りのような音、鳴り切らないといった音は皆無なのです。
10cmで箱もミニサイズなのにヴァイオリンもコントラバスも、ばっちり鳴らしきっています。
10cmだからといって、コントラバスが足りないという感じもしないのです。もちろん16cmよりは
下は出ていないですけれども、だからといって「足りない」というような音じゃありません。
まさかこんなにも効果があるとは!
しかも小型だからこそなのか、空間に音が広がる感じが16cmよりも断然に優れています。
しかもこれはウーハーがアンプ直結だからなのでしょうか、805MATRIX よりもピアノの厚い響き、
カルテットの弦らしさ、コントラバスの質感が良いのです。
ビル・エヴァンスのトリオもオペラもブラームスのヴァイオリン協奏曲も、存分に聞けてしまいます。
ハイティンクが指揮するコンセルトヘボウ管のコントラバスから湧き上がる分厚い弦の響きの上に、
クレバースのヴァイオリンが805 と同様に力強く響きます。これには本当に驚きです。
小型スピーカーは低音が出ないというのは、全くの嘘だったのです。
今回の先生の低音ブーストで証明されました。
ここで805 は内臓のネットワークのままであり、このDENON と音質が違います。
DENON のスピーカーと同じ状態にするとどうなるのか試してみることにしました。
805 を開腹し内臓ネットワークを外しDENON のスピーカーと同じく高域にASC、
低域をスルーにしました。
▪ B&W 805 MATRIXのネットワークを使わずに聴く。
驚くことに、DENONと805を、ウーハーをスルーにしてツイーターだけをコンデンサで切るという
同一の状態にして低音ブーストされたWRアンプで聴くと全くと言っていいほどの同質な音、音楽
ではありませんか。
もちろん全く同一の製品ではないので細かい違いは幾らでも挙げられますが、本質的に同じ
聞こえ方なのです。
これだけで結論は出せるものではありませんが、現代的なスピーカーユニットであれば、
ユニットや箱は極論すると重要ではないのかと思われました。とにかくアンプに尽きる。
どんなにスピーカーが小さくてそれなりなものだと思っても、現代の技術で作られ通常の
品質を持ったものであれば、低音ブーストされたウエストリバーアンプで駆動すれば
極上の音楽を奏でるということが身を持ってわかった次第です。
この低音ブーストで、今まで聞いていた音楽が全く違うものに聞こえてきます。
やろうかどうか迷っている方は、この低音ブーストされた音は聞かないことには効果が
どんなものかは全く想像できないので、悩むだけ無駄でしょう。
さっさとやったほうが幸せな時間を送れます。当方がまさにそうでした。
1699川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Fri Aug 26 17:15:00 JST 2016
スピーカーの低音特性と低音がブーストされたWRアンプについて
スピーカーに関して門外漢である私は、これまでスピーカーの特性は全く考慮する事無く、唯
アンプの理想を追い求めて来ました。幸いスピーカーをB&WMATRIX805に固定できていましたので
これまで大きな壁に遮られることもなく、プリを含めたWRアンプをほぼ理想的な形に仕上げる事
ができました。
丁度のその矢先に、WR製電源フィルターを用いカスタム化されたΕC-1H及びWRP-α1/BAL 改造
のΕ-10H相当アンプの組み合わせで聴かれたユーザーの方から、低音がスッキリして少し量的に
物足りなくなったので、何とかスーパーウーハーを増設できないだろうかと言うご相談を受けた
のでした。高周波ノイズの影響もあってこれまで低音が多少ブーミーに聴こえていたのでしょう。
その時に、38cmの大型ウーハーの取り付けの問題があって簡単には行かない事が分かり、私の
頭の中に電気的に補正する方法がチラッと浮かんだのでした。この方のスピーカーは往年の名機
ヤマハのNS-1000Mです。ウーハーは30cmですが16cmの805 に比べれば低音は出るはずです。それ
でも低音不足に感じられると仰っています。
一つの理由は、これらメーカー製のスピーカーは非安定化電源の伝統的な帰還アンプで低音の
チューニングをしているので、過渡特性の良いパワーアンプで聴くとどうしても量的に不足気味
に聴こえる事になるのだと思います。
もう一つはスピーカーの再生能力が、高域特性が技術の進歩で人間の可聴限界を遥かに越えて
いるのに対して、本質的にディメンジョンの問題で大きな制約を受ける低音は、余り改善されて
いないと言う事実があります。20KHz 以上再生できるスピーカーはゴロゴロしているのに対して、
20Hzまで低音を再生できるスピーカーは皆無に近いのです。
昔、日立のHS-10000と言うスピーカーがあり、20Hzまでのフラットな再生が可能であると言う
事でした。しかし当時のラ技の編集長宅で、カートリッジの鳴き比べを行方さんと3人で行った
時にリファレンスのスピーカーとして聴いた事がありますが、当時の私の耳では本当に20Hzまで
の再生がどの程度意味があったのか定かではありません。可能であるなら今のWRアンプシステム
で聴き直してみたいところです。
このスピーカーは例外です。普通のスピーカーは、大型であっても20Hz~30Hzになれば多かれ
少なかれ特性が下がります。それも2~3dB程度ではありません。私達がライブで聴く場合はこの
低音の制約はないはずで、そう考えるとオーディオ再生は慢性的な低音不足状態にある事になり
ます。
だからNS-1000Mで聴いても低音不足に聴こえるのでしょう。それがこれまで大きな問題として
クローズアップされなかったのは、低音が多少ブーミーに聴こえる伝統的なパワーアンプで駆動
されて来たからでしょう。低音の質が悪くても量的には充足されてきたからではないでしょうか。
しかし、そう言う音は低音楽器が鳴っていないのに、何となく低音が聴こえるような気配が常に
するものです。
低音の過渡特性の良いパワーアンプで聴けば、殆どのスピーカーは低音不足に聴こえて当たり
前なのかも知れません。特にバスレフと言う低域共振を用いる方式ではない、密閉箱や MATIRIX
のような低音共振を排除した構造のエンクロージャーでは余計にそう感じるはずです。NS-1000M
は密閉箱のはずです。
スピーカーの低域特性が落ちている以上、それを補う事は理に適っていると言えるのではない
でしょうか。その補正法は色々あるかも知れませんが、私は、スピーカーの欠陥を全て電気的に
補正するのは無理があると考えています。理想を追っても無理すれば何処かで馬脚を現してしま
うでしょう。それより低音特性は部屋の問題やスピーカーの置き方が大きく影響してきますから、
その辺りで上手く辻褄を合わせるべきかと思います。
そこで、前回お話したように20Hzで+6dBがいい線ではないかと考えたのです。これは理屈では
ありません。長年オーディオをやって来た技術屋の勘です。だから、実証する必要があるのです。
少なくても8畳の洋間にセットしたB&W805MATRIXの場合は、非常に上手く行ったと思っています。
低音楽器が鳴ってないところでは、当然ながら低音の気配は微塵も感じません。低域がブースト
されても、その上昇分だけ音圧レベルが上げるだけで、余計なブーミー感を伴う事はないのです。
グルダのピアノの音が、少しだけ離れた席で聴くピアノの生音に近い感じで聴けるようになり、
アンセルメのサンサーンスのオルガンが、サントリーホールで聴いた感触に近い音で、タップリ
再現されるようになっています。これが16cmのスピーカーの音かと言う低音です。特にグルダの
音はピアノが木で作られている事が伝わって来る音です。低音域が適当に補われて、左手の音に
現実味が出た事が大きいのではないかと思います。このグルダ盤は隠れた名録音でピアノの元音
も含めて稀有な存在だと思います。
問題はこのブースト量が他のスピーカー、特に大きな口径のスピーカーで低音過多にならない
か、小さな口径のスピーカーで効果があるかどうかが問題です。しかし私は20Hzで+6dBの上昇で
20Hzのf特が0dB を越える事が無い以上、低音はまず過多にならないと考えています。
大体低音がダブついて聴こえるのは、部屋の角などに置いたり、壁に近付け過ぎたりして異常
に部屋の影響を受ける場合とか、駆動アンプの低域の過渡特性が悪い場合です。最新のWRアンプ
を使う限り、後者の心配は要りません。ですから、ブーストを行って低音が行き過ぎたと感じた
場合は、スピーカーを壁から少し離すとか、低音の溜まるコーナーに吸音材を置くなどして低音
を抑える工夫をすれば乗り切れると思っています。
あともう一つ楽観視できる理由があります。小さなスピーカーは低音が出ないので、中高域は
それとバランスするように少し抑え気味にしてあるはずですし、大きなスピーカーは低音が出る
分、中高域もそれに応じて張りがあるように作られているはずです。要するにどんなスピーカー
も低音と高音のバランスで成り立っているので、置かれている状況は同様なのです。結局、低域
を多少ブーストしてあげれば、パワーアンプの過渡特性向上の為に生じた低音不足は、それぞれ
のスピーカーの大きさに応じて上手く解消できると考えています。
それは単なる低音不足の解消に止まらず、音楽をより実演に近い形で、より豊かに楽しむ環境
を提供するものになるはずです。低音ブースト法はテクニックに過ぎませんが、得られた結果は
これまでのオーディオでは到達できなかったレベルの再生音です。慣れと言うのは恐ろしいもの
で、元に戻すとバランスが崩れて音楽が貧弱に聴こえるから不思議です。但し、これはWRアンプ
の技術を使うから可能になったのであって、ICオペアンプでブーストし、伝統的な帰還アンプで
聴いても低音が単にダブつくだけだと思います。
低音は生音でも、ホールの特性や舞台上での楽器の配置に依っては、低音がダブつく事があり、
なかなか手強い存在なのです。サントリーホールは良く設計されていて、私の席で聴く低音楽器
は殆ど不満なく聴くことができますが、全てのホールがいい音で聴こえるかどうかは一概に言え
ないと思います。低音がダメだと根幹が崩れるせいか、全体のバランスが悪く芳しくありません。
WRアンプの開発が、機が熟した事によって、自然に今回の低音ブースト法に辿り着いたのだと
思いますが、この事がユーザーの方の一言を切っ掛けに始まった事を考えますと全てはある運命
で回っているのだと言う気がして来ます。
1698川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sun Aug 21 18:30:00 JST 2016
WRプリΕC-1Hのラインアンプでも低音ブーストの実験を行って見ました。
前回はパワーアンプの前置アンプ(ラインアンプ)で低音ブーストを行い、一定の効果を上げ
た事をご報告しました。当初、低音ブーストはパワーアンプで行うのが自然の成り行きだと判断
したのですが、その為にわざわざラインアンプを挿入する必要があり、それならラインアンプを
有しているプリアンプで行った方が合理的かなと思い、今回の実験に至ったのでした。
カスタム化されたΕC-1Hのラインアンプは既に2段差動化されています。帰還素子のところに
変更を加えれば良いのですから、確かに合理的です。しかし、私の場合は元に戻して聴く必要が
ありますので、もう1枚ラインアンプを別に新調する事にしました。
前回は触れませんでしたが、帰還素子には低音ブースト用に0.1uF を使います。帰還素子には
SEコンのような質の良いコンデンサーが必要ですが、この低音ブースト法を思い立った時は丁度
お盆休みに入ったばかりで、質の良いコンデンサーを売っている店は軒並み夏休みに入っていて
入手できない状況でした。
元々このランアンプ基板はイコライザー用には作られていませんので、帰還素子を入れる空き
スペースは殆どありません。つまりASC の0.1uF/400Vは入らないのです。勿論SEコンも不可です。
そうなるとERO (現Vishay)のポリプロを使うのが順当です。夏休み中でも申し込みは可能な店に
発注は掛けたのですが、当然、暫くの間なしのつぶてでした。
しかし、流行る心を抑える事はできませんでしたので、仕方無しに手持ちの一般的なフィルム
コン(ポリエステル)を使って兎に角実験をしたのです。それが前回の報告だったのですが、一つ
だけ気になっていた事がありました。それをご説明するには、先ずその前段階からお話する必要
があります。
実は、長女の孫娘が長男の嫁にピアノを習っています。勿論音大に行くようなレベルではなく、
あくまで趣味なのですが、最近ベートーベンのソナチネ作品49-2が課題になっています。この曲
はピアノソナタ第20番でもあるので、有名な演奏家のCDでも買って聴かせたいと長女が言い出し
たのです。私がネットで色々検索すると、ポリーニが最近この辺りの曲を入れたCDが見つかった
のですが、どうも評判が芳しくありません。
躊躇していると、グルダのピアノソナタ全集+P協全曲と言うボックスものが見つかりました。
何と3,500 円程度と破格の値段です。私はピアノ作品のLP、CD等は殆ど集めて来ませんでしたが、
バッハの平均律クラビア曲集は買ってあって、LPでもCDでもその演奏の凄さと録音の良さに満足
していましたので、「もしかしたら?」と直感したのです。娘にこれを買った見たらと水を向け
ました。
2、3日するとボックスを持ってきました。丁度、低音ブーストをテスト中でしたので、早速
聴いて見たのです。予想通り演奏も録音も上の部で、今時のCDでは聴けないピアノの美音が聴け
ます。演奏も油の乗り切った頃のグルダです。悪かろうはずがありません。CDにはAMADEO原盤と
書いてありますが、CDはドイツのユニバーサルで作られているようです。バッハの方はこの録音
の後にMPS スタジオで録られたもので全く別物でした。現在AMADEO原盤の権利はユニバーサルが
所有しているのかも知れません。グルダはオーストリア生まれですから、母国のレーベルに録音
したのでしょう。
ところで、このピアノの音ですが、一聴して優れた録音だと分かるのですが、その為か右手の
倍音がかなり録音されており、これがまともに再生できない箇所があったのです。CD評を読むと
「金属製の音がする」と言う感想が結構あったので、多分、この事を指すのだろうと思いました。
この原因は低音ブースト用のラインアンプにあるかも知れないとちょっと疑ったのです。
「悲愴」「テンペスト」「ワルトシュタイン」「熱情」「第32番」などのffで多かれ少なかれ
気になったのです。もしラインアップが原因であれば帰還の問題に違いないので、例の妥協して
使った0.1uF のせいだろうと思っていました。今回のΕC-1Hでの実験でも、それは同じ事でした。
それにしても、グルダの後期3大ピアノソナタはどれもこれも素晴らしいと思いました。
この事がはっきりするまで掲示板に書けません。そうこうしている内にやっと注文してあった
ERO のポリプロが到着したのです。ちょっと面倒でしたが、苦労して付けたポリエステルを取り
外し、大きさが違うので穴を開け直してからポリプロを何とか納めたのです。容量値は測定器で
予め測りましたが、ポリエステルも含めて値そのものは正確でした。
早速、試聴してみると心なしかスッキリしています。ピアノ再生の前にもう1枚今回の実験用
に用意したテストCDを聴いて見ました。そのCDはアンセルメ/スイスロマンド管のサンサーンス
交響曲第3番です。聴く場所は第一楽章の後半です。実に美しい曲ですが、オルガンの極低音が
ふんだんに入っていて、低音のテストには格好なものです。本当に久し振りに、引っ張り出して
きました。
このCDの低音は他の盤(例えばデュトワ)よりタップリ入っていて、購入した時には再生不可
のCDでした。低音がはみ出てしまうのです。このCDの低音が綺麗に聴こえれば低音ブースは成功
したと考えても良いと思ったのです。確か、昔のラ技の録音評で故高城重躬氏が、特にオルガン
の音について絶賛されていたはずです。
低音の質が良くなったように感じました。それはサントリーホールで聴いたオルガンの低音に
近い感触がした事で判断しました。つまり、オルガンの極低音がより実演らしく聴こえるように
なったのです。アンセルメの音が多少良くなったので、今度はグルダにも期待感が高まりました。
「悲愴」の初っ端を聴いてみました。最初の一撃が見事に音場内に収まっており、決して金属
っぽい音ではありません。やはり帰還に関係するコンデンサーには確かなものを使う必要がある
のです。コンデンサー一つですが、選び間違うと恐ろしい事になります。それが帰還の厳しい掟
なのです。つまり、今回使った一般的なコンデンサーを使っている限り、まともな帰還アンプは
作れないと言う事です。私の持論が半ば証明された瞬間でした。国産のフィルムコンには、もう
少し頑張って貰いたいところです。
この事で、もしかしたら改造したΕ-10H相当アンプのせいかも知れないと言う疑念は吹き飛び
ましたので、パワーアンプ内のラインアンプのコンデンサーも交換し、プリのランアンプを元に
戻してから、もう一度パワーアンプに依る低音ブーストの音も聴いてみました。勿論オーディオ
ですから、両者の音に全く違いがないと言う訳ではありませんが、チェックポイントの音は両者
とも全く問題がありませんので、ケースバイケースで使い分ければ良いと思いました。
ラインアンプ付きのWRプリをお持ちの方なら、低音ブーストはプリで行うのが合理的かと思い
ます。その方が手間が減りますから代金も安くなります。その場合の一応の目安としては、低音
ブーストのみの場合は\10,000、2段差動化を同時に行う場合は\20,000になります。カスタム化
されたΕC-1Hやアップグレード済み旧型プリの場合は2段差動化は済んでいますので、ブースト
のみを行えば良い事になります。標準のΕC-1Hやラインアンプ付きのWRP-α9 の場合はブースト
のみでも原理的には良いと思いますが、音質の面からは2段差動化を合わせて行った方が良いと
思います。
プリアンプで低音ブーストをすると、接続するパワーアンプに依らず常に低音がブーストされ
ますので、それを嫌う場合はパワーアンプで選択的に行えば良いと思います。唯低音がブースト
されると言いましても、少なくてもB&W805MATRIXの場合は、寧ろ、この方が標準的な音に聴こえ、
全く不自然さを感じないばかりか、元に戻すと、例えばグルダのピアノのバランスが崩れて左手
の音が薄くなり、それが右手の倍音の美しい響きを、安っぽい、金属性の音に変えてしまいます。
不思議な事にアンセルメのオルガンの音の動きも分かり辛くなります。私はもう元には戻れない
と思っています。
そう考えるとこれまで聴いてきたソースの評価が変るかも知れず、もっと良くなる場合も出て
くる可能性があります。あるユーザーの方から、低音用大型スピーカーの設置に関するご相談を
受けなかったなら、このような実験を試みようとは考えなかったでしょう。やはり、WRアンプは
ユーザーの方々に依って助けられて発展しているのだと改めて思いました。
WRプリをお持ちでない方で、パワーアンプに余剰スペースのある方は、多少のバッファ効果も
期待できますので、パワーアンプで低音ブーストを試みる事をお勧めします。低音の厚みが増し、
音楽の聴こえ方のバランスがかなり改善される事は間違いないと思います。
* * サトウさん、WRP-α9 のお買い上げとそのご感想ありがとうございます。 * *
パワーアンプΕ-5H 単体とその前にプリアンプWRP-α9 を置くのとでは、相当音に違いがある
とお感じなられたようですが、これが私の言う「バッファ効果」或いは「プリ効果」と呼ばれる
ものです。アンプを多く通すと、それだけ音が悪くなると思われている方には不思議な事に感じ
られると思いますが、これがWRアンプの常識なのです。
WRアンプは、特許回路を使って負性抵抗を排除し、帰還を出来る限り安定に掛けていますので、
このような事が可能になります。安定性の悪い帰還アンプですと、前置した途端に音が悪化する
場合が多いのです。
どのように音が改善されるかは、サトウさんのご指摘の通りです。列挙して見ますと、
1.ppp は無音に埋もれる事なく出だしから終わりまできちんと再生され、fff は音の厚みが
増して小型スピーカーながら今まで無かった「圧」を感じます。
2.音の輪郭がきつくなる事なくディティールがより鮮明になり、そのせいか歌詞カードを
見なくてもボーカルの言葉を理解できるようになりました。
3.定位について左右は言わずもがなですが、前後の位置まで把握できるようになり、
ステージで鳴っているような立体感が生まれました。
となりますが、微小音が聴き取りやすくなり、音の厚みが増すのは事実でしょう。又音の輪郭が
きつくなくなり、聴きやすくなる事もその通りだと思います。WRアンプの特長は音場感の再現に
あると言っても過言ではありませんが、サトウさんもステージで鳴っているような立体感が生ま
れると仰っています。
この事が次の事を可能にしています。
4.音の響きが質・量とも格段に向上し、演奏会場の雰囲気が一層リアルになりました。
そうなんです。ライブ会場に恰も参加しているような錯覚を覚えるのです。ライブにはできる
だけ出向く必要がありますが、何時も行ける訳ではありません。そう言う時にお気に入りのCDを
聴いて、そんな気分に浸れるとしたらそれはそれで素晴らしい事です。WRプリを付け足すことで
それが可能になります。
パワーアンプ単体でも個々の楽器の音そのものはそんなに変わらないのですが、複数の楽器の
融合と言う見地から見れば、全くと言ってよいほど違ってきます。つまり、音をベクトルとして
捉えて聴けない環境では、その音楽を100%楽しむ事が出来ないのです。コンピュータ音楽以外は、
全て音楽はそうなのだと思います。演奏している場の忠実な再現が必要なのです。
しかしこう言う事は体験するまでは他人事で済んでしまいます。知らぬが仏ですが、一度経験
すると、その差分に驚きもう後には引けなくなります。それがオーディオなのでしょう。今回の
低音ブーストもそうでしたが、そう言う事に気付くにはやはり他人様の意見に耳を傾ける事だと
思います。サトウさんも、
5.和田様の書き込みで逆にこちらが勇気づけられ、またO.M.様のお勧めも力強い後押し
となり購入に踏み切りました。
と仰っています。WRアンプに関する限りは、他の方の意見に素直に従って頂ければ必ずその見返
りがあるはずです。信じる者は救われるです。
尚、このご感想はランアンプ付きの場合ですので、お含み置き頂きたいと思います。
1697サトウさん(会社員)
Sat Aug 20 16:30:42 JST 2016
WRP-α9 (ラインアンプ付)購入しました。
以前(4月)にE-5Hの感想を書き込ませて頂いたサトウです。
E-5H単体時には靄がかかっていたのではないかと思うぐらい、WRP-α9 導入後はクリア
で見通しの良い、濃い音になりました。
pppは無音に埋もれる事なく出だしから終わりまできちんと再生され、fffは音の厚みが
増して小型スピーカーながら今まで無かった「圧」を感じます。また、音の輪郭がきつく
なる事なくディティールがより鮮明になり、そのせいか歌詞カードを見なくてもボーカル
の言葉を理解できるようになりました。定位について左右は言わずもがなですが、前後の
位置まで把握できるようになり、ステージで鳴っているような立体感が生まれました。
しかしながら、一番変わったと感じたのがコンサートホールやライブハウスの臨場感
です。音の響きが質・量とも格段に向上し、演奏会場の雰囲気が一層リアルになりま
した。これに聴衆の歓声や拍手、今まで消えていた微かな衣擦れや椅子の軋み音が加わる
事で、もはや自分もその場に参加しているような感覚です。目を瞑れば、自分の部屋が
いつでもVillage Vanguardやサントリーホールに早変わり、みたいな感じは堪りません。
E-5Hのみで使用していた時は、音のディティールが抜群に良かったので小編成の曲を
聴く機会が多くなっていました。今は迫力や臨場感が増したおかげで大編成の曲でも
小編成と変わりなく、しかもどちらもよりハイレベルで楽しめるようになりました。
WRP-α9 を導入すると、どれだけの情報がノイズに埋もれていた、あるいは再生しきれず
取りこぼされていたのかを実感します。これを知ってしまうと、もうプリアンプなしには
戻れそうにありません。
プリアンプの重要性については以前から川西様が仰っておられましたが、特に必要性は
感じていなかったので、まあ、いつかグレードアップのつもりで導入できたら・・・
ぐらいに考えていました。ところが、耳が馴染んでくるにつれてどうしても「100%の
WRアンプの音」を知りたくなってしまい、(他にも和田様の書き込みで逆にこちらが勇気
づけられ、またO.M.様のお勧めも力強い後押しとなり)購入に踏み切りました。
結果として、手持ちの音源がこれまで経験した事のない実体感を伴った音になり、音楽を
聴く事が本当に楽しくなりました。これならチケット代を全てCD購入に充てても惜しく
ありません(いや、それは本末転倒ですが・・・)。
こんな素晴らしいアンプを開発制作してくださった川西様に感謝です。
ありがとうございました。
1696川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Tue Aug 16 22:15:00 JST 2016
比較的手軽にできる低音ブースト法について
最近、電源フィルター+カスタム化アップグレードをされた方からお電話を頂戴し、中高音も
さることながら低音が非常にスッキリして良くなったとお褒めを頂きました。この方は主にJazz
をお聴きになるので、多分ベースの切れ味がよくなったのでしょう。しかし、その分少し物足り
なくなったとも仰っていました。低音の過渡特性が良くなると尾を引かなくなるので、量感的に
は減ったように感じるのです。(この状況を低音が出ないと勘違いする人も居るくらいです。)
そして昔のコーラルの38cm大型スピーカーが眠っているので、これをスーパーウーハーにする
手はないかと相談を受けました。それは可能ですが、このスピーカーを置く所があるのですか?
と尋ねますと、床下に収納できればと思っているとの事、床に38cm用の穴を空けられるのですか
と再びお聞きすると、それは直ぐには出来ないと言うお返事でした。
斯様に、スーパーウーハーと言ってもそう簡単に設置出来ないのが普通です。そうかと言って
既成のアンプ内蔵のものでは、折角WRアンプに依ってダンピングが良くなった低音を、原理的に
アプローチの違う方法に依る極低音で補う事になり、その違和感は否定しようもありません。
そこで、ほんの少しだけ邪魔にならない程度に低音を補う方法を考えて見ました。原則的には
低音以上の音域の音質を変えないで、スピーカーの低域特性に起因する低音不足感をほんの少し
だけ補う事を考えます。周波数特性的に20Hzまでフラットにする、などと言う大それたものでは
ありません。低音は部屋の影響を大きく受けますし、アクティブフィルターに依るローパスの音
も心配です。スーパーウーハーで成功するのは結構難しいと思います。だから少しだけ電気的に
付け足す方が無難だと私は思います。
低音は過ぎたるは及ばざるが如しなので、その点に留意して考えねばなりません。おおまかな
方法は、パワーアンプの前に低音をブーストしたラインアンプ基板を入れる事です。どうせなら
2段差動とし、電源電圧も±18V にして大事を取りたいところです。此処で全体的な音質劣化が
起こるようでは落第です。
フラット特性のラインアンプ基板の場合は、帰還素子に純抵抗を使いますが、其処をEQ回路の
ように抵抗とコンデンサーの直列素子にします。そうする事で100Hz 位から低音に向かって帰還
が減るようにし、結果的に低音をブーストします。20Hz以下を上げても仕方ありませんので 20H
程度で一定になるように、コンデンサーには並列に抵抗を抱かせます。
ブースト量はせいぜい6dB が良いところでしょう。欲を出して低音が目立つようではぶち壊し
になります。要するに、便法には余り多くを期待しない事です。大体の目標が決まったところで
実際の定数を算出し、それに従って、ラインアンプ基板に必要な部品を取り付けて完成させれば
良い訳です。
さて、実際にどのような特性になったかを測定して見ると、100Hz で+1dB、50Hzでは+2.6dB、
20Hzに於いて+6dB 上昇しており、大体思ったような特性が得られました。当初、私自身は低音
の不足を特に感じていませんでしたが、実際に基板が出来て見ると音を聴いて見たくなりました。
そこで手持ちのWRP-α6/BAL のバランス入力部分を取り外し、そのスペースに完成した基板を
取り付け、XLR コネクタをRCA 端子に変更する等して、ダイレクトとブースト特性を切り替えて
聴き比べ出来るようにしました。尚、このWRP-α6/BAL は安定化電源付きのΕ-10H相当アンプに
改造してあります。Ε-10Hの安定化電源電圧は±18V なので、ラインアンプを直接接続する事が
出来て好都合です。
問題はどの程度低音が補われるかよりも、嫌な低音が出て中低域以上の音を台無しにしないか
です。先ずは何時も聴いているテストCDが違和感なく聴こえるかどうかです。同じような印象で
聴こえつつ、僅かでも低音の量感が増えていれば成功です。ピアノの左手の質感や、オルガンの
極低音の安定性はどうか、Jazzなどのベースがブーミーにならないか等々、色々な観点から種々
のCDを片っ端から聴いて見ましたが、贔屓目に見るせいなのか私には欠陥を見出せませんでした。
使用するスピーカーや、部屋の大きさで印象は変わるかも知れませんが、このブーストアンプに
よる悪影響は基本的には無いと判定しました。
反面、大したブースト感がある訳ではありませんが、多少、音楽のベースとなる低音の量感は
上がっている印象です。この音に慣れるとその事自体を忘れてしまう程度ではありますが、元に
戻れないような一種独特の安定感を感じます。大抵のスピーカーは20Hzにもなれば相当落ちます
ので、6dB 程度では焼け石に水ですが、しかしそれが有るのと無いのとでは明らかに耳に感じる
低音の量感は変りますし、音楽の聴こえ方が良くなります。
まだ、結論を出すまでには至っていませんが、一つの試みとして面白い実験だと思っています。
今までの部屋やスピーカーを弄る事無く、電気的に低音の量感を多少でも増やせるなら、これは
これで意味があるのではないかと思いました。今の状況を大きく変えずにもう少し低音の量感を
増やしたいと思っている方には朗報になるかも知れません。質の良い低音なら量感はあった方が
良いのではないかと、今回の実験を通して私も思いました。唯、パワーアンプに空きスペースが
あるかどうかが問題です。
もし本当に価値があるのであれば、この部分を1台のブーストアンプに独立させる事やプリの
ラインアンプに組み込む事も考えられます。後者であればWRプリをお持ちの方であれば、新旧を
問わず可能になりますが、もう少し実験や試聴を繰り返して見るつもりです。
1695川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Wed Aug 10 21:30:00 JST 2016
ΕC-1Hのカスタム化アップグレードで齎されたもの。
最初に音量調整用のVRを、抵抗の分割比を単純にスイッチで変えていくタイプのL-Pad に変更
した時、CD特有の音の硬さが和らいで感じたと言う話は既に報告してありますが、結局その事が
基本になっていると言う印象が未だにしております。
勿論、電源の安定化電源化、送り出しアンプの高スルーレート化、ラインアンプの2段差動化、
EQオプションの高電圧化が、それぞれカスタム化の総合的な音質向上に役立ったことは否定する
事はできません。結果的にそれらが重畳された事に依って、これまでの常識を遥かに越えるよう
なCD及びLPの音質改善に繋がったものと思います。
我々の頭の中にはCDの音はアナログの音とは違うと言う大前提があって、その事を差し引いて
対応してきたのではないかと思います。その根本にあったのが「デジタル臭」と呼ばれる一種の
癖のある音で、中高音域が角張っていて耳に着き易く、下手すると煩く聴こえるような音がした
かと思いますが、それがCDの宿命だと半ば諦めていたのではないでしょうか。
勿論、今でも録音等が不備で酷い音がするCDは多く存在しますが、それは別問題として上手く
録音されたCDであれば、アナログ(LPの音)と同等な感じで聴けるようになったと思います。唯、
CDはLPに比べて情報量が大きく欠落していますので、その点での問題は今なお残されていますし、
寧ろカスタム化でそれが明確に分かるようになった気がします。つまり、ハイレゾとそうでない
ものとの本当の差が分かるようになったのです。
カスタム化以降、これまでのテストCDは余り意味が無くなりましたので、デジタル臭があるか
ないかの判断に、古楽器演奏のエンシェント管のCDをよく使うようになりました。以前にも申し
上げたビバルディの作品3「調和の幻想」(POCL-4170/1) です。実は、CDを買う前に先にLPの方
(L50C-1112/3) を買ってありました。
ビバルディの解説書に「押し付けがましい派手やかなサウンドが消えて、透明でスッキリした
品位の高い響きである」と言う主旨の文章が書かれていますが、昔は古楽器の音が現代楽器の音
よりシャカシャカして聴こえ、派手な音が消えたなんて言われても全くピンと来なかったのです。
しかし今聴いて見ると確かにバイオリンパートの音が落ち着いて聴けるようになっており、独特
の透明感も感じられます。
作品3を聴いている内に、モーツァルトのV協全集(5曲:POCL-4178/9)も持っている事を思い
出しました。独奏はバロックバイオリンの名手スタンデイジです。この録音も水準以上であると
は思っていましたが、改めて聴いて見るとモーツァルトのV協の中でも最高の録音の部類に入る
と感じました。作品3の音に比べると、バロックバイオリンの感じが薄められ、言われなければ
普通のオケと大きな違いは感じられません。
少し話がずれますが、モーツァルトのV協は普通は5番までですが、偽作の疑いが強いながら
第6、第7番が存在しています。以前何処かの解説に第6、第7番は傑作だと書いてあった事が
頭の隅にあり、何とか入手したいと思っていて一度カントロフのCD(COCO-73296)を買ったのです
が、これがBlue-specCD だった為に、中高域に変な癖が出て全く聴く気になりませんでした。
当時、CD店の棚には古いタイプのものが無く仕方なしに購入したのですが、やはりSHM-CDの類
はダメだと思ったのです。CDのデジタル臭も合わさって、中高域に過渡ひずみのような嫌な音が
感じられ、この話はこれで一気に萎んでしまったのです。それにしてもレコード会社がこの材料
を好んで使う理由が未だに理解できません。何処が高音質なのでしょう。もし革命的に良いもの
なら、世界のCDに採用されているはずです。
つい最近までそんな事があったなんて事はずっと忘れていたのですが、先日家族との買い物中
に、ちょっと待ち時間が出来てしまったので、私はCD店で時間を潰す事になりました。何気なし
に見ていると、藤川真弓/ロイヤルフィルの第6、第7番が目に入ったのです。モーツァルトの
生誕200 年記念で再発されたのでした。このコンビに依る全集がある事は承知していましたので、
兎に角買って帰る事にしました。
聴いてガッカリ、思うような音で再生されませんでした。録音は本当に難しいものだと改めて
思った次第です。それで思い出したのが一度没にしたカントロフのCDです。まだ捨ててなかった
のでもう一度引っ張り出して聴いて見ましたが、プリのアップグレードとは無関係にダメなもの
はやはりダメでした。これは明らかにCDの材質に問題があると思いました。
それなら、このCDのオリジナルの方を見つければ良いかも知れないと思い、ネットで中古CDを
探したところブックオフに有りました。CREST1000 シリーズで番号はCOCO-70455です。送られて
来たものを見ると事実上新品でした。多分、Blue-specCD が発売された時にCREST1000 シリーズ
は整理されてしまったのでしょう。それがブックオフとかに流れたものと思います。
早速聴いて見ると、Blue-specCD で感じた変な中高域のひずみ感はありません。ずっと素直な
音です。唯、録音自体は同じカントロフでも「煙が目にしみる」より落ちます。カスタム化プリ
なら、音楽が楽しめる程度には鳴ってくれますから、第6、第7番の音楽がどんなものかは十分
に分かります。確かにモーツァルトの閃きのようなものは余り感じられないような気がしました
が、決して退屈するような駄作でもないと思いました。
このように良い音で音楽を楽しむには、それなりの工夫と努力が必要です。その一助にΕC-1H
のカスタム化アップグレードは十分に足ると思います。悪い録音は救えませんが、再生の難しい
CDを真っ当に再生する事は可能です。ΕC-1Hをお持ちの方で、もう少し音を良くしたいと願って
いる方には、今回のカスタム化アップグレードは十分に有効だと思います。
先日、カスタム化アップグレードをなさった方からもお電話を頂戴し、今回のアップグレード
は本当に価値があった、キットで完成させた電源フィルターと組合わせると、数段良くなったと
言っても過言ではないと興奮気味に仰って居られました。結局、嫌な音が一掃されたと言うのが
電源フィルター+ΕC-1Hのカスタム化のご利益だったようです。このような感想をお話し頂ける
のは、出費に見合う以上のパフォーマンスがあった証拠だと思います。
最後に作品3の第2番ト短調の冒頭部分をCDとLPで比較して聴いて見ましたが、パッと聴くと
瓜二つの音に聴こえます。第一義的にはCDとLPの音のレベルが揃った事になります。然しながら
CDはオリジナルソースに比べて情報量が欠落していますし、LPは高域にピークがあって中高域の
音が多少盛り上がって聴こえます。この2つの事が音にどのように影響しているか軽々には結論
付けられないと思いますが、よく聴くとCDが多少鈍って聴こえる事は事実です。また、LPの音は
少し高域に艶が感じられ、それが効果を上げる場合と逆に耳に着く場合があるように感じました。
全く気にならないソースもあります。
CDとLPの音の差は、ソースに依っても、聴く人の好みに依っても変わりますので、一概に良し
悪しを言い切る事は難しいと思いましたが、此処まで再生音のレベルが揃った事には、アンプ屋
として一応の満足する事ができました。私を含めて5人が揃ってかなり良いと感じた事実は重く、
今回のアップグレードも間違い無く有効であると申し上げて宜しいだろうと思います。
1694川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Fri Aug 5 21:00:00 JST 2016
O.M.さん、ΕC-1Hのカスタム化アップグレード及びそのご感想ありがとうございます。
先ず、初めにお断りして置きたいのですが、カスタム化アップグレードに関する各種の意見は
通常のレベルの話ではなく、相当に深いレベルの話である事に留意頂きたいのです。オーディオ
が奥深い事は今更申し上げる必要もありませんが、人に依って問題にする音質のレベルはかなり
異なります。
一般的に言えば経験値が違えば音の評価の仕方が変りますが、特に生の楽器で奏される音楽を
基準にして聴く方は、それだけ求める音に対する欲求度が高くなります。楽器の種類も多いです
し、その奏法に依って楽器が発する音も大きく変化します。その代表的なものがオーケストラだ
と思います。そのオーケストラの音も作曲家や作風に依って大きく変りますので、再生の難易度
も当然変わって来ます。
そう言うオーケストラの中の音も外の音も知り尽くして居られるO.M.さんは、最も厳しく再生
音を評価する立場に居られる方だと言えると思います。従いましてO.M.さんの感想を近視眼的に
お読みなると、部分的な事が一人歩きする危険性が大いにありますので、どうかその点をご理解
頂いて、O.M.さんのご感想を参考にして頂ければと思います。
例えば、O.M.さんは「プリとしての性能が不安定なために・・・」と言う風に仰っていますが、
「ΕC-1Hが特に不安定なプリアンプである」と言う意味ではありません。通常の使い方であれば
十分に水準を越えたレベルにあるはずです。それはこれまでΕC-1Hのユーザーの方がそれなりに
十分満足されて来た事から明らかです。
しかし、その上のレベルの音の話になりますとO.M.さんのようなな表現もあり得る事になって
きます。普通「不安定」と言えば帰還の掛け損ないから来る、音の悪いアンプを連想してしまい
ますが、決してそのレベルでの話ではありません。オリジナルのΕC-1Hも通常の音のレベルなら
全く安定に動作するアンプです。
O.M.さんの言う「不安定」とは帰還の話ではなく、アンプの基本動作の話です。電源が安定化
電源で供給されると、当然ながら増幅そのものが正しく安定的に行われます。又ラインアンプの
出力段がシングル動作からプッシュプル動作になった事で重い負荷に強くなり、相対的にアンプ
の増幅能力は安定化します。さらに送り出しアンプのスルーレートが高くなると音の立ち上がり
が良くなり、アンプの増幅動作は如何なる信号に対してもスムーズになります。結果的にアンプ
の安定性は増す事になります。
私がΕC-1Hを設計した当時の我が耳のレベルでは、オリジナルの回路でも十分だと思っていた
のですが、私も日フィルの定期に通い、定点観測を続けて既に10年です。生の音を聴く事は勿論
大切ですが、音楽を聴くホールや席が毎回のように変わるとその経験が自分の血や肉になるまで
の時間が非常に掛かります。その点、定点観測を続ければ10年でも相当の学習になります。私の
聴取レベルは知らぬ間に大きく上がっていたのです。
だから、H.T さんに依頼されて作ったΕC-1Hのカスタム化プリの音の良さに、直ぐ気が付いた
のでしょう。オケの定期に休まず10年も通い、最良のホールの最上席で定点観測を続けるような
経験をお持ちの方であれば、このカスタム化アップグレードの真の良さがお分かり頂けると思い
ます。逆に言えば、そこまでの経験値が無い方なら、オリジナルのΕC-1Hで十分だと思います。
さて、O.M.さんはソース源としての独グラモフォンの話をされていますが、独グラモフォンは
ドイツ音楽、さらに言えばクラシック音楽を優良ホールの最上席で聴くような感覚で録音する事
をモットーとしているように思います。だから当然の事ながら再生が難しく厳しい音に録られて
います。日本のオーディオ評論家の評価が相対的に低いのは、まともに再生できない事が原因だ
と推察されます。それ程、独グラモフォンの再生は難しいのです。
O.M.さんは、今回のカスタム化アップグレードによって、独グラモフォンの再生がそれらしく
なったものと思われます。独グラモフォンに限らず録音に失敗したと思われるソースが多く発売
されていますが、それは論外としても、理想的に録音されたが故に再生の難しいソースが明らか
に存在します。そう言うソースが、今回のアップグレードに依って再生可能になったと言う事だ
と思います。
少し具体例を挙げますと、同じガット弦によるベートーベンの交響曲ですが、2つの例を先ず
示します。一つは独グラモフォンの録音(アルヒーフ盤)によるガーディナー盤で、もう一つは
RCA から発売されているDSD 録音によるヤルビー盤です。アップグレード前は、O.M.さんは後者
の方が良いと判断されていましたが、アップグレード後は前者の方が良いと感じられたようです。
演奏は兎も角も、私もグラモフォン録音に一日の長があると思います。
O.M.さんは今回の騒動に関連して音の羅針盤のような存在としてWRレコーディングを挙げられ
ていますが、比較的新しいWR録音の中から、以下の4枚を紹介させて頂きます。O.M.さんは全て
お聴きになっていらっしゃいます。
1.宇野沢美緒: Sound Bouquet(バイオリン小品集)
2.沢田千秋:Liszt Piano Transcriptions(「運命」、イゾルデの愛の死、他)
3.広岡 香:J.S.Bach 無伴奏バイオリンソナタ3曲
4.Koike Strings:Beethoven 交響曲第6番 「田園」(弦楽八重奏版)
1は既出です。2は当サイトでもご購入になれます。3、4はKoike StiringsのHP上でお買い
求め下さい。この4枚は共に府中のウィーンホールで録音されています。
次にO.M.さんは、LPの再生に関して述べられていますが、LPでも独グラモフォンの圧倒的とも
言えるオーケストラ・サウンドに驚かれています。独グラモフォンのアナログ時代の名録音には
カラヤン/チャイ4、ジュリーニ/展覧会の絵、小澤/ダフニスとクロエなど数多く存在します。
EQに余裕が感じられるようになって、どんなLPが来ても怯まずに再生できるようになったのでは
ないかと思います。
又O,M,さんは非クラシック音楽や圧縮音源も、カスタム化アップグレードによって幅広く楽し
めるようになったと仰っています。冒頭でカスタム化はかなり上級の音のレベルに関して意味が
あると申し上げましたが、こんなところにもその効果が波及しているとは思いもしませんでした。
本当に良いものは何にでも効果があると言う事なのでしょう。つまり、どんなソースに対しても
その信号を正しく増幅する事が必要であると言う事だと思います。それがオーディオの基本です
し、WRアンプの変わらぬ理念でもあります。
この他、弦楽四重奏曲やピアノの右手の音などの再生が中高域に偏らずに聴けるようになった
と仰っていますが、これらの問題がプリアンプの改善に依って解決されたと言う事に多少の驚き
があります。パワーアンプは現状維持でも「プリ効果」さえ高めれば、このような問題も自ずと
解決すると言う事が分かったことになります。それだけWRのパワーアンプの完成度は高いと言う
事になると思います。少なくても今の時点で、パワーアンプの改善は考える必要がない事になり
ます。どうぞ、安心してお買い求め下さい。そしてご自分の音の聴取レベルに応じて、WRP-α9 、
ΕC-1H、ΕC-1Hカスタムの中から一番相応しいプリアンプをお選び頂きますように重ねてお願い
致します。
何れにしても、ΕC-1Hのカスタム化アップグレードに依って、O.M.さんがオーディオに求めて
いらっしゃった理想郷が、此処に実現した事になります。それは、私が求めていたものとも一致
します。多分、H.T さんも然りだと思います。多分多くの方の理想とも整合性があると思います。
奥深いオーディオの正解の一端が見つかったのです。あとは、この事実にご興味のある皆様方に
依って多くの事例を重ねて頂いて、実質的にこの結論が正しい事を証明して頂ければ有り難いと
思います。そう言ってる尻から、もう一方が勇気を出されてカスタム化を申し込まれました事を
最後に付記させて頂きます。
1693O.M.さん(アマチュアコントラバス奏者)
Sat Jul 30 04:43:20 JST 2016
カスタムプリの導入(ΕC-1Hのアップグレード)について
以前に、電源フィルターの絶大な効果を報告致しましたO.M.で
ございます。
今回は、カスタムプリの導入について報告させていただきます。
川西先生による電源フィルターを用い、B&WMATRIX805をアンプ
2台(ロー:Ε-10H、ハイ:Ε-5H )で鳴らしております。
カスタムプリを導入し、今まで良いと思っていた音源が悪く聞
こえ、今まで良く聞こえなかった音源が極上の音楽に聞こえる
など、導入前後での変化が大きすぎて整理するのに時間がかか
りました。
カスタムプリで数枚聞いたあとにどうも違和感を感じ、それが
スピーカーから出た後の反響が原因だと掴むまでに時間がかか
りました。カスタムプリになってから、家具や部屋の反響で音
が変化するのがはっきりわかるようになり、位置の調整やクッ
ションなどを吸音材として配置するなど試行錯誤してやっと落
ち着きました。
旧プリでは定位や高低のバランスなどがどうやっても決まらず
ある程度に妥協した設置でした。プリとしての性能が不安定な
ためにセッティングを調整しても決まらなかったのでしょう。
カスタムプリではスピーカーのそばにクッションひとつ置くだ
けで、コントラバスが何本かずれて聞こえるような奇妙な感じ
が解消し、コントラバスそのものの音に芯が出て直接音と壁の
反響音とがしっかり分離して聞こえるようになる、あるいは低
音群の中でぼけていたファゴットがくっきりと浮かび上がるな
ど面白いように結果が出ます。手に負えない不可解さを感じな
くなり楽器を調整するかのような感覚で再生音を改善できます。
先生のおっしゃるように、WRアンプはスピーカーをどこまでも
鳴らす無尽蔵のパワーを秘めているようです。
ドイツグラモフォンはカスタムプリによって、ようやく真っ当
に再生できたと感じます。同レーベルの音源は高音がキンキン
していたり、音の出だしが甘く聞こえたり弦楽器の音がごちゃ
まぜで、セクション毎にちゃんと分かれて聞こえないなど奇妙
な感じでしたが、それはプリアンプの動作の不安定さに起因す
るものだったのです。カスタムプリにした途端に、素晴らしい
演奏へと変貌いたしました。演奏を評価していたわけではなく、
アンプの不安定さを評価していたに過ぎなかったことがわかり
愕然とし、いかに世の中の録音評が当てにならないか、再認識
いたしました。もちろん他のすべてのレーベルも聞こえる音が
ガラリと変わったために良くも悪くも別の演奏のように聞こえ
ます。一旦今までより良く聞こえる盤の音を耳にしてしまうと、
今まではそれなりに良いと思っていたのに、見劣りするように
なった音源があることに気がつきます。
DSD 録音という方式が原因かはっきりしませんが、パーヴォ・
ヤルヴィの近年のベートーヴェンのようにDSD 録音と記載して
いる音源は、どうも音が詰まったように感じたりして不自然さ
を感じます。
色々と調整する中で役に立ったのがWRレコーディングのCDです。
多くの音源を聴いて混乱が深くなり、何だかわからなくなって
きたときにWRレコーディングに戻るとリフレッシュすることが
できます。使用機材や録音編集方針など、確実に信頼の置ける
音源として心強いです。
またレコード再生の質の向上も著しいです。CDはCDなりに良い
のですが、レコードで質の良いものはリアリティといったもの
が、CDよりも格段に優れていることを、今まで以上に確認でき
ました。特にグラモフォン盤の再生音には驚きが大きく、楽器
の音の繊細さ、そこにあるかのような生々しい実在感、オケの
奥行き感など圧倒的です。それがB&WMATRIX805の小さなスピー
カー2本でのできごとですから驚きです。
また使用しているターンテーブルでは今までクォーツロックの
方がDCサーボより良く感じそれは電源フィルターを導入しても
その差は縮まっても同じ評価でしたが、カスタムプリによって
逆転しました。クォーツロックでも悪くはないのですがDCサー
ボの方が素直な音に聞こえるようになりました。ガラードなど
往年のターンテーブルにも興味はあり、今後の検討課題ですが、
国産のそれなりのダイレクトドライブでもレコードのハイレゾ
感といったものを十分に体感できております。
クラシックやジャズといった生音主体の音楽だけでなく、山下
達郎や竹内まりや、aiko、スピッツ、槇原敬之、宇多田ヒカル、
UA、ユーミン、ピチカート・ファイブ、コーネリアス、コトリ
ンゴなども聞きます。ライブなどで彼らの音楽に衝撃を受けて
もCDではどうにも彼らの才能の凄さを感じられず、残念に思っ
ておりました。音ががちゃがちゃする、音が大きくなりすぎた
り小さすぎたりして、ヴォリューム位置を決めかねるなど再生
しにくい感じが常にありましたが、カスタムプリの導入で驚く
ほど見事に、聞きやすく聞き応えあるものになり、彼らの意図
する音楽に集中することが可能になりました。例えば竹内まり
やは、子音のSやTの発音が全くしっかりと出ているのに耳障り
ではありません。かつ、シルクのような滑らかな声です。声の
しっとり感、柔らかさと力強さが見事に両立しており、聴いて
いて心地よいことこの上ありません。
またアマゾンによる年間\3,980で聞き放題の、圧縮音源の配信
サービスであるプライム・ミュージックも、音質そのものはCD
原盤とは比較にならないとはいえ、カスタムプリによって当方
にとっては、音楽として最低限視聴に耐え得るレベルで聞ける
ようになったのは有難いです。これはアマゾンの Wi-Fi受信機
からTVのHMDI端子経由で、光接続にてSACDプレーヤーのDAコン
バータに流しております。このサービスのお陰で、本当に何度
も聴くに耐えうる音源だけを、手元に置いておくという選択が
できます。カスタムプリ導入以前ではやはり音が不安定で音楽
として味わうには困難がありましたが、カスタムプリによって
音楽の骨格を味わえるだけの情報量が得られます。ナクソスに
よる1930年代の音源の復刻などでも、貧しい音でキンキン響く
ということがなくワインガルトナーのベートーヴェンの交響曲、
ホルストやガーシュインの自作自演といったものなども古さを
感じさせずに楽しむことができます。
CD、レコード、圧縮音源の何れにせよ、カスタムプリによって
ヴァイオリンの煩さに繋がる高域の煩さが消失し、ヴィオラや
チェロが厚く和声を支え、コントラバスからヴァイオリンまで
すくっと音が立ち上がって、音楽の進み方に曖昧なブレがなく
なり音楽が俊敏で堅牢になっています。
弦楽四重奏は、カスタムプリになってやっと聞くことができる
ようになりました。今まではヴァイオリンばかり煩く耳に突き
刺さり、ヴィオラやチェロが力なく、もそもそして聴くに耐え
られず、また聞いていても音楽として掴めない感覚でした。
カスタムプリになってヴィオラの太い音が出て、チェロの刻み
がガガガ、ブブブンと強烈に響きヴァイオリンと同等の力感で
聞こえてきて驚きました。4本の楽器が対等な音になり、和声
とリズムが形成され、音楽として感じられるようになりました。
これはピアノの演奏にも当てはまります。今までは右手の世界
ばかりが強調されたような感覚でしたが、カスタムプリで左手
の世界が立ち上がり、ポリーニの『ストラヴィンスキー:「ペ
トルーシュカ」からの3楽章』など両手で奏される複雑な絡み
も自然と耳に入るようになります。
当方は生の楽器の音と比較した上で、オーディオとして「実現
したい音」のイメージはありましたが、それが現存オーディオ
で実現できるものなのか、実現できるとしてもどのように実現
できるものなのかは全く想像できませんでした。古いWRアンプ
からのグレードアップ、電源フィルター、カスタムプリと一気
に山を駆け上ってまいりました。最後にカスタムプリを聞いて
「これが求めていたものだったんだ」と納得し、なんというか、
すとんと腑に落ちたような心持ちです。
当方はそれなりに演奏会に出向き、またアマチュア奏者として
プロ指揮者やプロ奏者とともにステージに上がってきましたが、
その経験から作曲者が楽譜に表した音楽を存分に味わう為には
ステージに上がってすべての奏者の側で聞くぐらいの、楽器の
音の生々しさが必要だと思っています。そんなことはよほどの
好条件でないと客席では実現されませんし、実際客席で幾度も
もどかしい思いをしてきました。生演奏にしかない響きによる
快感はあれど、複雑な楽譜の演奏を味わうには、マイク収録は
生演奏に匹敵あるいは生演奏以上の手法だと信じてきました。
それがやっと、この最後のカスタムプリによって、本当に痒い
ところの音まで手が届いたという感覚です。生とは異なるけれ
ども、再生芸術という表現に相応しい質感が今実現されている
と感じております。
このような音まで辿り着けたのは、川西先生と多くのユーザー
の方々による積み重ねのおかげでございます。ありがとうござ
いました。
1692川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Mon Jul 25 12:15:00 JST 2016
スリーインワン・オーディオアンプWRP-α9/A のアップグレードについて
最近、普及型プリアンプとして再出発したWRP-α9 は元々は3つの機能を有するマルチユース
のオーディオアンプでした。そしてその弟分として誕生したのがWRP-α9/A でした。マルチとは
1.パワーアンプとしての機能
2.ダイレクト駆動のヘッドアンプとしての機能
3.簡易型プリアンプとしての機能(スーパーウーハを使う事も可とか?)
と言う3つの使い方の出来るオーディオアンプとして、WRP-α9/A は\39,800 と言う安さも手伝
って、WRアンプの中では結構売れた機種でした。
しかしあの小型シャーシ(220W-120D-95H)にこれだけの機能を詰め込むには、技術的に難しい
問題があり、作っても純益は赤字になる状態が続いていましたので、当然ながら販売終了に追い
込まれたのでした。私もWRアンプの中で唯一非安定化電源のパワーアンプである事がずっと気に
なっていましたので、一度区切りを付ける事は致し方ないと思いました。
開発・設計をした私は、ずっとその事を残念に思っていましたので、電源部を安定化電源化し、
プリ機能を削除して、何とか採算の取れる小型パワーアンプ、Ε-5H に生まれ変わらせたのです。
お陰様でΕ-5H は評判も良くそこそこ売れています。
一方でWRP-α9/A をお持ちのユーザーの方の中にはΕ-5H 並みのパワーアンプにして欲しいと
言う方も居られて、これまでに数台WRP-α9/A のアップグレードを半ば非公式に引き受けて参り
ました。その内容は
1)安定化電源基板+小型パワーTRの追加
2)ハイブリッド化
3)高スルーレート化
の3点になります。最初の頃のWRP-α9/A にはコレクタホロワ化が済んでいないものも存在する
はずですが、その場合でも2)、3)の作業にそれを含める事にしています。
この費用をまともに算出しますと元値を遥かに越えてしまいますので、そう言うアンプを提供
した者の使命として、リーゾナブルなアップグレード代として、試験的に一律\30,000 でお引き
受けして参りました。
この価格でもお得である事が、つい最近にお引き受けしたアップグレードの時の試算で分かり
ましたので、それをお示ししたいと思います。これは仮の話ですが、現行のΕ-5H にプリアンプ
の機能などを追加すると言う内容です。WRP-α9/A と同等な機能にする為に必要な追加分は
(1)ボリウム → \3,240
(2)HP端子 → \5,400
(3)切替SW(入力数1増) → \6,480
(4)プリアウト → \3,240
と言う事になります。
この合計は\18,360 となりこれにΕ-5H の本体価格を加えますと、\72,360 となります。この
価格からWRP-α9/A の入手時の価格\39,800を引きますと\32,560となり、\30,000 を越える事に
なりますから、このアップグレードは結構お得である事が分かります。パワーアンプ部の音質は
最新のカスタム化されたΕC-1Hの能力をフルに引き出すポテンシャルを有していますから、出力
5Wx2がネックにならない限り、将来的に買い替えの必要もなくなります。強いて言えば、音質に
不満が出た時はプリアンプWRP-α9 等の導入をお勧めします。そうすれば、煩いことを余り言わ
ない限り、殆どの方は満足できると思いますし、何処に出しても恥ずかしくないシステムになる
はずです。
現時点でこれだけの機能を有したスリーインワンアンプを新規に買うには、\72,360 の出費を
覚悟する必要がありますが、これは仮定の話であって、現在新規にこれだけの機能を有するもの
はまだ入手する事は出来ないのですから、このアップグレードはやはり価値があると思います。
これまでに数台こなして見てやっと勘所が分かって来ましたので、詰め込みの技術もほぼ確立
されて来ました。ルーチンワークとして作っても、安定したデータが出るように仕上げる自信が
できたのです。ご希望なら新規にお引き受けする事も不可能ではない気がしています。
但し、残留ノイズはオリジナルのものに比べて3dB 程悪くなりますが、これはそれだけ導線の
引き回しが増えるからで、特にHP端子が増設された事でトランスの近傍を出力線が通る事になる
からです。しかし、ボリウムを絞った状態でHP端子に密閉型のソニーMDR-CD900 を入れて聞いて
見ても、ハムノイズは少なくても私の耳では確認できませんでした。実用的には全く問題はない
レベルであると言う事になります。
WRP-α9/A をお持ちの方、そんなアンプがあるなら新規に入手して見たいと思う方、お気軽に
お問い合わせ下さい。何処かで眠っているWRP-α9/A がもし有りましたら、是非活用される事を
お勧めします。故障部分が有っても比較的容易に修理可能であれば、修理費は頂かない事にして
います。必ずや価値あるスリーインワン・アンプ に生まれ変わる事を保証致します。
1691川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Tue Jul 19 22:30:00 JST 2016
ウエストリバーの最高峰プリアンプ、ΕC-1Hのカスタム化のその後のその後
項番1687に於いてΕC-1Hのカスタム化アップグレードを申し込みたいとO.M.さんが仰いました。
最近やっと完成して納入しましたので、今、色々なソースをお聴きになっていらっしゃるところ
だと思います。一応、私は
★先生が以前おっしゃっていたように、これを聞いたら戻れないレベルですね。
と言うレポートを頂戴していますが、何故「戻れないレベル」なのかについては、近々にご投稿
頂く予定です。
カスタム化アップグレードは4段-4回路-23接点のSWを入手し、先ずは数多くの抵抗を取り
付ける必要がありますが、このSWは注文生産で納期が10営業日程度掛かりますので、直ぐに着手
できないと言う問題点があります。それで、今回は一度に2個注文をしたのですが、O.M.さんの
レポートを待たずに、もう一人のユーザーの方から、
●以前、アップグレードは最後になると言った私でありますが
●久々に掲示板を覗いたところ、なんと魅惑の書き込みが…
●食指が動いてしまいました。
と言うメールを有り難くも頂戴したのです。グッドタイミングでしたのでO.M.さんのプリが完成
するや否や直ぐにこの方のカスタム化アップグレードに着手し、最近納入し終わったところです。
じっくりお聴きになると仰っていますので、レポートを頂けるかも知れません。(投稿後に暫く
してからレポートを頂きましたので、最下行に追記をさせて頂きます。)
これでオリジナルのH.T さんのプリを含めて、4台のカスタム化を行った事になります。4台
もやりますと大体の勘所が分かるようになるもので、どう言う音の感じになれば良いのか察しが
つくようになります。
最近、O.M.さんとのメールのやり取りから、ガット弦の弦楽器を使っている演奏に注目する事
になり、エンシェント、ピノック、ガーディナー等のCDを引っ張り出してテストCDにしています
が、一番テストCDになるのがエンシェントです。
私はガット弦の事などは意識せずに、モーツァルトの交響曲全集第3巻(LP)、ビバルディの
作品3、ヘンデルの「メサイヤ」(CD)等を持っていました。昔は、いやカスタム化するまでは
高域がチリチリして嫌に派手に聴こえ、オーディオ的な録音にしても不自然過ぎると感じていま
した。そのせいなのかエンシェントを嫌う人は多いようですし、その気持ちが分かるような気が
します。
今回、O.M.さんのプリのヒアリングの時に、チリチリ感が殆ど付き纏わない音に仕上げる事が
出来たと思ったのです。レーベルはオワゾリールですが、元々録音スタッフは英デッカの技術陣
です。本当はそんなに悪いはずはないのです。
O.M.さんのプリで初めてこのCDの本来の音を聴けた気がしました。これが本来のガット弦の音
かも知れないと思いました。この音で演奏されている音楽を聴けば、エンシェントも捨てたもの
ではないと私は思ったのです。
引き続いて、次の方のプリもこのCDでチェックをして、チリチリ感が出ないようにケミコンや
補償コンデンサーを吟味して仕上げました。この音になれば、カスタム化アップグレードは成功
したも同然だと思っています。要するにこれまで良いと信じて使って来たケミコン、セラミック
コン、そしてフィルムコンを例外なく使えば良いのです。
ここまで来ると、それではマイプリはどうなっているのか当然気になります。エンシェントを
聴いて見ると、程度は低いもののチリチリ感が明らかにあります。ケミコンなどで怪しいものを
交換して見ましたが、本質的には変りません。
「困った!」と思ったのですが、電気はウソをつかないので何か他に原因があるはずだと考え
たのです。よく見るとラインアンプの補償コンデンサーにSEコンが使ってあります。WRアンプの
黎明期にはSEコン様々だったのですが、高帰還化以降に補償コンデンサーの見直しを行っていて
原則的にヘッドアンプとEQ基板を除き、SEコンを止めて質の良いセラミックに変更して来ました。
理由は、SEコンはしなやかさはあるものの、オーディオ的な高域の艶っぽさが逆に気になった
のです。良質なセラミックの方が高域は自然で剛体感がよく出ます。生の音にはこの方が近いと
感じたのです。唯、ヘッドアンプとかEQ基板のような微小レベルの信号を扱う所ではその欠点は
これまで感じた事はありません。この辺りがオーディオの難しいところです。
ラインアンプレベルでは使わない方が自然な音が得られます。直ぐに交換作業に入り、SEコン
を全て良質なセラミックコンに変更したところ、見事にエンシェントの高域のチリチリ感は消失
したのです。これでマイプリもカスタム化プリの仲間入りをする事が出来たと感じました。
どう言う経緯からラインアンプにSEコンを使ったのか、今となっては分かりませんが、兎に角
原因が分かって良かったです。このように、SEコンの欠点もすぐさま炙り出してしまうのが今回
のカスタム化プリの特長です。広い意味でアンプの不安定性が故に生じるモヤモヤしたひずみ感
が殆どありませんので、いい音も嫌な音もストレートに分かってしまいます。それだけ高忠実度
再生が可能になったと言う事でしょう。
あるソースを再生して音が悪いと思った時には、2つの場合がある事を銘記して下さい。一つ
は本当に録音が悪く箸にも棒にも掛からない場合、もう一つは録音は上手く行っているが、余り
にも多くの情報を有しているが為に、再生アンプが着いて行けずに馬脚を現す場合です。
後者はよくある話で、例えば、独グラモフォンの評判が芳しくない大きな要因になっています。
今回のカスタム化アップグレードを行えば、少なくても、こうした後者に属するようなソースを
手にしても、決して泣き寝入りする事がないばかりか、その録音の特長が見事に再現されること
でしょう。
プリが完璧に近付くと、恰もパワーアンプは無限大の可能性を秘めているかのように感じられ
て来ます。スピーカーの能率と部屋の大きさから物理的に不可能でなければ、Ε-5H でも十分な
パフォーマンスが得られる事を最後に付け加えさせて頂きます。
追記:
●先日はお忙しいところ、プリのアップグレードをして頂き
●有難うございました。
●そのプリですが、一聴してすぐに別物になっている事に気づきます。
●それは高スルーレイト化した時以上の変化でした。
●低音部も変わっているのですが、中高音部の変化が別物なのです。
●アップグレードする前は、満足しているものの、高音が細身なのか
●集中しないと聴き取れない時がありました。
●今回、その部分が払しょくされていて、小音量時でもはっきり聴こえます。
●兎に角、余裕というのでしょうか、車でいうところの排気量が上がったような
●感覚です。全体的にゆったりと、しかし、剛体性も失っていません。
●その剛体性ですが、以前はむき出しの金属っぽい(少し誇張していますが)
●ゴリゴリとした感じだったところが、シルクを一枚挟んだような滑らかさも
●加わって、とても気持ちが良いです。質の良い剛体性とでも言えばよいでしょうか。
●抽象的ですが、第一印象としては以上のようになります。
●しかし、正直プリが戻るまでは今回は金額も金額だし、失敗したかな、と
●思ってました(済みません)が、結果やって良かったと今は思います。
●毎日、今まで聴いてきた曲を聴きなおすのが楽しみです。
●先生、有難うございました。
と述べられています。「低音部も変わっているのですが、中高音部の変化が別物なのです。」と
言うところは、所謂デジタル臭が完全に消えたと言う事だと思います。この方はLPをお聴きには
なりませんので、比較しようがないのですが、同時にLPをお聴きになる人であれば、CDの音とLP
の音がほぼ同質に揃って聴こえる事と思います。第一義的に言えば、それが正しいオーディオだ
と思います。
「集中しないと聴き取れない」と言う行は、やはり何がしかの過渡ひずみが未だ残っていたと
言う事だと思います。それが殆ど皆無になった事で、どんな微細な音も埋もれずに聴こえて来る
ようになったのだと思います。一口で言えば、今回のカスタム化アップグレードでプリとしての
機能(バッファ効果)が理想的に発揮されるようになったものと思います。
1690川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Thu Jul 14 23:00:00 JST 2016
電源フィルター補足
前回、例外的にO.M.さんに電源フィルターをお作りし、O.M.さんからその効果が絶大である
と言うレポートを頂きました。又、ご自身でお作りになりたい方には、電源フィルター製作に
関するノウハウを提供する用意があると書き添えました。
これをお読みになった旧型WRアンプをご愛用の方から、予てから電源ノイズの事が気になり
ながら適切なものが見付からず長い間悩み続けて来たので、この際思い切って作りたいと思い
ますが、一から始めるのは少々無理があるので、何とかキットのような形にして貰えないかと
言うお問い合わせがありました。
ユーザーの方からそう言うリクエストがあればそれに応えるのが私の信条です。トロイダル
コイル、各種パスコン、シャーシ、ラグ端子板、アース線用編組、ACアウトレットは勿論の事
シャーシの穴あけ、ラグ端子板の取り付け、アース線の配線、トロイダルコイル等の取り付け
パスコンの配線までを行い、入力のACラインをラグ端子に接続し、ラグ端子からアウトレット
までの配線をご自身で行えば、電源フィルターとして動作するキットを提供しました。
即ちACラインをフィルターの入口に接続し、その出口をAC電源として利用出来るようにする
行為は、自己責任でご自身に依って行う事になりますので、提供したキットだけではAC電源の
入出力機能のない単なる箱の中に、部品が配置されているだけですから、電気用品とは言えず、
PSE の対象にはならない訳です。それは市販の電源フィルターキットと同じ道理です。
こうしてその方はO.M.さんと同等の電源フィルターを作製できたのです。その方から、早速
以下のようなレポートを頂戴しました。システムにはWRアンプ以外の他社製のものも含まれて
いると言う事です。
★ ★ ★
1.音場の見通しが突然良くなり、今まで霧がかかっていたことがわかりました。
2.いやな音がしなくなりました。音が強くなるときに今まで耳についたのがなくなりました。
3.低い音の見通しがよくなり、低音がどっしりと安定し、ウッドベースの胴の響きが
低い方まで聞こえるようになりました。
4.音のダイナミズムがスムーズになり、クラシックの音のうねりが無理なく聞こえます。
5.ガットギターの音色が、やっと本物に近くなりました。
6 人がそこで歌っている感じがしてきました。
7、声のハーモニーが感じられるようになりました。
8.バックコーラスがきれいに聞こえるようになりました。
9、いろいろの楽器の演奏が細やかに聞こえます。内田光子が初めてすごいピアニストだ
ということが実感できました。(ベートーベンの皇帝で)
やはり、電源が汚れていて、音楽がうまく再生されていなかったということが実感されました。
もちろん、まだ改善すべき点が色々ありますが、楽しめるCDが多くなりました。
時間により聴こえ方が違う場合は、電源フィルターを必ず使用すべきだと感じました。
その後に他の部分を改善しないと、本当の効果がわからないと思いました。
これまで私の耳に問題があるのかなと思っていましたが、違うようで少し安心しました。
★ ★ ★
AC電源に電源フィルターを挿入しただけでだけ、一気に音の改善が行われるのです。如何に
高周波ノイズがオーディオアンプに悪い影響を与えているかが分かります。その意味でも電源
フィルターの利用は、非常にハイC/P な方法論だと言えると思います。
最後に、これに刺激されて、私の電源フィルターに残っていた、ポリエステル製のパスコン
12個の内、その半分をASC コンに変えて見たところ、未だ僅かに残存していた生音とは相容れ
ない怪しい音が、殆ど解消できた事を付け加えさせて頂きます。やはり、ASC コンのパスコン
としての能力はかなり高いようです。自信をもってそう言えるのは最高級プリアンプΕC-1 の
カスタム化アップグレードが功を奏しているからだと思います。
1689川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sat Jul 9 15:40:00 JST 2016
日フィル7月定期を聴く
今月で正式な首席指揮者の座を降板する、ラザレフ最後の定期演奏会です。まだ桂冠指揮者兼
芸術顧問に就任しますので、日フィルと全く縁が切れる訳ではなく会員としては少しホッとして
います。やはりラザレフの強力な指導力は必要だと思うからです。ショルティ亡き後のシカゴ響、
小澤が去った後のボストン響、アバドが辞めたベルリンフィル、等々その後パッとしなくなった
オケは枚挙に暇がありません。今後も発展を続けて欲しいと念じています。
さて春季日程の最後となった今日のプログラムは、グラズノフのバレエ音楽「四季」とショス
タコの交響曲第15番でした。「四季」と言えば「ビバルディ」の代名詞のようになっていますが、
「四季」をテーマにした曲は他にも沢山あります。クラシック通であればハイドンの「四季」が
頭に浮かぶ方も多いと思います。しかしどうでしょう、グラズノフの「四季」を思い浮かべる方
は少ないのではないでしょうか?
実は、私は未だLPの黎明期にこの「四季」の有名な部分、今思えば秋のバッカナールの音楽が
冒頭に入ったキャピトル・レコードのデモ盤で、この曲を初めて聴いていたのです。確か10吋盤
だった気がするのですが、録音の良さを売りにしていたキャピトル・レコードのプロモート用の
宣伝LPだったのだと思います。演奏は、キャピトル交響楽団とかハリウッドボウルとか、そんな
ところだったと思います。
しかし、それで全曲を聴いて見たいと思った訳でもなく、またバーゲンセールで出っくわす程、
発売枚数が多い曲でもありませんでした。今現在でもそう多くのLPがあるようには思えませんし、
最近新しい録音が行われたと言う情報もないようです。寧ろ珍しい曲に属するこの曲をラザレフ
が取り上げたのは、ロシア音楽をシリーズで紹介する一環なのだと思います。
四季は普通は春から始まりますが、グラズノフの「四季」は「冬」から始まります。導入部に
続いて少し派手な音楽がffで奏でられますが、ちょっとバッカナールに似た曲想の音楽だと感じ、
その後に期待したのですが、しかし、何処で冬が終わって春に入ったのか、春と夏は何処で移り
変わったのか、残念ながらバッカナールしか馴染みのない私には、よく識別できませんでしたが
音楽は如何にもバレエ音楽と言う感じの明るくリズミックなものでした。
グラズノフはチャイコのバレエ音楽の後継者と言われるようですが、チャイコのバレエ音楽の
域には達していないと思いました。結局はメロディに乏しいからなのだと思います。特にバレエ
音楽はメロディが豊富である必要があると思います。楽理の上で音楽を展開して行く事は比較的
容易い事かも知れませんが、美しいメロディはそう簡単には思い浮かばないのです。
いよいよ秋です。待望のバッカナールが始まりました。久し振りに聴くこの音楽の独特の魅力
に触れる事ができました。しかも、この曲想は秋の中で何回か繰り返されましたので、十分満足
できました。音数が多いせいか決していい音だと言う風には聴こえませんでしたが、ラザレフの
鼓舞に応じた日フィルの頑張りもあり、珍しい曲をある意味満喫できたのです。
この日のコンマスは扇谷泰朋で、やはりバイオリンパートの音が良かったです。厚みがあって
スケール感もあり、日本のオケとしてはトップクラスでしょう。私は一流オケである為の資格は
バイオリンパートにあると思っています。勿論、それを支えるビオラ、チェロ、コントラバスの
強力なサポートが必要である事は言うに及びません。日フィルのビオラ、チェロパートの実力は
確実に向上しています。舞台の右側からもの凄い音圧を感じるようになったのです。それは世界
の一流オケでは当たり前の事ですが、日本のオケでは残念ながら、埋没して聴こえ難かったのが
今までの常識でした。管弦楽と吹奏楽の本質的な違いは弦パートの存在の有無です。薄くて細い
ようなバイオリンパートの音(それに応じて中低域のレベルも下がる)では音楽の根幹が崩れる
と思うからです。
15分の休憩の後は「タコ15」で最後の交響曲です。この曲は戦争をテーマにした交響曲の多い
ショスタコにしては珍しい、音楽的なパロディだと言ってもよいような曲です。それは第4楽章
に現れます。私がはっきり認識できたのは、ロッシーニの「ウィリアムテル序曲」のあの有名な
メロディーがトランペットで何回か提示されるところ、この序曲の最初に現れるチェロのソロの
部分を、ずばりチェロを使って何となく匂わす部分、そして壮大なワーグナーの世界です。
「神々の黄昏」からトロンボーン群とチューバを使った正にワーグナーのハーモニーが会場に
充満します。しかし長くは続かず、それをバイオリンパートが受け継ぐのですが何とトリスタン
に摩り替っていて、あの悲痛な和音が美しいバイオリンのppで示されます。解説書にはハイドン
の「ロンドン」も入っていると書いてありましたが、私には何処で使われたかは認識できません
でした。
パロディは冗談音楽の範疇ですが、ショスタコは真面目にやっていたように思います。この曲
には、ご他聞に漏れず種々の打楽器が使われていて、総勢8人くらいの打楽器奏者が色々な楽器
を駆使して、ショスタコらしさは最後の曲まで健在でした。第4楽章が余りに強烈なアクセント
になったので、第1楽章から第3楽章までは印象が薄くなりました。強いて言えば練習量の違い
もあるのかも知れませんが、総じて同じffでも音の透明感がグラズノフよりあり非常にスッキリ
した音に仕上がっていました。タコ4、タコ8等では途中で耳を覆いたくなる事もありましたが
この第4楽章は楽しめたと思います。
演奏上で感じた事は、上述しましたがラザレフがチェロを鼓舞すればそれに応じた音が返って
来る、同様にビオラに向かって「もっと、もっと!」とゼスチャーすれば、それに応えてビオラ
が頑張ると言うスタイルが日常的に確立できたように思います。正直に言って、これだけの音量
を日フィルの中低域パートから聴くのは、今年に入ってからのような気がします。楽員の人数が
増えた訳ではありません。後のプルトに居る人も含めて、個人個人が弓を目一杯動かして頑張れ
ば、日本のオケでも世界に通用する音が出るのです。そう感じました。
第4楽章の終幕はppで終わります。弦パートのppp とも言える絶妙な音は本当に魅力的でした。
オケの音が止んでもラザレフの両手は上に挙げた状態で静止したままです。会場は無音で、誰も
ノイズを発生しません。ラザレフの指が痙攣するかのようにピクピクと少しだけ動くだけですが、
徐々に下がって来ました。1分以上もの静寂が辺りを支配していたと思いますが、やっと両手が
真下に下り切った頃、パラパラと拍手が起こり始めました。
その間、弦楽奏者はそのまま弓を弦に当てたまま、そう楽員は全て最後の音を出した時の姿勢
を保ったままずっと微動にもしなかったのです。最後にトライアングルが叩かれますが、叩いた
その瞬間の姿勢をずっと保っているのが印象的でした。まるで静止画の世界です。こう言う無音
の音楽もあり得るのかも知れないと思いました。流石、定期会員です。昔はこう言う音楽を途中
でぶち壊す人も居た気がしますが、今は聴衆のマナーはよくなりました。
この曲はソロが活躍するところが多いのですが、最後にコンマス、ソロチェロ、コントラバス
のトップ、トランペットのトップ、木管のトップたちが、ラザレフに労われていました。前席の
左右も埋まる程の盛況でしたが、首席指揮者としての最後の演奏会が、大いに盛り上がったのは
大変良かったのではないかと思います。例に依って、木管のトップを両手に華よろしく従えたり、
それとバランスさせる為か、コンマスとビオラのトップを両手で掴んで上に翳したり、これまで
の長い間の日フィルの頑張りに手応えを感じたのでしょう。ご満悦のラザレフでした。
1688川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sun Jul 3 19:30:00 JST 2016
O.M.さん、電源フィルター使用のご感想ありがとうございます。
私は、相当昔から高周波ノイズの恐ろしさ、外部から侵入する高周波ノイズに依る電源汚染に
危機感を感じ、その対策を考えて来ました。21世紀を迎える頃の話ですが、現今はその時以上に
高周波ノイズは身の回りに溢れ返っています。ノイズを遮断する為の方法は、パッシブなものか
アクティブなものかに別れます。
前者には大別して2つ、トランスを用いるかフィルターを用いるかが有り、後者には正弦波を
電力増幅する方法などがあります。トランスは結合容量から、短波帯域になると効果が薄れると
言う説があり、電力増幅は発振器とパワーアンプをセットで作る必要があり、非常に大掛かりに
なりますので、手軽なパッシブなフィルターを用いる事にしました。
フィルターはコイルの直流抵抗分が特にパワーアンプの場合に問題になりますが、WRのパワー
アンプは幸いにして全段安定化電源で供給されていますので、コイルの抵抗分をなるべく小さく
なるようにすれば特に問題はありません。
どうせ作るならと思い、前回もお話しましたが先ずは3系統(プリアンプ系、パワーアンプ系、
デジタル系)に分け、それぞれに複巻コイル2個、単巻コイル3x2=6個、ノーマルモード用
パスコン2個、コモンモード用パスコン6個、その他120 Ωマッチング用CR素子を使って本格的
なものに仕上げてあります。しかも、コンデンサーにはASC コンやSEコン等を使っていますので、
決して安価ではありませんが、軽い事とコンパクトな点で非常に有利です。
当時でも相当の効果が期待できましたので、製品化の検討もしましたが、PSE の問題があって
断念した経緯があります。今回はO.M.さんに懇願されましたので、自己責任でお使い頂くと言う
お約束で例外的に試作品を提供しましたが、今後、継続して行うつもりはありません。唯、部品
を集めて製作に邁進すれば、技術的な困難さは殆どありませんので半田付けなどの経験がある方
なら製作は不可能ではありません。腕に覚えのある方には製作に必要な情報をお伝えする用意が
あります。
さて、O.M.さんはこの電源フィルターの効果は相当なものだと評価されていますが、私自身は
フィルターを使うのが当たり前で、半ば慣れっこになっていてフィルターの有り難味が分かって
いなかったのかも知れません。その為、O.M.さんが私の試聴結果とギャップをお感じになる事が
多かったようですが、まさかと思っていました。
O.M.さんがもうやる事がない位に色々やっても、思ったような音にならない、私との感じ方に
差異があると仰るので、残された手段として電源フィルターの使用をお勧めしたのです。案の定
その効果は顕著で今回のようなご報告になったのです。
これにはO.M.さんが普通のリスナーではなく、演奏家としてのお立場があり、生音と再生音の
違いにもの凄く敏感でいらっしゃる事が背景にあると思います。ですから、普通のユーザーの方
にどの程度効果があるか定かではありませんが、電源ラインから混入する高周波ノイズを可能な
限り除去する事は決して悪い事ではありません。
しかし何でもそうですが、効能の裏には副作用があり、そのバランスで採用するか否かを判断
するべきかと思います。WRアンプに取って一番無難で効果が明確なものは、やはりフィルターだ
と思います。これまで長い間使い続けていますが、今までに一度も電源フィルターを疑うような
事例はなく、又、O.M.さんも絶賛されていますので、殆ど問題はないと結論付けても良いだろう
と考えています。
先ずは、市販の電源フィルターで予備実験をなさって見て、その効果から今後に期待できるか
どうかを判断されて見ては如何でしょうか? 私は市販のフィルターを2個程度直列に接続した
ものを用意して、テレビ、電話機、石油ファンストーブ、電気冷蔵庫、電子釜、ガス給湯器など
の電源にも入れています。アンプ自身には自ら設計した電源フィルターを使い、高周波ノイズを
発生する機器には市販品を使う事で住み分けをしています。この両方が必要なのです。
学生の頃は適当に作ったアンプでも結構いい音で鳴ったものですが、昭和も40年後半になると
中々そうは行かなくなりました。それは多分に、世の中の電磁環境が悪化した事と密接な関係が
あるように思います。特に最近は、広い意味でのデジタル機器が増えて益々電磁環境は悪化して
います。電気に関係するものでノイズとは無縁なものはフィラメントを有する電球くらいなもの
でしょう。その電球もノイズ発生の危険があるLED に取って代わられようとしています。殆どの
電気製品からは多かれ少なかれ高周波ノイズが漏れる時代になっています。
そんな世の中で一般のオーディオが成り立って行く術は、多分、フォーカスをぼやけた状態に
する事なのかも知れません。O.M.さんも
★適当にぼやけたスピーカーの方がよく聞こえるのでしょう。
と仰っています。この事はスピーカーに限った事ではなく、アンプ等にも当然言える事だと思い
ます。これは想像ですが、OFC 系ケーブルも結果的にそう言う音に仕上げる為の便法だと考えれ
ば、話の筋が通ります。
又録音もワンポイントで音を遠くして、ぼやけて録れば粗が出ない事になります。そう考える
と全てが繋がって腑に落ちるように思います。それとは正反対なアプローチがWRアンプなのだと
思います。生音のスペクトラムを可能な限り再現して、その複雑な音場感も合わせて感じ取れる
ようなオーディオを目指しています。
それを成功に導くには、電源環境の見直しが何時かは必要になると思います。皆様も少しずつ
トライして頂ければと思います。O.M.さんは最高レベルの音を求めて妥協を排して居られますが、
皆様も耳が肥えるに従って、それが必要になる時が必ず来ると思います。
WRパワーアンプをお買いになった方は、先ずWRプリの導入をなさって音のレベルをワンランク
上げる事が先決ですが、もしもやる事が無くなったらその時は電源フィルターの導入を検討して
見ては如何でしょうか。今は大丈夫だと思っていても、耳は時間と共に必ず肥えて来ます。下手
なアクセサリーに手を出すくらいなら、電源フィルターを導入した方が余程効果が確かだと思い
ます。
1687O.M.さん(アマチュアコントラバス奏者)
Wed Jun 29 13:04:35 JST 2016
電源フィルターのその後、WR電源フィルター(試作品)について
先日電源フィルターで投稿いたしました。
その後川西先生にお願いし、試作品として電源フィルターを
製作して頂きましたのでご報告いたします。
先の当方の投稿のように、市販フィルターを用いることで、高周波ノイズが減ると
再生音がどのように変わっていくのかわかりましたが、まだまだ先生と当方の間には
大きな溝があるように思われました。先生はレコーディングで演奏家と現場に
いらっしゃるわけで、現場の音を知っていればこんなレベルで満足するはずはずは
ないと思ったのです。
そこでさらに、先生が製作したフィルターを貸していただけるよう
お願い申し上げ拙宅で試すことが可能となりました。この先生のフィルターを
入れた途端、今までとは何もかもが違う音の世界が広がりました。
同じシステムでも全く違う音です。音がどうのこうのというそんな瑣末な話の
レベルではなく、聞こえるものが全く違います。
楽器が生生しいだの、奥行きが出ただのは当然でして、そのレベルをはるかに凌駕し、
まさに録音された現場にいるかのようです。やっと先生の感覚と自分の感覚が同一
平面上にあるんだと確認できました。
オーディオはちゃんとやればここまで出来る。
やっと、当方がこの15年間オーディオで追い求めてきたものは実現可能だったんだ、
真実だったんだと確認することが出来たのです。
WRアンプを購入してからもセカンドオピニオンとしてネットの情報を漁って
独自に勝手に試行錯誤し散財し続けました。
しかし結局すべての解決策は先生の積年のご経験とノウハウの中に存在していたのです。
さてこれでは市販フィルターをいくら集めても高が知れていると思い知り、
先生に無理を言って当方用のフィルターの試作をお願いすることとなりました。
その新しいWR電源フィルター(試作品)は驚くことに拝借したフィルターよりも
格段に進化しており、楽器の音にまとわりついていた「安っぽい感じの音」が
激減しました。
当方は数ヶ月前に先生と同じスピーカー805MATRIX を導入しましたが、
805MATRIX は再現性が高いスピーカーゆえだと思いますが、電源環境が悪いと
それがそのまま嫌味な音となり、低域が薄く高域が強烈にキンキンする音が盛大に出ます。
どうもそれが、B&W が鳴らしにくいと言われる所以なのではないのかと思われるのです。
電源環境が悪い一般家庭では適当にぼやけたスピーカーの方がよく聞こえるのでしょう。
低音というものに着目すれば、WR電源フィルター(試作品)を入れると、
805MATRIX が今までよりも1オクターブも2オクターブも下にレンジが
広がったように感じます。ベース弾きの当方が聞いても余裕を感じる十分さです。
個人的に、ジャズベースの神様ポール・チェンバース『 BASS ON TOP』は
弓弾きの音が全く酷く生っぽさを全く感じない音で聞けない音源でした。
これはCDでもレコードでも同じ印象です。
これがWR電源フィルター(試作品)を入れて初めてやっと、いやー上手いなあ、
面白いなあ、と楽しめます。当方も彼と同じ生ガット弦を使っておりますし、
同じく生ガット弦を使用しているジャズベース奏者のライブも頻繁に行って聴衆として
聞く感じもわかっておりますので一般的なリスナーよりは音の基準が相当厳しいはずです。
その当方が聞いてやっと初めて違和感がなくなり音楽として楽しめるように
なりました。
このWR電源フィルター(試作品)の導入で、全く先生の聴取環境と同じとは
言わないまでも間違いなく近づいたと実感しております。
この段階でも相当聞きやすいのですが、生演奏の現場に比べてしまうと
もう一歩満足いかない部分も見受けられました。
折しもカスタムプリの話題が出て早速当方もお願いいたしました。
さらにどうなるのか期待が膨らみます。
1686川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Tue Jun 28 14:00:00 JST 2016
ウエストリバーの最高峰プリアンプ、ΕC-1Hのカスタム化のその後
これまでもそうでしたが、アンプの音が向上し一段落すると、逆に電源SWを入れる機会が減る
傾向があります。音が悪いと思っている時は、どうも気になってまめに音のチェックを重ねるの
ですが、取り敢えず満足すると安心するのか気が抜けるのか、或いはちょっと疲れてしまうのか
少し遠ざかってしまう事があります。
今回は、他にやる事があったからでもありますが、やはり安堵して気を抜いていたと思います。
しかし、昨日の日曜日は仕事の谷間と言う事もあって、少し集中的に聴いて見ました。先ず気に
なっていたLP、ジュリーニ/ロンドンフィルの「ドボ7」(仏EMI:2C 069-02830 Q)を聴き直して
見ました。
このLPについては過去に一度書き込んだ事がありますが、当初はロンドンフィルのストバイが
細くヒステリックで、それが全体のバランスを崩して生音のようには聴こえませんでした。左端
に音が食み出すと言う感じです。前稿で「金切り声」と書いた所以です。これには色々な原因が
考えられますが、録音そのものとその再生の難しさが主な問題点だと思います。主たると書いた
のは、元々生音にもその遠因があると思うからです。
先日の日フィル定期でよく分ったのですが、シューマン、ブラームス、そしてドボルザークは
同じ傾向の音がして、何れもバイオリンパートの音は心地よく響きません。硬質でザラツキ感が
あって、お世辞にも美しい音には聴こえないのです。そう言うような、和音になっているのかも
知れません。ですから、これらの作曲家の音がどのように再生されれば正解なのか、生の演奏会
に出向いて確かめて置く必要があります。
さて、これまで同じ音場内にバイオリンパートの音が収まらず、音楽を楽しむところまで行か
なかったのですが、改めて聴き直して見て、バイオリンが細いと言う事は変りませんが、兎に角
一つの音場内にオケの音が纏まって、ある程度の距離感を持って聴けるようになったのです。
これなら「EMI 録音は悪い」等とは言えないでしょう。寧ろ、ドボルザークの音を見事に捉え
ていると言えると思います。もし今回のカスタム化が無ければ「この録音はダメ!」と言う烙印
を自分の中で押していたかも知れません。総じて大進歩です。
気を良くして久し振りにジュリーニ/ロスフィルの「ブラ2」(28MG 0216)も聴いて見ました。
もうどんな音だったかを忘れていたくらい聴いていません。当然聴いたばかりの「ドボ7」との
比較で聴いてしまう事になります。ロスフィルは、ロンドンフィルより少し全体的に厚みを感じ
ます。それに独グラモフォンの録音はEMI 録音に比べて音が近いです。どちらが聴きやすいかと
言えばEMI 録音の方かも知れません。
先日の日フィル評で、「ブラ2もシューマンを引き摺って音が硬質だ」と書いたと思いますが、
その時の音に似ていて、やはり独グラモフォンの録音もそう言う感じに聴こえるのです。この音
をちゃんと再生するのはかなり難しいと思いました。基準となる生音を聴いていなければ、合格
点を与えられるか迷う音です。評論家の評価が低いのも頷ける話です。多分ドイツ人の技師には、
この音はブラームスしては当たり前の音なのかも知れません。
それでも不思議なもので、本当に嫌な音だと途中で針を上げたくなりますが、結局、最後まで
聴いてしまったのです。嫌な音の原因がエレキの場合は耐えられませんが、ナチュラルなもので
あれば人間の耳は受け入れる事ができるのでしょう。それにしても、もう少ししっとり感がある
と期待していたのですが、それはWRアンプに何らかの問題が有った時の幻に過ぎなかったように
思います。何故って、現場でも似たような硬質感があったので、今の音の方が正解だと思うから
です。
最近、頂いたWRアンプ試聴レポートの中に、似たような事を仰っている方がいらっしゃいます
ので、少しだけ紹介させて頂きます。この方はWRの120Wアンプを使って、LCネットワークに依る
3ウェイを楽しんで居られたのですが、この度、Ε-10Hを2台導入されて、チャンデバを使った
マルチに切り替えられた方です。
■EC-10H作成御礼申し上げます。
■アンプのエージングとチャンデバの調整をしながら、聴いています。
■まず、ネットワークのLCから解放されたウーハーが、リミッターを解除したように、
■低音から中音まで気持ちよく鳴っています。ミッドのドライバーとトゥイーターも
■保護コンのみになりましたので、ストレスなく音が出ています。
■簡単に表現しますと、オーデイオの音からライブの音(生の音)に近くなりました。
■生の音(源音)は、ただ単に聞きやすく、刺激がなく、余韻のきれいな音ではなく、
■瞬発力がありパワーがあり、突き刺さるような音でありながら、嫌な音ではなく、
■音に艶があり、美しい音色で、優しくもあり余韻も美しいです。
■例えますと、表現が適切かわかりませんが、ネットワークの音は、天然の名水を、
■わざわざ浄水器を通したように思えます。
■EC-10Hを2台導入することにより、マルチを組むことができましたことを、
■重ねまして御礼申し上げ、簡単ながら感想御報告申し上げます。
この方はWRヘッドアンプ+旧型プリでLPも楽しまれている方で、このご感想の中には当然の事
ながらプリアンプに依る「プリ効果」も含まれています。又昔は簡単には成功しなかったマルチ
ですが、完成度の高いWRアンプをお使い頂ければ、比較的簡単に成功できるようになっています。
続いて少しCDを聴いて見ました。座右にあるテストCDは皆クリアで実質的にテストCDではなく
なってしまったので、WR録音を聴いてみました。これを録音した息子は独グラモフォンの録音を
良しとしているので、どうしても明確で誤魔化しのない音に録ります。現場の音をリアルに再現
しようとするのです。最近のワンポイント録音のように聴き易く録ろうと言う風潮とは真逆です。
又DSD のような1ビット系の録音システムを使わずに、あくまでもハイビット(24Bit 96KHz)で
録音しています。息子はDSD では本当のリアルな音は録れないと言っています。
今回聴いたのは、少し古い録音(4、5年前)ですが「ショパンのP協1番」です。このCDは
ショッピングサイトでも販売していましたのでご購入頂いた方もあるかと思います。沢田千秋の
独奏で、バックはKoike Strings のメンバーでピアノ六重奏版になっています。
実はこのCDが出来上がるまでに、何回ミックスダウンを繰り返したか分らない程、息子に付き
合って嫌と言う程聴いています。部分的ではありますが、余り聴き過ぎますともう聴きたくない
と言う風に耳が拒絶するようになり、実はこれまでまともに聴いた事がなかったのです。直ぐに
CDプレーヤーのOpenボタンを押してしまうのです。
今回は久し振りだった事もあって、結局1曲通して聴いてしまいました。やはり再生音も相当
良くなった事があると思います。生理的に受け付けない音を、40分近くも聴いてはいられません。
当時はピアノの再生に未だ問題点が多々ありましたが、今はそう言う心配は要りません。ピアノ
の音は結構良く録れていると思いました。ショパン特有の右手の細かな動きが、1音1音明瞭に
分離して楽しめました。バックのストリングスも悪くありませんが、バイオリンと拮抗する位に
ビオラ、チェロがもう少し馬力があればと感じないでもありませんでした。
CDの再生がアナログっぽい音に聴こえるようになった、と言う好印象は相変わらず感じました。
だからと言って、LPの音が鈍った訳では決してありません。寧ろ、LPはシャープになった気すら
します。CDの音がアナログっぽく聴こえるようになったのは、上辺の問題ではなく何処か本質的
な部分が解決したからなのでしょう。それがL-Pad だったのかも知れません。
前回は言及しませんでしたが、そのアナログっぽい音になったと言う一つに低音の質の変化が
あるように感じています。一般論として、LPの低音は良い意味で柔らかに感じますが、CDの低音
はちょっと素っ気無く、無機質に感じる事があります。低音が出てる出ていないの問題ではなく、
肌への当たりが違う気がします。これは微妙なもので声高にあーだこーだ言う程のものではあり
ません。
唯、私が率直に感じるのは、CDの低音が少し柔らかくなってLPの低音に近くなったと言うこと
です。今の段階で「だからどうだ」と言える程の事ではありませんが、今回初めて感じた低音の
変化について、一応触れて置くべきかと思い書き記すことにしたのです。これはアナログっぽく
なったと言う事実の一環であって、特別に書き立てる事ではないのかも知れません。単にその事
が当然ながら低音にも及んでいると言うことなのでしょう。斯くして、LPとCDの音の感じが似て
再生されるようになったように思います。
最後に、H.T さんからも続報を頂いているので、此処で皆様にもご紹介させて頂きます。
●今日の午後はだれにも邪魔をされずにかなり長時間音楽を聴く事ができました。
●全アンプのスイッチが8時間以上入っていたのは久しぶりです。
●ツイーターがT-500Aとなった事もありますが、
●今回のプリのカスタム化効果はやはり大きいです。
●とにかくこれまで苦手だったソースをかなりのレベルで問題なくカバーします。
●先生の言われる通りで、安定感&品格の向上、という表現がぴったりです。
●正直、ホーンを多用しているシステムなので、弦楽器の再生はキツい部分があるのは
●ある程度止むを得ないのかと思っていましたが、先生にご推薦戴いた
●パガニーニ・アンサンブルの「煙が目にしみる」などを聴いても
●耳障りな擦れ音などほとんどせず、まさにシルキーで高音質なアナログ盤を
●聴いている様な感じです。
●JAZZでもちょっと録音に問題があるかな、というソースでも
●チャンデバのアッテネータをわずか弄るだけで、難なくこなしてしまいます。
●とにかくソースに対する対応力がかなり上がっている事は間違いがなく、
●これまであまり聴かなかったアルバムを次々に聴いて楽しむ喜びに浸っています。
と述べられていて、聴くジャンルが異なるものの、私の感じ方とそう大きな違いはないと言う
事が分かりました。最高レベルの音を追求なさりたい方に今回のカスタム化と言う選択肢を与え
て下さったH.T さんには、本当に感謝申し上げる次第です。その恩恵はご希望さえあれば他の方
も共有する事ができます。L-Pad を作ったり再配置をするのは結構面倒ですが、お望みなら苦労
は厭わないつもりでおります。又、今は無理でも将来への希望ができた事になります。ΕC-1Hの
価値も自ずと上がる事になると思います。
今回の事からも基本的にはパワーアンプがモノを言いますが、しかしそれは優れたプりアンプ
無しでは、やはり考えられない事なんだと言う事を改めて感じた次第です。昔からプリアンプと
パワーアンプをセットで考えてきた高級オーディオは、それなりに正しい方法論であったと思い
ます。
1685川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Wed Jun 22 23:00:00 JST 2016
H.T さん、ΕC-1Hのカスタム化のご発注とそのご感想ありがとうございます。
もし、今回、H.T さんがカスタム化のお申し込みをなさらなければ、私自身の考えでやる事は
あり得なかったと思っています。それはギリギリ戦前生まれの私の世代は基本的に貧乏性だから
です。とことん贅沢をする事は控えるべきだと言う習性が染み付いています。だから中途半端で
止めてしまう傾向があるのです。
ΕC-1Hが完全であるとは思っていませんでしたが、だからと言ってこれ以上のアップグレード
は慎むべきだと思っていたのだと思います。しかし、ユーザーの方からそのような注文があれば
これは別問題ですから、全ての技術的な蓄積を駆使して立ち向かうのが務めです。今現在の研究
成果を惜しみなく注ぎ込んで、今回のカスタム化に挑みました。もし未だやり残した事があると
すれば、半分くらいのパーツに残っているカーボン抵抗とセラミックコンデンサーをニッコーム
(進抵抗)とSEコンに置き換える事くらいでしょう。
さて、H.T さんの明確なご指示はL-Pad 型アッテネーターを使う事でした。高級志向に不慣れ
な私には無縁の部品でした。唯、相当昔に興味本位でP型アッテネーターを手作りした事はあり
ましたので、スイッチで抵抗を切り替える方式は一応経験済みでした。Pad と言う言葉はマイク
プリを製作した時に出合っていて、一時的に音を小さくするスイッチのことです。Lと言うのは
多分、抵抗の配列の形のことで、此処では2本の抵抗を使って分割すると言う意味だと思います。
これを今回は23組作ってスイッチで切り替えると言う事になります。P型はVRの摺動部分を抵抗
と接点に置き換えたもので、抵抗が接点数だけ直列に接続される事が欠点です。
摺動部分が無くなってもスイッチの接点がいい加減では元の木阿弥です。スイッチとして一番
信頼できるセイデンを使うのが順当です。もっとも、4段-4回路-23接点などと言うスイッチを
作っているのはセイデンくらいなものでしょう。このスイッチだけでも、\15,000 はしますから
完成品が数万円するのも頷ける話です。使用する抵抗値は半端な値が殆どですから、普通の抵抗
(24系列)では数値が殆ど合いません。単価の高い精密級の抵抗を使う必要が出てきます。
未経験のまま他人様のアンプを作る訳にも行きませんので、自分でも作って見る事にしました。
普段よく回す減衰量の辺りを精密に調整できるようにする為、最初の12ステップを1dB 刻みとし、
そのあとを2dB 、3dB 刻みにして最終的には-40dB にして見ました。あとで分かったことですが、
音量を絞り切る辺りが粗いので、その辺りを重視する人には向いていないと思いました。それと
現行のΕC-1Hのゲイン配分に於いては、-40dB の減衰量は不足で-50dB は必要かも知れません。
精密抵抗を約46本も集めるのは割高ですし凄く面倒です。そこで普段気楽に使うカーボン抵抗
を2本使って合成する事にしました。1接点当たり4本の抵抗が関与しますが目を瞑る事にしま
した。例えば46.5K なら 39K+7.5Kと言う具合です。一般的な24系列で全ての抵抗値を用意する
事ができました。ですから抵抗代は殆ど掛かりませんでした。
一応、L-Pad 型アッテネーターが完成したので、我がΕC-1Hの中を開けて見ると上手い具合に
VRの付いている部分にL-Pad が収まるスペースがあり、早速組み込んで音を聴いて見る事にしま
した。その第一声を聴いた時に私がH.T さんに送ったメールは以下のようです。
○音質は、そもそも問題になる音が減って来ていましたので、問題の音に効果が
○有ったと言う程の変化はありませんが、簡単に言えばCDの音が、アナログっぽい音に
○聴こえるようになりました。デジタル臭が減ったと言えるかも知れません。
と書いています。CDの音とLPの音を聴きくらべて一番違うのは、やはり昔から言われてきたデジ
タル臭と呼ばれる一種の硬さがCDには付き纏う事です。逆に言えばLPより剛性のある音を出す為
には良い傾向の音だと思いますが、耳に刺激感を伴うのであればそれは問題外です。今回はこれ
が絹のような肌触りになったように感じました。やはり摺動部分には何らかの問題があるのかも
知れませんが、実用的に使えないと言うようなレベルでは全くありません。普通に音楽を聴く方
には大した違いには聴こえないでしょう。
ところで、L-Pad 以外に私がH.T さんに提案したカスタム化の要点は次の4項目です。
1.全段を安定化電源で供給する事。
2.ラインアンプを2段差動化し高電圧化(±18V )する事。→ 旧型プリの2段差動と同等
3.送り出しアンプを高スルーレート化する事。
4.EQ基板(元々2段差動)も設計変更して高電圧化する事。
これだけの内容を収納する為に、余裕を見てタカチのWO-70-43-33 と言うシャーシを使いました。
暫くこの状態が続いて、聴く度にCDの音が柔らかくなったのかなと言う風に感じていましたが、
ついにH.T さんのカスタムプリアンプが完成したのです。L-Pad と切替SWはH.T さんが手配して
下さいましたが、L-Pad の完成品には、OFC リード線を使った抵抗が使われているものが殆どだ
そうです。それだけは止めましょう、とH.T さんに申し上げたのでした。
斯くしてカスタムプリが完成し、最初に試聴した時の印象をH.T さんに報告したメール文は
○これまでで最高の安定感と品格を感じました。曖昧さが全然ありません。
と言う単純明快なものでした。行き着くところに行ったかなと言う感触がありました。納入後に
ちょっと寂しく感じたのと、やはり、提供した音のレベルは自分のところでも聴けるようにして
置くべきだと思いましたので、一気に行かずに先ずはΕC-1Hの電源を安定化電源にして見ました。
L-Pad を付けた時に安定化電源の基板を入れるスペースは、他の基板をずらせば可能である事を
確認してありました。しかしこれは楽な作業ではなくトランスの交換からしなくてはなりません。
それでも、自分のΕC-1Hから「あの音」を聴いて見たいと思う気持ちがそれを可能にしたのです。
安定化電源化した時の印象をH.T さんに報告したメール文は次のようなものです。
○安定化電源化が終わり、音のダイナミズムが自然になった事が確認されましたが、
○まだH.T プリと比べて、隠れた弱音部の明瞭さに若干差があるように感じております。
この文を今になって吟味すると、カスタム化によって音のダイナミックレンジが広がった事に
なります。音が大きくなったり小さくなったりするその変化の仕方が、より自然になったのだと
思います。その事に安定化電源が大きく寄与していたのでしょう。この時点では、安定化電源に
直に繋がっていたのは送り出しアンプだけで、ラインアンプとEQ基板は未だデカップリング回路
(非安定化電源だったΕC-1Hの名残り)を経ていました。今更ですが、やはりアンプに供給する
電源は電源インピーダンスを直流域から低く保てる安定化電源にするに越したはない、と言う事
だと思います。
旧型プリは、当初から迷わず安定化電源を採用して来ましたが、それに比べてコストダウンを
余儀なくされた新型プリは、組立の手間も考慮して非安定化電源を採用せざるを得なかったのが
真相です。良くても売れなければビジネスは成立しません。痛し痒しなのです。
安定化電源化でH.T プリの音のレベルに追い付いた訳ではありませんでした。まだ隠れた楽器、
即ち、内声部を支える普段は目立たない楽器の音が、控えめながら明確に浮かんでいたH.T さん
のプリのようには鳴ってくれなかったのです。短時間でしたが、H.T さんのプリを試聴した時に
その特長を私の耳は覚えていたのでしょう。
そこで、次にラインアンプの2段差動化を試みる事にしました。この2段差動化は旧型プリの
アップグレードで経験済みで相当の効果が期待できます。2段差動化を行うと言う事は、同時に
電源を安定化電源に直に接続する事になります。わざわざデカップリング回路を残す必要がない
からです。これは、基板の裏側にTRや補償コンデンサーを忍ばせるなどの工夫で実現しています。
2段差動化を試みた時の試聴レポートは、以下のようなものです。
○やはり、普段は目立たない、しかし聴こえると音楽がより一層深く理解できる音が、
○より明瞭に聴こえるようになりました。
結果が分かってからこの文章を書いていますので、2段差動化の効果を、予め分かってやった
ように書いてしまっていますが、勿論、実際にやって見るまではどんな所に影響が及ぶかは知る
由もなかったのです。唯、2段差動はプッシュプル動作ですからシングル動作に比べて種々の点
で物理的特性が優れており、音質上有利になる可能性はかなり高いのです。そこまで分っていな
がら敢えてシングル動作を採用していたのは、必要十分ならそれで済まそう、と考えたからだと
思います。貧乏性の所以です。
しかし、これでも未だH.T さんのプリの音には追いついていないところがありました。それは
細かな音の分離が今ひとつであった事です。例えばストリングスのバイオリンのffで、もう少し
細かな音がH.T さんのプリからは聴こえていたのですが、それがちょっとのっぺらぼう的に聴こ
えたのです。此処は私が一番重要視する部分ですから一歩たりとも引けません。ストリングスは
バイオリン一挺だけの音ではなく、何十挺もの音が合わさっています。その感じが出て欲しいの
です。
それで送り出しアンプ(実際はΕ-10Hとほぼ同じ回路の基板)の高スルーレート化を試みる事
にしました。プリのハイブリッド化は行いましたが、高スルーレート化は私の貧乏性から見送っ
ていたのです。高スルーレート化を行った時のH.T さんに宛てたレポートは次のようなものです。
○午前中に高スルーレート化を行い聴き直しましたところ
○CDはバッチリ同レベルの音になりました。LPはまだ細かな切れの点で
○少しだけ劣るような気がしましたので、最後の±18V 化をこれからやって見るつもりです。
遣り残していたプリの高スルーレート化が、私が一番重要視するストリングスの分解能に効く
とは何とも皮肉な事でありました。そして、設計変更を行って高電圧化したEQ回路に、自分のEQ
基板も作り変えたのです。その時のレポートは次のようなものです。
○EQの抵抗を8本、コンデンサー2個を取替え、電源を安定化電源にダイレクトに繋いで
○電圧を±18V にしたところ、LPの音もH.T プリ級に細かい音までしっかり出るように
○なりました。
細かい音の分離が良くなったのは勿論ですが、もう一点、例えば金切り声を上げるような感じ
に録音されたストバイの音が、許容範囲で聴けるようになった事も嬉しい結果でした。食み出て
いたその音が、兎にも角にも音場内にバランスして納まったのです。あと一つはH.T さんも指摘
されていますが、円盤が回っている、と言う事を感じさせるノイズのようなものが殆ど気になら
なくなった事です。その意味ではLPの音がCD並みのS/N 感で聴けるようになったと言えるように
思います。
一気にやらずに段階を踏む事に依って、大体、何が何処に効くかが理解できたように思います。
纏めて見ますと、
1.L-Pad → デジタル臭が消える方向。(アナログっぽい音になる)
2.安定化電源化 → 音のダイナミズムが自然になる。(音が大きくなっても
デフォルメしない)
3.2段差動化と安定化電源供給 → 目立たない隠れがちな音が薄っすら浮き出てくる。
4.高スルーレート化 → 細かな音の切れ込みが改善する。
5.EQの高電圧化と安定化電源供給 → LPの音の切れ込みが良くなり音にゆとりが生まれる。
となります。勿論これらの効果が総合されて最終的な結果に結びついていますので、一つだけ
取り出して云々する事は余り意味がないのかも知れません。
参考までに申し上げて置きますが、SEコン仕様のEQ基板とL-Pad 込みで、このカスタムプリの
お値段は約25万になります。能率よく詰め込めば、オリジナルのΕC-1Hのシャーシでも実現可能
ですが、その再配置は結構面倒であり、トランスの交換、安定化電源基板の製作、2段差動化の
為の基板変更、高スルーレート化、EQ基板の高電圧化、そして、L-Pad の製作などを勘案すると
アップグレード代は10万近くになってしまうと思います。それでも価値があると思うかどうかは、
ユーザーの方々のそれぞれのオーディオと音楽の経験値に依ると思います。殆ど分らないと言う
人が居ても不思議ではありませんし、これは絶対に避けては通れないと思う方もいらっしゃるで
しょう。それ程、高度な音質レベルの話しなのです。
最後に思う事は、「たかがプリ、されどプリ」と言う名句は言い当てて妙です。プリの選択を
誤るとオーディオの敗北者になり兼ねないと思いました。
* * K.G さん、B&W805MATRIXのご購入の報告とそのご感想ありがとうございます。* *
B&W の生みの親は2人ですが、その一方の技術担当の方はMATRIXが最後の仕事になったはずで、
その後のB&W のスピーカーには関与していないはずです。だから真のB&W はMATRIXだけだと思い
ます。私はそう信じてずっと今までスピーカーを固定してアンプの研究を行って来ました。
信じた甲斐があって、これまでにどんなにアンプが進歩しても、それが音として表現できない
と言う事はB&W805MATRIXに限ってありませんでした。今回の微妙なプリの音の変化も正確に表現
してくれています。本当に信頼できるスピーカーです。
K.G さんに相談された時も「上ものなら絶対に買うべきだ」と進言しました。K.G さんも忠実
に音を再現するスピーカーだと仰っています。原音再生に力点を置いてオーディオをやっている
方には、本当に有り難いスピーカーだと思います。
当初は手前のアンプがプアーだった事から低音不足感は否めませんでしたが、今はサントリー
ホールで良質な生の低音を聴いているにも拘わらず、全く欲求不満になる事がありません。十分
に聴き応えがあります。一般のアンプでは中々鳴らし難いスピーカーなので、まだまだ中古市場
に出て来る可能性があります。音楽を愛しライブを愛する方には最高のスピーカーだと思います
ので、もしチャンスが有ったら入手して見て下さい。WRアンプで鳴らせば最高のパフォーマンス
を示すと思います。
1684K.Gさん(自営業)
Sun Jun 19 23:21:43 JST 2016
ウエストリバーアンプのリファレンスとなっているようなmatrix 805を購入してしまいました。
もともとは同じブックシェルフ2ウェイのウエストレイクLC8.1 を使っています。
LC8.1 でもウエストリバーアンプと組み合わせると歪みのない音が出てきて驚かされました。
今回matrix 805と入れ替えてみると、一長一短はあるものの音の解像感、音像の立体感は
明らかにmatrix 805が上です。
比較するとLC8.1 は茫洋とする印象です。
反対にLC8.1 はこれがいいところでもあって、聞くジャンルによっては耳馴染みが良いよう
にも思えます。
しかし、明らかにハイファイなのはmatrix 805に感じられます。
それにLC8.1 はスーパーツィーターとサブウーファーを足しているのに、
それよりも高域から低域までフラットな音が出ています。
LC8.1 は映画などのマルチチャンネルにも使用しています。
ですのでブックシェルフの利点を生かして、ピュアオーディオ用にはmatrix 805を、
マルチチャンネルにはLC8.1 を使用していこうと思います。
.
1683H.Tさん(会社員)
Sun Jun 19 01:31:12 JST 2016
EC-1Hのカスタム化について
いつも変わりなくオールウエストリバーの5Wayのマルチアンプシステムで音楽
を楽しんでおります。いまのところこのメインシステムの音については殆ど不満らし
い不満はありません。一方で就寝直前にちょっとだけ音楽を楽しむ際は、フルレンジ
によるサブシステムを聴くことにしていて、こちらの方がむしろスイッチを入れる回
数は多いかもしれません。
サブシステムの方はメインアンプのみE-5Hでプリは他社のものですが、たまに
メインシステムのEC-1Hを繋いでみると、明らかにその方が良い音なので、いつ
かはEC-1Hがもう一台欲しいなあ、などと夢想しておりました。
EC-1Hをもう一台などと、贅沢の極みですが、どうせお願いをするのなら、E
C-1Hをグレードアップする術はないか、などとよからぬ事を今年になってからず
っと考えておりました。
EC-1Hをこれ以上アップグレードするなど、不遜の極みかもしれませんが、素
人目でみて敢えて挙げるとすると、ボリュームがカーボンの汎用の摺動型であること
が気になりました。
これまで、真空管アンプをせっせと自作していたころから、ボリュームで音質がか
なり変わる事は解っておりましたので、小生のEシリーズのパワーアンプは全てボリ
ュームを省いて戴いております。
EC-1Hは回路技術の妙でパーツへの依存性は殆ど無いと思っておりましたしボ
リュームの入る回路上の位置からみても、音質に与える影響は殆ど無いであろうこと
は理解しておりましたが、もし、ここを抵抗アッテネーター式にして、僅かでも音質
が更に改善されるのならと思い、川西先生に相談してみました。
果たして、「効果は定かではないが、やってみても良いでしょう」とのことでした
ので、一気に小生のEC-1Hのカスタム化への思いが盛り上がることになりました。
マニアの悪い癖で、どうせアッテネータ式にするなら、抵抗が直列に多く入るP型
より、常時抵抗が2本だけ入るL-pad型にしよう、ロータリースイッチは現時点で最
高と思われるセイデン社製にということで、4月に入ってから、先生にご相談しつつ
検討を始めました。
しかし、非OFCの抵抗を用いたL-pad型の既製品は選択枝はあまりなく、抵抗値
もEC-1Hに最適な物は皆無で一時は自作も考えましたがなんとか見つかり、L-p
ad型のアッテネーターをEC-1Hにビルトインする目途が立ちました。セレクター
スイッチもセイデン製としました。
どうせ、そこまでやるのですから、僭越を顧みず川西先生にこの際考えらるアップ
グレードを全てやってみたいですとお願いし、以下の内容をご提示戴きました。いず
れもこれまで先生が実績を積まれた内容ですが、完成度の高いEC-1Hで敢えてそ
こまでやる必要は殆ど無いと思われた部分で、音質の寄与度もそれほど無いかもしれ
ないとの事でした。しかし、悔いを千載に残すよりも、プラシーボ効果も良しと割り
切り、全て現時点で考えられる事を今回のカスタム化にあたり盛り込んで戴く事にし
ました。冒険と言えば冒険ですが、現行のEC-1Hより少しでも効果が認められれ
ば僥倖と考えました。
ボリュームの抵抗アッテネータ化以外のカスタム仕様の4項目とは以下の通りです。
① 定電圧電源による全段定電圧駆動化
② ラインアンプ部の2段差動化
③ 終段(パワーアンプ部)の高スルーレート化
④ フォノイコライザアンプの高電圧駆動化
これらは相互に関係する部分もあり、それぞれ相乗効果が期待できるのではないか
との事でした。
追加される定電圧電源、L-padアッテネーター等で内部がかなり高密度化するので
シャーシーは現行のEC-1Hより数cm横幅が大きくなりました。
セイデンのロータリースイッチはより大型で多接点の高級なものが様々ありますが
セレクタースイッチ共々最も廉価なものとしました。接点数も大型のものならもっと
増やせるのですが、小型では最多の23接点で十分と判断しました。なにしろL-pad
アッテネーターの効果が定かではないのですから、これ以上エスカレートするのはさ
すがにまずいと自粛しました。
川西先生も、L-padアッテネーターの効果を検証されたい、とのことで、小生がセ
イデンに発注したものとは別に、セイデンのロータリースイッチを入手されEC-1
Hのゲインにふさわしい抵抗を装着されて追試をしておられます。
カスタム仕様のEC-1Hが届くまで待ちどうしい日々でしたが、先にL-padの実
験をされた先生から、「L-padの効果はそれほど大きな差とは言えないが、CDがア
ナログ的な音になった感じで、少なくとも悪い方向の変化ではありません」とのメー
ルを戴き、EC-1Hの音の完成度は高いのだな、と思うとともにその「わずかな差」
を楽しみに待つ事になりました。
カスタム仕様のEC-1H完成の報が先生から届き「その他の改良も全て施し、試
聴したところ、ほんの僅かだが、しかし確かにグレードアップ効果が認められます」
との事でしたので、納品の少し前からいつも聴きなれた愛聴盤のLP/CDを何度も
聴き直しました。若い頃なら15kHzまで聴きとる事ができたのですが、今では1
2KHzもかなり怪しく、最近は自分の耳にあまり自信がなくなりつつあるのです。
それでも装置をグレードアップしたいなどと思うのですから、自身のオーディオマニ
アとしての性癖に苦笑するほかありません。
果たしてやってきたカスタム化EC-1Hの大きい事、ちょっと圧倒されましたが
私のラックに充分収まる大きさですし、以後直ぐに慣れてしまいました。
試聴用に準備しておいたソースは小生としては、当然JAZZが中心でマイルス、
エリントン等の往年の名盤の中でも比較的音質が良いと思われるものや、ケニー・
バロンの近年の録音等です。
音が出てまず感じたのは、「静かに(大人しく)なったかな?」という事です。
しばらくして、それが今まで団子状に聴こえた部分がほぐされたのではないかな?
と思いました。?マークが付くのは、オリジナルのEC-1Hと何しろ僅かな差であ
るからなのです。元のEC-1Hに戻して聴き直し、それを何度か繰り返して、その
部分の音質向上が確かな事なのか確認するのですが、時間があくと聴き分けられるか
否か自信がありません。このあたりは文章で表現する際には、ややもすれば大げさに
なってしまうので、くれぐれも誤解の無い様にと思って書いています。オリジナルの
EC-1Hの完成度は十分に高いのです。
エリントン楽団のサックスセクションのそれぞれの奏者の音の見通しが良くなり、
マイルス・クインテットのトニー・ウイリアムスのドラムの色彩感がこころなしか
増し、という様に、まあ、枝葉末節と言える様な細部のそれぞれほんの些細な向上を
幾つか指摘できる程度なのです。
しかし前言を翻す様ですが、思い切って書いてしまいますと、不思議なのはアルバ
ム全体の印象と言うか音楽全体をマスで捉えると、音楽そのものの印象が変わり、ア
ルバム一枚を聴き終わった時の感動がより深いのです。
永い事聴いてきた愛聴盤がまた一層の感動を与えてくれる様になった、などと言う
となんと大げさな、と思われてしまいますが、WRアンプのファンなら必ず解って戴
けると思います。以後多くの音源を聴き直し、その確信は深くなっています。LPと
CDの差も以前ほど意識せずに音楽に浸れる様に感じます。先生が「CDがアナログ
的になり、デジタル臭みたいなものが減少した様に思います」と言われた理由が解っ
た気がしました。
更に、確実に言える事があるとしたら、LPの音質の向上です。アナログ特有のパ
チパチいうノイズ、いわゆるスクラッチノイズが明らかに減少した様に聴こえるので
す。先生のお話ではおそらく安定化電源の搭載による電源インピーダンスの低下で過
渡特性が良くなり、音の立ち上がりが改善されたせいでしょう、との事でした。これ
は小生にも経験があります。自作のフォノイコライザのハムがどうにもとれず、乾電
池を直列にして必要な電源電圧を得たのですが、なんともダイナミックレンジの狭い
鈍い音になってしまい、フォノイコライザみたいな小電力の回路でも、電源インピー
ダンスは低い方が良いと思い知ったのです。このたびのカスタム仕様のEC-1Hの
電力ははすべて定電圧電源から供給されており、その電源インピーダンスは極限まで
低いとのことで、この様な結果がでるのもあながち不思議ではないな、と感じた次第
です。静寂の中から一気に立ち上がる音を体験でき、アナログLPの音はハイレゾが
最高と喧伝される現代でも十分に通用すると思った次第です。
小生の我儘から出た今回のEC-1Hのカスタム化ですが、川西先生ご自身も効果が
確かにあった、と言うことで、オリジナルのEC-1HでL-padアッテネーター始め
4項目の改善によるグレードアップ効果をひとつひとつ追試され、検証されておられ
ますので、これは川西先生から解説をお願いしたいと思います。
僅かな音質の向上が音楽全体の印象を変える様な効果を体験し、オーディオの世界
はやっぱり奥が深いと思った今回のEC-1Hのカスタム化でした。
音に拘りの無い方には全く意味の無い、しかし、一部のマニアの方なら解って戴け
るという様な変化ですから、なるべく大げさな書き方はしたくないと思いましたが、
結局誇張した様な事を書いてしまったかもしれません。 しかし、どこまでも音質を
追及したい方がおられれば、トライされても後悔はしないと思います。
川西先生からは、L-padアッテネーターや定電圧電源を搭載しても、現行のEC-
1Hのシャーシーに納める事ができるかもしれない、とのことで、新たに一台発注し
なくとも、愛用のEC-1Hをそのままカスタム化できるなら素晴らしい事だと思い
ます。
1682川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Tue Jun 14 15:30:00 JST 2016
日フィル6月定期を聴く
今月は久し振りのドイツの伝統的な音楽で気楽に臨めました。シューマンとブラームスの作品
です。シューマンは「マンフレッド序曲」、ブラームスは「ハイドンの主題による変奏曲」及び
「交響曲第2番」で、指揮はこれも久し振りの小泉和裕でした。
正直に言ってシューマンの「マンフレッド序曲」は私のライブラリーには無く、殆ど初めての
ライブでした。シューマン特有の硬質な音で悪く言えばバランスが悪く刺激的な音が多いのです。
しかし、コンマスがこれ又久し振りの扇谷泰朋だったせいか張りのあるストバイの音が楽しめた
のです。この感覚が新鮮だったので退屈する事無く音楽に聴き入りました。唯、シューマンには
優秀録音がない理由を生の音を聴きながら納得していました。
「マンフレッド序曲」は勿論、曲の存在は知っていましたが果たして何かソースを持っている
だろうかと、帰宅後にCD棚を物色していましたら出てきました。何時だったかにも書いた記憶が
ありますが、ジュリーニ・ファンとしては当然買うべきCDの中に入っていました。
それはシューマンの「交響曲第3番」の CD(400 062-2)でオマケにこの曲が付いていたのです。
然しながら記憶に無かったと言う事は、多分音が悪くて、ちょっと聴いただけだったのでしょう。
記憶に残るはずは無かったのです。では今聴いたらどうなのか、急に興味が湧いて再生して見た
ところ、ライブの感覚と似た音で鳴り、あのシューマンの音が我が家に再現されました。やはり
独グラモフォンの再生は難しいのです。
どうせ分かる事なので少しだけ触れて置きますが、最近ΕC-1Hの音をワンランク良くしたので、
それもあってか、このCDが楽しめる状況になっていたのかも知れません。劇音楽の序曲と言う事
もあって、メロディーに親しみ易いところもあり、オーボエソロに美しい響きが出たり、ビオラ
とチェロパートに力強い動きを感じる事ができ、シューマンもその気で聴けば悪くはないな、と
少し見直したのでした。
休憩無しで「ハイドンの主題による変奏曲」です。この曲は何回と無く聴いていますが、掴み
どころのない音楽です。そもそも「ハイドンの主題」は怪しいと言う学説もあり、主題も地味で
パッとした曲ではありません。「ブラ1」を生み出す試金石になったと言う説もあるようですが、
演奏の機会やソースの数の多さ程良い曲だとは思えません。寧ろ、「悲劇的序曲」を聴いて見た
かったと思います。
大体、演奏自体が難しいのではないでしょうか。勢いで誤魔化せる音楽ではないので、変奏の
妙を浮き上がらせる高度な技術と音楽性が要求されるはずです。今回の演奏が酷く悪いと言う程
ではないと思いますが、シューマンの硬質性を引き摺っていた気がしますし、並みの出来だった
のではないでしょうか。この曲で感動させるには、余程のポテンシャルを有する指揮者とオケで
ないと無理な気がします。
15分の休憩のあとは「ブラ2」です。ブラームス入門者は先ず「ブラ1」の洗礼を受けるのが
順当ですが、次は何か?となると人それぞれでしょう。映画の影響で「ブラ3」と言う人も居る
でしょうし、断然「ブラ4」と言う見識もあると思います。私の場合は「ブラ2」だったと言う
気がしています。
未だLPが高値の花であった頃、もっぱら新品を買えるチャンスは、デパートのバーゲンセール
でした。廃盤になったものを角に穴を空けて半値で売っていたのです。確か有ったはずだとLP棚
を探して見たところ、出てきました。ケルテス/ウィーンフィルの米ロンドン盤(CS 6435) です。
バーゲンに輸入盤も出ていたとは、今更ですが不思議な気もします。
英デッカ録音は当時の水準以上だったので、多分ある程度音で気に入ったのでしょうが、何と
言っても最終楽章の盛り上がりに、弥が上にもこの曲への興味を掻き立てられたのだと思います。
最後のホルンの咆哮、と今まで思っていたのですが、今回のライブで実はそれにトロンボーンが
重畳化されていて、今回は寧ろトップのもの凄い迫力が目立ったのでした。
ブラームスはシューマンと違って低音楽器に気を遣っていて、シューマンより重厚な音が出る
ような気がします。ブラ2は他の3曲と違ってコントラファゴットを止めてチューバを採用して
いますし、特に第1楽章はコントラバスのピッチカートを執拗に繰り返しています。そのお陰か
頭でっかちにならずにバランスの良い響きになっているのです。唯まだシューマンを引き摺って
いたのか、全体的に硬質なブラームスであったと私は思いました。
ところで小泉と言う指揮者は、カラヤン国際コンクールで優勝していますし、ベルリンフィル、
ウィーンフィル、シカゴ響と言った一流どころを振っている数少ない日本人指揮者ですし、現在
も国内あちこちの音楽監督などの要職に就いているのは頷ける話です。
心なしか振り方がカラヤンに似ていますが、音楽は大分違います。手堅くオーソドックスです
が、音楽としての面白さが浮き立って来ません。要するに、単純に心がワクワクしてくるような
音楽ではないと言う事です。悪く言えば「それがどうしたの?」と言う風に冷静な音楽に聴こえ
てしまう気がしました。音楽が真面目過ぎるのかも知れません。
それでも「ブラ2」のコーダで当然ながら盛り上がったのは言うまでもありません。上述した
ようにトロンボーンのトップの晴れやかな吹奏は特筆ものであったと思います。左側に位置する
ホルン群を見ていたのですが、そして勿論ホルンも吼えてはいましたが、明らかにその音を上回
る音が右側から聴こえてきたのには吃驚仰天したのでした。この体験は一生忘れないと思います。
この盛り上がりは、学生オケやアマオケでも体験していますので、誰がやっても音楽が優先する
のだと思います。ブラームスの凄さでしょう。
今、普段に聴く「ブラ2」はジュリーニ/ロスフィル(LP:28MG-0216 CD:400 066-2)と決めて
います。ロスフィルが何時からウィーンフィルになったの?と言うくらいの変貌を遂げています。
オケはやはり指揮者次第で如何様にもなるのでしょう。日フィルの実力が向上したのはラザレフ
のお陰ですし、逆に言えばショルティ亡きあとのシカゴ響は泣かず飛ばずです。ベルリンフィル
だって往年の良さが半減しています。小粒の時代になってしまったからなのでしょうか。
1681川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sat Jun 11 01:00:00 JST 2016
O.M.さん、電源フィルターの実験とその効果についてのご感想ありがとうございます。
O.M.さんは、色々な生楽器の音を至近距離でお聴きになれる方なので、それだけ楽器が発する
真の音を正しく認識されていらっしゃる事と思います。それだけにアンプから、似ていて非なる
音が再生された時には我慢ならないのだとお察しします。
しかし、演奏者の方が全てそうであるとは限らないと思います。総じてですが、演奏者の方は
アンプによって再生される音には無頓着な方が多く、半ばどうでも良いと思っていらっしゃるの
ではないかと思います。或いは、どうせダメだと諦めていらっしゃるのかも知れません。
その点O.M.さんは稀有な存在の方で演奏家でありながら、再生音楽にも興味をもたれて居られ
ます。それだけにWRアンプに対する注文も厳しいものがあり、今回もWRレコーディングに依るCD
の再生が理想的に行かない、と言うご不満があったものと思います。
WRレコーディングはマイクにメジャーレーベルが使うドイツの一級品を使い、マイクプリには
最新のWR技術を投入したものが使われています。オリジナルを24bit/96KHz のハイレゾで録音し、
息子が現場で聴いた音を基準にして、できる限り忠実な音になるようにミックスダウンを行って、
最終的にはCD化しています。
一般論ですが、WRレコーディングは生楽器の音をストレートに捉えており、人工的な手加減を
一切していませんので再生は難しいはずです。独グラモフォンがそれに近く、日本の評論家には
受けが悪いのと似ているかも知れません。日本ではオーディオ的に聴き易く加工された録音の方
が好まれるようです。
O.M.さんにはなるべく多くのWRレコーディングを紹介させて頂いてきましたが、今回O.M.さん
が特に着目されたのは、ピアノ伴奏付きのバイオリン小品集で、
MIO UNOSAWA HERZOG Sound Bouqet(MHCD-0001)
と言うタイトルのCDです。
バイオリニストは元オケマンの宇野沢美緒、ピアノ伴奏沢田千秋と言う芸大出身コンビニ依る
気心知れた演奏になっています。収録は府中のウィーンホールでセッション録りで行われました。
収録曲は全部で18曲で、主なものを挙げますと
○エックレス バイオリンソナタ ト短調
○ベートーベン ピアノとバイオリンのためのソナタ第5番「春」
○クライスラー小品 5曲
○マスネ タイスの瞑想曲
他に、レハール、リーディング、パガニーニ、フォーレなどの曲が入っています。入手ご希望の
方はご連絡頂ければ便宜を図らせて頂きます。
O.M.さんは、このCDを再生して
●音が滲んでヴィブラートの数が数えられない程
と言う風に仰っています。普通のリスナーですとそんな数は数えようとも思いませんので、そも
そも聴き方が違います。しかし言われて見れば音がしっかり再生されていれば、自ずとそう言う
数も数えられるのかも知れません。我が家でそのCDを聴く限りは、音が滲む事はありませんので、
再生音にかなりギャップがありそうです。
しかしWRアンプのアップグレードは全て行われていますし、プリアンプにもΕC-1Hをちゃんと
お使いになっていますので手詰まり感があったのですが、残された手段としてO.M.さん宅の電磁
環境を改善する方法が未だあると思ったのです。
O.M.さんには、MC用のヘッドアンプを導入された時に、DDターンテーブルからの高周波ノイズ
を遮断する為に、電源フィルターの使用をお勧めした事がありましたが、その時は「まさか」と
思われていたのでしょう。しかしO.M.さん宅のAC電源に混入して来る高周波ノイズは平均値より
多いのではないかと思います。
私自身はかなり厳重な電源フィルターをもう二十年も使っていて、此処での試聴記も当然それ
を使ったものになっていますから、O.M.さんはずっとそのギャップにお悩みになったいたのかも
知れません。自作した電源フィルターを調べて見ますと、電源ケーブルに1994年製のMITSUBOSHI
スターソフトが使われていました。
そんな事情から、今回のO.M.さんに依る電源フィルターの試用が実現し、かなりの効果を上げ
られた事はご同慶の至りだと思います。
●これを入れることでヴァイオリンの音が生の音に照らして違和感のない普通の音になりました。
と仰っており、我が家で聴く音のレベルに揃ってホッとしました。この「普通の音」が日常的に
オーディオ装置から出るようになれば大したものだと思います。
しかし、O.M.さんの実験に依りますと、なんと
●現在CDプレーヤーに10段(10個)
お使いのようで、これは幾らなんでも尋常な数ではないと思います。
これは推察ですが、電源フィルターは高周波ノイズを扱うものであり、10個をシールドせずに
コードコネクタで接続して行けば必然的に線長が長くなり、それがアンテナになって逆に高周波
ノイズを呼び込むことにもなり兼ねませんので、効果が頭打ちになっているのではないかと思い
ます。やはり、金属製のシャーシ内にコンパクトに納めるべきでしょう。
それにしても、このフィルターを一般のオーディオ愛好家の方の装置に適用すると、O.M.さん
が聴けば明らかに音質が改善されているのに、その方は「迫力がなくなったと不満を述べられた」
そうで、同じ音を聴いても評価が180 度変わってしまうところに、オーディオの難しさがあると
思います。
●生の音を基準としない人には通じないものだと、毎度のことですが痛感いたしました。
とO.M.さんは述懐されています。
O.M.さんのお言葉をお借りすれば
●高域がキンキンし、コントラバスやチェロの音がボワンとして生の音とは程遠く
と言う音が世間で言うブランド品の一般的な音なのでしょう。多分、アンプの安定性が十分では
ないので、そう言う音になってしまうのですが、それを迫力がある音だと思い込んでしまう人が
多い事にある種の怖さを感じます。
そう言うオーディオがビジネスになっている現状は憂うべき事だと私は思います。だから私が
幾らWRアンプの音が正しいと力説しても「低音の出ない迫力不足の音」に聴こえてしまうのかも
知れません。今は多勢に無勢ですが、何時か多数派になれるように頑張って行きたいと思います。
今後ともユーザーの皆様方のお力添えをお願いする次第です。
その為には改めて、WRアンプが正しいと私が思う理由を明示して置く必要がると思います。
1.負性抵抗理論は電子回路学的に見て正しい事。
2.アンプ製作に当たっては、その理論を忠実に実現する回路を採用している事。
(アップグレードは、一貫してそれを補完しているに過ぎません)
3.再生音のチェックを、生演奏会で聴いた音を基準に行っている事。
4.我田引水にならないように、目的を同じくする複数のユーザーの方の証言を得ている事。
5.電子回路学と言う自然科学と、生楽器が発する自然音の再生の間に矛盾が生じていない事。
(理論と結果の間に人工的な装飾・粉飾は一切なく、自然の原理に適っている事)
皆さんも、小規模なら実験も楽ですから、電源フィルターを試作なさって見ては如何でしょう。
できれば、金属性シャーシにコンパクトに納めるのがベストですが、1、2個を裸で結線しても
それなりの効果は出ると思います。先ずそれをDAC やCDプレーヤーに入れて見て下さい。
ただし100V電源を扱う事になりますから、安全上の問題に十分注意をして自己責任でおやりに
なって頂きたいと思います。市販のフィルターをコードコネクタで結ぶ方法は、誰にでもできる
安全な方法だと私も思っています。
1680O.M.さん(アマチュアコントラバス奏者)
Tue Jun 7 23:25:16 JST 2016
電源フィルターで驚くほど素晴らしい音の世界へ!
何度か投稿しておりますO.M.でございます。
数ヶ月前はスピーカーの音で大いに悩み、川西先生にご相談申し上げましてその原因を追究した
結果、往年のJBLユニット群を手放しB&W Matrix805に変更した経緯は過去に投稿いたしました。
このM805とWRアンプの組み合わせですと、自分も演奏するコントラバスの楽器の音が十分に
聞き取れるため、この組み合わせを固定しより良い再生音を目指しておるところです。
今回、WRレコーディングCDの再生が満足にできなかったことが切っ掛けでこの高周波対策に
取り組むこととなりました。
そのCDはヴァイオリンとピアノのデュオですが、ヴァイオリンの音が拡散して定位がおかしく、
音が滲んでヴィブラートの数が数えられない程で、ヴァイオリンの粘っこい感じの音が出ないの
です。上手い、下手という次元ではなく、生の演奏では決して聞くことはない異次元の音なの
です。
いままで川西先生は常々「高周波の対策が大事だ」という趣旨のことを口にされておられたの
ですが、このような言葉は当方にとってあまりに馴染みがなく敷居が高いと感じられ、
これは川西先生のような専門家だからこそ出来る対策であって費用も物凄く掛かるのではないか
と勝手に想像しておりました。実際にオーディオ製品で「電源」と名のつくものは
非常に高価です。
しかし今回はやはり高周波が悪さをしているのだろうということになり、具体的な製品を
挙げて頂いたところ、これが実に安価なのです。1個500円のノイズフィルターTDK の
RSEL-2003Wです。このフィルターは配線が出ておりますので、これに当方はパナソニックの
コードコネクタWH4515HPをつけております。ドライバーだけですぐに作れます。
その他アース線等必要なものはありますが、最低限このフィルターとコネクタだけでも効果を
実感できます。フィルターとコネクタは通販で簡単に手に入るので便利です。
当方は現在CDプレーヤーに10段(10個)、プリとパワーにそれぞれ5段入れて様子を
見ているところです。
これを入れることでヴァイオリンの音が生の音に照らして違和感のない普通の音になりました。
この効果は実に驚くほどです。
当然他のCDもより生の音に近くなりました。また、高域の耳につく痛い音が減少すると同時に
低音の解像度が非常に上がります。挿入前はグランドハープの低弦の金属巻き弦の響きが出ず
中域のナイロン弦との違いが出ていなかったのが、挿入後ははっきりと違う響きになって
います。またコントラバスは虫眼鏡でもつかっているかのように細かい動きが見えるように
なりました。
このフィルターをWRアンプを使用していない他人のシステムでも試しました。
1990年頃のタンノイ、ラックスマン、DENONといった有名ブランドで組み合わせたシステムで、
高域がキンキンし、コントラバスやチェロの音がボワンとして生の音とは程遠く当方にとっては
聞くに堪えない音です。フィルターを入れるとこれが全く様変わりし、まあ普通に聴けるものに
なりました。電源フィルターは単に高周波を減少させるだけですので、オーディオの音から
余計なゴミを取り除くという感じでしょう。しかし、当のシステム所有者にとっては音の迫力が
減ったという感想でした。当方がフィルター挿入前の音のコントラバスの音は現実には
あり得ない音だが、フィルターを入れた方が明らかに生に近いと主張しても
生の音を基準としない人には通じないものだと、毎度のことですが痛感いたしました。
フィルターについてはまだ試行中ですが、フィルターなしではプレーヤーの音質云々や、
ましてや音源の演奏について述べるなど全くできない程ひどいもので、少なくても
我が住環境では、必ず挿入すべきものであると思われます。
また、WRレコーディングのCDは大変素晴らしい録音で、オーディオシステムの良し悪しが
はっきりとわかるようです。
オーディオの音をチェックするのにこれは大変有用です。
今回も川西先生のご指導によって、非常に素晴らしいオーディオの世界に突入できたと
感動しております。
1679川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Thu Jun 2 23:05:00 JST 2016
今もう一度、電源フィルターを試して見ませんか?
過去に、私が常用する電源フィルターについて言及した事がありましたが、菱形PSE の問題が
浮上して製品化を諦め、絵に描いた餅のことを繰り返し申し上げて啓蒙しても余り意味が無いと
思い、もっぱらフェライトコアを怪しいと思われる機器の電源ケーブルに噛ませる事を提案して
きました。
しかし、音のよく分かる熱心なユーザーの方のお申し出により、それだけでは不足である事が
分かり、何とか電源フィルターを生かして少しでもいい音で聴いて頂きたい、と再び思うように
なり、ご自分で出来る範囲の方法を探ってはその方に情報を提供して参りました。
色々と調べて見ますと、現在でも電源フィルターと称して市販されているものがあり、中には
小型シャーシにACインレットとアウトレットをあしらい、中に市販の電源フィルターを取り付け
れば完成する、謂わばキットも売っているようです。
これらの電源フィルターは、複巻コイルとコモンモード用パスコン2個、ノーマルモード用の
パスコン1個か2個、で成り立っているものが多いようです。ちょっと頼りないですがこれでも、
高周波(主に短波帯)で20~30dB程度のノイズ抑制効果があるとカタログに書いてあります。主に
スイッチング電源から漏れる高周波ノイズを防ぐ目的で使われているようです。
因みに、私が作ったものは、単巻-複巻-単巻-複巻-単巻とトロイダルコイルを重ねて使用
し、当然ながら各段にノーマルモード用とコモンモード用のパスコンを配し、最終段のパスコン
にはSEコンをも投入しています。勿論、あとで触れますが、これを3系当分用意しています。
ノイズ抑制効果も大切ですが、電源フィルターに流せる電流値にも注意が必要です。2Aくらい
から10A 程度まで用意されていますので、十分余裕を見て選択すべきでしょう。CDプレーヤーや
プリならば2Aクラスで大丈夫ですが、パワーアンプには最大出力に応じて6A~10A 程度のものを
使った方が良いと思います。
また、基本的にはデジタル機器用、プリアンプ用、パワーアンプ用と3系統を独立に用意した
方が無難なようです。また、市販の電源フィルター1個では音質の改善が不足だと感じた場合は、
それをもう一つ重ねて使う事も考えて下さい。全てはご自分の耳で判断する事になります。
稀に電源フィルター内のコイルに使われているフェライトコアに問題がありますと、その事に
依ってアンプのひずみ感が増えたり、別の悪影響が出る事も無いではありませんので、全面的に
信用しないようにして下さい。
又、電源フィルターを入れますと電源インピーダンスが高くなり、特にパワーアンプに対して
不利に働きますが、WRのパワーアンプは安定化電源で供給されていますので、AC電源の電圧降下
分は上手く吸収されますので、全く問題はありません。
電源フィルターの厄介なところはAC電源に挿入する訳ですから、その辺りの処理をどうするか
が最大の問題になります。シャーシ加工が出来る方は、シャーシにACインレットとアウトレット
を付けて、その間に電源フィルターを挟んで配線すれば良い訳です。
重ねる個数により必要なシャーシの大きさが決まって来ますので、先ずはバラックで配線して、
必要な個数を決める事が先決です。又、3系当分のスペースも必要になると思います。
最後にもう一つ問題が残っています。それは地中アースです。電源フィルターには普通アース
線が出ています。このアース線を地中アースに落とす事でコモンモードのノイズを能率よく除去
する事ができます。
一戸建ての場合は地中アースを自分で埋め込んで、最短距離でリスニングルームに引き込む事
が必要になります。洗濯機を置く部屋にはアース端子が備え付けられていますが、高周波領域の
話なので、其処から長々とアース線を引いて来ても殆ど意味がありません。
マンションの2階以上はその意味で絶望的ですが、至近距離のアルミサッシの窓枠にアース線
を結ぶと効果がある事が多いようです。鉄筋コンクリート造りの場合は案外アースの効果が良い
ように思います。
最悪アース線を接続しなくても減衰量は落ちますが、ある程度はコモンモードに対して効果が
あるようなので、アース線が無いからと言って諦める必要はありません。
実は電源フィルターのコモンモード用のパスコンは地中に落ちる訳ですから、その絶縁が悪い
と漏電ブレーカーが落ちる事になります。なので、パスコンの容量も3300PFくらいに小さくして
ありますが、それでも落ちるような環境の為には、アース線の無い電源フィルターが用意されて
います。
そのカタログデータを見る限り、それでもコモンモードの減衰値は0dB ではなく、20dB程度は
ありますので悲観する必要はありません。
以上、電源フィルターに関して最低限の知識を書いて置きました。もう少ししましたら、その
ユーザーの方に体験記のようなものを書いて頂きますので、その具体的な方法や再生音に対して
どのような改善があったのか、などがお分かりになると思います。
どんなアンプでも、アナログである限りは、電磁環境を良くすればする程、音質は向上します。
WRアンプを手中に納めただけで甘んじる事無く、いい音の再生に向かって出来る事は全てやって
見ては如何でしょうか。今後の記事にご期待下さい。
1678川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sat May 28 22:30:00 JST 2016
日フィル5月定期を聴く
今月の指揮はもう直ぐ首席指揮者をインキネンに託して一線から身を引く予定のラザレフです。
誰の目にも「日フィルの実力を押し上げたのはラザレフである」と映っているに違いありません。
この先インキネンで大丈夫なのか、と言う一抹の不安がありますが、何にでも終わりがあります。
全く縁が切れる訳でもないようなので、偶に軌道修正をして貰えたらと思うしかありません。
7月にもう一度ショスタコの15番のシンフォニーを振る予定になっていますが、今月はその前
に6番が演奏されました。全曲演奏はやっていないと思いますが、これで目ぼしい交響曲は殆ど
網羅された事になります。6番は5番、7番と言うメジャー級に挟まれていますが規模も小さく
曲自体も有名ではありません。その存在を初めて知ったと言うのが本音です。
話が前後しますが、今回の前プロはチャイコフスキーの組曲第1番ニ短調でした。チャイコの
組曲と言えば「バレエ組曲」を思い浮かべる方も多いと思いますが、この組曲は、寧ろバッハの
管弦楽組曲に近い存在ではないかと私は思います。全部で4曲あり、決して習作ではありません。
しかし古典以降、こうした組曲のスタイルは廃れて行ったように思います。
チャイコは、シューベルトの親友と言うだけで音楽史に登場するラハナーの管弦楽組曲に触発
されて作曲したと言う説が存在するようです。その理由は、ラハナーの1番もニ短調で書かれて
いる事、終楽章に「序奏とフーガ」が有り、チャイコの第1曲が「序奏とフーガ」である事など
がその証拠です。私はこの「序奏とフーガ」を聴いてそのフーガの凄みから、バッハの第2番の
序曲を連想したのです。この序曲はゆったりした序奏と急速なフーガから成っています。昔の事
ですが、リヒターのアルヒーフ盤の再生に泣かされた事を思い出します。
組曲の中で第1番が一番良い、とラザレフが選定したようですが、私は3番だったかの1曲が
リーダース・ダイジェスト社が昔発売した、クラシック名曲のLPセットの中に入っていて、凄く
魅力的な曲だと思っていたので、組曲自体の存在は知っていました。なので今回の演奏に多少の
期待感はあったのです。
しかし、確かにいい曲だとは思ったのですが、メロディーの豊富なチャイコにしては乏しいの
です。その他の要素は凄く魅力的なのですがメロディーに親しみが湧かないと、少なくても私は
名曲に聴こえないところがあるのです。全部で6曲で構成されていますが、楽器編成はどちらか
と言えば小規模でトロンボーンを欠いています。当然、発せられる音響的エネルギーも小さいと
思ってしまいますが、ラザレフの指揮のせいなのか、特にフーガの一糸も乱れない弦楽の動きは
圧巻としか言いようがないですし、木管は華やかでホルンの咆哮もまた迫力があるのです。
あの交響曲第4番を書き、そして魅力的な第5番を作曲する間に挑んだ作品ですから、非力な
訳はないのです。木管の使い方も手が混んでいて、特にファゴットとオーボエの美しさは特筆に
値します。しかし初めて聴いたハンデはあるにしても、CDでも探して見ようかと言う気にはなら
ないのです。そう言えば、大体チャイコの組曲なんて録音されているのでしょうか。
ざっと検索すると全曲を出してるのはドラティ/ニューフィルハーモニア管くらいで、第3番
の一部が納められているCDが2、3有ると言ったところです。それも旧ソ連のオケが多いのです。
如何にチャイコの組曲が一般的になっていないかが分かります。ラザレフだからこそ取り上げた
と言っても過言ではないでしょう。日フィルの定期も昔とは違って玄人好みになったように思い
ます。
チャイコには3大バレエがあって「白鳥の湖」と「くるみ割り人形」は、本当に角から角まで
メロディーが美しく退屈する所が全くありません。しかし「眠れる森の美女」はどうでしょうか。
確かに、魅力的で有名なメロディーは結構あります。然しながら、オケは充実して聴こえるのに、
曲として余り魅力的に聴こえない部分が結構あるように私は思います。その虚無感みたいな気分
を今回味わった気がします。やはり、メジャーな曲にはなれない理由があるのだと思います。
15分の休憩を挟んで後半は「タコ6」です。勿論、私に取って初めて聴く新曲です。配られた
冊子に誤って演奏時間51分と書かれていたので、最初は構えて聴いていました。「タコ8」等で
ある意味懲りているからです。エキセントリックな響きが長く続いて、気分が悪くなったりする
からです。ショスタコならではのピッコロやグロッケンは活躍していましたが、実際はそう言う
音楽ではなく、あっさり35分で終わってしまったのです。
この交響曲は3楽章しかありません。頭の部分のソナタ形式がないのです。行き成り緩徐楽章
で、ゆったり始まります。よく頭の無い交響曲と言われるそうですが、その辺りショスタコの事
ですから、当然意図があったのでしょう。面と向かっては発言できないご時世だからこその音楽
だったのかも知れません。このカモフラージュの為に第2、第3楽章があるのだと言う説もある
のです。
特に印象的だったのが第1楽章のフルートです。チャイコの組曲の時は目立たなかったのです
が、これは誰でも特異に感じたのではないでしょうか。結構難しい要求が指揮者からあったはず
ですが、美しくも怪しく見事に応えていたように思います。それは、演奏終了直後にラザレフが
フルートの首席の席まで出向いて、指揮台まで引っ張り上げる程の賞賛の意を示した事でも分か
ります。
ある解説に依ればこの第1楽章こそが言いたかった内容で、第2、第3楽章は単なる付け足し
に過ぎないのだそうです。そう言われて見れば深刻なのは第1楽章のみで、あとの2楽章は演奏
時間も短いし、ドンちゃん騒ぎをして終わっちゃった、と言う気もしないではありませんでした。
出だしの小気味の良い動きは何かに似ていると思っていたのですが、どうもロッシーニ風の進行
だったようです。ちょっと記憶が薄れつつありますが、多分この楽章でのチェロとビオラパート
のエネルギー感の凄さは筆舌に尽くし難いものでした。これまでに聴いた内で最大の音量だった
と言っても過言ではないと思います。日フィルの弦は本当に良くなりました。この曲にはひょう
きんなところがあって、もっと続くと思っていたのに、突然拍手が鳴り響き拍子抜けしてしまい
ました。
この曲も初めて聴く曲で、当然ながら馴染みのあるメロディーは出て来ませんでした。色々な
音楽会に今まで参加して来ましたが、全く知らないメロディーしか奏でられない演奏会は初めて
の経験でした。それでも、帰りの足取りは決して重くありませんでした。
それはラザレフの指揮の下、楽員が一つになって純粋音楽に果敢に向き合ったからではないで
しょうか。最近にしては非常に短い音楽会でした。何時も何時もステーキを食べて胃が重くなる
より、偶には軽食?で済ますのも悪くない気がしました。
1677川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Mon May 23 19:45:00 JST 2016
和田さん、Ε-5H と普及型プリアンプWRP-α9 のご購入とそのご感想ありがとうございます。
最初に和田さんからWRへのユーザー登録をして頂いたのは、確か雛祭りの頃だったと思います
ので、追加で普及型プリのWRP-α9 を納入させて頂いた5月の半ばで、丸2ヶ月以上が経過した
事になります。一歩一歩着実に踏みしめて新しい山に登ろうとされた和田さんには、頭が下がる
思いです。
和田さんも投稿文の中で
★これまでの常識は1週間で否定され、いままでの機材の買い替えとは違う
★世界が見えてきています。
と述べられていますが、同じオーディオでもまだ足を踏み入れた事のない別世界に行こうとする
のですから、慎重に成らざるを得ないのだと思います。それでも石橋を叩いて渡らない方が多い
中で、勇気を出されて橋を渡って来られたのです。そして買い替えが常識だったオーディオから
そうではないオーディオへの変化に既に気付かれています。
高々5Wしか出ないミニパワーアンプΕ-5H なのに、そしてスタートしたばかりなのに、
★今の部屋で聴くならアンプはいわゆる「ゴール」でも良いかと思っています。
と仰っているのです。Ε-5H は、ミニパワーでも完成度が高い事がお分かり頂ける事と思います。
5W以下で鳴らす限り、高出力アンプと本質的には殆ど変わらないパフォーマンスを示します。
以下和田さんのコメントの中で、今までのオーディオでは決して口に為さらなかったであろう
お言葉をピックアップして、私なりの解説を加えたいと思います。
★トーンコントロールなしでも低音の不足を感じません。
市販アンプとWRアンプの音の違いは沢山ありますが、その中の大切な違いの一つが低音の出方
です。日本人の低音に関する感覚は、元来低音の質には無頓着だったのです。低音を聴く機会は
年1回くらいのお祭りの太鼓くらいだからです。地元の教会のオルガンの音や、オーケストラの
コントラバス、又ジャズのベースやドラムス等々、日常的に聴く機会の多い欧米人とは本質的に
異なるのです。
そのせいか、市販アンプの低音は量が問題視されても、低音楽器の音の識別まで余り煩い事は
要求されて来なかったのです。オルガンとコントラバスが同時に鳴っているような音楽を正しく
聴くには、その質が保証されているアンプでなければ出来ません。量を増やすには、トンコンで
ツマミを右に回せば容易い事ですが、質を簡単に向上させる事はできません。和田さんが低音の
不足をお感じにならなかったのは、質が伴った低音が出ていたからだと思います。低音は本当は
量より質が問われるのです。
★サラウンドとは違う、音に包まれるという感覚は初めての経験ができました。
WRアンプが目指す重要な音の中に、音場感があります。演奏されている場にはそれぞれ異なる
雰囲気があります。当然、音楽家はその事を意識して音楽を奏でている訳ですから、その音場を
正しく感じ取れるオーディオでなければなりません。和田さんはWRアンプで初めてこの音場感に
気付かれたのだと思います。市販アンプの中級機で構成されたオーディオでは体感できなかった
と言う事だと思います。音場感はホールの残響を聴き分ける事から始まりますが、それが市販の
アンプでは嫌な音で掻き消されるので、音場感を味わう事ができないのでしょう。サラウンドは
半ば強制的に音場を作り出しますからそれなりの効果が誰にでも分かりますが、標準的な2次元
ステレオで音場感をたっぷり味合う事は、実は容易な事ではないのです。
★アンプの増幅でここまでちがうとは、、川西さまの製品に出会えた私はとてもしあわせです。
昔は、スピーカーが何より大事でアンプは二の次だと言う説が有力でしたが、それは誤りです。
和田さんも「ここまで違うとは・・」と仰っています。使うアンプに依って、音の質が致命的に
歪められてしまうからです。そうなってからでは、遡ってスピーカーでその歪みを補正する事は
絶対に出来ません。スピーカーよりアンプが大切な所以です。
★アクセサリーの交換に興味がなくなりそうです。
今時のオーディオでアクセサリーに興味のない方は皆無ではないでしょうか。それ程それ無し
では済まされないオーディオになってしまっています。これも誤りだと申し上げねばなりません。
ケーブルは単に信号やエネルギーを伝える道具に過ぎません。音質云々と言う発想自体が陳腐だ
と思います。スピーカーケーブル、電源ケーブルなどを含めてケーブルには色々問題がある事は
確かですが、超高価なOFC 系ケーブルが必須である必要は全くないばかりか、WRアンプには適合
しませんので、これだけは絶対に諦めて頂く必要があります。そうしたケーブルは、処分なさる
覚悟が必要です。
★ハイレゾ音源は単にビットレートを増やしたものはスカスカに感じ、ニセレゾに気付き
やすくなる
巷で「ハイレゾ、ハイレゾ」と持て囃されていますが、和田さんの見解が正に現状を言い当て
ていると思います。本当のハイレゾの効果を音として体現するには、相当ハイレベルなシステム
が必要になるばかりか、ご自身の耳の訓練も要求されて来ると思います。生の音を聴くなどして
日頃から耳を訓練している方が真のハイレゾ音源を使ってWRアンプシステムで聴けば、ハイレゾ
がどう言う点で優れているのかがお分かり頂けると思います。そして、普通に音楽を楽しむので
あればCD-DA 仕様で十分であると悟られると思います。ただし、CDの再生をかなり理想的に行う
必要があるのは言うまでも有りません。そもそもCDの再生も満足に出来ないシステムでハイレゾ
も有ったものではありません。これも多分にビジネスに踊らされているに過ぎないのではないか
と思います。
★プリが無くてもかなりの音で鳴りますが、Ε-5H が100%本領発揮できないのは設計した者
としては残念です
この文章は私の言葉ですが、和田さんに強いインパクトを与えたとすれば、書いて良かったと
思います。昔から高級システムはプリアンプとパワーアンプをセパレートで用意すると言うのが
相場でしたが、国内事情なのか何故かプリメインアンプと言う形体が日本では人気が高く、別途
プリアンプを用意すると言う概念が浸透していないようです。この機会に考えを改めて頂ければ
と思います。
仮に同じ特性のラインアンプを積んだとしても、同一筐体の中にラインアンプを置いてもその
バッファ効果は余り期待できないのです。つまり同じ高周波ノイズ環境の中に置くよりも、より
ノイズの少ない環境に独立させるべきなのです。パワーアンプはトランスの2次電圧が高く電流
も多く流れます。必然的に、プリアンプよりノイズ環境は不利になるのです。セパレート方式は
それなりに意味があり、価値があるのです。
未だ他社のプリを使っている方、或いは、未だ直結で聴かれている方は、なるべく早い機会に
普及型プリのWRP-α9 か、ΕC-1 又はΕC-2 をお買い求め頂きたくお願い致します。これは和田
さんも仰っていますが、単なるビジネスの問題ではありません。どうせなら最高の音でWRアンプ
を聴いて頂きたいと言う、開発・設計者からの切なるお願いであります。
1676和田さん(会社員)
Wed May 18 20:18:23 JST 2016
みなさま、こんにちは。先日E-5HとWRP-α9 を購入させていただきました和田です。
半年前、音色を極力変えないアンプを検索していて、幸いにもこの掲示板に出会えました。
書き込みやリスニングルーム拝見のページを見ても、すごい機材をお持ちの方ばかりで、
気後れしていましたが、DAC 利用のサトウさまの書き込みに勇気づけられパワーアンプを
申し込みました。
私の第一印象は、
まず、嫌な音が一切しないこと。
何より驚いたのは、スピーカーを含め「ポン置き」でも、ノイズもなく音源がそのまま
綺麗に増幅されたことです。ボリュームを上げてもあまりうるさく感じず、ノイズも音割れ
もなく、音が太く鳴ります。小音量にしても音が痩せにくく、トーンコントロールなしでも
低音の不足を感じません。
高音は伸びてほしいところまで聞こえ、低音はキレが良く、たくさんの種類があることに
気づかされました。曲が終わり消え入る音の後はわずかなノイズもなく無音。歌声はへんに
誇張されることなく聞こえ、ライブの拍手はとてもリアル。
もちろん上には上があると思いますが、
ジャズで納得のメリハリ、キレのある低音、ギター音、
女性ボーカルで艶のあるどこまでも伸びやかな歌声、
ブレスの音、リアルな拍手などなど。
伸びてほしい音、楽器の音のキレ、低音の量感、曲終わりに消え入る感じ、
どれもとても自然で、聴き疲れしません。
憧れていた高級機を賞賛する言葉の数々がとても当てはまります。全てが想像以上です。
定位がしっかりしている、目を閉じると、部屋全体が鳴り響きるように感じ、
サラウンドとは違う、音に包まれるという感覚は初めての経験ができました。
まさに、最高のレベルだと感じています。
アンプの増幅でここまでちがうとは、、川西さまの製品に出会えた私はとてもしあわせです。
いままでメーカーの中級機までしか手元に置いたことはありませんが視聴会、製品発表会は
かなり参加していました。それと比較しても、10畳程度で小音量で聴くという制限がありますが
いままで体験したどの環境よりも、高音も低音もあまりに自然で聴きやすく、心地よく音楽を
楽しめています。何よりもお財布に優しいし。
サウンドチェック用に探したオススメの「コルボ盤」では、川西さん所有のmatrixのような
音場の立体感が得られているかどうかは分かりませんが、10cmフルレンジと3万円のDAC でも、
天上的な歌声やオルガンの聞き分けは体験できました。
音源は、手軽なアマゾンやアップルのネット配信なので、それなりのCDプレイヤーや、
WRアンプの上位機という楽しみを残しつつも、今の部屋で聴くならアンプはいわゆる
「ゴール」でも良いかと思っています。
最後に検討している方の参考に、WRアンプ導入で感じた変化、デメリット?を書いておきます。
ステップアップできたからこその嬉しい悩みとも言えますが、アンプが正しく増幅してくれる
からなのか、音源やセッティングに敏感で、壁からのわずかな距離の違いでも音場感が
大きく変わるなど、いままでの感覚が通じません。
悔しいのは、機材のグレードアップ代わりの高価なケーブルや機能アクセサリーは
本当の意味で質の良いものに変えたほうが、脚色が減って素直に聞こえると感じていて、
アクセサリーの交換に興味がなくなりそうです。
音源は、録音が悪いものは買い直したくなるし、ハイレゾ音源は単にビットレートを
増やしたものはスカスカに感じ、ニセレゾに気付きやすくなるので、リッピング品質に
気を使い始めています。それでも圧縮音源では、WRアンプ導入前は256kbps 以上ないと、
物足りなかったのですが、128kbps のMP3 やyoutube 音源でも、そこそこ楽しめるように
なりました。
という感じで、これまでの常識は1週間で否定され、いままでの機材の買い替えとは違う
世界が見えてきています。ただ、これが本来の音響機器の姿の入り口とも解釈できるので、
正しい方向にお金を使えたのではないかと、今回の衝動買いの言い訳とします。
思い起こせば、良いアンプとは何かから調べ始め、スピーカーの能力を最大限引き出す
『帰還』というキーワードから、川西さまのホームページを見つけました。
川西さまの掲示板だけでなく、本音で書いていそうなブログでも、私には手が届かない
ような高級機を買い換えている方が、納得していたアンプを手放してまで
ウェストリバーアンプに買い換えたことをみつけました。
ちょうど運よく入門機?E-5Hが発売されて、レビューを見れました。
とても魅力的な感想の表現が頭から離れず、話半分で考えてもこの価格ならと2ヶ月考え、
川西さまに相談。丁寧に色々教えていただき、この人からならと購入を決意。
その翌日タイミング悪く?川西さまのコメント「プリが無くてもかなりの音で鳴りますが、
Ε-5H が100%本領発揮できないのは設計した者としては残念です」、なんとプリアンプも
揃えると良いとの書き込み。
そもそもパワー直結よりもプリありが良いというのはどういうことだろうと、川西さまに
問い合わせる前に、仕事のクセで下調べ。するとレコードを聞かないならプリメインアンプの
ほうが接点も減るしバランスが良いとの業界的な常識。これは業界の誘導もありそうなので、
鵜呑みにせずセパレートアンプを楽しんでいる人のブログ、アンプ屋さん、かないまるさんの
サイトを読み、『バッファ』という言葉をみつけました。
掲示板に「バッファ効果」と書いてあったことを思い出し、過去の掲示板を読み返し、
プリアンプWRP-α9 とEC-1H との差はラインアンプにあると感じました。
納品間際にラインアンプ追加を相談したところ快諾頂け、恐る恐るカスタマイズ費用を
聞いたら、多少の予算オーバーでしたが、dac が予算より安く買えたこともあり
カスタマイズを依頼したのでした。
ただいまのわたしにとって、総じて、WRアンプに出会えて良かったです。
今後のアップグレードを楽しみにしています。
最後に、僭越ながらこれを読んで音楽を少しでも良い音で聴ける方が増える事を願っています。
1675川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sat May 14 13:45:00 JST 2016
コルボの「フォーレのレクイエム」を聴く
以前此処で一度紹介させて頂きましたが、改めてこの盤(WPCS-21095)は音楽的にもオーディオ
的にも素晴らしいので、是非皆さんにも聴いて頂きたいと思い、もう一度取り上げて見ることに
しました。最近、ΕC-1H+アップグレードを依頼されたWRP-α9/A と、新生の普及型プリアンプ
WRP-α9 の2台目(ラインアンプ基板有り)+Ε-5H 相当アンプとで、計2回も通して聴く機会が
ありました。どちらもほぼ同じレベルの音質でフォーレのレクイエムを十分に満喫できたのです。
この録音は1972年に仏エラートによってアナログ録音されています。クリュイタンス盤が出て
から10年後には録音されていたのですが、当時「フォーレのレクイエム」はクリュイタンス盤に
止めを刺されていたので、全く眼中に無かったのです。その存在に気付いたのは録音されてから
40年以上も過ぎていました。やっとクリュイタンス盤の亡霊から解放されたのでしょう。
レクイエムと言えば、何と言っても人気の高いのがモーツァルトの作品です。映画アマデウス
で使われたこともあるでしょうが、音楽的にも魅力に富んでいます。隅々までメロディが馴染み
易く、それほど深刻でもなく、傷ついた心に適度に響いて癒してくれる効果があります。裏面の
ジュスマイヤーが取り纏めたところも継続性があり悪くありません。
私が大学に進んだ頃、丁度発売された2枚のLPがありました。1枚はカラヤン盤でもう1枚は
リヒター盤でした。私はリヒターの直向な演奏に心を奪われ、以来、愛聴盤(米テレフンケン盤)
になっています。その少し後に、フォーレの名盤と決定付けられた有名なクリュイタンス/パリ
音楽院管のフォーレのレクイエムが、発売されています。東芝の赤いエバークリーン盤を嫌って、
わざわざ米エンジェル盤 (S-35974)を購入した経緯がありますが、サーフェース・ノイズの観点
から見れば日本盤の方が優れていて、それはテレフンケン盤も同様でした。
クリュイタンス盤は兎に角演奏が立派で文句のつけようがありません。当時はこれに納得させ
られて、何も言えない心境でした。しかし、年の経過と共に徐々に聴く回数が減っていきました。
今回、この原稿を書くに当たって本当に久し振りにLP棚から引っ張り出して、入祭唱のところを
聴いて見ましたが、最近聴きなれたコルボ盤に比べて非常に重々しく貫禄はありますが、これが
フランス音楽?と言う気もしてきます。
オケもコルボのベルン響に比べると、往時のパリ音楽院の音はやはり一流の風格がありますが、
指揮のせいなのか少々ドイツ的に聴こえます。クリュイタンスはフランス音楽のみならずドイツ
音楽もこなす事ができますので、ある意味納得できるのですが、やはりフォーレの清廉さはもう
少し軽く仕上げた方が効果的ではないかと思います。だから、立派な演奏だとは分かっていても
次第に遠ざかったのではなかと、今になって思うのです。
一方で、コルボの演奏は淡々と進んで行くようですが、力を入れるべき要所はきちんとオケを
引き締めていて、ベルン響から中低弦の厚みを上手く醸しだしています。普通の指揮者が振った
らベルン響はもっと貧弱に聴こえるのではないかと思います。この曲の第一の魅力は女性合唱の
清らかさです。最近のアップグレードでこの音が100%綺麗に再生できるようになって、天上的な
美しさで聴こえてきます。先月の日フィル定期で舞台裏の女性合唱を聴いた際に、正にこの音を
想い出していたのでした。
アップグレード前は、この合唱に限らず、殆どの女声合唱の高域部分でハレーションを起こす
ような音に悩まされていました。そしてこれは録音の時点で上手く録れていないからだ、と他人
のせいにして逃避していた気がします。ハイブリッド化と高スルーレート化を行った時に、先ず
ピアノの異常音が殆どなくなった事に気付いたのですが、実は同時に女声合唱の問題も解決して
いたのでしょう。要するにどんな楽器でも非音楽的な音がするのは、全て帰還アンプの不安定性
から来ていると言うことなのです。
この曲には当たり前ですがオルガンが入っています。レクイエムのオルガンは殆どの場合補助
的に使われていて、これ見よがしに鳴るところは少ない為か、アンプが不調だとオルガンの音を
明確に識別できません。何処でどう鳴っているのかが分かり難いのですが、今現在はオルガンが
効果的に使われている事がよく分かります。オルガンの低音がコントラバスの極低音とちゃんと
識別して聴こえてきます。こう言う分離は地味ですが「ニヤッ」と嬉しくなります。
この曲には例外的ですが「怒りの日」がありません。ベルディやベルリオーズのような動的な
面白みは有りませんが、静的な美しさは格別です。レクイエムにしては演奏時間も短い方ですが
(約40分)、メロディは静的な美しさに見合って穏やかで洗練されていて、心の中にスッと入って
来ます。
コルボの指揮は一つ一つ丁寧に紡いで行くように曲を進行します。決して手を抜くような事は
なく密度の濃い演奏を展開します。独唱から合唱・オケに至るまで、クリュイタンス盤の敵には
成り得ませんが、どちらが共感できるかと問われれば、私は迷わずこのコルボ盤を推薦します。
これ見よがしの演奏は最初は凄いと注目しますが、段々飽きて来るのが相場です。然しながら
コルボ盤は飽きる事がないばかりか、聴くに連れてその良さが身に浸みて分かって来ます。勿論
購入当初も良いと思ったからこそ、この掲示板で紹介したのですが、その時よりも今の方がこの
演奏の良さを、より正しく理解していると言っても過言ではありません。
そう思えるのは、やはり再生音が著しく向上したからだと思います。此処にこそオーディオの
存在価値があるのだと思います。オーディオ技術が音楽とその演奏を理解する上で大いに役立つ
と言う事なのです。評論家が失礼ながら大した音で聴いた訳でもないのに、相当深いコメントを
しているのは、多分に再生されていない音を頭で補っているからではないでしょうか。WRアンプ
で聴けばその補う部分は相当に減るはずで、もっと正確な論評が期待できると思います。
コルボ盤は所謂千円盤で、何処のCDショップでも売っている一般的なCDです。玉石混交のCDの
中に有って、確かな光を放っているのです。最初はオーディオのチェック盤としてお買いになる
のも良いでしょう。何時しかこのCDの本当の魅力に気付く事と思います。私はワーナーの回し者
では決してありませんが、是非、ご購入を!
1674川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Mon May 9 16:15:00 JST 2016
KGさん、新生普及型プリアンプWRP-α9 の第1号のお買い上げとご感想ありがとうございます。
実はKGさんに関しましてはWR掲示板の項番1662で既にお話をさせて頂いておりました。KGさん
は当初ご多分に漏れず、OFC ケーブルを接続ケーブルにもスピーカーケーブルにもお使いになり、
種々の市販アンプを色々と試されたはずですが、結局得られた音に満足できないお気持ちが何処
かに残って居られたものと推察致します。迷いながらもご相談のお電話を頂いたのでした。
その勇気がご自身を救ったのだと思います。まだまだ圧倒的に多くの方がKGさんと同じような
運命にあると思います。その中には全く気付かずに今のオーディオを信用している方も居られる
でしょうが、中には何処かおかしいと思いながらもその解決策に巡り合えない方もいらっしゃる
事でしょう。
そう言う方々の中で、オーディオはそう言うもので色々変遷するのが面白いと言う方はそれで
宜しいと思います。「何が何でもWRアンプにして下さい」なんて大それた事を申し上げるつもり
は有りませんが、生楽器の音の再現とそれが奏でる音楽を家庭のオーディオで楽しみたいとお考
えの方には、是非、WRアンプの存在に早く気付いて欲しいと願っております。WRアンプはそれを
安価に実現できるアンプなのです。
過去にもF.K.さんが仰っていましたが、KGさんも同様に次のように述べられています。
★ ★ ★ これは他のメーカーでは 100万円出しても正直出ない音だと思います。★ ★ ★
オーディオは直ぐにエスカレートします。ドンドン深みに嵌って行く、ある意味危険な趣味なの
です。100 万オーダーのアンプには何か本質的に優れている点があるのでしょうか。余程革命的
な技術でも発明しない限り、上述したような目的に使えるアンプは幾らお金を掛けても開発でき
ないと思います。それは負性抵抗の理論が証明しています。ブランド品だから価値があるのかも
知れません。メーター数万円のケーブルが本当に意味があるのでしょうか? 今はっきり言える
事はそう言う代物では、生楽器の音の再現とそれが奏でる音楽を心から楽しむ事は不可能に近い
と言う事です。
WRアンプならどうでしょうか。多少のレベル差はあるにしても、普及型プリのWRP-α9 とミニ
パワーアンプΕ-5H を組合わせれるだけでそれが実現できるのです。オプション基板を入れても
15万円でもう終わりです。ケーブル代はメーター百何十円ですから、殆ど掛かりません。あとは
音楽を聴く為のソース購入に、資金を振り向けられるのです。KGさんは次のようにも述べられて
居られます。
★正直アンプの方ではもう改善できる要素が無さそうです。
少なくても今現在はこのような心境になられていらっしゃるのです。オーディオの事ですから
少し経つと欲が出ると言う事はあるかも知れません。しかし、それは程度問題で本質的にはもう
殆どゴールしたも同然なのです。私自身も最近はΕC-1HとΕ-5H の組み合わせで音楽を聴く事が
多くなりましたが、仮に「お前は死ぬまでこのアンプしか使ってはならぬ」と言われたとしても
痛くも痒くもないと思います。十二分に音楽を楽しめているからです。
WRアンプは決して「安かろう悪かろう」ではありません。強いて言えば、「安かろう良かろう」
なのです。これは私が勝手に吹聴しているのではありません。多くのユーザーの方の証言で裏打
ちされています。だから信憑性は高いはずです。
結局、要は「生楽器の音を知っているか?」「音楽が何より好きか?」と言う事だと思います。
この2点で譲れない人は、是非WRアンプを試して見て下さい。失敗する事はまずないと思います
が、仮に失敗しても百万円も損をする訳ではありません。確かに、今までの路線を180 度変える
には相当の覚悟が必要です。
やっと憧れのOFC ケーブルを揃えたのに、やっとブランド品のアンプを買ったのにそれを破棄
するのは忍び難いと思います。其処で本質は何かを見極めて勇断を下す事ができるかできないか、
がその人の一生を決めてしまうのだと思います。死ぬまで散財が付き纏う、従来のオーディオに
浸かり続けるのか、ソコソコに足を洗うかは貴方のお気持ち次第だと思います。KGさんは、
★昨年6月に購入したばかりのプリアンプまで入れ替える事になってしまいました。
と仰っていて昨年買ったばかりであろうが高価であろうが「駄目なものはダメ!」と言える勇気
が必要なのです。
私は半世紀にも及ぶ研究を重ねて、ある意味夢のオーディオアンプを開発する事ができました。
それは反骨精神と生音再生への執念だったと思います。それを評価するのも、無視するのも自由
だと思います。でもでも、結局その結果は自らに及ぶのですから「音楽が何よりお好き」ならば
一度WRアンプをお試し頂きたいと思います。
尚、KGさんはWRP-α9 にオプションで0dB のラインアンプを搭載なさいました。0dB のライン
アンプなんて意味があるのか、と言う疑問をお持ちになる方もいらっしゃるでしょうが、適正な
帰還ならば帰還量が多い程バッファ効果が高い事が試聴結果に依って裏付けられています。
これは今に始まった事ではなくて、旧型プリアンプに於いて既に経験済みの結果でした。現に
私の旧型プリのラインアンプは2段差動で0dB に設定してあり、ちょっとゲインが不足気味です
が、音質はこれまでで最高レベルにあります。中低域がタップリした良さのあるΕC-1Hとは少し
違って、端正な音に魅力があります。
しかし、最初からオプション基板を積まなくてもWRP-α9 のオリジナルでも十分効果が上がる
はずです。それは、KGさんの次のお言葉からも言えると思います。
★正直言って、デモ品でもかなりのレベルに有ったのでどの程度音が向上するか
★不安も有ったのですがそれは杞憂でした。
WRP-α9/A でもかなりのレベルにあったと証言されています。WRP-α9/Aの電源電圧は±13.5V
ですが、新生WRP-α9 は±18V ですし、整流回路にパイ型のフィルターが入りましたから、より
ノイズの軽減効果が期待できますので、それらが相乗効果を上げバッファ効果は確実に向上して
いるはずです。地道に道を踏んで、ご自分の耳のレベルが追い付いてからでもオプションは遅く
はありません。近々に当HPのヘッドホンアンプ(普及型プリアンプ)の中の画像に、WRP-α9 を
上部から見た写真を載せる予定です。オプション基板を後からでも直ぐに搭載できるように空き
スペースが確保されています。
それよりもプリが無い方やそれに近い方、ブッファ効果が無いか、逆に音を悪化させるような
他社製のプリアンプをお使いの方は、なるべくお早めに新生なった普及型プリアンプ WRP-α9を
ご検討頂きますようにお願い致します。お使いのΕ-5H 等のWRパワーアンプが、さらにレベルの
高い音に生まれ変わると思います。WRアンプのポテンシャルは価格に似合わずかなり高いのです。
是非、100%有効に引き出してお使いになって下さい。
注)当普及型プリアンプはヘッドホン端子付きですから、高帰還パワーアンプ直結の音を楽しむ
事ができます。実はヘッドホンアンプとしても最高級品に決して引けを取りません。少し前に
なりますが、O.M.さんが次のように述べて居られます。
●ヘッドホンでの再生もプリアンプを通した方が断然素晴らしいものになります。
●STAXの最高級イヤースピーカーよりも音楽を楽しめます。
1673K.G.さん(自営業)
Wed May 4 09:20:30 JST 2016
WRP-α9 一号機購入
みなさまはじめまして、幸運にも新生WRP-α9の第一号機を購入させていただきました
兵庫県在住のK.G.です。
ナチュラルな音のアンプを探してウエストリバーアンプにたどりつきました。
現在はPCから出力しスピーカーはWestlakeAudioのLC8.1を使用して
8畳間でスピーカーから1.3mくらいの距離で主にポップスやロックを聴いています。
いろいろ試行錯誤して機器を入れ替えてはみるのですが、
なかなか納得のいく音が出ずにいました。
定価100万円程度のパワーアンプ等でもそれは変わらず、ウェストリバーアンプの前は
出力1wのアンプを使用していましたが、個人的にはそれがまだ一番ましなレベルでした。
しかし、幸運にもウエストリバーアンプの試聴機をお借りでき
あまりの自然な音にビックリしてまずパワーアンプのE-5Hを購入、
プリアンプは以前のままで行こうと思ってましたが
試聴機をプリアンプ代わりに接続して更にビックリ、ひと月も経たないうちに
昨年6月に購入したばかりのプリアンプまで入れ替える事になってしまいました。
現在WRP-α9 とE-5Hの組み合わせで聞いていますが、高域の伸び、情報量、低域の下支えなど、
今まででは考える事が出来ないレベルになりました。
エージングも進み、川西さまが書いてくださった私の感想時よりも
切れも実体感も低音の締まりも良くなり、
正直アンプの方ではもう改善できる要素が無さそうです。
これは他のメーカーでは100万円出しても正直出ない音だと思います。
価格も良心的に過ぎるでしょうが、ユーザーとしては嬉しい限りです。
今後ともよろしくお願いいたします。
1672川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者)
Sun May 1 22:00:00 JST 2016
ウエストリバーでは、普及型プリアンプWRP-α9 を新発売しました!
既に、WR掲示板の項番1663で予告しましたし、当HPに写真が掲載されていますのでご存知だと
は思いますが、旧ヘッドホンアンプWRP-α9 を改めて、ヘッドホン端子付きの普及型プリアンプ
として新発売する事になりました。
比較的よく売れましたWRP-α9/A の影に隠れて、旧型WRP-α9 は余り台数が出ませんでしたが、
シャーシは薄型で格好が素敵で、このまま埋もれさせて置くのは非常に勿体無いと思い、 Ε-5H、
やΕ-10Hなどに組合わせて使える適当なプリアンプが無かった事もありましてので、思い切って
旧型WRP-α9 のコンバートを決めた次第です。
パワーアンプの機能はWRP-α9/A が発展したΕ-5H が引き継いでいますので、新型WRP-α9 は
プリアンプに徹する為に、電源電圧を約5V引き上げています。そしてパイ型フィルターを新たに
設けています。これはΕC-1Hと同じ電圧、同じ回路ですから、送り出しの心臓部の能力は同等に
なるはずです。また、WRP-α9 のシャーシは電源部の他に基板を4枚収納できるスペースがあり
ます。標準のプリアンプは3枚で構成されますのでカスタマイズ用に1枚を使う事が可能です。
一つの選択はEQオプションです。EQオプションの普及品は比較的安価(\14,040)ですから、LP
を気楽に楽しむには良い選択かと思います。もう一つはΕC-1Hと同じようにラインアンプを前置
する事が考えられます。実は新WRP-α9 の第1号機をお申し込みになった方から、バッファ効果
をより高める為ラインアンプを付加できないかと言うご相談を頂いたのです。普及型プリアンプ
の能力向上には良い選択です。
確かに、スペース的には基板1枚の空スペースがありましたので、物理的には可能ながら狭い
所に基板を押し込んだ場合、残留ハムノイズを15uV(DIN-AUDIO) 以下に出来るのかどうかが問題
でした。しかし、言われればやりたくなるのが技術屋です。やって見ましょうと言う事でお引き
受けしたのでした。勿論、多少の成算はあったのです。電源トランスの取り付け方向や心臓部の
送り出し基板及びラインアンプ基板の設置場所をよく考えて決めたのでした。
少し苦労はしたものの、完成して残留ハムノイズを測って見るとちゃんと15uV以下に収まって
いました。この位ならカナル型イヤホンも使えるレベルです。それでは此処で、この普及型プリ
アンプを、既にご注文頂いていたΕ-5H と組合わせてお聴きになった時の、ご本人様の第一声を
お読みになって見て下さい。それまで、この方はお貸し出し中のWRP-α9/A をプリとしてご使用
でした。それをデモ品と仰っています。
★まず筐体の仕上がりが美しくて、物として気に入りました。
★早速音の方も聞いてみましたが、ひとことで言うと素晴らしいとしか言いようがありません。
★デモ品で感じていた情報量が多く自然な音も、これを聞くと線が細く余裕がないように
★聞こえてしまいます。
★更にいろんな音が重なったときの分離が素晴らしく、今まで聞こえなかったたくさんの音が
★聞こえて来て驚きました。
★しかもそれなのに全く音にエッジを感じないので全く聴き疲れしません。
★正直言って、デモ品でもかなりのレベルに有ったのでどの程度音が向上するか
★不安も有ったのですがそれは杞憂でした。
★本当に素晴らしいアンプです。
と言う具合に大変気に入って頂けたのです。人間の音に対する欲求は切りがありません。最近、
Ε-5H を単品でご購入頂く方が増えておりますが、そしてこれまでお使いのアンプに比べて相当
の音の向上に喜ばれていますが、しかし単品よりは普及型プリアンプWRP-α9 を使えばこの方の
ようにさらに、ラインアンプ増設でさらに、いい音で聴けるようになります。プリアンプの能力
にも際限がないのです。それでは何処で線引きをするかと言う事になりますが、生演奏会の音と
本質的な違和感がなくなるまでと今は申し上げて置きます。
プリアンプを使うと音が悪くなるとお考えの方、プリアンプは切替などで便宜上使ってはいる
ものの音質向上のメリットなんて考えた事がない方、プリアンプは何を使っても同じだと考えて
いる方、音量調整のみのシンプルなパッシブプリが無難だと思っている方、それは何れも大外れ
です。バッファ効果の高いWRのプリを使えば普及型でも上記のご感想のようなメリットが十分に
確認されています。
Ε-5H 等を単品でお買い上げの方、今すぐには無理でもなるべく近い将来には普及型でも十分
ですから、是非、WRの普及型プリアンプをご検討頂きますよにお願い致します。Ε-5H 等の能力
をWRプリと併用して、最大限発揮して頂きたいと心から願っています。又気楽に聴けるセカンド
システムをお考えの方にも、WRP-α9 は最適なプリアンプだと思っています。